(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を用いて、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。以下では、ハイブリッド車両に搭載される蓄電装置の充放電制御システムを述べるが、これは説明のための例示であって、回転電機と蓄電装置を含むシステムであればよい。以下で述べる数値等は、説明のための例示であって、蓄電装置の充放電制御システムの仕様等により、適宜変更が可能である。また、以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
図1は、ハイブリッド車両に搭載される蓄電装置の充放電制御システム10の構成を示す図である。蓄電装置の充放電制御システム10は、制御対象である本体部11と制御装置12とで構成される。本体部11は、回転電機13と、蓄電装置14と、その間に配置接続される交直変換部15を含む。この蓄電装置の充放電制御システム10は、放電制御において回転電機13の適切な駆動を制御し、充電制御において、蓄電装置14の劣化を抑制するように、回転電機13の制動時の発電電力を蓄電装置14の充電状態に応じて制限する機能を有する。
【0011】
回転電機13は、
図1では図示を省略したハイブリッド車両のエンジンの駆動力をアシストするモータ・ジェネレータ(M/G)であって、蓄電装置14から交直変換部15を介して電力が供給されるときはモータとして機能し、エンジンによる駆動時、あるいはハイブリッド車両の制動時には発電機として機能する三相同期型回転電機である。
【0012】
蓄電装置14は、充放電可能な2次電池である。蓄電装置14としては、例えば、約3 6Vから約300Vの端子電圧を有するリチウムイオン組電池あるいはニッケル水素組電池、またはキャパシタ等を用いることができる。
【0013】
交直変換部15は、回転電機13の三相交流電力と蓄電装置14の直流電力の間の交直変換処理を行う回路である。交直変換は、回転電機13の三相交流電力を蓄電装置14の直流電力へ、または、蓄電装置14の直流電力を回転電機13の三相交流電力への双方の変換を含む。
【0014】
交直変換部15は、インバータ回路で構成することができる。インバータ回路は、蓄電装置14側の高圧直流電力を交流三相駆動電力に変換し、あるいは逆に、回転電機13側からの交流三相回生電力を高圧直流充電電力に変換する機能を有する回路である。インバータ回路は、複数のスイッチング素子と複数のダイオードとを含んで構成される。
【0015】
交直変換部15は、電圧変換器を含むことができる。蓄電装置14の直流電圧がインバータ回路の正極側と負極側の間の電圧であるシステム電圧よりも高い場合、あるいは低い場合に、それぞれに応じて、電圧変換器は、インバータ回路のシステム電圧を蓄電装置1 4側の直流電圧に合わせる。電圧変換器は、リアクトルと、スイッチング素子とを含んで構成される。
【0016】
回転電機13が発電機として機能するとき、回転電機13が発生する交流発電電力は、インバータ回路の機能によって直流のシステム電圧を有する直流電力に変換され、電圧変換器の機能によってシステム電圧を有する直流電力は蓄電装置14の電圧を有する直流電力に変換される。これを電流で見ると、回転電機13が制動時に発生する交流発電電力は、交直変換部15を介して、蓄電装置14への充電電流と蓄電装置14の電圧で決まる直流電力に変換され、そのときの電流を充電電流として蓄電装置14への充電が行われる。交流発電電力は、交直変換部15での損失等を考慮した変換効率で直流電力に変換される。以下では、この発電電力から換算された電流値を、単に発電電流値と呼ぶ。
【0017】
例えば、システム電圧値=200V、蓄電装置14の端子間電圧値=100Vとし、インバータ回路および電圧変換器の電力利用率=100%、変換効率=100%と仮定する。回転電機13の交流発電電力はインバータ回路によって直流電力に変換される。そのときのシステム電圧値=200V、直流電流値=30Aと仮定する。この(システム電圧値=200V、直流電流値=30A)の直流電力は、電圧変換器によって、蓄電装置14の端子間電圧=100V、直流電流値=60Aに変換されて蓄電装置14側に出力される。この例の場合、発電電流値は60Aと算出される。これらの電圧値、電流値は例示であって、他の電圧値、電流値であってもよい。
