(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の演算データを生成するときの前記実部データ系列と前記虚部データ系列との少なくともいずれか一方の要素の並び順を変えて、前記第1の演算手段、前記第2の演算手段、および前記プリアンブル生成手段の処理を繰り返し実行する繰り返し手段をさらに備え、
前記プリアンブル決定手段は、前記繰り返し手段の繰り返し処理によって生成された複数のプリアンブルのうちから前記送信信号のプリアンブルを決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のプリアンブル生成装置。
前記繰り返し手段は、前記プリアンブル生成手段が生成したプリアンブルの逆高速フーリエ変換を行って得られたデータのピーク対平均電力比が予め定められた基準に合致しない場合に、前記繰り返し処理を実行することを特徴とする請求項2に記載のプリアンブル生成装置。
前記モデル決定手段は、前記生成が要求されたプリアンブルがロングプリアンブルである場合、データ通信に使用されるサブキャリアとして値が1の要素と値が0の要素とが交互に並んで構成されたロングプリアンブルモデルを前記プリアンブルモデルとして決定し、
前記第1の演算手段は、前記ロングプリアンブルモデルの要素数の半分の個数の要素を有するデータ系列の実部である実部データ系列と該データ系列の虚部である虚部データ系列との少なくともいずれか一方の要素を並び替えて、前記第1の演算データを生成し、
前記第2の演算手段は、前記第2の演算データとして、前記第1の演算データの高速フーリエ変換を行って得られたデータの要素が1つおきに並んで構成されたデータを生成する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のプリアンブル生成装置。
前記モデル決定手段は、前記生成が要求されたプリアンブルがショートプリアンブルである場合、データ通信に使用されるサブキャリアとして値が1である1つの要素と値が0である3つの要素とが交互に並んで構成されたショートプリアンブルモデルを前記プリアンブルモデルとして決定し、
前記第1の演算手段は、前記ショートプリアンブルモデルの要素数の4分の1の個数の要素を有するデータ系列の実部である実部データ系列と該データ系列の虚部である虚部データ系列との少なくともいずれか一方の要素を並び替えて、前記第1の演算データを生成し、
前記第2の演算手段は、前記第2の演算データとして、前記第1の演算データの高速フーリエ変換を行って得られたデータの要素が3つおきに並んで構成されたデータを生成する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のプリアンブル生成装置。
前記第1の演算手段は、前記実部データ系列と前記虚部データ系列との少なくともいずれか一方の各要素を予め定められた方向に予め定められた回数だけ環状シフトすることにより、前記第1の演算データを生成することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のプリアンブル生成装置。
前記第1の演算手段は、絶対値が互いに等しい複数の要素によって構成される系列を前記データ系列として用いて前記第1の演算データを生成することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のプリアンブル生成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される技術で生成されるプリアンブルは、2のべき乗の長さであり、プリアンブルの長さを任意の長さとすることができない。また生成することができるプリアンブルの種類が限られている。
【0006】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、任意の長さのプリアンブルのPAPRを低減すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るプリアンブル生成装置は、
送信信号のプリアンブルを生成するプリアンブル生成装置であって、
生成が要求されたプリアンブルに応じて、0または1の複数の要素によって構成されるプリアンブルモデルを決定するモデル決定手段と、
前記プリアンブルモデルの要素数に応じて決定された個数の要素を有するデータ系列の実部である実部データ系列と該データ系列の虚部である虚部データ系列との少なくともいずれか一方の要素を並び替えて、第1の演算データを生成する第1の演算手段と、
前記第1の演算データの高速フーリエ変換を行って得られたデータの要素が所定の個数おきに並んで構成された、前記プリアンブルモデルの要素数と同じ個数の要素を有する第2の演算データを生成する第2の演算手段と、
前記第2の演算データの各要素と、該各要素と同じ位置にある前記プリアンブルモデルの要素と、を乗算してプリアンブルを生成するプリアンブル生成手段と、
前記プリアンブルの逆高速フーリエ変換を行って得られたデータのピーク対平均電力比
および自己相関特性が予め定められた基準に合致する場合に、該プリアンブルを前記送信信号のプリアンブルとして決定するプリアンブル決定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記第1の演算データを生成するときの前記実部データ系列と前記虚部データ系列との少なくともいずれか一方の要素の並び順を変えて、前記第1の演算手段、前記第2の演算手段、および前記プリアンブル生成手段の処理を繰り返し実行する繰り返し手段をさらに備え、
前記プリアンブル決定手段は、前記繰り返し手段の繰り返し処理によって生成された複数のプリアンブルのうちから前記送信信号のプリアンブルを決定する。
【0009】
好ましくは、前記繰り返し手段は、前記プリアンブル生成手段が生成したプリアンブルの逆高速フーリエ変換を行って得られたデータのピーク対平均電力比が予め定められた基準に合致しない場合に、前記繰り返し処理を実行する。
