(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
カメラボディに対して着脱可能なレンズ鏡筒は一般的に、金属製の直進案内環と、直進案内環の外周面に回転可能に支持した金属製のカム環と、直進案内環の内側に光軸方向に移動可能として設けた複数のレンズ支持部材と、各レンズ支持部材に支持させたレンズ群と、を備えている。さらに各レンズ支持部材にはカムフォロアが外周側(レンズ鏡筒の径方向外側)に向けて突設してある。このカムフォロアは直進案内環に形成した光軸方向に延びる直線案内溝を外周側に貫通しており、カムフォロアの外周側端部はカム環に形成したカム溝に係合している。そのためカム環が回転すると、各カムフォロアが直進案内環の直線案内溝に沿って光軸方向に進退するので、各レンズ群によってズーミングやフォーカシングが行われる。
【0003】
さらにカム環の外周面には樹脂製(絶縁性)の回転操作環が設けてある。この回転操作環には貫通孔が形成してあり、この貫通孔に挿入した金属製の連結部材(ネジやピン等)によって回転操作環とカム環が一体化している。さらに回転操作環の外周面には、ゴム等の絶縁性材料によって成形した外装環が相対回転不能に被せてある。
そのため撮影者が外装環を回転操作環と一緒に回転操作すると、各レンズ群がズーミングやフォーカシングを行なう。
【0004】
レンズ鏡筒の内部には一般的にマイコン、電気抵抗、シャッタブロック等の電子部品、及び、これらの電子部品と電気的に接続する回路パターンが形成された制御基板が設けてあり、制御基板の回路パターンは様々な導電性部材を介して金属製の直進案内環及びカム環に接続している。
そのため外部からの静電気が回転操作環の貫通孔及び連結部材を通して直進案内環やカム環に伝わり、さらに直進案内環やカム環から制御基板に流れることがある。仮に静電気が制御基板に流れると、この静電気が制御基板の回路パターンに接続している上記電子部品(マイコン、電気抵抗、シャッタブロック)に流れるので、静電気によってこれらの電子部品が静電破壊又は静電気によって故障するおそれがある。
この問題を解決するための方策としては、例えば以下の二つのものを挙げることが可能である。
【0005】
一つの目の方策は、回転操作環の光軸方向寸法を大きくした上で上記貫通孔を回転操作環の光軸方向の両端間の中央部に形成し、さらに光軸方向寸法の大きい外装環を回転操作環に被せるというものである。
このようにすれば、外装環の外面における撮影者の手の接触位置から外装環の内面における上記貫通孔との対向部までの距離(外装環の表面上の距離)が長くなる。静電気には最も近い場所に位置する導体に流れようとする性質があるので、上記距離(外装環の表面上の距離)を長くすれば、外装環の外面に伝わった静電気が貫通孔に流れるおそれを低減できる。
【0006】
二つの目の方策は、制御基板に接地パターンを形成し、この接地パターンと直進案内環やカム環を互いに接地導通するものである。
このようにすれば、外装環から上記貫通孔を介して直進案内環やカム環に伝わった静電気は、制御基板の回路パターンよりも接地パターンに流れ易くなるので、静電気が回路パターンから上記電子部品に流れるおそれは小さくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし一つの方策では、回転操作環及び外装環を光軸方向に大型化しなければならないので、レンズ鏡筒が大型化してしまう。即ちレンズ鏡筒の設計の自由度が低下してしまう。
二つ目の方策では、上記接地構造(接地パターン)を採用しなければならないので、製造コストが高くなってしまう。
【0009】
本発明は、接地構造を採用せずかつ設計の自由度を低下させることなく、外部からの静電気によって内部の電子部品が静電破壊又は静電気によって故障するのを抑制可能な光学機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の光学機器は、電子部品を内蔵したケースの少なくとも一部又は該ケースに設けた外装部材の少なくとも一部を構成する絶縁性部材と、該絶縁性部材に対して上記ケースの内部側から対向しかつ上記電子部品と導通する導電性部材と、上記絶縁性部材に形成した、該絶縁性部材の外側空間と上記導電性部材側の空間とを連通する貫通孔と、上記貫通孔の軸線方向に見たときに該貫通孔の範囲内に少なくとも一部が位置する、上記導電性部材に接続した導電性の接続部材と、上記貫通孔の内面に密着する環状部を有する密着性絶縁材と、上記密着性絶縁材に貼着した、上記軸線方向に見たときに上記接続部材及び上記密着性絶縁材を覆う絶縁性シートと、を備えることを特徴としている。
【0011】
上記接続部材が、上記貫通孔に挿入した、上記絶縁性部材と上記導電性部材を連結するための導電性の連結部材であってもよい。
