(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであることに留意すべきである。又、以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施形態は、構成部品の構造、配置などを下記のものに特定するものでない。この発明の実施形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0013】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る基板移載システム1は、
図1に示すように、垂直方向に延伸する基板搭載面210を有する基板プレート21と、基板プレート21において基板100の移載を行う移載装置10とを備える。基板プレート21の基板搭載面210には、
図2に示すように、基板100が搭載される基板搭載領域211と、基板搭載領域211の周囲の非搭載領域212が定義されている。
【0014】
図1に示した移載装置10は、基板100と接触する接触部151、及び接触部151の周囲に配置されたスペーサ150を有する。移載装置10の詳細は後述するが、移載時において基板100は、接触部151と接触部151に連結するアーム部152とを有する基板保持機構15によって保持される。スペーサ150は、アーム部152に取り付けられている。
【0015】
移載装置10に保持された基板100が基板搭載領域211上に配置された状態において、スペーサ150は非搭載領域212上に位置する。
図1に示した例では、基板搭載領域211の上方、下方及び基板搭載領域211間の非搭載領域212と対向して、スペーサ150が配置されている。具体的には、
図2に示すように、基板搭載領域211それぞれの上方に2個のスペーサ150が配置され、外側の基板搭載領域211の下方にそれぞれ1個のスペーサ150が配置され、基板搭載領域211同士間に1個のスペーサ150が配置されている。
【0016】
ただし、スペーサ150の配置場所は上記の位置に限られることがないのはもちろんである。例えば、
図3に示すように、すべての基板搭載領域211の下方にそれぞれスペーサ150を配置してもよい。スペーサ150の配置場所は、例えば実験によって基板100の裏面に傷が発生しないことを確認しながら決定することができる。
【0017】
移載装置10は、基板搭載面210の面法線方向を回転軸として基板100を回転させながら、基板プレート21上で基板100の移載を行う。このとき、接触部151が連結されたアーム部152を回転させることにより、基板100が回転する。具体的には、基板100を傾けた状態で基板プレート21の直上に接近させた後、基板100を基板プレート21上で所定の角度だけ回転させる。或いは、基板100を基板プレート21上で所定の角度だけ回転させた後、基板100を傾けた状態で基板プレート21から離す。
【0018】
図4に示すように、基板100の回転時にスペーサ150が非搭載領域212と接触することによって、基板100と基板搭載面210とは接触しない。つまり、基板100と基板搭載面210とが非接触の状態で、基板プレート21上での基板100の移載が行われる。
【0019】
回転時の基板100と基板搭載面210との間隔dは、例えば0.1mm程度に設定される。間隔dが狭すぎると、基板100が基板搭載面210や基板搭載面210に付着する膜と接触する場合がある。一方、間隔dが広すぎると、左辺固定ピンP1、右辺固定ピンP2、下辺固定ピンP3と基板100が接触する場合があり、また、基板100を移載する基板プレート21に隣接する他の基板プレート21と基板保持機構15が接触する場合がある。本発明者らの調査により、間隔dを0.1mm程度に設定することにより、基板プレート21上での基板100の移載が良好に行われることが見出された。
【0020】
スペーサ150の厚みは、移載装置10によって基板100を基板搭載領域211に最近接させた状態においても基板100と基板搭載面210間には間隔dが生じるように設定される。そして、スペーサ150を基板100の周囲で基板搭載面210に接触することによって、基板搭載面210上で基板100を回転させても、基板100と基板搭載面210は接触しない。
【0021】
上記のように、基板移載システム1によれば、基板100の移載時において基板プレート21の表面と接触して基板100の裏面に傷が発生することが抑制される。なお、基板100の移載時において、スペーサ150は必ずしも非搭載領域212に接触しなくてもよい。ただし、回転中の基板100と基板搭載領域211との間隔が安定するように、スペーサ150が非搭載領域212に接触した状態で基板100が回転することが好ましい。基板100と基板搭載領域211との間隔が安定した状態で基板100を回転させることによって、基板100の裏面と基板搭載面210との接触や基板100と固定ピンとの接触が、より確実に回避される。
