(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
トレッド面にタイヤ周方向に延在する縦溝がタイヤ幅方向に間隔をおいて複数設けられると共に前記縦溝と交差する方向に延在する横溝がタイヤ周方向に間隔をおいて複数設けられ、それら縦溝と横溝により複数のブロックが区画され、前記ブロックにタイヤ幅方向に延在するサイプが設けられた空気入りタイヤにおいて、
タイヤ赤道を中心とするトレッド接地幅のX%(30≦X≦70)のトレッドセンター領域に配置される前記ブロックは、タイヤ幅方向の寸法に対するタイヤ周方向の寸法の比であるブロック比率が1.5以上でタイヤ周方向に細長に形成され、
前記トレッドセンター領域に配置される前記ブロックに設けられた前記サイプの長手方向の少なくとも一方の端部は前記縦溝に連通しており、
前記縦溝に連通する前記サイプの長手方向の一方の端部で、前記サイプを構成する互いに対向するサイプ壁面に、互いに噛み合い可能な凸部と凹部とが設けられており、
前記凸部と前記凹部とは、前記サイプの長手方向の一方の端部のみに設けられ、
前記ブロックにおいてタイヤ周方向に隣り合う前記サイプは、前記ブロックの幅方向の一方の端部において、前記凸部と前記凹部とが設けられる前記サイプの端部と、前記凸部と前記凹部とが設けられない前記サイプの端部とが、交互に位置するように配置されている、
ことを特徴とする空気入りタイヤ。
前記トレッド面に、前記ブロックがタイヤ周方向に並べられて構成されたブロック列が、タイヤ幅方向に間隔をおいて複数設けられ、前記トレッドセンター領域に配置される前記ブロックは、タイヤ赤道を含む箇所に配置される少なくとも1つのブロック列を構成するブロックである、
ことを特徴とする請求項1または2記載の空気入りタイヤ。
前記ブロックにおいてタイヤ周方向に隣り合う前記サイプは、前記ブロックの幅方向の一方の端部において、前記凸部と前記凹部とが設けられる前記サイプの端部と、前記凸部と前記凹部とが設けられない前記サイプの端部とが、交互に位置するように配置されている、
ことを特徴とする請求項10記載の空気入りタイヤ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施の形態)
図1に示すように、空気入りタイヤ(本実施の形態ではスタッドレスタイヤ)10のトレッド面12に、タイヤ周方向に延びる複数の縦溝14が設けられると共に縦溝14に交差する複数の横溝16が設けられ、トレッド面12には、それら縦溝14と横溝16により複数のブロック18が区画されている。そして、それらブロック18によりタイヤ周方向に延在するブロック列18Aが、タイヤ幅方向に間隔をおいて複数設けられている。
図2、
図3に示すように、ブロック18のトレッド面12には、タイヤ幅方向に延びる複数のサイプ20がタイヤ周方向に間隔をおいて複数設けられている。
【0012】
トレッド面12が路面と接地するトレッド接地面は、タイヤ幅方向の中央に位置するトレッドセンター領域22と、その両側のトレッドショルダー領域24とを有している。
図1、
図3に示すように、タイヤ赤道Cを中心とするトレッド接地幅TWのX%(30≦X≦70)のトレッドセンター領域22に配置されるブロック18は、タイヤ幅方向の寸法S2に対するタイヤ周方向の寸法S1の比であるブロック比率(S1/S2)が1.5以上となるように形成され、タイヤ周方向に細長に形成されている。
【0013】
本実施の形態では、
図1に示すように、トレッドセンター領域22は、タイヤ赤道Cを中心とするトレッド接地幅TWの70%の領域であり、トレッドセンター領域22の両側のトレッドショルダー領域24は、それぞれトレッド接地幅TWの15%の領域となる。 従って、本実施の形態では、タイヤ赤道Cの両側の2つのブロック列18Aを構成する
ブロック18が対象となっている。
【0014】
ここで、タイヤ赤道Cを中心とするトレッド接地幅TWの70%以下のトレッドセンター領域22に配置されるブロック18を対象としたのは、この領域に配置されるブロック18は、トレッドショルダー領域24に設けられるラグ溝の影響を受けず、ドライ路面における操縦安定性を維持する上で有利となり、雪氷路面、ウェット路面におけるトラクション性能を向上する上で有利となるためである。
【0015】
また、ブロック比率(S1/S2)を1.5以上としたのは、ブロック18の剛性を確保し、ドライ路面における操縦安定性を維持しつつ、雪氷路面、ウェット路面におけるトラクション性能を向上させるためである。ブロック比率(S1/S2)を2.0以上とすると、ブロック18の長さが大きくなる分、トレッドセンター領域22のブロック18の剛性が確保され、ドライ路面における操縦安定性を維持する上でより有利となり、また、サイプ20により雪氷路面、ウェット路面におけるトラクション性能を向上させる上でより有利となる。なお、ブロック比率(S1/S2)が4.0を超えると、ドライ路面における操縦安定性、雪氷路面、ウェット路面におけるトラクション性能についての効果が変わらなくなる。
【0016】
例えば、本発明が適用される周方向に最も長いブロック18は、ブロック18の延在方向の両端に横溝16が位置していることから、タイヤユニフォーミティなどを考慮すると、トレッド面12におけるタイヤ外周のほぼ1/2となり、ブロック比率(S1/S2)の上限値はタイヤの直径が大きくなるほど大きくなり、タイヤの直径に応じて異なる。