【0010】
好ましくは、前記モデル決定手段は、前記生成が要求されたプリアンブルがロングプリアンブルである場合、データ通信に使用されるサブキャリアとして値が1の要素と値が0の要素とが交互に並んで構成されたロングプリアンブルモデルを前記プリアンブルモデルとして決定し、
前記第1の演算手段は、前記ロングプリアンブルモデルの要素数の半分の個数の要素を有するデータ系列の実部である実部データ系列と該データ系列の虚部である虚部データ系列との少なくともいずれか一方の要素を並び替えて、前記第1の演算データを生成し、
前記第2の演算手段は、前記第2の演算データとして、前記第1の演算データの高速フーリエ変換を行って得られたデータの要素が1つおきに並んで構成されたデータを生成する。
【0011】
好ましくは、前記モデル決定手段は、前記生成が要求されたプリアンブルがショートプリアンブルである場合、データ通信に使用されるサブキャリアとして値が1である1つの要素と値が0である3つの要素とが交互に並んで構成されたショートプリアンブルモデルを前記プリアンブルモデルとして決定し、
前記第1の演算手段は、前記ショートプリアンブルモデルの要素数の4分の1の個数の要素を有するデータ系列の実部である実部データ系列と該データ系列の虚部である虚部データ系列との少なくともいずれか一方の要素を並び替えて、前記第1の演算データを生成し、
前記第2の演算手段は、前記第2の演算データとして、前記第1の演算データの高速フーリエ変換を行って得られたデータの要素が3つおきに並んで構成されたデータを生成する。
【0012】
好ましくは、前記第1の演算手段は、前記実部データ系列と前記虚部データ系列との少なくともいずれか一方の各要素を予め定められた方向に予め定められた回数だけ環状シフトすることにより、前記第1の演算データを生成する。
【0014】
好ましくは、前記第1の演算手段は、絶対値が互いに等しい複数の要素によって構成される系列を前記データ系列として用いて前記第1の演算データを生成する。
【0015】
本発明の第2の観点に係るプリアンブル生成方法は、
送信信号のプリアンブルを生成するプリアンブル生成方法であって、
生成が要求されたプリアンブルに応じて、0または1の複数の要素によって構成されるプリアンブルモデルを決定するモデル決定ステップと、
前記プリアンブルモデルの要素数に応じて決定された個数の要素を有するデータ系列の実部である実部データ系列と該データ系列の虚部である虚部データ系列との少なくともいずれか一方の要素を並び替えて、第1の演算データを生成する第1の演算ステップと、
前記第1の演算データの高速フーリエ変換を行って得られたデータの要素が所定の個数おきに並んで構成された、前記プリアンブルモデルの要素数と同じ個数の要素を有する第2の演算データを生成する第2の演算ステップと、
前記第2の演算データの各要素と、該各要素と同じ位置にある前記プリアンブルモデルの要素と、を乗算してプリアンブルを生成するプリアンブル生成ステップと、
前記プリアンブルの逆高速フーリエ変換を行って得られたデータのピーク対平均電力比
および自己相関特性が予め定められた基準に合致する場合に、該プリアンブルを前記送信信号のプリアンブルとして決定するプリアンブル決定ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、
送信信号のプリアンブルを生成するプリアンブル生成装置を制御するコンピュータに、
生成が要求されたプリアンブルに応じて、0または1の複数の要素によって構成されるプリアンブルモデルを決定するモデル決定ステップと、
前記プリアンブルモデルの要素数に応じて決定された個数の要素を有するデータ系列の実部である実部データ系列と該データ系列の虚部である虚部データ系列との少なくともいずれか一方の要素を並び替えて、第1の演算データを生成する第1の演算ステップと、
前記第1の演算データの高速フーリエ変換を行って得られたデータの要素が所定の個数おきに並んで構成された、前記プリアンブルモデルの要素数と同じ個数の要素を有する第2の演算データを生成する第2の演算ステップと、
前記第2の演算データの各要素と、該各要素と同じ位置にある前記プリアンブルモデルの要素と、を乗算してプリアンブルを生成するプリアンブル生成ステップと、
前記プリアンブルの逆高速フーリエ変換を行って得られたデータのピーク対平均電力比
および自己相関特性が予め定められた基準に合致する場合に、該プリアンブルを前記送信信号のプリアンブルとして決定するプリアンブル決定ステップと、
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、任意の長さのプリアンブルのPAPRを低減することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
【0020】
以下の本発明の実施の形態の説明および特許請求の範囲の記載において、IFFT(Inverse Fast Fourier Transformation:逆高速フーリエ変換)は、IFFTとIDFT(Inverse Discrete Fourier Transformation:逆離散フーリエ変換)を含む概念とする。したがって本発明の実施の形態においては、IFFTの代わりに、IDFTを行うよう構成してもよい。同様にFFT(Fast Fourier Transformation:高速フーリエ変換)は、FFTとDFT(Discrete Fourier Transformation:離散フーリエ変換)を含む概念とする。またIDFTおよびDFTを行う場合は、以下の説明におけるFFTサイズとは、DFTサイズを意味する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係るプリアンブル生成装置の構成例を示すブロック図である。プリアンブル生成装置1は、第1演算部11、第2演算部12、プリアンブル生成部13、プリアンブル決定部14、モデル決定部15、およびコントローラ20を備える。
【0022】
