(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6195312
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 84/00 20090101AFI20170904BHJP
H04W 56/00 20090101ALI20170904BHJP
【FI】
H04W84/00 110
H04W56/00
【請求項の数】22
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-531479(P2014-531479)
(86)(22)【出願日】2012年8月29日
(65)【公表番号】特表2014-526851(P2014-526851A)
(43)【公表日】2014年10月6日
(86)【国際出願番号】JP2012072520
(87)【国際公開番号】WO2013047118
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2014年3月25日
【審判番号】不服2016-8512(P2016-8512/J1)
【審判請求日】2016年6月8日
(31)【優先権主張番号】1116924.0
(32)【優先日】2011年9月30日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100147809
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 順一
(72)【発明者】
【氏名】ジャクタ,カロライン
(72)【発明者】
【氏名】プンツ,ゴットフリッド
(72)【発明者】
【氏名】林 貞福
(72)【発明者】
【氏名】デンソル,トーマス
【合議体】
【審判長】
北岡 浩
【審判官】
川口 貴裕
【審判官】
山本 章裕
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−157957(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/089949(WO,A1)
【文献】
特開2006−67447(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/058991(WO,A1)
【文献】
国際公開第2011/102772(WO,A1)
【文献】
国際公開第2011/113202(WO,A1)
【文献】
国際公開第2011/000193(WO,A1)
【文献】
国際公開第2010/124458(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
3GPP SA WG1-2
3GPP CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のトラッキングエリアに配置された複数の基地局を有する通信システムにおいて用いられる移動中継ノードであって、
ドナー基地局に対して信号を送受信するとともに、該移動中継ノードに関連付けられた1つ又は複数のユーザデバイスに対して信号を送受信するトランシーバ回路と、
中継ノード識別子を記憶するメモリと、
前記関連付けられたユーザデバイスと前記ドナー基地局との間の通信を制御する通信コントローラと、
を備え、
前記移動中継ノードには、固定トラッキングエリア識別子が割り当てられており、
前記通信コントローラは、該移動中継ノードが前記ドナー基地局に接続するときに該ドナー基地局に前記中継ノード識別子を送信するように動作可能であり、
前記通信コントローラは、関連付けられたユーザデバイスから接続メッセージを受信するように動作可能であり、前記接続メッセージに応答して、前記中継ノード識別子を前記接続メッセージに挿入して、該接続メッセージを前記ドナー基地局に送信するように構成されており、
前記通信コントローラは、第1のドナー基地局から前記固定トラッキングエリア識別子を受信するように動作可能であり、
前記移動中継ノードは、前記固定トラッキングエリア識別子を該移動中継ノードに関連付けられた前記1つ又は複数のユーザデバイスにブロードキャストするように動作可能であり、
前記移動中継ノードは、前記第1のドナー基地局のトラッキングエリアと異なるトラッキングエリアに属する第2のドナー基地局に接続するように動作可能であり、
前記移動中継ノードは、前記第2のドナー基地局に接続した後でも、前記1つ又は複数の関連付けられたユーザデバイスへの前記固定トラッキングエリア識別子のブロードキャストを継続するように構成されている、移動中継ノード。
【請求項2】
複数のトラッキングエリアに配置された複数の基地局を有する通信システムにおいて用いられる移動中継ノードであって、
ドナー基地局に対して信号を送受信するとともに、該移動中継ノードに関連付けられた1つ又は複数のユーザデバイスに対して信号を送受信するトランシーバ回路と、
中継ノード識別子を記憶するメモリと、
前記関連付けられたユーザデバイスと前記ドナー基地局との間の通信を制御する通信コントローラと、
を備え、
前記移動中継ノードには、固定無線セル識別子が割り当てられており、
前記通信コントローラは、該移動中継ノードが前記ドナー基地局に接続するときに該ドナー基地局に前記中継ノード識別子を送信するように動作可能であり、
前記通信コントローラは、関連付けられたユーザデバイスから接続メッセージを受信するように動作可能であり、前記接続メッセージに応答して、前記中継ノード識別子を前記接続メッセージに挿入して、該接続メッセージを前記ドナー基地局に送信するように構成されており、
前記通信コントローラは、第1のドナー基地局から前記固定無線セル識別子を受信するように動作可能であり、
前記移動中継ノードは、前記固定無線セル識別子を該移動中継ノードに関連付けられた前記1つ又は複数のユーザデバイスにブロードキャストするように動作可能であり、
前記移動中継ノードは、前記第1のドナー基地局の無線セルと異なる無線セルに属する第2のドナー基地局に接続するように動作可能であり、
前記移動中継ノードは、前記第2のドナー基地局に接続した後でも、前記1つ又は複数の関連付けられたユーザデバイスへの前記固定無線セル識別子のブロードキャストを継続するように構成されている、移動中継ノード。
【請求項3】
複数のトラッキングエリアに配置された複数の基地局を有する通信システムにおいて用いられる移動中継ノードであって、
ドナー基地局に対して信号を送受信するとともに、該ドナー中継ノードに関連付けられた1つ又は複数のユーザデバイスに対して信号を送受信するトランシーバ回路と、
中継ノード識別子を記憶するメモリと、
前記関連付けられたユーザデバイスと前記ドナー基地局との間の通信を制御する通信コントローラと、
を備え、
前記通信コントローラは、該移動中継ノードが前記ドナー基地局に接続するときに該ドナー基地局に前記中継ノード識別子を送信するように動作可能であり、
前記通信コントローラは、関連付けられたユーザデバイスから接続メッセージを受信するように動作可能であり、前記接続メッセージに応答して、前記中継ノード識別子を前記接続メッセージに挿入して、該接続メッセージを前記ドナー基地局に送信するように構成されており、
前記通信コントローラは、前記移動中継ノードが通過すると予想されるトラッキングエリアの所定のリストを受信するように構成され、
前記通信コントローラは、前記トラッキングエリアのリストを前記関連付けられた1つ又は複数のユーザデバイスに通信するように構成されている、移動中継ノード。
【請求項4】
前記通信コントローラは、前記移動中継ノードが接続すると予想されるドナー基地局の所定のリストを受信するように構成され、
第1のドナー基地局から、該第1のドナー基地局のトラッキングエリアと異なるトラッキングエリアに属する第2のドナー基地局に移動するときに、該第2のドナー基地局が前記所定のリストにあれば、前記移動中継ノードは、トラッキングエリア更新を送信しないように構成されている、請求項3に記載の移動中継ノード。