【0017】
ここで、トレッド接地幅TW(タイヤ接地幅TW)とは、空気入りタイヤを正規リムにリム組みし、かつ正規内圧を充填するとともに正規荷重の70%をかけたとき、この空気入りタイヤのトレッド面12が路面と接地する領域であるタイヤ接地域(トレッド接地面)のタイヤ幅方向の最大幅である。
【0018】
なお、正規リムとは、JATMAで規定する「標準リム」、TRAで規定する「Design Rim」、あるいは、ETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、正規内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。また、正規荷重とは、JATMAで規定する「最大負荷能力」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「LOAD CAPACITY」である。
【0019】
サイプ20の幅は、エッジ効果、排水性能を有効に発揮させるため、0.3mm以上1.5mm以下が好ましい。
【0020】
本実施の形態では、サイプ20は、互いに対向するサイプ壁面が平面で形成されトレッド面12から見て振幅のない直線状サイプである。なお、トレッド面12から見たサイプ20の形状は、直線状に限定されず、ジグザグ状に延在していてもよく、その長手方向の形状は任意である。また、サイプ20の深さ方向における形状は、トレッド面12に対して垂直方向にのびる直線に限定されず、トレッド面からサイプ20の底部に向かって屈曲しつつ延在していてもよい。
【0021】
ブロック18の剛性を確保しつつエッジ効果、排水性能を有効に発揮させるため、トレッドセンター領域22に配置されるブロック18に設けられたサイプ20の長手方向の一方の端部は少なくとも縦溝14に連通している。サイプ20の長手方向の他方の端部は、
図1〜
図3に示すように、縦溝14に連通していてもよく、あるいは、
図4に示すように、塞がっていてもよい。
【0022】
縦溝14に連通するサイプ20の長手方向の端部には、サイプ20を構成する互いに対向するサイプ壁面に、互いに噛み合い可能な凸部30と凹部32とが設けられている。凸部30と凹部32とは、サイプ20の深さ方向に間隔をおいて複数設けられ、
図2に示すように、本実施の形態では3つ設けられている。
【0023】
凸部30と凹部32とは、それらが噛み合うことで、サイプ20で挟まれたブロック部分の倒れを抑制し、ドライ路面における操縦安定性を維持し、また、サイプ20による雪氷路面、ウェット路面におけるトラクション性能を向上させる上で有利となる。
【0024】
また、凸部30と凹部32とをサイプ20の深さ方向に間隔をおいて複数設けることで、新品時からタイヤ摩耗後までブロック18の剛性を同一程度に保ち、ドライ路面における操縦安定性を維持し、また、サイプ20による雪氷路面、ウェット路面におけるトラクション性能を向上させるようにしている。
【0025】
なお、凸部30と凹部32とは、それら凸部30と凹部32の大きさにより、あるいは、サイプ20の深さによっては、サイプ20の深さ方向において1つのみ設けられる場合もある。
【0026】
凸部30は、サイプ壁面に対して垂直方向の高さを有し、凸部30の高さHは、
図2に示すように、ブロック部分の倒れを効果的に抑制し、また、エッジ効果を確保する観点から、すなわち、ドライ路面における操縦安定性を維持し、雪氷路面、ウェット路面におけるトラクション性能を向上させる観点から、0.5mm以上3mm以下が好ましい。凸部30の高さHが0.5mmに満たないと、ブロック18部分の倒れを抑制する効果が減少していき、また、凸部30の高さHが3mmを超えると、エッジ効果、排水性能が減少していくためである。
【0027】
図1〜
図3に示すように、凸部30は、半球状を呈していてもよく、あるいは、サイプ壁面から突出する部分が円柱状を呈し先部が半球状を呈していてもよく、要するに、凸部30と凹部32とは、ブロック部分が倒れた際に互いに噛合し、ブロック18の倒れを抑制する形状であればよい。
【0028】
凸部30と凹部32とは、サイプ20の長手方向の両端が縦溝14に連通する場合には、
図1〜
図3に示すように、サイプ20の長手方向の一方の端部のみに設けてもよく、あるいは、サイプ20の長手方向の両端に設けてもよく、あるいは、
図5に示すように、縦溝14に連通するサイプ20の端部に設けられる凸部30と凹部32とに加え、サイプ20の長手方向に間隔をおいて複数設けるようにしてもよい。
【0029】
サイプ20の長手方向の両端が縦溝14に連通している場合で、縦溝14に連通するサイプ20の一方の端部のみに凸部30と凹部32とを設ける場合、
図6(A)に示すように、ブロック18の幅方向の一方の端部において、凸部30と凹部32とが設けられるサイプ20の端部が連続して3つ以内になるように配置すると、サイプ20により形成される水路方向の向きがブロック18内に効率良く配置されることになり、水膜除去の効果を向上し、ドライ路面における操縦安定性を維持し、また、サイプ20による雪氷路面、ウェット路面におけるトラクション性能を向上させる上で有利となる。
【0030】
