【実施例】
【0018】
(決済システム2の構成;
図1)
図1に示す決済システム2は、電子マネーを用いた決済を行うためのシステムである。決済システム2は、決済端末10と、中継装置20、30、40と、マネー管理装置50、60、70と、ソフトウェア管理装置80とを備える。
【0019】
(決済端末10)
決済端末10は、複数種類の電子マネー(
図1の電子マネーM1、M2、M3等)のうちの少なくとも1種類の電子マネーを用いた決済を行うための端末である。決済端末10は、例えば、商店の管理者によって商店内に設置される。
図1の例では、決済端末10は、電子マネーM1を用いた決済を行うための端末である。決済端末10は、エリアA1の範囲内に設置されている。また、
図1では、決済端末10のみを図示しているが、決済システム2は、決済端末10以外にも1以上の他の決済端末(図示しない)を有している。
【0020】
決済端末10は、制御部12とメモリ14を備える。制御部12は、メモリ14内のプログラムに従って様々な処理を実行する。制御部12が実行する処理の内容は後で詳しく説明する。メモリ14は、様々なプログラムを記憶している。また、メモリ14は、電子マネーM1を用いた決済を行うために必要な決済用ソフトウェアを記憶(即ち、インストール)するための領域も有している。また、メモリ14は、決済用ソフトウェアのバージョン(
図4のバージョンX1、Y1参照)を示すバージョン情報を記憶するための領域も有している。ここで、決済用ソフトウェアは、決済端末10が電子マネーM1を扱うために必要な電子マネー用ソフトウェアと、決済端末10が中継装置20との間で電子マネーM1を用いた決済に関する通信を実行するために必要な通信用ソフトウェアの2種類のソフトウェアを含む。そのため、決済用ソフトウェアのバージョンは、電子マネー用ソフトウェアのバージョンX1と、通信用ソフトウェアのバージョンY1とを含む。電子マネー用ソフトウェアのバージョンX1及び通信用ソフトウェアのバージョンY1は、「1.01」等の数字で表され、数字が大きいほど新しいバージョンであることを意味する。
【0021】
さらに、メモリ14は、電子マネーM1を用いて実行された決済に関する情報を記憶する領域も有している。また、メモリ14は、決済端末10の使用者が要求操作(後述)を行った際に入力された各種情報(ユーザID、使用する電子マネーの種類(M1)を示す種類情報、及び、決済端末10を利用するエリア(A1)を示すエリア情報)を記憶する領域も有している。
【0022】
また、
図1には示していないが、決済端末10は、電子マネーM1を利用可能なICカードやICチップ内蔵の携帯端末等(以下、「決済媒体」と呼ぶ)との間で近距離無線通信を行うための近距離無線通信インターフェイスも備えている。決済端末10の制御部12は、近距離無線通信インターフェイスを介して決済媒体と近距離無線通信を行うことにより、決済媒体との間で電子マネーM1を用いた決済に関する情報を通信する。
【0023】
また、
図1には示していないが、決済端末10は、利用エリアA1に設置されている中継装置20との間で通信(
図1の矢印100参照)を行うための通信インターフェイスも備えている。決済端末10の制御部12は、所定タイミング毎(例えば、1日のうちの所定時刻が到来する毎)に、中継装置20を介して、マネー管理装置50との間で、決済端末10で行われた電子マネーM1を用いた決済に関する通信を実行する。なお、決済端末10は、利用エリアA1外に設置されている中継装置30、40との間で通信を行うことはない。
【0024】
また、
図1には示していないが、決済端末10は、図示しないPOS(Point Of Sales)端末と通信可能に接続するための接続部も備えている。決済端末10は、接続部を介して、店内に据え付けられているPOS端末と通信可能に接続されて使用される。
【0025】
本実施例の決済システム2では、決済端末10が、決済媒体との間で電子マネーM1を用いた決済を行い、さらに、中継装置20を介してマネー管理装置50との間で電子マネーM1を用いた決済に関する通信を実行するためには、決済端末10のメモリ14に決済用ソフトウェア(電子マネー用ソフトウェア及び通信用ソフトウェア)が記憶されている必要がある。決済端末10に決済用ソフトウェアを提供するための処理については、後で詳しく説明する。
