【実施例】
【0014】
以下、実施例の蓄電装置100について説明する。蓄電装置100は、二次電池の一種であるリチウムイオン二次電池である。
図1に示すように、蓄電装置100は、ケース4と、電極組立体2と、負極端子30及び正極端子10と、電流遮断装置70を備えている。ケース4は、金属製であり、略直方体形状に形成されている。ケース4の内部には、電極組立体2と電流遮断装置70が収容されている。また、ケース4の内部には、電解液が注入されている。ケース4の上面4aに負極端子30と正極端子10が取付けられている。すなわち、ケース4の上面4aには、貫通孔4b,4cが形成されている。負極端子30は貫通孔4bに取付けられており、正極端子10は貫通孔4cに取付けられている。貫通孔4bには、絶縁性の第1シール部材42が配設されている。貫通孔4cには、絶縁性の第2シール部材22が配設されている。なお、ケース4の形状に制限はなく、例えば、円筒状、直方体状、あるいは、フィルムで形成されたシート状であってもよい。
【0015】
負極端子30は、外部ナット36と、内部ナット32と、ボルト34を備えている。外部ナット36は、負極端子30と負極配線(図示省略)との結線に用いられる。内部ナット32は、第1シール部材42に取り付けられている。内部ナット32の一部は、貫通孔4bを通過している。ボルト34は、内部ナット32に締結されている。ボルト34とケース4の間には、第3シール部材40が介在している。負極端子30は、シール部材40,42によってケース4から絶縁されている。内部ナット32は、電流遮断装置70及び接続端子72を介して負極リード44に電気的に接続されている。負極リード44は、第1シール部材42によってケース4から絶縁されている。負極端子30は、電流遮断装置70、接続端子72及び負極リード44を介して、電極組立体2の負極電極と通電している。電流遮断装置70については後述する。
【0016】
正極端子10は、外部ナット16と、内部ナット12と、ボルト14を備えている。外部ナット16は、正極端子10と正極配線(図示省略)との結線に用いられる。内部ナット12は、第2シール部材22に取り付けられている。内部ナット12の一部は、貫通孔4cを通過している。ボルト14は、内部ナット12に締結されている。ボルト14とケース4の間には、第4シール部材20が介在している。正極端子10は、シール部材20,22によってケース4から絶縁されている。内部ナット12には、正極リード24が固定されている。内部ナット12と正極リード24は、電気的に接続している。正極リード24は、第2シール部材22によってケース4から絶縁されている。正極端子10は、正極リード24を介して、電極組立体2の正極電極と通電している。
【0017】
(電極組立体)
電極組立体2は、正極電極と、負極電極と、正極電極と負極電極の間に介在しているセパレータを備えている。正極電極、負極電極及びセパレータの図示は省略する。負極電極は、負極集電体と、負極集電体上に形成されている負極活物質層を有する。負極電極は、その端部に負極集電タブ46を有する。負極集電タブ46には、負極活物質層が塗布されていない。正極電極は、正極集電体と、正極集電体上に形成されている正極活物質層を有する。正極電極は、その端部に正極集電タブ26を有する。正極集電タブ26には、正極活物質層が塗布されていない。なお、活物質層に含まれる材料(活物質、バインダ、導電助剤等)には特に制限がなく、公知の蓄電装置等の電極に用いられる材料を用いることができる。
【0018】
ここで、正極集電体には、例えば、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、ステンレス鋼又はそれらの複合材料もしくは合金を用いることができる。特に、アルミニウム又はアルミニウムを含む複合材料もしくは合金であることが好ましい。また、正極活物質には、リチウムイオンが侵入及び脱離可能な材料であればよく、Li
2MnO
3、Li(NiCoMn)
0.33O
2、Li(NiMn)
0.5O
2、LiMn
2O
4、LiMnO
2、LiNiO
2、LiCoO
2、LiNi
0.8Co
0.15Al
0.05O
2、Li
2MnO
2、LiMn
2O