この場合、ブロック18の幅方向の一方の端部において、
図6(B)に示すように、凸部30と凹部32とが設けられるサイプ20の端部と、凸部30と凹部32とが設けられないサイプ20の端部とを、交互に位置するように配置すると、サイプ20により形成される水路方向の向きがブロック18内により効率良く配置されることになり、水膜除去の効果をより向上し、ドライ路面における操縦安定性を維持し、また、サイプ20による雪氷路面、ウェット路面におけるトラクション性能を向上させる上でより有利となる。
【0031】
同様な理由から、サイプ20の長手方向の一端が縦溝14に連通し、サイプ20の長手方向の他端が塞がっている場合で、縦溝14に連通するサイプ20の一方の端部のみに凸部30と凹部32とを設ける場合、
図7(A)に示すように、ブロック18の幅方向の一方の端部において、凸部30と凹部32とが設けられるサイプ20の端部が連続して3つ以内になるように配置することが好ましい。
【0032】
この場合も、ブロック18の幅方向の一方の端部において、
図7(B)に示すように、凸部30と凹部32とが設けられるサイプ20の端部と、サイプ20が設けられていないサイプ20の端部とを、交互に位置するように配置すると、水膜除去の効果を向上し、トラクション性能を向上する上でより有利となる。
【0033】
なお、以上の第1の実施の形態では、トレッドセンター領域22が、タイヤ赤道Cを中心とするトレッド接地幅TWの70%の領域である場合について説明したが、
図8に示すように、トレッドセンター領域22を、タイヤ赤道Cを中心とするトレッド接地幅TWの50%の領域とした場合には、70%の領域の場合に比べ、雪氷路面、ウェット路面におけるトラクション性能が若干低下するものの、ドライ路面における操縦安定性は向上する。この場合には、タイヤ赤道C上の単一のブロック列18Aを構成するブロック18が対象となる。
【0034】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
なお、以下の実施の形態では、タイヤ赤道Cを中心とするトレッド接地幅TWのX%(30≦X≦70)のトレッドセンター領域22に配置されるブロック18は、ブロック比率(S1/S2)が1.5以上(好ましくは2以上)でタイヤ周方向に細長に形成されること、トレッドセンター領域22に配置されるブロック18に設けられたサイプ20の長手方向の少なくとも一方の端部は縦溝14に連通していること、縦溝14に連通するサイプ20の長手方向の一方の端部に互いに噛み合い可能な凸部30と凹部32とが設けられていること、サイプ20の幅、凸部30と凹部32の形状などは第1の実施の形態と同様であるため、第1の実施の形態と同様な箇所に同一の符号を付してその説明を省略する。
【0035】
第2の実施の形態は、
図1に示す第1の実施の形態と同様なトレッドパターンを有し、タイヤ赤道Cを中心とするトレッド接地幅TWのX%(30≦X≦70)のトレッドセンター領域22に配置されるブロック18のトレッド面12に形成されるサイプ20の形状が第1の実施の形態と異なっている。すなわち、
図9(A)、(B)に示すように、サイプ20の延在方向の中間領域が、3次元サイプ20Aで形成され、中間領域を除くサイプ20の延在方向の両端は、サイプ壁面が平面で形成されトレッド面12から見て振幅のない直線状サイプ20Bで形成されている。
【0036】
なお、
図9(B)は
図9(A)のBB線から見たサイプ壁面を示しており、
図9(B)において「M」は三角錐状の突起となる箇所を表示し、「V」は三角錐状に窪んだ凹部を示している。なお、この「M」、「V」は、他の実施の形態の3次元サイプのサイプ壁面の図においても同様の意味を示している。
【0037】
そして、凸部30と凹部32とは、
図9(B)に示すように、一方の直線状サイプ20Bの箇所にサイプ20の深さ方向に間隔をおいて2つ設けられ、あるいは、
図10(A)、(B)に示すように、両方の直線状サイプ20Bの箇所にそれぞれサイプ20の深さ方向に間隔をおいて2つ設けられている。
【0038】
ここで、3次元サイプ20Aとは、タイヤ幅方向、タイヤ周方向、タイヤ径方向に屈曲しつつ延びるサイプであり、例えば、三角錐状の突起を組み合わせてサイプ壁面が形成されたピラミッドサイプなどを挙げることができる。
【0039】
第2の実施の形態では、サイプ20の延在方向の中間領域に3次元サイプ20Aを用いることで、エッジ効果を維持しつつブロック18の倒れを抑制できるため、ドライ路面における操縦安定性を維持し、また、サイプ20による雪氷路面、ウェット路面におけるトラクション性能を向上させる上でより有利となる。
【0040】
また、縦溝14に連通する直線状サイプ20Bの箇所に、サイプ20の深さ方向に間隔をおいて凸部30と凹部32とを複数設けることで、サイプ20を底上げすることなくブロック18の剛性低下を抑制でき、また、摩耗進行中において凸部30と凹部32とがトレッド面12に露出しエッジ量を確保する上でも有利となる。
【0041】
なお、凸部30と凹部32とは、それら凸部30と凹部32の大きさにより、あるいは、サイプ20の深さによっては、サイプ20の深さ方向において1つのみ設けられる場合もある。
【0042】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態は、第2の実施の形態の変形例であり、
