(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カットテープは、包装シートがひと巻きされる毎に少なくとも当該カットテープの幅の長さに相当する分だけ位置ずれして装着されていることを特徴とする請求項1に記載の開封手段付包装材ロール。
前記包装シートは、前記カットテープが装着された位置に相当する外面に、視認することが可能な目印が施されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の開封手段付包装材ロール。
【背景技術】
【0002】
商品となる物品の表面が汚損等することの無いように包装紙や包装フィルムといったシート状の包装材によって被覆して包装する場合、被覆した後に重なることとなる包装材の端部を接着剤等によって接合することが行われている。このような包装形態の包装体の場合、当該包装材を手で破く等することで開封作業を行うことができるが、開封位置(破く位置)や開封の仕方(破き方)によっては包装材が乱雑に細かく破れてしまい、開封作業に手間取ると共に、そのあと片づけが煩わしいものとなってしまうことがある。
【0003】
また、包装材が乱雑に破れてしまうことを防止すると共に、開封作業を効率良く行うことを目的として、カッターナイフ等の刃物を用いて包装材を切断することも考えられるが、包装材は厚みが薄いものであるため、注意深く行わないと誤って刃物が包装材を突き破って被包装物である物品を傷付けてしまうおそれがある。
【0004】
そこで、従来、包装材の内面又は表裏両面に破断用のカットテープを貼着した、カットテープ付包装材が提案されている(たとえば、特許文献1又は2を参照)。
このようなカットテープ付包装材では、カットテープの端部を指で摘まんで引っ張ることで、カットテープに沿って包装材が破断されることになり、包装材の開封作業において被包装物を傷付けられることがないと共に、開封作業を効率良く、綺麗に、かつ、容易に行うことができるものとなる。
【0005】
このようなカットテープ付包装材は、被包装物となる物品の大きさに適合するように予め所定の寸法に設計した個別の包装材として成形することもできるが、色々な大きさをした物品の包装に対応できるように、連続する長尺のカットテープ付包装シートをロール状に巻回して構成した開封手段付の包装材ロールとして成形し、使用時に適宜所望の長さに、もしくは所定寸法ごとにまとめて切断することで個別の包装材としている。
【0006】
しかしながら、開封手段付の包装材ロールは、ロール状に巻回された連続する長尺の包装シートの長手方向に沿って破断用のカットテープが直線状に装着されたものとなっているため、包装シートに装着された破断用のカットテープが互いに上下で重なり、破断用のカットテープが装着された位置に相当する部分が外側に盛り上がった、いわゆる巻太りの大のものとなってしまう。このような巻太りは、ロール状に巻回する回数が多くなるにつれて顕著なものとなる。そうすると、巻太りによって盛り上がった部分が邪魔になり、開封手段付の包装材ロールの移動や、重ねた状態での包装材ロールの保管等において支障が生じてしまい望ましくない。
【0007】
また、カットテープによる包装材の破断を補助するために、カットテープに沿って破線状の小孔(いわゆる、ミシン目)を形成することもなされているが、破線状の小孔が形成された包装シートを巻回した場合、巻回数によってはカットテープが装着された部分の盛り上がりに起因して破線状の小孔が意図せず開裂してしまうことがある。そうすると、巻回できる包装シートの長さが短いものとなってしまう。
【0008】
ゆえに、カットテープが装着された部分の盛り上がり(巻太り)を小さくすることができれば、包装材ロールの移動や保管等において支障のなく対応することができるものとして、巻回できる包装シートの長さをより長くすることができると共に、破線状の小孔が無暗に開裂してしまうおそれを低減した開封手段付の包装材ロールとするができるが、出願人が知る限り、このような課題に対応した開封手段付の包装材ロールは未だ提案されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、開封作業を効率良く、綺麗に、かつ、容易に行うことができることを可能とした開封手段付の包装材を提供するにあたり、長手方向に沿って破断用のカットテープが装着された連続する長尺の包装シートをロール状に巻回して開封手段付の包装材ロールとした場合でも、カットテープが装着された部分の盛り上がりを小さくすることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の開封手段付包装材ロールは、ロール状に巻回された連続する長尺の包装シートの長手方向に沿って破断用のカットテープが装着された開封手段付の包装材ロールであって、前記カットテープは、一定の振れ幅で蛇行し
