特許第6194799号(P6194799)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6194799
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】赤外線センサ
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/02 20060101AFI20170904BHJP
   G01J 5/02 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
   G01J1/02 C
   G01J5/02 J
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-5067(P2014-5067)
(22)【出願日】2014年1月15日
(65)【公開番号】特開2015-132573(P2015-132573A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2016年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085006
【弁理士】
【氏名又は名称】世良 和信
(74)【代理人】
【識別番号】100106622
【弁理士】
【氏名又は名称】和久田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100125357
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 剛
(72)【発明者】
【氏名】川井 和哉
(72)【発明者】
【氏名】片岡 朋宏
(72)【発明者】
【氏名】山ノ井 健文
【審査官】 蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5287906(JP,B2)
【文献】 特表2009−506333(JP,A)
【文献】 特開2003−344156(JP,A)
【文献】 特表2007−501404(JP,A)
【文献】 特表2007−503586(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/059359(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00−1/60
G01J 5/00−5/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配設された、開口部を有する金属製板状部材と、
前記金属製板状部材上に配設された赤外線検出素子と、
前記金属製板状部材の、前記赤外線検出素子が配設されている箇所を含む部分を覆うキャップ部であって、金属製の筐体及び外部からの赤外線を透過して前記赤外線検出素子に導入する光学部材を含むキャップ部と、
複数の素子が組み合わされた、前記赤外線検出素子を機能させるための電子回路と、
を含み、
前記複数の素子中の1つ以上の素子が、前記基板の、前記金属製板状部材の前記開口部内に位置する開口部下領域に配設されている
ことを特徴とする赤外線センサ。
【請求項2】
前記基板の前記開口部下領域に配設されている前記1つ以上の素子が、受動素子である
ことを特徴とする請求項1に記載の赤外線センサ。
【請求項3】
前記基板の前記開口部下領域に配設されている前記1つ以上の素子が、チップ部品である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の赤外線センサ。
【請求項4】
前記複数の素子の中に、温度の測定機能を有する集積回路が含まれ、
前記集積回路が、前記キャップ部により覆われた前記金属製板状部材上に配設されている
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の赤外線センサ。
【請求項5】
前記金属製板状部材は、前記開口部とは異なる第2開口部を有し、
前記基板の、前記金属製板状部材の前記第2開口部内に位置する領域に、前記集積回路の複数の電極とそれぞれワイヤーにより接続される複数の電極が形成されている
ことを特徴とする請求項4に記載の赤外線センサ。
【請求項6】
前記金属製板状部材の前記開口部が、前記金属製板状部材を前記赤外線検出素子の配設位置の中心を通る直線にて2分することにより得られる2領域の一方の領域内に設けられており、
