(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各実施形態を添付図面を参照して説明する。
なお、添付図面は、部分的に拡大して示している場合があり、寸法,比率などは実際と異なる場合がある。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部のハッチングを省略している。
【0010】
図1に示すように、半導体装置10はロジック混載メモリであり、半導体基板11上には、ロジック部12,13、メモリ部14、容量素子部15,16、入出力部17,18が形成されている。ロジック部12,13は例えばCPUや所定の処理を行う処理回路を含み、メモリ部14をアクセスする。また、ロジック部12,13は、入出力部17,18を介して半導体装置10に接続された外部装置とアクセスする。メモリ部14は例えば強誘電体メモリであり、複数のメモリセルを含む。各メモリセルは、情報を電荷として蓄積するキャパシタ(セルキャパシタ)を有している。このセルキャパシタの誘電体は強誘電体膜である。容量素子部15,16は、強誘電体膜を有するキャパシタ(以下、強誘電体キャパシタという)を含む。この強誘電体キャパシタは、例えばロジック部12,13、メモリ部14に対して供給する電源電圧の安定化(平滑化)のために設けられている。
【0011】
図3は、半導体装置10の一部断面を示す。なお、
図3の左側には、
図1に示すメモリ部14に含まれるメモリセルを示し、
図3の右側には、
図1に示す容量素子部15,16に含まれる容量セルを示す。
【0012】
先ず、メモリセルを説明する。
図3に示すように、半導体基板11の所定領域に素子分離膜21が形成されている。例えば、半導体基板11はシリコン基板であり、素子分離膜21はシリコン酸化膜である。素子分離膜21は、半導体基板11に活性領域を画定する。活性領域にトランジスタ30が形成されている。なお、
図3では、1つの活性領域内に2つのトランジスタ30が配置されている。トランジスタ30は例えばNチャネルMOSトランジスタである。トランジスタ30は、不純物領域31、ゲート絶縁膜32、ゲート電極33を含む。不純物領域31は例えば低濃度の不純物領域と高濃度の不純物領域を含む。
【0013】
不純物領域31とゲート電極33の上面にはシリサイド膜が形成されている。シリサイド膜は、例えばコバルト(Co)やチタン(Ti)を含む金属ケイ化物である。ゲート電極33の両側にはサイドウォール34が形成されている。ゲート電極33、サイドウォール34及び素子分離膜21は、絶縁膜(ストッパ層)41により覆われている。絶縁膜41は、例えば酸窒化シリコン膜(SiON)である。
【0014】
トランジスタ30及び素子分離膜21の上に層間絶縁膜42が形成されている。層間絶縁膜42の上面は平坦化されている。層間絶縁膜42は第1の絶縁膜の一例である。
層間絶縁膜42には、その上面から不純物領域31まで達するコンタクト43が形成されている。コンタクト43は、例えば、コンタクトホール内に形成されたバリア膜43aと、バリア膜43a内に埋め込まれた導電材43bを含む。バリア膜43aは、例えばチタン(Ti)、窒化チタン(TiN)である。導電材43bは例えばタングステン(W)である。なお、以下の説明において、コンタクト、ビアはコンタクト43と同様であるため、バリア膜及び導電材の符号及び説明を省略する。
【0015】
層間絶縁膜42上の所定領域にセルキャパシタ50が形成されている。
セルキャパシタ50は、下部電極51、強誘電体52、上部電極53を含み、層間絶縁膜42の上にこの順番で積層されている。なお、層間絶縁膜42上に保護膜を形成し、その保護膜上にセルキャパシタ50を形成してもよい。なお、図では示されていないが、下部電極51は強誘電体52の端部より外側(例えば、
図3の裏面側)に張り出すように形成されている。
【0016】
下部電極51の材料は、例えばプラチナ(Pt)である。下部電極51の膜厚は100nm〜200nmの範囲の値が好ましく、例えば150nmである。強誘電体52の材料は、ペロブスカイト構造を有する強誘電体材料であり、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)である。強誘電体52の膜厚は、50nm〜200nmの範囲の値が好ましく、例えば100nmである。なお、強誘電体52の材料として、PLCSZT(ランタン(La)、カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)を添加したPZT)を用いても良い。上部電極53の材料は、例えば酸化イリジウム(IrO
