特許第6194830号(P6194830)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6194830
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】容量可変型斜板式圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 27/12 20060101AFI20170904BHJP
   F04B 27/18 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
   F04B27/12 L
   F04B27/18 Z
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-59599(P2014-59599)
(22)【出願日】2014年3月24日
(65)【公開番号】特開2015-183563(P2015-183563A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2016年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】特許業務法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】山本 真也
(72)【発明者】
【氏名】仲井間 裕之
(72)【発明者】
【氏名】榊原 健吾
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 佑介
【審査官】 鈴木 貴雄
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04174191(US,A)
【文献】 特許第6136906(JP,B2)
【文献】 特開2015−175269(JP,A)
【文献】 特開昭52−131204(JP,A)
【文献】 特開昭62−225782(JP,A)
【文献】 特開平5−18355(JP,A)
【文献】 特開2001−304102(JP,A)
【文献】 特開2013−245631(JP,A)
【文献】 特開2001−207956(JP,A)
【文献】 特開平7−91366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 27/12
F04B 27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入室、吐出室、斜板室及びシリンダボアが形成されたハウジングと、前記ハウジングに回転可能に支持された駆動軸と、前記駆動軸の回転によって前記斜板室内で回転可能な斜板と、前記駆動軸と前記斜板との間に設けられ、前記駆動軸の駆動軸心に直交する方向に対する前記斜板の傾斜角度の変更を許容するリンク機構と、前記シリンダボアに往復動可能に収納されたピストンと、前記斜板の回転により、前記傾斜角度に応じたストロークで前記ピストンを前記シリンダボア内で往復動させる変換機構と、前記傾斜角度を変更可能なアクチュエータと、前記アクチュエータを制御する制御機構とを備え、
前記吸入室と前記斜板室とが連通し、
前記リンク機構は、前記駆動軸に挿通されて前記斜板室内で前記駆動軸に固定され、前記斜板と対向するラグ部材と、前記ラグ部材から前記駆動軸の回転が前記斜板に伝達される斜板アームとを有し、
前記アクチュエータは、前記ラグ部材と、前記駆動軸に挿通され、前記ラグ部材と前記斜板との間に配置されて前記斜板と一体回転可能に係合し、前記駆動軸心方向に移動して前記傾斜角度を変更可能な移動体と、前記ラグ部材と前記移動体と前記駆動軸とにより区画され、内部の圧力によって前記移動体を移動させる制御圧室とを有し、
前記移動体には、前記斜板と係合する第1作用部及び第2作用部が形成され、
前記斜板には、前記第1作用部及び前記第2作用部と係合する被作用部が形成され、
前記第1作用部、前記第2作用部及び前記被作用部は、前記駆動軸心から前記斜板における前記ピストンの上死点位置対応部側に偏心して位置し、
前記第1作用部及び前記第2作用部は、前記上死点位置対応部と前記駆動軸心とで形成される上死点面を跨いで対をなしていることを特徴とする容量可変型斜板式圧縮機。
【請求項2】
前記第1作用部から前記上死点面までの距離と、前記第2作用部から前記上死点面までの距離とは略等しい請求項1記載の容量可変型斜板式圧縮機。
【請求項3】
前記第1作用部及び前記第2作用部は、前記上死点面に対して面対称とされている請求項2記載の容量可変型斜板式圧縮機。
【請求項4】
前記第1作用部と前記第2作用部との間に前記駆動軸が存在している請求項3記載の容量可変型斜板式圧縮機。
【請求項5】
前記斜板は、前記駆動軸の外周面と前記上死点面との交線上に位置する揺動点を含む揺動軸心周りに揺動可能に設けられ、
