(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6194997
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】ネットワーク接続ストレージ
(51)【国際特許分類】
G11B 33/14 20060101AFI20170904BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20170904BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
G11B33/14 501C
H05K7/20 B
H05K7/20 F
H05K7/20 H
H05K7/00 L
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-173524(P2016-173524)
(22)【出願日】2016年9月6日
(62)【分割の表示】特願2015-1771(P2015-1771)の分割
【原出願日】2010年9月1日
(65)【公開番号】特開2016-219095(P2016-219095A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2016年10月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】390040187
【氏名又は名称】株式会社バッファロー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 康倫
【審査官】
川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3125297(JP,U)
【文献】
特開2008−165883(JP,A)
【文献】
特開平03−076200(JP,A)
【文献】
特開2004−040127(JP,A)
【文献】
特開2009−211752(JP,A)
【文献】
特開2009−141749(JP,A)
【文献】
槻ノ木隆,玄人志向「玄箱」を試す NAS編:搭載HDDの選択とベンチマーク,2004年 3月12日,特に、写真06〜10を参照。,URL,http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0312/pclabo22.htm
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 33/00 − 33/08
G11B 33/12 − 33/14
H05K 7/20
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体と、該記憶媒体を冷却する冷却手段と、制御部品が実装された電子基板と、該記憶媒体の側面に当接した金属板と、該記憶媒体、該冷却手段、該電子基板及び該金属板を収容する筐体と、を備えるネットワーク接続ストレージであって、
前記電子基板は、前記金属板と対向して配置され、前記記憶媒体の側面のうち前記金属板及び前記電子基板の双方と対向する側面に対して垂直に交わる垂直側面よりも突出する突出部を有しており、
前記金属板と前記電子基板との間には、空気よりも熱伝導率の高い熱伝導部材が配置され、
前記熱伝導部材は、前記金属板と少なくとも前記制御部品とに密着し、
前記冷却手段は、前記垂直側面のいずれか一つと対向して配置されており、
前記突出部の前記記憶媒体と対向する面には、ケーブルが挿入されるケーブル挿入口と、前記電子基板と前記記憶媒体とを電気的に接続するコネクタ挿入口とが設けられ、
前記金属板と前記制御部品の前記金属板と対向する面との間隔は、前記電子基板の前記ケーブル挿入口及び前記コネクタ挿入口が設けられた設置面からの前記ケーブル挿入口または前記コネクタ挿入口の高さよりも小さい、ネットワーク接続ストレージ。
【請求項2】
前記制御部品は、前記垂直側面よりも内側で前記金属板と対向する電子基板の基板面に実装される、請求項1に記載のネットワーク接続ストレージ。
【請求項3】
前記冷却手段と対向する前記垂直側面よりも突出した前記突出部のうち、前記垂直側面と並行な方向の長さは、前記冷却手段と対向する前記垂直側面の長手方向の長さよりも短い、請求項1または請求項2に記載のネットワーク接続ストレージ。
【請求項4】
前記冷却手段と対向する前記垂直側面よりも突出した前記突出部の突出長は、前記垂直側面と対向する前記冷却手段の対向面に対して垂直方向の冷却手段の高さと略同等である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のネットワーク接続ストレージ。