2)である。上部電極53の膜厚は、例えば250nmである。
【0017】
セルキャパシタ50と層間絶縁膜42の上面は保護膜71により覆われている。保護膜71は例えばアルミナであり、膜厚は例えば20nmである。
保護膜71の上には層間絶縁膜72が形成されている。層間絶縁膜72の上面は平坦化されている。層間絶縁膜72には、コンタクト73が形成されている。層間絶縁膜72は第2の絶縁膜の一例である。コンタクト73は、層間絶縁膜72の上面から下層のコンタクト43まで達するように形成されている。別のコンタクト73は、層間絶縁膜72の上面からセルキャパシタ50の上部電極53まで達するように形成されている。なお、図では省略しているが、層間絶縁膜72には、層間絶縁膜72の上面からセルキャパシタ50の下部電極51まで達するコンタクト73が形成されている。
【0018】
層間絶縁膜72の上には配線81が形成されている。配線81は、層間絶縁膜72の上面から順に積層されたバリア膜81a,配線膜81b,バリア膜81cを含む。バリア膜81a,81cは例えばチタン、窒化チタンであり、配線膜81bは例えばアルミニウム(Al)、アルミニウム合金である。なお、以下の説明において、各層に形成された配線は配線81と同様であるため、バリア膜等の符号及び説明を省略する。配線81及び層間絶縁膜72の上面は層間絶縁膜82により覆われている。層間絶縁膜82の上面は平坦化されている。層間絶縁膜82にはビア83が形成されている。ビア83は、層間絶縁膜82の上面から配線81まで達するように形成されている。
【0019】
層間絶縁膜82の上には、配線91と、配線91を覆う層間絶縁膜92が形成され、層間絶縁膜92の上面は平坦化されている。同様に、層間絶縁膜92の上には、配線93と、配線93を覆う層間絶縁膜94が形成され、層間絶縁膜94の上面は平坦化されている。さらに、層間絶縁膜94の上には、配線95と、配線85を覆う層間絶縁膜96が形成され、層間絶縁膜96の上面は平坦化されている。
【0020】
次に、容量セルを説明する。なお、上記の説明と同じ部材については同じ符号を付して説明する。
層間絶縁膜42上の所定領域であって、例えば素子分離膜21の上方には容量セル60が形成されている。
【0021】
容量セル60は、第1電極61、第2電極62、誘電体膜63を含む。第1電極61と第2電極62は層間絶縁膜42上に形成されている。第1電極61と第2電極62は、層間絶縁膜42の上面と平行な方向において互いに容量結合するように形成されている。第1電極61と第2電極62の形状は、例えば櫛歯形状である。第1電極61と第2電極62は、セルキャパシタ50の下部電極51と同じ厚さ(100nm〜200nmの範囲の値が好ましく、例えば150nm)、同じ材料(例えばプラチナ(Pt))である。下部電極51、第1電極61、第2電極62は、導電膜をパターニングして形成される。
【0022】
誘電体膜63は、第1電極61と第2電極62の間の容量結合部分を覆い、第1電極61と第2電極62の間に充填されている。誘電体膜63は、セルキャパシタ50の強誘電体52と同じ材料により形成されている。つまり、誘電体膜63の材料は、ペロブスカイト構造を有する強誘電体材料であり、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)である。なお、強誘電体52と同様に、誘電体膜63の材料として、PLCSZT(ランタン(La)、カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)を添加したPZT)を用いても良い。
【0023】
図4に示すように、第1電極61は、長方形状に形成された1つの電極基部101と、電極基部101から第1の方向(
図4において右方向)に沿って互いに平行に延びる複数の電極部102を有している。第2電極62は、長方形状に形成された1つの電極基部111と、電極基部111から第1電極61の電極部102と逆方向(
図4において右方向)に沿って互いに平行に延びる複数の電極部112を有している。
【0024】
第1電極61の電極部102と第2電極62の電極部112は、それぞれが形成された層間絶縁膜42の上面と平行な平面において、それぞれが沿って延びる方向(第1の方向)と直交する方向(第2の方向)において互いに重なるように配置されている。また、第1電極61の電極部102と第2電極62の電極部112は、第2の方向に沿って交互に配置されている。したがって、第1電極61と第2電極62は、電極基部101,111及び電極部102,112の側面が互いに対向した電極面として働く。