【0018】
交直変換部15は、制御装置12の制御の下で、電力利用率を所定の値に制御できる。例えば、インバータ回路のPWM制御を用いて、デューティ比を変更する等で電力利用率を所定の値とすることができる。例えば、電力利用率=100%のときの発電電流値が蓄電装置14の劣化抑制の観点から大きすぎるときは、交直変換部15は、電力利用率を低下させる制御によって、所望の供給電流値として蓄電装置14側に出力することができる。
【0019】
制御装置12は、交直変換部15を介して蓄電装置14の充放電を制御する。かかる制御装置12としては、ハイブリッド車両の搭載に適したコンピュータを用いることができる。
【0020】
制御装置12は、交直変換部15を介して蓄電装置14の放電を制御する放電制御部1 6を有する。また、回転電機13が制動のときに、交直変換部15を介して蓄電装置14 への充電を制御するために以下の機能を有する。すなわち、制御装置12は、蓄電装置1 4の充電状態を取得する充電状態取得部17と、蓄電装置14の現在の充電状態を予め定めた目標充電状態にするために必要な充電電流値を算出する充電電流値算出部18と、交直変換部15の電力利用率=100%のときの換算発電電流値を算出する発電電流値算出部19と、算出された充電電流値に基づいて交直変換部15に対し交直変換処理の内容を指示する変換指示部20を含んで構成される。
【0021】
かかる制御装置12の機能は、制御装置12に搭載されたソフトウェアで実現でき、具体的には、制御装置12が充放電制御プログラムを実行することで実現できる。上記機能の一部をハードウェアで実現するものとしてもよい。
【0022】
上記構成につき、特に、制御装置12の各機能について、
図2以下を用いてさらに詳細に説明する。
図2は、制御装置12の充放電制御の手順を示すフローチャートであり、
図3は、制御装置12の充電制御の詳細な手順を示すフローチャートである。
図4〜
図6は、
図3の説明に用いる図である。
【0023】
制御装置12に搭載される充放電プログラムが起動されると、交直変換部15等の初期化が行われる。次に、
図2のフローチャートに示されるように、データおよびコマンドの取得が実行される(S10)。この取得は、予め定められた制御間隔毎に行われる。制御間隔としては、要求される制御精度に応じて設定できる。例えば、高速制御が必要な場合には数ms周期とでき、緩やかな制御で十分なときは数秒周期とすることができる。制御間隔を放電制御と充電制御とで異ならせてもよい。例えば、ハイブリッド車両においてエンジンのアシストを行う放電制御のときは、ハイブリッド車両の走行状態の変化に追従できる高速制御として制御間隔を短くし、回転電機13の制動時の充電制御はハイブリッド車両の制動期間に応じて制御間隔を適度に長くしてもよい。
【0024】
S10で取得されるデータは、本体部11の構成要素である回転電機13の状態値、蓄電装置14の状態値、蓄電装置の充放電制御システム10に対するユーザの要求値等である。充電制御において取得されるデータについては、
図3において説明する。コマンドは、今の場合、放電制御を実行させるための放電コマンドとその電力値または充電制御を実行させるための充電コマンドとその電力値である。
【0025】
S10の次に、コマンドが充電コマンドか否かが判断される(S11)。判断が否定されると、コマンドは放電コマンドであるので、S12に進み、回転電機13の駆動のための放電制御が行われる。S12の手順は、制御装置12の放電制御部16の機能によって実行される。放電制御においては、ハイブリッド車両における車速、アクセルペダルの踏度等に応じて、蓄電装置14から交直変換部15を介して回転電機13に三相交流電力が供給され、これによって、回転電機13からエンジンのアシストに必要なトルクが出力される。
【0026】
S11の判断が肯定されると、蓄電装置14の劣化を抑制する充電制御が行われる(S 13)。充電制御の詳細については
図3で説明する。S12,S13が行われた後、制御間隔が経過すると、S10に戻る。充放電制御においては、上記の手順が所定の制御間隔で繰り返し実行される。
【0027】
図3は、充電制御の詳細な手順を示すフローチャートである。ここで、蓄電装置14の現在のSOCの取得が行われる(S20)。現在のSOCのデータは、
