(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
白色を構成可能な複数色の光の強度をそれぞれ検出する複数の検出部を備えるセンサに前記複数色のうち予め定められた特定色の光が入射された場合の前記複数の検出部の各検出出力と、前記特定色の光が前記センサに入射された場合に想定される前記複数の検出部による検出出力である各基準出力とを比較した比較結果に応じて前記各検出出力を補正する
ことを特徴とするセンサ回路。
白色を構成可能な複数色の光の強度をそれぞれ検出する複数の検出部を備えるセンサに前記複数色のうち予め定められた特定色の光が入射された場合の前記複数の検出部の各検出出力と、前記特定色の光が前記センサに入射された場合に想定される前記複数の検出部による検出出力である各基準出力とを比較した比較結果に応じて前記各検出出力を補正する
ことを特徴とする補正方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、センサ回路、補正方法およびプロジェクタ装置の好適な実施形態を詳細に説明する。係る実施形態に示す具体的な数値および外観構成などは、本発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本発明に直接関係のない要素は詳細な説明および図示を省略している。
【0011】
実施形態では、入射された光のR(赤)色、G(緑)色およびB(青)色それぞれの成分の強度を測定可能なカラーセンサに、R色、G色およびB色のうち特定色の成分からなる光を入射させる。ここでは、特定色としてB色の成分からなる光を当該カラーセンサに入射させるものとする。そして、B色の成分の光が入射された当該カラーセンサの、R色、G色およびB色それぞれの成分の強度を検出し、それぞれ検出値として取得する。
【0012】
一方、当該カラーセンサに対してB色の成分の光を入射させた場合に当該カラーセンサにより検出されるべき、R色、G色およびB色それぞれの成分の理想的な強度を、それぞれ基準値として予め取得しておく。基準値は、当該カラーセンサの設計値を用いることができる。これに限らず、基準値として、当該カラーセンサの設計値に使用環境を加味してシミュレートした値を用いてもよいし、複数のカラーセンサの測定値の平均値を用いてもよい。
【0013】
上述のようにして当該カラーセンサについて求めたRGB各色の各検出値と各基準値とを比較して、当該カラーセンサのRGB各色の成分それぞれについて、当該カラーセンサの各出力値に対する各補正係数を算出する。これにより、カラーセンサのRGB各色の成分の出力の、カラーセンサ個体間での特性のばらつきを抑制できる。したがって、当該カラーセンサに白色を入射させて出力される、RGB各色の成分の測定値に基づきRGB各色のバランスの調整を行う場合に、算出した各色の補正係数を、当該カラーセンサの各色の出力に対して加味することで、バランス調整を適切に実行することが可能となる。
【0014】
(第1の実施形態)
次に、第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に適用可能なカラーセンサの構造を、模式的に示す。
図1において、カラーセンサ10は、入射された光からR色、G色およびB色の成分を抽出するカラーフィルタ11R、11Gおよび11Bと、各カラーフィルタ11R、11Gおよび11Bを通過した光がそれぞれ入射される、半導体素子によるフォトセンサ部12R、12Gおよび12Bとを含む。
【0015】
各フォトセンサ部12R、12Gおよび12Bは、入射された光の強度に応じた信号を検出出力として出力する。例えば、カラーセンサ10は、各フォトセンサ部12R、12Gおよび12Bの出力をディジタル値に変換するA/D変換部を備え、各フォトセンサ部12R、12Gおよび12Bに入射された光の強度を、それぞれ16ビットのディジタル値による検出出力として出力する。
【0016】
図2は、第1の実施形態に適用可能なカラーセンサ10の検出出力の分光感度特性の例を示す。
図2では、各フォトセンサ部12R、12Gおよび12Bの検出出力に基づくRGB各色の成分に対する分光感度特性を、フォトセンサ部12Rにおけるピーク値を基準とした相対感度として示している。なお、
図2において、横軸は波長(nm)を示す。
【0017】
図2において、各特性線13R、13Gおよび13Bは、それぞれフォトセンサ部12R、12Gおよび12Bの検出出力の分光感度特性を示す。なお、例えば
図2に特性線13Rとして示されるフォトセンサ部12Rの分光感度特性は、フォトセンサ部12R自身の受光強度の波長依存特性と、カラーフィルタ11Rの分光特性とを合成したものとなる。これは、特性線13Gおよび13Bについても同様である。
【0018】
特性線13Rの例では、波長620nm付近に最大のピークがあり、そのピークの両側の波長において、ピークの波長に対して50nm程度の幅で急激に分光感度が減少している。また、ピークの波長に対して短波長側において、波長400nm付近まで、ピークの分光感度に対して数%程度の感度を有している。
【0019】
特性線13Gの例では、波長530nmおよび555nm付近にそれぞれ第1および第2のピークがあり、第1のピークから短波長側に分光感度が減少し波長400nm付近で略0%となり、また、第2のピークから長波長側に100nm程度の幅で分光感度が減少している。
【0020】
さらに、特性線13Bの例では、波長460nm付近にピークがあり、このピークから長波長側に100nm程度の幅で分光感度が減少し、580nm付近から略0%となっている。また、ピークから短波長側に分光感度が減少し、波長400nm付近で略0%となっている。
【0021】
このような分光感度特性において、各フォトセンサ部12R、12Gおよび12Bは、各特性線13R、13Gおよび13Bに示される分光感度の積分値に応じた値を出力する。例えば、フォトセンサ部12Rは特性線13Rの分光感度の積分値、フォトセンサ部12Gは特性線13Gの分光感度の積分値、フォトセンサ部12Bは特性線13Bの分光感度に積分値に応じた値を、それぞれ出力する。
【0022】
カラーセンサ10を構成する各要素のうち、カラーセンサ10の特性に影響する要素としては、下記(1)〜(3)が考えられる。
(1)カラーフィルタの波長特性(分光特性)