【0025】
図5に示すように、電極部102,112間の距離をd、電極部102,112の高さをhとする。容量セル60の容量値Cは、次の式により求められる。
C=ε0・εr・S/d
=ε0・εr・h・L/d ・・・(1)
但し、
S : 対向する側面の総面積
d : 電極部間の距離
h : 電極部の高さ
L : 対向電極長
ε0: 真空の誘電率
εr: 比誘電率
である。なお、対向電極長Lは、電極部102,112の長さと電極部102,112の数に応じた値である。
【0026】
第1電極61と第2電極62の形状は、容量セル60の電気的特性(容量値、耐圧、等)に応じて設定される。
なお、第1電極61と第2電極62は、セルキャパシタ50の下部電極51とともに、後述する導電体膜をパターニングして形成される。このため、例えば、第1電極61と第2電極62の高さhは、セルキャパシタ50の形状(下部電極51の厚さ)に応じて設定される。
【0027】
電極部102,112間の誘電体63aの膜厚は、電極部102,112間において、電極部102,112の高さより厚いことが好ましい。このように、電極部102,112間において、電極部102,112の上端まで誘電体63aが充填されていると、容量セル60の容量値Cは、誘電体膜63の誘電率と、第1電極61及び第2電極62の形状(電極部102,112間の距離d、電極部102,112の長さ)に応じた値となる。
【0028】
誘電体膜63は、例えばゾルゲル(SOL−GEL)法、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、物理気相成長(PVD:Physical Vapor Deposition)法(例えば、スパッタ法)により形成される。CVD法、スパッタ法を用いて誘電体膜63を形成する場合、上記のように電極部102,112の上端まで充填された誘電体63aを形成するためには、セルキャパシタ50の強誘電体52の膜厚に応じて電極部102,112間の距離dを設定するとよい。
【0029】
即ち、誘電体膜63は、セルキャパシタ50の強誘電体52とともに、後述する誘電体膜をパターニングして形成される。このため、電極部102,112の上における誘電体膜63の膜厚tは、セルキャパシタ50の特性(強誘電体52の膜厚)に応じて設定される。電極部102,112の側面には、強誘電体52の膜厚に対応する厚さの誘電体膜が形成される。このため、電極部102,112間の距離dを強誘電体52の膜厚tの2倍以下の値(d≦2t)に設定すると、電極部102,112間において、電極部102,112の上端まで充填された誘電体63aを形成することができる。この場合、距離dは、強誘電体52の膜厚(例えば50nm〜200nm)に応じて、100nm〜400nmの範囲に設定される。そして、このように設定した距離dに応じて、電極部102,112の長さを設定することにより、容量セル60の容量値Cを所望の値とすることができる。
【0030】
図3に示すように、容量セル60と層間絶縁膜42の上面は、保護膜71により覆われている。保護膜71の上には層間絶縁膜72が形成されている。層間絶縁膜72の上面は平坦化されている。層間絶縁膜72には、コンタクト74,75が形成されている。コンタクト74,75は、層間絶縁膜72の上面から第1電極61,第2電極62まで達するように形成されている。層間絶縁膜72の上には配線84,85が形成されている。配線84,85及び層間絶縁膜72の上面は層間絶縁膜82により覆われている。層間絶縁膜82の上面は平坦化されている。そして、層間絶縁膜82の上には、層間絶縁膜92,94,96が形成されている。
【0031】
図2(a)は、メモリセルMCの回路図を示す。メモリセルMCは、トランジスタ30とセルキャパシタ50を有している。トランジスタ30は例えばnチャネルMOSトランジスタである。トランジスタ30のゲート端子はワード線WLに接続され、トランジスタ30の第1端子(ソース端子又はドレイン端子)はビット線BLに接続され、トランジスタ30の第2端子(ドレイン端子又はソース端子)はセルキャパシタ50に接続されている。
【0032】
ワード線WLは、例えば
図3に示すゲート電極33である。ビット線BLは、例えば
図3に示す配線91である。なお、
図3において、トランジスタ30より上層(例えば配線81と同じ層)にワード線WLを形成し、そのワード線WLとゲート電極33をコンタクトにより互いに接続してもよい。同様に、