4等を使用することができる。また、正極活物質としてリチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、あるいは、硫黄などを用いることもできる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。正極活物質は、必要に応じて導電材,結着剤等とともに正極集電体に塗布される。
【0019】
一方、負極集電体としては、アルミニウム、ニッケル、銅(Cu)等、又はそれらの複合材料もしくは合金等を使用することができる。特に、銅又は銅を含む複合材料もしくは合金であることが好ましい。また、負極活物質としては、リチウムイオンが挿入及び脱離可能な材料を用いることができる。リチウム(Li)、ナトリウム(Na)等のアルカリ金属、アルカリ金属を含む遷移金属酸化物、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、高配向性グラファイト、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料、シリコン単体又はシリコン含有合金又はシリコン含有酸化物を使用することができる。負極活物質は、必要に応じて導電材,結着剤等とともに負極集電体に塗布される。
【0020】
なお、セパレータは、絶縁性を有する多孔質を用いることができる。セパレータとしては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、あるいは、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布または不織布を使用することができる。
【0021】
また、電解液は、非水系の溶媒に支持塩(電解質)を溶解させた非水電解液であることが好ましい。非水系の溶媒として、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等の鎖状エステルを含んでいる溶媒、酢酸エチル、プロピロン酸メチルなどの溶媒、又はこれらの混合液を使用することができる。また、支持塩(電解質)として、例えば、LiPF
6、LiBF
4、LiAsF
6等を使用することができる。
【0022】
(電流遮断装置)
図2〜4を参照して、電流遮断装置70について説明する。電流遮断装置70は、負極端子30と負極集電タブ(負極電極)46の通電経路上に配置されている。なお、電流遮断装置70は、正極電極と正極端子10の通電経路上に配置してもよいし、双方に配置してもよい。なお、
図3,4では、負極端子30とケース4との間に介在しているシール部材42の図示を省略している。
【0023】
図3に示すように電流遮断装置70は、金属製の第1反転板84と、金属製の破断板88と、金属製の第2反転板90と、絶縁性を有する支持部材92を備えている。支持部材92は、熱可塑性樹脂(例えば、PPS等)によって形成されている。支持部材92は、筒状に形成されており、その内側には、内部ナット32の下端部32a及び第2反転板90を収容する空間が形成されている。支持部材92の上面92bはケース4に当接している(
図1参照)。支持部材92の上端には、内側に突出する突出片92eが形成されている。突出片92eは、内部ナット32の下端部32aの上面と当接している。支持部材92の下面92cには、熱カシメ用ボス92aが形成されている。熱カシメ用ボス92aは、支持部材92の下面92cの4つの角部にそれぞれ設けられている。後述するように、熱カシメ用ボス92aによって破断板88が支持部材92に固定される。破断板88が支持部材92の下面92cに固定されると、支持部材92に下端部32a及び第2反転板90が収容され、支持部材92の突出片92eが下端部32aの上面に当接する。これによって、支持部材92は第1反転板82と破断板88を積層された状態で支持し、また、電流遮断装置70が内部ナット32に固定される。支持部材92の上面92bがケース4に当接することから、支持部材92によって内部ナット32、第1反転板82及び破断板88のケース4に対する位置が位置決めされる。
【0024】
第1反転板84は、円形状の板材であり、破断板88の下面に固定されている。破断板88が支持部材92に固定されて支持されているため、第1反転板84も支持部材92に支持される。第1反転板84の上面には絶縁性の突部86が設けられ、突部86は第一反転板84の中央に位置している。突部86は、破断板88に向かって上方に突出している。
