(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態を説明する。
なお、添付図面は、部分的に拡大して示している場合があり、寸法,比率などは実際と異なる場合がある。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、ハッチングを省略している。
【0009】
図1に示すように、半導体装置10はロジック混載メモリであり、半導体基板11上には、ロジック部12,13、メモリ部14、入出力部15,16,17,18が形成されている。ロジック部12,13は例えばCPUや所定の処理を行う処理回路を含み、メモリ部14をアクセスする。また、ロジック部12,13は、入出力部15〜18を介して半導体装置10に接続された外部装置とアクセスする。メモリ部14は例えば不揮発性メモリであり、複数のメモリセルを含む。各メモリセルは、フローティングゲートとコントロールゲートとが積層されたスタック構造のゲート電極を有する。
【0010】
図2は、半導体装置10の一部断面を示す。なお、
図2の左側には、
図1に示すロジック部12,13とメモリ部14の周辺回路(デコーダ等)に含まれるトランジスタQ1を示し、
図2の右側には、
図1に示すメモリ部14に含まれるメモリセルMC(メモリセル部)を示す。なお、
図2は、トランジスタQ1について、NチャネルMOSトランジスタを例示する。
【0011】
まず、トランジスタQ1を説明する。
図2に示すように、半導体基板11の所定領域に素子分離領域22が形成されている。素子分離領域22は、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)である。半導体基板11は、素子分離領域22により半導体基板11のP型ウェル領域23に活性領域が区画される。活性領域にトランジスタQ1が形成されている。活性領域において、ウェル領域23には、エクステンション領域24、ポケット25、拡散領域26が形成されている。拡散領域26の表面には、シリサイド27が形成されている。シリサイド27は、例えばコバルトシリサイド(CoSi
2)である。P型ウェル領域23のチャネル上には、ゲート絶縁膜28が形成されている。ゲート絶縁膜28は、例えば酸化膜(ゲート酸化膜:GOX)である。そのゲート絶縁膜28の上にはゲート電極29が形成されている。ゲート電極29は例えばポリシリコンである。ゲート絶縁膜28及びゲート電極29の両側にはサイドウォール30,31が形成されている。1層目のサイドウォール30は例えばシリコン窒化膜(Si
3N
4)である。2層目のサイドウォール31は、シリコン酸化膜(SiO
2)である。
【0012】
次に、メモリセルMCを説明する。
図2に示すように、半導体基板11のP型ウェル領域41には拡散領域42が形成されている。P型ウェル領域41のチャネル上には、第1のゲート絶縁膜43が形成されている。第1のゲート絶縁膜43は、例えばトンネル酸化膜(TN−OX)である。第1のゲート絶縁膜43の上には、ゲート電極44が形成されている。ゲート電極44は、フローティングゲート45、第2のゲート絶縁膜46、コントロールゲート47を含む。第1のゲート絶縁膜43の上にフローティングゲート45が形成されている。フローティングゲート45は、例えば所定の濃度の導電不純物(例えば隣(P))を含有するアモルファスシリコン膜(ドープトアモルファスシリコン膜:DASi膜)である。フローティングゲート45の上には第2のゲート絶縁膜46が形成されている。第2のゲート絶縁膜46は、例えばONO膜(シリコン酸化膜、窒化膜、シリコン酸化膜)である。第2のゲート絶縁膜46の上にはコントロールゲート47が形成されている。コントロールゲート47は、例えばポリシリコン膜である。ゲート電極44の両側には、サイドウォール48,49が形成されている。1層目のサイドウォール48は例えばシリコン酸化膜(SiO
2)である。2層目のサイドウォール49は例えばシリコン窒化膜(Si
3N
4)である。
【0013】
次に、上記のトランジスタQ1のゲート電極29とメモリセルMCのゲート電極44の製造方法を説明する。
先ず、
図3(a)に示す構造を形成するまでの工程を説明する。
【0014】
半導体基板11の全面に、第1の絶縁膜101を形成する