【0012】
上記密着性絶縁材が、硬化前は粘性流体からなり硬化後は接着力を発揮してもよい。
【0013】
上記貫通孔が、上記絶縁性部材の外面に形成した凹部と、該凹部の底面から上記導電性部材側に延びる、該凹部より小径の小径孔と、を有してもよい。
【0014】
上記接続部材が上記凹部及び上記小径孔の内部に位置し、上記密着性絶縁材を、上記凹部の上記接続部材が占有する空間を除いた部分全体に充填し、上記絶縁性シートを上記絶縁性部材の外面に被せてもよい。
また、上記接続部材が上記凹部及び上記小径孔の内部に位置し、上記密着性絶縁材を、上記貫通孔の軸線方向に見たときに上記接続部材全体を外周側から囲む環状をなすように上記凹部の上記底面に塗布してもよい。
【0015】
上記密着性絶縁材が接着剤であり、上記絶縁性シートが接着性を有してもよい。
さらに上記絶縁性シートが透光性であり、上記密着性絶縁材が光硬化性接着剤であってもよい。
【0016】
上記ケースが、撮影レンズを内蔵したレンズ鏡筒の筒状ケースであり、上記外装部材が、上記筒状ケースに回転可能に支持した、上記撮影レンズを光軸に沿って移動させるための回転操作環であり、上記回転操作環の少なくとも一部を上記絶縁性部材によって構成してもよい。
上記回転操作環の外周面に、上記絶縁性シートを覆う環状の弾性部材(64)を着脱可能に被せてもよい。
【0017】
上記ケースが、カメラボディの外形を構成するボディケースであり、上記ボディケースの少なくとも一部を上記絶縁性部材によって構成してもよい。
【0018】
上記ケースが、携帯端末の外形を構成する携帯端末ケースであり、上記携帯端末ケースの少なくとも一部を上記絶縁性部材によって構成してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の光学機器では、接地構造を採用せずかつ設計の自由度を低下させることなく、外部からの静電気によって内部の電子部品が静電破壊又は静電気によって故障するのを抑制可能な光学機器を得られる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。
図示するように本実施形態のカメラは、互いに着脱可能なカメラボディ10(光学機器)と交換式レンズ鏡筒43(光学機器)を具備している。
まずはカメラボディ10の詳しい構造について説明する。
【0022】
カメラボディ10は中空のボディケース11(ケース)を具備している。ボディケース11は、金属板12(導電性部材)と樹脂部材15(絶縁性部材)を重ねて構成した積層構造であり、その上面や前面には複数の操作ボタンが設けてあり、その背面には液晶ディスプレイが設けてある。ボディケース11の前面の中央部には円形の開口孔22が形成してあり、開口孔22には金属からなる略円環形状のボディ側マウント環23が嵌合固定してある。ボディ側マウント環23の前面の内周側部は外周側部に比べて前方に一段突出したボディ側マウント面24となっている。ボディ側マウント環23の開口縁部にはボディ側マウント面24より後方に一段下がった箇所に位置するボディ側バヨネット爪25が内周側に向けて一体的に突設してある。
【0023】
ボディ側マウント面24の下端近傍に形成した円形孔には前後方向に延びるロックピン26が設けてある。ロックピン26はボディ側マウント面24から前方に突出するロック位置と、全体が円形孔内に収納されるアンロック位置との間を前後方向にスライド自在であり、円形孔内に設けた付勢手段の前向きの付勢力によってロック位置側に移動付勢されている。さらにボディケース11の前面に形成した孔にはロック解除ボタン27が設けてある。ロック解除ボタン27はボディケース11の前面から前方に突出する非操作位置と、全体が該孔内に収納される操作位置との間を前後方向にスライド自在であり、該孔内に設けた付勢手段の前向きの付勢力によって非操作位置側に移動付勢されている。ロック解除ボタン27が非操作位置に位置するとき(ロック解除ボタン27を後方に押さないとき)ロックピン26はロック位置に位置し、ロック解除ボタン27が操作位置に位置するとき(ロック解除ボタン27を後方に押したとき)ロックピン26は上記付勢手段の付勢力に抗してアンロック位置まで移動する。
またボディケース11の前面(具体的には人工皮革20)には、カメラ(カメラボディ10)の機能(撮影モード、アスペクト比、デジタルフィルタ、フォーカスアシスト等)の一つを登録及び設定変更するための操作ダイヤル28が回転可能に取り付けてある。
【0024】
ボディケース11の内部空間には、カメラの光軸に対して直交する略円板形状をなす合成樹脂製の中間支持板29が設けてある。中間支持板29の周縁部はボディ側マウント環23の後面の周縁部に固定してあり、中間支持板29の中央部には矩形形状の中央矩形孔29aが形成してある。