【0026】
(中継装置20、30、40)
中継装置20、30、40は、決済端末(
図1の決済端末10等)とマネー管理装置50、60、70の間の通信、及び、決済端末とソフトウェア管理装置80の間の通信を中継する装置である。中継装置20、30、40は、利用エリア(
図1のエリアA1、A2、A3等)毎に設置され、当該利用エリア内に設置される決済端末と通信可能に接続されている。中継装置20、30、40は、利用エリア毎の通信業者等によって設置される。
図1の例では、中継装置20、30、40は、それぞれ、利用エリアA1、A2、A3に設置されている。また、
図1では、中継装置20、30、40のみを図示しているが、他の例では、決済システム2は、中継装置20、30、40以外にも、他の1以上の中継装置(図示しない)を有していてもよい。中継装置20、30、40は、電子マネーの種類に関わらず、当該利用エリア内に設置される決済端末と通信可能である。例えば、中継装置20は、利用エリアA1内に設置される決済端末10と通信可能である。中継装置20、30、40は、同様の構成を有する。以下では、中継装置20の構成を説明する。
【0027】
図1に示すように、中継装置20は、制御部22を有する。制御部22は、メモリ(図示省略)内のプログラムに従って様々な処理を実行する。制御部22が実行する処理の内容は後で詳しく説明する。また、中継装置20は、利用エリアA1内の決済端末10と通信(
図1の矢印100参照)を行い、また、マネー管理装置50、60、70と通信(
図1の矢印300参照)を行うための通信インターフェイスを備えている。
【0028】
(マネー管理装置50、60、70)
マネー管理装置50、60、70は、電子マネーの種類(M1、M2、M3等)毎に、当該電子マネーを用いた決済に関する各種情報を管理する装置である。マネー管理装置50、60、70のそれぞれは、互いに同様の構成を有する。マネー管理装置50、60、70は、電子マネーの種類(M1、M2、M3等)毎に設置され、中継装置20、30、40のそれぞれと通信可能に接続されている。
図1の例では、マネー管理装置50、60、70は、それぞれ、電子マネーの種類M1、M2、M3に対応している。マネー管理装置50等は、各種電子マネーを提供する電子マネー提供者によって設置される。また、
図1の例では、マネー管理装置50、60、70のみを図示しているが、他の例では、決済システム2は、マネー管理装置50、60、70以外にも、他の1以上のマネー管理装置(図示しない)を有していてもよい。マネー管理装置50、60、70は、それぞれ、利用エリアに関わらず、中継装置20、30、40のそれぞれと通信可能である。即ち、例えば、マネー管理装置50は、決済端末10との間で、中継装置20を介して、決済端末10で行われる電子マネーM1を用いた決済に関する情報を送受信可能である。
【0029】
(ソフトウェア管理装置80)
ソフトウェア管理装置80は、電子マネーの種類毎に当該電子マネーを用いた決済を行うための決済用ソフトウェアを記憶し、要求に応じて決済用ソフトウェアを決済端末に提供する装置である。なお、ソフトウェア管理装置80は、マネー管理装置50等のように、決済端末との間で、決済に関する情報を送受信する機能は備えていない。ソフトウェア管理装置80は、各種電子マネーに対応する決済用ソフトウェアを提供するソフトウェア提供者によって設置される。ソフトウェア管理装置80は、中継装置20、30、40のそれぞれと通信可能に接続されている(
図2の矢印200参照)。本実施例では、ソフトウェア管理装置80は、マネー管理装置50等とは通信可能に接続されていない。
【0030】