。第1の絶縁膜101は例えば酸化膜であり、例えば熱酸化により形成される。第1の絶縁膜101の膜厚は例えば10nm(ナノメートル)である。次に、全面に第1の導電膜102を形成する。第1の導電膜102は例えばドープトアモルファスシリコン膜であり、例えば化学気相成長法(CVD法)により形成される。第1の導電膜102の膜厚は、例えば100nmである。次に、全面に第2の絶縁膜103を形成する。第2の絶縁膜103は例えばONO膜であり、その膜厚は例えば10〜30nmである。
【0015】
次に、全面にレジスト膜を形成し、そのレジスト膜をフォトリソグラフィ法にてパターニングする。レジストパターンをマスクとして例えばドライエッチングにて第2の絶縁膜103,第1の導電膜102を順にパターニングし、メモリセル部に絶縁膜103及び第1の導電膜102を選択的に残す。そして、例えばウェットエッチングにより、ロジック部の絶縁膜101を除去し、レジスト膜を例えばアッシングにより除去する。
【0016】
次に、半導体基板11を熱酸化し、ロジック部に絶縁膜104を形成する。絶縁膜104は例えばシリコン酸化膜であり、膜厚は数nm(例えば、1〜10nm)である。次に、半導体基板11の全面に第2の導電膜105を形成する。第2の導電膜105は例えばポリシリコン膜であり、例えばCVD法により形成される。第2の導電膜105の膜厚は、例えば100nmである。次いで、第2の導電膜105の上に、反射防止膜(ARC(Anti-Reflective Coating )膜)106を例えばスピンコート法により形成する。反射防止膜106の膜厚は、例えば30nmである。
【0017】
次に、
図3(b)に示すように、反射防止膜106を覆うフォトレジスト膜110を例えばスピンコート法により形成する。そして、フォトリソグラフィ法によりフォトレジスト膜110をパターニングし、
図3(c)に示すように、ロジック部のフォトレジスト膜110aとメモリセル部のフォトレジスト膜110bを形成する。フォトレジスト膜110aはメモリセル部及びロジック部のトランジスタのゲート電極形成領域を覆い、フォトレジスト膜110bはメモリセル部のゲート電極形成領域を覆う。なお、ロジック部と同様に、メモリセル部に含まれるトランジスタのゲート電極ゲート領域を覆うフォトレジスト膜が形成される。
【0018】
次いで、フォトレジスト膜110a,110bをマスクとして、例えば異方性エッチングにより、反射防止膜106、第2の導電膜105、絶縁膜104をパターニングする。このパターニングにより、
図3(d)に示すように、ロジック部のゲート電極29及びゲート絶縁膜28と、メモリセル部のコントロールゲート47を形成する。ゲート電極29の上面は反射防止膜106aにより覆われ、コントロールゲート47の上面は反射防止膜106bにより覆われている。次に、
図3(e)に示すように、半導体基板11の全面を覆うフォトレジスト膜111を例えばスピンコート法により形成する。
【0019】
次に、
図4(a)に示すように、例えばフォトリソグラフィ法によりフォトレジスト膜111をパターニングして開口部111aを形成し、メモリセル部を露出する。そして、反射防止膜106bをマスクとして、例えば異方性エッチングにより、第2の絶縁膜103、第1の導電膜102、絶縁膜101をエッチングする。これにより、
図4(b)に示すように、メモリセル部の第2のゲート絶縁膜46、フローティングゲート45、第1のゲート絶縁膜43を形成する。そして、
図4(a)に示すフォトレジスト膜111を例えばアッシングにより除去する。
【0020】
次に、
図4(c)に示すように、半導体基板11の全面に保護膜112を例えばCVD法により成膜する。この保護膜112は、例えばシリコン酸化膜(SiO
2)よりも耐酸化性が高い材料であることが好ましい。また、保護膜112の材料としては、例えばシリコン窒化膜(Si
3N
4)やシリコン酸化膜(SiO
2)よりもフッ酸(フッ化水素酸:HF)で除去(溶解)しやすい材料であることが好ましい。すなわち、保護膜112の材料としては、例えばシリコン窒化膜(Si
3N
4)やシリコン酸化膜(SiO
2)よりもフッ酸を含むエッチング液に対するエッチングレートが高い材料であることが好ましい。このような特性を実現するための保護膜112は、通常のシリコン窒化膜(Si
3N
4)よりもシリコンリッチ(Si−rich)なシリコン窒化膜を用いることができる。シリコン窒化膜(Si
3N
4)よりもシリコンリッチなシリコン窒化膜のことをシリコンリッチ窒化膜(SiRN:シリコンリッチナイトライド)とも称する。
【0021】
保護膜112(SiRN)は、例えばシラン(SiH