ボディケース11の内部空間の後部には、中央矩形孔29aの直後に位置する撮像素子30が固定状態で設けてある。
さらにボディケース11の内部空間には制御基板(リジッド基板。図示略)が固定状態で設けてある。この制御基板は、ボディケース11内に設けたバッテリ(図示略)及び撮像素子30(光学素子)と導電部材(フレキシブルプリント基板等)によって接続している。さらに中間支持板29には上記制御基板と接続する複数の接点ピン31が設けてある。
【0025】
続いて金属板12と樹脂部材15からなるボディケース11の詳しい構造は以下の通りである。
ボディケース11の内周部の大部分は金属板12によって構成してある。
図2、
図3に示すように、金属板12の前部(カメラボディ10の前面に対応する部位)の二カ所には前方に向かって突出する円形凸部13、14が設けてあり、円形凸部13、14の中心部には断面円形の雌ネジ孔13a、14aが形成してある。
図2、
図3に示すように金属板12の外周面にはフレキシブルプリント基板33が貼着してある。さらにフレキシブルプリント基板33の二カ所には円形凸部13と円形凸部14が遊嵌する凸部逃げ孔34が形成してある。このフレキシブルプリント基板33の一端(又は、当該一端以外の別の箇所)は上記制御基板の回路パターンに接続しており、他端は操作ダイヤル28に接続している。
金属板12の外周側に位置する樹脂部材15は絶縁性の樹脂材によって構成したものである。
図2、
図3に示すように樹脂部材15の円形凸部13、14と対応する部位には貫通孔16と貫通孔17がそれぞれ穿設してある。貫通孔16は樹脂部材15の外周面に凹設した円形の凹部16aと、凹部16aの底面から樹脂部材15の内周面側(金属板12側)に延びる凹部16aより小径かつ断面円形の小径孔16bと、を有している。一方、貫通孔17は、樹脂部材15の外周面に凹設した円形の第一凹部17aと、第一凹部17aの底面に凹設した第一凹部17aより小径かつ断面円形の第二凹部17bと、第二凹部17bの底面から樹脂部材15の内周面側に延びる第二凹部17bより小径かつ断面円形の小径孔17cと、を有している。
【0026】
図2、
図3に示すように金属板12と樹脂部材15は、共に金属製(導電性)の固定用ネジ36(連結部材)(接続部材)と固定用ネジ37(連結部材)(接続部材)によって固定(連結)してある。固定用ネジ36は、その雄ネジ部36bを小径孔16bに挿入しながら雌ネジ孔13aに螺合してあり、頭部36aを凹部16aの底面に対して圧接している。固定用ネジ37は、その雄ネジ部37bを小径孔17cに挿入しながら雌ネジ孔14aに螺合してあり、頭部37aを第二凹部17bの底面に対して圧接している。
図2に示すように頭部36aの表面と凹部16aの表面の間には隙間が存在する。そして当該隙間(凹部16aの頭部36aが占有する空間を除いた部分)全体には、(後述する硬化前の状態において)粘性流体からなる光硬化性接着剤38(例えば、シリコン系材料、エポキシ系、ゴム系ものなど)が充填してある。即ち、光硬化性接着剤38は凹部16aの表面及び頭部36aの表面に密着している。凹部16aの底面と頭部36aの間の隙間は微少であり、しかも光硬化性接着剤38は粘性を有しているので、(後述する硬化前に)光硬化性接着剤38が凹部16aの底面と頭部36aの間の微少隙間から小径孔16b側に流れ込むことはない。
一方、第一凹部17aの表面には、
図3に示すように(後述する硬化前の状態において)粘性流体からなる光硬化性接着剤39が正面視環状をなす状態で密着状態で塗布してある。光硬化性接着剤39は粘性を有しているので、光硬化性接着剤39が第二凹部17b側に流れ込むおそれは小さい。さらに第二凹部17bの底面と頭部37aの間の隙間は微少でありしかも光硬化性接着剤39が粘性を有しているので、仮に(後述する硬化前に)光硬化性接着剤39が第二凹部17b側に流れ込んだとしても、光硬化性接着剤39が第二凹部17bの底面と頭部37aの間の微少隙間から小径孔17c側に流れ込むことはない。
さらに樹脂部材15の外周面の貫通孔16に対応する部位には正面形状が貫通孔16よりも大きくかつ可撓性を有するシート状の絶縁性テープ41(絶縁性シート)が貼着してある。紫外線を透過可能な(透光性を有する)絶縁性テープ41は略方形であり、その裏面(樹脂部材15側の面)には接着面が形成してある。
図2に示すように絶縁性テープ41は樹脂部材15の外周面(貫通孔16の周縁部)及び光硬化性接着剤38を覆うように樹脂部材15の外周面(及び光硬化性接着剤38)に貼着してある。絶縁性テープ41の裏面は接着面なので、絶縁性テープ41は樹脂部材15の外周面(貫通孔16の周縁部)及び光硬化性接着剤38に対して貼り付けることが可能である。