図11に示すように、第3の実施の形態のトレッドパターンは、第1の実施の形態および第2の実施の形態と異なっている。すなわち、第3の実施の形態は、タイヤ赤道Cを中心とするトレッド接地幅TWのX%(30≦X≦70)のトレッドセンター領域22に配置されるブロック18が、トレッド接地幅TWの30%のタイヤ赤道Cを中心とするトレッドセンター領域22に配置されるブロック18であり、タイヤ赤道Cを含む箇所に配置される1つのブロック列18A―1を構成するブロック18である点が第2の実施の形態と異なっている。
【0043】
このブロック列18A―1を構成するブロック18は、ブロック比率(S1/S2)が1.5以上(好ましくは2以上)でタイヤ周方向に細長に形成されること、ブロック18に設けられたサイプ20の長手方向の少なくとも一方の端部は縦溝14に連通していることなどは第1の実施の形態と同様である。
【0044】
また、サイプ20の延在方向の中間領域が、3次元サイプ20Aで形成され、中間領域を除くサイプ20の延在方向の両端は、直線状サイプ20Bで形成されている点、一方の直線状サイプ20Bの箇所に、
図9(B)に示すように、サイプ20の深さ方向に間隔をおいて2つ設けられ、あるいは、
図10(A)、(B)に示すように、両方の直線状サイプ20Bの箇所にそれぞれサイプ20の深さ方向に間隔をおいて2つ設けられている点は第2の実施の形態と同様である。
【0045】
なお、本発明において、タイヤ赤道Cを中心とするトレッド接地幅TWのX%(30≦X≦70)のトレッドセンター領域22に配置されるブロック18とは、タイヤ赤道Cを中心とするトレッド接地幅TWのX%(30≦X≦70)のトレッドセンター領域22に全ての部分が入っているブロック18を言い、この領域に一部が跨っているブロック18は含まない。
【0046】
例えば、本実施の形態では、
図11に示すように、トレッド接地幅TWの30%のタイヤ赤道Cを中心とするトレッドセンター領域22に配置されるブロック18とは、全ての部分が入っているブロック列18A―1を構成するブロック18を含むが、トレッド接地幅TWの30%のタイヤ赤道Cを中心とするトレッドセンター領域22にその一部が跨っているブロック列18A―2を構成するブロック18は含まない。
【0047】
第3の実施の形態でも、第2の実施の形態と同様に、サイプ20の延在方向の中間領域に3次元サイプ20Aを用いることで、エッジ効果を維持しつつブロック18の倒れを抑制できるため、ドライ路面における操縦安定性を維持し、また、サイプ20による雪氷路面、ウェット路面におけるトラクション性能を向上させる上でより有利となる。
【0048】
第2、第3の実施の形態において、
図9、
図11に示すように、凸部30と凹部32とを一方の直線状サイプ20Bの箇所のみに設ける場合、
図12(A)に示すように、ブロック18の幅方向の一方の端部において、凸部30と凹部32とが設けられるサイプ20の端部が連続して3つ以内になるように配置すると、サイプ20により形成される水路方向の向きがブロック18内に効率良く配置されることになり、水膜除去の効果を向上し、ドライ路面における操縦安定性を維持し、また、サイプ20による雪氷路面、ウェット路面におけるトラクション性能を向上させる上で有利となる。
【0049】
この場合、ブロック18の幅方向の一方の端部において、
図12(B)に示すように、凸部30と凹部32とが設けられるサイプ20の端部と、凸部30と凹部32とが設けられないサイプ20の端部とを、交互に位置するように配置すると、水膜除去の効果がより向上し、ドライ路面における操縦安定性を維持し、また、サイプ20による雪氷路面、ウェット路面におけるトラクション性能を向上させる上でより有利となる。
【0050】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について説明する。
第4の実施の形態は、第2、第3の実施の形態の変形例であり、
図13(A)、(B)に示すように、3次元サイプ20Aの両端の直線状サイプ20Bのうちの一方の直線状サイプ20Bに凸部30と凹部32とがサイプ20の深さ方向に間隔をおいて2つ設けられている点は第2、第3の実施の形態と同様であるが、他方の直線状サイプ20Bの深さD1が、サイプ20の最も深い深さをD2とした場合に、D2×0.3≦D1≦D2×0.5の関係式を満たす深さに底上げされている点が第2、第3の実施の形態と異なっており、符号2002は、底上げされたサイプ20の底面を示している。
【0051】
ここで、直線状サイプ20Bの深さを、D2×0.3≦D1≦D2×0.5の関係式を満たす深さに底上げしたのは、凸部30と凹部32とが無いサイプ20の箇所のブロック剛性を維持してドライ路面における操縦安定性を確保するためである。
【0052】
なお、凸部30と凹部32とは、それら凸部30と凹部32の大きさにより、あるいは、サイプ20の深さによっては、サイプ20の深さ方向において1つのみ設けられる場合もある。
【0053】
第4の実施の形態によれば、第2、第3の実施の形態と同様に、エッジ効果、排水性能を維持しつつブロック18の倒れを抑制できるため、ドライ路面における操縦安定性を維持し、また、サイプ20による雪氷路面、ウェット路面におけるトラクション性能を向上させる上で有利となり、また、摩耗進行中においてエッジ量を確保する上でも有利となる。