、かつ、包装シートがひと巻きされて重なるごとに上下で互いに重ならない状態で包装シートに装着されていることを特徴とする。
【0012】
本発明においてカットテープは、包装シートがひと巻きされる毎に少なくとも当該カットテープの幅の長さに相当する分だけ位置ずれして装着されていると望ましい。
【0013】
本発明において包装シートは、クラフト紙もしくは長さ方向に伸張特性を有する伸張紙とすることができる。
また、本発明において包装シートは、カットテープの近傍に沿って破線状の小孔を備えているものとすると望ましい。
【0014】
また、本発明において包装シートは、カットテープが装着された位置に相当する外面に、視認することが可能な目印が施されているものとすることもできる。この目印は、包装シートとは色彩が異なる帯状の着色領域や文字列、帯状の模様領域とすることができる。
また、目印を文字列とした場合、複数設けられたうちの少なくとも1の文字列の向きが逆に表示されているものとしても良い。
【0015】
また、本発明の開封手段付包装材ロールの製造方法は、ロール状に巻回された連続する長尺の包装シートの長手方向に沿って破断用のカットテープが装着された開封手段付の包装材ロールを製造する方法であって、長尺の包装シートを連続して送り出す工程、一定の振れ幅で蛇行し
、かつ、包装シートがひと巻きされて重なるごとに上下で互いに重ならないように破断用のカットテープを送り出しながら前記包装シートの一面に装着する工程、前記カットテープが装着された前記包装シートをロール状に巻き取る工程、を少なくとも含むことを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明の開封手段付包装材ロールの製造装置は、ロール状に巻回された連続する長尺の包装シートの長手方向に沿って破断用のカットテープが装着された開封手段付の包装材ロールを製造する装置であって、連続して送り出される長尺の包装シートの長手方向と直交する方向に可動するように前記包装シートの一面側に架け渡された支持部材と、送り出される破断用のカットテープを支持するように前記支持部材に取り付けられたカットテープ送り補助部材と、駆動手段と、前記駆動手段に取り付けられた偏心回転部材と、前記偏心回転部材を介して前記駆動手段と連絡された、当該偏心回転部材の動きを往復運動に変換して前記支持部材に伝達する動力伝達部材と、を少なくとも備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の開封手段付包装材ロールは、破断用のカットテープが、一定の振れ幅で蛇行した状態で包装シートに装着されている。ゆえに、ロール状に巻回された包装材ロールにおいて、包装シートに装着された破断用のカットテープは互いに上下で直に重ならずに位置ずれしたものとなる。
したがって、長手方向に沿って破断用のカットテープが装着された連続する長尺の包装シートをロール状に巻回して開封手段付の包装材ロールとした場合、カットテープが装着された部分の盛り上がりが一定の幅で拡がったものとなることで、巻太りの程度が小さく抑制されたものとすることができる。また、巻太りの程度が小さくなることで、包装材ロールの移動や保管等において支障のなく対応することができると共に、巻回できる包装シートの長さをより長くすることができる。
【0018】
また、本発明の開封手段付包装材ロールの製造方法は、一定の振れ幅で蛇行するように破断用のカットテープを送り出しながら包装シートの一面に装着する工程を含んでいる。この工程は、連続する長尺の包装シートの長手方向に沿って破断用のカットテープを装着する際、送り出される破断用のカットテープを一定の振れ幅で搖動させるといった工夫を施したものである。ゆえに、包装シートに対する破断用のカットテープの装着と、破断用のカットテープの搖動が、支障なく略同時に成されるものとなる。