【請求項5】
前記通信コントローラは、前記移動中継ノードが接続すると予想されるドナー基地局の所定のリストを受信するように構成され、
前記移動中継ノードは、第1のドナー基地局から、該第1のドナー基地局のトラッキングエリアと異なるトラッキングエリアに属する第2のドナー基地局に移動するときにトラッキングエリア更新を送信するように構成されている、請求項3に記載の移動中継ノード。
【請求項6】
通信システムにおいて用いられるドナー基地局であって、
前記通信システムのネットワークノードに対して信号を送受信するとともに、1つ又は複数のユーザデバイスが請求項1乃至5の何れか1つに記載の移動中継ノードを通じて前記ドナー基地局に接続することを可能にする前記移動中継ノードに対して信号を送受信するように構成されるトランシーバ回路と、
前記移動中継ノードが前記ドナー基地局に接続するときに、前記移動中継ノードによって中継ノード識別子が挿入された接続メッセージを受信するように動作可能である通信コントローラと、
を備え、
前記通信コントローラは、前記移動中継ノードによって前記中継ノード識別子が挿入された該接続メッセージを前記ネットワークノードに送信するように動作可能である、ドナー基地局。
【請求項7】
前記中継ノード識別子は、該ドナー基地局が前記移動中継ノードから受信する前記ユーザデバイス接続メッセージ内に含まれ、前記通信コントローラは、前記受信したユーザデバイス接続メッセージを前記ネットワークノードに転送するように動作可能である、請求項6に記載のドナー基地局。
【請求項8】
前記通信コントローラは、請求項1に記載の移動中継ノードの前記固定トラッキングエリア識別子をネットワークノードから受信するように動作可能であり、前記受信した固定トラッキングエリア識別子を請求項1に記載の移動中継ノードに転送するように動作可能である、請求項6又は7に記載のドナー基地局。
【請求項9】
前記通信コントローラは、請求項2に記載の移動中継ノードの前記固定無線セル識別子をネットワークノードから受信するように動作可能であり、前記受信した固定無線セル識別子を請求項2に記載の移動中継ノードに転送するように動作可能である、請求項6又は7に記載のドナー基地局。
【請求項10】
前記通信コントローラは、請求項3に記載の移動中継ノードが通過すると予想されるトラッキングエリアの所定のリストをネットワークノードから受信するように動作可能であり、前記所定のリストを請求項3に記載の移動中継ノードに転送するように動作可能である、請求項6又は7に記載のドナー基地局。
【請求項11】
前記通信コントローラは、前記移動中継ノードが接続すると予想されるドナー基地局の所定のリストをネットワークノードから受信するように構成され、前記ドナー基地局の所定のリストを前記移動中継ノードに転送するように構成されている、請求項6〜10のいずれか1項に記載のドナー基地局。
【請求項12】
複数のトラッキングエリアに配置された複数の基地局を有する通信システムにおいて用いられるネットワークノードであって、
ドナー基地局に対して信号を送受信するように構成されるトランシーバ回路と、
請求項1乃至5の何れか1つに記載の移動中継ノードが第1のドナー基地局に接続するときに中継ノード識別子を前記第1のドナー基地局から受信するように動作可能であり、前記中継ノード識別子を受信した前記第1のドナー基地局に関連付けられた前記トラッキングエリアに対応するトラッキングエリアデータとともに、前記中継ノード識別子を記憶するように動作可能である通信コントローラと、
を備え、これにより、前記トラッキングエリアデータを前記移動中継ノードに関連付け、
前記通信コントローラは、前記移動中継ノードに関連付けられたユーザデバイスからの接続メッセージを前記第1のドナー基地局から受信するように動作可能であり、前記移動中継ノードに関連付けられたトラッキングエリアデータが前記ユーザデバイスにも関連付けられるように、前記ユーザデバイスを前記移動中継ノードに関連付けるデータを記憶するように動作可能である、ネットワークノード。
【請求項13】
第2のドナー基地局の前記トラッキングエリアが前記第1のドナー基地局の前記トラッキングエリアと異なる場合には、前記通信コントローラは、前記移動中継ノードが前記第2のドナー基地局に接続するときに中継ノード識別子を前記第2のドナー基地局から受信するように動作可能であり、前記移動中継ノードに関連付けられた前記トラッキングエリアデータと、前記移動中継ノードに関連付けられた任意のユーザデバイスに関連付けられた前記トラッキングエリアデータとを更新するように動作可能である、請求項12に記載のネットワークノード。
【請求項14】
前記通信コントローラは、前記ユーザデバイス接続メッセージを受信したことに応答して、前記移動中継ノードが通過すると予想されるトラッキングエリアの所定のリストを、前記第1のドナー基地局及び前記移動中継ノードを介して前記ユーザデバイスに送信する、請求項12又は13に記載のネットワークノード。
【請求項15】
前記通信コントローラは、請求項1に記載の移動中継ノードによって用いられる前記固定トラッキングエリア識別子を前記第1のドナー基地局を介して請求項1に記載の移動中継ノードに転送するように動作可能である、請求項12又は13に記載のネットワークノード。
【請求項16】
前記通信コントローラは、請求項2に記載の移動中継ノードによって用いられる前記固定無線セル識別子を前記第1のドナー基地局を介して請求項2に記載の移動中継ノードに転送するように動作可能である、請求項12又は13に記載のネットワークノード。
【請求項17】
前記通信コントローラは、前記中継ノード識別子を受信したことに応答して、前記移動中継ノードに関連付けられた任意のユーザデバイスに関連付けられたデータを更なるネットワークノードに転送する、請求項12又は13に記載のネットワークノード。
【請求項18】
前記通信コントローラは、トラッキングエリア更新メッセージを前記移動中継ノードから受信するように動作可能である、請求項12に記載のネットワークノード。
【請求項19】
前記通信コントローラは、更なるネットワークエンティティに向けて前記移動中継ノードに関連付けられた任意のユーザデバイスに関連付けられた前記トラッキングエリアを更新するように動作可能である、請求項18に記載のネットワークノード。
【請求項20】
通信システムとともに用いられるユーザデバイスであって、
請求項3乃至5の何れか1つに記載の移動中継ノードに対して信号を送受信するように構成されるトランシーバ回路と、
前記移動中継ノードと連携するとともに、前記移動中継ノードが位置する現在のトラッキングエリアを前記移動中継ノードから受信するように動作可能な通信コントローラと、
前記ユーザデバイスが新たなトラッキングエリアに入ったとき、トラッキングエリア更新メッセージを送信するように動作可能なトラッキングエリアハンドラと、
を備え、
前記通信コントローラは、前記移動中継ノードが通過すると予想されるトラッキングエリアの所定のリストを受信するように動作可能であり、前記新たなトラッキングエリアが前記所定のリストにあるとき、前記トラッキングエリアハンドラの動作を抑制するように動作可能である、ユーザデバイス。
【請求項21】
前記トラッキングエリアハンドラは、前記新たなトラッキングエリアを検出するように動作可能であり、前記新たなトラッキングエリアを、前記所定のリストにある前記トラッキングエリアと比較するように動作可能であり、前記新たなトラッキングエリアが前記所定のリストにあるトラッキングエリアと一致する場合、トラッキングエリア更新メッセージを送信しないように動作可能である、請求項20に記載のユーザデバイス。
【請求項22】