図2のS10におけるデータの1つである。この処理手順は、制御装置12の充電状態取得部17の機能によって実行される。SOCは、State Of Chargeの略で、蓄電装置14の充電状態を示す値である。蓄電装置14は、満充電の状態がSOC=100%で、完全放電の状態がSOC=0%である。充電量は(電流値A×時間h)で示される。
【0028】
SOCは、蓄電装置14に入力される充電電流値と充電時間と、蓄電装置14から出力される放電電流値と放電時間とを、時々刻々取得し、蓄電装置14に入力された充電電流値と充電時間の積を加算し、蓄電装置14から出力された放電電流値と放電時間の積を減算して、差し引いて積算された(電流値A×時間h)に基づいて算出される。また、充放電が長時間停止している状態では、そのときの電圧値である開放電圧(Open cir cuit Voltage:OCV)とSOCの関係を予め求めておいてSOCを算出してもよい。S20では、その算出されたSOCの現在値を取得する。
【0029】
蓄電装置14は、充放電を繰り返すと劣化が生じ、SOC=100%のときの充電量が低下し、充放電可能な容量が低下する。一般に、劣化は、充放電電流値が大きいほど進みやすい。すなわち、大電流値の急速充放電は、蓄電装置14の劣化が進みやすい。したがって、蓄電装置14の劣化を抑制するには、少ない充放電電流で長時間かけてゆっくりと充放電することが望ましい。
【0030】
蓄電装置14の現在のSOCが取得されると、予め定めた目標SOCとの比較が行われ、現在のSOCが目標SOC未満か否かが判断される(S21)。目標SOCは、回転電機13がハイブリッド車両の走行においてエンジンをアシストできる条件によって設定される。例えば、SOCが60%未満では蓄電装置14の充電量が十分でなく、回転電機1 3がエンジンを十分にはアシストできないが、SOCが60%以上あれば、回転電機13 がエンジンをアシストできる駆動力を出力できる場合には、目標SOC=60%と設定される。このように目標SOCは1つの値として設定できるが、予め定めた上限値と下限値の幅で設定することもできる(後述の
図6参照)。以下では特に断らない限り、幅で設定された範囲の下限値を目標SOCとする。
【0031】
S21の判断が否定されるときについては後述することにして、判断が肯定されると、次に、制動期間の推定が行われる(S22)。
図4は、制動期間の推定を示すモデル図の例である。
図4の横軸は時間tで、縦軸は回転電機13の回転数Nである。回転数Nは、ハイブリッド車両の車速に比例する値である。時間t=0は、ユーザの要求等で回転電機13の制動が開始した時間で、制動期間の始期である。今の場合、充電制御を開始する現在の時間である。時間t=t0は制動期間の終期であり、回転電機13が停止した時である。回転数N0は時間t=0における回転電機13の回転数である。回転数N0は、
図2のS10におけるデータの1つである。
【0032】
ユーザによる制動要求は、ハイブリッド車両のブレーキペダルをユーザが踏むことで行われる。ブレーキペダルの踏度が大きいほど、減速度、すなわち、減速加速度(−α)の絶対値が大きくなる。減速度(−α)を一定値とすると、時間tにおける回転数Nは、N =N0−αtとなる。回転数N=0となる時間t0は、N=N0−αt0=0とおいて、t0 =N0/αと求められる。t=0からt=t0の間の期間が推定された制動期間である。本例では、車両の減速度が一定である線形モデルでの制動期間の推定例を示したが、線形モデル以外のモデル式を用いてもよい。以下では、推定された制動期間を、単に制動期間と呼ぶ。
【0033】
再び
図3に戻り、制動期間が求められると、蓄電装置14の現在のSOC、つまりt= 0のときのSOCを目標SOCにするために必要な充電電流値ICの算出が行われる(S 23)。この処理手順は、制御装置12の充電電流値算出部18の機能によって実行される。
【0034】
現在のSOCを目標SOCにするために必要な充電電流値ICは次のようにして算出される。すなわち、目標SOCと現在のSOCとの差を不足充電量として求める。不足充電量=ΔSOC=(目標SOC−現在のSOC)である。この不足充電量をS22で求めた制動期間の長さt0で除算した値が、現在のSOCを目標SOCにするために必要な充電電流値ICである。したがって、IC={(ΔSOC×満充電容量)/t0}として算出される。