【0054】
また、第4の実施の形態では、一方の直線状サイプ20Bに深さ方向に間隔をおいて複数のサイプ20を設けると共に、他方の直線状サイプ20Bを底上げするようにしたので、
図14(A)に示すBB線まで摩耗が進行し、底上げされた直線状サイプ20Bが消失しても、
図14(B)に示すように、凸部30と凹部32とがトレッド面12に出現するため、凸部30と凹部32の部分でエッジ量を確保でき、ドライ路面における操縦安定性を維持し、また、サイプ20による雪氷路面、ウェット路面におけるトラクション性能を向上させる上で有利となる。
【0055】
この場合、
図15に示すように、サイプ20内で上方に位置する凸部30または凹部32のトレッド面12からの深さH1と、サイプ20内で下方に位置する凸部30または凹部32のトレッド面12からの深さH2との和が、サイプ20の深さH3よりも大きくしておくと好ましい。すなわち、H1+H2>H3としておくと、摩耗が進行し、底上げされた直線状サイプ20Bが消失しても、凸部30と凹部32の部分でエッジ量を確保でき、ドライ路面における操縦安定性を維持し、また、サイプ20による雪氷路面、ウェット路面におけるトラクション性能を向上させる上で有利となる。
【0056】
なお、第4の実施の形態において、
図16(A)に示すように、ブロック18の幅方向の一方の端部において、凸部30と凹部32とが設けられるサイプ20の端部が連続して3つ以内になるように配置すると、サイプ20により形成される水路方向がブロック18内に効率良く配置されることになり、水膜除去の効果を向上し、ドライ路面における操縦安定性を維持し、また、サイプ20による雪氷路面、ウェット路面におけるトラクション性能を向上させる上で有利となる。
【0057】
この場合、ブロック18の幅方向の一方の端部において、
図16(B)に示すように、凸部30と凹部32とが設けられるサイプ20の端部と、底上げされたサイプ20の端部とが、交互に位置するように配置すると、
図16(C)に示すように、サイプ20で挟まれたブロックの部分がブロック18の幅方向の端部において交互に倒れ、水膜を拭く方向Xがサイプ20毎に反対の向きとなり、水膜除去の効果を向上し、ドライ路面における操縦安定性を維持し、また、サイプ20のよる雪氷路面、ウェット路面におけるトラクション性能を向上させる上で有利となる。なお、
図16(C)において符号Yは駆動力を示し、符号Zは車両の進行方向を示している。
【0058】
以下、表1〜表4を参照して実施例1〜4について説明する。
なお、以下の実施例では、トレッド面12に、縦溝14と横溝16により複数のブロック18が区画され、各ブロック18のトレッド面12に、タイヤ幅方向に延びる複数のサイプ20がタイヤ周方向に間隔をおいて複数設けられた195/65R15ラジアルスタッドレスタイヤを15×6JJのリムに装着し、タイヤ内圧210KPaとして排気量2000ccのRV車の4輪に取り付け、比較例、実験例についてウェット路面トラクション性能、氷路面トラクション性能、雪路面トラクション性能、ドライ路面における操縦安定性について試験を行なった。
【0059】
ウェット路面トラクション性能、氷路面トラクション性能、雪路面トラクション性能については、試験車が時速10Km/hにおける、試験車と路面のスリップ率50%時のトラクションを計測し、表1に示す実施例1では、比較例2を100とする指数で示し、表2に示す実施例2では、比較例1を100とする指数で示し、表3に示す実施例3および表4に示す実施例4では、それぞれ実験例2を100とする指数で示し比較した。数値が大きいほどトラクション性能に優れることを意味する。
【0060】
ドライ路面操縦安定性については、5名のテストドライバーがテストコースを周回する際の操縦安定性をフィーリング評価し、その平均値を求めた。表1に示す実施例1では、比較例2を100とする指数で示し、表2に示す実施例2では、比較例1を100とする指数で示し、表3に示す実施例3では、実験例3を100とする指数で示し、表4に示す実施例4では、実験例2を100とする指数で示し比較した。数値が大きいほどドライ路面操縦安定性に優れることを意味する。
【実施例1】
【0061】
まず、表1を参照して実施例1について説明する。
実施例1では、比較例11,12,14および実験例11〜15において、トレッドセンター領域22に配置されるブロック18のブロック比率(S1/S2)を1.5とし、比較例13では、トレッドショルダー領域24に配置されるブロック18のブロック比率(S1/S2)を1.5とし、ブロック18に設けられるサイプ20は幅Wが0.4mm、深さDが6mmでその延在方向の両端が縦溝14に連通する直線状サイプとし、サイプ20に設けられる凸部30の高さを1mmとし共通化している。
【0062】
(比較例11)
比較例11は、
図1と同様なトレッドパターンで、
図1のトレッドセンター領域22のトレッド接地幅TWを70%から80%に拡大した。このトレッド接地幅TWの80%のトレッドセンター領域22に配置されるブロック18の幅は55mmで、このブロック18のサイプ20の長手方向のタイヤ赤道Cから離れた側の端部に、
図1、