通信コントローラは、前記移動中継ノードと連携するとともに、前記中継ノードが位置する現在の無線セルを前記移動中継ノードから受信するように動作可能である、請求項20に記載のユーザデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信デバイス又は固定通信デバイスに中継サービスを提供する通信システム及びその構成要素に関する。本発明は、排他的ではないが特に、3GPP標準規格文書TS36−300V10.4.0、TS36−331V10.2.0、及びTS36.413V10.2.0において現在規定されているようなロングタームエボリューション(LTE:Long Term Evolution)アドバンストシステムにおいて用いられる中継サービスに関する。
【背景技術】
【0002】
中継は、LTEアドバンストに関して、例えばユーザ機器(UE:User Equipment)のための高データレートのカバレッジ、一時的なネットワーク展開、セルエッジスループットを改善し、及び/又は新たなセルエリア内のカバレッジを提供するツールとみなされる。LTEアドバンストは、基地局(eNB)(ドナーeNB(DeNB:Donor eNB)と呼ばれる)に無線接続される中継ノード(RN:Relay Node)を有することによって中継をサポートする。自らの「ドナー」セルをサービングすることに加えて、ドナーeNBは発展型ユニバーサル陸上無線アクセス(E−UTRA:Evolved Universal Terrestrial Radio Access)無線インターフェイスの修正版によって、RNをサービングする。修正されたインターフェイスは「Un」インターフェイスと呼ばれる。
【0003】
各RNは、基地局の機能の数多くの態様を与えられ、それゆえ、自らの「中継」セルをサービングする基地局としての役割を果たすことができる。それゆえ、中継セル内のユーザ機器の視点で見ると、RNは基本的に従来のLTE基地局であるように見える。しかしながら、基地局機能に加えて、RNは、ドナーeNBに無線接続できるようにするために、例えば、物理レイヤ機能、媒体アクセス制御(MAC:Media Access Control)機能、無線リソース制御(RRC:Radio Resource Control)機能及び非アクセス層(NAS:Non Access Stratum)機能の数多くの態様を含む、UE機能のサブセットもサポートする。
【0004】
幾つかの状況において、RNは、列車、バス、船舶等の移動する輸送手段に設置される。そのような移動RNは、その地理的ロケーションが変化すると、そのアタッチメントを或るドナーeNBから別のドナーeNBに変更する。移動RNが、新たなトラッキングエリア(TA:Tracking Area)に属する新たなドナーeNBに移動するとき、この移動RNは、新たなTA用の識別子を、自身がサービングするUEにブロードキャストする。これによって、その後、これらのUEは、(着信呼がUEに対してなされたときにUEを見つけるために)コアネットワークへのシグナリングを開始し、UEが位置する新たなTAをこのネットワークに知らせる。コアネットワークに既にアクティブに接続されているUEの場合には、これは、RRC接続モード移動シグナリングメッセージをコアネットワーク内の移動管理エンティティ(MME:Mobility Management Entity)に送信することを伴い、アイドルモードにあるUEの場合には、これは、TA更新メッセージをコアネットワーク内の移動管理エンティティ(MME)に送信することを伴う。
【0005】
これらのUEが、全て同時にTAを変更した場合、シグナリングメッセージが殺到し、この結果、RNとドナーeNBとの間のエアインターフェース上でシグナリングが失敗する可能性があり、アクティブモードにあるUEの接続が失われる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、そのような移動RNを介して接続されたUEのトラッキングエリアの変更についてネットワークに知らせる新たな方法を提供する必要があることを認識した。
【0007】
本発明は、上記の問題を克服するか、又は少なくとも軽減する、改善された通信システム、及び通信システムの改善された構成要素を提供することを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明の一態様は、複数のトラッキングエリアに配置された複数の基地局を有する通信システムにおいて用いられる中継ノードであって、基地局に対して信号を送受信するとともに、該中継ノードに関連付けられた1つ又は複数のユーザデバイスに対して信号を送受信するトランシーバ回路と;中継ノード識別子(及びおそらくは移動中継ノード情報)を記憶するメモリと; 前記関連付けられたユーザデバイスと前記基地局との通信を制御する通信コントローラと;を備え、
前記中継ノードには、固定トラッキングエリア識別子又は固定無線セル識別子が、事前に構成され又は割り当てられており、前記通信コントローラは、該中継ノードが前記基地局に接続するときに該基地局に前記中継ノード識別子を送信するように動作可能であり;前記通信コントローラは、関連付けられたユーザデバイスから接続メッセージを受信するように動作可能であり、
前記接続メッセージに応答して、前記中継ノード識別子を前記接続メッセージに挿入して、該接続メッセージを前記基地局に送信するように構成されている、中継ノードを提供する。
【0009】
本発明は、通信システムにおいて用いられる基地局であって、前記通信システムのネットワークノードに対して信号を送受信するとともに、1つ又は複数のユーザデバイスが
上記中継ノードを通じて該基地局に接続することを可能にする該中継ノードに対して信号を送受信するように構成されるトランシーバ回路と;前記中継ノードが該基地局に接続するときに中継ノード識別子を受信するように動作可能であり、前記中継ノード識別子を前記ネットワークノードに送信するように動作可能である通信コントローラと;を備え、前記通信コントローラは、前記中継ノードに関連付けられたユーザデバイスからの接続メッセージを前記中継ノードから受信するように動作可能であり、前記受信した接続メッセージを前記中継ノード識別子とともに前記ネットワークノードに送信するように動作可能である、基地局も提供する。
【0010】
本発明は、複数のトラッキングエリアに配置された複数の基地局を有する通信システムにおいて用いられるネットワークノードであって、前記基地局に対して信号を送受信するように構成されるトランシーバ回路と;
上記中継ノードが第1の基地局に接続するときに中継ノード識別子を前記第1の基地局から受信するように動作可能であり、前記中継ノード識別子が受信される前記第1の基地局に関連付けられた前記トラッキングエリアに対応するトラッキングエリアデータとともに、前記中継ノード識別子を記憶するように動作可能である通信コントローラと;を備え、前記通信コントローラは、前記中継ノードに関連付けられたユーザデバイスからの接続メッセージを前記第1の基地局から受信するように動作可能であり、前記中継ノードに関連付けられたトラッキングエリアデータが前記ユーザデバイスにも関連付けられるように、前記ユーザデバイスを前記中継ノードに関連付けるデータを記憶するように動作可能である、ネットワークノードも提供する。
【0011】
本発明は、通信システムとともに用いられるユーザデバイスであって、移動中継ノードに対して信号を送受信するように構成されるトランシーバ回路と;前記移動中継ノードと連携するとともに、該移動中継ノードが位置する現在のトラッキングエリアを該移動中継ノードから受信するように動作可能な通信コントローラと、;該ユーザデバイスが新たなトラッキングエリアに入ったとき、トラッキングエリア更新メッセージを送信するように動作可能なトラッキングエリアハンドラと;を備え、前記通信コントローラは、前記移動中継ノードが通過すると予想されるトラッキングエリアの所定のリストを受信するように動作可能であり、前記新たなトラッキングエリアが前記所定のリストにあるとき、前記トラッキングエリアハンドラの動作を抑制するように動作可能である、ユーザデバイスも提供する。
【0012】