【0022】
図1に示すように、基板搭載領域211それぞれの外周の左辺、右辺及び下辺に左辺固定ピンP1、右辺固定ピンP2及び下辺固定ピンP3がそれぞれ配置されている。以下において、左辺固定ピンP1、右辺固定ピンP2及び下辺固定ピンP3を総称して「固定ピン」という。
【0023】
固定ピンには、例えば
図5に示すような平型タイプのピン30を採用可能である。ピン30の軸部分32の先端が基板搭載面210に埋め込まれる。これにより生じるピン30の頭部31と基板搭載面210との隙間に露出する軸部分32によって、基板100が基板搭載面210で支持される。基板搭載面210上に露出する軸部分32の長さtは、基板搭載面210上で基板100が安定して支持されるように設定される。
【0024】
移載装置10は、基板100が固定ピンの突起部(例えば、頭部31)に接触しないように、基板100を回転させながら基板プレート21上で基板100の移載を行う。即ち、基板保持機構15の一部が固定ピンの突起部と基板プレート21との間に位置する状態で、基板100を回転させる。このため、
図4に示したアーム部152の厚さとスペーサ150の厚さの和が
図5の長さtよりも小さくなるように、スペーサ150の厚さが設定される。そして、アーム部152と固定ピンの頭部31とが接触しないよう設定された値に
図4の間隔dがなるように、スペーサ150の厚さが設定されている。
【0025】
基板移載システム1では、基板100の回転時にスペーサ150が回転する。このため、スペーサ150が非搭載領域212と接触した状態で回転しても基板搭載領域211には接触しない位置に、スペーサ150は配置される。更に、基板100の回転時に固定ピンと接触しないように、スペーサ150を配置する必要がある。また、スペーサ150の表面は基板搭載面210の全面に渡って同一平面レベルであることが好ましいため、スペーサ150の総面積が広ければよいということはない。このように、スペーサ150の配置位置や面積などには制限がある。
【0026】
一方、スペーサ150の数が少なすぎたり、配置場所が適切でなかったりすると、スペーサ150間やスペーサ150の外側で基板100の裏面と基板搭載面210が擦れ合う可能性がある。特に、基板プレート21がカーボン材などからなり、基板100の移載時に基板プレート21がたわむことが考えられる場合などには、基板搭載面210の4隅にスペーサ150を配置するだけでは不十分である。したがって、基板100が基板プレート21と接触せずにスムーズに回転するように、スペーサ150の配置場所に注意する。
【0027】
ところで、
図1に示した基板プレート21の基板搭載面210には、4つの矩形の基板搭載領域211が水平方向に配列して定義されている。1つの基板搭載領域211に1枚の基板100が搭載される。移載装置10は、複数の基板100を基板搭載面210に同時に搭載することが可能である。ここでは1つの基板搭載面210に複数の基板搭載領域211が定義されている例を示したが、1つの基板搭載面210に定義される基板搭載領域211が1つでもよい。また、基板プレート21の対向する主面にそれぞれ基板搭載面210が設定されていてもよいし、一方の主面にのみ基板搭載面210が設定されていてもよい。
【0028】
なお、基板搭載領域211間の間隔については、ピン30の頭部31の直径が最小値である。つまり、ピン30の頭部31の直径が小さいほど基板搭載領域211間の間隔を小さくできるが、基板100を安定して保持するために、ピン30の頭部31の直径は2〜5mm程度、例えば3.6mm程度であることが好ましい。基板搭載領域211間の間隔は狭いほど好ましく、最大値は例えば10mm程度である。
【0029】
また、基板搭載領域211それぞれに対する左辺固定ピンP1、右辺固定ピンP2及び下辺固定ピンP3の相対位置は、複数の基板搭載領域211において共通である。このため、基板プレート21に搭載された基板100にプロセス処理を施した場合に、固定ピンによる各基板100への影響を同一にできる。例えば成膜処理が行われた場合には、固定ピンの影になって成膜されない領域をすべての基板100で共通にできる。
【0030】
以下に、移載装置10の詳細について説明する。
図1に示すように、移載装置10は、基板移動機構11、基板回転機構13、及び基板保持機構15を有する。移載装置10によって、基板100の左辺、右辺及び下辺が左辺固定ピンP1、右辺固定ピンP2及び下辺固定ピンP3にそれぞれ支持されるように、複数の基板100が同時に基板搭載領域211に搭載される。
【0031】
基板保持機構15は、接触部151とアーム部152を有し、1枚の基板100に接触部151が1つずつ用意されている。基板100の主面に接触させた接触部151によって基板100が吸着され、接触部151は、それぞれの主面が同一平面レベルに配置された状態で複数の基板100を保持する。接触部151は、例えば真空吸着によって基板100を保持する。
