特許第6194944号(P6194944)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6194944バックライトの反射板用白色フィルムの製造方法およびそれを用いたバックライトの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6194944
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】バックライトの反射板用白色フィルムの製造方法およびそれを用いたバックライトの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/08 20060101AFI20170904BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20170904BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20170904BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20170904BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20170904BHJP
   F21V 7/22 20060101ALI20170904BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20170904BHJP
   B32B 7/02 20060101ALI20170904BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20170904BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20170904BHJP
   C08J 9/40 20060101ALN20170904BHJP
   C08J 9/00 20060101ALN20170904BHJP
   F21Y 101/00 20160101ALN20170904BHJP
【FI】
   G02B5/08 A
   G02B5/08 C
   G02B5/02 B
   G02B5/22
   G02F1/13357
   F21V7/00 530
   F21V7/22 100
   F21V7/22 230
   F21V7/22 200
   F21S2/00 484
   B32B7/02 103
   B32B7/02 105
   B32B27/18 A
   B32B27/36
   !C08J9/40CFD
   !C08J9/00 A
   F21Y101:00 300
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-238188(P2015-238188)
(22)【出願日】2015年12月7日
(62)【分割の表示】特願2013-146204(P2013-146204)の分割
【原出願日】2005年11月9日
(65)【公開番号】特開2016-48397(P2016-48397A)
(43)【公開日】2016年4月7日
【審査請求日】2015年12月25日
(31)【優先権主張番号】特願2004-328719(P2004-328719)
(32)【優先日】2004年11月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】樋田 知子
(72)【発明者】
【氏名】松山 忠己
(72)【発明者】
【氏名】坂口 善彦
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 修
【審査官】 廣田 健介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−050222(JP,A)
【文献】 特開2002−040214(JP,A)
【文献】 特開2001−172403(JP,A)
【文献】 特開平07−237363(JP,A)
【文献】 特開2003−066441(JP,A)
【文献】 特開平09−278916(JP,A)
【文献】 特開2003−050304(JP,A)
【文献】 特開2003−297122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00−5/136;5/20−5/28
G02F 1/1335−1/13363
F21S 2/00
F21V 8/00
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
90℃のフィルム長手方向、および幅方向の熱収縮率がいずれも−0.2%以上0.5%以下である内部に気泡を含有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであり、二軸延伸後の後熱処理として熱オーブン温度が90〜160℃、熱オーブン内のフィルム張力が49〜147N/mで熱処理することを特徴とするロール状のバックライトの反射板用白色フィルムの製造方法。
【請求項2】
高分子フィルムの少なくとも片面に紫外線を吸収する物質を含有する紫外線吸収層を設けたことを特徴とする請求項に記載のロール状のバックライトの反射板用白色フィルムの製造方法。
【請求項3】