本発明は、複数の基地局を有する通信システムにおいて用いられる中継ノードであって、該中継ノードが基地局に接続するときに、中継ノード識別子を前記基地局に送信する手段と;関連付けられたユーザデバイスから接続メッセージを受信する手段と;
該接続メッセージに応答して、前記中継ノード識別子を前記受信された接続メッセージ内に挿入する手段と;前記接続メッセージを前記基地局に送信する手段と;を備える、中継ノードも提供する。
【0013】
本発明は、通信システムにおいて用いられる基地局であって、
上記中継ノードが該基地局に接続するときに中継ノード識別子を受信する手段と;前記中継ノード識別子を前記通信システムのネットワークノードに送信する手段と;前記中継ノードに関連付けられたユーザデバイスからの接続メッセージを前記中継ノードから受信する手段と;前記中継ノード識別子とともに前記受信された接続メッセージを前記ネットワークノードに送信する手段と;を備える、基地局も提供する。
【0014】
本発明は、複数のトラッキングエリアに配置された複数の基地局を有する通信システムにおいて用いられるネットワークノードであって、
上記中継ノードが第1の基地局に接続するときに中継ノード識別子を前記第1の基地局から受信する手段と;前記第1の基地局に関連付けられたトラッキングエリアに対応するトラッキングエリアデータとともに前記中継ノード識別子を記憶する手段と;前記中継ノードに関連付けられたユーザデバイスからの接続メッセージを前記第1の基地局から受信する手段と;前記中継ノードに関連付けられたトラッキングエリアデータが前記ユーザデバイスにも関連付けられるように、前記ユーザデバイスを前記中継ノードに関連付けるデータを記憶する手段と;を備える、ネットワークノードも提供する。
【0015】
本発明は、通信システムとともに用いられるユーザデバイスであって、
上記中継ノードと連携する手段と;前
記中継ノードが位置する現在のトラッキングエリアを前
記中継ノードから受信する手段と;前記ユーザデバイスが新たなトラッキングエリアを受信したときにトラッキングエリア更新メッセージを送信する手段と;前
記中継ノードが通過すると予想されるトラッキングエリアの所定のリストを受信する手段と;前記新たなトラッキングエリアが前記所定のリストにあるとき、トラッキングエリア更新メッセージが送信されるのを阻止する手段と;を備える、ユーザデバイスも提供する。
【0016】
また、本発明は、対応する方法、及びキャリア信号において、又は記録媒体において提供することができるコンピュータソフトウェア製品も提供する。
【0017】
次に、本発明の実施形態を、例示にすぎないが、添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】列車に搭載された移動中継ノードを有する移動通信システムを概略的に示す図である。
【
図2】
図1に示すシステムの一部を成すユーザ機器の主な構成要素を示すブロック図である。
【
図3】
図1に示すシステムの一部を成す基地局の主な構成要素を示すブロック図である。
【
図4】
図1に示すシステムの一部を成す移動中継ノードの主な構成要素を示すブロック図である。
【
図5】
図1に示すシステムの一部を成す移動管理エンティティの主な構成要素を示すブロック図である。
【
図6a】移動中継ノードを基地局にアタッチする手順を示すタイミング図である。
【
図6b】ユーザ機器を、移動中継ノードを介して移動電気通信システムにアタッチする手順を示すタイミング図である。
【
図6c】MMEが関与しない中継ノード移動の第1の手順を示すタイミング図である。
【
図6d】MMEが関与する中継ノード移動の第1の手順を示すタイミング図である。
【
図7a】MMEが関与しない中継ノード移動の第2の手順を示すタイミング図である。
【
図7b】MMEが関与する中継ノード移動の第2の手順を示すタイミング図である。
【
図8】列車に搭載された移動中継ノードを有する移動電気通信システムを概略的に示す図である。
【
図9a】移動中継ノードを
図8に示すシステム内の基地局にアタッチする手順を示すタイミング図である。
【
図9b】ユーザ機器を、移動中継ノードを介して
図8に示す移動通信システムにアタッチする手順を示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施形態1−概略
GSM(登録商標)標準規格に従って動作する通信システムでは、移動電話等のユーザ機器は、ロケーションエリア及びルーティングエリアにおいてトラッキングされる。UMTS標準規格によれば、ユーザ機器を、ロケーションエリア及びルーティングエリアだけでなく、UTRAN登録エリアにおいてもトラッキングすることができる。LTEでは、「トラッキングエリア」は、ロケーションエリア、ルーティングエリア、及びUTRAN登録エリアの総称として用いられる。
【0020】
図1は、移動中継ノード(RN)3を有する列車2を含む移動(セルラ)通信システム1を概略的に示している。この移動中継ノードは、列車2内のユーザによって携帯される複数のユーザ機器(UE)5−1〜5−7、例えば移動電話のための基地局機能を提供する。移動中継ノード3は、線路9に沿って進むとき、ドナー基地局7−1〜7−4にアタッチする。ドナー基地局7−1及び7−2は、トラッキングエリアTA−1に属し、ドナー基地局7−3及び7−4は、トラッキングエリアTA−2に属する。通信システム1は、コアネットワーク11も備える。このコアネットワークは、当該コアネットワーク11内のUEの移動を管理する移動管理エンティティ(MME)13−1及び13−2と、コアネットワーク内の様々なデバイスを構成する運用保守ユニット(OAM:Operations and Maintenance unit)15と、種々のUE5に関連付けられた加入者データを記憶するホーム加入者サーバ(HSS:Home Subscriber Server)17とを備える。TA−1内のドナー基地局7は、MME13−1と結合され、TA−2内のドナー基地局7は、MME13−2に結合されているが、単一のMMEが、種々のトラッキングエリアに位置する複数の基地局を十分にサービングすることができる。
【0021】
列車2が線路9に沿って進み、移動中継ノード3がドナー基地局7−2からドナー基地局7−3にハンドオーバすると、移動RN3及びUE5が位置するトラッキングエリアが変化する。これによって、上記で議論した問題が引き起こされる。しかしながら、この例示の実施形態では、移動中継ノード3には、当該移動中継ノードが自身に関連付けられたUE5にブロードキャストするそれ自身の固定セルID及びトラッキングエリア(この例では、TA−96)が割り当てられる。移動中継ノード3は、TA−1からTA−2に移動するときに、自身のトラッキングエリア識別子を変更しない。したがって、この例示の実施形態では、UE5は、ロケーションの変化に気付かず、あたかも移動していないかのように動作する。もちろん、UEは、列車2とともに移動しており、コアネットワーク11は、移動中継ノード3によってサービングされているUE5のロケーションの経過を追跡する必要がある。この例示の実施形態では、これは、少なくとも、UE5が移動中継ノード3に最初に登録する時にUE5によってコアネットワーク11に送信されるシグナリングメッセージに移動中継ノード3の識別子を含めるように、移動中継ノード3を構成することによって達成される。これは、例えば、UE5が移動中継ノード3に関連付けられたトラッキングエリア内に移動するときに送信されるトラッキングエリア更新メッセージ、又はUE5が移動中継ノード3のセルにハンドオーバする際のハンドオーバメッセージとすることができる。したがって、MME13は、移動中継ノード3を介して登録されたUE5を識別する情報を記憶することができ、したがって、移動中継ノード3とともに移動する。次に、移動中継ノード3が或るトラッキングエリアから別のトラッキングエリアに移動するとき、MME13は、移動中継ノード3の移動をトラッキングし、したがって、関連付けられたUE5の移動をトラッキングする。MME13は、i)移動中継ノード3がドナー基地局7−2からドナー基地局7−3に移動する際に、当該MMEが受信するパス切り替え要求若しくはハンドオーバ通知メッセージから、又はii)移動中継ノード3が送信するNASトラッキングエリア更新メッセージから(この移動中継ノードが、トラッキングエリアのそのような変化を報告するようにプログラムされている場合)、この移動をトラッキングすることができる。UE5は、列車2を離れる場合、新たなトラッキングエリアを検出し、したがって、UE5が移動中継ノード3にもはや関連付けられていないことをそのMME13に知らせるNASトラッキングエリア更新メッセージを開始する。