当該2領域の他方の領域内に、前記金属製板状部材の前記第2開口部と前記集積回路を取り付けるための領域とが設けられている
ことを特徴とする請求項5に記載の赤外線センサ。
【請求項7】
前記複数の素子の全てが、前記キャップ部内に収容されている
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の赤外線センサ。
【請求項8】
電源端子及び出力端子として機能する、表面実装型のコネクタが、前記基板の、前記金属製板状部材が配設されていない側の面に、前記基板の厚さ方向から見て前記キャップ部と重なる部分を有するように、実装されている
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に赤外線センサ。
【請求項9】
前記キャップ部の前記筐体の、前記金属製板状部材と接する側の端部が、前記金属製板状部材に熱伝導性接着剤によって固定されている
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に赤外線センサ。
【請求項10】
前記キャップ部の前記筐体は、前記金属製板状部材と接する側の端部に、外側に向かって延びたフランジ部を備え、
前記キャップ部の前記筐体の前記フランジ部が、前記金属製板状部材に固定されている
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に赤外線センサ。
【請求項11】
前記金属製板状部材が、前記基板の、前記金属製板状部材の配設面に形成されている複数のランドに対して半田付けされている
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に赤外線センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体が発生する赤外線を検知する赤外線センサに関する。
【背景技術】
【0002】
物体が発生する赤外線を検知する赤外線センサとして、図3に示したように、基板51上に、リード付きの金属ステム52を固定し、その金属ステム52の中央に赤外線検出素子54を固定し、赤外線検出素子54を固定した金属ステム52を、赤外線を透過する光学部材(フィルタやレンズ)55aと金属製キャップ55bとを主要構成要素としたキャップ部55にて覆ったものが知られている。
【0003】
また、同様の構成を有する赤外線センサとして、図4に模式的に示してあるように、リード付きの金属ステム52の代わりに、リードが付いていない金属ステム53を用いたもの(例えば、特許文献1参照)も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5287906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
金属ステム52,53の中央に赤外線検出素子54を取り付けた上で、当該金属ステム52,53をキャップ部55にて覆っておけば(図3,4参照)、赤外線検出素子54の周囲の温度を均一化できるため、赤外線検出素子54が、温度の測定対象物体からの赤外線のみにより加熱されるようにすることが出来る。従って、図3及び図4に示したような構成を採用しておけば、高精度の赤外線センサを実現することが出来る。
【0006】
ただし、金属ステム52,53が用いられている既存の赤外線センサは、赤外線センサを実際にセンサとして機能させるために必要とされる抵抗、コンデンサ等の素子を、キャップ部55の外部(基板51の裏面等)に設けたものとなっている。そのため、既存の赤外線センサには、基板51のスペースを有効に利用できない(例えば、コネクタをキャップ部55の裏に配置することができない)という問題があった。
【0007】
そこで、本発明の課題は、従来構造のセンサと同程度に高精度な、従来構造のセンサよりも基板スペースを有効に利用できる赤外線センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の赤外線センサは、基板と、前記基板上に配設された、開口部を有する金属製板状部材と、前記金属製板状部材上に配設された赤外線検出素子と、前記金属製板状部材の、前記赤外線検出素子が配設されている箇所を含む部分を覆うキャップ部であって、開口部を有する金属製の筐体及び外部からの赤外線を透過して前記赤外線検出素子に導入する光学部材を含むキャップ部と、複数の素子が組み合わされた、前記赤外線検出素子を機能させるための電子回路とを、含む。そして、本発明の赤外線センサにおける前記複数の素子中の1つ以上の素子は、前記基板の、前記金属製板状部材の前記開口部内に位置する開口部下領域に配設される。