したがって、ロール状に巻回された連続する長尺の包装シートの長手方向に沿って破断用のカットテープが一定の振れ幅で蛇行した状態で容易に装着された開封手段付の包装材ロールを効率良く製造することができる。
【0019】
また、本発明の開封手段付包装材ロールの製造装置は、送り出される破断用のカットテープを支持するカットテープ送り補助部材が取り付けられた支持部材と、偏心回転部材が取り付けられた駆動手段と、偏心回転部材の動きを往復運動に変換して支持部材に伝達する動力伝達部材とを少なくとも備える。ゆえに、駆動手段の動作に伴う偏心回転部材の動きを動力伝達部材が往復運動に変換して支持部材に伝達し、包装シートの長手方向と直交する方向に支持部材を搖動すると共に、この支持部材に取り付けられたカットテープ送り補助部材も同様に搖動させることができる。
したがって、カットテープ送り補助部材に支持されている破断用のカットテープを一定の振れ幅で蛇行するように送り出しながら包装シートの一面に装着する工程を含む開封手段付包装材ロールの製造方法を実施することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるため技術的に種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0022】
図1に示すように、本発明における開封手段付包装材ロール(以下、単に「包装材ロール」という。)10は、長尺の包装シート1と、破断用のカットテープ2から構成されたものであって、ロール状に巻回された連続する包装シート1の長手方向に沿ってカットテープ2が一定の振れ幅で蛇行した状態で装着されたものである。
【0023】
包装シート1は、被包装体となる物品を被覆包装することが可能な柔軟な薄厚のシート体であって、カットテープ2によって破断することができるものであれば、素材は特に限定されるものではない。このような包装シート1としては、たとえば、クラフト紙などの紙材や、合成樹脂材からなるフィルム、アルミ箔、又は紙材と合成樹脂材とを組み合わせたもの(具体的には、クラフト紙などにポリオレフィン系樹脂を塗布又はポリオレフィン系樹脂フィルムを貼り合せたもの)、紙材とアルミ箔とを組み合わせたもの(具体的には、パルプ紙にアルミ箔を貼り合せたホイル紙)、もしくはアルミ箔と合成樹脂材とを組み合わせたもの(具体的には、アルミ箔にポリオレフィン系樹脂を塗布又はポリオレフィン系樹脂フィルムを貼り合わせたもの)などとすることができる。
【0024】
クラフト紙は、クラフトパルプを原料とした強度の強い紙の総称であって、防湿性や印刷適性、加工適性が良好であるため包装材として望ましい。
また、クラフト紙以外の紙材としては、長さ方向に伸張特性を有する伸張紙とすることができる。伸張紙は、たとえば、クルパック処理といった方法により紙を収縮させて伸び特性を得ているものであって、「クルパック」と称されるものが知られている。このような伸張紙は引裂き方向性を有するものであって、包装シート1を引裂いたときに拡がってしまうことが少なく綺麗に破断することができる。
【0025】
カットテープ2は、包装材ロール10から包装シート1を所望の長さに個別に切断して形成した包装材11の開封作業において、被包装物を傷付けることなく、開封作業を効率良く、綺麗に、かつ、容易に行うことができるように開封するための手段であって、包装材11(包装シート1)を破断するのに十分な強度を有する帯状体である。すなわち、カットテープ2は、包装シート1より強度の大きい材料を用いて形成されている。
このようなカットテープ2としては、たとえば、ポリプロピレン(PP)やポリエチレンテレフタレート(PET)などの合成樹脂材料によって形成されたものが使用可能である。
【0026】
また、カットテープ2としては、ナイロン糸や、金属製のワイヤといった幅の小さい紐状(線状)体とすることも考えられる。しかしながら、紐状をしたものであると、包装シート1に対する接触面積が少なく接着剤や加熱溶着等による装着強度が劣り、カットテープ2を引っ張る開封作業中に包装シート1から剥離して抜け落ちてしまうおそれがある。
【0027】
そのため、カットテープ2は包装シート1に対する接触面積が大きくなる帯状体とすることが望ましい。そうすると、包装シート1に対する装着強度が増したものとなり、カットテープ2を引っ張る開封作業中にカットテープ2が包装シート1から剥離してしまうことがなく、確実に開封作業を行えるものとすることができる。