同様に、樹脂部材15の外周面の貫通孔17に対応する部位には正面形状が貫通孔17よりも大きくかつ可撓性を有するシート状の絶縁性テープ42(絶縁性シート)が貼着してある。絶縁性テープ42も紫外線を透過可能である(透光性を有する)。絶縁性テープ42は略方形であり、その裏面(樹脂部材15側の面)には接着面が形成してある。
図3に示すように絶縁性テープ42は樹脂部材15の外周面(貫通孔17の周縁部)及び光硬化性接着剤39を覆うように樹脂部材15の外周面(及び光硬化性接着剤39)に貼着してある。絶縁性テープ42の裏面は接着面なので、絶縁性テープ42は樹脂部材15の外周面(貫通孔17の周縁部)及び光硬化性接着剤39に対して貼り付けることが可能である。
そして絶縁性テープ41及び絶縁性テープ42を樹脂部材15の外周面に貼り付けた後にボディケース11の前面に紫外線を照射すると、紫外線が絶縁性テープ41及び絶縁性テープ42を透過して光硬化性接着剤38、39に照射される。すると光硬化性接着剤38、39が硬化して樹脂部材15と絶縁性テープ41、42に接着するので、光硬化性接着剤38、光硬化性接着剤39、絶縁性テープ41、及び絶縁性テープ42が樹脂部材15に対して固定される。但し、絶縁性テープ41の接着面及び光硬化性接着剤38の接着力はそれほど大きくはないので、ある程度の大きさの力によって絶縁性テープ41を樹脂部材15及び光硬化性接着剤38から剥がしかつ光硬化性接着剤38を樹脂部材15から剥がすことが可能である。同様に絶縁性テープ42の接着面及び光硬化性接着剤39の接着力はそれほど大きくはないので、ある程度の大きさの力によって絶縁性テープ42を樹脂部材15及び光硬化性接着剤39から剥がしかつ光硬化性接着剤39を樹脂部材15から剥がすことが可能である。
【0027】
樹脂部材15及び絶縁性テープ41、42の外周面には絶縁性の人工皮革20(外装部材)(絶縁性部材)が被せてある。人工皮革20はボディケース11の外周部の大部分を構成するものである。ただしボディケース11の左側部に形成されたグリップ部11aの表面には人工皮革20を設けていない。人工皮革20は樹脂部材15の外周面に対して接着又は両面テープ等により固定してある。
【0028】
続いて、以上構成のカメラボディ10に対して着脱可能な交換式レンズ鏡筒43の詳しい構造について説明する。
交換式レンズ鏡筒43は、共に(後述する第1レンズ群L1、第2レンズ群L2、第3レンズ群L3の)光軸を中心とする略円筒状の部材である前部固定環44(ケース)(筒状ケース)と後部固定環45(ケース)(筒状ケース)を具備している。交換式レンズ鏡筒43は、前部固定環44及び後部固定環45の内周側に固定状態で位置しかつ光軸と平行な直進案内溝(図示略)を複数有する金属製の直進案内環46を具備している。直進案内環46の後端部には光軸を中心とする環状部材であるマウント環47が固定してある。
第1レンズ群L1(光学素子)(撮影レンズ)を支持する1群支持部材48の外周面には複数(直進案内溝と同数)のカムフォロアが突設してあり、1群支持部材48の各カムフォロアが直進案内環46の内周側から各直進案内溝に相対移動可能に嵌合しており、各カムフォロアは直進案内環46の外周側に突出している。第2レンズ群L2(光学素子)(撮影レンズ)を支持する2群支持部材49は、1群支持部材48によって光軸方向にスライド自在に支持されている。第3レンズ群L3(光学素子)(撮影レンズ)を支持する3群支持部材50の外周面には複数(直進案内溝と同数)のカムフォロアが突設してあり、3群支持部材50の各カムフォロアが直進案内環46の内周側から各直進案内溝にスライド自在に嵌合しており、各カムフォロアは直進案内環46の外周側に突出している。
直進案内環46の外周面にはズーム抵抗板51が固定してあり、また交換式レンズ鏡筒43の内部にはモータ(図示略)が設けてあり、このモータは動力伝達機構(図示略)を介して2群支持部材49と接続している。さらに3群支持部材50にはシャッタユニットが固定してある。これらズーム抵抗板51、モータ、及びシャッタユニットはフレキシブルプリント基板FPBを介してカメラボディ10の内部に固定した制御基板CB1の回路パターン(制御回路)に接続している。さらにマウント環47には、複数の接点ピン(図示略)と接続する制御基板CB2が固定してあり、制御基板CB1の回路パターンと制御基板CB2はフレキシブルプリント基板(図示略)によって互いに接続している。
【0029】
直進案内環46の外周面には、金属製(導電性)のズームカム環52(導電性部材)(回転操作環)が回転可能かつ光軸方向に相対移動不能として取り付けてある。ズームカム環52も光軸を中心とする略円筒状の部材であり、ズームカム環52には上記直進案内溝と非平行であるカム溝53が複数(直進案内溝と同数)形成してある。1群支持部材48及び3群支持部材50の上記カムフォロアの先端部は、ズームカム環52のカム溝53に相対移動可能に嵌合している。さらにズームカム環52には、ズームカム環52を板厚方向に貫通する雌ネジ孔54(貫通孔)が形成してある。またズームカム環52の内周面にはズーム抵抗板51に対して摺接可能な導電性の金属ブラシ(図示略)が固定してある。