4)とアンモニア(NH
3)を成膜ガスとして得られ、シリコン(Si)と窒素(N)の組成比は、例えば50%:50%である。なお、シリコン窒化膜(Si
3N
4)におけるシリコンと窒素の組成比(理論値)は、43%:57%である。
【0022】
次に、
図4(d)に示すように、保護膜112を覆うフォトレジスト膜113を例えばスピンコート法により形成する。次いで、
図4(e)に示すように、例えばフォトリソグラフィ法によりフォトレジスト膜113をパターニングして開口部113aを形成し、メモリセル部を露出する。
【0023】
次に、
図5(a)に示すように、フォトレジスト膜
113(
図4(e)参照)をマスクとし、開口部
113aから露出する保護膜112を除去する。このとき、フッ酸(HF)を含むエッチング液を用いたウェットエッチングにより、露出する保護膜112を除去する。フッ酸を含むエッチング液による保護膜112のエッチングレートは、メモリセル部に形成されたゲート絶縁膜43,46のエッチングレートよりも高い。また、K値を操作することで、ウェットエッチングにおいて極めて高いエッチングレートを示す。K値は、光学定数の1つで、消衰係数と呼ばれる。
【0024】
例えば、
図11は、フッ酸を含むエッチング液(希フッ化水素酸水溶液(DHF))を用いたエッチング処置におけるシリコン窒化膜とシリコンリッチ窒化膜のエッチング特性を示す。
図11において、横軸は、エッチングにより除去されるシリコン窒化膜の膜厚、縦軸は、エッチングにより除去されるシリコンリッチ窒化膜の膜厚である。直線L1は、K値が「0.3」の保護膜におけるエッチングレートを示す。また、直線L2は、K値が「0.9」の保護膜におけるエッチングレートを示す。直線L3は、通常のシリコン窒化膜(Si
3N
4)におけるエッチングレートを示す。例えば、K=0.3のシリコンリッチ窒化膜のエッチングレートは、シリコン酸化膜(SiO
2)のエッチングレートの約30倍である。なお、K=0.9のシリコンリッチ窒化膜のエッチングレートは、シリコン酸化膜(SiO
2)のエッチングレートとほぼ等しい。また、K=0.3のシリコンリッチ窒化膜エッチングレートは、理論値のシリコン窒化膜(Si
3N
4)のエッチングレートの約480倍である。したがって、K値(消衰係数)が「0.9」より低い保護膜は、フッ酸を含むエッチング液によるウェットエッチングにおいて、トランジスタのゲート絶縁膜28に対するウェットエッチングの影響は少ない。
【0025】
次に、
図5(b)に示すように、半導体基板11の表面を熱酸化し、スクリーン酸化膜114を形成する。このとき、ロジック部の保護膜112の表面に酸化膜112aが形成される。保護膜112は、耐酸化性が例えばシリコン酸化膜よりも高い。したがって、熱酸化の処理雰囲気に半導体基板11を曝した場合、保護膜112により被覆されたゲート絶縁膜28等が酸化され難い。つまり、保護膜112は、選択酸化性のよい膜である。
【0026】
次に、
図5(c)に示すように、半導体基板11の全面にフォトレジスト膜115を例えばスピンコート法により形成する。次いで、
図5(d)に示すように、例えばフォトリソグラフィ法によりフォトレジスト膜115をパターニングして開口部115aを形成し、ロジック部を露出する。
【0027】
次に、
図5(e)に示すように、ロジック部の保護膜112を例えばウェットエッチングにより除去する。このとき、上記と同様に、フッ酸(HF)を含むエッチング液を用いてウェットエッチングを行う。したがって、ゲート絶縁膜28に対するウェットエッチングの影響を少なくして保護膜112を除去することができる。
【0028】
このように、ロジック部に含まれるトランジスタのゲート絶縁膜28とゲート電極29を形成する。また、メモリセル部に含まれるメモリセルのゲート絶縁膜43、フローティングゲート45、ゲート絶縁膜46、及びコントロールゲート47を形成する。
【0029】
次に、第1の比較例の製造方法を説明する。
なお、以下の説明において、上記の製造方法における部材と同じ部材については同じ符号を付す。また、同じ部材について、説明の一部または全てを省略することがある。
【0030】
図6(a)に示すように、ロジック部において、半導体基板11の上に、絶縁膜104、第2の導電膜105、反射防止膜106を形成する。また、メモリセル部において、半導体基板11の上に、第1の絶縁膜101、第1の導電膜102、第2の絶縁膜103、第2の導電膜105、反射防止膜106を形成する。次に、