図2に示すように、凸部30と凹部32とを深さ方向に間隔をおいて3つ設けた。
【0063】
(比較例12)
比較例12は、トレッドセンター領域22をタイヤ赤道Cを中心とするトレッド接地幅TWを80%から70%に変え、
図1のトレッドパターンとした。サイプ20に凸部30と凹部32とを設けていない点が比較例11と異なり、その他の諸元は比較例11と同様である。
【0064】
(比較例13)
比較例13は、トレッドショルダー領域24に配置される幅が25mmのブロック18に、凸部30と凹部32とを、サイプ20の長手方向に間隔をおいた5箇所に、それぞれ深さ方向に間隔をおいて3つずつ設けた点が比較例12と異なり、その他の諸元は比較例12と同様である。
【0065】
(実験例11)
実験例11は、比較例12のトレッドセンター領域22に配置されるブロック18のサイプ20の長手方向のタイヤ赤道Cから離れた側の端部に、
図2に示すように、凸部30と凹部32とを深さ方向に間隔をおいて3つ設けた。その他の諸元は比較例12と同様である。
【0066】
(実験例12)
実験例12は、実験例11の凸部30と凹部32とを、サイプ20の長手方向の端部のみではなく、
図5に示すように、サイプ20の長手方向に間隔をおいた5箇所に、それぞれ凸部30と凹部32とを深さ方向に間隔をおいて3つ設けた点が実験例11と異なり、その他の諸元は実験例11と同様である。
【0067】
(実験例13)
実験例13は、
図8のトレッドパターンで、タイヤ赤道Cを中心とするトレッド接地幅TWの50%のトレッドセンター領域22に配置されるブロック18の幅は135mmで、このブロック18のサイプ20の長手方向のタイヤ赤道Cから離れた側の端部に、凸部30と凹部32とを深さ方向に間隔をおいて3つ設けた。
【0068】
(実験例14)
実験例14は、実験例13の凸部30と凹部32とを、サイプ20の長手方向の端部のみではなく、
図5に示すように、サイプ20の長手方向に間隔をおいた5箇所に、それぞれ凸部30と凹部32とを深さ方向に間隔をおいて3つ設けた点が実験例13と異なり、その他の諸元は実験例13と同様である。
【0069】
(実験例15)
実験例15は、
図11のトレッドパターンで、タイヤ赤道Cを中心とするトレッド接地幅TWの30%のトレッドセンター領域22に配置されるブロック18の幅は20mmで、ブロック18のサイプ20の長手方向のタイヤ赤道Cから離れた側の端部に、凸部30と凹部32とを深さ方向に間隔をおいて3つ設けた。
【0070】
(実験例16)
実験例16は、実験例15の凸部30と凹部32とを、サイプ20の長手方向の端部のみではなく、
図5に示すように、サイプ20の長手方向に間隔をおいた5箇所に、それぞれ凸部30と凹部32とを深さ方向に間隔をおいて3つ設けた点が実験例15と異なり、その他の諸元は実験例15と同様である。
【0071】
(比較例14)
比較例14は、トレッドセンター領域22をタイヤ赤道Cを中心とするトレッド接地幅TWを30%から20%に変え、
図11と同様のトレッドパターンとした。タイヤ赤道Cを中心とするトレッド接地幅TWの20%のトレッドセンター領域22に配置されるブロック18の幅は14mmで、ブロック18のサイプ20の長手方向のタイヤ赤道Cから離れた側の端部に、凸部30と凹部32とを深さ方向に間隔をおいて3つ設けた。
【0072】
【表1】
【0073】
(実施例1の検討結果)
比較例11,12と実験例11〜16からトレッドセンター領域22を、タイヤ赤道Cを中心とするトレッド接地幅TWの30%から70%にすると、ドライ路面操縦安定性を維持しつつ、ウェット路面トラクション性能、氷路面トラクション性能、雪路面トラクション性能を向上する上で有利となることが明らかである。
【0074】
比較例12,13と実験例11,12からトレッドセンター領域22のブロック18のサイプ20に凸部30と凹部32とを設けると、ドライ路面操縦安定性を維持しつつ、ウェット路面トラクション性能、氷路面トラクション性能、雪路面トラクション性能を向上する上で有利となることが明らかである。
【0075】
実験例11,12と実験例13,14からトレッドセンター領域22を、タイヤ赤道Cを中心とするトレッド接地幅TWの70%から50%にすると、ウェット路面トラクション性能、氷路面トラクション性能、雪路面トラクション性能は若干低下するものの、ドライ路面操縦安定性は向上することが明らかである。
【0076】
比較例11,14と実験例15,16から、トレッドセンター領域22を、タイヤ赤道Cを中心とするトレッド接地幅TWの30%にすると、80%、20%の場合に比べ、ドライ路面操縦安定性を維持しつつ、ウェット路面トラクション性能、氷路面トラクション性能、雪路面トラクション性能を向上する上で有利となることが明らかである。
【実施例2】
【0077】
次に、表2を参照して実施例2について説明する。
実施例2では、比較例21,22および実験例21〜28の全てにおいて、トレッドセンター領域22を、タイヤ赤道Cを中心とするトレッド接地幅TWの70%とし、このトレッドセンター領域22に
図1のトレッドパターンで幅が45mmのブロック18を配置し、ブロック18に設けられるサイプ20は幅Wが0.4mm、深さDが6mmでその延在方向の両端が縦溝14に連通する直線状サイプとし、共通化している。