ゆえに、カットテープ2としては、合成樹脂材料を帯状に形成したものが望ましい。
【0028】
なお、カットテープ2として用いる合成樹脂材料によっては、包装シート1に対する装着の際に引っ張ることで伸張してしまう場合がある。カットテープ2が伸張してしまうと、包装シート1に対する装着において浮きが発生してしまい、装着強度が落ちたものとなってしまう。すなわち、包装シート1に対する装着用の接着剤が予め一面に塗布された状態のカットテープ2が伸張してしまうと、カットテープ2の一面において接着剤が塗布されていない、もしくは接着剤の塗布が不充分な部分が生じてしまい、この部分が包装シート1に対して装着されない浮きとなってしまう。
【0029】
また、カットテープ2が伸張してしまうと、包装シート1に対する装着後に元に戻ろうとして収縮が生じ、カットテープ2が装着された部分において包装シート1に皺が発生したものとなってしまうおそれがある。このような皺は、包装材シート1として上述したクルパックを用いると抑えられる傾向にあるが、包装シート1に対して装着されない浮きを抑えることはできない。ゆえに、カットテープ2に用いる合成樹脂材料としては、伸張性の少ないもの、たとえば、ポリプロピレン(PP)とすることが望ましい。
【0030】
また、カットテープ2の厚みは特に限定されるものではないが、カットテープ2が装着された包装シート1をロール状に巻回して包装材ロール10としたときに、その外面においてカットテープ2が装着された部分の巻太りを小さくするために、できるだけ厚みは薄い方が望ましい。一方で、厚みを余りに薄くし過ぎると、包装シート1の破断途中でカットテープ2が千切れてしまう等の強度の低下を招くおそれがある。
【0031】
カットテープ2の強度は単にその厚みによって決まるものではなく、カットテープ2に用いる材料の種類と幅と厚みによって左右されるものであって、必要に応じて種々設計することができる。ちなみに、出願人がポリプロピレン製のカットテープ2を用いてクラフト紙を破断する試験をし、種々検討をしたところ、ポリプロピレン製のカットテープ2の場合、その幅と厚みは概ね、幅4mm、厚み0.06mm(60μm)をしたものが強度的に申し分なく厚みも薄くて望ましかった。
【0032】
また、包装シート1に対してカットテープ2を装着する際の蛇行の振れ幅も特に限定されるものではなく、包装材11の開封作業が支障なく行える程度の振れ幅とすることができる。また、カットテープ2の振れ幅は一定のものであるが、ここでの一定とは、上述のように包装材11の開封作業が支障なく行える程度の振れ幅をいう。ゆえに、所定の振れ幅の範囲内であれば、同じ振れ幅で規則正しく蛇行するものであっても、振れ幅は同じであるが振れる長さ(周期)が異なり不規則に蛇行するものであっても、異なる振れ幅で不規則に蛇行するものであっても良い。
【0033】
ちなみに、出願人が幅4mm、厚み0.06mmのポリプロピレン製のカットテープ2を用いてクラフト紙を破断する試験をし、種々検討をしたところ、カットテープ2の振れ幅としては、20〜45mmの範囲が好ましく、25〜30mmの範囲とするのが望ましかった。
【0034】
図1において、包装材ロール10は、一定の振れ幅Twで蛇行するカットテープ2が装着された面1aを内側にしてロール状に巻回された状態として示され、所望の長さとして図中一点鎖線で示すI−I線に沿って切断されることで、包装材ロール10から個別の包装材11が形成されることが示されている。
【0035】
また、本発明の包装材ロール10においてカットテープ2は、
図1に示すように、包装材11を用いて物品を被覆した際に、重ね合わされて貼着されることとなる重着領域αを避けて、包装シート1における内面1aに接着剤等を用いて装着されている。この重着領域αは、包装材11を重ね合わせて貼着することに利用される可能性のある領域であって、必ずしも重着領域αの全てが貼着されることとなるものではない。
【0036】
ゆえに、包装材ロール10においてカットテープ2は、包装材11として用いた場合に重着領域αとなる包装シート1における端部側の一定幅を避けて、その内面1aにおいて一定の振れ幅Twで蛇行した状態で装着されるものとなっている。
【0037】