コントローラ20は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)21、RAM(Random Access Memory)23、およびROM(Read-Only Memory)24を備える。複雑化を避け、理解を容易にするために、コントローラ20から各部への信号線が省略されているが、コントローラ20はプリアンブル生成装置1の各部にI/O(Input/Output)22を介して接続しており、それらの処理の開始、終了、処理内容の制御を行う。ROM24は、コントローラ20がプリアンブル生成装置1の動作を制御するための制御プログラムを格納する。コントローラ20は、制御プログラムに基づいて、プリアンブル生成装置1を制御する。
【0023】
図2は、実施の形態に係るプリアンブル生成装置を備える通信機の構成例を示すブロック図である。通信機2は、プリアンブル生成装置1、一次変調部3、IFFT部4、送信部5、およびアンテナ6を備える。通信機2は、不図示のCPU、RAM、ROM等による制御のもと、OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式の無線通信により他の機器と通信を行う。
【0024】
一次変調部3は、入力信号を、例えばQPSK(Quadrature Phase-Shift Keying:四位相偏移変調)などの変調方式を用いて一次変調することにより、一次変調信号を生成する。IFFT部4は、一次変調信号およびプリアンブル生成装置1が出力する周波数領域のプリアンブルのIFFTを行い、IFFTの計算結果を送信部5に送る。送信部5は、IFFTされた一次変調信号からベースバンド信号を生成し、IFFTされた時間領域のプリアンブルをベースバンド信号の先頭に付加して送信信号を生成する。そして、送信部5は、生成した送信信号を通信先の他の機器に送信する。
【0025】
図3は、実施の形態における通信機が送信する送信信号の構成例を示す図である。
図3に示すように、送信信号は、プリアンブルと、ベースバンド信号に相当する複数のデータ部分と、によって構成される。
【0026】
プリアンブルは、送信信号の先頭に位置し、信号の検出や補正、同期などに用いられる。プリアンブルは、プリアンブル生成装置1が生成するロングプリアンブルとショートプリアンブルとを組み合わせて構成することができる。例えば、ロングプリアンブルとショートプリアンブルとは、それぞれ信号検出等における粗調整と微調整とのために用いられる。これらの組合せは、使用や用途や通信方式の仕様によって自由に定められる。
【0027】
図4は、実施の形態におけるプリアンブルの構成例を示す図である。
図4に示すように、プリアンブルは、ガードサブキャリアZ1、Z2と、データサブキャリアD1、D2と、DCサブキャリアと、によって構成される。
【0028】
ガードサブキャリアZ1、Z2は、プリアンブルの両端に位置し、周波数帯域間の干渉を防ぐために使用される、各要素の値が0のサブキャリアである。データサブキャリアD1、D2は、ガードサブキャリアZ1、Z2とDCサブキャリアとの間に位置し、データ通信に使用される、すなわち送信先に伝送すべき情報を表現するためのサブキャリアである。DCサブキャリアは、プリアンブルの略中央に位置し、データ通信に用いられない値が0のサブキャリアである。
【0029】
例えば、プリアンブルが有する要素の数(系列長)Nを2048とした場合に、ガードサブキャリアZ1の系列長z1を184、データサブキャリアD1の系列長d1を840、DCサブキャリアの系列長cを1、データサブキャリアD2の系列長d2を840、ガードサブキャリアZ2の系列長z2を183とすることができる。このとき、N=z1+d1+c+d2+z2が成り立つ。
【0030】
プリアンブル生成装置1の各部について説明する。モデル決定部15は、生成が要求されたプリアンブルのモデル(プリアンブルモデル)を決定する。プリアンブルモデルとは、生成が要求されたプリアンブルの要素数と同じ個数の値が0または1の複数の要素によって構成されたモデルであって、プリアンブルを構成する複数の要素のうちどの要素をデータ通信に使用するか、すなわちどの要素がガードサブキャリアZ1、Z2、データサブキャリアD1、D2、およびDCサブキャリアのそれぞれとして割り当てられるかを示すモデルである。
【0031】
より詳細に説明すると、モデル決定部15は、生成が要求されたプリアンブルの種類がロングプリアンブルかショートプリアンブルかに応じて、ロングプリアンブルモデルとショートプリアンブルモデルとのどちらをプリアンブルモデルとして用いるかを決定する。なお、モデル決定部15は、外部からの入力に基づいてプリアンブルモデルを決定してもよいし、予め定められた基準に従ってプリアンブルモデルを決定してもよい。
【0032】
図5および
図6は、それぞれ実施の形態におけるロングプリアンブルモデルおよびショートプリアンブルモデルの例を示す図である。
図5および
図6に示すように、ロングプリアンブルモデルとショートプリアンブルモデルとは、いずれも、モデルの両端に位置するガードサブキャリアZ1およびガードサブキャリアZ2としてそれぞれ値が0のz1個およびz2個の要素を有し、モデルの略中央に位置するDCサブキャリアとして値が0の1個の要素を有する。
【0033】
一方、データサブキャリアD1、D2における値が0の要素と値が1の要素との配列パターンは、ロングプリアンブルモデルとショートプリアンブルモデルとで互いに異なる。例えば、
図5に示すように、ロングプリアンブルモデルは、データサブキャリアD1として1,0,1,0,1,0,・・・と繰り返されるd1個の要素を有し、データサブキャリアD2として0,1,0,1,0,1,・・・と繰り返されるd2個の要素を有する。これに対し、
図6に示すように、ショートプリアンブルモデルは、データサブキャリアD1として1,0,0,0,1,0,0,0,・・・と繰り返されるd1個の要素を有し、データサブキャリアD2として0,0,0,1,0,0,0,1,・・・と繰り返されるd2個の要素を有する。
