特許第6195265号(P6195265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6195265
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】カートリッジ式の歯科用ハンドピース
(51)【国際特許分類】
   A61C 1/08 20060101AFI20170904BHJP
【FI】
   A61C1/08 F
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-243278(P2012-243278)
(22)【出願日】2012年11月5日
(65)【公開番号】特開2014-90892(P2014-90892A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年11月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141598
【氏名又は名称】株式会社吉田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100069420
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 武
(72)【発明者】
【氏名】熊地 智
【審査官】 今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−321391(JP,A)
【文献】 特開平05−042169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドピース本体側から2系統の流体流路により水、空気が給送されるとともに、内部に下端面内周側が開口したカートリッジハウジング用の収容領域を形成し、2系統の流体流路のうちの一方の流体流路に連通させた一方の連絡流路の出口側を前記収容領域を形成する内壁面に臨ませ、他方の流体流路に連通させた他方の連絡流路の出口側を前記下端面に開口した他方の流体噴射口としたハンドピースヘッド部と、
前記ハンドピースヘッド部の収容領域内に、下端面を前記ハンドピースヘッド部の下端面の内側に臨ませて着脱可能に装着されるとともに、回転駆動される切削工具を下端面中央部から突出状態に、かつ、着脱可能に保持し、前記一方の連絡流路の出口側に対応する外壁部から内部を経て下端面に開口した一方の流体噴射口に至るカートリッジハウジング流路を備えるカートリッジハウジングと、
を有し、
前記一方の流体流路及び連絡流路を経てカートリッジハウジング流路における一方の流体噴射口から水又は空気のいずれか一方を、前記他方の流体流路及び連絡流路を経てハンドピースヘッド部の他方の流体噴射口から水又は空気のいずれか他方を、水、空気大気中混合方式で前記切削工具による切削作用面領域に向けて噴射するように構成し
前記内壁面は、前記カートリッジハウジング流路を備えた前記外壁部に対応する内壁面であることを特徴とするカートリッジ式の歯科用ハンドピース。
【請求項2】
ハンドピース本体側から2系統の流体流路により水、空気が給送されるとともに、内部に下端面内周側が開口したカートリッジハウジング用の収容領域を形成し、2系統の流体流路のうちの一方の流体流路に連通させた一方の連絡流路の出口側を前記収容領域を形成する内壁面に臨ませ、他方の流体流路に連通させた他方の連絡流路の出口側を前記下端面に開口した他方の流体噴射口としたハンドピースヘッド部と、
前記ハンドピースヘッド部の収容領域内に、下端面を前記ハンドピースヘッド部の下端面の内側に臨ませて着脱可能に装着されるとともに、回転駆動される切削工具を下端面中央部から突出状態に、かつ、着脱可能に保持し、前記一方の連絡流路の出口側に対応する外壁部から内部を経て下端面に開口した一方の流体噴射口に至るカートリッジハウジング流路を備えるカートリッジハウジングと、
を有し、
前記一方の流体流路及び連絡流路を経てカートリッジハウジング流路における一方の流体噴射口から水を、前記他方の流体流路及び連絡流路を経てハンドピースヘッド部の他方の流体噴射口から空気を、水、空気大気中混合方式で前記切削工具による切削作用面領域に向けて噴射するように構成し
前記内壁面は、前記カートリッジハウジング流路を備えた前記外壁部に対応する内壁面であることを特徴とするカートリッジ式の歯科用ハンドピース。
【請求項3】
ハンドピース本体側から2系統の流体流路により水、空気が給送されるとともに、内部に下端面内周側が開口したカートリッジハウジング用の収容領域を形成し、2系統の流体流路のうちの一方の流体流路に連通させた一方の連絡流路の出口側を前記収容領域を形成する内壁面に臨ませ、他方の流体流路に連通させた他方の連絡流路の出口側を前記下端面に開口した他方の流体噴射口としたハンドピースヘッド部と、