このようにカットテープ2が装着された包装材11においては、カットテープ2による包装材11の破断がその重着領域(すなわち、重なって貼着されていない領域に比して強度が増して破断し辛くなっている領域)αで引っ掛かったり、カットテープ2が途中で破断してしまったりすることなく、円滑に、かつ、綺麗に開封作業を行うことができるものとなる。
【0038】
また、カットテープ2は、たとえば、包装シート1がひと巻きされる毎に少なくとも当該カットテープ2の幅2wの長さに相当する分だけ(振れ幅方向の領域内で)位置ずれするように蛇行した状態で装着されているものとすると望ましい。このように蛇行した状態でカットテープ2を包装シート1に装着すると、包装シート1の巻回において、上層の包装シート1に装着されたカットテープ2と下層の包装シート1に装着されたカットテープ2とが重ならないものとすることができる。ゆえに、包装材ロール10の外面においてカットテープ2が設けられた領域が、より平坦性を保って効率良く巻回されることになる。
【0039】
図2において、包装材ロール10は、包装シート1がひと巻きされて重なる毎に、カットテープ2の幅2wの長さに相当する分だけ位置ずれし、上層の包装シート1に装着されたカットテープ2と下層の包装シート1に装着されたカットテープ2とが上下で互いに重ならず、カットテープ2が一定の振れ幅Twで折り返し蛇行して装着されたものとして示されている。
【0040】
また、本発明においては、
図1に示すように、カットテープ2の近傍に沿って包装シート1に切り取り用の破線状の小孔(いわゆる、破断用ミシン目)5が形成された包装材ロール10とすることができる。
【0041】
破断用ミシン目5は、カットテープ2による包装材11の破断を補助するものである。この破断用ミシン目5は、カットテープ2の長さ方向に沿って片側または両側の近傍に形成することができる。また、カットテープ2の長さ方向に沿って両側の近傍に破断用ミシン目5を夫々形成する場合、破断用ミシン目5同士の間隔は、少なくとも蛇行して装着されるカットテープ2の振れ幅Twと略等しいか、若干広めに形成されたものなる。
【0042】
このように、カットテープ2に沿って破断用ミシン目5を形成することで、包装シート1の破断状態が乱れることなく、破断用ミシン目5に沿って包装シート1が破断され易くなるものとなり、カットテープによる包装シート1の破断を補助して、効率良く綺麗に包装シートの破断作業を行うことができる。
図1において、破断用ミシン目5は、包装シート1に装着したカットテープ2の長さ方向に沿って両側近傍に、片側一重にそれぞれ形成されたものとして示されている。
【0043】
また、本発明においては、
図1に示すように、包装シート1におけるカットテープ2が装着された位置に相当する外面1bに、視認することが可能な目印8が施された包装材ロール10とすることができる。
すなわち、目印8は、物品に対して一重に巻装することで露呈することとなる包装材11の外面1bは勿論のこと、物品に対して幾重にも巻装することで露呈することとなる包装材11の外面(すなわち、最外面)1bにおいて、視認することが可能なようにカットテープ2に沿うように設けられたものとなっている。
【0044】
ゆえに、物品に対して一重に巻装することとなる大きさをした包装材11の場合は、カットテープ2が装着された位置に相当する包装シート1の外面1b(裏側)に目印8が施されたものとなる。一方、物品に対して幾重にも巻装することとなる大きさをした包装材11の場合は、カットテープ2が装着された位置を基準として、包装する物品の外周面の長さに包装シート1の巻装回数を乗じた距離に相当する包装シート1の外面1bに目印8が施されたものとなる。
【0045】
なお、物品に対して幾重にも巻装することとなる大きさをした包装材11の場合、目印8は、少なくとも巻装したときの包装シート1の最外面1bに施されていればよいものではあるが、カットテープ2が装着された位置を基準として、物品の外周面の長さに相当する位置ごとに、一層(一重)ずつ施されているものであっても良い。
【0046】
この目印8は、包装シート1とは色彩が異なる帯状の着色領域とすることが望ましく、カットテープ2の幅よりも大きいものが望ましい。具体的には、たとえば、カットテープ2の振れ幅Twの大きさに等しい帯状の着色領域とすることができる。
【0047】
このように、包装シート1の外面1bに、包装シート1のとは色彩が異なる目印8を施すことで、カットテープ2の位置を一目で容易に見つけ出すものとすることができる。