ソフトウェア管理装置80は、制御部82とメモリ84を有する。制御部82は、メモリ84内のプログラムに従って様々な処理を実行する。制御部82が実行する処理の内容は、後で詳しく説明する。メモリ84は、様々なプログラムを記憶している。また、メモリ84は、電子マネーの種類毎に、当該電子マネーを用いた決済を行うための決済用ソフトウェアを記憶する。具体的には、メモリ84は、複数の電子マネーの種類のそれぞれについて、決済端末が当該電子マネーを扱うために必要な電子マネー用ソフトウェア86と、決済端末が当該決済端末の利用エリア内に設置された中継装置との間で当該電子マネーを用いた決済に関係する通信を実行するために必要な通信用ソフトウェア88とを記憶する。また、電子マネー用ソフトウェア86と通信用ソフトウェア88には、それぞれ、当該ソフトウェアのバージョンを示すバージョン情報が対応付けられている。ソフトウェア提供者は、各電子マネー用ソフトウェア及び各通信用ソフトウェアの最新バージョンが提供可能になるたびに、メモリ84内の各電子マネー用ソフトウェア及び各通信用ソフトウェアを最新バージョンのものに更新する。従って、メモリ84内には、常時、最新バージョンの電子マネー用ソフトウェア86と通信用ソフトウェア88が記憶されている。
【0031】
また、メモリ84は、決済端末10の使用者による電子マネーM1の使用申し込みに関係する申し込み情報を記憶する領域を有している。決済端末10の使用者は、電子マネーM1の提供者に対して申し込み情報を与えて電子マネーM1の使用申し込みを行う。申し込み情報は、決済端末10の使用者を識別するユーザIDと、使用する予定の電子マネーの種類(M1)を示す情報を示す種類情報を含む。決済端末10の使用者からの電子マネーM1の使用申し込みを受け付けた電子マネーM1の提供者は、ソフトウェア管理装置80にアクセスし、申し込み情報(ユーザID、種類情報(M1))をメモリ84に記憶させる。
【0032】
また、
図1には示していないが、ソフトウェア管理装置80は、中継装置20、30、40と通信を行うための通信インターフェイスも備えている。
【0033】
次いで、
図2〜
図4を参照して、決済端末10に決済用ソフトウェアをインストールするために、決済端末10の制御部12、中継装置20の制御部22、及び、ソフトウェア管理装置80の制御部82、のそれぞれが実行する処理の内容を説明する。以下では、決済端末10が電子マネーM1を使用するために必要な決済用ソフトウェアを決済端末10にインストールする場合を例として説明する。
【0034】
(決済端末10の制御部12が実行する処理;
図2)
図2を参照して、決済端末10に決済用ソフトウェアをインストールするために、決済端末10の制御部12が実行する処理の内容を説明する。決済端末10の使用者は、事前に、電子マネーM1の使用申し込みを電子マネーM1の提供者に対して行っておく。使用申し込みを受け付けた電子マネーM1の提供者は、ソフトウェア管理装置80にアクセスし、申し込み情報をメモリ84に記憶させておく。
【0035】
申し込みが済んだ状態で、決済端末10の電源がONされると、制御部12は、
図2の処理を開始する。S10では、制御部12は、決済用ソフトウェアの送信を要求するための所定の要求条件が満たされることを監視する。決済端末10の使用者は、決済端末10に接続されているPOS端末を操作して、決済用ソフトウェアの送信を要求する所定の要求操作を行うことができる。例えば、決済端末10を購入した直後や、新たな電子マネーの決済を可能にする場合等においては、メモリ14に電子マネーを用いた決済を行うための決済用ソフトウェアが記憶されていない。このような場合は、決済端末10の使用者は、POS端末を操作して、上記の要求操作を行う。要求操作は、決済端末10の使用者を識別するユーザID、決済端末10で使用する電子マネーの種類(例えば、M1等)を示す種類情報、及び、決済端末10の設置エリア(A1)を示すエリア情報を入力する操作を含む。POS端末において要求操作が行われると、制御部12は、接続部(図示しない)を介して要求操作が行われたことを検出する。要求操作が行われると、制御部12は、入力されたユーザID、種類情報(例えば、M1)、及び、エリア情報(A1)を、メモリ14に記憶させる。この場合、制御部12はS10でYESと判断し、S12に進む。
【0036】