前記第1作用部及び前記第2作用部は、前記揺動軸心と平行な母線をもつ円筒状に形成されている請求項1乃至4のいずれか1項記載の容量可変型斜板式圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容量可変型斜板式圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の容量可変型斜板式圧縮機(以下、圧縮機という。)が開示されている。この圧縮機では、ハウジングに吸入室、吐出室、斜板室及び複数個のシリンダボアが形成されている。ハウジングには、駆動軸が回転可能に支持されている。斜板室内には、駆動軸の回転によって回転可能な斜板が設けられている。駆動軸と斜板との間には、リンク機構が設けられている。リンク機構は、斜板の傾斜角度の変更を許容する。ここで、傾斜角度とは、駆動軸の駆動軸心に直交する方向に対する斜板の角度である。各シリンダボアには、ピストンが往復動可能に収納されている。変換機構は、斜板の回転により、傾斜角度に応じたストロークで各ピストンをシリンダボア内で往復動させるようになっている。また、アクチュエータが傾斜角度の変更を行う。制御機構はアクチュエータを制御する。制御機構は圧力調整弁を有している。
【0003】
リンク機構は、ラグ部材、ヒンジ球及びリンクを有している。ラグ部材は、斜板室内で駆動軸に固定されている。ヒンジ球は、駆動軸に挿通されて斜板の中心に配置されている。このヒンジ球とアクチュエータとは駆動軸心O側、すなわち、斜板の中心で係合している。リンクは、ラグ部材と斜板との間に設けられている。このリンクを介して斜板はラグ部材に揺動可能に接続されている。
【0004】
アクチュエータは、ラグ部材、移動体及び制御圧室を有している。移動体は駆動軸に挿通されており、駆動軸心方向に移動して傾斜角度を変更可能となっている。制御圧室は、ラグ部材と移動体とにより区画され、内部の圧力によって移動体を移動させる。
【0005】
この圧縮機では、制御機構が圧力調整弁によって吐出室と制御圧室とを連通させることにより、制御圧室内の圧力が上昇する。これにより、移動体が駆動軸心方向に移動してヒンジ球を押圧する。このため、この圧縮機では、傾斜角度を減少する方向に斜板がヒンジ球上を揺動する。こうして、この圧縮機では、駆動軸の1回転当たりの吐出容量を減少させることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭52−131204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来の圧縮機では、ヒンジ球とアクチュエータとが斜板の中心で係合している。このため、この圧縮機では、アクチュエータがヒンジ球を押圧する際における移動体の駆動軸方向のストロークが大きくなってしまう。このため、この圧縮機では、そのストロークを確保するために軸長を長くせざるを得ない。
【0008】
そこで、この圧縮機において、斜板の中心よりも、斜板におけるピストンの上死点対応部側に偏心して位置で、アクチュエータと斜板とを係合させることが考えられる。この場合、アクチュエータと斜板とが斜板の中心で係合する場合よりも、移動体の駆動軸方向のストロークを小さくすることができる。これにより、圧縮機の短軸化を実現することが可能となる。
【0009】
しかしながら、回転する斜板には、上死点対応部よりも回転方向の後行側において、圧縮反力が作用する。このため、単に上死点対応部側に偏心した位置において、アクチュエータが斜板を押圧する場合、斜板には、ピストンの上死点対応部と下死点対応部とを結ぶ線を回動中心とした方向に斜板を傾かせるモーメントが作用する。このため、斜板に抉りが発生し、傾斜角度を変更するに当たって、アクチュエータが駆動軸心方向に移動し難くなる。このため、この場合の圧縮機では、傾斜角度を変更し難くなり、制御性が低下する。
【0010】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、アクチュエータを用いて吐出容量を変更する圧縮機において、小型化を実現しつつ、高い制御性を発揮可能な容量可変型斜板式圧縮機を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の容量可変型斜板式圧縮機は、吸入室、吐出室、斜板室及びシリンダボアが形成されたハウジングと、前記ハウジングに回転可能に支持された駆動軸と、前記駆動軸の回転によって前記斜板室内で回転可能な斜板と、前記駆動軸と前記斜板との間に設けられ、前記駆動軸の駆動軸心に直交する方向に対する前記斜板の傾斜角度の変更を許容するリンク機構と、前記シリンダボアに往復動可能に収納されたピストンと、前記斜板の回転により、前記傾斜角度に応じたストロークで前記ピストンを前記シリンダボア内で往復動させる変換機構と、前記傾斜角度を変更可能なアクチュエータと、前記アクチュエータを制御する制御機構とを備え、
前記吸入室と前記斜板室とが連通し、
前記リンク機構は、前記駆動軸に挿通されて前記斜板室内で前記駆動軸に固定され、前記斜板と対向するラグ部材と、前記ラグ部材から前記駆動軸の回転が前記斜板に伝達される斜板アームとを有し、