図6(b)に示すように、反射防止膜106を覆うフォトレジスト膜110を例えばスピンコート法により形成する。そして、例えばフォトリソグラフィ法によりフォトレジスト膜110をパターニングし、
図6(c)に示すように、メモリセル部のゲート電極形成領域を覆うフォトレジスト膜110bを形成する。
【0031】
次いで、フォトレジスト膜110,110bをマスクとして、メモリセル部の反射防止膜106、第2の導電膜105、絶縁膜103、第1の導電膜102を順次エッチングし、
図6(d)に示すように、メモリセル部のゲート電極44を形成する。そして、
図6(c)に示すフォトレジスト膜110,110bを例えばアッシングにより除去する。次に、
図6(e)に示すように、半導体基板11を熱酸化し、ゲート電極44の側面にサイドウォール48を形成する。
【0032】
次に、
図7(a)に示すように、半導体基板11の全面にシリコン窒化膜120を形成する。そして、このシリコン窒化膜120を例えば異方性ドライエッチングによりエッチングし、
図7(b)に示すように、ゲート電極44の両側のサイドウォール49を形成する。次いで、
図7(c)に示すように、半導体基板11の全面にハードマスク121を形成する。このハードマスク121は、例えばシリコン酸化膜である。
【0033】
次に、
図7(d)に示すように、ハードマスク121を覆うフォトレジスト膜122を例えばスピンコート法により形成する。そして、例えばフォトリソグラフィ法によりフォトレジスト膜122をパターニングし、
図7(e)に示すように、ロジック部のトランジスタのゲート電極形成領域を覆うフォトレジスト膜122aを形成する。次いで、フォトレジスト膜122,122aをマスクとして、ロジック部のハードマスク121、第2の導電膜105を順次エッチングし、
図8(a)に示すように、ロジック部のゲート電極29を形成する。そして、
図7(e)に示すフォトレジスト膜122,122aを例えばアッシングにより除去する。次に、ロジック部の絶縁膜104とメモリセル部の絶縁膜101を例えば異方性エッチングによりエッチングし、
図8(b)に示すように、ロジック部のゲート絶縁膜28と、メモリセル部のゲート絶縁膜43を形成する。
【0034】
この第1の比較例の製造方法では、3回のゲート加工が行われる。これらの加工のための位置合せが極めて難しい。したがって、このような製造方法は、半導体装置の製造工程におけるマージンを少なくし、半導体装置の製造を困難にする。
【0035】
次に、第2の比較例の製造方法を説明する。
図9(a)に示すように、ロジック部において、半導体基板11の上に、絶縁膜104、第2の導電膜105、反射防止膜106を形成する。また、メモリセル部において、半導体基板11の上に、第1の絶縁膜101、第1の導電膜102、第2の絶縁膜103、第2の導電膜105、反射防止膜106を形成する。次に、反射防止膜106を覆うフォトレジスト膜を例えばスピンコート法により形成する。そして、例えばフォトリソグラフィ法によりフォトレジスト膜をパターニングし、メモリセル部のゲート電極形成領域を覆うフォトレジスト膜110bと、ロジック部のトランジスタのゲート電極形成領域を覆うフォトレジスト膜110aを形成する。次いで、フォトレジスト膜110a,110bをマスクとして、例えば異方性エッチングにより、反射防止膜106、第2の導電膜105をパターニングし、フォトレジスト膜110a,110bを除去する。このパターニングにより、
図9(b)に示すように、ロジック部のゲート電極29と、メモリセル部のコントロールゲート47を形成する。
【0036】
次に、
図9(c)に示すように、半導体基板11の全面を覆うフォトレジスト膜111を例えばスピンコート法により形成する。次に、
図9(d)に示すように、例えばフォトリソグラフィ法によりフォトレジスト膜111をパターニングして開口部111aを形成し、メモリセル部を露出する。そして、反射防止膜106bをマスクとして、例えば異方性エッチングにより、第2の絶縁膜103、第1の導電膜102、第1の絶縁膜101をエッチングする。これにより、
図9(e)に示すように、メモリセル部の第2のゲート絶縁膜46、フローティングゲート45、第1のゲート絶縁膜43を形成する。そして、
図9(d)に示すフォトレジスト膜111を例えばアッシングにより除去する。
【0037】
次に、