(2)フォトセンサ部の波長特性(分光感度特性)
(3)フォトセンサ部の受光強度に対する感度
【0023】
これらのうち、(1)のカラーフィルタの波長特性は、一般的には、個体間での特性のばらつきは少ない。同様に、(2)のフォトセンサ部の波長特性も、フォトセンサ部の材料(シリコンなど)により決定される物理的な特性であるため、個体間での特性のばらつきは極めて少ない。
【0024】
一方、(3)のフォトセンサ部の受光強度に対する感度は、個体間でのばらつきが大きい。そのため、カラーセンサ10の個体間での特性のばらつきは、(3)のフォトセンサ部の受光強度に対する感度に大きく依存する。フォトセンサ部の受光強度は、RGB各色において、例えば平均値に対して±30%程度のばらつきが含まれる。
【0025】
したがって、第1の実施形態では、(3)のフォトセンサ部の受光強度に対する感度のばらつきを補正する。ここで、上述した
図2を参照し、一例として、波長450nmにおける、各フォトセンサ部12R、12Gおよび12Bの分光感度に注目する。波長450nmは、フォトセンサ部12Bの最大のピークに近接する波長であって、フォトセンサ部12Bの相対感度は50%程度となっている。一方、波長450nmにおける相対感度は、フォトセンサ部12Rでは3%程度となり、フォトセンサ部12Gでは10%程度となっている。
【0026】
上述したように、各フォトセンサ部12R、12Gおよび12Bの検出出力が16ビットのディジタル値であるものとする。この場合、それぞれ10進表記で16ビットの最大値「65535」に対して、3%は値「1966」、10%は値「6554」として出力され、検出値として十分な精度を確保可能である。以下では、カラーセンサ10の特性を、特定色としてのB色の波長(例えば450nm)を基準波長として用いて補正するものとする。
【0027】
(第1の実施形態のより具体的な説明)
図3は、第1の実施形態に適用可能な光学系の例を模式的に示す模式図である。
図3において、光源20R、20Gおよび20Bは、それぞれR色、G色およびB色の光を射出する。各光源20R、20Gおよび20Bは、光の射出を、制御部25の制御によりオン/オフ可能とされている。
【0028】
光源20R、20Gおよび20Bから射出されたRGB各色の光は、光合成器30により1の光路に纏められて白色の光31とされ、射出される。光合成器30から射出された白色の光31は、光分割器33に入射されてRGB各色の光に分割され射出される。光分割器33から射出されたRGB各色の光は、例えば、画像データに従い光を変調するRGB各色の光変調素子(図示しない)によりそれぞれ変調されて、投射光学系(図示しない)から投射画像として射出される。
【0029】
白色の光31は、光路上に設けられた光分岐器32により、カラーセンサ10にも入射される。カラーセンサ10の各フォトセンサ部12R、12Gおよび12Bによる検出出力は、センサ回路50に入力される。センサ回路50は、例えば、白色の光31を受光したカラーセンサ10の、各フォトセンサ部12R、12Gおよび12Bによる検出出力に基づき、RGB各色の光変調素子に供給される画像データのゲインを調整することで、投射画像のカラーバランスなどを調整することができる。
【0030】
上述したように、カラーセンサ10における各フォトセンサ部12R、12Gおよび12Bの検出出力は、カラーセンサ10の個体間でのばらつきが大きい。そのため、カラーセンサ10自体のキャリブレーションを行うことが好ましい。センサ回路50は、このキャリブレーションにより、例えば各フォトセンサ部12R、12Gおよび12Bの出力ゲインを調整する。
【0031】
第1の実施形態では、カラーセンサ10のキャリブレーションを、光源20R、20Gおよび20Bのうち、光源20Bから射出されるB色の光のみを有効とし、このB色の光をカラーセンサ10に入射させることで行う。この場合、光源20Bは、基準波長に対して例えば±数nm程度の狭い帯域の光を射出可能であるものとする。このような特性の光源としては、青色を発光する半導体レーザを用いることができる。制御部25は、例えば光源20Rおよび20Gを無効とし、光源20Bを有効とする。これにより、光源20Bから出射されたB色の光のみがカラーセンサ10に入射される。制御部25は、センサ回路50に対してカラーセンサ10のキャリブレーションを実行するように指示を出す。
【0032】
センサ回路50は、この指示に従い、B色の光が入射されたカラーセンサ10の各フォトセンサ部12R、12Gおよび12Bの検出出力に基づき、各フォトセンサ部12R、12Gおよび12Bの各検出出力を補正するための補正係数R
k、G
kおよびB
kを求める。
【0033】
図4は、第1の実施形態に係るセンサ回路50の一例の構成を示す。
図4において、センサ回路50は、測定部51と、比率算出部52と、係数算出部53と、基準値記憶部54と、係数記憶部55と、係数乗算部56とを有する。
【0034】
測定部51、比率算出部52、係数算出部53および係数乗算部56は、CPU(Central Processing Unit)上で動作するプログラムにより構成してもよいし、互いに協働して動作するハードウェアにより構成してもよい。また、測定部51、比率算出部52、係数算出部53および係数乗算部56を、1のハードウェアにより構成することも可能である。基準値記憶部54および係数記憶部55は、不揮発性のメモリを適用することができる。基準値記憶部54は、センサ回路50をプログラムにより構成する場合、記憶される内容をプログラムに埋め込むことで構成してもよい。
【0035】
図4において、カラーセンサ10の各フォトセンサ部12R、12Gおよび12Bから出力された検出出力の出力値R
c、G
cおよびB
cは、測定部51および係数乗算部56に供給される。係数乗算部56は、カラーセンサ10から供給された各出力値R
c、G
cおよびB
cに、係数記憶部55に記憶されるRGB各色に対する係数R
k、G
kおよびB
kをそれぞれ乗じて各出力値R
c、G
cおよびB
cを補正して、補正された出力値R
c’、G
c’およびB
c’を出力する。
【0036】
測定部51は、カラーセンサ10から出力された各色の出力値R
c、G
cおよびB
cを取得し、レジスタなどに一時的に記憶する。比率算出部52は、測定部51により記憶された各出力値R
c、G
cおよびB
cを用いて、出力値R
c、G