前記アクチュエータは、前記ラグ部材と、前記駆動軸に挿通され、前記ラグ部材と前記斜板との間に配置されて前記斜板と一体回転可能に係合し、前記駆動軸心方向に移動して前記傾斜角度を変更可能な移動体と、前記ラグ部材と前記移動体と前記駆動軸とにより区画され、内部の圧力によって前記移動体を移動させる制御圧室とを有し、
前記移動体には、前記斜板と係合する第1作用部及び第2作用部が形成され、
前記斜板には、前記第1作用部及び前記第2作用部と係合する被作用部が形成され、
前記第1作用部、前記第2作用部及び前記被作用部は、前記駆動軸心から前記斜板における前記ピストンの上死点位置対応部側に偏心して位置し、
前記第1作用部及び前記第2作用部は、前記上死点位置対応部と前記駆動軸心とで形成される上死点面を跨いで対をなしていることを特徴とする。
【0012】
本発明の圧縮機では、移動体に第1作用部及び第2作用部が形成されており、斜板に被作用部が形成されている。そして、これらの第1作用部、第2作用部及び被作用部は、共に駆動軸心から斜板におけるピストンの上死点位置対応部側に偏心して位置している。このため、第1作用部、第2作用部及び被作用部は、斜板の上死点位置対応部側に偏心した位置で係合する。これにより、この圧縮機では、斜板の上死点位置対応部側に偏心した位置おいて、第1作用部及び第2作用部が被作用部に作用することによって、傾斜角度を変更することができる。このため、この圧縮機では、斜板の傾斜角度を変更するに際し、移動体の駆動軸方向のストロークを小さくすることができる。
【0013】
ここで、この圧縮機では、第1作用部と第2作用部とが上死点面を跨いで対をなしている。このため、この圧縮機では、傾斜角度を変更する際、上死点面を基準として、第1作用部と第2作用部とが被作用部に対して別々に作用する。これにより、この圧縮機では、第1作用部と第2作用部とによって、斜板におけるピストンの上死点位置対応部と下死点対応部とを結ぶ線を回動中心とした斜板の傾きを支えることが可能となる。このため、この圧縮機では、斜板の上死点位置対応部側に偏心した位置おいて、第1作用部及び第2作用部が被作用部に作用しても、斜板には上記のようなモーメントが作用し難い。このため、この圧縮機では、傾斜角度を変更するに当たって、アクチュエータが駆動軸心方向に移動し易くなる。これにより、この圧縮機では、傾斜角度を変更し易くなる。
【0014】
したがって、本発明の圧縮機は、アクチュエータを用いて吐出容量を変更する圧縮機において、小型化を実現しつつ、高い制御性を発揮する。
【0015】
本発明の圧縮機において、第1作用部及び第2作用部と被作用部との係合は、例えば、第1作用部及び第2作用部と被作用部とを接触させて行うことができる他、第1作用部及び第2作用部と被作用部とを連結させて行うことができる。
【0016】
第1作用部から上死点面までの距離と、第2作用部から上死点面までの距離とは略等しいことが好ましい。この場合には、例え、第1作用部と第2作用部とが異なる高さで被係合部に作用しても、斜板には上記のモーメントが作用し難い。
【0017】
第1作用部及び第2作用部は、上死点面に対して面対称とされていることが好ましい。この場合には、上死点面から第1作用部及び第2作用部がそれぞれ等しい位置において、被作用部に作用することが可能となる。このため、この圧縮機では、移動体が駆動軸心方向へより好適に移動する。
【0018】
第1作用部と第2作用部との間に駆動軸が存在していることが好ましい。この場合には、移動体の大型化を抑制しつつ、第1作用部と第2作用部との間隔を可及的に大きくすることが可能となる。これにより、この圧縮機では、移動体の大型化を抑制しつつ、第1作用部と第2作用部とによって、斜板の傾きを好適に支えることが可能となり、移動体が駆動軸心方向へ好適に移動し易くなる。これにより、圧縮機では、小型化を実現しつつ、より高い制御性を発揮することが可能となる。
【0019】
本発明の圧縮機において、斜板は、駆動軸の外周面と上死点面との交線上に位置する揺動点を含む揺動軸心周りに揺動可能に設けられ得る。そして、第1作用部及び第2作用部は、揺動軸心と平行な母線をもつ円筒状に形成されていることが好ましい。この場合には、第1作用部及び第2作用部がそれぞれ被作用部と線接触することによって係合する。このため、第1作用部及び第2作用部が被作用部に作用する際の面圧を軽減することが可能となり、移動体や斜板の耐久性を高くすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の圧縮機は、アクチュエータを用いて吐出容量を変更する圧縮機において、小型化を実現しつつ、高い制御性を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、実施例の圧縮機における最大容量時の断面図である。
図2図2は、実施例の圧縮機に係り、制御機構を示す模式図である。
図3図3は、実施例の圧縮機に係り、アクチュエータを示す要部拡大断面図である。