図10(a)に示すように、半導体基板11を熱酸化し、メモリセル部のゲート電極44の側面に酸化膜(サイドウォール48)を形成する。このとき、ロジック部のゲート電極29及びゲート絶縁膜28の側面にも酸化膜123が形成される。さらに、ロジック部の基板表面が酸化されて酸化膜124が形成される。また、上面にゲート絶縁膜28が形成されている基板11の部分が酸化され、ロジック部のゲート絶縁膜28の膜厚が増加する。次に、
図10(b)に示すように、半導体基板11の全面を覆うフォトレジスト膜225を例えばスピンコート法により形成する。
【0038】
次いで、
図10(c)に示すように、例えばフォトリソグラフィ法によりフォトレジスト膜
125をパターニングして開口部
125aを形成し、ロジック部を露出する。そして、フォトレジスト膜
125をマスクとしてロジック部の酸化膜124を例えばウェットエッチングにより除去する。このウェットエッチングにより、ゲート電極29の側面の酸化膜123が除去されるため、
図10(d)に示すように、ゲート電極29の幅(図に示す左右方向の長さであって、ゲート長)が設計値より短くなる。また、ウェットエッチングによりゲート絶縁膜28もエッチングされ、ゲート絶縁膜28の幅(図に示す左右方向の長さ)が短くなる。これらにより、トランジスタの特性が設計値からずれる、トランジスタの特性が変化する。
【0039】
この第2の比較例の製造方法は、ゲート加工の回数が第1の比較例と比べすくない。しかし、メモリセル部のゲート電極44に対する選択酸化(スクリーン酸化)のときにロジック部のゲート電極29も酸化されてしまうため、トランジスタQ1のゲート電極29及びゲート絶縁膜28の大きさが設計値からずれる。このため、設計どおりのトランジスタQ1の性能を得ることが難しい。また、選択酸化,ウェットエッチングによりゲート絶縁膜28の幅(ゲート長)が狭くなる。このため、細いゲート電極のトランジスタ(ゲート長が短いトランジスタ)を形成することが難しい。
【0040】
次に、ゲート形成以降の工程を説明する。なお、ここでは、P型トランジスタとN型トランジスタについて説明する。
先ず、
図12(a)に示すように、Nウェル201a上のゲート絶縁膜202a及びゲート電極203aと、Pウェル201b上のゲート絶縁膜202b及びゲート電極203bを形成する。ゲート電極203a,203bの上には反射防止膜204a,204bが積層されている。そして、半導体基板11を覆う絶縁膜205を例えばCVD法により成膜する。絶縁膜205は、例えばシリコン窒化膜(Si
3N
4)である。次に、絶縁膜205をドライエッチング(例えば反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)法)により垂直方向にエッチングする。
【0041】
これにより、
図12(b)に示すように、ゲート電極203a,203bの側面に1層目のサイドウォール206a,206bを形成する。次に、半導体基板11を覆うフォトレジスト膜207を例えばスピンコート法により形成する。そのフォトレジスト膜207を例えばフォトリソグラフィ法によりパターニングして開口部207aを形成し、N型トランジスタに対応する領域(以下、N型トランジスタ領域)を露出する。そして、開口部207aからN型不純物、例えばヒ素(As)を半導体基板11にイオン注入し、
図12(c)に示すエクステンション領域208bを形成する。そして、
図12(b)に示すフォトレジスト膜207を例えばアッシングにより除去する。
【0042】
次に、
図12(c)に示すように、半導体基板11を覆うフォトレジスト膜209を例えばスピンコート法により形成する。そのフォトレジスト膜209を例えばフォトリソグラフィ法によりパターニングして開口部209aを形成し、P型トランジスタに対応する領域(以下、P型トランジスタ領域)を露出する。そして、開口部209aからP型不純物、例えばホウ素(B)を半導体基板11にイオン注入し、
図12(d)に示すエクステンション領域208aを形成する。そして、
図12(c)に示すフォトレジスト膜209を例えばアッシングにより除去する。
【0043】
次いで、
図12(d)に示すように、半導体基板11を覆うフォトレジスト膜210を例えばスピンコート法により形成する。そのフォトレジスト膜210を例えばフォトリソグラフィ法によりパターニングして開口部210aを形成し、N型トランジスタ領域を露出する。そして、開口部210aからP型不純物をPウェル201b内にイオン注入する。これにより、