【0032】
基板移動機構11は、基板100を基板搭載領域211に接近又は離間させる。
図1に示した基板移動機構11は、支柱部111と、支柱部111の延伸する垂直方向を回転軸として支柱部111を回転させる支柱回転部112と、その回転の半径方向に支柱部111から延伸する梁部113を有する。梁部113に基板保持機構15が取り付けられている。具体的には、基板保持機構15のアーム部152が梁部113に取り付けられており、アーム部152における接触部151の配置ピッチは基板搭載面210上の基板搭載領域211の配置ピッチに等しい。
【0033】
基板100を基板プレート21に搭載する場合について、移載装置10の動作を以下に説明する。
【0034】
先ず、基板保持機構15が処理対象の基板100を保持する。そして、支柱回転部112によって支柱部111を回転軸として梁部113が回転して、
図6に示したように、基板搭載面210の上方に基板100が移動される。このとき、基板100の主面が、基板搭載面210と対向する。より具体的には、主面が基板搭載面210と平行で且つ基板搭載面210の面法線方向から見て基板搭載領域211に対して斜めの姿勢で、基板100が配置される。
【0035】
その後、基板移動機構11は、
図7に示すように、所定の位置まで基板100を垂直方向に基板搭載面210に沿って下方に移動させる。このとき、基板100は基板搭載領域211に対して斜めの姿勢のままである。具体的には、
図8に示すように、斜めの姿勢の基板100の下辺と平行な直線と、基板搭載領域211の下辺と平行な直線とが、回転中心点Cにおいて角度θをなして交差するように基板100が保持される。
【0036】
基板回転機構13は、基板搭載面210と平行な状態を保って基板100を回転させる。具体的には、
図8に示したように基板搭載領域211に対して斜めに保持されていた複数の基板100を、基板搭載面210の面法線方向と平行で、且つ回転中心点Cを通過する直線を回転軸として角度θだけ同時に回転させる。即ち、1つの回転軸を中心にして、基板搭載面210に沿って複数の基板100を同時に回転させる。基板100の回転時には、スペーサ150が非搭載領域212と接触させる。これにより、基板100の裏面が基板搭載領域211と非接触の状態で基板100が回転する。
【0037】
基板100を所定の角度だけ回転させた結果、
図1に示すように、複数の基板100が基板搭載領域211に同時に搭載される。基板100の左辺、右辺及び下辺は、左辺固定ピンP1、右辺固定ピンP2及び下辺固定ピンP3にそれぞれ支持される。
【0038】
基板保持機構15が基板100を離した後、基板移動機構11を基板プレート21から退避させる。以上により、複数の基板100が基板プレート21に搭載される。
【0039】
なお、移載装置10によって、基板搭載領域211と基板100とが完全に重なる位置まで基板100を回転させてもよいし、或いは完全に重なる直前まで回転させてもよい。例えば角度θが3度である場合に、基板回転機構13が、基板100を3度回転させる。或いは、基板回転機構13が基板100を2.5度回転させた後に、基板保持機構15が基板100を離す。これにより、自重によって基板100が更に回転しながら基板搭載領域211と完全に重なる状態で基板搭載領域211に配置される。そして、基板100を離した後、基板回転機構13によって梁部113が更に0.5度回転する。
【0040】
上記のように基板100を回転させることにより、基板100がピン30の頭部31に接触することなく、基板プレート21に基板100を移載できる。このとき、基板100の移載に要する時間の増大を抑制するために基板100を回転させる角度は小さい方が好ましく、基板100の回転角は例えば上記のように2.5度乃至3度程度に設定される。
【0041】
上記で
図6、
図7を参照して説明したように、移載装置10は、水平方向から見て基板搭載領域211に対して斜めの姿勢の基板100を、垂直方向に基板搭載面210に沿って下方に移動させる。このため、左辺固定ピンP1と右辺固定ピンP2の基板搭載領域211の下辺からの垂直方向距離は互いに異なるように設定される。基板搭載面210の上方から見て反時計方向に基板100を回転させる場合は、
図8などに示したように、基板搭載領域211の下辺から左辺固定ピンP1までの垂直方向距離よりも、基板搭載領域211の下辺から右辺固定ピンP2までの垂直方向距離が短く設定される。
【0042】
移載装置10は、上記のように設定された左辺固定ピンP1と右辺固定ピンP2との間を通過するように、傾けた姿勢で基板100を移動させる。
【0043】
次に、基板プレート21に搭載された基板100を回収する場合について、移載装置10の動作を説明する。
【0044】
先ず、移載装置10が、基板保持機構15の接触部151を基板100の主面に接触させる。そして、接触部151によって基板100が吸着され、基板保持機構15が基板100を保持する。