【0034】
このように、モデル決定部15は、生成が要求されたプリアンブルがロングプリアンブルである場合、データ通信に使用されるデータサブキャリアD1、D2の区間の要素として値が1の要素と値が0の要素とが交互に並んで構成されたロングプリアンブルモデルをプリアンブルモデルとして決定する。一方、生成が要求されたプリアンブルがショートプリアンブルである場合、モデル決定部15は、データ通信に使用されるデータサブキャリアD1、D2として値が1である1つの要素と値が0である3つの要素とが繰り返し並んで構成されたショートプリアンブルモデルをプリアンブルモデルとして決定する。
【0035】
モデル決定部15は、プリアンブルモデルとして決定したロングプリアンブルモデルまたはショートプリアンブルモデルを第1演算部11に送る。なお、モデル決定部15が決定したプリアンブルモデルをRAM23に記憶し、第1演算部11がRAM23に記憶されたプリアンブルモデルを取得することで、モデル決定部15がプリアンブルモデルとして決定したロングプリアンブルモデルまたはショートプリアンブルモデルを第1演算部11が取得するように構成してもよい。
【0036】
プリアンブル生成装置1の各部の説明に戻って、第1演算部11は、プリアンブルモデルの要素数に応じて決定された個数の要素を有するデータ系列の実部である実部データ系列とこのデータ系列の虚部である虚部データ系列との少なくともいずれか一方の要素を並び替えて、第1の演算データを生成する。
【0037】
データ系列として、例えばランダム信号、CAZAC(Constant Amplitude Zero Auto-Correlation)系列、PN(Pseudorandom Noise:擬似ランダム雑音)系列、その他の人工的に生成した系列など、任意の信号を用いることができる。ただし、生成するプリアンブルのPAPR(Peak-to-Average Power Ratio:ピーク対平均電力比)が低くなるように、なるべくPAPRの低い信号を用いることが好適である。
【0038】
図7は、実施の形態におけるデータ系列の要素を複素平面上に示した図である。
図7において、黒丸はそれぞれデータ系列の要素を表す。
図7に示すように、例えばデータ系列として、複素平面上において原点を中心とする円周上に各要素が位置する系列、すなわち各要素の絶対値が互いに等しい系列を用いることができる。このような各要素の絶対値が互いに等しい系列は、PAPRの定義によりこの系列のPAPRは0dBとなるため、PAPRが低いプリアンブルを生成するためのデータ系列として好適である。
【0039】
また、このようなデータ系列における実部データ系列と虚部データ系列との少なくともいずれか一方の要素を並び替える処理の例として、以下では、第1演算部11が実部データ系列と虚部データ系列との少なくともいずれか一方の各要素を予め定められた方向に予め定められた回数だけ環状シフトする場合について説明する。
【0040】
図8は、実施の形態におけるロングプリアンブルの生成手順を示す図である。以下、
図8を参照して、プリアンブルとして要素数Nのロングプリアンブルを生成する場合について説明する。なお、理解を容易にするため、
図8では、要素数が多いデータほど縦方向に長く描かれており、時間領域におけるデータには縦方向に破線を付し、周波数領域におけるデータは横方向に破線を付している。
【0041】
第1演算部11は、生成が要求されたプリアンブルがロングプリアンブルである場合、モデル決定部15から供給されたロングプリアンブルモデルの要素数Nの半分であるN/2の個数の要素を有するデータ系列を用いる。ここで、要素数がN/2の列ベクトルであるデータ系列をA_seq
(L)と表し、データ系列A_seq
(L)の実部である実部データ系列をRe(A_seq
(L))、虚部である虚部データ系列をIm(A_seq
(L))と表す。例えば、第1演算部11は、虚部データ系列Im(A_seq
(L))の要素を上から下へと並べたときの上方向にk回環状シフトして、データ系列A_seq
(L)から第1の演算データA_seq
(L)(k)を生成する。第1演算部11は、生成した第1の演算データA_seq
(L)(k)を第2演算部12に送る。
【0042】
虚部データ系列Im(A_seq
(L))の要素を上方向にk回環状シフトするとは、虚部データ系列Im(A_seq
(L))のN/2個の要素のうちp番目の要素が(p−k)番目(ただしpはk<p≦N/2を満たす整数)の要素となり、q番目の要素が(q−k+N/2)番目(ただしqは0<q≦kを満たす整数)の要素となるように、虚部データ系列Im(A_seq
(L))の各要素を巡回させることをいう。上方向にk回環状シフトした虚部データ系列をCirc(Im(A_seq
(L)),k)と表すと、第1の演算データA_seq
(L)(k)は、下記(1)式で表される。なお、下記(1)式中のjは虚数単位を表す。
【0044】
第2演算部12は、虚部データ系列を環状シフトした第1の演算データA_seq
(L)(k)のFFTを行って、周波数領域における形式のデータB_seq
(L)に変換する。FFTを行って得られたデータB_seq
(L)は、下記(2)式のように表される。なお、FFTサイズは、データ系列A_seq
(L)および第1の演算データA_seq
(L)(k)の系列長と同じN/2であり、下記(2)式中のF
(N/2)はFFTサイズがN/2であるFFT行列を表す。
【0046】
FFTを行うと、第2演算部12は、1,0,1,0,1,0,・・・1,0のように値が1の要素と値が0の要素とが交互に並んで構成された系列長Nの系列LP_lの値が1の要素にFFT後のデータB_seq
(L)の要素をマッピング(写像)する。そして、FFT後のデータB_seq
(L)の要素が1つおきに並んで構成された、ロングプリアンブルモデルの要素数Nと同じ個数の要素を有する第2の演算データC_seq
(L)を生成する。例えばFFT後のデータB_seq
(L)のN/2個の要素をb
1,b
2,b
3,・・・b