cおよび出力値B
cの出力値B
cに対する比率を求める。比率算出部52は、出力値R
cと出力値B
cとの比率R
c/B
cと、出力値G
cと出力値B
cとの比率G
c/B
cと、出力値B
cと出力値B
cとの比率B
c/B
cとを、係数算出部53に対して出力する。ここで、B色の比率は、1となる。
【0037】
一方、基準値記憶部54は、カラーセンサ10から出力される各出力値R
c、G
cおよびB
cに対する基準値R
0、G
0およびB
0が予め記憶される。各基準値R
0、G
0およびB
0は、カラーセンサ10にB色の光を入射させた場合に各フォトセンサ部12R、12Gおよび12Bから出力されるべき値である。
【0038】
各基準値R
0、G
0およびB
0は、例えばカラーセンサ10の設計時の情報や、仕様書の情報に基づき取得することができる。これに限らず、各基準値R
0、G
0およびB
0は、カラーセンサ10の構造に基づきシミュレートして取得することもできる。さらに、各基準値R
0、G
0およびB
0は、複数のカラーセンサ10について各フォトセンサ部12R、12Gおよび12Bの出力値をそれぞれ測定した測定結果の各色毎の平均値を用いてもよい。
【0039】
係数算出部53は、比率算出部52から供給された各比率R
c/B
cおよびG
c/B
c、ならびに、出力値B
cと、基準値記憶部54から取得した各基準値R
0、G
0およびB
0とに基づき、カラーセンサ10の各出力値R
c、G
cおよびB
cを補正するための補正係数R
k、G
kおよびB
kをそれぞれ算出する。
【0040】
係数算出部53は、基準値記憶部54から取得した各基準値R
0、G
0およびB
0により、比率算出部52と同様にして比率R
0/B
0およびG
0/B
0を算出する。そして、係数算出部53は、算出した比率R
0/B
0およびG
0/B
0、ならびに、B色の基準値B
0に関する比率B
0/B
0(=1)と、比率算出部52から供給された各比率R
c/B
c、G
c/B
cおよびB
c/B
c(=1)との比率をそれぞれ算出し、各補正係数R
k、G
kおよびB
kとして出力する。
【0041】
下記の式(1)〜(3)は、比率算出部52および係数算出部53で行われる処理を纏めたものである。第1の実施形態においては、これら式(1)〜(3)による処理を、カラーセンサ10に特定色であるB色の光のみを入射させた状態で実行する。
R
k=(R
0/B
0)/(R
c/B
c) …(1)
G
k=(G
0/B
0)/(G
c/B
c) …(2)
B
k=(B
0/B
0)/(B
C/B
c)=1 …(3)
【0042】
係数算出部53で算出された各補正係数R
k、G
kおよびB
kは、係数記憶部55に不揮発に記憶される。
【0043】
係数乗算部56は、係数記憶部55から各補正係数R
k、G
kおよびB
kを取得する。係数乗算部56は、カラーセンサ10から出力された各出力値R
c、G
cおよびB
cに、係数記憶部55から取得した各補正係数R
k、G
kおよびB
kを乗じることで、各出力値R
c、G
cおよびB
cを補正する。係数乗算部56は、各出力値R
c、G
cおよびB
cを補正した各補正出力値R
c’、G
c’およびB
c’を、センサ回路50から出力する。
【0044】
例えば、係数乗算部56は、カラーセンサ10に白色光が入射される場合に、カラーセンサ10の各出力値R
c、G
cおよびB
cに対する各補正係数R
k、G
kおよびB
kの乗算を行う。これにより、センサ回路50は、カラーセンサ10の個体間のばらつきが抑制された状態の各補正出力値R
c’、G
c’およびB
c’を出力することができる。
【0045】
なお、カラーセンサ10の検出出力のキャリブレーションを行わない、通常の使用状態においては、センサ回路50は、例えば係数記憶部55に対する各補正係数R
k、G
kおよびB
kの記憶を行わないようにする。これに限らず、通常の使用状態において、センサ回路50は、測定部51、比率算出部52および係数算出部53の処理を停止させてもよい。
【0046】
図5は、第1の実施形態に係るセンサ回路50を適用可能なプロジェクタ装置60の一例の構成を示す。
図5において、プロジェクタ装置60は、CPU62と、ROM(Read Only Memory)63と、RAM(Random Access Memory)64と、データI/F65と、画像処理部66と、素子駆動部67と、光源制御部69と、通信I/F70と、UI(User Interface)部71とを有し、これらがバス61により互いに通信可能に接続されている。さらに、プロジェクタ装置60は、素子駆動部67に駆動される光変調素子68R、68Gおよび68Bを有する。さらにまた、プロジェクタ装置60は、カラーセンサ10を有し、検出出力を画像処理部66に供給する。
【0047】
CPU62は、例えばROM63に予め記憶されるプログラムに従い、RAM64をワークメモリとして用いて動作し、このプロジェクタ装置60の全体の動作を制御する。通信I/F70は、LAN(Local Area Network)やインターネットといったネットワークとの有線または無線による通信を制御する。UI部71は、LCD(Liquid Crystal Display)などによる表示素子と、各種ボタンやタッチパネルによる入力デバイスとを備え、ユーザに対する情報の提示や、ユーザ操作の受け付けを行う。
【0048】
データI/F65は、外部の機器との間でデータの受け渡しを行うインタフェースである。例えば、プロジェクタ装置60で投射するための画像データがこのデータI/F65を介してプロジェクタ装置60に入力される。なお、画像データは、通信I/F70を介してプロジェクタ装置60に入力してもよい。
【0049】
画像処理部66は、例えばデータI/F65から入力された画像データに対して、ガンマ補正処理、解像度変換処理、台形歪み補正処理といった所定の画像処理を施す。また、画像処理部66は、所定の画像処理を施した画像データを、RGB各色の成分それぞれの画像データR
out、G
outおよびB
outとして出力する。
【0050】
また、画像処理部66は、センサ回路50を含む。センサ回路50は、上述したように、カラーセンサ10からRGB各色の出力値R
c、G
cおよびB
cが供給される。画像処理部66は、カラーセンサ10からの各出力値R
c、G
cおよびB