【請求項5】
前記突出部には、電源アダプタが挿入されるアダプタ挿入口が設けられている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のネットワーク接続ストレージ。
【請求項6】
前記突出部は、複数の突出部で構成されている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のネットワーク接続ストレージ。
【請求項7】
前記筐体には、該筐体内に空気を導入するための空気導入部が形成されており、
前記冷却手段は、前記筐体内の空気を筐体外へ送り出す送風するファンであって、
前記空気導入部と前記ファンは、前記筐体の対角線上に配置されている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のネットワーク接続ストレージ。
【請求項8】
前記熱伝導部材は、弾性部材である、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のネットワーク接続ストレージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HDD等の記憶媒体と、この記憶媒体を冷却する冷却手段と、を有するネットワーク接続ストレージに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気式あるいは光式のディスクドライブ及び通信ポートを筐体内に搭載したストレージは、ネットワークに接続されて、SAN(ストレージエリアネットワーク)やNAS(ネットワークアタッチドストレージ)、あるいは単独のRAID(Redundant Array of Inexpensive Disks)装置として利用されている。このようなストレージは、使用に伴いディスクドライブが発熱することがあり、ディスクドライブを冷却するための冷却手段を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のストレージは、多数のディスクドライブと、このディスクドライブを収容する筐体と、ディスクドライブの一方端側に配置された送風ファンと、ディスクドライブの中間部に配置された冷却手段と、を備えている。冷却手段は、送風ファンによって生じた冷却風の下流側に配置されたディスクアレイを冷却するように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−16137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このストレージは、冷却手段及び送風ファンによって空気を送風し、冷却対象となるディスクアレイに対して空気をあてることにより、放熱を促している。しかし、送風された空気が接しない部分が冷却されないため、ストレージ全体として温度上昇を抑制できないおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、記憶媒体を冷却する冷却手段を用いて、筐体全体を効率よく冷却することができるネットワーク接続ストレージを提供することを例示的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の例示的側面としてのネットワーク接続ストレージ(NAS1)は、記憶媒体(HDD2)と、記憶媒体を冷却する冷却手段(送風ファン5)と、制御部品(CPU41)が実装された電子基板(電子基板4)と、記憶媒体の側面に当接した金属板(金属板3)と、記憶媒体、冷却手段、電子基板及び金属板を収容する筐体(筐体7)と、を備え、電子基板は、金属板と対向して配置されており、金属板と電子基板との間には、空気よりも熱伝導率の高い熱伝導部材(ゲル状マット6)が配置されている。
【0008】
ネットワーク接続ストレージは、記憶媒体を冷却する冷却手段を備えているため、冷却手段によって記憶媒体の発熱を抑制することができる。また、CPU等の影響によって電子基板が発熱した場合であっても、電子基板の熱を、熱伝導部材を介して金属板に伝導させることができる。金属板は、記憶媒体の側面に接しているため、金属板に伝導した熱は記憶媒体に伝わる。また、記憶媒体は、冷却手段によって冷却される。したがって、冷却対象である電子基板を直接冷却することなく、電子基板の熱を熱伝導部材等に伝導させることによって電子基板の放熱を促すとともに、記憶媒体を冷却手段によって冷却することにより、筐体全体の温度上昇を抑制することができる。
【0009】
なお、冷却手段は、記憶媒体を冷却可能に構成されていればよく、記憶媒体のみを冷却するように構成してもよいし、記憶媒体と併せて金属板を冷却するように構成してもよい。冷却手段によって金属板を冷却することにより、熱伝導部材を介して電子基板から金属板に伝わる熱を冷却して、金属板から記憶媒体に伝導する熱を低減することができ、記憶媒体の発熱を抑制することができる。