図13(a)に示すように、エクステンション領域208bの下にポケット領域211bを形成する。そして、
図12(d)に示すフォトレジスト膜210を例えばアッシングにより除去する。
【0044】
次に、
図13(a)に示すように、半導体基板11を覆うフォトレジスト膜212を例えばスピンコート法により形成する。そのフォトレジスト膜212を例えばフォトリソグラフィ法によりパターニングして開口部212aを形成し、P型トランジスタ領域を露出する。そして、開口部212aからN型不純物をNウェル201a内にイオン注入する。これにより、
図13(b)に示すように、エクステンション領域208aの下のポケット領域211aを形成する。そして、
図13(a)に示すフォトレジスト膜212を例えばアッシングにより除去する。
【0045】
次いで、
図13(b)に示すように、半導体基板11を覆う絶縁膜213を例えばCVD法により形成する。絶縁膜213は、例えばシリコン酸化膜(SiO
2)である。この絶縁膜213をドライエッチング(例えばRIE法)により垂直方向にエッチングする。これにより、
図13(c)に示すように、ゲート電極203a,203bの両側に2層目のサイドウォール214a,214bを形成する。このとき、
図13(b)に示す反射防止膜204a,204bも除去する。
【0046】
次に、
図13(d)に示すように、半導体基板11を覆うフォトレジスト膜215を例えばスピンコート法により形成する。そのフォトレジスト膜215を例えばフォトリソグラフィ法によりパターニングして開口部215aを形成し、P型トランジスタ領域を露出する。そして、開口部215aからP型不純物をNウェル201a内にイオン注入し、
図14(a)に示すP型拡散領域(ソース/ドレイン領域)216aを形成する。そして、
図13(d)に示すフォトレジスト膜215を例えばアッシングにより除去する。
【0047】
次に、
図14(a)に示すように、半導体基板11を覆うフォトレジスト膜217を例えばスピンコート法により形成する。そのフォトレジスト膜217を例えばフォトリソグラフィ法によりパターニングして開口部217aを形成し、N型トランジスタ領域を露出する。そして、開口部217aからN型不純物をPウェル201b内にイオン注入し、
図14(b)に示すN型拡散領域(ソース/ドレイン領域)216bを形成する。そして、
図14(a)に示すフォトレジスト膜217を例えばアッシングにより除去する。
【0048】
次いで、
図14(b)に示すように、半導体基板11を例えばランプアニール装置218により加熱し、拡散領域216aのP型不純物と拡散領域216bのN型不純物を活性化する。次に、
図14(c)に示すように、シリサイド層219a,219bを形成する。例えば、半導体基板11上に金属膜(例えばコバルト膜)を形成する。そして、半導体基板11を加熱することにより、シリコンと金属を合金化し、シリサイド層219a,219bを形成する。
【0049】
次いで、
図14(d)に示すように、カバー絶縁膜221、第1の層間絶縁膜222、第2の層間絶縁膜223を形成する。カバー絶縁膜221は例えばシリコン窒化膜(Si
3N
4)であり、例えばCVD法により形成される。第1の層間絶縁膜222は例えばシリコン酸化膜(SiO
2)であり、例えばCVD法により形成される。第2の層間絶縁膜223は例えばBPSG(Boron Phosphorous Silicate Glass)膜であり、例えばCVD法により形成される。
【0050】
次に、
図15(a)に示すように、第2の層間絶縁膜223を例えば化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法により研磨し、表面を平坦化する。次いで、
図15(b)に示すように、第2の層間絶縁膜223上に反射防止膜224を形成する。その反射防止膜224の上にフォトレジスト膜225を例えばスピンコート法により形成する。そして、例えばフォトリソグラフィ法によりフォトレジスト膜225に開口部225aを形成する。次に、フォトレジスト膜225の開口部225aから反射防止膜224、第2及び第1の層間絶縁膜223,222、カバー絶縁膜221を例えばドライエッチングにより順次エッチングし、
図15(c)に示すコンタクトホール226を形成する。そして、
図15(b)に示すフォトレジスト膜225を例えばアッシング法により除去する。
【0051】
次に、