【0035】
算出の一例を挙げると、蓄電装置14の満充電量=5Ah=(5A×3,600s)= 18,000As)とし、目標SOC=60%、現在のSOC=58%とすると、ΔSO C=(18,000As×2%)=360Asである。
図4において、回転数N0で回転していた回転電機13が制動開始後9sで停止したとするとt0=9sである。この場合、IC=(360As/9s)=40Aとなる。これらの数値は例示であって、これら以外の数値であってもよい。
【0036】
S23と並行して、またはS23の前に、発電電流値IGの算出が行われる(S24) 。この処理手順は、制御装置12の発電電流値算出部19の機能によって実行される。発電電流値IGは、回転電機13が制動時に発生する発電電力を蓄電装置14の電圧レベルに換算したときの電流値である。交直変換部15の説明で述べた例では、IG=60Aである。
【0037】
ICとIGが求まると、次にその大小関係が比較され、IGがICを超えるか否かが判断される(S25)。
【0038】
S25の判断が肯定されると、交直変換部15を介して蓄電装置14に供給する供給電流値IBを、S24で算出された発電電流値IGではなく、S23で算出された充電電流値ICに制限して、交直変換部15に対し、電力利用率を低下させて制限された電流を供給するように交直変換処理を行わせる(S26)。上記の例では、IG=60A,IC=40 Aであるので、S25の判断が肯定され、供給電流値IBは、IG=60Aではなく、交直変換部15の電力利用率を66%に低下させて、IB=IC=40Aが交直変換部15から蓄電装置14に供給される。これにより、現在のSOCを目標SOCとしながら、蓄電装置14に供給される電流値を抑制できる。これによって、蓄電装置14の劣化を抑制できる。
【0039】
上記の例とは異なり、S24で算出された換算発電電流値IGがS23で算出された充電電流値IC以下のときはS25の判断が否定されて、発電電流値IGの全量について交直変換が行われ、蓄電装置14への供給電流値IB=IGとされる(S27)。これによって、現在のSOCを目標SOCに最大限近づけることができる。
【0040】
すでに述べたS21において、判断が否定されるときは、現在のSOCが目標SOC以上となるときである。この場合には、SOCを上昇させる必要がないが、過充電にならない範囲でSOCを上昇させておくことで、放電制御を実行できる範囲が広がり、ひいては、次の制動時におけるΔSOCを小さくできる。そこで、蓄電装置14に供給する供給電流値IBを予め定めた劣化許容閾値IBth以下の電流値に絞って交直変換処理を行わせる( S28)。
【0041】
図5は、蓄電装置14への供給電流値IBと劣化度との関係をモデル化した図の例である。横軸は対数で取ったIB、縦軸は蓄電装置14の劣化度である。劣化度は、SOC0 %から100%に充電したときの最大可能充電量について、製造直後の初期値を基準とした値からの減少量で示す。
図5に示すモデルでは、供給電流値IBが増加すると劣化度は進むが、IB0よりも小さい電流量ではほとんど劣化が進展せず、IB0を越えると劣化度が増加し始める。劣化許容閾値IBthは、劣化度が劣化許容度になる電流値である。劣化許容度は、蓄電装置14の仕様によって予め設定できる。
【0042】
蓄電装置14の環境温度によって劣化度の様子が変化する。すなわち、
図5に示すように、温度が低温になるにつれて、劣化許容閾値が小電流側に移動する。また、劣化度は、充放電の頻度が多いほど高くなる。したがって、蓄電装置14の劣化度を小さく抑えるには、温度が低温にならないようにし、充放電電流値を小さくし、充放電頻度を減らすことがよい。つまり、急速充放電をさけて、できるだけ低電流値で、好ましくは定電流値で充電または放電を行うことがよい。
【0043】
図6は、
図3の供給電流値IBの設定を蓄電装置14のSOCについてまとめた図である。
図6(a),(b)の横軸はSOCで、ここでは、目標SOCを1つの値でなく、下限値と上限値の幅で示してある。(b)の縦軸は蓄電装置14への供給電流値IBである。
【0044】
現在のSOCが目標SOCの下限値未満で
図3におけるS25の判断が肯定された場合、S25によってIB=ICに制限されて蓄電装置14の充電が行われる。そのことが、