【0045】
次いで、基板回転機構13が、1つの回転軸を中心にして基板搭載面210と平行に基板100を回転させる。これにより、基板100は、所定の角度をなすように基板搭載領域211に対して斜めに保持される(
図7参照。)。基板100を回転させる角度は、例えば3度程度である。このとき、スペーサ150を非搭載領域212と接触させることにより、基板100の裏面が基板搭載領域211と非接触の状態で基板100が回転する。
【0046】
そして、基板移動機構11は、所定の位置まで基板100を垂直方向に基板搭載面210に沿って上方に移動させる。このとき、基板100は基板搭載領域211に対して斜めの姿勢のままである。その結果、基板100は、移載装置10によって
図6に示した状態で保持される。
【0047】
その後、支柱回転部112によって支柱部111を回転軸として梁部113を回転させて、基板100を回収する。
【0048】
ところで、基板プレート21に搭載された基板100に成膜処理を施す場合には、基板プレート21の基板100周囲の領域にも膜が形成される。このため、成膜処理が繰り返されるに従って、
図9(a)、
図9(b)に示すように、基板プレート21の非搭載領域212に厚く膜が形成されていく。
【0049】
このように非搭載領域212に着膜があると、
図10に示す比較例のように非搭載領域212にスペーサ150が配置されない場合には、基板100が回転するときに基板100の裏面と非搭載領域212に形成された膜とが擦れ合う。その結果、基板100の裏面に
図11(a)及び
図11(b)に黒く示すように、回転方向に沿った擦り傷が発生する。
【0050】
これに対し、
図1に示した基板移載システム1では、スペーサ150が非搭載領域212と接触することによって、基板100の裏面と基板搭載面210に形成された膜とが接触することが防止される。このため、基板100の裏面と基板搭載面210に形成された膜とが擦れ合うことがなく、基板100の裏面に傷が発生することが抑制される。
【0051】
なお、成膜処理によって形成される膜は硬い材質であることが多い。このため、基板100の回転時に非搭載領域212に形成された膜と接触することによって磨耗しにくいように、スペーサ150の材質は非搭載領域212に形成された膜よりも硬いことが好ましい。例えば、スペーサ150にはステンレス鋼材(SUS)などが好適に採用される。
【0052】
また、非搭載領域212に形成された膜を放置したままだと、スペーサ150と基板搭載面210間の距離が広がってしまい、基板100と基板搭載面210との間隔dが所定値よりも広くなってしまう。このため、定期的に基板プレート21を洗浄する。
【0053】
基板移載システム1では、複数の基板プレート21を有するボートタイプのサンプルホルダを採用可能である。このボートタイプのサンプルホルダでは、
図12に示すように複数の基板プレート21が基板搭載面210の面法線方向に沿って、互いに離間し且つ平行に配置されている。基板移載システム1では、基板プレート21毎に複数の基板100を同時に搭載可能である。
【0054】
以上に説明したように、本発明の第1の実施形態に係る基板移載システム1では、基板100と接触する接触部151の周囲にスペーサ150が配置されている。そして、基板移載時に基板100と基板搭載面210とが非接触の状態であるように、スペーサ150が非搭載領域212と接触する。つまり、スペーサ150が基板搭載面210と移載装置10間に配置されることによって、基板搭載面210と接触部151との間には基板100の厚さ以上の隙間が発生する。このため、基板100を基板搭載面210上で回転させても、基板裏面の傷の発生を抑制できる。例えば、着膜による基板プレート21の厚み増加や基板搭載面210の粗面化に起因する移載時での基板100の裏面における傷の発生が抑制される。
【0055】
特に、基板100の両面を太陽電池セルに使用する場合には、基板100の表面に傷が発生していると変換効率が低下する。したがって、基板移載システム1は、太陽電池セルの製造に好適に使用される。
【0056】
また、基板移載システム1は、例えば
図13に示すインライン式製造装置300に使用可能である。
図13は、基板取込室301、処理室302、基板取出室303からなるインライン式製造装置である。処理室302において成膜処理などが行われる。
【0057】
図13に示したサンプルホルダ20は、複数の基板プレート21がそれぞれの底部を固定板22によって固定されて、基板搭載面210の面法線方向に沿って並列に並べられたボートタイプである。
図13では基板プレート21が5枚である例を示したが、基板プレート21の枚数は5枚に限られない。ボートタイプのサンプルホルダ20により、1回の成膜処理工程で処理できる基板100の枚数を増やすことができ、その結果、全体の処理時間を短縮することができる。
【0058】