【0022】
このようにして、MME13は、列車2とともに移動するUE5のロケーションの知らせを受け続け、UE5は、新たなロケーションエリアをネットワークにシグナリングする必要がなく、エアインターフェイス上で送信されるトラフィックが節減されるとともに、UEのバッテリ電力が節減される。
【0023】
次に、この例示の実施形態の構成要素と、MME13が移動中継ノード3の移動をトラッキングする2つの代替的な方法とのより詳細な説明を、
図2〜
図7を参照して説明する。
【0024】
ユーザ機器
図2は、
図1に示すユーザ機器5の主な構成要素を概略的に示している。図示するように、ユーザ機器5は、少なくとも1つのアンテナ33を介して移動中継ノード3(又は直接、基地局7)に対して信号を送受信するように動作可能なトランシーバ回路31を備える。トランシーバ回路31の動作は、メモリ39に記憶されたソフトウェアに従ってコントローラ37によって制御される。このソフトウェアは、特に、オペレーティングシステム41、通信制御モジュール43、及びトラッキングエリアハンドリングモジュール47を含む。
【0025】
通信制御モジュール43は、例えば、トランシーバ回路31が移動中継ノード3との通信において用いるリソースを決定することを含め、移動中継ノード3との通信を制御するように動作可能である。
【0026】
トラッキングエリアハンドリングモジュール47は、移動中継ノード3によって提供されるトラッキングエリア識別子を検出するとともに、トラッキングエリアが変化したときにトラッキングエリア更新メッセージをUE5に送信させるように動作可能である。
【0027】
基地局
図3は、
図1に示すドナー基地局7−1等の基地局7における主な構成要素を示すブロック図である。基地局7は、自身のカバレッジエリア内のユーザ機器5にサービスを提供する固定通信ノードである。本発明による例示の実施形態では、基地局7は、移動中継ノード3を介してユーザ機器5と通信している。図示するように、基地局7は、少なくとも1つのアンテナ53を介して移動中継ノード3に対して信号を送受信するように動作可能なトランシーバ回路51を備える。基地局7は、ネットワークインターフェイス55を介してコアネットワーク11のMME13及び他の基地局に対して信号を送受信するようにも動作可能である。トランシーバ回路51の動作は、メモリ59に記憶されたソフトウェアに従ってコントローラ57によって制御される。このソフトウェアは、特に、オペレーティングシステム61、通信制御モジュール63、中継ノード管理モジュール65、トラッキングエリアハンドリングモジュール67、及び運用保守モジュール69を含む。
【0028】
通信制御モジュール63は、基地局と、移動中継ノード3、UE5、及びネットワークデバイス(MME等)との通信を制御するように動作可能である。
【0029】
中継ノード管理モジュール65は、基地局7と当該基地局にアタッチされた移動中継ノード3との接続を制御するように動作可能である。
【0030】
トラッキングエリアハンドリングモジュール67は、ネットワークによって基地局7に配分されたトラッキングエリア(複数の場合もある)の識別情報を維持及びブロードキャストするように動作可能である。基地局7は、複数のセルを有することができ、これらの複数のセルは、通常、同じトラッキングエリアに配分されている。ただし、これらのセルのそれぞれを異なるトラッキングエリアに配分することもできるし、これらのセルの少なくとも幾つかを1つのトラッキングエリアに配分し、他のセルを異なるトラッキングエリアに配分することもできる。一方、各セルは、1つのトラッキングエリアにのみ配分される。
【0031】
運用保守モジュール69は、基地局7が通常、OAM15から受信する当該基地局のトラッキングエリア識別子(複数の場合もある)等の動作パラメータを記憶することを担当する。
【0032】
中継ノード
図4は、
図1に示す移動中継ノード3の主な構成要素を概略的に示している。移動中継ノード3は、それ自身のカバレッジエリア内においてサービスを提供する、基地局7のような通信ノードであるが、移動中継ノード3は、コアネットワーク11に直接接続していない。その代わり、この移動中継ノードは、ドナー基地局7に無線で接続し、その場合、ドナー基地局7は、コアネットワーク11への接続を提供するように動作可能である。
【0033】
図示するように、移動中継ノード3はトランシーバ回路71を備え、このトランシーバ回路は、基地局アンテナ73を介して基地局7に対して信号を送受信するとともに、UEアンテナ75を介してユーザ機器5に対して信号を送受信するように動作可能である。トランシーバ回路71の動作は、メモリ79に記憶されたソフトウェアに従ってコントローラ77によって制御される。このソフトウェアは、特に、オペレーティングシステム81、通信制御モジュール83、トラッキングエリアハンドリングモジュール87、及び運用保守モジュール89を含む。
【0034】
通信制御モジュール83は、例えば、トランシーバ回路71がユーザ機器5のそれぞれ及び基地局7との通信において用いるリソースの配分を含め、ユーザ機器5及び基地局7との通信を制御するように動作可能である。
【0035】
トラッキングエリアハンドリングモジュール87は、移動中継ノードにおいて事前に構成されているか又はコアネットワーク11によって移動中継ノードに割り当てられる固定トラッキングエリア識別子を移動中継ノードに送信させるように動作可能である。トラッキングエリアハンドリングモジュール87は、トラッキングエリア更新メッセージを送信するようにプログラムされているときは、それを行うことも担当する。
【0036】
運用保守モジュール89は、OAM15から受信する当該移動中継ノード3用のトラッキングエリア識別子(複数の場合もある)等の様々な動作パラメータを記憶することを担当する。
【0037】
移動管理エンティティ
図5は、
図1に示す移動管理エンティティ13の主な構成要素を概略的に示している。上述したように、MME13は、ユーザ機器5によって開始される任意の通信又はユーザ機器5を対象とした任意の通信を適切に転送することができるように、移動(セルラ)通信システム1内におけるユーザ機器の現在のロケーションについての情報を維持することによって、移動サービスをユーザ機器5に提供する通信ノードである。図示するように、移動管理エンティティ13はトランシーバ回路91を備える。このトランシーバ回路は、ネットワークインターフェイス93を介して他のネットワーク要素に対して信号を送受信するとともに、基地局インターフェイス95を介して基地局7に対して信号を送受信するように動作可能である。トランシーバ回路91の動作は、メモリ99に記憶されたソフトウェアに従ってコントローラ97によって制御される。このソフトウェアは、特に、オペレーティングシステム101、通信制御モジュール103、トラッキングエリアハンドリングモジュール107、及びページングモジュール109を含む。メモリ99は、MME13によって維持されるとともに用いられるUE/中継器移動管理データ111も記憶する。
【0038】
通信制御モジュール103は、基地局7、OAM15、及びHSS17等の様々なネットワークデバイスとの通信を制御するように動作可能である。
【0039】