【0078】
(比較例21)
比較例21は、トレッドセンター領域22に
図1のトレッドパターンで配置されるブロック18のブロック比率(S1/S2)を1.3とし、このトレッドセンター領域22に配置されるブロック18のサイプ20の長手方向のタイヤ赤道Cから離れた側の端部に、
図1、
図2に示すように、凸部30と凹部32とを深さ方向に間隔をおいて3つ設け、凸部30の高さを1mmとした。
【0079】
(比較例22)
比較例22は、凸部30と凹部32とを、サイプ20の長手方向の端部のみではなく、サイプ20の長手方向に間隔をおいた5箇所において、それぞれ凸部30と凹部32とを深さ方向に間隔をおいて3つ設けた点が比較例21と異なり、その他の諸元は比較例21と同様である。
【0080】
(実験例21)
実験例21では、比較例21のブロック比率(S1/S2)の1.3を1.5に変えたもので、その他の諸元は比較例21と同様である。
【0081】
(実験例22)
実験例22では、凸部30と凹部32とを、サイプ20の長手方向の端部のみではなく、サイプ20の長手方向に間隔をおいた5箇所において、それぞれ凸部30と凹部32とを深さ方向に間隔をおいて3つ設けた点、および、凸部30の高さを1mmから0.5mmに変えた点が実験例21と異なり、その他の諸元は実験例21と同様である。
【0082】
(実験例23)
実験例23は、実験例21のブロック比率(S1/S2)を1.5から2に変更し、また凸部30の高さを1mmから3mmに変更したものであり、その他の諸元は実験例21と同様である。
【0083】
(実験例24)
実験例24は、実験例22のブロック比率(S1/S2)を1.5から2に変更し、また凸部30の高さを0.5mmから1mmに変更したものであり、その他の諸元は実験例22と同様である。
【0084】
(実験例25)
実験例25は、実験例23のブロック比率(S1/S2)を2から3に変更し、また凸部30の高さを3mmから1mmに変更したものであり、その他の諸元は実験例23と同様である。
【0085】
(実験例26)
実験例26は、実験例24のブロック比率(S1/S2)を2から3に変更したものであり、その他の諸元は実験例22と同一である。
【0086】
(実験例27)
実験例27は、実験例25のブロック比率(S1/S2)を3から4に変更したものであり、その他の諸元は実験例25と同一である。
【0087】
(実験例28)
実験例28は、実験例26のブロック比率(S1/S2)を3から4に変更したものであり、その他の諸元は実験例26と同一である。
【0088】
【表2】
【0089】
(実施例2の検討結果)
比較例21,22、実験例21〜24からブロック比率(S1/S2)を1.5以上とすると、ドライ路面操縦安定性を維持しつつ、ウェット路面トラクション性能、氷路面トラクション性能、雪路面トラクション性能を向上する上で有利となることが明らかである。
【0090】
実験例21〜24から、ブロック比率(S1/S2)が1.5よりも2の方が、ドライ路面操縦安定性を維持しつつ、ウェット路面トラクション性能、氷路面トラクション性能、雪路面トラクション性能を向上する上で有利となることが明らかである。
【0091】
実験例23〜28から、ブロック比率(S1/S2)が2を超えると、ドライ路面操縦安定性、ウェット路面トラクション性能、氷路面トラクション性能、雪路面トラクション性能は、ブロック比率の上昇に比例して上昇していかないことが明らかである。
【実施例3】
【0092】
次に、表3を参照して実施例3について説明する。
実験例31では、
図11のトレッドパターンとし、タイヤ赤道Cを中心とするトレッド接地幅TWの30%のトレッドセンター領域22に配置されるブロック列18A−1のブロックの幅を20mmとし、ブロック比率(S1/S2)を1.5とし、ブロック18に設けられるサイプ20を幅Wが0.4mm、深さDが6mmの直線状サイプとした。
【0093】
実験例32では、
図11のトレッドパターンとし、タイヤ赤道Cを中心とするトレッド接地幅TWの30%のトレッドセンター領域22に配置されるブロック列18A−1のブロックの幅を20mmとし、ブロック比率(S1/S2)を1.5とした。ブロック18に設けられるサイプ20を、
図11に示すように、中間領域を3次元サイプとし、その両側を直線状サイプとし、それらサイプの幅Wを0.4mm、深さDを6mmとした。なお、3次元サイプの長さを18mmとし、その両側の直線状サイプ20Bの長さを1mmとした。
【0094】
実験例33〜38では、全てを
図1のトレッドパターンとし、タイヤ赤道Cを中心とするトレッド接地幅TWの70%のトレッドセンター領域22に、幅が50mmでブロック比率(S1/S2)が1.5のブロック18を配置し、ブロック18に設けられるサイプ20は幅Wが0.4mm、深さDが6mmとした。
【0095】
また、実験例32,37,38では、3次元サイプの長さを48mmとし、その両側の直線状サイプ20Bの長さを1mmとし、実験例35,36では、3次元サイプの長さを40mmとし、その両側の直線状サイプ20Bの長さを5mmとした。
【0096】
(実験例31)
実験例31は、サイプ20を単一の直線状サイプとし、凸部30と凹部32とをサイプ20の長手方向の一方の端部のみに設けた。
【0097】