図3において、配線93又は配線95と同一層またはより上の配線層にビット線BLを形成し、そのビット線BLと配線91をコンタクトにより互いに接続してもよい。
【0033】
セルキャパシタ50は、上部電極53及び下部電極51と、上部電極53と下部電極51に挟まれた誘電体を含む。上部電極53はトランジスタ30の第2端子に接続され、下部電極51はプレート線PLに接続されている。尚、
図3では、プレート線PLを省略している。プレート線PLは例えば
図3に示す配線81又は配線91と同じ配線層に形成され、図示しないコンタクトを介して下部電極51と電気的に接続される。
【0034】
図2(b)は容量セル60の回路図を示す。容量セル60第1電極61、第2電極62、誘電体膜63(
図3参照)を含む。容量セル60の第1電極61が接続された配線84は、例えば低電位電圧を
図1に示すメモリ部14やロジック部12,13に供給する電源配線である。容量セル60の第2電極62が接続された配線85は、高電位電圧を
図1に示すメモリ部14やロジック部12,13に供給する電源配線である。
【0035】
次に、半導体装置10における作用を説明する。
図3に示すように、容量セル60は、層間絶縁膜42上に形成された第1電極61と第2電極62を含む。
図4に示すように、第1電極61と第2電極62は、電極基部101,111と、交互に配置された複数の電極部102,112を有している。そして、
図5に示すように、誘電体膜63は、交互に配置された電極部102,112の間に充填されている。電極部102,112の側面は、電極面として働く。
【0036】
したがって、容量セル60の耐圧は、誘電体膜63の膜厚、即ち電極部102,112間の距離dに対応する。この距離dは、
図3に示すセルキャパシタ50の強誘電体52の膜厚に対応しない。つまり、電極部102,112の距離d(
図5参照)と強誘電体52の膜厚を、容量セル60に要求される特性とセルキャパシタ50に要求される特性に応じて設定することが可能となる。
【0037】
これにより、強誘電体52の膜厚を適宜設定することにより、低電圧化に対応したメモリセルMCのセルキャパシタ50が得られる。そして、電極部102,112間の距離dを適宜設定することにより、高い耐圧とリーク電流の少ない容量セル60が得られる。このような容量セル60は、配線84,85の間に接続され、高電位電圧と低電位電圧を安定化する平滑キャパシタとして働く。
【0038】
また、1つ又は複数の容量セル60を一時的な蓄電素子として用いることもできる。例えば、航空機や医療器具等多数の部品あるいは部材管理が必要な分野においてRF−IDタグの導入による管理コスト低減が検討されている。また電車等の交通システムにおいて非接触で通信できる乗車カードの導入が進められている。これらの無線通信タグあるいは非接触カードは、小型化、軽量化、利便性、コスト低減の要求により電池ではなく外部から無線により電力の供給を受ける。
【0039】
無線で情報通信、電力供給を行なう事を目的とした半導体デバイスに含まれる容量素子においては、電流平滑に十分な容量が必要であるがチップ面積縮小のため占有面積をできるだけ抑える必要がある。つまり単位面積あたりの静電容量が大きい事が望ましい。この要求を満たす方法として容量素子に用いる誘電体をできるだけ高誘電率のものを用いる事が考えられる。例えば強誘電体の一つであるPZTの比誘電率は300程度であり、半導体装置における一般的な誘電体材料であるシリコン酸化膜(SiO
2、比誘電率:約3.9)と比較して非常に大きい。このため、容量素子として強誘電体キャパシタを用いた場合、面積縮小における効果が大きい。
【0040】
次に、セルキャパシタと容量セルの製造方法を説明する。なお、以下の説明において、上記した保護膜71(
図3参照)等は省略している。
図6(a)及び
図6(b)は、ここで説明するセルキャパシタと容量セルを示す説明図である。
図6(b)に示すように、この半導体装置において、1つの下部電極51と1つの強誘電体52に対して、その強誘電体52上に複数(図では3つ)の上部電極53a〜53cが配置されている。即ち、
図6(b)に示す例では、3つのセルキャパシタ50a〜50cが形成されている。
【0041】