図4図4は、実施例の圧縮機に係り、図1におけるIV−IV方向からの要部拡大矢視断面図である。
図5図5は、実施例の圧縮機に係り、移動体等を示す拡大側面図及び拡大正面図である。図(A)は移動体等を示す拡大側面図である。図(B)は移動体等を示す後方からの拡大正面図である。
図6図6は、実施例の圧縮機における最小容量時の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。実施例の圧縮機は容量可変型片頭斜板式圧縮機である。この圧縮機は、車両に搭載されており、車両用空調装置の冷凍回路を構成している。
【0023】
図1に示すように、実施例の圧縮機は、ハウジング1と、駆動軸3と、斜板5と、リンク機構7と、複数のピストン9と、一対のシュー11a、11bと、アクチュエータ13と、図2に示す制御機構15とを備えている。
【0024】
図1に示すように、ハウジング1は、圧縮機の前方に位置するフロントハウジング17と、圧縮機の後方に位置するリヤハウジング19と、フロントハウジング17とリヤハウジング19との間に位置するシリンダブロック21と、弁形成プレート23とを有している。
【0025】
フロントハウジング17は、前方で圧縮機の上下方向に延びる前壁17aと、前壁17aと一体化され、圧縮機の前方から後方に向かって延びる周壁17bとを有している。これらの前壁17aと周壁17bとにより、フロントハウジング17は有底の略円筒形状をなしている。また、これらの前壁17aと周壁17bとにより、フロントハウジング17内には斜板室25が形成されている。
【0026】
前壁17aには、前方に向かって突出するボス17cが形成されている。このボス17c内には、軸封装置27が設けられている。また、ボス17c内には、圧縮機の前後方向に延びる第1軸孔17dが形成されている。この第1軸孔17d内には第1滑り軸受29aが設けられている。
【0027】
周壁17bには、斜板室25と連通する吸入ポート250が形成されている。この吸入ポート250を通じて、斜板室25は図示しない蒸発器と接続されている。これにより、斜板室25には、吸入ポート250を通じて蒸発器を経た低圧の冷媒ガスが流入するため、斜板室25内の圧力は、後述する吐出室35内よりも低圧となる。
【0028】
リヤハウジング19には、制御機構15の一部が設けられている。また、リヤハウジング19には、第1圧力調整室31aと、吸入室33と、吐出室35とが形成されている。第1圧力調整室31aは、リヤハウジング19の中心部分に位置している。吐出室35はリヤハウジング19の外周側に環状に位置している。また、吸入室33は、リヤハウジング19において、第1圧力調整室31aと吐出室35との間で環状に形成されている。吐出室35は図示しない吐出ポートと接続している。
【0029】
シリンダブロック21には、ピストン9と同数個のシリンダボア21aが周方向に等角度間隔で形成されている。各シリンダボア21aの前端側は斜板室25と連通している。また、シリンダブロック21には、後述する吸入リード弁41aの最大開度を規制するリテーナ溝21bが形成されている。
【0030】
さらに、シリンダブロック21には、斜板室25と連通しつつ、圧縮機の前後方向に延びる第2軸孔21cが貫設されている。第2軸孔21c内には第2滑り軸受29bが設けられている。なお、上記の第1滑り軸受29a及び第2滑り軸受29bに換えて、転がり軸受をそれぞれ採用することもできる。
【0031】
また、シリンダブロック21には、ばね室21dが形成されている。このばね室21dは、斜板室25と第2軸孔21cとの間に位置している。ばね室21d内には、復帰ばね37が配置されている。この復帰ばね37は、傾斜角度が最小になった斜板5を斜板室25の前方に向けて付勢する。また、シリンダブロック21には、斜板室25と連通する吸入通路39が形成されている。
【0032】
弁形成プレート23は、リヤハウジング19とシリンダブロック21との間に設けられている。この弁形成プレート23は、バルブプレート40と、吸入弁プレート41と、吐出弁プレート43と、リテーナプレート45とからなる。
【0033】
バルブプレート40、吐出弁プレート43及びリテーナプレート45には、シリンダボア21aと同数の吸入ポート40aが形成されている。また、バルブプレート40及び吸入弁プレート41には、シリンダボア21aと同数の吐出ポート40bが形成されている。各シリンダボア21aは、各吸入ポート40aを通じて吸入室33と連通するとともに、各吐出ポート40bを通じて吐出室35と連通する。さらに、バルブプレート40、吸入弁プレート41、吐出弁プレート43及びリテーナプレート45には、第1連通孔40cと第2連通孔40dとが形成されている。第1連通孔40cにより、吸入室33と吸入通路39とが連通している。これにより、斜板室25と吸入室33とが連通している。
【0034】