【0010】
また、金属板及び電子基板と密着するように熱伝導部材を配置することにより、電子基板と金属板との間に隙間が設けられている(電子基板と金属板の間に空気がある)構成と比較して、電子基板の熱を金属板に伝導し易くなる。
【0011】
なお、記憶媒体とは、プログラムやデータを保存な可能な構成であればよく、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリを挙げられる。また、冷却手段とは、記憶媒体を冷却するように構成されていればよく、例えば、回転駆動することによって送風可能なファンを挙げることができる。また、熱伝導部材は、空気よりも高い熱伝導率を有する部材であればよく、例えば、アルミニウム、銀、銅、ガラス、カーボンナノチューブ、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコンフリーのアクリル系熱伝導部材等を用いることができる。
【0012】
電子基板は、金属板と対向して配置され、記憶媒体の側面のうち金属板及び電子基板の双方と対向する側面に対して垂直に交わる垂直側面よりも突出した突出部(突出部4w)を有する。冷却手段は、記憶媒体の側面のうち金属板及び電子基板の双方と対向する側面に対して垂直に交わる垂直側面のいずれか一つと対向して配置されている。突出部の記憶媒体と対向する面側には、ケーブルが挿入されるケーブル挿入口(LANケーブル挿入口4q)と、電子基板と記憶媒体とを電気的に接続するコネクタ挿入口(コネクタ挿入口4k)とが設けられている。
金属板と制御部品の金属板と対向する面との間隔は、電子基板のケーブル挿入口及びコネクタ挿入口が設けられた設置面からのケーブル挿入口またはコネクタ挿入口の高さよりも小さい。
【0013】
この構成により、記憶媒体の周囲の空間に、冷却手段、ケーブル挿入口及びコネクタ挿入口を配置することができる。冷却手段、ケーブル挿入口及びコネクタ挿入口は、いずれも比較的容積を要する部材であり、別途配置すると記憶媒体の周囲の空間を要する。しかし、冷却手段、ケーブル挿入口及びコネクタ挿入口を合わせて設けることにより、記憶媒体の周囲の空間効率を向上させることができ、筐体全体の小型化を図ることができる。
制御部品は、前記垂直側面よりも内側で前記金属板と対向する電子基板の基板面に実装される。
冷却手段と対向する前記垂直側面よりも突出した突出部のうち、前記垂直側面と並行な方向の長さは、冷却手段と対向する前記垂直側面の長手方向の長さよりも短い。
冷却手段と対向する前記垂直側面よりも突出した突出部の突出長は、前記垂直側面と対向する冷却手段の対向面に対して垂直方向の冷却手段の高さと略同等である。
【0014】
電子基板に設けられた突出部には、電源アダプタが挿入されるアダプタ挿入口が設けられていてもよい。この構成により、電子基板の突出部にアダプタ挿入口といった、比較的容積を要する部材が配置されていても、記憶媒体の周囲の空間効率を向上させることができ、筐体全体の小型化を図ることができる。
【0015】
突出部は、複数の突出部から構成されていてもよい。この構成により、記憶媒体の周囲の空間に応じて各種挿入口を複数の突出部に分散して配置することが可能となり、各種挿入口の配置の自由度を高めることができる。
【0016】
複数の突出部のいずれか一つの突出部は、冷却手段側に突出していてもよい。この構成により、記憶媒体の周囲の空間に、冷却手段、ケーブル挿入口及びコネクタ挿入口を配置することができる。この結果、記憶媒体の周囲の空間効率を向上させることができ、筐体全体の小型化を図ることができる。
【0017】
更に、例えば、冷却手段としてファンを用いる構成においては、冷却手段とケーブル挿入口とを合わせて設けることが好適である。具体的には、ファンは、筐体内外で空気を入れ替えるため、筐体の側面に接して配置することが望ましい。また、ケーブル挿入口は、筐体外部のケーブルが挿入されるため、筐体の側面に接して配置することが望ましい。このように、ケーブル挿入口と冷却手段とを併せて設けることにより、更に空間効率を向上させることができる。
【0018】
また、本発明に係るネットワーク接続ストレージは、筐体には、空気を筐体内に導入するための空気導入部が形成されており、冷却手段は、筐体内の空気を筐体外へ送り出すファンであって、空気導入部とファンは、筐体の対角線上に配置されていてもよい。
【0019】