図3に示す状態では、突部86と破断板88の中央部88bとの間には隙間が形成されている。なお、第1反転板84の下面にはケース4内の空間の圧力が作用し、第1反転板84の上面には、第1反転板84と破断板88の間の空間94の圧力が作用する。空間94はケース4内の空間から隔離されているため、ケース4内の空間の圧力が高くなると、第1反転板84の上面と下面に作用する圧力は相違することとなる。
【0025】
破断板88は、矩形状の板材であり、第1反転板84と第2反転板90の間に配置されている。すなわち、破断板88は、その上面が第2反転板90に対向する一方で、その下面が第1反転板84に対向している。破断板88の外縁の一部に接続端子72が接続されている(
図3参照)。破断板88の下面の中央には溝部88aが形成されている。
図2に示すように、溝部88aは、底面視すると円形状に形成されている。また、
図3に示すように、溝部88aの断面形状は上方に凸となる三角形状をしている。溝部88aが形成されることで、溝部88aが形成された位置における破断板88の機械的強度は、溝部88a以外の位置における破断板88の機械的強度よりも低くされている。破断板88は、溝部88aによって、溝部88aで囲まれた中央部88bと、溝部88aの外周側に位置する外周部(88e〜88g)に区分されている。
【0026】
図2,3に示すように、破断板88の外周部(88e〜88g)は、中央部88bに隣接する第1外周部88eと、第1外周部88eに隣接する第2外周部88fと、第2外周部88fに隣接する第3外周部88gを有している。第1外周部88eは、中央部88bの外側に位置し、中央部88bを取り囲んでいる。第1外周部88eの板厚は、中央部88bの板厚と同一とされている。第2外周部88fは、第1外周部88eの外側に位置し、第1外周部88eを取り囲んでいる。第2外周部88fの板厚t1は、第1外周部88eの板厚よりも厚くされている。第3外周部88gは、第2外周部88fの外側に位置し、第2外周部88fを取り囲んでいる。第3外周部88gの板厚t2は、第2外周部88fの板厚t1よりも厚くされている(t2>t1)。第2外周部88fと第3外周部88gの境界部分には貫通孔88dが形成されている。より詳細には、貫通孔88dは、第2外周部88fの4つの角部であって、支持部材92の熱カシメ用ボス92aに対応する位置に配置されている。第2外周部88fと第3外周部88fとの境界線は、貫通孔88dの外周側で貫通孔88dに接している。
【0027】
図3に示すように、貫通孔88dは、破断板88の上面から下面に貫通しており、その断面の径がD1とされている。貫通孔88dには、支持部材92の熱カシメ用ボス92aが挿入されている。熱カシメ用ボス92aは、熱カシメ処理によって貫通孔88dの内面に密着している。また、熱カシメ用ボス92aの下端部の径は、熱カシメ処理によってD2(>D1)となっている。このため、熱カシメ用ボス92aが貫通孔88dに熱カシメ処理されることで、支持部材92に破断板88が固定される。
【0028】
なお、第2外周部88fの板厚t1は、第3外周部88gの板厚t2より薄くされている。このため、貫通孔88dの外周側の領域(
図2において、中央部88bの中心O
1と貫通孔88dの中心O
2とを結ぶ直線と貫通孔88dの輪郭線が外周側で交差する点P1を含む領域)では、貫通孔88dは板厚の厚い第3外周部88gと接する。一方、貫通孔88dの内周側の領域(
図2において、中心O
1と中心O
2とを結ぶ直線と貫通孔88dの輪郭線が内周側で交差する点P2を含む領域)では、貫通孔88dは板厚の薄い第2外周部88fと接する。すなわち、本実施例では、貫通孔88dは、貫通孔88dの外周側の中心角が略90°となる領域で第3外周部88gと接しており、貫通孔88dの内周側の中心角が略270°となる領域で第2外周部88fと接している。このため、中央部88bの中心O
1と貫通孔88dの中心O
2とを結び、かつ、破断板88の表面に直交する平面で破断板88を切断した断面(
図3に示す断面)において、破断板88の熱抵抗は、貫通孔88dより外周部側の方が、貫通孔88dより中央部側の方よりも小さくなる。また、
図2,3から明らかなように、4つの貫通孔88dの内側に中央部88bが位置し、第1反転板84は4つの貫通孔88dの内側で第2外周部88fに固定されている。