高分子フィルムの紫外線吸収層を設けた面とは反対の面にインキを含有する印刷層を設けたことを特徴とする請求項に記載のロール状のバックライトの反射板用白色フィルムの製造方法。
【請求項4】
印刷層が高分子フィルム面に部分的に設けられていることを特徴とする請求項に記載のロール状のバックライトの反射板用白色フィルムの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜のいずれかに記載のバックライトの反射板用白色フィルムを用いたことを特徴とする液晶ディスプレイ用バックライトの製造方法。
【請求項6】
バックライトの方式が直下型方式であることを特徴とする請求項に記載の液晶ディスプレイ用バックライトの製造方法。
【請求項7】
液晶ディスプレイのサイズが76.2cm(30インチ)以上であることを特徴とする請求項に記載の液晶ディスプレイ用バックライトの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶ディスプレイなどのディスプレイに用いられるバックライトの冷陰極管などの光を反射するバックライトの反射板用白色フィルムおよびそのバックライトの反射板用白色フィルムを用いたバックライトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイでは液晶セルを照らすバックライトが用いられており、液晶モニターではエッジライト方式のバックライト、液晶テレビでは直下型のバックライトが採用されている。これらのバックライト用反射フィルムとしては、気泡により形成された多孔質の白色フィルムが一般的に用いられている(特開平8−262208の特許請求の範囲参照)。さらに、冷陰極管から放射される紫外線によるフィルムの黄変色を防ぐために白色フィルムに紫外線吸収層を設けることも提案されている(特許文献1および特許文献2参照)。これら多孔質白色フィルムは使用時の形態保持のためにアルミニウム板やSUS板と貼り合わされ、打ち抜き、成形されて使用されるのが一般的である(特許文献3参照)。
【0003】
近年液晶テレビなど大画面の液晶ディスプレイが開発され、直下型のバックライトの需要が拡大してきた。従来図4に示すように多孔質白色フィルム1はアルミニウム板やSUS板からなる背面板(背面シャーシー)4に熱融着や接着剤4で貼り合わせて使用されていたが、最近組立工程の容易化、バックライト価格の低減のために図3に示すように白色フィルム1を粘着テープ6で背面板4に貼り付ける、あるいはフックなどで部分的に反射
フィルムを背面板に取り付けるなどのバックライト反射板の新しい形成方法が検討されている。ところがこのような方法では熱融着や接着剤接着に比べて密着性が弱いため、長時間バックライトを使用していると白色フィルムが波打つように変形したり、端部が浮き上がってくる問題が発生することが明らかになった。特に最近では液晶ディスプレイのサイズが大きくなり、当然波打ち現象や端部浮き上がり現象が大きな問題になってきている。
【0004】
本発明は長時間にわたりテレビを使用しても、すなわちバックライトを使用しても、簡易接着状態の反射板が波打の変形、あるいは端部の浮きあがらないバックライトの反射板用白色フィルムを提供するものである。さらに組み立ての際にバックライトの反射板用白色フィルムの表裏を間違え組み立てる可能性があり、好ましくはこのような間違いが起き難いバックライトの反射板用白色フィルムを提供するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−166295(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2002−90515(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開2002−333511(〔0037〕6〜9行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述の課題である波打の変形、あるいは端部の浮きがないバックライトの反射板用のフィルム、好ましくは組み立ての際にバックライトの反射板用白色フィルムの表裏を間違え組み立てることが起き難いバックライトの反射板用白色フィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のバックライトの反射板用白色フィルムの製造方法は以下の構成からなる。
(1)90℃のフィルム長手方向、および幅方向の熱収縮率がいずれも−0.2%以上0.5%以下である内部に気泡を含有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであり、二軸延伸後の後熱処理として熱オーブン温度が90〜160℃、熱オーブン内のフィルム張力が49〜147N/mで熱処理することを特徴とするロール状のバックライトの反射板用白色フィルムの製造方法。
(2)高分子フィルムの少なくとも片面に紫外線を吸収する物質を含有する紫外線吸収層を設けた上記(1)のロール状のバックライトの反射板用白色フィルムの製造方法。
)高分子フィルムの紫外線吸収層を設けた面とは反対の面にインキを含有する印刷層を設けた上記()のロール状のバックライトの反射板用白色フィルムの製造方法。
)印刷層が高分子フィルム面に部分的に設けられている上記()のロール状のバックライトの反射板用白色フィルムの製造方法。
【0008】
また、本発明の液晶ディスプレイ用バックライトの製造方法は次の構成である。