図1において、目印8は、物品に対して一重に巻装する場合の包装シート1(包装材11)の外面1bに、長さ方向に沿って帯状の着色領域が印刷等によって施されたものとして示されている。
【0048】
また、図示しないが、目印は、半球状や円盤状等をした立体的な突出体とすることもできる。突出体とした場合においても、一目で容易に見つけ出すことができるように、包装シート1のとは異なる色彩が施されたものとすることが望ましい。
ただし、突出体の場合、突出度合いが小さいものは、一目で見つけ出すことが困難なものとなる場合があり、一方、突出度合いの大きなものは、厚みが大きくなって嵩張るものしまうため、突出度合いには注意を要する。
【0049】
図1において、包装材ロール10は、その内面1aに、重着領域αを避けてカットテープ2を装着すると共に、同外面1bに、視認することが可能な目印8を施し、さらに、カットテープ2の長さ方向に沿って両側近傍にそれぞれ一重にミシン目5が形成されたものとして示されている。
【0050】
次に、本発明の包装材ロール10の製造方法及び製造装置の一例について説明する。
図3及び
図4において示すように、まず、原紙ロール(図示しないが、図において左側に配されている)から包装シート1を連続して送り出す。このロールはリール(巻軸)に支持され、その原紙ロールから、たとえば、クラフト原紙などの包装シート1が、テンションローラや反転ローラを介してカットテープ2が装着される位置まで送り出される。図中の白抜き矢印は、包装シート1の送り出し方向を示す。
【0051】
次いで、カットテープロール(図示しないが、図において右側に配されている)からカットテープ2を送り出し、一定の振れ幅で蛇行するように振れさせながら、包装シート1の一面にカットテープ2を装着する。このカットテープロールもリール(巻軸)に支持され、カットテープロールからカットテープ2が包装シート1の送り出し速度に連動して送り出される。図中の黒塗り矢印は、カットテープ2の送り出し方向を示す。
【0052】
送り出されたカットテープ2は、包装シート1に装着する直前で振れるように本発明の包装材ロール10の製造装置に支持されるものとなる。この製造装置は、たとえば、送り出されるカットテープ2を支持するカットテープ送り補助部材21と、このカットテープ送り補助部材21が取り付けられた支持部材22と、駆動手段23と、この駆動手段に取り付けられた偏心回転部材24と、偏心回転部材24の動きを往復運動に変換して支持部材22に伝達する動力伝達部材25とを少なくとも備えているものとすることができる。
【0053】
カットテープ送り補助部材21は、包装シート1に対するカットテープ2の装着の位置を決めるように支持部材22を軸として取り付けられた、周面にカットテープ2を支持する溝を備える円盤状をした溝付きガイドロールである。
支持部材22は、連続して送り出される包装シート1の長手方向と直交する方向に可動するように包装シート1の一面側に架け渡された棒状のシャフトである。
【0054】
駆動手段23は、可変速付モータである。
偏心回転部材24は、駆動手段23に対して着脱自在に取付けられたカムである。この偏心回転部材24の偏心の程度によってカットテープ2の振れ幅が決定されるため、偏心回転部材24の大きさを適宜変更(交換)することで、カットテープ2の振れ幅を調整することができる。
【0055】
動力伝達部材25は、二つの爪部25a,25bが一定の間隔を有して配された、偏心回転部材24を挟持するラックである。この動力伝達部材25は、偏心回転部材24を介して駆動手段23と連絡されていると共に、支持部材22の一端側に固定して取り付けられている。
【0056】
このような製造装置を用いることにより、駆動手段23の動作に伴う偏心回転部材24の動きを動力伝達部材24が往復運動に変換して支持部材22に伝達し、包装シート1の長手方向と直交する方向に支持部材22を搖動する。そうすると、この支持部材22に取り付けられたカットテープ送り補助部材21が同様に搖動することとなり、一定の振れ幅で蛇行するように振れさせながらカットテープ2を送り出すことができる。
【0057】