【0009】
すなわち、本発明の赤外線センサは、従来、基板の裏面(金属製板状部材が配設されていない側の面)や基板の表面のキャップ部の外側の部分に配設されていた幾つかの素子が
、キャップ部内に配設される構成を有している。そして、幾つかの素子がキャップ部内に配設されれば、当該幾つかの素子が取り付けられていた基板スペースを他の用途に使用できるし、素子配設用の開口部を設けた金属製板状部材を用いても、センサとして性能が低下しないことが確認できている。従って、本発明の赤外線センサは、従来構造のセンサと同程度に高精度なセンサであると共に、基板スペースを従来よりも有効に利用できるセンサとなっていると言うことが出来る。
【0010】
尚、本発明の赤外線センサを実現するに際しては、『前記複数の素子の全てが、前記キャップ部内に収容されている』ようにしておくことが望ましい。ただし、基板のキャップ部外の部分(基板の裏面等)に幾つかの素子が残っていても、基板スペースを従来よりも有効に利用できることにはなる。具体的には、例えば、基板の裏面に配設される素子の数が少なくなっていれば、『電源端子及び出力端子として機能する、表面実装型のコネクタが、前記基板の、前記金属製板状部材が配設されていない側の面に、前記基板の厚さ方向から見て前記キャップ部と重なる部分を有するように、実装されている』構成を採用することによって、赤外線センサの全体的なサイズを小さくすることが出来る。従って、幾つかの素子が、基板の裏面等に残っているセンサとして、本発明の赤外線センサを実現しておいても良い。
【0011】
本発明の赤外線センサの基板の開口部下領域に配設する一部の素子は、リード部品であっても良い。ただし、一部の素子をリード部品とした場合、基板裏面の自由に使用できる領域が狭くなってしまうし、各(全)素子がチップ部品であった方が、赤外線センサの製造(基板の製造、赤外線センサの組み立て)が容易になる。そのため、キャップ部内に収容する1つ以上の素子(基板の開口部下領域に配設する1つ以上の素子)は、チップ部品としておくことが好ましい。また、発熱量が多い素子を基板の開口部下領域に配設しておくと、キャップ部内の温度に分布が生じてしまう虞がある。そのため、本発明の赤外線センサの基板の開口部下領域に配設する1つ以上の素子は、受動素子等の、発熱量が比較的に少ない素子としておくことが好ましい。また、“赤外線検出素子を機能させるための電子回路”に、発熱量の多い素子が含まれる場合には、当該素子を、金属製板状部材上か、基板のキャップ部外の部分に配設しておくことが好ましい。
【0012】
また、本発明の赤外線センサを、電子回路を構成する複数の素子の中に、温度の測定機能を有する集積回路が含まれるセンサとして実現する場合には、当該集積回路にて基準となる温度を正確に測定できるようにするために、当該集積回路を、キャップ部により覆われた金属製板状部材上に配設しておくことが好ましい。
【0013】
さらに、上記場合には、集積回路と基板との間の電気的接続を容易に行えるようにするために、『前記金属製板状部材は、前記開口部とは異なる第2開口部を有し、前記基板の、前記金属製板状部材の前記第2開口部内に位置する領域に、前記集積回路の複数の電極とそれぞれワイヤーにより接続される複数の電極が形成されている』構成を採用しておくことが好ましい。
【0014】
また、本発明の赤外線センサを、『前記金属製板状部材の開口部が、前記金属製板状部材を前記赤外線検出素子の配設位置の中心を通る直線にて2分することにより得られる2領域の一方の領域内に設けられており、当該2領域の他方の領域内に、前記金属製板状部材の前記第2開口部と前記集積回路を取り付けるための領域とが設けられている』ものとして実現しておくことも出来る。そのような構成を採用しておけば、開口部、第2開口部、集積回路の位置が適度に分布する結果として、キャップ部内の温度をより均一化できて、検出精度を向上させる。
【0015】
また、本発明の赤外線センサに、『キャップ部の前記筐体の、前記金属製板状部材と接
する側の端部が、前記金属製板状部材に熱伝導性接着剤によって固定されている』構成、及び/又は、『前記キャップ部の前記筐体は、前記金属製板状部材と接する側の端部に、外側に向かって延びたフランジ部を備え、前記キャップ部の前記筐体の前記フランジ部が、前記金属製板状部材に固定されている』構成を採用しておくことも出来る。そのような構成を採用しておけば、キャップ部(の筐体)と金属製板状部材との間を熱的接触が良好な状態で接続できるため、環境温度が急激な変化しても検出結果に大きな誤差が生じない赤外線センサを得ることができる。