)上記(1)〜()のバックライトの反射板用白色フィルムを用いた液晶ディスプレイ用バックライトの製造方法。
)バックライトの方式が直下型方式である上記()の液晶ディスプレイ用バックライトの製造方法。
)液晶ディスプレイのサイズが76.2cm(30インチ)以上である上記()の液晶ディスプレイ用バックライトの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明のバックライトの反射板用白色フィルムは長期間使用しても波打ち、端部浮き上がり等の不具合が生じないため、これを用いた液晶ディスプレイ用バックライトは長期間使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は本発明のバックライトの反射板用白色フィルムの概略断面図である。
図2図2は本発明の印刷層側から見た概略平面図である。
図3図3は新しい形成法で作成したバックライト反射板の概略断面図である。
図4図4は従来の形成法で作成したバックライト反射板の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のバックライトの反射板用白色フィルムは、90℃のフィルム長手方向、および幅方向の熱収縮率がいずれも−0.2%以上0.5%以下である高分子フィルムからなるものである。
【0012】
ここでいうフィルムとは薄い膜状の形態を有し、一般的にフィルムと呼ばれるものを意味するが、厚さ500μmを超え、一般にはシートと呼ばれる物も含むものである。
【0013】
高分子とは有機高分子のことであり、その種類は特に限定されないが、溶融成形できる熱可塑性樹脂がより好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロヘキサンジメタノールなどのポリオレフイン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリフェニレンスルフィドなどをあげることができる。
【0014】
当然のことながらこれらは共重合体であっても良いし、各種添加物、たとえば熱安定剤、酸化防止剤、滑剤、有機、無機微粒子、耐光剤、帯電防止剤、核剤などをフィルムとしての物性等に弊害を与えない程度に添加されていてもよい。これらの有機高分子のうち、機械的安定性が良く、可視光線の吸収が少ないポリエステル樹脂がより好ましく、中でもポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0015】
本発明でいう、90℃で測定したフィルム長手方向熱収縮率とは、一定の大きさの高分子フィルムサンプルを準備し、室温でその長手方向(製造時の押出方向)に一定の長さ(L)を測定し、そのサンプルを90℃に保持した恒温槽中に30分間放置後、同じ室温まで徐冷した後に、該Lに相当する部分の長さを測定し、その長さ(L)と初期の長さ(L)から次式(1)にて算出した数値である。
【0016】
熱収縮率(%)={(L−L)/L}×100 (1)
なお、負の数値は高分子フィルムが伸びたことをあらわす。
また、90℃のフィルムの幅方向熱収縮率とは高分子フィルムの幅方向(製造時の押出方向に対して直角方向)に高分子フィルムの長手方向と同様にして測定した値をいう。
【0017】
本発明の高分子フィルムにおける90℃のフィルム長手方向、および幅方向の熱収縮率は−0.2%以上0.5%以下であり、好ましくは−0.1〜0.3%以下であり、さらに好ましくは−0.05〜0.25%、最も好ましくは−0.05〜0.15である。90℃のフィルム長手方向、または幅方向の熱収縮率が−0.2%以上0.5%以下の範囲を外れると、バックライト用反射フィルムとして使用している際に変形の発生が認められる。
【0018】
高分子フィルムの長手方向において均一で一様な熱収縮率を有し、かつ薄くても強い機械的強度を有する点、およびフィルムへの成形工程で幅方向の熱収縮率を低く出来る点で二軸延伸フィルムが優れている。中でもポリエチレンテレフタレートの二軸延伸フィルムが本発明の高分子フィルムとして優れている。
【0019】
本発明のバックライトの反射板用白色フィルムの白色は、400nm〜700nmの波長における平均反射率が85%以上のものを意味する。可視光線反射率を上げる方法は特に限定されないがフィルムの内部に気泡を含有させることが好ましい。これらのバックライトの反射板用白色フィルムとしては限定されるものではないが、多孔質の未延伸、あるいは二軸延伸ポリプロピレンフィルム、多孔質の未延伸、あるいは延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが例として好ましく挙げられる。これらの製造方法等については特開平8−262208の〔0034〕~〔0057〕、特開2002−90515の〔0007〕〜〔0018〕、特開2002−138150の〔0008〕〜〔0034〕等に詳細に開示されている。中でも特開2002−90515の中に開示されている多孔質白色二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが前述の理由で本発明の高分子フィルムとして特に好ましい。
【0020】