すなわち、駆動手段23の動作に伴って偏心回転部材24が動力伝達部材25の一方の爪部25aに当接し、この爪部25aを押し込むように動作すると、動力伝達部材2に取り付けられた支持部材22が図中一点鎖線矢印で示す方向に移動する。そうすると、この支持部材22に取り付けられたカットテープ送り補助部材21が同じ方向に移動するものとなる(
図3(A)を参照)。一方、駆動手段23の動作に伴って偏心回転部材24が動力伝達部材25の他方の爪部25bに当接し、この爪部25bを押し込むように動作すると、動力伝達部材2に取り付けられた支持部材22が図中二点鎖線矢印で示す方向に移動する。そうすると、この支持部材22に取り付けられたカットテープ送り補助部材21が同じ方向に移動するものとなる(
図3(B)を参照)。
【0058】
ゆえに、これらの動作が連続して繰り返されることによって、カットテープ送り補助部材21が一定の振れ幅で搖動し、カットテープ送り補助部材21に支持されたカットテープ2も一定の振れ幅で蛇行するものとなる。
【0059】
そして、カットテープ送り補助部材21を介して送り出されたカットテープ2は、包装シート1の一面に装着されるが、その方法は特に限定されない。ゆえに、たとえば、
図4に示すように、カットテープ2の送り出す位置を、包装シート1を送り出す位置を越えるように位置ずれして配することで、送り出される包装シート1によってカットテープ2を押し込むようにしてカットテープ2に張力を掛けて装着するものとしても良い。この際、包装シート1と接するカットテープ2の一面には、予め接着剤が塗布されたものとなっている。
【0060】
図4において、包装シート1は反転ロール26によって送り出され、一方、カットテープ2は反転ロール26の位置よりも包装シート1が送り出される上流側に位置するカットテープ送り補助部材21によって送り出されるものとして示されている。ゆえに、カットテープ送り補助部材21を介して送り出されるカットテープ2は、反転ロール26を介して送り出される包装シート1によって押し込まれ、包装シート1が送り出される上流側に向かう張力がカットテープ2に対して掛かるものとなっている。
【0061】
なお、包装シート1の一面に対するカットテープ2の装着方法はこれに限定せず、送り出されたカットテープ2を、予め接着剤が塗布されていない他面側より押圧して包装シート1に圧着するようにしても良い。
【0062】
そして、カットテープ2が装着された包装シート1をリール(巻軸)に巻き取る。
以上により、ロール状に巻回された包装シート1の長手方向に沿ってカットテープ2が装着された本発明の包装材ロール10を製造することができる。
【0063】
以上のように製造した本発明の包装材ロール10は、上述したように、包装する物品の大きさ(長さ)に合わせて包装シート1を適宜切断することで使用するものであり、
図1中に示す一点鎖線に沿って切断することで、一枚の包装材11として用いるものである。
【0064】
この包装材11は、
図5に示すように、カットテープ2の長さ方向端部側において、包装材11の端縁部に若干の切り込み6を施し、この切り込み6によってカットテープ2の端部を指先で掴む摘まみ部7を形成したものとすることで、開封作業を効率良く行うものとすることができる。また、包装材11は、巻き始め端部側もしくは巻き終わり端部側の何れか一方における一面側に粘着層9が設けられたものとすることができる。この粘着層9は、包装シート1で物品の周胴面を被覆した後に巻装した包装シート1の端部を固定するための手段である。
【0065】
図5(A),(B)において、包装材11は、カットテープ2の長さ方向端部を挟むように両側近傍に切り込み6,6がそれぞれ設けられ、この二つの切り込み6,6で挟まれた間に摘まみ部7が形成されていると共に、包装シート1の重着領域αを有する側の端部とは逆側の端部における包装シート1の内面1aに、粘着層9が設けられたものとして示されている。
【0066】
次に、上述のように形成した包装材11を用いて、物品を被覆する場合について説明する。
まず、
図6(A)に示すように、矩形状をしたシート体からなる包装材11の内面1a側の略中央部に、カットテープ2の長さ方向に沿うように物品Mを載置する。この包装材11は、上述したように、包装材ロール10より包装シート1を引き出して切断することより形成したものであり、包装する物品Mの大きさ(長さ)に合わせて適宜大きさを調整することができるものである。