前記ハンドピースヘッド部の収容領域内に、下端面を前記ハンドピースヘッド部の下端面の内側に臨ませて着脱可能に装着されるとともに、回転駆動される切削工具を下端面中央部から突出状態に、かつ、着脱可能に保持し、前記一方の連絡流路の出口側に対応する外壁部から内部を経て下端面に開口した一方の流体噴射口に至るカートリッジハウジング流路を備えるカートリッジハウジングと、
を有し、
前記一方の流体流路及び連絡流路を経てカートリッジハウジング流路における一方の流体噴射口から空気を、前記他方の流体流路及び連絡流路を経てハンドピースヘッド部の他方の流体噴射口から水を、水、空気大気中混合方式で前記切削工具による切削作用面領域に向けて噴射するように構成し
前記内壁面は、前記カートリッジハウジング流路を備えた前記外壁部に対応する内壁面であることを特徴とするカートリッジ式の歯科用ハンドピース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジ式の歯科用ハンドピースに関し、詳しくは、切削工具の切削作用面に対する注水冷却機能を有するカートリッジ式の歯科用ハンドピースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から歯科の治療において、回転駆動される切削工具を挿着したカートリッジをハンドピースヘッド部に内蔵し、患部を削除する際に切削により発生する熱を冷却するとともに切削により生じる切り屑を除去するために、ハンドピースヘッド部側から切削工具の切削作用面に水と空気を混合して噴射するように構成したカートリッジ式の歯科用ハンドピースが提案され実用化されている。
【0003】
この種のカートリッジ式の歯科用ハンドピースにおいては、部品コストの低廉化によるユーザー負担の軽減、また、水、空気2流体の定量噴射の実現、さらにはメンテナンス作業や清掃作業の簡略容易化が要請される。
【0004】
特許文献1には、歯科用ハンドピース先端のヘッドハウジングに、カートリッジケース、歯科用処置工具を保持するバースリーブ、上下のベアリングを備えるカートリッジを着脱自在に装着して構成するカートリッジ式の歯科用ハンドピースにおいて、前記カートリッジが、下方のベアリングを超えてヘッドハウジングの最下端まで突出する突出部を備え、この突出部の外周面には、装着状態において前記ヘッドハウジングの内面との間にリング状の流体通路を形成する凹溝を設け、カートリッジの下端面には前記凹溝と連通する流体噴射孔(スプレー孔)を孔設し、さらにヘッドハウジングが、これの内周面に開口してハンドピース本体内に配設した流体供給路からの流体を前記流体通路に給送する連絡孔を備える構成の歯科用ハンドピースが提案されている。
【0005】
しかし、特許文献1の歯科用ハンドピースの場合、前記ヘッドハウジングの内面と、カートリッジのヘッドハウジング内に位置する突出部の外周面との間に水、空気を混合させるスプレー機構を設け、カートリッジの下端面に設けた流体噴射孔から混合させた水、空気からなる流体を噴射する構造であり、カートリッジの外周面に2つの凹溝を設け、下端面から内部方向に2つの凹溝に連通させる流体噴射孔を設けなければならず、カートリッジの加工コスト高を招き、当該カートリッジは消耗品で設置現場での交換部品であることを考慮するとユーザー負担が増加してしまう。
【0006】
また、特許文献1の歯科用ハンドピースの場合、水、空気からなる2流体の内部混合方式であり、2流体の圧力バランスに影響されてこれら2流体の定量噴射が難しいという問題もある。
【0007】
さらに、特許文献1の歯科用ハンドピースの場合、カートリッジをヘッドハウジングから取り外して、2つの凹溝及びこれら2つの凹溝に連通させた流体噴射孔のメンテナンスや清掃を行うことが必要となり、メンテナンス作業や清掃作業が煩雑化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公平7−14397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする問題点は、部品コストの低廉化によるユーザー負担の軽減を図ることができ、また、水、空気2流体の大気混合定量噴射を実現でき、さらにはメンテナンス作業や清掃作業の簡略容易化をも図れるようなカートリッジ式の歯科用ハンドピースが存在しない点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のカートリッジ式の歯科用ハンドピースは、ハンドピース本体側から2系統の流体流路により水、空気が給送