【0016】
また、本発明の赤外線センサにおける金属製板状部材の基板への特に限定されない。ただし、『前記金属製板状部材が、前記基板の、前記金属製板状部材の配設面に形成されている複数のランドに対して半田付けされている』構成を採用しておけば、金属製板状部材の基板への強固な固定が簡単に実現できることになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、従来構造のセンサと同程度に高精度な、従来構造のセンサよりも基板スペースを有効に利用できる赤外線センサを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る赤外線センサの部分切欠き斜視図である。
図2図2は、キャップ部を取り付けていない状態にある赤外線センサの上面図である。
図3図3は、リード付き金属ステムが用いられた存の赤外線センサの構成の説明図である。
図4図4は、リードが付いていない金属ステムが用いられた赤外線センサの構成の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1に、本発明の一実施形態に係る赤外線センサ10の部分切欠き斜視図を示し、図2に、キャップ部30を取り付けていない状態にある赤外線センサ10の上面図を示す。尚、上記説明及び以下の説明において、上面及び表面とは、図1における上側の面のことである。同様に、以下の説明において、上、下とは、それぞれ、図1における上方向、下方向のことである。
【0021】
図1及び図2に示してあるように、本実施形態に係る赤外線センサ10は、基板11、金属ステム20、赤外線検出素子13、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)14、複数の電子部品15、キャップ部30及びコネクタ35を、備える。
【0022】
キャップ部30(図1)は、赤外線透過部材31と、金属キャップ32と、樹脂製の内側キャップ33及び外側キャップ34とを組み合わせた有蓋筒状の部材である。このキャップ部30に用いられる赤外線透過部材31は、ゲルマニウム(Ge) 、シリコン(Si)
、サファイア(Al)等の赤外線を透過する材料からなるフィルタ又はレンズであ
る。また、キャップ部30を構成する金属キャップ32、内側キャップ33及び外側キャップ34は、それぞれ、それを上方から見た中央部分に円形の開口部を有している。これらのキャップ32〜34の具体的な形状は、キャップ部30を金属ステム20に対して固定したときに、外側キャップ34に嵌め込まれている赤外線透過部材31を透過した外部からの赤外光が、各キャップの開口部を通って金属ステム20に固定されている赤外線検出素子13に到達するように定められている。また、金属キャップ32と金属ステム20
との間の熱伝導性が悪いと、環境温度の急激な変化時に、金属キャップ32と金属ステム20との間に比較的に大きな温度差が生じてしまう虞がある。そして、金属キャップ32と金属ステム20との間に温度差が生ずると正確な測定結果が得られない。そのため、本実施形態に係るキャップ部30には、金属ステム20に対する固定時に金属ステム20との間に良好な熱的接触を確保できるようにするために、金属ステム20と接触する側の端部に、外側に向かって延びたフランジ部を設けた金属キャップ32が採用されている。尚、キャップ部30の金属ステム20への固定は、キャップ部30の筐体をなす金属キャップ32のフランジ部を熱伝導性の良い接着剤等により金属ステム20に対して取り付けることにより行われる。
【0023】
赤外線検出素子13は、赤外線透過部材31を介して入射される赤外光を検出する(当該赤外光による温度上昇量を測定する)素子である。この赤外線検出素子13としては、1つの活性領域をもつ単素子センサ、又は、2つ以上の活性領域をもつ複素子センサ(所
謂アレイセンサ)が使用される。尚、赤外線検出素子13の動作原理は特に限定されない。従って、赤外線センサ10には、赤外線検出素子13として、サーモパイル型やボロメータ型などの熱型赤外線センサや、量子型赤外線センサを使用することが出来る。
【0024】