N/2と表すと、第2の演算データC_seq
(L)のN個の要素は、b
1,0,b
2,0,b
3,0,・・・b
N/2,0のようにFFT後のデータB_seq
(L)の要素間および末尾に値が0の要素が1つずつ挿入されたものとして表される。第2演算部12は、生成した第2の演算データC_seq
(L)をプリアンブル生成部13に送る。
【0047】
プリアンブル生成部13は、第2の演算データC_seq
(L)の各要素と、該各要素と同じ位置にあるロングプリアンブルモデルの要素とを乗算する。すなわち、第1の演算データC_seq
(L)とロングプリアンブルモデルとのそれぞれにおけるi番目(iは1からNまでの整数)の要素同士を乗算(アダマール積)する。そして、N個の要素によって構成される周波数領域におけるプリアンブルD_seq
(L)を生成する。ロングプリアンブルモデルをLP_seqと表すと、プリアンブルD_seq
(L)は、下記(3)式で表される。なお、下記(3)式中の黒丸は、アダマール積を表す。
【0049】
上述のように、ロングプリアンブルモデルLP_seqは、値が0または1の複数の要素によって構成されている。そのため、プリアンブルD_seq
(L)において、第2の演算データC_seq
(L)の要素のうちロングプリアンブルモデルLP_seqの値が1と同じ位置にある要素が残る。そして、プリアンブルD_seq
(L)において、第2の演算データC_seq
(L)の要素のうちロングプリアンブルモデルLP_seqの値が0と同じ位置にある要素は0となる。ロングプリアンブルモデルLP_seqの値が0の要素は、例えば、ガードサブキャリアZ1、Z2とDCサブキャリアの全要素、およびデータサブキャリアD1、D2における値が0の要素である。ロングプリアンブルモデルLP_seqの値が1の要素は、データサブキャリアD1、D2において1つおきに並んだ値が1の要素である。プリアンブル生成部13は、生成したプリアンブルD_seq
(L)をプリアンブル決定部14に送る。
【0050】
プリアンブル決定部14は、周波数領域におけるプリアンブルD_seq
(L)のIFFTを行って、生成したプリアンブルを時間領域における形式のデータE_seq
(L)に変換する。IFFTを行って得られたデータE_seq
(L)は、下記(4)式のように表される。なお、下記(4)式中のF
(N)−1は、FFTサイズがNであるIFFT行列を表す。
【0052】
IFFTを行うと、プリアンブル決定部14は、IFFTを行って得られたデータE_seq
(L)のPAPRを算出する。プリアンブル決定部14は、算出したPAPRが予め定められた基準に合致する場合に、このプリアンブルD_seq
(L)を通信機2における送信信号のロングプリアンブルとして決定する。そして、決定したロングプリアンブルを、通信機2のIFFT部4に出力する。
【0053】
例えば、プリアンブル決定部14は、IFFT後のデータE_seq
(L)のPAPRが所定の閾値以下である場合に、このPAPRが予め定められた基準に合致すると判定する。この閾値は、送信側の通信機の増幅器の特性、伝送路などに応じて任意に定めることができる。
【0054】
一方、IFFT後のデータE_seq
(L)のPAPRが予め定められた基準に合致しない場合には、プリアンブル決定部14は、第1演算部11にその旨を通知する。この通知を受けた第1演算部11は、環状シフト回数kを変えることにより、第1の演算データA_seq
(L)(k)を生成するときの虚部データ系列Im(A_seq
(L))の要素の並び順を変えて、新たな第1の演算データA_seq
(L)(k)を生成する。そして、第2演算部12およびプリアンブル生成部13が新たな第1の演算データA_seq
(L)(k)に基づいて上述の処理を行い、プリアンブル決定部14が、新たに生成されたIFFT後のデータE_seq
(L)のPAPRが予め定められた基準に合致するか否かを判定する。
【0055】
コントローラ20は、このような環状シフト回数kを変えてプリアンブルの生成処理を繰り返す繰り返し手段として機能し、第1演算部11、第2演算部12およびプリアンブル生成部13の処理を繰り返し実行して複数のプリアンブルを生成する。そして、プリアンブル決定部14は、繰り返し処理によって生成された複数のプリアンブルのうちからPAPRが予め定められた基準に合致するプリアンブルを送信信号のプリアンブルとして決定する。
【0056】
例えば、コントローラ20は、第1演算部11において環状シフト回数kの初期値を0とし、IFFT後のデータE_seq
(L)のPAPRが予め定められた基準に合致しない場合には、kに1ずつ加算して、第1演算部11、第2演算部12、およびプリアンブル生成部13の処理をIFFT後のデータE_seq
(L)のPAPRが予め定められた基準に合致すると判定されるまで繰り返し実行するように構成してもよい。
【0057】
なお、プリアンブル決定部14は、PAPRに加え、周波数領域におけるプリアンブルD_seq
(L)のIFFTを行って得られたデータE_seq
(L)の自己相関特性を算出し、PAPRおよび自己相関特性が予め定められた基準に合致する場合に、このプリアンブルD_seq
(L)を送信信号のプリアンブルとして決定してもよい。
【0058】
例えば、プリアンブル決定部14は、IFFT後のデータE_seq
(L)とこのデータE_seq
(L)から要素の環状シフトを行っていない同じデータとの間の自己相関値が任意に要素の環状シフトを行ったデータとの間の自己相関値に比べて高い場合に、このデータE_seq
(L)の自己相関特性が予め定められた基準に合致すると判定する。このように自己相関特性が良いものを送信信号のプリアンブルとすることにより、受信側での送信信号のデータ検出精度を高めることができる。
【0059】
図9は、実施の形態におけるショートプリアンブルの生成手順を示す図である。図の見方は
図8と同様である。以下、
図9を参照して、プリアンブルモデルとして要素数Nのショートプリアンブルモデルを用いる場合について説明する。
【0060】