されるとともに、内部に下端面内周側が開口したカートリッジハウジング用の収容領域を形成し、2系統の流体流路のうちの一方の流体流路に連通させた一方の連絡流路の出口側を前記収容領域を形成する内壁面に臨ませ、他方の流体流路に連通させた他方の連絡流路の出口側を前記下端面に開口した他方の流体噴射口としたハンドピースヘッド部と、前記ハンドピースヘッド部の収容領域内に、下端面を前記ハンドピースヘッド部の下端面の内側に臨ませて着脱可能に装着されるとともに、回転駆動される切削工具を下端面中央部から突出状態に、かつ、着脱可能に保持し、前記一方の連絡流路の出口側に対応する外壁部から内部を経て下端面に開口した一方の流体噴射口に至るカートリッジハウジング流路を備えるカートリッジハウジングと、を有し、前記一方の流体流路及び連絡流路を経てカートリッジハウジング流路における一方の流体噴射口から水又は空気のいずれか一方を、前記他方の流体流路及び連絡流路を経てハンドピースヘッド部の他方の流体噴射口から水又は空気のいずれか他方を、水、空気大気中混合方式で前記切削工具による切削作用面領域に向けて噴射するように構成し、前記内壁面は、前記カートリッジハウジング流路を備えた前記外壁部に対応する内壁面であることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、水、空気をカートリッジハウジング、ハンドピースヘッド部の外部で混合させる水、空気大気中混合方式の基に、ハンドピースヘッド部内における水、空気各々の圧力バランスに作用されることのない定量吐出スプレー構造とすることができ、また、カートリッジハウジングの構造が簡略化し、加工コストの低廉化によるユーザー負担の軽減を図ることもでき、さらに、カートリッジハウジング21をハンドピースヘッド部から取り外した状態では、カートリッジハウジング流路の凹溝部や流体噴出口が外部に露出するとともに、ハンドピースヘッド部側でも他方の流体噴出口を含む嵌着部材が外部に露出することから、カートリッジハウジングやハンドピースヘッド部のメンテナンス作業や清掃作業の簡略容易化をも図ることができるカートリッジ式の歯科用ハンドピースを提供することができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、カートリッジハウジング側の一方の流体噴射口から水を切削工具による切削作用面領域に向けて噴射し、また、ハンドピースヘッド部側の他方の流体噴射口から空気を前記切削工具による切削作用面領域に向けて噴射する構成の基に、請求項1記載の発明と同様な効果を奏するカートリッジ式の歯科用ハンドピースを提供することができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、カートリッジハウジング側の一方の流体噴射口から空気を切削工具による切削作用面領域に向けて噴射し、また、ハンドピースヘッド部側の他方の流体噴射口から水を前記切削工具による切削作用面領域に向けて噴射する構成の基に、請求項1記載の発明と同様な効果を奏するカートリッジ式の歯科用ハンドピースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は本発明の実施例に係るカートリッジ式の歯科用ハンドピース におけるハンドピースヘッド部及びカートリッジハウジングの概略断面図である。
図2図2は本実施例に係るカートリッジ式の歯科用ハンドピースにおけるハンドピースヘッド部から取り外したカートリッジハウジングの外観を示す概略図である。
図3図3は本実施例に係るカートリッジ式の歯科用ハンドピースにおけるハンドピースヘッド部及び切削工具を保持したカートリッジハウジングを下端面側からみた概略斜視図である。
図4図4は本実施例に係るカートリッジ式の歯科用ハンドピースにおける嵌着部材の平面図である。
図5図5は本実施例に係るカートリッジ式の歯科用ハンドピースの外観を示す概略図である。
図6図6は本実施例に係るカートリッジ式の歯科用ハンドピースにおける水、空気噴射態様の他例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、部品コストの低廉化によるユーザー負担の軽減を図ることができ、水、空気2流体の大気混合定量噴射も可能であり、さらにはメンテナンス作業や清掃作業の簡略容易化をも図れるカートリッジ式の歯科用ハンドピースを提供するという目的を、ハンドピース本体側から2系統の流体流路により水、空気が給送されるとともに、内部に下端面内周側が開口したカートリッジハウジング用の収容領域を形成し、2系統の流体流路のうちの一方の流体流路に連通させた一方の連絡流路の出口側を前記収容領域を形成する内壁面に臨ませ、他方の流体流路に連