【0029】
第2反転板90は、円形状の板材であり、破断板88の上方に配置されている。第2反転板90の中央部は、
図3に示す状態では下方に凸となり、また、破断板88の中央部88bに固定されている。具体的には、第2反転板90の中央部は、破断板88の中央部88bに溶接によって接合されている。また、第2反転板90の外周部は、内部ナット32の下端部32aに溶接によって接合されている。第2反転板90と内部ナット32との溶接部は、第2反転板90の外周部の全周にわたって形成されている。上述したことから明らかなように、負極端子30は、第2反転板90、破断板88、接続端子72及び負極リード44を介して電極組立体2に接続されている。第2反転板90の上面と内部ナット32の下面の間には空間98が形成され、空間98はケース4内の空間から隔離されている。第2反転板90と破断板88の間には、絶縁部材82及びシール部材89が配置されている。シール部材89の外側には支持部材92が配置されている。絶縁部材82は、リング状の部材であり、第2反転板90の外周部と破断板88の外周部とに接触し、両者を絶縁している。シール部材89は、内部ナット32の下端部32aと破断板88の外周部とに接触し、両者の間をシールする。これによって、第2反転板90と破断板88との間の空間96がケース4内の空間から気密に封止される。シール部材89には、例えば、公知のOリング等を用いることができる。
【0030】
なお、第2反転板90は、破断板88から離間する方向に付勢された状態で、絶縁部材82と内部ナット32に挟持されていてもよい。破断板88を付勢することで、破断板90が溝部88aで破断したときに、第2反転板90を破断板88から離間する方向に移動させることができる。
【0031】
上述した蓄電装置100においては、
図3に示す状態では、負極端子30と負極集電タブ46(負極電極)が通電しており、正極端子10と正極集電タブ26(負極電極)が通電している。そのため、負極端子30と正極端子10の間が通電している。ケース4内の内圧が上昇して予め設定された所定値を超えると、
図4に示すように、破断板88が溝部88aで破断し、破断板88の外周部(88e〜88g)と第2反転板90(内部ナット32)の間の通電経路が遮断される。すなわち、ケース4内の内圧が上昇すると、第1反転板84の下面に作用する圧力が上昇する(
図3の状態)。空間94はケース4内の空間から隔離されているため、第1反転板84の上面に作用する圧力(すなわち、空間94の圧力)は、ケース4内の空間の圧力上昇の影響を受け難い。このため、ケース4内の内圧が所定値(設定圧力)を超えると、第1反転板84が反転して、下方に凸な状態から上方に凸な状態に変化する。第1反転板84が反転すると、第1反転板84の突部86が破断板88の中央部88bに衝突し、破断板88が溝部88aで破断する。すると、第1反転板84の変位に応じて第2反転板90も反転し、第2反転板90、破断板88の中央部88b、及び第1反転板84が上方に変位する(
図4の状態)。これによって、破断板88と第2反転板90を接続する通電経路が遮断され、電極組立体2と負極端子30との間の通電が遮断される。
【0032】
本実施例の蓄電装置100においては、破断板88が支持部材92の下面92cに熱カシメを利用して固定される。すなわち、電流遮断装置70を製造する際は、まず、内部ナット32、第2反転板90、破断板88、第1反転板84、絶縁部材82及びシール部材89を組合せてサブアッセンブリとする。次いで、サブアッセンブリ化された部品を支持部材92に固定する。具体的には、
図5に示すように、支持部材92の内側に内部ナット32の下端部32a、第2反転板90、絶縁部材82及びシール部材89が収容されるように、サブアッセンブリ化された部品を支持部材92内に挿入し、支持部材92の突出片92eを下端部32aの上面に当接させる。この状態では、支持部材92の下面92cが破断板88の上面に当接すると共に、支持部材92の熱カシメ用ボス92a(変形前)が破断板88の貫通孔88d内に挿入され、貫通孔88dを貫通している(
図5の状態)。次いで、貫通孔88dに挿入された熱カシメ用ボス92aをヒータチップ200で加熱する。これによって、熱カシメ用ボス92dが熱変形し、