トラッキングエリアハンドリングモジュール107は、UE/中継器が移動管理エンティティ13によって制御されるエリア内をあちらこちら移動する際、UE/中継器移動管理データ111を維持及び更新するように動作可能である。UE/中継器が、MME13によって制御されるエリア内にもはやないとき、トラッキングエリアハンドリングモジュール107は、そのUE/中継器に関係したデータを削除するとともに、そのデータを、UE/中継器の移動先の新たなエリアを担当する別の移動管理エンティティに転送するように動作可能である。
【0040】
ページングモジュール109は、新たな通信がUE5についてセットアップされているとき、UE5用のページングメッセージを送信するように動作可能である。そのような新たな通信は、音声呼、データ接続等とすることができる。
【0041】
動作
上記で議論したように、MME13は、選択肢1)移動中継ノード3がドナー基地局7−2からドナー基地局7−3に移動する際に当該MMEが受信するパス切り替え要求若しくはハンドオーバ通知メッセージから、又は選択肢2)移動中継ノード3が送信するNASトラッキングエリア更新メッセージ(当該移動中継ノードがトラッキングエリアのそのような変化を報告するようにプログラムされている場合)から、移動中継ノード(したがって、関連付けられたUE)の移動をトラッキングすることができる。次に、これらの2つの選択肢の場合でのこの例示の実施形態の動作をより詳細に説明する。
【0042】
中継動作(選択肢1及び選択肢2)のためのアタッチ
図6aは、移動中継ノード3がドナー基地局7を介してコアネットワーク11にアタッチし、自身の静的なセルID及びトラッキングエリア識別子を受信する方法を示すタイミング図である。図示するように、ステップS1において、移動中継ノード3は、「RRC接続セットアップ」要求を送信することによってこの手順を開始する。このメッセージは、特に、移動中継ノード3の識別子を含む。ステップS2において、移動中継ノード3及び移動管理エンティティ13は、移動中継ノード3及びコアネットワークによって用いられる動作パラメータを規定する必要な「NASアタッチ、認証、及びセキュリティ」手順を実行する。ステップS3aにおいて、「NASアタッチ受理」応答をドナー基地局7に送信することを含む「初期S1コンテキストセットアップ」手順が、ドナー基地局7と移動管理エンティティ13との間で実行される。
【0043】
この後には、ステップS3bにおけるドナー基地局7と移動中継ノード3との間の「RRC接続再構成」手順が続く。次に、移動中継ノード3は、ステップS4においてOAM15から最終構成データを受信する。この構成データは、それぞれ無線セルレベル及びトラッキングエリアレベルにおける移動中継ノードの移動をハンドリングするために移動中継ノード3に割り当てられた静的なセルID及び静的なトラッキングエリア識別子を含む。次に、移動中継ノード3は、ステップS5において、ドナー基地局7用の中継器として動作を開始することができ、そのカバレッジエリア内のユーザ機器5からの接続を受信する準備が完了する。
【0044】
中継器を介したネットワークへのUEアタッチ(選択肢1及び選択肢2)
図6bは、UE5が移動中継ノード3を介してコアネットワーク11にアタッチする方法を示すタイミング図である。
【0045】
図示するように、ステップS11において、ユーザ機器5は、「RRC接続セットアップ」要求を移動中継ノード3に送信する。これに応答して、移動中継ノード3は、「初期UEメッセージ」を生成する。このメッセージは、ユーザ機器5用の一時的なIDと、「NASアタッチ要求」と、移動中継ノード自身の中継ノード識別子(「RN ID」)とを含む。ステップS12aにおいて、移動中継ノード3は、この生成されたメッセージをドナー基地局7に送信し、ドナー基地局は、ステップS12bにおいて、このメッセージを移動管理エンティティ13に転送する。中継ノード識別子が受信メッセージに含まれるので、移動管理エンティティ13は、ユーザ機器5が、識別された移動中継ノード3を介して接続していることを知る。次に、移動管理エンティティ13は、そのUE5に関連付けられるトラッキングエリアの「初期UEメッセージ」を転送したドナー基地局7に関連付けられたトラッキングエリア識別子をUE/中継器移動管理データ111に格納する。MME13は、UEが、識別された移動中継ノードに関連付けられていることの表示をもUE/中継器移動管理データ111に格納する。これは
図5に示されている。
図5は、UE−2が移動中継ノードRN−1に関連付けられていることと、それらがともにトラッキングエリアTA−1にあることを示している。ステップS14aにおいて、MME13は、「NASアタッチ受理」応答を含む「S1コンテキストセットアップ」メッセージを送信することによって、ユーザ機器5が、現在移動中継ノード3に接続されていることを、ドナー基地局7を介して確認する。ステップS14bにおいて、移動中継ノード3は、「RRC接続再構成」メッセージをユーザ機器5に送信する。MME13は、現在、UE5が移動中継ノード3を介して接続されていることを知っているので、(以下の説明から明らかになるように)冗長なシグナリングを回避することができる。
【0046】
MMEの変更を伴わない中継ノードの移動(選択肢1)
図6cは、同じMME13がターゲットドナー基地局7−3に用いられるときの、移動中継ノード3がターゲットドナー基地局7−3にハンドオーバする方法を概括的に示している。図示するように、ステップS21において、移動中継ノード3は、接続モード移動のために、自身の中継ノード識別子(RN ID)を含むRRC接続再構成完了メッセージをターゲットドナー基地局7−3に送信する。これに応答して、ステップS22において、ターゲットドナー基地局7−3は、特に、中継ノード識別子と、ターゲットドナー基地局7−3に関連付けられた新たなトラッキングエリアとを識別するパス切り替え要求をMME13に送信する。したがって、MME13は、移動中継ノードが、受信されたパス切り替え要求において識別された新たなトラッキングエリアに移動したこと(又は移動の最中であること)を知ることができる。ステップS24において、MME13は、その移動中継ノード3についてUE/中継器移動管理データ111に格納されたトラッキングエリア情報を更新し、MME13が、その移動中継ノード3に関連付けられていることを知っているUE5のトラッキングエリアも更新する。また、MME13は、HSS17に対して全てのUE5のロケーション情報を更新するために、移動中継ノード3に関連付けられたUE5のそれぞれの新たなトラッキングエリアをHSS17に知らせる。したがって、MME13及びHSS17は、移動中継ノード3に関連付けられたUE5が新たなメッセージをコアネットワーク11に何ら送信する必要なく、これらのUEの経過を追跡することができる。また、MME13は、ステップS26において、パス切り替え要求肯定応答をターゲットドナー基地局7−3に返信する。これによって、この手順は完了し、移動中継ノード3は、ステップS27において、ターゲットドナー基地局7−3用の中継器として動作を開始する。
【0047】
MMEの変更を伴う中継ノードの移動(選択肢1)