また、過去に1度以上
図2の処理が行われている場合のように、S10の時点で、既に、決済端末10のメモリ14に、電子マネーM1のための決済用ソフトウェアが記憶されている場合もある。その場合は、制御部12は、予め定められた要求タイミング(例えば、1日のうちの所定時刻)が到来した場合に、S10でYESと判断し、S12に進む。即ち、上記の要求タイミングとは、既にメモリ14に記憶された決済用ソフトウェアのアップデートを行うタイミングを意味する。
【0037】
S12では、制御部12は、利用エリアA1に設置された中継装置20との間で通信を実行中であるか否かを判断する。例えば、決済端末10のメモリ14に、既に、電子マネーM1のための決済用ソフトウェアが記憶されている場合には、決済端末10の制御部12は、所定タイミング毎(例えば、1日のうちの所定時刻が到来する毎)に、中継装置20を介して、マネー管理装置50との間で、決済端末10で行われた決済に関する通信を実行する。通信が行われている間は、決済端末10と中継装置20の間の通信負荷は高い。このため、決済用ソフトウェアのインストール処理を開始する前に、決済端末10が中継装置20を介してマネー管理装置50と通信をしているか否かを判断する。決済端末10が中継装置20との間で通信を実行していない場合、制御部12は、S12でNOと判断し、S14に進む。一方、決済端末10が中継装置20との間で通信を実行している場合、制御部12は、S12でYESと判断し、S13に進む。S13では、制御部12は、所定時間(例えば、1分間)待機する。その後、制御部12は、S12に戻り、中継装置20との間で通信を実行中であるか否かを再び判断する。決済端末10と中継装置20の間の通信が終了していれば、制御部12は、S12でNOと判断し、S14に進む。
【0038】
S14では、制御部12は、ソフトウェア提供要求を中継装置20に送信する。ソフトウェア提供要求は、決済端末10の使用者のユーザID、使用する電子マネーの種類(M1)を示す種類情報、電子マネーM1のための決済用ソフトウェアのバージョン情報、及び、決済端末10の設置エリア(A1)を示すエリア情報を含む。ユーザID、種類情報(M1)、及び、エリア情報(A1)は、上記の要求操作が行われた際にメモリ14に記憶されている。S14の時点で、既にメモリ14に電子マネーM1のための決済用ソフトウェアが記憶されている場合には、バージョン情報は、メモリ14に記憶されている決済用ソフトウェアのバージョンを示す。ここで言う決済用ソフトウェアのバージョンは、電子マネー用ソフトウェアのバージョンX1(例えば「1.01」等)と、通信用ソフトウェアのバージョンY1(例えば「1.02」等)とを含む。一方、S14の時点で電子マネーM1を用いた決済を行うための決済用ソフトウェア(電子マネー用ソフトウェア及び通信用ソフトウェア)がメモリ14に記憶されていない場合には、ソフトウェア提供要求に含まれるバージョンX1及びY1は「0.00」を示す。
【0039】
次いで、S16では、制御部12は、中継装置20から、電子マネーM1のための決済用ソフトウェアを受信したか否かを判断する。所定の待機時間(例えば5分間)が経過する前に、中継装置20から決済用ソフトウェアを受信する場合、制御部12は、S16でYESと判断し、S18に進む。一方、中継装置20から決済用ソフトウェアを受信する前に所定の待機時間が経過する場合、制御部12は、S16でNOと判断し、
図2の処理を終了する。
【0040】
S18では、制御部12は、受信された決済用ソフトウェアをインストールする。即ち、制御部12は、受信された決済用ソフトウェアをメモリ14に記憶させる。受信された決済用ソフトウェアが、既にメモリ14に記憶されている決済用ソフトウェアの最新バージョンである場合、S18では、制御部12は、メモリ14に記憶されている決済用ソフトウェアを、当該最新バージョンの決済用ソフトウェアに更新する。S18を終えると、制御部12は、
図2の処理を終了する。
【0041】