【0030】
ズームカム環52の外周面には、樹脂等の絶縁性材料によって構成したズーム操作環58(外装部材)(絶縁性部材)(回転操作環)が取り付けてある。ズーム操作環58の外周面の前後両端部を除く部分には光軸を中心とする環状凹部59が凹設してある。さらに環状凹部59の底面には、ズーム操作環58を厚み方向に貫通する断面円形の貫通孔60が形成してある。
ズーム操作環58はズームカム環52の外周面に対して、貫通孔60と雌ネジ孔54の中心軸が一致する態様で取り付けてある。さらにズーム操作環58をズームカム環52に対して被せた後に、貫通孔60を利用して金属製(導電性)の連結ネジ56(連結部材)(接続部材)を雌ネジ孔54に固定してある。連結ネジ56は、頭部56aと頭部56aより小径の雄ネジ部56bとを有しており、雄ネジ部56bが雌ネジ孔54に螺合し、貫通孔60内に位置する頭部56aがズームカム環52の外周面に圧接している。
図7に示すように頭部56aの表面と貫通孔60の表面の間には、前後方向(光軸方向と平行方向)の隙間及び(光軸を中心とする)周方向の隙間が存在する。しかしこれらの隙間は微少であるため、連結ネジ56の頭部56aがズーム操作環58の貫通孔60内に位置すると、頭部56aによってズームカム環52とズーム操作環58の前後方向(光軸方向と平行方向)及び周方向の相対回転は規制される。即ち、実質的に連結ネジ56はズームカム環52とズーム操作環58を連結しており、ズーム操作環58が光軸回りに回転するとズームカム環52とズーム操作環58は一緒に回転することになる。
【0031】
図7に示すようにズーム操作環58の貫通孔60と連結ネジ56の頭部56aの間の隙間(貫通孔60の頭部56aが占有する空間を除いた部分)全体には、(後述する硬化前においては)粘性流体からなる光硬化性接着剤61が充填してある。即ち、光硬化性接着剤61は貫通孔60の表面、頭部56aの表面、及びズームカム環52の外周面に密着している。ズームカム環52の外周面と頭部56aの間の隙間は微少であり、しかも光硬化性接着剤61は粘性を有しているので、(後述する硬化前に)光硬化性接着剤61がズームカム環52の外周面と頭部56aの間の微少隙間から雌ネジ孔54側に流れ込むことはない。
さらに環状凹部59の底面の貫通孔60に対応する部位には貫通孔60よりも大きくかつ可撓性を有するシート状の絶縁性テープ62(絶縁性シート)が貼着してある。紫外線を透過可能な(透光性を有する)絶縁性テープ62は略方形であり、その裏面(ズーム操作環58側の面)には接着面が形成してある。
図5に示すように絶縁性テープ62は環状凹部59の底面(貫通孔60の周縁部)及び光硬化性接着剤61を覆うように環状凹部59の底面(及び光硬化性接着剤61)に貼着してある。絶縁性テープ62の裏面は接着面なので、絶縁性テープ62は環状凹部59の底面(貫通孔60の周縁部)及び光硬化性接着剤61に対して貼り付けることが可能である。そして絶縁性テープ62を環状凹部59の底面に貼り付けた後にズーム操作環58の外周面に紫外線を照射すると、紫外線が絶縁性テープ62を透過して光硬化性接着剤61に照射される。すると光硬化性接着剤61が硬化してズームカム環52、ズーム操作環58、及び絶縁性テープ62に接着するので、光硬化性接着剤61及び絶縁性テープ62がズーム操作環58に対して固定される。但し、絶縁性テープ62の接着面及び光硬化性接着剤61の接着力はそれほど大きくはないので、ある程度の大きさの力によって絶縁性テープ62をズーム操作環58及び光硬化性接着剤61から剥がしかつ光硬化性接着剤61をズーム操作環58から剥がすことが可能である。
【0032】
ズーム操作環58の環状凹部59(の底面)及び絶縁性テープ62にはゴム環64(弾性部材)が着脱可能に装着してある。自由状態にあるときのゴム環64の内径は環状凹部59の底面の径より小さい。そのためゴム環64を拡径方向に弾性変形させながら環状凹部59(の底面)に被せると、ゴム環64が縮径方向に弾性変形しながら環状凹部59の底面に密着するので、ゴム環64と環状凹部59(ズーム操作環58)及び絶縁性テープ62は事実上相対回転不能となる。
【0033】
続いてカメラボディ10と交換式レンズ鏡筒43の動作について説明する。