第1演算部11は、生成が要求されたプリアンブルがショートプリアンブルである場合、モデル決定部15から供給されたショートプリアンブルモデルの要素数Nの4分の1であるN/4の個数の要素を有するデータ系列を用いる。ここで、要素数がN/4の列ベクトルであるデータ系列をA_seq
(S)と表し、データ系列A_seq
(S)の実部である実部データ系列をRe(A_seq
(S))、虚部である虚部データ系列をIm(A_seq
(S))と表す。例えば、第1演算部11は、虚部データ系列Im(A_seq
(S))の要素を上から下へと並べたときの上方向にk回環状シフトして、データ系列A_seq
(S)から第1の演算データA_seq
(S)(k)を生成する。第1演算部11は、生成した第1の演算データA_seq
(S)(k)を第2演算部12に送る。
【0061】
虚部データ系列Im(A_seq
(S))の要素を上方向にk回環状シフトするとは、虚部データ系列Im(A_seq
(S))のN/4個の要素のうちp番目の要素が(p−k)番目(ただしpはk<p≦N/4を満たす整数)の要素となり、q番目の要素が(q−k+N/4)番目(ただしqは0<q≦kを満たす整数)の要素となるように、虚部データ系列Im(A_seq
(S))の各要素を巡回させることをいう。上方向にk回環状シフトした虚部データ系列をCirc(Im(A_seq
(S)),k)と表すと、第1の演算データA_seq
(S)(k)は、下記(5)式で表される。なお、下記(5)式中のjは虚数単位を表す。
【0063】
第2演算部12は、虚部データ系列を環状シフトした第1の演算データA_seq
(S)(k)のFFTを行って、周波数領域における形式のデータB_seq
(S)に変換する。FFTを行って得られたデータB_seq
(S)は、下記(6)式のように表される。なお、FFTサイズは、データ系列A_seq
(S)および第1の演算データA_seq
(S)(k)の系列長と同じN/4であり、下記(6)式中のF
(N/4)はFFTサイズがN/4であるFFT行列を表す。
【0065】
FFTを行うと、第2演算部12は、1,0,0,0,1,0,0,0,・・・1,0,0,0のように値が1である1つの要素と値が0である3つの要素とが交互に並んで構成された系列長Nの系列SP_lの、値が1の要素にFFT後のデータB_seq
(S)の要素をマッピング(写像)する。そして、FFT後のデータB_seq
(S)の要素が3つおきに並んで構成された、ロングプリアンブルモデルの要素数Nと同じ個数の要素を有する第2の演算データC_seq
(S)を生成する。例えばFFT後のデータB_seq
(S)のN/4個の要素をb
1,b
2,b
3,・・・b
N/4と表すと、第2の演算データC_seq
(S)のN個の要素は、b
1,0,0,0,b
2,0,0,0,b
3,0,0,0,・・・b
N/2,0,0,0のように、FFT後のデータB_seq
(S)の要素間および末尾に値が0の要素が3つずつ挿入されたものとして表される。第2演算部12は、生成した第2の演算データC_seq
(S)をプリアンブル生成部13に送る。
【0066】
プリアンブル生成部13は、第2の演算データC_seq
(S)の各要素と、該各要素と同じ位置にあるショートプリアンブルモデルの要素とを乗算する。すなわち第1の演算データC_seq
(S)とショートプリアンブルモデルとのそれぞれにおけるi番目(iは1からNまでの整数)の要素同士を乗算(アダマール積)する。そして、N個の要素によって構成される周波数領域におけるプリアンブルD_seq
(S)を生成する。ショートプリアンブルモデルをSP_seqと表すと、プリアンブルD_seq
(S)は、下記(7)式で表される。なお、下記(7)式中の黒丸は、アダマール積を表す。
【0068】
上述のように、ショートプリアンブルモデルSP_seqは、値が0または1の複数の要素によって構成されている。そのため、プリアンブルD_seq
(S)において、第2の演算データC_seq
(S)の要素のうちショートプリアンブルモデルSP_seqの値が1と同じ位置にある要素が残る。そして、プリアンブルD_seq
(S)において、第2の演算データC_seq
(S)の要素のうちショートプリアンブルモデルSP_seqの値が0と同じ位置にある要素は0となる。ショートプリアンブルモデルSP_seqの値が0の要素は、例えば、ガードサブキャリアZ1、Z2とDCサブキャリアの全要素、およびデータサブキャリアD1、D2における値が0の要素である。ショートプリアンブルモデルSP_seqの値が1の要素は、データサブキャリアD1、D2において3つおきに並んだ値が1の要素である。プリアンブル生成部13は、生成したプリアンブルD_seq
(S)をプリアンブル決定部14に送る。
【0069】
プリアンブル決定部14は、周波数領域におけるプリアンブルD_seq
(S)のIFFTを行って、生成したプリアンブルを時間領域における形式のデータE_seq
(S)に変換する。IFFTを行って得られたデータE_seq
(S)は、下記(8)式のように表される。なお、下記(8)式中のF
(N)−1は、FFTサイズがNであるIFFT行列を表す。
【0071】
IFFTを行うと、プリアンブル決定部14は、IFFTを行って得られたデータE_seq
(S)のPAPRを算出する。プリアンブル決定部14は、算出したPAPRが予め定められた基準に合致する場合に、このプリアンブルD_seq
(S)を通信機2における送信信号のショートプリアンブルとして決定する。そして、決定したショートプリアンブルを、通信機2のIFFT部4に出力する。
【0072】
例えば、ロングプリアンブルの生成手順と同様、プリアンブル決定部14は、IFFT後のデータE_seq
(S)のPAPRが所定の閾値以下である場合に、このPAPRが予め定められた基準に合致すると判定する。この閾値は、送信側の通信機の増幅器の特性、伝送路などに応じて任意に定めることができる。
【0073】
プリアンブル決定部14は、PAPRに加え、周波数領域におけるプリアンブルD_seq