メモリ14に決済用ソフトウェアがインストールされることにより、制御部12は、電子マネーM1を利用可能な決済媒体との間で近距離無線通信を行い、当該決済媒体との間で決済媒体との間で電子マネーM1を用いた決済に関する情報を通信することができるようになる。また、制御部12は、所定タイミング毎(例えば、1日のうちの所定時刻が到来する毎)に、中継装置20を介して、マネー管理装置50との間で、決済端末10で行われた決済に関する通信を実行することができるようになる。
【0042】
(中継装置20の制御部22が実行する処理;
図3)
図3を参照して、決済端末10に決済用ソフトウェアを提供するために、中継装置20の制御部22が実行する処理の内容を説明する。中継装置20が稼働している間、制御部22は、
図3のS30の監視を実行する。
【0043】
S30では、制御部22は、ソフトウェア提供要求を受信することを監視する。上記の通り、エリアA1内に存在する決済端末10がソフトウェア提供要求を中継装置20に対して送信すると(
図2のS14参照)、制御部22は、ソフトウェア提供要求を受信する。この場合、制御部22は、S30でYESと判断し、S32に進む。
【0044】
S32では、制御部22は、受信されたソフトウェア提供要求に含まれるユーザID、種類情報、及び、バージョン情報を、ソフトウェア管理装置80に送信する。この際、制御部22は、受信されたソフトウェア提供要求に含まれるエリア情報をソフトウェア管理装置80に送信しない。そのため、受信されたソフトウェア提供要求全体をソフトウェア管理装置80に送信する場合に比べて、通信負荷が多少少なく済む。
【0045】
次いで、S34では、制御部22は、ソフトウェア管理装置80から、決済用ソフトウェアを受信したか否かを判断する。所定の待機時間(例えば5分間)が経過する前に、ソフトウェア管理装置80から決済用ソフトウェアを受信する場合、制御部22は、S34でYESと判断し、S36に進む。一方、ソフトウェア管理装置80から決済用ソフトウェアを受信する前に所定の待機時間が経過する場合、制御部22は、S34でNOと判断し、
図3の処理を終了する。
【0046】
S36では、制御部22は、受信された決済用ソフトウェアを、決済端末10に送信する。S36を終えると、制御部22は、
図3の処理を終了する。
【0047】
(ソフトウェア管理装置80の制御部82が実行する処理;
図4)
図4を参照して、決済端末10に決済用ソフトウェアを提供するために、ソフトウェア管理装置80の制御部82が実行する処理の内容を説明する。ソフトウェア管理装置80が稼働している間、制御部82は、
図4のS50の監視を実行する。
【0048】
S50では、制御部82は、ユーザID、種類情報、及び、バージョン情報を受信することを監視する。上記の通り、中継装置20がユーザID、種類情報(M1)、及び、バージョン情報を送信すると(
図3のS32参照)、制御部82は、ユーザID、種類情報、及び、バージョン情報を受信する。この際、制御部82は、ユーザID、種類情報、及び、バージョン情報の送信元を示す情報(例えば、IPアドレス)に基づいて、ユーザID等の送信元が中継装置20であることも知ることができる。この場合、制御部82は、S50でYESと判断し、S52に進む。
【0049】
S52では、制御部82は、受信されたユーザID及び種類情報(M1)が登録済みであるか否かを判断する。具体的には、S52では、制御部82は、受信されたユーザID及び種類情報(M1)と一致する申し込み情報(即ち、ユーザID及び種類情報)が、メモリ84内に存在するか否かを判断する。受信されたユーザID及び種類情報(M1)と一致する申し込み情報がメモリ84内に記憶されている場合、制御部82は、S52でYESと判断し、S54に進む。一方、受信されたユーザID及び種類情報(M1)と一致する申し込み情報がメモリ84内に記憶されていない場合(即ち、S52の時点で申し込み情報が記憶されていない場合)、制御部82は、S52でNOと判断し、
図4の処理を終了する。この場合、制御部82は、決済用ソフトウェアを中継装置20に送信しない。
【0050】
S54では、制御部82は、受信された種類情報(M1)に基づいて、メモリ84内から、決済端末10が電子マネーM1を扱うために必要な電子マネー用ソフトウェアを特定する。