cを補正したセンサ回路50の補正出力値R
c’、G
c’およびB
c’に従い各画像データR
out、G
outおよびB
outのゲインを調整して、投射画像の色補正を行う。
【0051】
素子駆動部67は、画像処理部66から供給されたRGB各色の画像データR
out、G
outおよびB
outに従い、光変調素子68R、68Gおよび68Bを駆動するための各駆動信号R
D、G
DおよびB
Dを生成する。素子駆動部67は、生成した各駆動信号R
D、G
DおよびB
Dに従い、各光変調素子68R、68Gおよび68Bを駆動する。光変調素子68R、68Gおよび68Bは、例えば反射型液晶素子や、DMD(Digital Mirror Device)を適用することができる。
【0052】
図示されない光源部20R、20Gおよび20Bから射出されたRGB各色の光がそれぞれ光変調素子68R、68Gおよび68Bに照射される。各光変調素子68R、68Gおよび68Bは、素子駆動部67から供給された各駆動信号R
D、G
DおよびB
Dに従いRGB各色の光を変調して射出する。射出されたRGB各色の光は、図示されない投射光学系を介してプロジェクタ装置60の外部に射出される。
【0053】
なお、光源部20R、20Gおよび20Bのうち光源部20Bは、B色を発光する半導体レーザを用いることが好ましい。この場合、光源部20Rおよび20Bは、B色の光により励起されてY(黄)色を発光する蛍光体と、Y色の光をR色の光とG色の光とに分離する分離部とにより構成することができる。これに限らず、光源部20Bを半導体レーザで構成し、光源部20Rおよび20Gを蛍光体ではなく、例えばLED(Light Emitting Diode)やEL(Electro Luminescence)素子、ランプなどにより構成してもよい。
【0054】
さらに、光源部20R、20Gおよび20Bのうち、光源部20Rおよび20Gの少なくとも一方を半導体レーザにより構成し、他を半導体レーザ以外の光源で構成してもよい。この場合には、半導体レーザにより構成された色の光源の光に基づき、カラーセンサ10のキャリブレーションを実行する。
【0055】
ここで、光源部20Bとしてレーザ光源を用いる効果について概略的に説明する。レーザ光源以外の一般的な光源は、使用環境の変化や経時変化による特性劣化の影響により、発光スペクトルのシフトや光度の低下が発生する場合がある。この場合、この光源を用いて正しくキャリブレーションを実行することが困難になる。そこで、発光波長が単一波長に近く、且つ、経時変化による波長シフトや光度低下が小さい光源を選択して第1の実施形態の構成に適用することで、様々な条件下において高精度にキャリブレーションを実行することが可能となる。
【0056】
このような、発光波長が単一波長に近く、且つ、経時変化による波長シフトや光度低下が小さい光源の例として、レーザ光源が挙げられる。この場合、レーザ光源の種類としては、上述した半導体レーザの他にも、固体レーザ、気体レーザ、液体レーザなどがある。
【0057】
光源制御部69は、CPU62の指示に従い、各光源部20R、20Gおよび20Bの有効/無効を制御する。光源制御部69は、各光源部20R、20Gおよび20Bによる光の射出のオン/オフを切り替えることで有効/無効を制御してもよいし、各光源部20R、20Gおよび20Bから射出される光を遮断する機構を制御して、有効/無効を制御してもよい。この各光源部20R、20Gおよび20Bの有効/無効の制御は、CPU62の指示に限らず、例えばユーザの操作に応じて行ってもよい。
【0058】
図6は、上述した構成において実行される、第1の実施形態に係るカラーセンサ10のキャリブレーション処理を示す一例のフローチャートである。このフローチャートによるキャリブレーション処理は、例えば、プロジェクタ装置60の工場出荷時など初期設定の時点で行われる。これに限らず、UI部71に対するユーザ操作に応じてキャリブレーション処理を実行してもよいし、予め定められた期間毎にキャリブレーション処理を実行してもよい。
【0059】
ステップS10で、基準値記憶部54に対して各基準値R
0、G
0およびB
0が記憶される。このステップS10の処理は、例えばこのプロジェクタ装置60の工場出荷時などの初期設定時に実行される。
【0060】
次のステップS11で、光源制御部69は、光源部20R、20Gおよび20Bのうち、光源部20Bから射出されるB色の光のみを有効とする。次のステップS12で、センサ回路50は、測定部51により、カラーセンサ10から出力された各出力値R
c、G
cおよびB
cを取得し、B色の光のみが入射されたカラーセンサ10による、RGB各色の強度の測定を行う。
【0061】
次のステップS13で、センサ回路50は、係数算出部53により、測定部51により測定されたカラーセンサ10の各出力値R
c、G
cおよびB
cと、基準値記憶部54に記憶される各基準値R
0、G
0およびB
0とを比較する。すなわち、センサ回路50は、比率算出部52により、測定部51で取得された各出力値R
c、G
cおよびB
cに基づき比率R
c/B
cおよびG
c/B
cを求める。また、センサ回路50は、係数算出部53により、基準値記憶部54に記憶される各基準値R
0、G
0およびB
0に基づき比率R
0/B
0およびG
0/B
0を求める。そして、センサ回路50は、係数算出部53により、比率R
c/B
cおよびG
c/B
cと比率R
0/B
0およびG
0/B
0とを比較すると共に、出力値B
cおよび基準値B
0に係る比率B
c/B
c--(=1)とB
0/B
0--(=1)とを比較する。
【0062】
次のステップS14で、センサ回路50は、係数算出部53により、ステップS13の比較結果に基づき上述した(1)〜(3)の計算を行い、RGB各色の補正係数R
k、G
kおよびB
kを算出する。そして、次のステップS15で、センサ回路50は、ステップS14で係数算出部53により算出された各補正係数R
k、G
kおよびB
kを係数記憶部55に記憶させる。センサ回路50は、係数乗算部56により、このようにして係数記憶部55に記憶された各補正係数R
k、G
kおよびB
kを用いてカラーセンサ10の各出力値R
c、G
cおよびB
cを補正する。
【0063】
このように、第1の実施形態では、カラーセンサ10に所定の波長の光を入射させた際の、RGB各色の各出力値R