図2(a)に示すように、下部電極51はプレート線PLに接続される。そして、図は省略したが、複数のメモリセルを含むメモリセルアレイにおいて、ワード線WLやビット線BLと同様に、プレート線PLには、複数のメモリセルMCのセルキャパシタが接続される。従って、セルキャパシタ50a〜50cにおいて、下部電極51を共通とすることにより、下部電極51に接続するコンタクト73や、セルキャパシタを分離するために必要な面積が、複数のセルキャパシタそれぞれに応じて下部電極を個々に形成する場合と比べ、セルキャパシタの占有面積が狭くなる。これにより、複数のメモリセルを含む半導体装置におけるチップ面積の縮小を図ることが可能となる。
【0042】
先ず、
図7(a),
図7(b)に示す構造を得るまでの工程について説明する。
図7(b)に示すように、層間絶縁膜42上に例えば物理気相成長(PVD:Physical Vapor Deposition)法によりプラチナ(Pt)を150nmの厚さに堆積させて、導電体膜201を形成する。次に、導電体膜201の上にフォトレジストを塗布し、これを露光、現像することにより、レジスト膜202を形成する。このレジスト膜202は、
図6(a)に示す第1電極61と第2電極62の間の間隙に応じた開口部202aを有する。そして、レジスト膜202をマスクとして、この開口部202aから露出した導電体膜201をエッチングして開口部201aを形成する。この開口部201aは、層間絶縁膜42の上面を露出する。
【0043】
次に、
図8(a),
図8(b)に示す構造を得るまでの工程について説明する。
上記のレジスト膜202を灰化処理(アッシング)等により除去する。続いて、上記の導電体膜201の上に、例えば化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法によりPZTを堆積させて誘電体膜203を形成する。誘電体膜203の膜厚は、
図6(b)に示すセルキャパシタ50a〜50cの特性に応じて設定される。
図8(b)に示すように、その後、酸素含有雰囲気中でRTA(Rapid Thermal Annealing)処理して誘電体膜203を結晶化する。なお、PZTはペロブスカイト構造を有する強誘電体材料の代表的なものであるが、誘電体膜203の材料は強誘電体特性を示すものであれば特に限定されない。次に、誘電体膜203の上に、例えばPVD法によりIrO
2(酸化イリジウム)を堆積させて、導電体膜204を形成する。
【0044】
次に、
図9(a),
図9(b)に示す構造を得るまでの工程について説明する。
上記の導電体膜204の上にフォトレジストを塗布し、これを露光、現像することにより、レジスト膜205を形成する。このレジスト膜205は、導電体膜204の上面のうち、
図6(a)に示す上部電極53a〜53cに応じた領域を覆う。そして、レジスト膜205から露出した導電体膜204をエッチングにより除去して上部電極53a〜53cを形成する。
【0045】
次に、
図10(a),
図10(b)に示す構造を得るまでの工程について説明する。
上記のレジスト膜205を灰化処理(アッシング)等により除去する。続いて、上部電極53a〜53c及び誘電体膜203の上にフォトレジストを塗布し、これを露光、現像することにより、レジスト膜206を形成する。このレジスト膜206は、誘電体膜203の上面のうち、
図6(a)に示す強誘電体52と誘電体膜63に応じた領域を覆う。そして、レジスト膜206から露出した誘電体膜203をエッチングにより除去して強誘電体52と誘電体膜63を形成する。
【0046】
次に、
図11(a),
図11(b)に示す構造を得るまでの工程について説明する。
上記のレジスト膜206を灰化処理(アッシング)等により除去する。続いて、強誘電体52、誘電体膜63、及び導電体膜201の上にフォトレジストを塗布し、これを露光、現像することにより、レジスト膜207を形成する。このレジスト膜207は、導電体膜201の上面のうち、
図6(a)に示す下部電極51と第1及び第2電極61,62に応じた領域を覆う。そして、レジスト膜207から露出した導電体膜201をエッチングにより除去して下部電極51と第1及び第2電極61,62を形成する。
【0047】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)容量セル60は、層間絶縁膜42の上に形成された第1電極61及び第2電極62と、第1電極61と第2電極62の間に介在する誘電体膜63を有している。セルキャパシタ50は積層された下部電極51と強誘電体52と上部電極53を有し、強誘電体52の膜厚はメモリセルの動作電圧の低電圧化に応じて設定される。このため、第1電極61と第2電極62の間の距離を設定することにより、誘電体膜63の膜厚に係わらずに容量値を設定することができる。このため、耐圧の高い容量セル60を形成することが可能となる。