【0051】
次いで、S56では、制御部82は、受信されたバージョン情報に基づいて、決済端末10のメモリ14内に記憶されている電子マネー用ソフトウェアのバージョンX1を特定する。
【0052】
次いで、S58では、制御部82は、S54で特定された電子マネー用ソフトウェアのバージョンX2が、S56で特定されたバージョンX1より新しいか否かを判断する。バージョンX2がバージョンX1より新しい場合、制御部82は、S58でYESと判断し、S60に進む。また、S56で特定されたバージョンX1が「0.00」である場合も、制御部82は、S58でYESと判断し、S60に進む。これに対し、バージョンX2がバージョンX1と同じ場合(即ち、決済端末10のメモリ14内に最新バージョンの電子マネー用ソフトウェアが記憶されている場合)には、制御部82は、S58でNOと判断し、S60をスキップしてS62に進む。
【0053】
S60では、制御部82は、S54で特定された電子マネー用ソフトウェアを、配信リストに追加する。具体的には、S60では、制御部82は、S54で特定された電子マネー用ソフトウェアのプログラムデータを、メモリ84内に確保された特定の領域である配信リスト内に追加する。
【0054】
S62では、制御部82は、受信された種類情報(M1)と、種類情報等の送信元(中継装置20)とに基づいて、メモリ84内から、決済端末10が中継装置20と電子マネーM1を用いた決済に関する通信を行うために必要な通信用ソフトウェアを特定する。
【0055】
次いで、S64では、制御部82は、受信されたバージョン情報に基づいて、決済端末10のメモリ14内に記憶されている通信用ソフトウェアのバージョンY1を特定する。
【0056】
次いで、S66では、制御部82は、S62で特定された通信用ソフトウェアのバージョンY2が、S64で特定されたバージョンY1より新しいか否かを判断する。バージョンY2がバージョンY1より新しい場合、制御部82は、S66でYESと判断し、S68に進む。また、S64で特定されたバージョンY1が「0.00」である場合も、制御部82は、S66でYESと判断し、S68に進む。これに対し、バージョンY2がバージョンY1と同じ場合(即ち、決済端末10のメモリ14内に最新バージョンの通信用ソフトウェアが記憶されている場合)には、制御部82は、S66でNOと判断し、S68をスキップしてS70に進む。
【0057】
S68では、制御部82は、S62で特定された通信用ソフトウェアのプログラムデータを、メモリ84内に確保された配信リストに追加する。
【0058】
次いで、S70では、制御部82は、配信リスト内の決済用ソフトウェア(電子マネー用ソフトウェアと通信用ソフトウェアの少なくとも一方)を、中継装置20に送信する。なお、S70の時点で、配信リスト内にソフトウェアが全く存在しない場合(S58でNO、かつ、S66でNOの場合)には、制御部82は、S70では決済用ソフトウェアを中継装置20に送信しない。S70を終えると、制御部82は、
図4の処理を終了する。
【0059】
(具体例;
図5)
図5を参照して、決済端末10に、電子マネーM1を用いて決済を行うための決済用ソフトウェアを提供する場合における各装置の動作について説明する。
図5の例では、決済端末10の電源をONした時点では、決済端末10のメモリ14には、電子マネーM1を用いて決済を行うための決済用ソフトウェアは記憶されていない。
【0060】
決済端末10の使用者は、事前に、電子マネーM1の使用申し込みを電子マネーM1の提供者に対して行っておく。使用申し込みを受け付けた電子マネーM1の提供者は、ソフトウェア管理装置80にアクセスし、申し込み情報(ユーザID、種類情報(M1))をメモリ84に記憶させておく。決済端末10の使用者は、決済端末10に接続されているPOS端末(図示しない)を用いて、所定の要求操作を行う。要求操作は、決済端末10の使用者を識別するユーザID、決済端末10で使用する電子マネーの種類(M1)を示す種類情報、及び、決済端末10の設置エリア(A1)を示すエリア情報を入力する操作を含む。