c、G
cおよびB
cを、予め求めた基準値R
0、G
0およびB
0と比較することで、カラーセンサ10の各出力値R
c、G
cおよびB
cの補正を行っている。そのため、カラーセンサ10による各出力値R
c、G
cおよびB
cの、カラーセンサ10間での個体差を、簡易な構成で抑制可能である。
【0064】
なお、カラーセンサ10の検出出力のキャリブレーションを行わない通常の使用状態において、センサ回路50は、係数記憶部55に対する補正係数R
k、G
kおよびB
kの記憶を停止させる、または、測定部51、比率算出部52および係数算出部53の動作を停止させるように、例えばCPU62に制御される。この場合、画像処理部66は、センサ回路50から出力された補正出力値R
c’、G
c’およびB
c’に従い、例えば各画像データR
out、G
outおよびB
outのゲインを調整する。
【0065】
なお、上述では、センサ回路50を独立したハードウェアにより構成されるように説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、センサ回路50を、CPU62上で動作するプログラムにより構成することも可能である。この場合、カラーセンサ10の各検出出力は、バス61を介してCPU62に供給される。
【0066】
センサ回路50の機能を実現するプログラムは、ネットワークを介して接続されたコンピュータ上に格納し、当該ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成される。また、センサ回路50の機能を実現するプログラムを、当該ネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。このプログラムを、ROM63に予め記憶させて提供することもできる。
【0067】
これに限らず、当該プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。この場合、例えばデータI/F65に接続された外部のドライブ装置を介して、当該プログラムがプロジェクタ装置60’に供給される。
【0068】
当該プログラムは、例えば、測定部51、比率算出部52および係数算出部53を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU62が例えばROM63から当該プログラムを読み出して実行することにより測定部51、比率算出部52および係数算出部53が主記憶装置(例えばRAM64)上にロードされ、測定部51、比率算出部52および係数算出部53が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0069】
なお、センサ回路50に含まれる基準値記憶部54および係数記憶部55は、例えばROM63を利用することができる。
【0070】
(第1の実施形態の第1の変形例)
次に、第1の実施形態の第1の変形例について説明する。上述した第1の実施形態では、センサ回路50が画像処理部66に含まれるものとして説明したが、これはこの例に限定されない。第1の実施形態の第1の変形例は、センサ回路50を独立した構成とした例である。
【0071】
図7は、第1の実施形態の第1の変形例に係るプロジェクタ装置60’の一例の構成を示す。なお、
図7において、上述した
図5と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0072】
図7に例示されるプロジェクタ装置60’において、センサ回路50は、バス61を介してCPU62と接続される。また、画像処理部66’は、センサ回路50を含まない構成とされる。換言すれば、画像処理部66は、一般的なプロジェクタ装置に用いられる画像処理部と同等の構成により実現可能である。
【0073】
このような構成において、カラーセンサ10の検出出力のキャリブレーションを行わない通常の使用状態において、例えばCPU62は、センサ回路50に対して、係数記憶部55に対する補正係数R
k、G
kおよびB
kの記憶を停止させる、または、測定部51、比率算出部52および係数算出部53の動作を停止させるなどの制御を行う。そして、CPU62は、センサ回路50から出力された補正出力値R
c’、G
c’およびB
c’を、画像処理部66’に供給する。画像処理部66’は、供給された補正出力値R
c’、G
c’およびB
c’に従い、例えば各画像データR
out、G
outおよびB
outのゲインを調整する。
【0074】
一方、カラーセンサ10の検出出力のキャリブレーションを実行する場合には、CPU62は、例えば光源制御部69を、B色の光のみがカラーセンサ10に入射され、R色およびG色の光がカラーセンサ10に入射されないように制御する。また、CPU62は、センサ回路50に対して、係数記憶部55に対する補正係数R
k、G
kおよびB
kの記憶を実行させる、または、測定部51、比率算出部52および係数算出部53の動作を実行させるなどの制御を行う。
【0075】
第1の実施形態の第1の変形例によれば、センサ回路50をプロジェクタ装置60’のオプションとして構成することができる。例えば、プロジェクタ装置60’のユーザは、センサ回路50をプロジェクタ装置60’に組み込むか否かを選択できる。
【0076】
(第1の実施形態の第2の変形例)
上述した第1の実施形態およびその変形例では、センサ回路50において、係数算出部53は、カラーセンサ10のB色光入射時の各出力値R
c、G
cおよびB
cの出力値B
cに対する比と、比率算出部52から出力された各基準値R
0、B
0およびB
0の基準値B
0に対する比とを用いて、各係数R
k、G
kおよびB
kを求めていた。
【0077】
ここで、例えば、各出力値R
c、G
cおよびB
cが、各基準値R
0、G
0およびB
0間の比率を保ったまま、レベルの異なる値になっている場合について考える。これはすなわち、R
c=R
0/2、G
c=G
0/2、B
c=B
0/2のような場合に相当する。この場合、上述した式(1)〜(3)によれば、各補正係数R
k、G
kおよびB
kは、それぞれ値が「1」となり、カラーセンサ10の各色の出力は、実質的には補正されないことになる。したがって、例えばカラーセンサ10に白色光を入射させた場合のセンサ回路50の各色の補正出力値R
c’、G
c’およびB