(S)のIFFTを行って得られたデータE_seq
(S)の自己相関特性を算出し、PAPRおよび自己相関特性が予め定められた基準に合致する場合に、このプリアンブルD_seq
(S)を送信信号のプリアンブルとして決定し、通信機2のIFFT部4に出力してもよい。
【0074】
また、IFFT後のデータE_seq
(S)のPAPRが予め定められた基準に合致しない場合には、ロングプリアンブルの生成手順と同様、第1演算部11は、環状シフト回数kを変えることにより、第1の演算データA_seq
(S)(k)を生成するときの虚部データ系列Im(A_seq
(S))の要素の並び順を変えて、第1演算部11、第2演算部12およびプリアンブル生成部13の処理を繰り返し実行する。そして、プリアンブル決定部14は、繰り返し処理によって生成された複数のプリアンブルのうちからPAPRが予め定められた基準に合致するプリアンブルを送信信号のプリアンブルとして決定する。
【0075】
図10は、実施の形態に係るプリアンブル生成装置が行うプリアンブル生成の動作の一例を示すフローチャートである。
【0076】
プリアンブル生成装置1におけるプリアンブル生成処理は、例えばユーザからの入力によってプリアンブル生成要求を受け付けることを契機として、あるいは通信機2において送信信号が生成される等のようなプリアンブルを生成すべき所定のタイミングが到来する毎に、開始する。
【0077】
プリアンブル生成処理が開始すると、モデル決定部15は、生成が要求されたプリアンブルに応じて、0または1の複数の要素によって構成されるプリアンブルモデルを決定する(ステップS110)。例えば、モデル決定部15は、ロングプリアンブルの生成が要求された場合には、0と1の要素が
図5に示されるようなパターンで並んで構成されたロングプリアンブルモデルをプリアンブルモデルとして決定する。ショートプリアンブルの生成が要求された場合には、0と1の要素が
図6に示されるようなパターンで並んで構成されたショートプリアンブルモデルをプリアンブルモデルとして決定する。
【0078】
プリアンブルモデルを決定すると、第1演算部11は、プリアンブルモデルの要素数に応じて決定された個数の要素を有するデータ系列の実部である実部データ系列と虚部である虚部データ系列との少なくともいずれか一方の要素を並び替えて、第1の演算データを生成する(ステップS120)。例えば、第1演算部11は、生成が要求されたプリアンブルがロングプリアンブルかショートプリアンブルかに応じて、プリアンブルモデルの要素数の半分または4分の1の個数の要素を有するデータ系列を用い、このデータ系列における実部データ系列と虚部データ系列とのいずれか一方を、予め定められた方向に予め定められた回数だけ環状シフトすることにより、第1の演算データを生成する。
【0079】
第1の演算データを生成すると、第2演算部12は、第1の演算データのFFTを行い、FFTを行って得られたデータの要素が所定の個数おきに並んで構成された、プリアンブルモデルの要素数と同じ個数の要素を有する第2の演算データを生成する(ステップS130)。例えば、第2演算部12は、生成が要求されたプリアンブルがロングプリアンブルかショートプリアンブルかに応じて、第1の演算データのFFTを行って得られたデータの要素が1つおきまたは3つおきに並んで構成されたデータを第2の演算データとして生成する。
【0080】
第2の演算データを生成すると、プリアンブル生成部13は、第2の演算データの各要素と、該各要素と同じ位置にあるプリアンブルモデルの要素と、を乗算して周波数領域におけるプリアンブルを生成する(ステップS140)。
【0081】
プリアンブルを生成すると、プリアンブル決定部14は、生成したプリアンブルのIFFTを行い、IFFTを行って得られたデータのPAPRを算出する(ステップS150)。そして、プリアンブル決定部14は、算出したPAPRが予め定められた基準に合致するか否かを判定する(ステップS160)。
【0082】
算出したPAPRが予め定められた基準に合致しない場合には(ステップS160;N)、第1演算部11は、環状シフト回数を変えることにより、第1の演算データを生成するときのデータ系列における要素の並び順を変更する(ステップS170)。プリアンブルの生成処理はステップS120に戻り、第1演算部11、第2演算部12およびプリアンブル生成部13の処理が繰り返し実行されて、並び順が変更されたデータ系列に基づいた新たなプリアンブルが生成される。そして、プリアンブル決定部14は、新たなプリアンブルが生成される毎にPAPRを算出し、算出したPAPRが予め定められた基準に合致するか否かを判定する。
【0083】
このような繰り返し処理の過程において算出したPAPRが予め定められた基準に合致する場合には(ステップS160;Y)、プリアンブル決定部14は、プリアンブル生成部13が生成したプリアンブルを送信信号のプリアンブルとして決定し(ステップS180)、通信機2のIFFT部4に出力する。
【0084】
なおプリアンブル決定部14は、ステップS140において、PAPRに加え、周波数領域におけるプリアンブルのIFFTを行って得られたデータの自己相関特性を算出し、ステップS150において、PAPRおよび該自己相関特性が予め定められた基準に合致するか否かを判定してもよい。
【0085】
以上説明したとおり、実施の形態に係るプリアンブル生成装置1によれば、任意のデータ系列に基づいて様々なプリアンブルを生成することができるため、PAPRが低い任意の長さのプリアンブルを生成することが可能となる。また後述するように、自己相関特性を有し、伝送路中の歪みの影響を受けにくいプリアンブル等、所望の特性を有するプリアンブルを生成することが可能となる。
【0086】
(具体例)
上述した実施の形態に係るプリアンブル生成装置1を用いて、プリアンブルを生成するシミュレーションを行った。以下、シミュレーションの結果について説明する。
【0087】