図3に示す状態に変化する。すなわち、熱カシメ用ボス92aが熱変形によって貫通孔88dの内面に密着すると共に、その下端部が貫通孔88dの径D1より大きくなる。これによって、破断板88が支持部材92の下面92cに固定される。
【0033】
ここで、熱カシメ用ボス92aを熱カシメする際には、ヒータチップ200で熱カシメ用ボス92aに熱を加える。このため、熱カシメ用ボス92aから破断板88に熱が伝えられることとなる。本実施例の破断板88では、貫通孔88dの外周側に第3外周部88gが設けられ、貫通孔88dの内周側に第2外周部88fが設けられている。上述したように、第3外周部88gの板厚t2は第2外周部88fの板厚t1より厚く、貫通孔88dの外周側の熱抵抗は、貫通孔88dの内周側の熱抵抗より小さくなっている。このため、熱カシメ用ボス92aから破断板88に伝達される熱は、第2外周部88f側より第3外周部88g側に流れ易くされている。その結果、破断板88の中央部88b側に伝達される熱を低減することができる。これによって、電流遮断装置70の特性が変化することを抑制することができる。例えば、破断板88の中央部88b側に伝えられる熱量が多くなると、その熱によってシール部材89のシール性能が劣化する虞がある。シール部材89のシール性能が劣化すると、空間96とケース4内の空間とが連通し、電流遮断装置70の作動圧力が変化する可能性がある。本実施例では、破断板88の中央部88b側に伝達される熱量を低減することができるため、シール部材89の劣化が抑制され、電流遮断装置70の特性変化を抑制することができる。
【0034】
上述したことから明らかなように、本実施例の蓄電装置100では、熱カシメ時に発生する熱が破断板88の中央部88b側に伝達されることを抑制できる。このため、電流遮断装置70の特性変化を抑制することができる。その結果、破断板88を熱カシメを利用して支持部材92に固定することで簡易な構成としながら、電流遮断装置70を適切に作動させることができる。
【0035】
最後に、上述した実施例と特許請求の範囲の記載の対応関係を説明する。第2反転板90が「第1通電板」の一例であり、破断板88が「第2通電板」の一例である。
【0036】
以上、本明細書に開示の技術の一具体例を詳細に説明したが、これは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0037】
例えば、上述した実施例では、破断板88に第2外周部88fと第3外周部88gを設けることで、貫通孔88dの内周側と外周側とで熱抵抗を調整したが、本明細書に開示の技術はこのような例に限られない。例えば、貫通孔88dの外周側の点P1(
図2参照)における熱抵抗が、貫通孔88dの内周側の点P2(
図2参照)における熱抵抗より小さくされていればよい。このため、板厚t1となる第2外周部88fと、板厚t2(>t1)となる第3外周部88eとの境界は、
図2に示す例に限られない。例えば、
図6に示す破断板188のように、貫通孔188dの周方向の大部分が第3外周部188gと接していてもよい。この場合、熱カシメ時の熱を破断板188の外周側に伝達することをより促進することができる。さらに、板厚t1となる第2外周部と板厚t2(>t1)となる第3外周部の境界は、
図2,6の例に限られず、種々の態様を採ることができる。例えば、
図7に示すように、第2外周部と第3外周部の境界は、境界線B1と境界線B2の間の領域に任意に設定することできる。また、両者の境界を直線状に設ける必要はなく、曲線状に設けてもよい。第2外周部と第3外周部の境界を任意に設定しても、その境界が境界線B1−B2の間に位置していれば、境界線B1より内側の領域(請求項でいう第1領域の一例)では破断板288の板厚がt1となり、境界線B2より外側の領域(請求項でいう第2領域)では破断板288の板厚がt2となる。その結果、破断板288の中央部288bに熱が伝達されることを抑制することができる。
【0038】
また、上述した実施例では、電流遮断装置70は、第1反転板84と破断板88と第2反転板90の3枚の板材を備えていたが、電流遮断装置の構成はこのような構成に限られない。例えば、
図8に示す電流遮断装置170のように、破断板88と第2反転板90の2枚の板材によって電流遮断装置170が構成されていてもよい。
【0039】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。