c’は、実際に入射される光の強度よりも小さい値となってしまう。
【0078】
そこで、第1の実施形態の第2の変形例では、カラーセンサ10で検出される各色の光強度の絶対値をさらに補正する。
図8は、第1の実施形態の第2の変形例に係るセンサ回路の一例の構成を示す。
図8において、センサ回路50’は、
図4で示した構成に対して、絶対値係数算出部57が追加されている。なお、
図8において、上述した
図4と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。また、比率算出部52および係数算出部53の動作は、
図4を用いて説明した動作と同一なので、ここでの説明を省略する。
【0079】
絶対値係数算出部57は、測定部51から各色の出力値R
c、G
cおよびB
cを取得する。また、絶対値係数算出部57は、基準値記憶部54から各色の基準値R
0、G
0およびB
0を取得する。絶対値係数算出部57は、これら出力値R
c、G
cおよびB
cと、基準値R
0、G
0およびB
0とを用いて、各色の光強度の絶対値を補正するための絶対値補正係数R
a、G
aおよびB
aを算出する。
【0080】
絶対値係数算出部57は、例えば下記の式(4)〜(6)に従い、各出力値R
c、G
cおよびB
cと各基準値R
0、G
0およびB
0との比を計算して、各絶対値補正係数R
a、G
aおよびB
aを算出する。
R
a=R
0/R
c …(4)
G
a=G
0/G
c …(5)
B
a=B
0/B
c …(6)
【0081】
絶対値係数算出部57により算出された各色の絶対値補正係数R
a、G
aおよびB
aは、係数記憶部55’に不揮発に記憶される。なお、係数記憶部55’には、係数算出部53で算出された各色の各補正係数R
k、G
kおよびB
kも記憶される。
【0082】
係数乗算部56’は、係数記憶部55’から各補正係数R
k、G
kおよびB
kと、各絶対値係数R
a、G
aおよびB
aとを取得する。係数乗算部56’は、例えば白色光が入射されたカラーセンサ10から出力された各出力値R
c、G
cおよびB
cに、係数記憶部55’から取得した各補正係数R
k、G
kおよびB
kと、各絶対値係数R
a、G
aおよびB
aとを乗じる。これにより、係数乗算部56’は、各出力値R
c、G
cおよびB
cを各色の光強度の比率と絶対値とに基づき補正した各補正出力値Rc”、Gc”およびBc”を、センサ回路50’から出力する。
【0083】
このように、第1の実施形態の第2の変形例では、カラーセンサ10の各出力値R
c、G
cおよびB
cを各色の光強度の比率と絶対値とに基づき補正することができ、センサ回路50’の出力の精度を向上させることが可能である。
【0084】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、上述した第1の実施形態によるセンサ回路50およびカラーセンサ10を、より具体的な光学系に適用した場合の例である。なお、第2の実施形態において、カラーセンサ10およびセンサ回路50を含むプロジェクタ装置60の構成は、
図1〜
図6を用いて説明した構成を共通に適用可能であるので、ここでの説明を省略する。
【0085】
第2の実施形態では、RGB各色の光を射出する光源部として、B色光を射出する半導体レーザ(以下、青色レーザと呼ぶ)と、B色の光に励起されてY(黄)色の光を発光する蛍光体とを用いる。すなわち、Y色は、R色とG色との合成色であるため、蛍光体から射出されたY色の光を、ダイクロイックミラーなどを用いてR色の光とG色の光とに分離する。
【0086】
図9は、第2の実施形態に適用可能な蛍光体が塗布された蛍光体ホイールの一例の構成を示す。
図9において、蛍光体ホイール600は、ミラー状の表面に、同心円状に蛍光体面601が形成される。蛍光体面601は、B色の波長帯域の光により励起されて、Y色の光を発光する蛍光体が塗布されてなる。なお、加色法においてY色はG色とR色とを混合して得られるので、蛍光体面601で発光されるY色の光は、R色成分とG色成分とを含む。蛍光体ホイール600は、中心点603を回転軸として、図示されないモータにより回転駆動される。蛍光体ホイール600を回転させることで、B色の光の照射による蛍光体面601へのダメージが軽減され、蛍光体面601の寿命を延ばすことができる。
【0087】
図10は、第2の実施形態に適用可能な、青色レーザと蛍光体ホイール601とを用いた光源部の一例の構成を示す。
図10(a)は、光源部の正面図、
図10(b)は、
図10(a)の構成を矢印「A」の方向から見た側面図である。以下、特に記載のない限り、
図10(a)および
図10(b)を纏めて
図10として説明する。また、以下では、「B色の光」を「B光」とし、同様に、「Y色の光」を「Y光」、「R色の光」を「R光」、「G色の光」を「G光」として記述する。
【0088】
図10において、1以上の青色レーザ素子を含む光源500から射出されたB光は、集光レンズ501を介して分割ミラー502に入射する。光源500は、
図3における光源20Bに対応する。分割ミラー502は、入射されたB光を、第1のB光および第2のB光に分割する。以下では、図面において識別容易なように、第1のB光をB
1光、第2のB光をB
2光と記述する。
【0089】
分割ミラー502で反射されて分割されたB
2光は、レンズ503、ミラー504、ミラー506、レンズ507およびミラー508により構成されるリレー光学系を介してダイクロイックミラー505の第2面に入射される。ダイクロイックミラー505は、B光の波長帯域の光を反射し、B光の波長帯域よりも長波長の帯域の光(例えば赤色光や緑色光)を透過させる特性を備える。
【0090】
このリレー光学系上の光路は、第1の平面上に構成される。これに限らず、リレー光学系上の光路を、第1の平面上と、第1の平面と平行な他の平面上とに構成してもよい。
【0091】
一方、分割ミラー502を透過して分割されたB
1光は、ダイクロイックミラー505の第1面に入射される。ダイクロイックミラー505は、入射された光を、第1の平面に対して交わる方向に反射するように設けられる。
図10(a)の例では、ダイクロイックミラー505は、光源500から射出され分割ミラー502で透過して分割されたB
1光が反射された反射光が、