ASIC14は、赤外線検出素子13とワイヤーにより接続される、赤外線検出素子13の出力を増幅する機能等を有する集積回路である。このASIC14としては、通常、少なくとも、赤外線検出素子13の出力を増幅する機能と金属ステム20の温度の検出機能とを有する回路(例えば、絶対温度に比例した電圧を出力する PTAT ( Proportional To Absolute Temperature) 電圧源やチョッパアンプ等を含む回路)が使用される。ただし、ASIC14が低機能だと、赤外線センサ10に搭載する素子数を増やさなければならなくなる。そのため、ASIC14としては、上記二機能と共に、赤外線検出素子13の出力からノイズを除去する機能、増幅しノイズを除去した赤外線検出素子13の出力をデジタルデータに変換する機能、デジタルデータに変換した赤外線検出素子13の出力等に基づき演算処理を行う機能、デジタルデータに変換した赤外線検出素子13の出力や演算処理の処理結果をコネクタ35を介して他装置(赤外線センサ10を用いて温度を測定・出力する情報処理装置)に送信する機能等も有する回路を使用しておくことが好ましい。
【0025】
赤外線センサ10が備える複数の電子部品15(図2)は、ASIC14と組み合わされて(電気的に接続されて)、赤外線センサ10を実際に温度の測定を行えるセンサとして機能させるための電子回路を構成する表面実装型の電子部品(チップ抵抗、チップコンデンサなどのチップ部品)である。
【0026】
金属ステム20(図2)は、その表面に、赤外線検出素子13とASIC14とが実装される、金属製の板状部材である。
【0027】
図2に示してあるように、本実施形態に係る赤外線センサ10の金属ステム20には、赤外線検出素子13を実装できる幅の帯状の第1部分21aと、当該第1部分21aと直交するように当該第1部分21aから一方向に伸びた,ASIC14を実装できる幅の帯状の第2部分21bとが、その中央部分に残るように、3つの開口部22a〜22cが形成されている。また、開口部22aは、第1部分21aのほぼ中心(第1部分21aに固定された赤外線検出素子13のほぼ中心)を通る直線にて2分することにより得られる二領域の一方の領域内に形成されており、開口部22b及び22cは、当該二領域の他方の領域内に、第2部分21bをそれらの間に挟む形で形成されている。さらに、金属ステム20の第1部分21aには、赤外線検出素子13の実装時に、素子固定のために使用する樹脂が素子に接触する領域を限定するための溝部23が形成されている。
【0028】
尚、金属ステム20の構成材料は特に限定されない。ただし、金属ステム20の構成材料としては、熱伝導性が良好な、鉄、銅、アルミ等を用いておくことが好ましい。また、金属ステム20として、さびを防止すると共に半田付け性を良好なものとするための表面コーティング(例えば、ニッケルメッキ)が施されている部材を採用しておくことも好ましい。
【0029】
基板11は、ASIC14、複数の電子部品15及びコネクタ35間を電気的に接続するための配線が形成されている配線板である。基板11の表面の、金属ステム20の開口部22a下となる領域内には、各電子部品15をクリーム半田にて取り付けるための電極(図示略)が形成されている。また、基板11の表面の、開口部22b下となる領域には、ASIC14を接続するための複数の電極が形成されている。基板11の表面の、開口部22c下となる領域にも、ASIC14を接続するための複数の電極が形成されている。尚、実際にASIC14と接続される電極の数、組み合わせは、赤外線センサ10に搭載されている赤外線検出素子13及びASIC14の機能によって異なる。
【0030】
基板11の表面には、金属ステム20の四隅を半田40にて基板11の表面に固定(実装)するためのランド10aが設けられている。
【0031】
尚、上記したように、各電子部品15も表面実装型の電子部品である。従って、基板11に対する金属ステム20、各電子部品15の固定は、金属ステム20を基板11上に実装してから各電子部品15を基板11上(基板11の開口部22a内の領域上)に実装するといった手順か、各電子部品15を基板11に実装した後に金属ステム20を基板11に実装するといった手順か、各電子部品15と金属ステム20とを同時に基板11に実装するといった手順で行われる。また、金属ステム20上への赤外線検出素子13及びASIC14の固定は、基板11に対して金属ステム20を固定してから、熱伝導性の良い接着剤を用いて行われる。
【0032】
基板11の裏面には、表面実装型のコネクタ35を実装するためのコネクタ実装エリアが設けられている。このコネクタ実装エリアは、図2に点線枠で示してあるように、赤外線センサ10の上方(又は下方)から見て金属ステム20(及びキャップ部30)とその一部が重なる形でコネクタ35を基板11に実装できる位置に設けられている。