インライン式製造装置300では、基板移載システム1によって基板100が搭載されたサンプルホルダ20が、基板取込室301に取り込まれる。そして、サンプルホルダ20が基板取込室301から処理室302に搬送され、処理室302において所定の処理が行われる。例えば処理室302において基板100に薄膜が形成された後、サンプルホルダ20は処理室302から基板取出室303に搬送される。その後、基板取出室303からサンプルホルダ20が取り出される。そして、基板移載システム1によって基板100がサンプルホルダ20から回収される。
【0059】
サンプルホルダ20は、図示を省略した搬送装置によってインライン式製造装置300の各室間を搬送される。例えば、基板取込室301と処理室302間、及び処理室302と基板取出室303間に開閉式のゲート(図示略)が配置され、これらのゲートを介してサンプルホルダ20が移動する。なお、インライン式製造装置が、基板取出室303を備えない、基板取込室301と処理室302からなる構造であってもよい。
【0060】
例えば
図13に示すインライン式製造装置300がプラズマ化学気相成長(CVD)成膜装置である場合には、サンプルホルダ20はアノード電極として使用される。処理室302内に原料ガスを導入後、サンプルホルダ20とカソード電極間に交流電力を供給して原料ガスをプラズマ状態にする。形成されたプラズマに基板100を曝すことにより、原料ガスに含まれる原料を主成分とする所望の薄膜が基板100の露出した表面に形成される。原料ガスを適宜選択することによって、シリコン半導体薄膜、シリコン窒化薄膜、シリコン酸化薄膜、シリコン酸窒化薄膜、カーボン薄膜などの所望の薄膜を基板100上に形成することができる。例えば、基板100が太陽電池セルである場合に、アンモニア(NH
3)ガスとシラン(SiH
4)ガスの混合ガスを用いて、基板100上に反射防止膜や絶縁膜として窒化シリコン(SiN)膜を形成できる。
【0061】
太陽電池反射防止膜の成膜処理などでは、処理対象の基板100の温度を予め決められた設定温度にした状態で、基板100に膜を形成する。このため、インライン式製造装置300で成膜処理する場合には、処理室302に搬入される前に、基板取込室301において基板100は予備加熱される。つまり、基板取込室301は予備加熱室を兼ねる。そして、設定温度に達した基板100が処理室302に搬入され、成膜処理が行われる。
【0062】
(第2の実施形態)
図14に、本発明の第2の実施形態に係る基板移載システム1の構成を示す。第2の実施形態に係る基板移載システム1では、移載装置10の基板保持機構15が基板100の主面と平行な方向だけでなく、基板100の主面の法線方向にも配置されていることが第1の実施形態と異なる点である。つまり、第1の実施形態で説明したアーム部152が、保持された基板100の主面の法線方向に沿って複数配列されている。したがって、上方から見て複数の基板100がマトリクス状に保持される。その他の構成については、第1の実施形態と同様である。
【0063】
各アーム部152は、連結アーム15Aによって相互に接続されている。なお、配列されるは3列に限られないのはもちろんである。
【0064】
第2の実施形態に係る基板移載システム1を用いることにより、複数の基板100を複数の基板プレート21に同時に搭載することができる。したがって、ボートタイプのサンプルホルダに同時に搭載する基板100の枚数を増加させることができる。同様に、複数の基板プレート21から複数の基板100を同時に回収することができる。これにより、サンプルホルダでの基板100の移載作業に要する時間を短縮できる。
【0065】
そして、各基板プレート21の非搭載領域212に対向してアーム部152にスペーサ150を配置することによって、移載時に基板100が回転しても、基板プレート21上に形成された膜との接触によって生じる基板裏面の傷の発生を抑制できる。他は、第1の実施形態と実質的に同様であり、重複した記載を省略する。
【0066】
なお、
図14に示したように複数の基板プレート21のそれぞれに基板100を同時に搭載するには、基板搭載面210が所定の場所に安定して位置していることが重要である。このため、基板プレート21間の距離やサンプルホルダ20の位置を所定の位置に高精度に固定する矯正装置などを使用することが好ましい。
【0067】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0068】
例えば、基板プレート21の基板搭載面210に4つの基板搭載領域211が定義されている例を示したが、1つの基板搭載面210に定義される基板搭載領域211の数は4つに限られない。また、複数の基板100を基板搭載面210上で反時計方向に回転させる例を示したが、時計方向に回転させてもよい。
【0069】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。