図10(a)の手前側から奥側に向けた光路に沿って進むように設けられる。すなわち、ダイクロイックミラー505で反射された光による光路は、第1の平面に対して互いに交わる第2の平面上に構成される。
【0092】
ダイクロイックミラー505で反射されたB
1光は、集光レンズ509および510を介して、中心点603を回転軸としてモータ602により回転駆動される蛍光体ホイール600に入射され、蛍光体面601を照射する。蛍光体面601は、B
1光の照射により、Y光を発光する。上述したように、Y光は、R光およびG光に分離できるので、蛍光体面601は、
図3の光源20Rおよび20Gに対応すると考えることができる。
【0093】
なお、分割ミラー502とダイクロイックミラー505との間に、拡散板を配置することができる。これにより、蛍光体面601においてB
1光が分散されて照射され、蛍光体のダメージが抑制され蛍光体の信頼性が向上されると共に、蛍光体の励起効率を高めることができる。
【0094】
蛍光体面601で発光されたY光は、集光レンズ510および509を介してダイクロイックミラー505の第1面に入射される。このY光は、ダイクロイックミラー505を透過して、ダイクロイックミラー505の第2面から射出される。
図10(a)の例では、ダイクロイックミラー505の位置において、奥側から手前側に向けてY光が射出されることになる。
【0095】
ここで、上述したように、ダイクロイックミラー505の第2面には、B
2光がリレー光学系を介して入射されている。このB
2光は、ダイクロイックミラー505の第2面により反射され、Y光と同じ方向に射出される。すなわち、B
2光の光路は、ダイクロイックミラー505により、第1の平面上の光路から第2の平面上の光路へと、方向が変換される。このようにして、ダイクロイックミラー505から、Y光およびB
2光が射出される。
【0096】
なお、上述では、ダイクロイックミラー505が、B
1光をリレー光学系による光路の面と垂直な方向に反射させるように説明したが、これはこの例に限定されない。すなわち、ダイクロイックミラー505がB
1光を他の角度で反射させるように配置することも可能である。
【0097】
図11は、第2の実施形態に適用可能な、
図10の光源部の構成を含むプロジェクタ装置60の光学系の一例の構成を示す。なお、
図11において、
図5および
図10と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0098】
図10を用いて説明したようにして、ダイクロイックミラー505からB光(B
2光)とY光とが射出される。これらY光およびB光は、ミラー111で反射され方向を変更される。
【0099】
ミラー111から射出されたY光およびB光は、1の光路に纏められて、フライアイレンズ112および113と、偏光変換素子90とを介してレンズ114に入射される。すなわち、フライアイレンズ112および113と、偏光変換素子90とを通過する光は、B光とY光とが合成された白色の光となっている。
【0100】
フライアイレンズ112および113は、Y光およびB光に基づく各光を後述する各光変調素子68B、68Gおよび68Rに照射する際に、各光が各光変調素子68B、68Gおよび68Rに均一に照射されるように分散させる均一照明光学系を構成する。偏光変換素子90は、通過する光のS偏光とP偏光とを変換する。
【0101】
Y光およびB光は、レンズ114から射出され、B光とY光とを分離する光分離器115に入射される。光分離器115は、例えばB光の波長帯域の光を反射しY光の波長帯域の光を透過させる第1のダイクロイックミラーと、Y光の波長帯域の光を反射しB光の波長帯域の光を透過させる第2のダイクロイックミラーとを含む。光分離器115で分離されたB光は、光分離器115から射出されてミラー116に入射される。また、光分離器115で分離されたY光は、光分離器115から射出されてミラー121に入射される。
【0102】
ミラー116に入射されたB光は、レンズ117を介して反射型偏光板118に入射される。反射型偏光板118は、S偏光およびP偏光のうち一方の偏光を透過し、他方の偏光を反射する。ここでは、レンズ117から射出されたB光がS偏光であり、光変調素子68Bで反射された光がP偏光であって、反射型偏光板118がS偏光を透過し、P偏光を反射する特性を有するものとする。
【0103】
反射型偏光板118を透過したB光は、光変調素子68Bに入射される。光変調素子68Bは、素子駆動部67から出力される駆動信号B
Dに従い駆動され、入射された光を画素毎に変調および反射して射出する。光変調素子68Bで駆動信号B
Dに応じて画素毎に変調されたB光は、反射型偏光板118で反射されて方向を変更されて射出され、光合成プリズム120に第1の面から入射される。
【0104】
光分離器115で分離されミラー121に入射されたY光は、ミラー121で反射され方向を変更されてミラー121から射出される。ミラー121から射出されたY光は、色成分分離器122に入射され、Y光から緑色光成分と赤色光成分とが分離される。例えば、色成分分離器122は、緑色光の波長帯域の光を反射し、赤色光の波長帯域の光を透過させるダイクロイックミラーを用いて構成される。
【0105】
色成分分離器122でY光から分離されたG光は、レンズ123を介して反射型偏光板124に入射される。上述のB光と同様に、G光がS偏光であるものとし、G光は、反射型偏光板124を透過して、素子駆動部67から出力される駆動信号G
Dに従い駆動される光変調素子68Gに入射される。光変調素子68Gは、入射されたG光を駆動信号G
Dに応じて画素毎に変調および反射して射出する。光変調素子68Gから射出されたG光は、反射型偏光板124で反射されて光合成プリズム120に第2の面から入射される。
【0106】
色成分分離器122でY光から分離されたR光は、レンズ126を介して反射型偏光板127に入射される。上述のB光と同様に、R光がS偏光であるものとし、R光は、反射型偏光板127を透過して、素子駆動部67から出力される駆動信号R
Dに従い駆動される光変調素子68Rに入射される。光変調素子68Rは、入射されたR光を駆動信号R
Dに応じて画素毎に変調および反射して射出する。光変調素子68Rから射出されたR光は、反射型偏光板127で反射されて光合成プリズム120に第3の面から入射される。
【0107】
