(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接着部の所定領域の面積が、前記裏面に形成された接着部の全面積の80%より小さくなるように、隣接する前記ラベル同士が連結されていることを特徴とする請求項1に記載のラベルロール。
前記ラベルは、前記接着部が形成されている領域の側面部のうち、少なくとも、当該ラベルに隣接して接着されている前方ラベルの裏面の接着部に配置されている部位に、側面コート層が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のラベルロール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来技術のラべルロールWは、
図12に示すように、その先端部を引っ張り、ラベル1を帯状(帯状ラベル体8)のままで引き出している最中に、帯状ラベル体8が途中で途切れることがあるという技術的課題を有している。すなわち、ラベルロールWは、連続してラベル1を引き出せないことがあった。そのため、上記のようなラベル貼付装置に、ラベルロールWを装着して用いた場合、ラベル1が頻繁に途切れ、自動貼付処理を頻繁に中断させる事態を招いていた。
【0008】
そこで、本願発明者が、上記課題の原因究明を行ったところ、ラベルロールを構成するラベルとそのラベルに隣接して接着された後続ラベルとの接合力(同層間のラベル接合力)が、当該ラベルの裏面に接着される1段下層に配置された下層ラベルとの接合力(上下層間のラベル接合力)よりも小さいことが、ラベルロールからラベルを連続して引き出せない主な原因であることを見出した。すなわち、同層間のラベル同士の接合力が上下層層間のラベル同士の接合力より小さい場合において、ラベルロールWの先端部(先端ラベル1)を引っ張ると、先端ラベル1に連結された後続ラベル1が、下層の帯状ラベル体8Bから剥がれずに残存し、先端ラベル1と離間する現象が生じる(ラベルロールWから連続してラベル1を引き出すことができない現象が生じる)。
【0009】
したがって、ラベルロールWにおいて、同層間のラベル1同士の接合力を、上下層間のラベル1同士の接合力よりも強める構成を設ければ、ラベル1を引き出している最中に、帯状ラベル体8が途中で途切れることが防止され、ラベル1を連続して引き出すことができる。そして、帯状ラベル体8が途中で途切れることが防止されたラベルロールが提供されると、ラベル貼付装置を用いたラベル貼付処理の作業効率が向上する。
【0010】
しかしながら、現状では、ラベルロールにおいて、同層間のラベル同士の接合力を、上下層間のラベル同士の接合力よりも強める構成を備えたものは知られていない。また、特許文献3に記載されている「ラベルの一部を商品から突出させた状態で商品に貼付する商品宣伝用のラベル」をラベル貼付装置に装着し、商品に自動貼付できれば便利である。しかし、現状において、上記のような「商品宣伝用のラベル」を1枚ずつずらして重ね合わせてロール状の形成したものは無く、上記のようなラベル貼付装置を用いた「商品宣伝用のラベル」の自動貼付は行われていない。
【0011】
本発明は、上記技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、被着体に、その一部を突出させた状態で貼付されるラベルを複数連結して形成されたラベルロールにおいて、ラベルを連続して引き出すことをできるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記技術的課題を解決するための本発明は、被着体に、その一部を突出させた状態で貼付されるラベルを複数連結して形成した帯状ラベル体を捲き回して構成されたラベルロールであって、前記ラベルは、ラベル基部と、該ラベル基部の表面に設けたオーバーコート層とを有し、前記ラベル基部の裏面には、前記被着体に貼着可能な接着部と、前記被着体に貼着不能な非接着部とが形成されており、前記帯状ラベル体は、複数枚の前記ラベルの表裏面を部分的に重なり合うように配置し、各ラベル基部の裏面に形成された接着部の所定領域に、隣接して配置される後続ラベル表面のオーバーコート層を接着させることにより前記ラベル同士が相互に連結され、前記接着部の所定領域の面積が、前記裏面に形成された接着部の全面積の50%より大きくなっていることを特徴とする。
【0013】
このように本発明のラベルロールは、ラベル裏面の接着部の所定領域に、隣接して配置される後続ラベル表面のオーバーコート層を接着させることによりラベル同士が相互に連結された帯状ラベル体を形成し、その帯状ラベル体をロール状に捲回すことにより構成されているため、剥離紙を用いないラベルロールが実現される。また、上記構成により、ラベルロールの先頭ラベルを引っ張り、帯状ラベル体を引き出している最中に、帯状ラベル体が途中で途切れることが防止されるようになり、ラベルの貼付作業の作業性を向上させることができる。すなわち、本発明によれば、帯状ラベル体が途中で途切れることが防止されるため、ラベリングマシン(ラベル貼付装置)に、上記のラベルロールを装着し、商品にラベルを自動貼付することが可能になる。尚、帯状ラベル体が途中で途切れることが防止される理由を以下に示す。
【0014】