通させた他方の連絡流路の出口側を前記下端面に開口した他方の流体噴射口としたハンドピースヘッド部と、前記ハンドピースヘッド部の収容領域内に、下端面を前記ハンドピースヘッド部の下端面の内側に臨ませて着脱可能に装着されるとともに、回転駆動される切削工具を下端面中央部から突出状態に、かつ、着脱可能に保持し、前記一方の連絡流路の出口側に対応する外壁部から内部を経て下端面に開口した一方の流体噴射口に至るカートリッジハウジング流路を備えるカートリッジハウジングと、を有し、前記一方の流体流路及び連絡流路を経てカートリッジハウジング流路における一方の流体噴射口から水を、前記他方の流体流路及び連絡流路を経てハンドピースヘッド部の他方の流体噴射口から空気を、水、空気大気中混合方式で前記切削工具による切削作用面領域に向けて噴射する構成により実現した。
【実施例】
【0016】
以下に本発明の実施例に係るカートリッジ式の歯科用ハンドピースについて図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
本実施例に係るカートリッジ式の歯科用ハンドピース1は、歯科の治療に用いられるものであり、図5に示すように、ハンドピース本体2の一端に詳細は後述するカートリッジハウジング21を内蔵したハンドピースヘッド部11を備えている。
【0018】
前記ハンドピースヘッド部11、カートリッジハウジング21について図1乃至図4を参照して詳述する。
【0019】
本実施例に係るカートリッジ式の歯科用ハンドピース1におけるハンドピースヘッド部11は、図1に示すように、全体として略円筒状に形成されるとともに、図1において、下部側を開口穴を設けた下端面11aに至るに従い縮径するテーパー状とし、外周部の一部を前記ハンドピース本体2の一端に連結した構成としている。
【0020】
前記ハンドピースヘッド部11の内部には、下端面11aの内周側が円形に開口したカートリッジハウジング21用の収容領域12を形成している。
【0021】
前記ハンドピースヘッド部11のハンドピース本体2との連結部分の内部には、ハンドピース本体2側に設けた一方の流体流路3、及び、他方の流体流路4に各々連通させた一方の連絡流路13、他方の連絡流路14を設けている。
【0022】
前記一方の流体流路3に連通させた一方の連絡流路13の出口側を前記収容領域12を形成する内壁面に臨ませ、他方の流体流路4に連通させた他方の連絡流路14の出口側を前記下端面11aに開口した他方の流体噴射口15としている。
【0023】
すなわち、前記ハンドピースヘッド部11の下端面11aの内周領域には、全周にわたって内周切欠凹部11bを形成し、また、カートリッジハウジング21の下端面21aの外周部には外周切欠凹部21bを形成している。
【0024】
そして、内周切欠凹部11bと外周切欠凹部21bとの領域に、円形環状で外周部に立ち上がり部16aを有し、かつ、底板部16bに立ち上がり部16aの内側に位置して例えば円周方向に120度間隔配置で3個の流体噴射口15を形成した嵌着部材16を嵌着し、3個の流体噴射口15をカートリッジハウジング21の下端外周の直ぐ隣に位置する構成としている。
【0025】
前記カートリッジハウジング21は、前記ハンドピースヘッド部2の収容領域12内に、下端面21aを前記ハンドピースヘッド部11の下端面11aの内側に臨ませて着脱可能に装着されている。
【0026】
前記カートリッジハウジング21の内部には、上下配置に軸受22、22が配置され、上下の軸受22、22により回転可能に回転軸23を保持し、この回転軸23の外周に空気圧にて回転駆動されるるローター24を取り付けている。
【0027】
また、前記回転軸23に対して、切削工具31の上部側を着脱可能に装着するとともに、この切削工具31の下部側(突出端側)は前記カートリッジハウジング21の下端中央部から下方に突出させ切削作用面領域に臨ませるように構成している。
【0028】
さらに、前記カートリッジハウジング21には、前記一方の連絡流路13の出口側に対応する外壁部から内部を経て下端面21aに開口した一方の流体噴射口26に至るカートリッジハウジング流路25を備えている。
【0029】
このカートリッジハウジング流路25は、外壁部から内部に至って形成した凹溝部27と、凹溝部27の内方端部から下端面21aに向けて穿設した例えば円周方向120度間隔の3箇所の噴射流路28とからなり、各噴射流路28の下端面21aの部分を各々一方の流体噴射口26とした逆L状を呈する形状としている。
【0030】
また、各流体噴射口26の開口位置は、前記3個の流体噴射口15と各々隣り合う配置としている。
【0031】