カメラボディ10と交換式レンズ鏡筒43を動作させるためには、まずカメラボディ10と交換式レンズ鏡筒43を接続してカメラを構成する。具体的には、交換式レンズ鏡筒43のマウント環47の後端部をボディ側マウント環23の内側を通してカメラボディ10の内部に挿入し、マウント環47の後端部に設けたレンズ側バヨネット爪(図示略)とボディ側バヨネット爪25を互いに係合させ、かつマウント環47の一部を前方からボディ側マウント面24に対して接触させる。するとロックピン26がマウント環47の後部に設けたロック孔(図示略)に嵌合するのでカメラボディ10と交換式レンズ鏡筒43が着脱不能になる。なおカメラボディ10と交換式レンズ鏡筒43を接続した後にロック解除ボタン27を操作位置へ押し込むと、ロックピン26が上記付勢手段の付勢力に抗してアンロック位置まで移動して上記ロック孔から脱出するので、カメラボディ10と交換式レンズ鏡筒43を互いに分離可能になる。
【0034】
カメラボディ10と交換式レンズ鏡筒43が接続すると、カメラボディ10の接点ピン31と交換式レンズ鏡筒43の上記接点ピンが互いに接触する。そのためボディケース11に設けたメインスイッチをON操作すると上記バッテリの電力が一部の接点ピン31から対応する交換式レンズ鏡筒43の上記接点ピンに供給され、さらに当該接点ピンから制御基板CB2を介して制御基板CB1に供給される。さらにカメラボディ10の上記制御基板が、別の接点ピン31と対応する交換式レンズ鏡筒43の上記接点ピンを通じて交換式レンズ鏡筒43の図示を省略したメモリ(制御基板CB2と接続)に格納された交換式レンズ鏡筒43の仕様情報(焦点距離情報など)を読み込む。
【0035】
撮影者が一方の手でボディケース11(グリップ部11a)を把持しながら他方の手でゴム環64を光軸回りに一方向に回転させると(マニュアルズーム操作を行うと)、ズーム操作環58及びズームカム環52が当該一方向に回転する。するとズームカム環52のカム溝53に嵌合している1群支持部材48及び3群支持部材50の上記カムフォロアが直進案内環46の各直進案内溝に沿って前方に移動し、1群支持部材48(第1レンズ群L1)と3群支持部材50(第3レンズ群L3)が光軸に沿って前方に移動する(2群支持部材49及び第2レンズ群L2は1群支持部材48と一緒に移動する)ので、第1レンズ群L1、第2レンズ群L2及び第3レンズ群L3からなるレンズ群の焦点距離が変化する。一方、影者が手でゴム環64を掴みながらゴム環64を光軸回りに逆方向に回転させると、ズーム操作環58及びズームカム環52が当該逆方向に回転する。そのためカム溝53に嵌合している1群支持部材48及び3群支持部材50の上記カムフォロアが直進案内環46の各直進案内溝に沿って後方に移動し、1群支持部材48(第1レンズ群L1)と3群支持部材50(第3レンズ群L3)が光軸に沿って後方に移動する(2群支持部材49及び第2レンズ群L2は1群支持部材48と一緒に移動する)ので、第1レンズ群L1、第2レンズ群L2及び第3レンズ群L3からなるレンズ群の焦点距離が変化する。このように第1レンズ群L1、第2レンズ群L2、第3レンズ群L3が光軸方向に進退することによりズーミング動作が行われる。さらにズームカム環52が直進案内環46に対して相対回転するのに伴ってズームカム環52側の金属ブラシの直進案内環46側のズーム抵抗板51に対する接触位置が変化し、この変化情報がフレキシブルプリント基板FPB、制御基板CB1、制御基板CB2、交換式レンズ鏡筒43側の上記接点ピン、及び接点ピン31を介してカメラボディ10側の上記制御基板に送信されるので、上記制御基板はズームカム環52の回転位置(レンズ群の焦点距離)を認識可能である。
また撮影者がボディケース11に設けたAFスイッチ(図示略)を押すと、カメラボディ10の上記制御基板から接点ピン31、交換式レンズ鏡筒43側の上記接点ピン、制御基板CB2、及び制御基板CB1を介して上記モータに回転信号が送られる。するとモータが回転するので2群支持部材49(第2レンズ群L2)が1群支持部材48(第1レンズ群L1)に対して光軸方向に進退し、第2レンズ群L2によってフォーカシング(AF動作)が行われる。
【0036】
また上記したように交換式レンズ鏡筒43の金属製のズームカム環52には金属ブラシが取り付けてあり、この金属ブラシが直進案内環46に固定したズーム抵抗板51に接触し、ズーム抵抗板51がフレキシブルプリント基板FPBを介して制御基板CB1の回路パターンに接続している。そして制御基板CB1の回路パターンには上記シャッタユニット、上記モータが接続している。さらに制御基板CB1の回路パターンにはマイコンや電気抵抗等が実装してある。即ち、制御基板CB1の回路パターンには様々な電子部品(シャッタユニット、モータ、マイコン、電気抵抗など)が電気的に接続している。そのため仮に撮影者の静電気が手からズーム操作環58の貫通孔60に侵入すると、金属製の連結ネジ56、金属製のズームカム環52、金属ブラシ、ズーム抵抗板51、フレキシブルプリント基板FPB、及び制御基板CB1を介して上記電子部品に流れるので、静電気によってこれらの電子部品が静電破壊又は静電気によって故障するおそれがある。