空気導入部とファンとを筐体の対角線上に設けることにより、空気導入部とファンとの間で空気の流れを形成することができる。具体的には、空気導入部から導入された空気をファンに導く空気流路を形成し、空気導入部から筐体内に流入した空気を、ファンによって筐体から排出することができる。これにより、対角線上に配置された空気開口部とファンとの間で空気の流れを形成して、筐体内の空気を効率よく循環させて、筐体全体の放熱を促すことが可能となる。
【0020】
空気導入部は、ファンに対して筐体の対角線上に配置されていればよく、例えば、垂直側面の裏面に対して対向するように配置されていてもよいし、垂直側面の裏面に対する側方に配置されていてもよい。具体的なファンと空気導入部の構成は、記憶媒体の後面の上部近傍にファンを配置し、記憶媒体の前面の下部近傍に空気導入部を配置する構成を例示できる。温度の高い空気は筐体の上部に導かれるため、ファンを筐体の上部に配置することにより、筐体内の比較的高い温度の空気を筐体外部に送り出すことができる。
【0021】
本発明に係る熱伝導部材は、弾性部材であってもよい。弾性部材によって熱伝導部材を構成することにより、ネットワーク接続ストレージに対して振動が付与された場合であっても、金属板と電子基板との振動を吸収することができ、電子基板及び金属板の衝突等による不具合を解消することができる。更に、弾性部材によって熱伝導部材を構成することにより、電子基板に実装された制御部品に密着して熱伝導部材を配置することができ、金属板及び電子基板に対して熱伝導部材を密着させて、電子部品から金属板への熱伝導率を高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、熱伝導部材を介して、記憶媒体と接する金属板に電子基板の熱を伝導し、記憶媒体を冷却手段によって冷却することができるため、記憶媒体を冷却する冷却手段を用いてネットワーク接続ストレージの筐体全体を効率よく放熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施の形態に係るNASの斜視図である(左前方から視認した状態)。
【
図2】
図1に示すNASの斜視図である(右後方から視認した状態)。
【
図3】左筐体部を外した状態のNASの左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1及び
図2は、実施の形態に係るネットワーク接続ストレージとしてのNAS1を示す分解斜視図である。
図1は、左前方から視認した状態であり、
図2は、右後方から視認した状態である。
図3は、左筐体部7gを外した状態のNAS1の左側面図である。
図4は、
図3に示すA−A断面図である。なお、本実施の形態における上下、前後及び左右は、NAS1を正面から視認した際の方向であり、図面にて示す。NAS1は、記憶媒体としてのHDD2と、金属板3と、電子基板4と、冷却手段としての送風ファン5と、熱伝導部材としてのゲル状マット6と、これらを収容する筐体7と、を備える。
【0025】
筐体7は、NAS1の左側方を構成する左筐体部7gと、右側方を構成する右筐体部7hと、を有する。左筐体部7g及び右筐体部7hには、互いに係合するための係合部7kが形成されている。筐体7は、係合部7kが係合されたり解除されたりすることより、内部を開放した開放状態と、内部にHDD等を収容した閉鎖状態と、を実現する。係合部7kは、例えば、爪部と、この爪部に係止する凹部によって構成される。
【0026】
筐体7の下面7bの前部と後部には、NAS1が設置される設置面と接する設置部7mが形成されている。下面7bの前後方向における中央部は、上方に凹んでおり、複数の貫通穴部7nが形成されている。筐体7の下面7bに貫通穴部7nが形成されていることにより、下面7bから筐体7内に向けて空気を取り入れることができる。
【0027】
筐体7の後面7dには、送風ファン5の空気排出口7pと、LANケーブル挿入口4qが配置されるLANケーブル開口部7q、電源スイッチ4rが配置されるスイッチ開口部7r、アダプタ挿入口4sが配置されるアダプタ開口部7s、USB挿入口4tが配置されUSB開口部7tが形成されている。
【0028】
HDD2は、略直方体であり、右側面2eには、制御基板(図示せず)が配置されている。金属板3は、HDD2の右側面2eを覆う右板部3e、HDD2の後面2dを覆う後板部3d、及びHDD2の前面2cを覆う前板部3cを有する。金属板3は、各側面に沿って配置されており、各側面と接している。
【0029】
電子基板4は、ネットワークと接続するための通信ポート、CPU41及びコネクタ等の挿入口が実装された実装面4gと、実装面4gの裏面となる背面4hと、を有する。電子基板4は、HDD2の後面2dよりも後方に突出した突出部4wを有している。突出部4wの実装面4gには、制御基板と電気的に接続するためのコネクタ挿入口4k、LANケーブルが挿入されるLANケーブル挿入口4q、及び電源スイッチ4r、DCアダプタが挿入されるアダプタ挿入口4s、及びUSBケーブルが挿入されるUSB挿入口4tが配置されている。