【0061】
要求操作が行われると(
図2のS10でYES)、決済端末10は、エリアA1内に存在する中継装置20にソフトウェア提供要求を送信する(
図2のS14)。ソフトウェア提供要求は、ユーザID、種類情報(M1)、バージョン情報(0.00)、エリア情報(A1)を含む。この時点では、決済端末10のメモリ14には、決済用ソフトウェア(電子マネー用ソフトウェア及び通信用ソフトウェア)が記憶されていない。そのため、ソフトウェア提供要求に含まれるバージョン情報は、電子マネー用ソフトウェアのバージョンX1と、通信用ソフトウェアのバージョンY1のどちらも「0.00」を示す。決済端末10がソフトウェア提供要求を送信すると、中継装置20はソフトウェア提供要求を受信する(
図3のS30でYES)。
【0062】
中継装置20は、ソフトウェア提供要求を受信すると、受信されたソフトウェア提供要求に含まれるユーザID、種類情報、及び、バージョン情報を、ソフトウェア管理装置80に送信する(
図3のS32)。中継装置20は、エリア情報はソフトウェア管理装置80に送信しない。ソフトウェア管理装置80は、ユーザID、種類情報、及び、バージョン情報を受信する(
図4のS50でYES)。
【0063】
上記の通り、ソフトウェア管理装置80のメモリ84には、事前に、決済端末10の使用者のユーザIDと種類情報(M1)の組み合わせを示す申し込み情報が記憶されている(
図4のS52でYES)。そのため、ソフトウェア管理装置80は、受信された種類情報(M1)に基づいて、メモリ84内から、決済端末10が電子マネーM1を扱うために必要な電子マネー用ソフトウェアを特定する(
図4のS54)。
図5の例では、決済端末10のメモリ14には決済用ソフトウェアは記憶されていない。そのため、ソフトウェア管理装置80内の電子マネー用ソフトウェアのバージョンX2は、バージョン情報が示すバージョンX1(「0.00」)よりも新しい(
図4のS58でYES)。そのため、ソフトウェア管理装置80は、特定した電子マネー用ソフトウェアを配信リストに追加する(
図4のS60)。
【0064】
次いで、ソフトウェア管理装置80は、受信された種類情報(M1)と、当該種類情報の送信元(中継装置20)とに基づいて、メモリ84内から、決済端末10が中継装置20と電子マネーM1を用いた決済に関する通信を行うために必要な通信用ソフトウェアを特定する(
図4のS62)。ソフトウェア管理装置80内の通信用ソフトウェアのバージョンY2も、バージョン情報が示すバージョンY1(「0.00」)よりも新しい(
図4のS66でYES)。ソフトウェア管理装置80は、特定した通信用ソフトウェアを配信リストに追加する(
図4のS68)。
【0065】
ソフトウェア管理装置80は、配信リスト内の決済用ソフトウェア(電子マネー用ソフトウェア及び通信用ソフトウェア)を、中継装置20に送信する(
図4のS70)。中継装置20は、決済用ソフトウェアを受信する(
図3のS34でYES)。中継装置20は、決済用ソフトウェアを受信すると、受信した決済用ソフトウェアを決済端末10に送信する(
図3のS36)。決済端末10は、決済用ソフトウェアを受信する(
図2のS16でYES)。決済端末10は、決済用ソフトウェアを受信すると、受信した決済用ソフトウェアをインストールする(
図2のS18)。
【0066】
決済端末10に決済用ソフトウェアがインストールされると、決済端末10は、電子マネーM1を利用可能な決済媒体との間で近距離無線通信を行うことにより、決済媒体との間で電子マネーM1を用いた決済に関する情報を通信することができる。また、決済端末10は、所定タイミング毎に、(例えば、1日のうちの所定時刻が到来する毎)に、中継装置20を介して、マネー管理装置50との間で、決済端末10で行われた決済に関する通信を実行することができる。
【0067】
以上、本実施例の決済システム2について説明した。上記の通り、本実施例の決済システム2では、中継装置20は、決済端末10からソフトウェア提供要求を受信すると、ソフトウェア提供要求に含まれるユーザID、種類情報(M1)、及び、バージョン情報を、ソフトウェア管理装置80に送信する(