しかし交換式レンズ鏡筒43は貫通孔60に充填した光硬化性接着剤61(密着性絶縁材)が貫通孔60の軸線方向に見たときに連結ネジ56全体を外周側から囲む部分(当該軸線方向に見たときの光硬化性接着剤61の外周部が特許請求の範囲の「環状部」に相当)を有しており、さらに外側から光硬化性接着剤61に貼着した絶縁性テープ62が、貫通孔60の軸線方向に見たときに連結ネジ56及び光硬化性接着剤61を覆っている。即ち、光硬化性接着剤61及び絶縁性テープ62が貫通孔60の外側の端部を(電気的に)封止している。
従って外部からの静電気がズーム操作環58に流れても、この静電気が導電性の連結ネジ56に流れるおそれは極めて小さいので、交換式レンズ鏡筒43内部の電子部品が静電破壊又は静電気によって故障するおそれを抑制できる。
さらに光硬化性接着剤61が貫通孔60の外側(環状凹部59の底面の外周側)に出っ張っておらずかつ絶縁性テープ62が薄肉なので、絶縁性テープ62は環状凹部59の底面から外周側に殆ど盛り上がらない。そのためゴム環64をズーム操作環58に装着したときに、ゴム環64の一部(絶縁性テープ62と対応する部位)がゴム環64のその他の部位と比べて外周側に出っ張ることはない。
しかもズーム操作環58(絶縁性部材)を大型化する必要がないので、交換式レンズ鏡筒43の設計の自由度は低下しない。さらに交換式レンズ鏡筒43の内部に接地構造(例えば制御基板CB1、CB2に設ける接地パターンなど)を設ける必要もない。
さらにズーム操作環58が貫通孔60を備えているので、連結ネジ56のズームカム環52(雌ネジ孔54)に対する取付作業をズーム操作環58のズームカム環52に対する組み付け後に行うことが可能となっている。そのため交換式レンズ鏡筒43の組み立て性が良好である。
【0037】
さらに上記したようにカメラボディ10の金属板12にはフレキシブルプリント基板33が貼着してあり、フレキシブルプリント基板33の一端は上記制御基板の回路パターン(制御回路)に接続している。さらに当該制御基板には撮像素子30が接続しており、さらに当該制御基板にはマイコンや電気抵抗等が実装してある。即ち、当該制御基板の回路パターンには様々な電子部品(撮像素子30、マイコン、電気抵抗など)が電気的に接続している。そのため仮に外部からの静電気が人工皮革20の端部と樹脂部材15の境目(
図3参照。
図3における人工皮革20の左端部と樹脂部材15の隙間)から樹脂部材15の貫通孔17に侵入すると、金属製の固定用ネジ37、金属板12、フレキシブルプリント基板33、及び上記制御基板を介して静電気が上記電子部品に流れるので、静電気によってこれらの電子部品が静電破壊又は故障するおそれがある。同様に、外部からカメラボディ10に及ぶ静電気が高電圧の場合は当該静電気が人工皮革20を透過して樹脂部材15の貫通孔16に侵入するおそれがあり、この場合も同様の問題が生じる。
しかし
図2に示すように樹脂部材15の貫通孔16に充填した光硬化性接着剤38(密着性絶縁材)が貫通孔16の軸線方向に見たときに固定用ネジ36全体を外周側から囲む部分(当該軸線方向に見たときの光硬化性接着剤38の外周部が特許請求の範囲の「環状部」に相当)を有しており、さらに外側から光硬化性接着剤38に貼着した絶縁性テープ41が、貫通孔16の軸線方向に見たときに貫通孔16及び光硬化性接着剤38を覆っている。即ち、光硬化性接着剤38及び絶縁性テープ41が貫通孔16の外側の端部を(電気的に)封止している。さらに
図3に示すように樹脂部材15の貫通孔17の第一凹部17aに塗布した光硬化性接着剤39(密着性絶縁材)は、貫通孔17の軸線方向に見たときに固定用ネジ37全体を外周側から囲む環状形状(特許請求の範囲の「環状部」に相当)をしており、さらに外側から光硬化性接着剤39に貼着した絶縁性テープ42が、上記軸線方向に見たときに第一凹部17a及び光硬化性接着剤39を覆っている。即ち、光硬化性接着剤39及び絶縁性テープ42が第一凹部17aの外側の端部を(電気的に)封止している。
従って外部からの静電気が樹脂部材15に流れても、この静電気が導電性の固定用ネジ36、37に流れるおそれは極めて小さいので、カメラボディ10内部の電子部品が静電破壊又は静電気によって故障するおそれを抑制できる。
さらに光硬化性接着剤38、39が貫通孔16の外側(樹脂部材15の外周面の外周側)と第一凹部17aの外周側に出っ張っておらずかつ絶縁性テープ41、42が薄肉なので、絶縁性テープ41、42は樹脂部材15の外周面から外周側に殆ど盛り上がらない。そのため人工皮革20を樹脂部材15に装着したときに、人工皮革20の一部(絶縁性テープ41、42と対応する部位)が人工皮革20のその他の部位と比べて外周側に出っ張ることはない。