バックライトの反射板用白色フィルムは使用中に冷陰極管などのランプから出る光、特に紫外線によって劣化(例えば黄変などの光学的劣化、あるいは低分子化する分解劣化など)する場合があるので、高分子フィルムの少なくとも片面上に紫外線吸収層を設けるのが好ましい。紫外線吸収層としては特に限定されないがTiO2、ZnOなどの無機紫外線吸収剤を含有する樹脂、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなどの有機紫外線吸収剤を含有する樹脂、あるいはベンゾトリアゾール系、ベンゾヘノン系反応性モノマーを共重合した樹脂、さらにはこれらにヒンダードアミン系反応性モノマーを共重合した樹脂などを含む有機紫外線吸収樹脂、あるいは無機紫外線吸収剤と有機の紫外線吸収剤を含む樹脂などを積層するのが好ましい。特にベンゾトリアゾール系、ベンゾヘノン系反応性モノマーを共重合した樹脂、さらにはこれらにヒンダードアミン系反応性モノマーを共重合した樹脂などを含む有機紫外線吸収樹脂が薄層で紫外線吸収効果が高く、より好ましい。これらの製造方法等については特開2002−90515の〔0019〕〜〔0039〕に詳細に開示されている。
【0021】
バックライトの反射板用白色フィルムは両面とも白く、紫外線吸収層を積層しても表裏の区別がしにくく、組み立ての際に誤って紫外線吸収層をランプ側にセットせずに背面板(背面シャーシー)側にセットする場合が考えられる。この過ちを防ぐために高分子フィルムの紫外線吸収層を設けた面とは反対の面に、紫外線吸収層を設けた面との識別をするための印刷層を設けることが好ましい。印刷層は特に限定されず、通常の染料、あるいは顔料を含有する樹脂(インキ)を塗布(印刷)するのが好ましい。印刷層はフィルムの全面に設けるよりも、部分的に設ける方が、バックライトの反射板用白色フィルムと背面版(背面シャーシー)とを粘着テープなどで張り合わせる際に密着性が上がり、より好ましい。
【0022】
白色フィルムに紫外線吸収層、及び印刷層を設けた本発明の一例のバックライトの反射板用白色フィルムの概略断面図を第1図、印刷層上部より見た概略平面図を第2図に示す。第1図において白色フィルム1の上面(ランプ(図示せず)側面)には紫外線吸収層2が塗工により設けられており、(下面(背面板(図示せず)側面)には印刷により印刷層3が設けられている。第2図において、印刷層3は白色フィルム1面に、あるパターンを形成して部分的に印刷されている。
【0023】
本発明の高分子フィルムの90℃のフィルム長手方向、および幅方向の熱収縮率を−0.2%以上0.5%以下にする方法は特に限定されないが、樹脂をフィルムに成形する工程で主として熱処理温度と熱処理ゾーン内でのフィルム張力、およびフィルムの走行速度を制御する方法で熱処理することにより、90℃のフィルム長手方向、および幅方向の熱収縮率を目標の値にすることが可能である。
また、高分子フィルムをコーテイング装置の熱オーブンを通過させ、主として熱オーブン温度と熱オーブン中のフィルム張力、およびフィルムの走行速度を調整して熱処理することによっても90℃のフィルム長手方向、および幅方向の熱収縮率を目標の値にすることも可能である。
【0024】
さらに、紫外線を吸収する物質を含有する塗布層を塗布する際、あるいは識別するための印刷層を印刷する際の熱オーブン中での乾燥、硬化する工程で主として温度と熱オーブン中のフィルム張力、およびフィルムの走行速度を制御することによって、塗布層、または印刷層を設けると同時に熱処理を施すことができ、90℃のフィルム長手方向、および幅方向の熱収縮率を目標の値にすることが出来ることからより好ましい方法といえる。
【0025】
本発明のバックライトの反射板用白色フィルムを用いることで、バックライトの反射板用白色フィルムを背面板(背面シャーシー)に粘着テープなどの固定力の強くない方法で貼り合わせても、使用中に従来のアルミニウム板に融着や接着剤を用いて接着したものと同様にバックライトの反射板用白色フィルムが波打ったり、端部が剥離することのない良質なバックライトを製作できる。特に直下型方式のバックライトではバックライトの面積が大面積になるが、本発明のバックライトの反射板用白色フィルムを用いると大面積に容易に貼りあわせでき、かつ大面積でも使用中に波打ちや剥離がなく、良質なバックライトを製作できる。
近年、液晶ディスプレイのサイズ(矩形の対角線長さ)としては76.2cm(30インチ)以上であり、好ましくは88.9cm(35インチ)以上、さらに好ましくは101.6cm(40インチ)以上、最も好ましくは127cm(50インチ)以上である。
【実施例】
【0026】
各実施例、比較例の評価方法について説明する。
(1)90℃のフィルム長手方向熱収縮率:
高分子フィルムをフィルム長手方向に長さ300mm(長辺とする)、フィルム幅方向に長さ20mm(短辺とする)に切断して試験片とし、室温で試験片の中央部に200mm(=L)の距離をおいて標点を付ける。ここで、2つの標点を結ぶ直線は長辺に平行となるようにする。次に90℃に保持した恒温槽中に、一方の短辺をクリップで挟んで試験片を垂直につるし30分間放置する。その後、同じ室温まで徐冷した後に、試験片の標点間の距離(=L)を測定する。LとLよりフィルム長手方向熱収縮率を次式にて算出した。
フィルム長手方向熱収縮率(%)={(L−L)/L}×100
(2)90℃のフィルム幅方向熱収縮率:
高分子フィルムの幅方向を長辺とし、長手方向を短辺とする以外は長手方向熱収縮率測定法と同じ方法で測定する。
(3)バックライトの反射板用白色フィルムの形状