図6(b)において、目標SOCの下限値未満の低いSOCの範囲で、IB=ICの実線で示される。
【0045】
ICは、推定制動期間の終期であるt=t0で蓄電装置14のSOCは目標SOCの下限値に達するように設定された充電電流値である。すなわち、回転電機13の制動期間内に目標SOCの下限値まで充電しようというものであるから、蓄電装置14の劣化の面から見ると、劣化許容閾値IBthよりも大きな値となることがある。それでもICはIGに比べ制限された値であるので、IGをそのまま蓄電装置14に供給される場合に比べると、劣化度を低く抑制することができる。
【0046】
制動開始から時間tが経過すると、蓄電装置14へ供給電流値IBの充電が行われるので、SOCが上昇する。一方で、
図4で説明したように、回転電機13の回転数Nが低下する。回転電機13が発電機として機能するとき、その起電力eは、回転電機13の起電力定数をKeとして、e=KeNの関係であるので、回転数Nが低下するに従い小さな値になる。起電力eにより発生する発電電流値は、内部抵抗を一定とすると、起電力eに比例する。したがって、発電電流値も回転数Nが低下するに従い小さな値になる。このことにより、制動開始から時間tが経過するにつれてS24で算出されるIGが小さくなり、S 25の判断が否定されるようになる。
【0047】
S25の判断が否定されると、S27により、蓄電装置14への供給電流値IBはIGの全量となるが、IGは制動開始からの時間tが経過するにつれて小さくなる。
図6(b) に参考としてIGの変化を一点鎖線で示した。S25の判断が否定されたのちは、S27 によって、IB=IGとされるので、蓄電装置14への供給電流値IBは、次第に小さい値となる。制御は、所定の制御間隔で行われるので、IBはその制御間隔ごとに段階的に低下する。
図6(b)では、目標SOCの下限値に近いSOCの範囲において、供給電流値IBは、破線で示されるようにICから段階的に次第に小さくなる。
【0048】
図5に関連して説明したように、蓄電装置14の劣化を抑制するには、段階的に変化する充電モードよりは、定電流値での充電モードが好ましい。
図6(b)では、目標SOC の下限値に近いSOCの範囲において、実線で示した供給電流値IBは、破線で示される段階的変化のいくつかを1つの同じ電流値にまとめ、できるだけ定電流充電に近づけるようにしたものである。このように、蓄電装置14に供給する供給電流値IBが隣り合う制御間隔の間で予め定めた閾値電流差以内のときは、後の制御間隔の供給電流値を前の制御間隔の供給電流値と同じにすることで、蓄電装置14の劣化を低減できる。
【0049】
このようにS26,S27の処理を実行することで、蓄電装置14の充電が行われ、蓄電装置14のSOCが上昇する。そして目標SOCの下限に達すると、S21における判断が否定される。ここでは、S28の処理として、供給電流値IBを劣化許容閾値IBth以下の電流値に絞って蓄電装置14に供給する。これによって、過充電等による劣化を避けながらSOCを上昇させることができ、放電制御を実行できる範囲が広がる。
図6(b) では、目標SOCの範囲における供給電流値IBの大きさを劣化許容閾値IBth以下のものとして示した。
【0050】
さらに現在のSOCが上昇して目標SOCの範囲の上限値を超えるときは、供給電流値IBをもっと絞ることができる。
図6(b)では、目標SOCの上限値を超える範囲における供給電流値IBの大きさを
図5のIB0とした。IB0は、ほとんど劣化が進展しない電流値である。供給電流値IB=IB0に設定することで、実質的に劣化度進展=0の状態を維持しながらIB0の大きさで充電することができる。
【0051】
再び
図3に戻り、S25からS28の処理手順は、制御装置12の変換指示部20の機能によって実行される。S26からS28の処理が完了し、制御間隔の時間が経過するとS20に戻り、上記の処理手順が繰り返される。
【0052】
上記では、交直変換部15のPWM制御によって蓄電装置14に対する所望の供給電流値を得る構成を記載したが、実施する際には、電流値制限を行う構成であれば、他の構成でも構わない。例えば、回転電機の励磁電流の大きさを制御して回転電機から出力される発電電力の大きさを制御し、交直変換部15はその交流発電電力をそのまま直流発電電力に変換する構成でもよい。