特許第6195056号(P6195056)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱自動車工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6195056-車両用荷物固定具 図000002
  • 特許6195056-車両用荷物固定具 図000003
  • 特許6195056-車両用荷物固定具 図000004
  • 特許6195056-車両用荷物固定具 図000005
  • 特許6195056-車両用荷物固定具 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6195056
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】車両用荷物固定具
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/00 20060101AFI20170904BHJP
   B60P 7/06 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
   B60R22/00 105
   B60P7/06 Z
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-78932(P2013-78932)
(22)【出願日】2013年4月4日
(65)【公開番号】特開2014-201206(P2014-201206A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(72)【発明者】
【氏名】稲田 仁
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−213192(JP,A)
【文献】 実開平03−126736(JP,U)
【文献】 実開昭57−176254(JP,U)
【文献】 実開平06−044655(JP,U)
【文献】 特開2005−289342(JP,A)
【文献】 実開昭60−075149(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0309062(US,A1)
【文献】 特開平09−207651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/00 − 22/48
B60R 3/00 − 7/14
B60P 3/00 − 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に載置した荷物を、左右のシートに対応する二本のシートベルトを利用して固定する車両用荷物固定具であって、
各シートベルトのタングプレートがそれぞれ係合される第1の係合部材及び第2の係合部材と、これら第1の係合部材と第2の係合部材とを繋ぐ第1のバンド部材と、を備える第1の固定部材と、
前記第1のバンド部材に装着される装着部材と、前記装着部材に一端が連結され前記第1のバンド部材の下方に向かって延設される第2のバンド部材と、前記第2のバンド部材の他端に設けられて前記シートベルトのバックルである固定具に連結されるプレート部材である連結部材と、を有する第2の固定部材と、を備え
前記装着部材は、二つの前記第2の固定部材を兼ねており、前記第1のバンド部材がそれぞれ挿入される上下方向に長い二つの第1の挿入孔と、該第1の挿入孔の下側に当該第1の挿入孔の長手方向に対して所定角度で傾斜して設けられる二つの第2の挿入孔と、が設けられている
ことを特徴とする車両用荷物固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された荷物を固定する車両用荷物固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に荷物を搭載する際には、例えば、車両走行時の振動等に起因して荷物が移動してしまうことがないように、荷物を固定しておくことが好ましい。従来、車両に搭載した荷物を固定するための固定具として、例えば、荷室の床やピラーにアンカーが設けられたものがある。すなわち、アンカーを利用して、ロープやネット等で荷室に載置した荷物を車体に固定していた。また、シートベルトを活用して荷物を固定するようにしたものもある。例えば、二本のシートベルトを荷物固定具によって連結することで荷物を固定するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−213192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シートベルトは乗員保護を目的とするものであり、乗員の体格に拘わらず乗員を確実にシートに保持できるように構成されている。すなわちシートベルト側の固定具(タングプレート)は、乗員の体格等に応じて、その位置を容易に変更できるようにシートベルトに装着されている。このため、シートベルト側の固定具は、車両走行時の振動等に起因して動き易い。例えば、三点式のシートベルトの場合、シートベルトはリトラクタによって巻き取られてシート上部の孔に収容されるように構成されている。このため、シートベルト側の固定具は、車両走行時の振動等に起因して上方向に動き易い。
【0005】
したがって、上述のような荷物固定具をシートベルトに連結して荷物を固定した場合、車両走行時の振動等に起因して、荷物固定具がシートベルトの固定具と共に上方向に動いてしまい、安定した固定状態を維持できない虞がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、車両に搭載した荷物を良好に固定でき、車両走行時にも安定した固定状態を維持することができる車両用荷物固定具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、車両に載置した荷物を、左右のシートに対応する二本のシートベルトを利用して固定する車両用荷物固定具であって、各シートベルトのタングプレートがそれぞれ係合される第1の係合部材及び第2の係合部材と、これら第1の係合部材と第2の係合部材とを繋ぐ第1のバンド部材と、を備える第1の固定部材と、前記第1のバンド部材に装着される装着部材と、前記装着部材に一端が連結され前記第1のバンド部材の下方に向かって延設される第2のバンド部材と、前記第2のバンド部材の他端に設けられて前記シートベルトのバックルである固定具に連結されるプレート部材である連結部材と、を有する第2の固定部材と、を備え、前記装着部材は、二つの前記第2の固定部材を兼ねており、前記第1のバンド部材がそれぞれ挿入される上下方向に長い二つの第1の挿入孔と、該第1の挿入孔の下側に当該第1の挿入孔の長手方向に対して所定角度で傾斜して設けられる二つの第2の挿入孔と、が設けられていることを特徴とする車両用荷物固定具にある。