ディスプレイサイズ60.96cm(24インチ)および132.08cm(52インチ)の液晶テレビのバックライトユニットの背面シャーシーにバックライトの反射板用白色フィルムを両面粘着テープで貼り反射板を形成、バックライトユニットとして液晶テレビに組み込み、3ヶ月間連続で電源をいれ、連続使用後、液晶テレビからバックライトユニットをはずし、バックライトの反射板用白色フィルムの状態を目視にて観察する。観察結果を下記のA,B,Cにより判定し、Aであれば合格である。
A:変形なし。
B:かすかに波打ちが有る。
C:波打ちや端部の剥がれが有る。
【0027】
<実施例1>
厚さ188μm、多孔質の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる白色フィルム(東レ株式会社製 “ルミラー”E60L)の片面に有機紫外線吸収剤を含む樹脂を5μm塗布し、耐紫外線性の白色フィルムを製造した(東レ株式会社製“ルミラー”E60V)。該耐紫外線性の白色フィルムをコーテイング装置に通して、熱オーブン温度160℃で熱オーブン内のフィルム張力を49N/mとし、フィルム走行速度10m/minで熱処理した。さらに該熱処理フィルムの紫外線吸収層を設けた面との反対面に直径10mmの水玉模様を縦、横各々50mm間隔で空色のインキを用い、印刷機で印刷した。
【0028】
<実施例2>
熱オーブン内のフィルム張力を68.6N/mとした以外は、実施例1と同じ条件でバックライトの反射板用白色フィルムを得た。
【0029】
<実施例3>
熱オーブン内のフィルム張力を98N/mとした以外は、実施例1と同じ条件でバックライトの反射板用白色フィルムを得た。
【0030】
<実施例4>
厚さ250μmの多孔質の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる白色フィルム(東レ株式会社製 “ルミラー”E6SL)の片面にコーテイング装置を用いて有機紫外線吸収剤を含む樹脂塗材を乾燥後の膜厚が5μmになるように塗布し、熱風オーブン内(90℃のオーブン、150℃のオーブン、120℃のオーブン内を順次搬送)でのフィルムの引っ張り張力を147N/m、フィルム走行速度を20m/minに制御しながら、乾燥、巻き取った。次いで該フィルムの紫外線吸収層を設けた面との反対面に直径5mmの円形を縦、横各々20mm間隔でブルーのインキを用い、印刷機で印刷し、バックライトの反射板用白色フィルムを製作した。
【0031】
<実施例5>
厚さ250μmの多孔質の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる白色フィルム(東レ株式会社製 “ルミラー”E6SL)の片面にコーテイング装置を用いて有機紫外線吸収剤を含む樹脂塗材を乾燥後の膜厚が5μmになるように塗布し、熱風オーブン内(オーブン内温度:オーブン内で90℃〜150℃〜120℃に制御)でのフィルムの引っ張り張力を147N/m、フィルム走行速度を20m/minに制御しながら、乾燥、巻き取った。
【0032】
さらに、上記オーブン条件にてフィルム走行させ、熱処理を行った。次いで該フィルムの紫外線吸収層を設けた面との反対面に直径5mmの円形を縦、横各々20mm間隔でブルーのインキを用い、印刷機で印刷し、バックライトの反射板用白色フィルムを製作した。
【0033】
<比較例1>
厚さ188μmの多孔質の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる白色フィルム(東レ株式会社製 “ルミラー”E60L)のみで、熱処理を行わず、紫外線吸収層や印刷層を設けなかった。
【0034】
<比較例2>
熱オーブン内のフィルム張力を29.4N/mとした以外は、実施例1と同じ条件でバックライトの反射板用白色フィルムを作成した。
【0035】
<比較例3>
熱オーブン内のフィルム張力を166.6N/mとした以外は、実施例1と同じ条件でバックライトの反射板用白色フィルムを作成した。
【0036】
実施例1〜3、および比較例1〜3のバックライトの反射板用白色フィルムを上記の評価方法で評価した。なお、バックライトの反射板用白色フィルムを両面粘着テープで背面シャーシーに張る際、実施例1〜3、および比較例2,3の水玉模様の印刷されたバックライトの反射板用白色フィルムは水玉模様の面を粘着テープに貼ればよく、表裏の識別を注意深く行う必要はなく、より短時間で貼り合わせることができた。
【0037】
評価結果を表1に示す。実施例1〜3のバックライトの反射板用白色フィルムは評価前後での形状に大きな変化はなかったが、比較例1のバックライトの反射板用白色フィルムは全体に波うち、かつ端部の一部が粘着テープから剥離している部分が見られ、比較例2,3のバックライトの反射板用白色フィルムは全体に波うちがあった。また、比較例1のバックライトの反射板用白色フィルムは、紫外線吸収層を設けていないため、紫外線により表面がかすかに黄味を帯びていた。
【0038】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のバックライトの反射板用白色フィルムは波打ち、端部浮き上がりが少ないため、特にサイズの大きな液晶ディスプレイ用バックライト用反射フィルムとして利用できる。また、本発明の液晶ディスプレイ用バックライトは長期間使用可能なため、各種電気・電子機器の液晶ディスプレイに用いることができる。
【符号の説明】
【0040】
1・・・白色フィルム
2・・・紫外線吸収層
3・・・印刷層
4・・・背面板
5・・・接着剤
6・・・両面粘着テープ
図1
図2
図3
図4