(実験例32)
実験例32では、サイプ20の延在方向の中間領域を3次元サイプ20Aで形成し、その両側を直線状サイプ20Bで形成し、凸部30と凹部32とをサイプ20の長手方向の一方の端部に位置する直線状サイプ20Bの箇所に設けた。
【0098】
(実験例33)
実験例33は、サイプ20を単一の直線状サイプとし、凸部30と凹部32とをサイプ20の長手方向の一方の端部のみに設けた。
【0099】
(実験例34)
実験例34は、サイプ20を単一の直線状サイプとし、凸部30と凹部32とをサイプ20の長手方向の両方の端部に設けた。
【0100】
(実験例35)
実験例35では、サイプ20の延在方向の中間領域を3次元サイプ20Aで形成し、その両側を直線状サイプ20Bで形成し、凸部30と凹部32とをサイプ20の長手方向の一方の端部に位置する直線状サイプ20Bの箇所に設けた。
【0101】
(実験例36)
実験例36では、サイプ20の延在方向の中間領域を3次元サイプ20Aで形成し、その両側を直線状サイプ20Bで形成し、凸部30と凹部32とをサイプ20の長手方向の両方の端部に位置する直線状サイプ20Bの箇所に設けた。
【0102】
(実験例37)
実験例37では、サイプ20の延在方向の中間領域を3次元サイプ20Aで形成し、その両側を直線状サイプ20Bで形成し、凸部30と凹部32とをサイプ20の長手方向の両方の端部に位置する直線状サイプ20Bの箇所にそれぞれ設けた。
【0103】
(実験例38)
実験例38では、サイプ20の延在方向の中間領域を3次元サイプ20Aで形成し、その両側を直線状サイプ20Bで形成し、凸部30と凹部32とをサイプ20の長手方向の一方の端部に位置する直線状サイプ20Bの箇所に設け、サイプ20の長手方向の他方の端部に位置する直線状サイプ20Bの深さD1を、サイプ20の最も深い深さをD2とした場合にD1=D2×0.3の関係式を満たす深さに底上げした。
【0104】
【表3】
【0105】
(実施例3の検討結果)
実験例31,32から、サイプ20の延在方向の中間領域を3次元サイプ20Aで形成した場合の方が、サイプ20を直線状サイプとした場合よりも、ドライ路面操縦安定性を維持しつつ、ウェット路面トラクション性能、氷路面トラクション性能、雪路面トラクション性能を向上する上で有利となることが明らかである。
【0106】
実験例33,34から、また、実験例35,36から凸部30と凹部32とを、サイプ20の長手方向の両方の端部に設けた場合の方が、サイプ20の長手方向の一方の端部に設けた場合よりもドライ路面操縦安定性を維持しつつ、ウェット路面トラクション性能、氷路面トラクション性能、雪路面トラクション性能を向上する上で有利となることが明らかである。
【0107】
実験例36,37から、直線状サイプ20Bの長さを1mmとした場合の方が、5mmとした場合よりも、ウェット路面トラクション性能、氷路面トラクション性能、雪路面トラクション性能を向上する上で有利となる。
【0108】
実験例33〜38から、サイプ20の延在方向の中間領域を3次元サイプ20Aで形成した場合の方が、サイプ20を直線状サイプとした場合よりも、ドライ路面操縦安定性を維持しつつ、ウェット路面トラクション性能、氷路面トラクション性能、雪路面トラクション性能を向上する上で有利となることが明らかである。
【0109】
実験例37,38から、サイプ20の長手方向の他方の端部に位置する直線状サイプ20Bを底上げした場合の方が、凸部30と凹部32とをサイプ20の長手方向の両方の端部に設けた場合よりも、ドライ路面操縦安定性を維持しつつ、ウェット路面トラクション性能、氷路面トラクション性能、雪路面トラクション性能を向上する上で有利となることが明らかである。
【実施例4】
【0110】
次に、表4を参照して実施例4について説明する。
実施例4では、実験例41〜44の全てを
図1のトレッドパターンとし、タイヤ赤道Cを中心とするトレッド接地幅TWの70%のトレッドセンター領域22に、幅が50mmでブロック比率(S1/S2)が1.5のブロック18を配置し、ブロック18に設けられるサイプ20は幅Wが0.4mm、深さDが6mmとし、3次元サイプの長さを40mmとし、サイプ20の長手方向の一方の端部に位置して凸部30と凹部32とが設けられる一方の直線状サイプ20Bの長さを5mmとし、サイプ20の長手方向の他方の端部に位置する直線状サイプ20Bの深さD1を、
図13に示すように底上げした。
【0111】
【表4】
【0112】
(実施例4の検討結果)
実験例41,42,43から、サイプ20の長手方向の他方の端部に位置する直線状サイプ20Bの深さD1を、サイプ20の最も深い深さをD2とした場合にD1=D2×0.1の関係式を満たす場合には、D1=D2×0.3の関係式および、D1=D2×0.5の関係式を満たす場合に比べ、ウェット路面トラクション性能、氷路面トラクション性能、雪路面トラクション性能を向上する効果が少ない。
【0113】
また、実験例42,43,44から、サイプ20の長手方向の他方の端部に位置する直線状サイプ20Bの深さD1を、サイプ20の最も深い深さをD2とした場合にD1=D2×0.7の関係式を満たす場合には、D1=D2×0.3の関係式および、D1=D2×0.5の関係式を満たす場合に比べ、ドライ路面操縦安定性の維持する効果が少ない。