吸入弁プレート41は、バルブプレート40の前面に設けられている。この吸入弁プレート41には、弾性変形により各吸入ポート40aを開閉可能な吸入リード弁41aが複数形成されている。また、吐出弁プレート43は、バルブプレート40の後面に設けられている。この吐出弁プレート43には、弾性変形により各吐出ポート40bを開閉可能な吐出リード弁43aが複数形成されている。リテーナプレート45は、吐出弁プレート43の後面に設けられている。このリテーナプレート45は、吐出リード弁43aの最大開度を規制する。
【0035】
駆動軸3は、ボス17c側からハウジング1の後方側に向かって挿通されている。駆動軸3は、前端側がボス17c内において軸封装置27に挿通されているとともに、第1軸孔17d内において第1滑り軸受29aによって軸支されている。また、駆動軸3の後端側が第2軸孔21c内において第2滑り軸受29bによって軸支されている。こうして、駆動軸3は、ハウジング1に対して駆動軸心O周りで回転可能に支持されている。そして、第2軸孔21c内には、駆動軸3の後端との間に第2圧力調整室31bが区画されている。この第2圧力調整室31bは、第2連通孔40dを通じて第1圧力調整室31aと連通している。これらの第1、2圧力調整室31a、31bにより、圧力調整室31が形成されている。
【0036】
駆動軸3の後端にはOリング49a、49bが設けられている。これにより、各Oリング49a、49bは、駆動軸3と第2軸孔21cとの間に位置して斜板室25と圧力調整室31との間を封止している。
【0037】
また、駆動軸3には、リンク機構7と、斜板5と、アクチュエータ13とが取り付けられている。リンク機構7は、ラグプレート51と、ラグプレート51に形成された一対のラグアーム53と、斜板5に形成された一対の斜板アーム5eとからなる。このラグプレート51が本発明におけるラグ部材に相当する。なお、同図では、ラグアーム53及び斜板アーム5eについて、それぞれ一方のみを図示している。図6についても同様である。
【0038】
ラグプレート51は、略円環状に形成されている。このラグプレート51は、駆動軸3に圧入されており、駆動軸3と一体で回転可能となっている。このラグプレート51は、斜板室25内の前端側に位置しており、斜板5よりも前方に配置されて、斜板5と対向している。また、ラグプレート51と前壁17aとの間には、スラスト軸受55が設けられている。
【0039】
図3に示すように、ラグプレート51には、ラグプレート51の前後方向に延びる円筒状のシリンダ室51aが凹設されている。このシリンダ室51aは、ラグプレート51の後端面から、ラグプレート51内においてスラスト軸受55の内側となる箇所まで延びている。
【0040】
各ラグアーム53は、ラグプレート51から後方に向かって延びている。また、ラグプレート51には、各ラグアーム53の間となる位置に案内面51bが形成されている。図示を省略しているものの、案内面51bは各ラグアーム53にそれぞれ対応するように一対で形成されている。これらの案内面51bは、ラグプレート51の前端側から後端側へ向かう下り傾斜に形成されている。
【0041】
図1に示すように、斜板5は、環状の平板形状をなしており、前面5aと後面5bとを有している。前面5aには、斜板5の前方に向かって突出するウェイト部5cが形成されている。このウェイト部5cは、斜板5の傾斜角度が最大となった際にラグプレート51と当接する。また、図4に示すように、斜板5には挿通孔5dが形成されている。この挿通孔5dに駆動軸3が挿通されている。なお、図4では説明を容易にするため、各斜板アーム5e及びウェイト部5c等の図示を省略している。
【0042】
さらに、前面5aには、被作用部5fが形成されている。この被作用部5fは平坦に形成されている。図1に示すように、被作用部5fは、前面5aにおいて、駆動軸心Oから斜板5におけるピストン9の上死点位置対応部T側に偏心して位置している。
【0043】
図1に示すように、各斜板アーム5eは、前面5aに形成されている。各斜板アーム5eは、前面5aから前方に向かって延びている。
【0044】
この圧縮機では、各斜板アーム5eを各ラグアーム53の間に挿入することにより、ラグプレート51と斜板5とが連結している。これにより、各ラグアーム53から各斜板アーム5eに駆動軸3の回転が伝達され、斜板5は、ラグプレート51と共に斜板室25内で回転可能となっている。このように、ラグプレート51と斜板5とが連結することにより、各斜板アーム5eでは、それぞれの先端側が案内面51bに当接する。そして、各斜板アーム5eが案内面51bを摺動することにより、斜板5は、駆動軸心Oに直交する方向に対する自身の傾斜角度について、上死点位置対応部T側の位置をほぼ維持しつつ、図5の(B)に示す揺動軸心M周りで揺動可能となっている。この揺動軸心Mについての詳細は後述する。こうして、斜板5は、図1に示す最大傾斜角度から、図6に示す最小傾斜角度まで変更することが可能となっている。
【0045】
アクチュエータ13は、ラグプレート51と、移動体13aと、制御圧室13bとからなる。
【0046】