図6dは、ターゲットドナー基地局7−3が異なるMME13によってサービングされることからMME13も変更されるときの、移動中継ノード3がターゲットドナー基地局7−3にハンドオーバする方法を概括的に示している。図示するように、ステップS31において、ソースドナー基地局7−2が、ハンドオーバされる移動中継ノード3の中継ノード識別子(RN ID)を含むHO要請メッセージ(HO Required message)をソースMME13−1に送信する。ステップS32において、ソースMME13−1は、移動中継ノードの詳細と、その移動中継ノード3に関連付けられたUE5についてソースMME13−1に記憶された全てのUEコンテキスト情報とを含むリロケーション転送要求メッセージ(Forward Relocation Request message)をターゲットMME13−2に送信する。ステップS33において、ターゲットMME13−2は、移動中継ノード3の中継器識別子を含むHO要求メッセージをターゲットドナー基地局7−3に送信する。このメッセージは、ターゲットドナー基地局7−3が、移動中継ノード3にHOリソースを準備することを要求する。これに応答して、ターゲットドナー基地局7−3は、ステップS34において、HO要求肯定応答メッセージをターゲットMME13−2に返信する。次に、ターゲットMME13−2は、要求されたハンドオーバを確認するリロケーション転送応答メッセージ(Forward Relocation Response message)をソースMME13−1に送信する。ステップS36において、ソースMME13−1は、HOコマンドを、ソースドナー基地局7−2を介して移動中継ノード3に送信する。これは、ターゲットドナー基地局7−3へのハンドオーバを実行するように移動中継ノードに命令する。移動中継ノードは、ステップS37において、ターゲットドナー基地局7−3にRRC接続再構成メッセージを送信することによってこのハンドオーバを開始する。このメッセージは、中継ノードの識別子(RN ID)を含む。このメッセージを受信したことに応答して、ターゲットドナー基地局7−3は、HO通知メッセージをターゲットMME13−2に送信する。この通知メッセージは、中継ノード識別子と、新たなトラッキングエリアの識別子とを含み、したがって、移動中継ノード3がトラッキングエリアを変更したことをターゲットMME13−2に知らせる。ターゲットMME13−2は、ソースMME13−1によって、移動中継ノード3に関連付けられたUE5の知らせを受けているので、ターゲットMME13−2は、移動中継ノード及び関連付けられたUE5についてUE/中継器移動管理データ111に保持されたトラッキングエリア情報を更新することができる。ターゲットMME13−2は、関連付けられたUE5の新たなトラッキングエリア情報もHSS17に知らせる。
【0048】
したがって、上記説明から分かるように、MME13は、パス切り替え要求又はHO通知メッセージのいずれかから、移動中継ノード(したがって、その移動中継ノード3に関連付けられたUE5)のトラッキングエリアの変更について知ることができ、移動中継ノード又はUEの側での更なる動作は必要ない。
【0049】
MMEの変更を伴う中継ノードの移動(選択肢2)
図7aは、上述した選択肢2の場合について、同じMME13がターゲットドナー基地局7−3に用いられるときの、移動中継ノード3がターゲットドナー基地局7−3にハンドオーバする方法を概括的に示している。ステップS21及びS22は、
図6cに示すものと同じである。一方、この選択肢では、MME13は、パス切り替え要求メッセージを受信したことに応答して、当該MMEに記憶された移動中継ノード3及び一群の関連付けられたUE5のトラッキングエリア情報を更新しない。この選択肢では、MME13は、ステップS41において、移動中継ノード3がNASトラッキングエリア更新要求を送信するまで待機する。このメッセージは、移動中継ノード及び新たなトラッキングエリアを識別する。MME13は、ステップS42において、この情報を用いて、その移動中継ノード3に関連付けられた一群のUE5を識別し、次いで、移動中継ノード3及びそれらの関連付けられたUE5のそれぞれの(UE/中継器移動管理データ111に格納された)トラッキングエリア情報を更新する。また、MME13は、移動中継ノード3に関連付けられたUEの新たなトラッキングエリアをHSS17に知らせる。ステップS43において、MME13は、移動中継ノード3にNASエリア更新受理メッセージを送信し、ステップS44において、この中継器は、新たなトラッキングエリアにおいて中継器として動作を開始する。ステップS45において、MME13は、ステップS22において受信した要求に応答して、ターゲットドナー基地局7−3にパス切り替え要求肯定応答メッセージを送信する。
【0050】
MMEの変更を伴う中継ノードの移動(選択肢2)
図7bは、上記で議論した選択肢2の場合について、ターゲットドナー基地局7−3が異なるMME13によってサービングされることからMME13も変更されるときの、移動中継ノード3がターゲットドナー基地局7−3にハンドオーバする方法を概括的に示している。図示するように、この場合、ステップS31〜S38は、選択肢1と同じである。一方、この例示の実施形態では、ステップS38において送信された「HO通知」メッセージによって、MME13は、移動中継ノード3のみの記憶されたトラッキングエリアを更新する。なぜならば、移動中継ノード3によってUE5にブロードキャストされる静的なトラッキングエリア識別子は変化していないからである。
【0051】
ステップS51において、移動中継ノード3のトラッキングエリアを更新するとともに、関連付けられたUE5のトラッキングエリアも同様に更新するために、移動中継ノード3は、当該移動中継ノード3及び新たなトラッキングエリアを識別するNASトラッキングエリア更新要求メッセージをターゲットMME13−2に送信する。これに応答して、ターゲットMME13−2は、移動中継ノード3及び関連付けられたUE5の新たなトラッキングエリアを用いてUE/中継器移動管理データ111を更新する。ターゲットMME13−2は、HSS17にも知らせる。ステップS53において、ターゲットMME13−2は、移動中継ノード3にNASトラッキングエリア更新受理メッセージを送信し、このプロセスは終了する。
【0052】
実施形態2−概略
図8は、第2の例示の実施形態による移動通信システム1を概略的に示している。この例示の実施形態は、第1の例示の実施形態と類似しているが、列車2の所有者が、列車2についての或る方向情報をコアネットワーク11に事前に与える。コアネットワーク11は、この方向情報を用いて、移動中継ノード3及び関連付けられたUE5において、移動中継ノード3及び関連付けられたUE5が通過すると予想される予想トラッキング(又はロケーション)エリアコードのリストを事前に構成する。移動中継ノード3及び関連付けられたUEは、これらのTAC内を移動する限り、それらのトラッキングエリアへの変更をコアネットワーク11に知らせる必要はない。移動中継ノード3及び関連付けられたUE5は、リストにないトラッキングエリア内へ移動した場合には、上記のようにNASトラッキングエリア更新を実行する必要がある。このようにして、中継器が、予想パスに沿って通過する限り、NAS TA更新メッセージをコアネットワーク11に送信する必要はない。
【0053】
コアネットワークは、移動中継ノード3の計画された経路又は進む方向に関する十分な情報を有していない場合、移動中継ノード3が訪れる最も可能性の高い候補として考える近傍トラッキングエリアの拡張リストを準備する。
【0054】
中継器の事前構成及び中継動作のためのアタッチ
図9aは、この例示の実施形態における移動中継ノード3の事前構成を示すタイミング図である。図示するように、ステップS61において、OAM15は、列車が取る経路を詳細化した列車運転手からの方向情報の詳細を受信する。OAM15は、この方向情報を用いて、列車2が取る経路に沿ったトラッキングエリアを識別する。この情報は、ステップS63において、移動中継ノード3に関連付けられることになるUE5のその後の構成において用いるためにHSS17に渡される。OAM15は、この方向情報を用いて、移動中継ノード3が規定された経路に沿って進むにつれて接続するドナー基地局7のリストも決定する。以下で説明するように、OAM15は、移動中継ノード3を構成するときに、この情報を移動中継ノードに送信する。
【0055】
その後、移動中継ノード3は、コアネットワーク11に最初にアタッチするとき、ステップS65において、RRC接続セットアップメッセージをドナー基地局7に送信する。第1の例示の実施形態と同様に、このメッセージは中継ノードの識別子を含む。ステップS66において、移動中継ノード3及び移動管理エンティティ13は、移動中継ノード3及びコアネットワークによって用いられる動作パラメータを規定する必要な「NASアタッチ、認証、及びセキュリティ」手順を実行する。ステップS67aにおいて、「NASアタッチ受理」応答をドナー基地局7に送信することを含む「初期S1コンテキストセットアップ」手順が、ドナー基地局7と移動管理エンティティ13との間で実行される。