前記ハンドピースヘッド部11の上部には、このハンドピースヘッド部11内に装着された前記カートリッジハウジング21の上部を被う蓋体17が着脱可能に嵌着され、蓋体17の内底突部17aを前記カートリッジハウジング21における回転軸23の上面に当接させるとともに、蓋体17の内底の下側でカツ、回転軸23の周りに配置したコイルばね18により、前記回転軸23を介してカートリッジハウジング21を図1において下方に向けて、すなわち、前記ハンドピースヘッド部11と一体化するように付勢している。
尚、前記ローター24を回転駆動する空圧駆動系については公知のものと同様であるため、説明を省略する。
【0032】
次に、上述した構成からなる本実施例に係るカートリッジ式の歯科用ハンドピース1の作用、効果について、前記カートリッジハウジング21に関する作用、効果を主にして説明する。
【0033】
本実施例に係るカートリッジ式の歯科用ハンドピース1においては、前記一方の流体流路3及び連絡流路13を経てカートリッジハウジング流路25における一方の流体噴射口26から水を前記切削工具31による切削作用面領域に向けて噴射し、また、前記他方の流体流路4及び連絡流路14を経てハンドピースヘッド部11の他方の流体噴射口15から空気を前記切削工具31による切削作用面領域に向けて噴射するものである。
【0034】
これにより、本実施例に係るカートリッジ式の歯科用ハンドピース1によれば、水、空気を前記カートリッジハウジング21、ハンドピースヘッド部11の外部で混合させる水、空気大気中混合方式の基に、ハンドピースヘッド部11内における水、空気各々の圧力バランスに作用されることのない定量吐出スプレー構造とすることができ、患部を削除する際に切削により発生する熱の冷却や、切削により生じる切り屑除去に効果的なカートリッジ式の歯科用ハンドピース1を提供することができる。
【0035】
また、本実施例に係るカートリッジ式の歯科用ハンドピース1によれば、前記カートリッジハウジング21には、その下端側の外壁部から内部を経て下端面21aに開口する流体噴射口26に至るカートリッジハウジング流路25を設けた構成からなるものであるから、前記カートリッジハウジング21に凹溝部27と3箇所の流体噴射口26を噴射流路28を形成するだけでよく、カートリッジハウジング21の構造が簡略化し、従来例に比べ、前記カートリッジハウジング21の加工コストの低廉化によるユーザー負担の軽減を図ることができる。
【0036】
さらに、本実施例に係るカートリッジ式の歯科用ハンドピース1によれば、前記カートリッジハウジング21をハンドピースヘッド部11から取り外した状態では、図2に示すように、前記カートリッジハウジング流路25を構成する凹溝部27や流体噴出口26が外部に露出するとともに、ハンドピースヘッド部11側でも前記他方の流体噴出口15を含む嵌着部材16が外部に露出する構造であることから、前記カートリッジハウジング21やハンドピースヘッド部11のメンテナンス作業や清掃作業の簡略容易化をも図ることができる。
【0037】
図6は、本実施例に係るカートリッジ式の歯科用ハンドピース1における水、空気噴射態様の他例を示すものであり、図1に示す場合とは逆に、前記一方の流体流路3及び連絡流路13を経てカートリッジハウジング流路25における一方の流体噴射口26から空気を前記切削工具31による切削作用面領域に向けて噴射し、また、前記他方の流体流路4及び連絡流路14を経てハンドピースヘッド部11の他方の流体噴射口15から水を前記切削工具31による切削作用面領域に向けて噴射する使用態様としたものである。
【0038】
このような図6に示すような使用態様を採用する場合においても、上述した場合と同様な作用、効果を発揮させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、上述したようなエアータービン式の歯科用ハンドピースはもちろんのこと、切削作用面に水、空気を噴射する2流体噴射式の各種歯科用ハンドピースに関して広範に応用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 歯科用ハンドピース
2 ハンドピースヘッド部
3 一方の流体流路
4 他方の流体流路
11 ハンドピースヘッド部
11a 下端面
11b 内周切欠凹部
12 収容領域
13 一方の連絡流路
14 他方の連絡流路
15 他方の流体噴射口
16 嵌着部材
16a 立ち上げ部
16b 底板部
17 蓋体
17a 内底突部
18 コイルばね
21 カートリッジハウジング
21a 下端面
21b 外周切欠凹部
22 軸受
23 回転軸
24 ローター
25 カートリッジハウジング流路
26 一方の流体噴射口
27 凹溝部
28 噴射流路
31 切削工具
図1
図2
図3
図4
図5
図6