図1に示すように、移動体13aは駆動軸3に挿通されており、駆動軸3に摺接しつつ駆動軸心O方向で斜板室25内を前後方向に移動可能となっている。図3に示すように、この移動体13aは、駆動軸3と同軸の円筒状をなしている。この移動体13aは、第1円筒部131と、第2円筒部132と、連結部133とを有している。第1円筒部131は移動体13aの後方、つまり、斜板5に近い側に位置しており、内周面で駆動軸3と摺接可能となっている。第1円筒部131の内周面には、リング溝131aが形成されており、このリング溝131a内にはOリング49cが設けられている。第2円筒部132は、移動体13aの前方に位置している。この第2円筒部132は、第1移動体131よりも大径に形成されている。第2円筒部132の外周面には、リング溝132aが形成されており、このリング溝132a内にはOリング49dが設けられている。連結部133は第1円筒部131と第2円筒部132との間に位置しており、移動体13aの後方から前方に向かって次第に径を拡大させつつ延びている。この連結部133は、後端が第1円筒部131と連続しており、前端が第2円筒部132と連続している。
【0047】
また、図5の(B)に示すように、第1円筒部131の後端には、第1作用部134及び第2作用部135が形成されている。同図の(A)に示すように、これらの第1、2作用部134、135は、第1円筒部131の外周面から移動体13aの後方に向かって延びている。
【0048】
また、これらの第1、2作用部134、135は、同図の(B)に示すように、斜板5の上死点位置対応部Tと駆動軸心Oとで形成される上死点面Fを跨ぐように第1円筒部131に形成されている。そして、移動体13aが駆動軸3に挿通されることにより、駆動軸3は、第1作用部134と第2作用部135との間に位置している。
【0049】
さらに、第1作用部134と第2作用部135とは、上死点面Fに対して面対称となるように形成されている。これにより、第1作用部134から上死点面Fまでの距離L1と、第2作用部135から上死点面Fまでの距離L2とは等しい長さとなっている。また、第1作用部134と第2作用部135とは、駆動軸心Oからの高さが等しくなるように第1移動体131に形成されている。
【0050】
このように、移動体13aにおいて、第1作用部134と第2作用部135とは、共に第2円筒部132の内側に位置するように設けられている。より詳細には、第1作用部134と第2作用部135とは、第1円筒部131よりも外側であって、かつ、第2円筒部132の内側となる位置に設けられている。
【0051】
また、第1作用部134と第2作用部135とは、共に駆動軸心Oよりも上死点位置対応部T側に偏心して位置している。
【0052】
同図の(A)に示すように、第1、2作用部134、135の後端は、斜板5側に向かって突出する円筒状に形成されている。より具体的には、第1、2作用部134、135の後端は、揺動軸心Mと平行な母線をもつ円筒状に形成されている。この揺動軸心Mは、回転軸3の外周面と上死点面Fとの交線上に位置する揺動点Xを含んでおり、駆動軸心Oと直交する方向に延びている。
【0053】
これにより、同図の(B)において破線で示すように、第1、2作用部134、135は、それぞれ斜板5の被作用面5fに対して、揺動軸心Mと平行に線接触する。つまり、第1、2作用部134、135と被作用面5fとは、駆動軸心Oよりも上死点位置対応部T側に偏心した位置で線接触する(同図の(A)参照。)。このように第1、2作用部134、135が被案内面5fと線接触することにより、移動体13aは、ラグプレート51及び斜板5と一体回転可能となっている。
【0054】
図3に示すように、シリンダ室51aは、第2円筒部132及び連結部133を内部に進入させることにより、第2円筒部132及び連結部133を収納することが可能となっている。
【0055】
制御圧室13bは、第2円筒部132と、連結部133と、シリンダ室51aと、駆動軸3との間に形成されている。制御圧室13bと斜板室25との間は、Oリング49c、49dによって封止されている。
【0056】
駆動軸3内には、駆動軸3の後端から前端に向かって駆動軸心O方向に延びる軸路3aと、軸路3aの前端から径方向に延びて駆動軸3の外周面に開く径路3bとが形成されている。図1に示すように、軸路3aの後端は圧力調整室31に開いている。一方、図3に示すように、径路3bは、制御圧室13bに開いている。これらの軸路3a及び径路3bにより、圧力調整室31と制御圧室13bとが連通している。
【0057】
図1に示すように、駆動軸3の先端には、ねじ部3cが形成されている。駆動軸はこのねじ部3cを通じて、図示しないプーリ又は電磁クラッチと接続される。
【0058】
各ピストン9は、各シリンダボア21a内にそれぞれ収納されており、各シリンダボア21a内を往復動可能となっている。これらの各ピストン9と弁形成プレート23とによって各シリンダボア21a内には圧縮室57が区画されている。
【0059】