図6(A)において、包装材11は、物品Mの周胴面を一重に巻装できる大きさをした一辺と、物品Mの長さより若干長めの大きさをした一辺を有する、矩形状シート体として示されている。
【0067】
次いで、
図6(B)に示すように、図中の一点鎖線矢印にしたがって、包装材11の対向する二方向の端部同士を重ね合わせるように、物品Mの周胴面に包装材11を巻き付けて被覆する。このとき、包装材11における巻き終わり端部側の内面1aもしくは巻き始め端部側の外面1bの何れか一方に粘着層9が設けられていると、重ね合わせ部の貼着作業を効率良く行うものとすることができる。
図6(B)において、粘着層9は、包装材11における巻き終わり端部側の内面1aに設けられたものとして示されている。
【0068】
そして、
図6(C)に示すように物品Mを包み込んだ後、カットテープ2の長さ方向両端部側に飛び出した包装材11の端縁部分を、それぞれ内側に折り込んで筒状体に包装された包装体とする。
そうすると、包装材11の外面1bに施した目印5が表面に露呈して物品Mが包み込まれたものとなる。
【0069】
そして、この包装体の開封においては、まず、折り込んだ包装材11の端縁部分を引き起こし、包装材11の端縁部分に設けられた摘まみ部7を露呈させる。次いで、この摘まみ部7を摘んでカットテープ2を他端側へ向かって引っ張り、包装材11を破断する。そうすると、包装材11はカットテープ2に沿って綺麗に破断され、効率良く開封作業を行うことが出来、物品Mを簡単に取り出すことができる。
【0070】
以上のように本発明によれば、カットテープ2が、一定の振れ幅Twで蛇行した状態で包装シート1に装着されているので、ロール状に巻回された包装材ロール10において、包装シート1に装着されたカットテープ2は互いに上下で直に重ならずに位置ずれしたものとなる。
ゆえに、カットテープ2が装着された部分の盛り上がりが振れ幅Twに等しい一定の幅で拡がったものとなり、巻太りの程度が小さく抑制されたものとすることができる。しかも、包装材ロール10における巻太りの程度が小さくなることで、巻回できる包装シート1の長さをより長くすることができる。
【0071】
出願人が、厚み0.08mmのクラフト紙からなる包装シート1に対して、幅4mm、厚み0.06mmをしたポリプロピレン製のカットテープ2を、振れ幅25mmで蛇行させて装着して3000m巻き取った包装材ロール10を製造したところ、包装材ロール10の巻径は620mmであったが、カットテープ2が装着された部分の盛り上がり高さは1.0〜2.0mm程度であって、包装材ロール10の移動や保管等において何の違和感のないものとすることができた。
【0072】
また、本発明の包装材ロール10は、連続する包装シート1の長手方向に沿ってカットテープ2を装着する際、送り出されるカットテープ2を一定の振れ幅Twで搖動させるといった工夫を施すことで、包装シート1に対するカットテープ2の装着と、カットテープ2の搖動が支障なく略同時に成され、効率良く製造することができる。
【0073】
なお、上述した実施の形態において、目印は帯状の着色領域として説明したが、本発明の目印は、包装シート1とは色彩が異なる帯状の模様領域や、文字列とすることもできる。すなわち、帯状の着色領域と同様に、包装シート1の外面1bにおいてカットテープ2の長さ方向に沿うように、色彩が異なる帯状の模様領域や、所望の文字列からなる目印が施されたものとしても良い。
【0074】
図7(A)において、包装シート1の外面1bに、帯状の市松模様領域からなる目印18が施された一例が示されている。
また、
図7(B)において、包装シート1の外面1bに、「開封テープ」なる文字列と、白抜き矢印の図形からなる目印28が繰り返し施された一例が示されている。
【0075】
さらに、本発明において目印は、所望の文字列からなるものとした場合、複数設けられたうちの少なくとも1の文字列の向きが逆に表示されているものとしても良い。
このように複数の文字列における一部の文字列の向きを逆とすることで、包装材11を開封する際に開封者がどちらの側にいても、目印28の文字を判別することができるものとなる。
【0076】
図8において、包装シート1の外面1bに、「開封テープ」なる文字列と、白抜き矢印の図形からなり、左側を上にした第一の文字列からなる目印28Aと、右側を上にした第二の文字列からなる目印28Bが、印刷用ロールが一回転する過程で三つ繰り返し設けられた目印28が施された一例が示されている。