【0056】
この後には、ステップS67bにおけるドナー基地局7と移動中継ノード3との間の「RRC接続再構成」手順が続く。次に、移動中継ノード3は、ステップS68において、最終構成データをOAM15から受信する。この例示の実施形態では、この構成データは、移動中継ノード3がその規定された経路に沿って接続すると予想される所定のドナー基地局7のリストを含む。このリストは、その後、移動中継ノード3によって用いられ、移動中継ノード3がその規定された経路に沿って移動するにつれて接続すると予想される基地局7の識別を容易にする。
【0057】
中継器を介したネットワークへのUEのアタッチ
図9bは、移動中継ノード3へのUEのアタッチを示すタイミング図である。ステップS71〜S72bは、上述したステップS11〜S12bと同じであり、再度説明しないことにする。この例示の実施形態では、MME13は、初期UEメッセージを受信した後、ステップS73において、トラッキングエリアの事前に構成されたリストをHSS17から取り出す。ステップS74aにおいて、MME13は、このトラッキングエリアリストを含むS1コンテキストセットアップメッセージをドナー基地局7に送信し、このメッセージは、ステップS74bにおいてUEに転送される。ステップS75において、UE5は、列車がその規定された経路に沿って移動するにつれてトラッキングエリアの変化を監視し、トラッキングエリアが事前に構成されたトラッキングエリアリスト内で変化するときは、NASシグナリング更新を実行しない。
【0058】
第1の例示の実施形態と同様に、MME13は、移動中継ノードが位置する場所(したがって、関連付けられたUEが位置する場所)の経過を追跡しなければならない。MMEは、移動中継ノード3から送信されるRRC接続メッセージ又は移動中継ノード3から送信されるNAS更新メッセージのいずれかから、第1の例示の実施形態(
図6c、
図6d、
図7a、又は
図7b参照)と同じ方法でこれを行うことができる。この情報は、MME13が、関連付けられたUE5への任意のページングメッセージを正確なトラッキングエリア内の基地局に送信することができるように、当該MMEによって必要とされる。
【0059】
変更形態及び代替形態
詳細な例示の実施形態が上記で説明された。当業者であれば理解するように、上記の例示の実施形態に対し、複数の変更及び代替を行うことができ、変形及び代替において具現化される本発明から依然として利益を受けることができる。
【0060】
代替的な例示の実施形態では、例えば、中継ノードが、(ステップS12aにおいて)ドナー基地局を介して送信される「初期UEメッセージ」に自身の中継ノード識別子を挿入しない場合、ドナー基地局は、このメッセージを移動管理エンティティに転送する前に、(ステップS12bにおいて)中継ノード識別子を挿入することができる。
【0061】
上記例示の実施形態の更に別の代替では、固定トラッキングエリア識別子の代わりに固定無線セル識別子を用いることができる。
【0062】
2つの例示の実施形態を上記で説明した。別の例示の実施形態を提供することができる。この実施形態では、中継ノードが搭載された車両の経路情報が事前に判明しているときは、中継器及びUEが、第2の例示の実施形態に従ってトラッキングエリア又はドナー基地局の事前に構成されたリストを用いてプログラムされるとともに、中継器の経路の事前の知識が利用可能でないときは、中継器が第1の例示の実施形態に従って動作する。
【0063】
上記例示の実施形態では、移動中継ノードと基地局との間において及び基地局と移動管理エンティティとの間においても過度のシグナリングなしで、関連付けられたUEの群移動を容易にする中継ノード識別子が説明されたが、他の適切な識別子を用いることもできる。例えば、中継ノードのIPアドレス若しくはMACアドレス、又は移動中継ノードに配分された若しくは割り当てられた他の任意の一意の識別子を代わりに用いることができる。この識別子は、移動中継ノード若しくはドナー基地局又は通信ネットワークの他の任意の要素が提供することができる。
【0064】
上記例示の実施形態では、移動電話ベースの通信システムを説明した。当業者であれば認識するように、本出願で説明したシグナリング技法は、他の通信システムにおいて用いることもできる。他の通信ノード又はデバイスは、例えば、携帯情報端末、ラップトップコンピュータ、ウェブブラウザ等のユーザデバイスを含むことができる。当業者であれば認識するように、上述した中継システムは、移動通信デバイスに用いられることが必須ではない。このシステムは、移動通信デバイスのみならず、1つ又は複数の固定計算デバイスも有するか、又は移動通信デバイスの代わりにそのような固定計算デバイスを有するネットワーク内の基地局のカバレッジの拡張に用いることができる。
【0065】
上記説明では、理解を容易にするために、ドナー基地局、移動中継ノード、移動管理エンティティ、及びユーザ機器を、複数の別個のモジュールを有するものとして説明している。これらのモジュールは、例えば、既存のシステムが本発明を実施するように変更された或る特定の用途については、このように提供することができるが、他の用途、例えば、最初から本発明の特徴を念頭に置いて設計されたシステムでは、これらのモジュールは、全体的なオペレーティングシステム又はコードに組み込むことができ、そのため、これらのモジュールは、別個のエンティティとして見分けることができない場合がある。これらのモジュールは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はこれらを混合したもので実施することもできる。
【0066】
中継ノード識別子を含む、本明細書において説明したシグナリングメッセージは、単純さ、実施の容易さ、及び必要とされるメッセージの数の最小化の観点から有利であるが、中継ノード識別子は、複数の異なる方法のうちの任意のもので送信することができる。中継ノード識別子は、例えば、上記例示の実施形態において説明したメッセージの前後のいずれかにおいて別個のメッセージで送信することができる。その上、説明したシグナリングメッセージを変更する代わりに、中継ノード識別子を含む完全に新しいメッセージを生成することができる。
【0067】
移動中継ノード又は基地局が中継ノード識別子を初期UEメッセージ内に挿入することは、実施の容易さの観点から利点があるが、MMEは、この識別子を移動中継ノードに別個のメッセージで要求することもできることが認識されよう。
【0068】
上述の例示の実施形態では、UE、移動中継局及び基地局は、それぞれトランシーバ回路を備える。通常、この回路は専用ハードウェア回路によって形成される。しかしながら、幾つかの例示の実施形態では、トランシーバ回路の一部を、対応するコントローラによって実行されるソフトウェアとして実装することができる。
【0069】
上記の例示の実施形態では、複数のソフトウェアモジュールが説明された。当業者であれば理解するように、それらのソフトウェアモジュールは、コンパイル済みの形式又は未コンパイルの形式で与えることができ、コンピュータネットワークを介して信号として、又は記録媒体において基地局又は中継局に供給することができる。さらに、このソフトウェアの一部又は全部によって実行される機能は、1つ又は複数の専用のハードウェア回路を用いて実行することもできる。
【0070】
種々の他の変更が当業者には明らかであり、ここでは、これ以上詳しくは説明しない。
【0071】
本出願は、2011年9月30日に出願された英国特許出願第1116924.0号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。