また、各ピストン9には、係合部9aがそれぞれ凹設されている。この係合部9a内には、半球状のシュー11a、11bがそれぞれ設けられている。各シュー11a、11bは、斜板5の回転を各ピストン9の往復動に変換している。これらの各シュー11a、11bが本発明における変換機構に相当する。こうして、斜板5の傾斜角度に応じたストロークで、各ピストン9がそれぞれシリンダボア21a内を往復動することが可能となっている。
【0060】
図2に示すように、制御機構15は、低圧通路15aと、高圧通路15bと、制御弁15cと、オリフィス15dと、軸路3aと、径路3bとで構成されている。
【0061】
低圧通路15aは、圧力調整室31と吸入室33とに接続されている。これにより、この低圧通路15aと軸路3aと径路3bとによって、制御圧室13bと圧力調整室31と吸入室33とは、互いに連通した状態となっている。高圧通路15bは、圧力調整室31と吐出室35とに接続されている。この高圧通路15bと軸路3aと径路3bとによって、制御圧室13bと圧力調整室31と吐出室35とが連通している。
【0062】
制御弁15cは低圧通路15aに設けられている。この低圧制御弁15cは、吸入室33内の圧力に基づき、低圧通路15aの開度を調整することが可能となっている。また、オリフィス15dは高圧通路15bに設けられている。
【0063】
この圧縮機では、図1に示す吸入ポート250に対して蒸発器に繋がる配管が接続されるとともに、吐出ポートに対して凝縮器に繋がる配管が接続される。凝縮器は配管及び膨張弁を介して蒸発器と接続される。これらの圧縮機、蒸発器、膨張弁、凝縮器等によって車両用空調装置の冷凍回路が構成されている。なお、蒸発器、膨張弁、凝縮器及び各配管の図示は省略する。
【0064】
以上のように構成された圧縮機では、駆動軸3が回転することにより、斜板5が回転し、各ピストン9が各シリンダボア21a内を往復動する。このため、圧縮室57がピストンストロークに応じて容積を変化させる。このため、蒸発器から吸入ポート250によって斜板室25に吸入された冷媒は、吸入通路39から吸入室33を経て圧縮室57内で圧縮される。そして、圧縮室57内で圧縮された冷媒は、吐出室35に吐出され、吐出ポートから凝縮器に吐出される。
【0065】
そして、この圧縮機では、アクチュエータ13によって斜板5の傾斜角度を変更し、ピストン9のストロークを増減させることにより、吐出容量の変更を行うことが可能である。
【0066】
具体的には、制御機構15において、図2に示す制御弁15cが低圧通路15aの開度を大きくすれば、圧力調整室31内の圧力、ひいては制御圧室13b内の圧力が吸入室33内の圧力とほぼ等しくなる。このため、斜板5に作用するピストン圧縮力によって、図3に示すように、移動体13aが駆動軸心O方向で斜板5側からラグプレート51側に向かって移動する。そして、移動体13aの前端側がシリンダ室51a内に進入する。
【0067】
また同時に、この圧縮機では、斜板5は自身に作用するピストン圧縮力及び復帰ばね37の付勢力により、各斜板アーム5eが駆動軸心Oから遠隔するように、各摺動面51bをそれぞれ摺動する。
【0068】
このため、図1に示すように、斜板5では、上死点位置対応部Tの位置をほぼ維持しつつ、斜板5におけるピストン9の下死点対応部U側が揺動軸心M周りで時計回り方向に揺動する。こうして、この圧縮機では、駆動軸3の駆動軸心Oに対する斜板5の傾斜角度が増大する。これにより、この圧縮機では、ピストン9のストロークが増大し、駆動軸3の1回転当たりの吐出容量が大きくなる。なお、図1に示す斜板5の傾斜角度がこの圧縮機における最大傾斜角度である。
【0069】
一方、図2に示す制御弁15cが低圧通路15aの開度を小さくすれば、圧力調整室31の圧力が大きくなり、制御圧室13b内の圧力が大きくなるこのため、図6に示すように、移動体13aがラグプレート51から遠隔しつつ、斜板5側に向かって駆動軸心O方向に移動する。
【0070】
これにより、図4に示すように、この圧縮機では、第1作用部134及び第2作用部135がそれぞれ斜板5を斜板室25の後方に向かって押圧する。このため、図6に示すように、各斜板アーム5eが駆動軸心Oに近接するように、各摺動面51bをそれぞれ摺動する。
【0071】
このため、斜板5は、上死点位置対応部Tの位置ほぼ維持しつつ、揺動軸心M周りで下死点対応部U側が反時計回り方向に揺動する。こうして、この圧縮機では、駆動軸3の駆動軸心Oに対する斜板5の傾斜角度が減少する。これにより、この圧縮機では、ピストン9のストロークが減少し、駆動軸3の1回転当たりの吐出容量が小さくなる。また、傾斜角度が減少することにより、斜板5は復帰ばね37に当接する。なお、図6に示す斜板5の傾斜角度がこの圧縮機における最小傾斜角度である。
【0072】
このように、この圧縮機では、第1作用部134、第2作用部135及び被作用部5fは、駆動軸心Oよりも斜板5の前面5a上死点位置対応部T側に偏心した位置で線接触する。これにより、この圧縮機では、斜板5前面5aの上死点位置対応部T側に偏心した位置おいて、第1作用部134及び第2作用部135が被作用部5fを押圧することによって、斜板5の傾斜角度を減少させることができる。このため、この圧縮機では、斜板5の傾斜角度を変更するに際し、移動体13aの駆動軸心O方向のストロークを小さくすることができる。