しかも樹脂部材15(絶縁性部材)を大型化する必要がないので、カメラボディ10の設計の自由度は低下しない。さらにカメラボディ10の内部に接地構造(例えば上記制御基板に設ける接地パターンなど)を設ける必要もない。
さらに光硬化性接着剤39と絶縁性テープ42による封止構造は(光硬化性接着剤38と絶縁性テープ41による封止構造と比べて)、光硬化性接着剤39及び絶縁性テープ42を樹脂部材15から剥がし易いので、カメラボディ10の故障時等にカメラボディ10を分解する(固定用ネジ37を雌ネジ孔14a及び小径孔17cから抜き取る)のが容易である。また当該封止構造は(光硬化性接着剤38と絶縁性テープ41による封止構造と比べて)、硬化する前の光硬化性接着剤39が小径孔17cに侵入するおそれがより小さく、しかも光硬化性接着剤39の樹脂部材15に対する塗布作業をより容易に行うことが可能である。
【0038】
以上、本発明を上記各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形を施しながら実施可能である。
例えば、雌ネジ孔54を(ネジ溝を形成していない)単なる貫通孔に変更し、連結ネジ56を当該貫通孔に圧入される圧入部(雄ネジ部56bに対応する部位)と、該圧入部より大径の頭部(頭部56aに対応する部位)と、を一体的に備える連結ピンに変更してもよい。
光硬化性接着剤38、光硬化性接着剤39、及び光硬化性接着剤61の少なくとも一つを(光硬化性ではない)通常の接着剤(硬化前は粘性流体からなり硬化後は接着力を発揮する接着剤)に変更してもよいし、或いは(半導体封止用の)コンパウンド(粘性流体)に変更してもよい。又は、光硬化性接着剤38、光硬化性接着剤39、及び光硬化性接着剤61の少なくとも一つを(絶縁性部材の貫通孔の内面に密着可能な)電気絶縁性パテや電気絶縁性ゲルに変更してもよい。
【0039】
絶縁性テープ41、42、62を接着性のない絶縁性シートに変更してもよい。
またゴム環64の代わりに、樹脂製の弾性材料によって構成した環状部材(環状の弾性部材)を用いてもよい。
カメラボディ10のボディケース11全体を(貫通孔を有する)絶縁性部材で構成し、その内側に当該絶縁性部材と対向する(電子部品と導通する)導電性部材を設けても良い。同様に、交換式レンズ鏡筒43の回転操作環全体(ズームカム環52及びズーム操作環58)を(貫通孔を有する)絶縁性部材で構成し、その内側に当該絶縁性部材と対向する(電子部品と導通する)導電性部材を設けても良い。
【0040】
また
図8に示すように絶縁性部材と導電性部材を離間させ(ただし貫通孔から離れた絶縁性部材の一部は導電性部材に対して接触させてもよい)、(固定用ネジ36、37、連結ネジ56に相当する)導電性の「接続部材」全体を絶縁性部材の貫通孔を通して導電性部材に接続し(例えば、導電性部材と導電性部材に隣接する別部材とを接続部材で連結し)、接続部材全体を貫通孔より導電性部材側に位置させ(ただし貫通孔と接続部材は接近させる)、さらに貫通孔の軸線方向に見たときに該貫通孔の範囲内に接続部材が位置するようにしてもよい。
さらに
図9に示すように、絶縁性部材の貫通孔の軸線方向に見たときに該貫通孔の範囲内に接続部材の一部のみが位置するようにしてもよい。なお
図9の絶縁性部材の貫通孔は接続部材を挿入させる為のものではなく、別の目的で使用するための孔(種々の設計上の理由によって必要となった孔)である。即ち
図9の変形例では、導電性部材に接続部材を接続した後に絶縁性部材を導電性部材の外側に被せている。
図8、
図9の変形例の場合も、絶縁性部材の貫通孔の内面に密着させる密着性絶縁材は図示状態のように貫通孔全体に充填してもよいし、又は、該貫通孔の内周面に密着する環状形状のものであってもよく、いずれの場合も絶縁性部材の外側から密着性絶縁材に絶縁性シートを貼着する。これら
図8、
図9の変形例の場合も、密着性絶縁材と絶縁性シートによって、静電気が貫通孔を介して導電性の接続部材に流れるのを抑制できる。
【0041】
上記実施形態のカメラボディ10(光学機器)と交換式レンズ鏡筒43(光学機器)は、交換式レンズ鏡筒43がカメラボディ10に対して着脱可能な光学機器(例えば、一眼レフ等の機器形態)を想定しているが、カメラボディとレンズ鏡筒が一体(分離不能)のカメラ(光学機器)に本発明を適用してもよい。さらに本発明は、レンズ、プリズム、フィルタ(光学ローパスフィルタ、レンズフィルタ(偏光フィルタ、NDフィルタなど)など)、ミラー等の光学素子及び電子部品を内蔵したケースを備える光学機器であれば、カメラ(カメラボディ10、交換式レンズ鏡筒43)以外の光学機器、例えばスマートフォンやタブレットコンピュータ等の携帯端末(携帯端末の外形を構成する携帯端末ケースの少なくとも一部を絶縁性部材によって構成し、その内側に導電性部材を設ける)にも適用可能である。