第1に、プリアンブルモデルとしてロングプリアンブルモデルを用い、ロングプリアンブルを生成するシミュレーションを行った。シミュレーションでは、実部データ系列と虚部データ系列がそれぞれCAZAC系列であるデータ系列を用い、虚部データ系列の要素を環状シフトして、系列長Nが2048のロングプリアンブルを生成した。
【0088】
図11は、実施の形態におけるロングプリアンブルの自己相関特性の例を示す図である。横軸は周波数(単位:サブキャリア間隔f0)を表し、縦軸は相関値の度合を示す正規化された電力を表す。
図11において、周波数が0の付近に相関値のピークが生じている。そのため、シミュレーションにより生成したロングプリアンブルと環状シフトを行っていない同じデータとの間の自己相関値が環状シフトを行ったデータとの間の自己相関値に比べて高い、すなわちシミュレーションにより生成したロングプリアンブルが高い自己相関特性を有することがわかる。なお、このロングプリアンブルのPAPRは約2.34dBであり、PAPRが比較的低いことがわかった。
【0089】
図12は、実施の形態における環状シフト回数とロングプリアンブルのPAPRの関係の例を示す図である。横軸は第1演算部11における環状シフト回数を表し、縦軸はPAPR(単位:dB)を表す。環状シフト回数は、0から1023まで、データ系列の系列長の半分に相当する1024通りの値をとる。環状シフト回数に応じてPAPRが変化するため、上述のように環状シフト回数kを変えて処理を繰り返すことでPAPRを低減できることがわかる。
【0090】
第2に、プリアンブルモデルとしてショートプリアンブルモデルを用い、他の条件を上述のロングプリアンブルを生成したシミュレーションと同じにして、ショートプリアンブルを生成するシミュレーションを行った。
【0091】
図13は、実施の形態におけるショートプリアンブルの自己相関特性の例を示す図である。図の見方は
図11と同様である。
図11と同様に、周波数が0の付近に相関値のピークが生じていることから、シミュレーションにより生成したショートプリアンブルが高い自己相関特性を有することがわかる。なお、このショートプリアンブルのPAPRは約2.23dBであり、PAPRが比較的低いことがわかった。
【0092】
図14は、実施の形態における環状シフト回数とショートプリアンブルのPAPRの関係の例を示す図である。図の見方は
図12と同様である。なお、環状シフト回数は、0から511まで、データ系列の系列長の4分の1に相当する512通りの値をとる。
図12と同様に、環状シフト回数に応じてPAPRが変化するため、上述のように環状シフト回数kを変えて処理を繰り返すことでPAPRを低減できることがわかる。
【0093】
上述のシミュレーションにより、実施の形態に係る発明においては、上述の演算を施すことで、PAPRが低く、高い自己相関特性を有するプリアンブルを生成できることがわかった。
【0094】
(変形例)
以上に本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態は上述の実施の形態に限られない。すなわち、本発明の実施の形態は種々の応用が可能であり、あらゆる実施の形態が本発明の範囲に含まれる。
【0095】
例えば、プリアンブル生成装置1の各部は、IFFTの代わりにIDFTを行うよう構成してもよいし、FFTの代わりにDFTを行うよう構成してもよい。
【0096】
上記実施の形態では、プリアンブル生成装置1は、要求に応じてロングプリアンブルとショートプリアンブルとのいずれも生成することができた。しかし、本発明におけるプリアンブル生成装置は、例えばプリアンブルがロングプリアンブルとショートプリアンブルとのうちのいずれか一方のみによって構成される場合等には、ロングプリアンブルとショートプリアンブルとのうちのいずれか一方のみを生成するものであってもよい。
【0097】
上記実施の形態では、第1の演算部11は、データ系列の要素の並び順を変更する処理として、データ系列のうちの虚部データ系列の要素を上から下へと並べたときの上方向に環状シフトする場合を説明した。しかし、本発明では、実部データ系列の要素を環状シフトするように構成してもよい。また、環状シフトの方向は、上記実施の形態とは逆方向(下方向)であってもよい。さらには、環状シフトに限らず、実部データ系列と虚部データ系列との少なくとも一方の要素を予め定められた規則に従って並び替えてもよいし、ランダムに並び替えてもよい。
【0098】
上記実施の形態では、プリアンブル生成装置1は、生成が要求されたプリアンブルとして、周波数領域におけるプリアンブルを通信機2のIFFT部4に出力した。そして、IFFT部4は一次変調信号のIFFTを行うと共にプリアンブル生成装置1から出力された周波数領域におけるプリアンブルのIFFTを行って、送信信号を生成した。しかし、本発明に係るプリアンブル生成装置は、生成が要求されたプリアンブルとして時間領域におけるプリアンブルを通信機2の送信部5に出力するように構成することもできる。この場合、送信部5は、IFFTされた一次変調信号とプリアンブル生成装置1から出力された時間領域のプリアンブルとを組み合わせて送信信号を生成する。例えば、上記実施の形態の周波数領域におけるプリアンブルD_seq
(L)またはD_seq
(S)にIFFTを行って得られたデータE_seq
(L)またはE_seq
(S)を、時間領域におけるプリアンブルとして用いることができる。
【0099】
なお、本発明におけるプリアンブル生成装置1は、プリアンブルを生成する毎にPAPRが予め定められた基準に合致するか否かの判定処理を実行することに限らず、複数個のプリアンブルを生成してから判定処理を行うように構成することもできる。例えば、第1演算部11がデータ系列を環状シフトすることにより第1の演算データを生成する場合には、環状シフトが一巡するまで第1演算部11、第2演算部12およびプリアンブル生成部13の処理を繰り返し実行して複数通りのプリアンブルを生成し、その後、プリアンブル決定部14が、生成した複数通りのプリアンブルのうちからPAPRが最小となるプリアンブルを、予め定められた基準に合致するプリアンブルとして決定してもよい。