図3のS32)。ソフトウェア管理装置80は、中継装置20から種類情報を受信する場合に、送信元の中継装置20に、その種類情報に対応した決済用ソフトウェアを送信する(
図4のS70)。中継装置20は、決済用ソフトウェアを決済端末10に送信する(
図3のS36)。即ち、本実施例の決済システム2では、マネー管理装置50、60、70は、ソフトウェア提供要求及び決済用ソフトウェアの送受信を行う必要がない。マネー管理装置がソフトウェア提供要求及び決済用ソフトウェアの送受信を行う必要があった従来のシステムと比べて、マネー管理装置50、60、70の処理負荷が過大になることを抑制することができる。
【0068】
決済端末10が電子マネーM1のための決済用ソフトウェアは、決済端末10が電子マネーM1を扱うために必要な電子マネー用ソフトウェアと、決済端末10が中継装置20との間で電子マネーM1を用いた決済に関係する通信用ソフトウェアとを含む。ソフトウェア管理装置80は、電子マネー用ソフトウェアと通信用ソフトウェアとを中継装置20に送信する(
図4のS70)。そのため、本実施例の決済システム2では、決済端末10が電子マネーM1を用いて決済を行うために必要な2種類のソフトウェアを決済端末10に提供することができる。また、本実施例の決済システム2では、電子マネー用ソフトウェアと通信用ソフトウェアを個別にアップデートすることもできる。
【0069】
上記の通り、本実施例では、ソフトウェア管理装置80は、既に決済端末10に記憶されている電子マネー用ソフトウェアのバージョンX1よりも、ソフトウェア管理装置80のメモリ84に記憶されている電子マネー用ソフトウェアのバージョンX2が新しい場合に、メモリ84に記憶されている電子マネー用ソフトウェアを配信リストに追加する(
図4のS58でYES、S60)。同様に、ソフトウェア管理装置80は、既に決済端末10に記憶されている通信用ソフトウェアのバージョンY1よりも、ソフトウェア管理装置80のメモリ84に記憶されている通信用ソフトウェアのバージョンY2が新しい場合に、メモリ84に記憶されている通信用ソフトウェアを配信リストに追加する(S66でYES、S68)。ソフトウェア管理装置80は、配信リスト内の決済用ソフトウェアを中継装置20に送信する(S70)。即ち、本実施例では、決済端末10に、最新バージョン(バージョンX2、Y2)の決済用ソフトウェアを提供することができる。
【0070】
本実施例では、決済端末10は、中継装置20と通信を行っている間は、ソフトウェア提供要求を中継装置20に送信せず(
図2のS12でNO)、中継装置20と通信を行っていない場合に、ソフトウェア提供要求を中継装置20に送信する(S12でYES、S14)。そのため、本実施例の決済システム2では、決済端末10は、決済端末10と中継装置20との間の通信負荷が大きくなっている間を避けて、ソフトウェア提供要求を中継装置20に対して送信することができる。そのため、決済端末10と中継装置20との間の通信負荷が過度に大きくなることを抑制することができる。
【0071】
以上、本明細書で開示する技術の一実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を含んでもよい。
【0072】
(変形例1)上記の実施例では、決済端末10の制御部12が中継装置20に送信するソフトウェア提供要求は、ユーザID、種類情報、バージョン情報、及び、エリア情報を含む(
図4参照)。これに限られず、ソフトウェア提供要求は、ユーザID、種類情報、及び、バージョン情報のみを含み、エリア情報を含まなくてもよい。ソフトウェア提供要求がエリア情報を含まない場合であっても、中継装置20は、ソフトウェア提供要求を受信する場合、受信したソフトウェア提供要求が、中継装置20の利用エリア(A1)内に存在する決済端末から送信されたものであることを識別することができる。
【0073】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。