【0048】
(2)容量セル60の第1電極61及び第2電極62は、セルキャパシタ50の下部電極51とともに、層間絶縁膜42の上に形成した導電体膜201をパターニングして形成される。従って、工程を増加させることなく、特性が互いに異なるセルキャパシタ50と容量セル60を容易に形成することができる。
【0049】
(3)容量セル60の第1電極61及び第2電極62は、電極基部101,111と、その電極基部101,111から第1の方向に沿って延びる電極部102,112を含み、櫛歯状に形成されている。そして、電極部102,112は第1の方向と直交する第2の方向に交互に配列されている。したがって、電極部102,112の形状(長さ、間隔)により、容量セル60の容量値Cを容易に設定することができる。
【0050】
尚、上記各実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態に対し、他の膜等を追加してもよい。
例えば、
図12に示すように、層間絶縁膜42の上には下地絶縁膜211が形成されている。下地絶縁膜211の膜厚は、10nm〜50nmである。下地絶縁膜211は、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)膜、アルミニウム窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン窒化酸化膜、チタン酸化膜等である。このような下地絶縁膜211は、層間絶縁膜42に対する誘電体膜63の全体または部分的な剥離を抑制する。また、下地絶縁膜211は、誘電体膜63と層間絶縁膜42の間の相互拡散を抑制し、相互拡散による膜の変質を抑制する。なお、下地絶縁膜211を、例えばアルミナの膜とチタン酸化膜のように、複数種類の膜を含むものとしてもよい。
【0051】
・上記実施形態に対し、電極部102,112間の距離d(
図5参照)を適宜設定してもよい。
例えば、距離dを強誘電体52の膜厚tの2倍より大きな値(d>2t)に設定する。このような設定の場合、ゾルゲル法単独、又はスパッタ法又はCVD法とゾルゲル法を組み合わせて誘電体膜を形成することで、電極部102,112の上端まで充填された誘電体63aを形成することができる。
【0052】
なお、所望の容量値の容量セル60が得られればよく、電極部102,112間においてそれらの上端まで誘電体63aが充填されていなくてもよい。
例えば、
図13(a)に示すように、電極部102,112間に保護膜71、層間絶縁膜72が介在するようにしてもよい。
【0053】
また、
図13(b)に示すように、電極部102,112間の誘電体63aにおいてボイド221が生じていてもよい。
・上記各形態は、セルキャパシタ50の下部電極51に対する接続を下部電極51の上方で行う、いわゆるプレーナ型の強誘電体メモリを含む半導体装置を例示した。これに対し、セルキャパシタ50の下部電極51に対する接続を下部電極51の下方で行う、いわゆるスタック型の強誘電体メモリを含む半導体装置に適用してもよい。
【0054】
例えば、
図14に示すように、下部電極51を、層間絶縁膜42に形成したコンタクト43によりトランジスタ30の不純物領域31に接続する。このようなスタック型の強誘電体メモリを含む半導体装置は、プレーナ型の強誘電体メモリを含む半導体装置と比べ、半導体装置の面積の縮小を図ることができる。
【0055】
・上記実施形態において、強誘電体52,誘電体膜63に、他の強誘電体材料、例えばタンタル酸ビスマスストロンチウム(SBT)、チタン酸ビスマス(BIT)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、BiFeO
3(BFO)等を用いてもよい。
【0056】
・上記実施形態において、下部電極51,第1及び第2電極61,62の材料を適宜変更してもよい。例えば、プラチナ(Pt),イリジウム(Ir),チタン(Ti),アルミニウム(Al),ルテニウム(Ru),ストロンチウム(Sr)等の金属元素を含む合金膜、あるいはこれらの金属の酸化物、窒化物を単独、あるいは組み合わせにより各電極を形成してもよい。同様に、上部電極53を、例えば、プラチナ(Pt),イリジウム(Ir),チタン(Ti),アルミニウム(Al),ルテニウム(Ru),ストロンチウム(Sr)等の金属元素を含む合金膜、あるいはこれらの金属の酸化物、窒化物を単独、あるいは組み合わせにより形成してもよい。