光合成プリズム120は、それぞれ第1の面、第2の面および第3の面から入射されたB光、G光およびR光を合成して、ひとまとまりの光束として第4の面から射出する。光合成プリズム120から射出されたR光、G光およびB光を含む光束は、投射光学系129を介して外部に射出される。
【0108】
上述の構成に対し、カラーセンサ10が偏光変換素子90の側面に、受光面が偏光変換素子90の側面からの漏れ光を受光可能に配置される。したがって、カラーセンサ10は、偏光変換素子90を通過する、Y光およびB光が合成された白色の光が入射される。このように、カラーセンサ10を、光学素子の漏れ光を受光するように配置することで、投射光学系129から射出される光の光量を低下させること無く、光源光の検出を行うことができる。
【0109】
これに限らず、白色光の光路、すなわち、ダイクロイックミラー505からミラー111に至る光路、あるいは、ミラー111から光分離器115に至る光路上に小型のミラーを配置して、このミラーで反射された光をカラーセンサ10に入射させてもよい。また、当該光路上に直接的にカラーセンサ10を配置することも考えられる。但し、これらの場合、投射光学系129から射出される光の光量が、若干低下してしまうおそれがある。
【0110】
(カラーセンサのキャリブレーション)
上述したように、カラーセンサ10の検出出力に対してキャリブレーションを実行する際には、カラーセンサ10にB光のみを入射させる必要がある。第2の実施形態では、
図10を用いて説明した光源部の構成にB光を射出する青色レーザを追加して配置することで、カラーセンサ10に対するB光のみの入射を実現している。
【0111】
図12は、第2の実施形態に係る、B光を射出する青色レーザを追加した光源部の構成の例を示す。なお、
図12において、上述した
図10と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0112】
図12において、青色レーザ80がB
2光の光路上に追加して設置されている。より具体的には、
図12の例では、青色レーザ80がミラー508がB
2光を射出する光路上に設置されている。青色レーザ80から射出されたB光は、集光レンズ501’を介してダイクロイックミラー505に入射される。
【0113】
この場合、カラーセンサ10の検出出力に対するキャリブレーションを実行する際には、青色レーザ80からB光を射出し、光源500によるB光の射出を停止する。例えば、CPU62は、光源制御部69に対して、青色レーザ80の発光をオン、光源500の発光をオフに制御するように指示を出す。これにより、蛍光体ホイール600に対するB
1光の照射が行われず、蛍光体面601からY光が射出されない。したがって、カラーセンサ10に対して、青色レーザ80から射出されたB光のみが入射されるようになる。これにより、第1の実施形態で説明したようにして、カラーセンサ10の検出出力のキャリブレーションが実行可能となる。
【0114】
なお、このような、青色レーザ80を追加して設置する構成の場合、光源500は、蛍光体ホイール600にB
1光を照射するために専用に用いることができるため、
図12においてミラー502、504、506および508を省略することが可能である。
【0115】
すなわち、光源500から射出されたB光は、ダイクロイックミラー505により反射されて蛍光体ホイール600に照射される。このB光は、蛍光体ホイール600において蛍光体面601に照射され、蛍光体面601において励起されて発光されたY光がダイクロイックミラー505を通過してミラー111に向けて射出される。また、青色レーザ80から射出されたB光は、ダイクロイックミラー505により反射されてミラーに向けて射出される。
【0116】
光源部の構成を
図10の例のままとして、青色レーザ80は、カラーセンサ10のキャリブレーション時にのみ、設置されるようにしてもよい。例えば、プロジェクタ装置60の工場出荷時にのみ、
図12に示されるようにして青色レーザ80を設置し、青色レーザ80の発光をオン、光源500の発光をオフとしてカラーセンサ10の検出出力のキャリブレーションを実行する。
【0117】
(第2の実施形態の変形例)
次に、第2の実施形態の変形例について説明する。上述の第2の実施形態では、追加設置した青色レーザ80により、カラーセンサ10に対してB光のみが入射されるようにしている。これに対して、第2の実施形態の変形例では、蛍光体ホイール600からY光が射出されないように、若しくは、蛍光体ホイール600から射出されるY光を遮断することで、カラーセンサ10にB光のみが入射されるようにする。
【0118】
図13は、第2の実施形態の変形例に係る、蛍光体ホイール600に対するB
1光の照射を遮断する遮光板を追加した光源部の構成の例を示す。なお、
図13において、上述した
図10と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0119】
図13において、ダイクロイックミラー505と蛍光体ホイール600との間に、遮光板81が設置される。より具体的には、
図13の例では、遮光板81は、ダイクロイックミラー505と集光レンズ509との間に設置される。このように遮光板81を設置することで、B
1光が蛍光体ホイール600に照射されず、蛍光体面601においてY光が発光されない。
【0120】
したがって、光源500から射出され分割ミラー502で分割されたB
2光のみがミラー111に向けて射出されて、カラーセンサ10に対して入射される。これにより、第1の実施形態で説明したようにして、カラーセンサ10の検出出力のキャリブレーションが実行可能となる。
【0121】
遮光板81は、カラーセンサ10による検出出力のキャリブレーションを行わない場合は、ダイクロイックミラー505から蛍光体ホイール600への光路上に設置しない。例えば、遮光板81の開閉機構を設け、光源制御部69によりこの開閉機構を制御することが考えられる。これに限らず、カラーセンサ10の検出出力のキャリブレーションを実行する際に、マニュアル操作により遮光板81を設置してもよい。例えば、遮光板81を設置すべき位置に溝など遮光板81を保持するための構造を設け、カラーセンサ10の検出出力のキャリブレーションを実行する際に、この保持構造に遮光板81を保持させる。遮光板81は、キャリブレーションが完了した後に保持構造から取り除くようにする。