【発明の効果】
【0010】
かかる本発明では、第2の固定部材によって、第1の固定部材の上方向への移動が規制されている。このため、振動等による第1の固定部材の位置ずれを抑制でき、車両走行時にも安定した荷物の固定状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態1に係る車両用荷物固定具を示す概略図である。
図2】本発明の実施形態1に係る車両用荷物固定具を示す平面図である。
図3】本発明の実施形態1に係る装着部材を示す平面図である。
図4】本発明の実施形態2に係る車両用荷物固定具を示す平面図である。
図5】本発明の実施形態2に係る装着部材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
(実施形態1)
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る車両用荷物固定具10は、二本のシートベルト20、例えば、車両の後部座席を構成する左右のシート30に対応してそれぞれ設けられる各シートベルト20A,20Bを連結して、シート30上に載置された荷物40を固定するものである。具体的には、車両用荷物固定具10は、シートベルト20A,20Bに連結された状態で、左右方向(水平方向)に延設される第1のバンド部材11を含む第1の固定部材12と、この第1のバンド部材11から車両の床面50側に向かって延設される第2のバンド部材13を含む第2の固定部材14と、を備える。
【0014】
第1の固定部材12は、第1のバンド部材11と、第1のバンド部材11の両端部に設けられてシートベルト20A,20Bの固定具(タングプレート)21に係合される第1の係合部材15及び第2の係合部材16と、を備える。すなわち第1の固定部材12は、第1の係合部材15と第2の係合部材16とが第1のバンド部材11によって連結されてなる。第1の係合部材15及び第2の係合部材16の構造は、特に限定されないが、本実施形態では、シートベルトのタングプレートが連結されるブラケットで構成されている。
【0015】
第2の固定部材14は、第1のバンド部材11に装着される装着部材17を備え、この装着部材17に第2のバンド部材13の一端側が連結されている。装着部材17は、第1のバンド部材11の長さを調節するためのアジャスタを兼ねており、図3に示すように、第1のバンド部材11が挿通される二つの第1の挿通孔17aが設けられ、これら第1の挿通孔17aの下側には、第2のバンド部材13が挿通される第2の挿通孔17bが設けられている。
【0016】
第2の挿通孔17bに挿入されて装着部材17に連結された第2のバンド部材13は、第1の固定部材12がシートベルト20A,20Bと連結された状態で、車両の床面50側に向かって延設され、その先端部には連結部材18が設けられている。連結部材18は、車体の床面50付近に設けられた固定具60に連結される。連結部材18及び固定具60の構造は、特に限定されず、両者を連結可能なものであればよい。例えば、本実施形態では、連結部材18がシートベルトのタングプレートで構成され、固定具60はシートベルトのバックルで構成されている。なお本実施形態では、固定具60は連結部材18を連結するために設けられているが、例えば、他の用途のために設けられたアンカー等であってもよい。この場合、連結部材18の構造は、固定具60に合わせて適宜決定されればよい。
【0017】
このように車両用荷物固定具10は、第1の固定部材12と共に、第2の固定部材14を備えているため、車両走行時の振動等に起因する第1の固定部材12の上方への移動が第2の固定部材14によって規制される。したがって、例えば、シート30上に載置した荷物40を良好に固定することができる。
【0018】
(実施形態2)
図4は、実施形態2に係る車両用荷物固定具の平面図であり、図5は、実施形態2に係る連結部材の平面図である。なお同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0019】
図4に示すように、本実施形態に係る車両用荷物固定具10Aは、第1の固定部材12に接続される二つの第2の固定部材14A,14Bを備えた構成に特徴があり、その他の構成は実施形態1と同様である。
【0020】
第2の固定部材14A,14Bを構成する第2のバンド部材13A,13Bは、それぞれ装着部材17Aに連結されている。装着部材17Aは、二つの第2の固定部材14A,14Bを兼ねており、図5に示すように、第2のバンド部材13A,13Bのそれぞれが挿通される二つの第2の挿通孔17bを備えている。これら第2の挿通孔17bは、第1の挿通孔17aの長手方向(図中上下方向)に対して所定角度で傾斜して設けられている。
【0021】
また本実施形態では、第2の固定部材14A,14Bのそれぞれに対応する二つの固定具60A,60Bが、車両のシート30上に設けられている。すなわち本実施形態では、固定具60A,60Bが、シートベルト20A,20Bを構成する各バックル22で構成されている。そして第2の固定部材14A,14Bは、それぞれ連結部材18によって固定具60A,60Bに連結されるようになっている。
【0022】
このような本実施形態の構成では、二つの第2の固定部材14A,14Bによって第1の固定部材12の上方への移動がより確実に規制される。またこれら第2の固定部材14A,14Bをバックル22である固定具60A,60Bと連結するようにしたので、固定具60A,60Bを新たに設ける必要がなく、コストアップも抑制することができる。なお固定具60A,60Bは、勿論、車両の床面50にシートベルト20とは別途設けるようにしてもよい。
【0023】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0024】
例えば、上述の実施形態では、第2の固定部材を構成する装着部材が、第1のバンド部材のアジャスタを兼ねた構成を例示したが、装着部材の構成は、第1のバンド部材に装着できるものであれば、特に限定されるものではない。
【0025】
また上述の実施形態では、第1のバンド部材は、所定幅で形成された構成を例示したが、第1のバンド部材の構成は特に限定されず、例えば、シート状の部材を装着部材で纏めることで紐状にしたものであってもよい。
【0026】
また上述の実施形態では、シート上に載置した荷物を車両用荷物固定具を用いて固定する例を示したが、勿論、車両用荷物固定具は、荷室に載置された荷物の固定にも用いることができる。
【符号の説明】
【0027】
10 車両用荷物固定具
11 第1のバンド部材
12 第1の固定部材
13 第2のバンド部材
14 第2の固定部材
15 第1の係合部材
16 第2の係合部材
17 装着部材
17a 第1の挿通孔
17b 第2の挿通孔
18 連結部材
20 シートベルト
21 固定具(タングプレート)
22 バックル
30 シート
40 荷物
50 床面
60 固定具
図1
図2
図3
図4
図5