図16(a)に示すように、コンタクトホール226内及び反射防止膜224上にバリア膜227を例えばスパッタ法により形成する。バリア膜227は、例えばチタン窒化膜(TiN)である。次いで、
図16(b)に示すように、コンタクトホール226内及びバリア膜227上にタングステン(W)膜228を例えばCVD法により形成する。次に、第2の層間絶縁膜223の上のタングステン膜228、バリア膜227及び反射防止膜224を例えばCMP法により除去する。これにより、
図16(c)に示すように、コンタクトホール226内に、バリア膜227とタングステン膜228によるコンタクトプラグ229が形成される。
【0052】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)半導体基板11の上において、ロジック部にはトランジスタのゲート絶縁膜28とゲート電極29が形成され、メモリセル部には第1のゲート絶縁膜43とゲート電極44が形成されている。半導体基板11のロジック部を覆う保護膜112が選択的に形成されている。保護膜112は、ロジック部のトランジスタのゲート絶縁膜28とゲート電極29を覆うように形成されている。そして、メモリセル部の第1のゲート絶縁膜43とゲート電極44は保護膜112から露出している。半導体基板11の表面を熱酸化することにより、メモリセル部にスクリーン酸化膜114が形成される。
【0053】
トランジスタのゲート絶縁膜28及びゲート電極29を覆う保護膜112は、例えばシリコン酸化膜(SiO
2)よりも耐酸化性が高い性質を有している。したがって、半導体基板11を熱処理するとき、保護膜112により覆われたゲート絶縁膜28とゲート電極29に対して酸化膜が形成されない。したがって、製造工程(熱処理)におけるゲート絶縁膜28とゲート電極29の形状の変化を抑制することができる。このため、トランジスタの特性変化を抑制することができる。また、ゲート絶縁膜28とゲート電極29の形状が変化しないため、ゲート絶縁膜28とゲート電極29のシュリンク(短ゲート長化)を行うことが可能となる。
【0054】
また、保護膜112は、ロジック部の表面を覆うように形成されている。従って、半導体基板11を熱処理するとき、基板11の表面に酸化膜が形成されない。このため、ゲート絶縁膜28の増膜を抑制することができ、トランジスタの特性変化を抑制することができる。
【0055】
(2)保護膜112は、例えばシリコン酸化膜(SiO
2)よりもフッ酸(フッ化水素酸:HF)で除去(溶解)しやすい性質を有している。したがって、保護膜112を除去する際に、トランジスタのゲート絶縁膜28に対するウェットエッチングの影響は少なく、ゲート絶縁膜28の形状変化を抑制することができる。これにより、トランジスタの特性変化を抑制することができる。
【0056】
(3)半導体基板11上に形成したフォトレジスト膜110をパターニングしてフォトレジスト膜110a,110bを形成する。それらのフォトレジスト膜110a,110bをマスクとして半導体基板11上に形成した絶縁膜104と導電膜105をエッチングし、トランジスタのゲート絶縁膜28及びゲート電極29と、メモリセルのコントロールゲート47を形成する。
【0057】
そして、ゲート絶縁膜28とゲート電極29をフォトレジスト膜111にて覆う。そして、半導体基板11上に形成した絶縁膜101,導電膜102及び絶縁膜103を、コントロールゲート47上の反射防止膜106bをマスクとしてエッチングし、メモリセルのフローティングゲート45と第1及び第2のゲート絶縁膜43,46を形成した。
【0058】
このように、トランジスタのゲート電極29とメモリセルのコントロールゲート47を同時に形成することで、これらを別々の工程で形成する場合と比べて工数を少なくすることができる。また、ゲート電極29とコントロールゲート47を同時に形成することにより、製造に用いるマスクの位置合せの回数を少なくすることができ、マスクの位置ずれ等の発生を抑制することができる。これにより、高い精度でゲート電極29とコントロールゲート47を形成することができる
。
尚、上記各実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
【0059】
・上記実施形態における反射防止膜106は、第2の導電膜105上に形成したシリコン窒化膜(Si
3N
4)を含むものとしてもよい。
・上記実施形態では、熱処理(熱酸化)によりスクリーン酸化膜114を形成したが、他の酸化法、例えばラジカル酸化法により、酸化膜を形成してもよい。