【0030】
送風ファン5は、筐体7の後面7dに形成された空気排出口7pの前方に配置されている。HDD2の右側面2eに沿って金属板3及び電子基板4が配置されており、この右側面2eと略垂直に交わる垂直側面としての後面2dに対向して送風ファン5が配置されている。送風ファン5は、複数の羽部(図示せず)を有しており、回転駆動することによって筐体7内の空気を筐体7外に向けて送出する。
【0031】
筐体7の左側面7eの前方下部及び右側面7fの前方下部には、空気導入部としての導入開口部7uが形成されている。導入開口部7uは、各側面を貫通した穴部である。導入開口部7uと送風ファン5は、HDDを挟んで筐体7の対角線上に配置されている。送風ファン5の対角線上に導入開口部7uを設けることにより、導入開口部7uから筐体7内への空気の流入を促進し、送風ファン5による空気の循環効果を高めることができる。
【0032】
ゲル状マット6は、HDD2の右側面2eと、この右側面2eに沿って配置された金属板3と、の間に設けられている。ゲル状マット6は、空気よりも熱伝導率の高いアクリル系熱伝導部材からなり、その厚みは約1mmである。このアクリル系熱伝導部材は、変形可能な弾性部材であり、密着性に優れている。電子基板4の実装面4gには、複数の制御部品(例えば、CPU41等)が配置されており、例えば非弾性部材によってゲル状マットを構成すると、制御部品と制御部品との間にゲル状マットが配置されず、電子基板4の熱を効率よく金属板3に伝導できないおそれがある。しかし、変形可能なゲル状マットによって構成することにより、電子基板4のCPU41の周囲等にもゲル状マットを充填することができ、電子基板4と金属板3とを密着させることができる(
図4参照)。よって、熱伝導効率を向上させることができる。
【0033】
次いで、熱の伝導及び空気の流れについて、
図3を参照して詳細に説明する。電子基板4が発熱すると、その熱は、ゲル状マット6を介してHDD2の右側面2eに沿って配置された金属板3に伝わる。HDD2の右側面2e、後面2d及び前面2cを覆うように金属板3が配置されているため、右側面2eの金属板3から後面2d及び前面2cの金属板3に熱が伝わる。また、送風ファン5は、HDD2の前面2cの空気を、空気排出口7pを介して筐体外に放出する。これにより、HDD2近傍の比較的暖かい空気が筐体7外に流出する。
【0034】
また、送風ファン5が筐体内の空気を外部に送り出すことにより、導入開口部7uから空気が流入してHDD2の前面2cの前方を上方に移動したり(
図3に示すX1)、筐体7の下部の貫通穴部7nから空気が流入したり(
図3に示すX2)、導入開口部7uから空気が流入してHDD2の左側面に沿って移動したりすることによって、筐体内を空気が移動する。したがって、筐体7の前下部から筐体7の後上部に向かう空気の流れが生じ、筐体7全体の空気が循環して、筐体全体の放熱を促進することができる。
【0035】
以上のように、本実施の形態に係るNAS1によれば、ゲル状マット6を介してHDD2と接する金属板3に電子基板の熱を伝導するとともに、送風ファン5によってHDD2を冷却するため、送風ファン5を用いてNAS1の筐体全体を効率よく放熱することができる。
【0036】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。例えば、本実施の形態では、冷却手段としての送風ファンによって筐体内の空気を筐体外へ送り出すように構成しているが、例えば、筐体外から筐体内に空気を導き、HDDに対して送風してHDDを冷却するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…NAS(ネットワーク接続ストレージ)、 2…HDD(記憶媒体)、 2c…前面、 2d…後面(垂直側面)、 2e…右側面、 3…金属板、 3c…前板部、 3d…後板部、 3e…右板部、 4…電子基板、 4g…実装面、 4h…背面、 4k…コネクタ挿入口、 4q…LANケーブル挿入口、 4r…電源スイッチ、 4s…アダプタ挿入口、 4t…USB挿入口、 4w…突出部、 5…送風ファン(冷却手段)、 6…ゲル状マット(熱伝導部材)、 7…筐体、 7b…下面、 7d…後面、 7e…左側面、 7f…右側面、 7g…左筐体部、 7h…右筐体部、 7k…係合部、 7m…設置部、 7n…貫通穴部、 7p…空気排出口、 7q…LANケーブル開口部、 7r…スイッチ開口部、 7s…アダプタ開口部、 7t…USB開口部、 7u…導入開口部(空気導入部)、 41…CPU(制御部品)