【0073】
また、図4に示すように、この圧縮機では、上記のように作動する際、斜板5には、上死点位置対応部Tよりも回転方向の後行側において、圧縮反力が作用する。そこで、この圧縮機において、例えば移動体13aが上死点位置対応部T側に偏心して位置で被案内面5fを一箇所で押圧する場合には、斜板5には上死点位置対応部Tと下死点対応部Uとを結ぶ線Y(図4の(B)参照)を回動中心とした方向に斜板を傾かせるモーメントM(図5の破線矢印参照)が作用する。
【0074】
この点、図5の(B)に示すように、この圧縮機では、第1作用部134と第2作用部135とが上死点面Fを跨いで対をなしている。このため、この圧縮機では、傾斜角度を減少する際、上死点面Fを基準として、第1作用部134と第2作用部135とが被作用部5fを別々に押圧する。これにより、この圧縮機では、第1作用部134と第2作用部135とによって、上死点位置対応部Tと下死点対応部Uとを結ぶ線Yを回動中心とした斜板5の傾きを支えることが可能となる。
【0075】
ここで、この圧縮機では、第1作用部134及び第2作用部135が上死点面Fに対して面対称となるように第1円筒部131に形成されている。このため、この圧縮機では、上死点面Fから第1作用部134及び第2作用部135が等しい位置において、斜板5の傾きを支えることが可能となっている。
【0076】
このため、この圧縮機では、斜板5の上死点位置対応部T側に偏心した位置おいて、第1作用部134及び第2作用部135が被作用部5fを押圧しても、斜板5には上記のようなモーメントMが作用し難い。このため、この圧縮機では、傾斜角度を減少させるに当たって、移動体13aがラグプレート51から遠隔しつつ、斜板5側に向かって駆動軸心O方向へ好適に移動し易くなっている。これにより、この圧縮機では、傾斜角度を変更し易くなっている。
【0077】
したがって、実施例の圧縮機は、アクチュエータ13を用いて吐出容量を変更する圧縮機において、小型化を実現しつつ、高い制御性を発揮する。
【0078】
特に、この圧縮機では、上記のように、第1作用部134と第2作用部135との間に駆動軸3が位置している。具体的には、第1作用部134と第2作用部135とは、第1円筒部131よりも外側であって、かつ、第2円筒部132の内側となる位置に設けられている。これにより、この圧縮機では、移動体13aの大型化を抑制しつつ、第1作用部134と第2作用部135との間隔を可及的に大きくすることが可能となっている。これにより、移動体13aの大型化、ひいては、圧縮機の大型化を抑制しつつ、第1作用部134と第2作用部135とによって、上記のような斜板5の傾きを好適に支えることが可能となっている。
【0079】
さらに、この圧縮機では、第1作用部134及び第2作用部135の各後端側が揺動軸心Mと平行な母線をもつ円筒状に形成されている。このため、この圧縮機では、第1作用部134及び第2作用部135がそれぞれ被作用部5fと線接触する。これにより、この圧縮機では、第1作用部134及び第2作用部135が斜板5を押圧する際の面圧が軽減されており、移動体13aや斜板5の耐久性が高くなっている。
【0080】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0081】
例えば、第1作用部134から上死点面Fまでの距離L1と、第2作用部135から上死点面Fまでの距離L2とを等しく維持しつつ、駆動軸心Oからの高さが第1作用部134と第2作用部135とで相違するように、第1円筒部131に形成されても良い。
【0082】
また、被作用部5fについて、斜板5の前面5aから第1、2作用部134、135に向かって突出する形状としても良い。
【0083】
さらに、制御機構15について、高圧通路15bに対して制御弁15cを設けるとともに、低圧通路15aにオリフィス15dを設ける構成としても良い。この場合には、制御弁15cによって、高圧通路15bの開度調整を行うことにより、吐出室35内の高圧によって制御圧室13bを迅速に高圧とすることができ、迅速に吐出容量の減少を行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は空調装置等に利用可能である。
【符号の説明】
【0085】
1…ハウジング
3…駆動軸
5…斜板
5e…斜板アーム
5f…被作用部
7…リンク機構
9…ピストン
11a、11b…シュー(変換機構)
13…アクチュエータ
13a…移動体
13b…制御圧室
15…制御機構
25…斜板室
33…吸入室
35…吐出室
21a…シリンダボア
51…ラグプレート(ラグ部材)
134…第1作用部
135…第2作用部
F…上死点面
M…揺動軸心
O…駆動軸心
T…上死点位置対応部
X…揺動点
図1
図2
図3
図4
図5
図6