【0033】
以上、説明したように、本実施形態に係る赤外線センサ10には、従来は、基板11の裏面に実装されていた複数の電子部品15をキャップ部30内(金属ステム20の開口部22a内)に収容する構成が採用されている。そして、当該構成を採用しておけば、上記したように、当該複数の電子部品15の固定に使用されていた基板スペースにコネクタ35を取り付けることにより従来よりもコンパクトな赤外線センサ10を実現することや、当該複数の電子部品15の固定に使用されていた基板スペースを、他の用途に使用する(例えば、赤外線センサ10を、他装置に固定するための領域として使用する)ことが可能となる。
【0034】
さらに、上記構成を有する赤外線センサ10の性能(温度の測定精度等)が、開口部22aを設けていない金属ステム54が用いられた赤外線センサ(図4)と同程度のものとなることが各種実験により確認できている。従って、上記した赤外線センサ10の構成を採用しておけば、センサとしての性能を損ねることなく、基板スペースを従来よりも有効に利用することが出来る。
【0035】
《変形形態》
上記した実施形態に係る赤外線センサ10は、各種の変形を行えるものである。例えば、赤外線センサ10を、コネクタ35を備えないセンサ(基板11に設けられている電極
にリード線を直結して使用するセンサ等)に変形することが出来る。また、金属ステム20として、上記したものとは開口部の数や形状が異なっている金属製板状部材、例えば、開口部22b又は22cを有さない形状の部材や、円形や四角形の開口部を備えた部材、を採用することも出来る。
【0036】
ただし、開口部22aを過度に大きくした場合、キャップ部20内に温度分布が生じてしまうことが考えられる。そのため、金属ステム20としては、上記したように、赤外線検出素子の配設位置の中心を通る直線にて2分することにより得られる2領域の一方の領域内に、開口部22aが形成されており、他方の領域に、少なくとも1つのワイヤボンディング用の開口部(22b又は22c)とASIC14を取り付けるための領域とが設けられているものを採用しておくことが好ましい。尚、そのような金属ステム20を採用しておけば、開口部22a、ワイヤボンディング用の開口部、ASIC14の位置が適度に分布するので、キャップ部30内の温度の均一化を図れることにもなる。
【0037】
また、既に説明したように、上記した形状の金属ステム20を用いても、センサとしての性能が劣化しないことが確認できているのであるが、キャップ部30内の温度がより均一となるようにするために、金属ステム20に、上記形状の開口部22aの代わりに、開口部22b及び22cを第1部分21aの中心線で反転した形状の2つの開口部を設けておくことも出来る。換言すれば、金属ステム20として、より対称性の高い形状の部材を用いておくことも出来る。
【0038】
また、上記した赤外線センサ10は、電子部品15としてチップ部品をキャップ部30内に収容したものであるが、キャップ部30内に収容する一部の電子部品15をリード部品としておくことも出来る。ただし、一部の電子部品15をリード部品とした場合、基板10裏面の自由に使用できる領域が狭くなってしまうし、各(全)電子部品15がチップ部品であった方が、赤外線センサ10の製造(基板11の製造、赤外線センサ10の組み立て)が容易になる。そのため、キャップ部30内に収容する各電子部品15は、チップ部品としておくことが好ましい。
【0039】
上記した赤外線センサ10は、チップ抵抗、チップコンデンサなどの発熱量の少ない受動素子が金属ステム20の開口部22a内に収容されたものであったが、赤外線センサ10を、金属ステム20の開口部22a内に発熱量の多い素子が収容されるセンサに変形することも出来る。ただし、発熱量が多い素子を開口部22a内に配置すると、キャップ部30内の温度が不均一になってしまう虞がある。そのため、金属ステム20の開口部22a内に収容する素子は、発熱量が少ない素子としておくことが好ましい。また、発熱量が多い素子は、金属ステム20上か、キャップ部30の外側に配置しておくことが好ましい。
【符号の説明】
【0040】
10 赤外線センサ
11 基板
13 赤外線検出素子
14 ASIC
20 金属ステム
30 キャップ部
31 赤外線透過部材
32 金属キャップ
33 内側キャップ
34 外側キャップ
35 コネクタ
図1
図2
図3
図4