上述したように、ラベルロールにおいて、「隣接して接着した同層間のラベル同士の接合力F1」が「上下層間のラベル同士の接合力F2」よりも小さいと、帯状ラベル体を引き出している最中に帯状ラベル体が途中で途切れることが起こる。また、「接合力F1」と「接合力F2」との大小関係は、「同層のラベル同士の接着領域S1の面積」と「上下層間のラベル1同士の接着領域S2の面積」との大小関係に対応している。具体的には、「接着領域S1の面積」が「接着領域S2の面積」より大きければ「接合力F1>接合力F2」となり、「接着領域S1の面積」が「接着領域S2の面積」より小さければ「接合力F1<接合力F2」となる。そのため、本発明では、ラベルの裏面に接着される同層の後続ラベルとの接着領域S1の面積が、その裏面に形成された接着部の全面積の50%より大きくなるように同層間で隣接するラベル同士を接着するようにした。このように構成すると、裏面の接着部のうち、「同層間の後続ラベルとの接着領域S1」以外の領域全てが、下層ラベルに接着されたとしても、「接着領域S1の面積」が「接着領域S2の面積」より大きくなり「接合力F1>接合力F2」の要件が満たされる。
【0015】
また、前記接着部の所定領域の面積が、前記裏面に形成された接着部の全面積の80%以下になるように、隣接するラベル同士が連結されていることが望ましい。このように構成することで(すなわち、所定領域の面積が、裏面に形成された接着部の全面積の50〜80%)とすることで、帯状ラベル体が途中で途切れることが防止されることに加え、さらに、ラベル貼付装置がラベルロールからラベルを1枚ずつ剥がすための「剥がし代」が確保される。
【0016】
また、前記ラベルは、前記接着部が形成されている領域の側面部のうち、少なくとも、当該ラベルに隣接して接着されている前方ラベルの裏面の接着部に配置されている部位に、側面コート層が形成されていることが望ましい。
【0017】
このように、本発明では、ラベルの側面部に側面コート層が設けられているため、ラベルの裏面の接着部を形成する粘着糊が裏面から外周縁部にはみ出してきても、側面コート層により粘着糊が覆われる。これにより、本発明によれば、ラベルの裏面から外周縁部にはみ出した粘着糊の影響による隣接するラベル同士の糊着が防止され、その結果、ラベルロールからラベルが剥がしづらくなる現象が防止される。そのため、本発明のラベルロールをラベル貼付装置に装着して利用した場合、ラベルロールからのラベル剥離不良の発生が減少し、被着体へのラベルの自動貼付処理の歩留まりを向上させることができる。尚、ラベルの側面部のうちの一部に側面コート層を形成するようにしたのは、ラベル裏面からはみ出してくる粘着糊による「隣接して配置されるラベル同士の糊着」が、隣接して連結されている前方ラベルの裏面に配置されている部分(側面部の一部)にはみ出してくる粘着糊によりなされるためである。
【0018】
また、前記側面コート層は、前記接着部が形成されている領域の側面部全体に亘って形成されていることが望ましい。このように、ラベルの側面部の接着部が形成されている領域の側面部全体に亘り、側面コート層を形成すれば、ラベルロールの側面部から粘着糊がはみ出す現象が防止され、その結果、ラベルロールの側面部へのゴミや埃の付着が防止される。
【0019】
また、前記側面コート層は、前記オーバーコート層と同じ材料により形成されていることが望ましい。このように、側面コート層は、UVニスや水性ニス等のオーバーコート層の形成に用いられる材料により形成できるため(特別な材料を調達する必要がないため)、製品原価を抑制することがきる。
【0020】
また、前記オーバーコート層は、表面粗さの異なる第1および第2オーバーコート部を有し、表面粗さが前記第2オーバーコート部よりも大きい前記第1オーバーコート部は、同層間で前記ラベル同士が接触する第1接触領域に形成され、前記第2オーバーコート部は、上下層間で前記ラベル同士が接触する第2接触領域に形成されていることが望ましい。また、前記第1および第2オーバーコート部は、UVニス、水性ニス、シリコーン剥離剤から選択される同じ材質のオーバーコート剤から構成され、前記第1オーバーコート部は、前記オーバーコート剤の一度塗りで形成され、前記第2オーバーコート部は、前記オーバーコート剤の2度塗りで形成されていることが望ましい。
【0021】
このように本発明では、ラベル表面のオーバーコート層に、表面粗さが異なる第1、第2オーバーコート部を設けている。そして、表面粗さが第2オーバーコート部よりも大きい第1オーバーコート部は、同層間でラベル同士が接触する第1接触領域に配置されている。また、第2オーバーコート部は、上下層間でラベル同士が接触する第2接触領域に配置されている。これにより、ラベルを引き出す場合に、上下層間で接着されているラベル同士は、同層間で接着されているラベル同士と比べて、離間し易く(剥がれ易く)なる。すなわち、本発明のラベルロールは、従来技術のラベルロールと比べ、同層間で接着されたラベル同士の接合力を、上下層間のラベル同士の接合力に対し強めることができる。その結果、ラベルロールの先端を引っ張り、ラベルロールから帯状のままでラベルを引き出している最中にラベルが途中で途切れることが防止される。
【発明の効果】
【0022】
本発明の構成によれば、被着体に、その一部を突出させた状態で貼付されるラベルを複数連結して形成されたラベルロールであって、ラベルを連続して引き出すことをできるラベルロールを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態のラベルロールについて図面を用いて説明する。本実施形態のラベルロールLは、ラベル10の一部を商品(被着体)から突出させた状態で商品に貼付する商品宣伝用のノンセパレータ型のラベル(所謂「アテーションラベル」)10を複数連結して形成したものであり、剥離紙が用いられていないため廃棄物低減に貢献する構成となっている。先ず、本発明の第1実施形態のラベルロールについて
図1〜3を用いて説明する。尚、本発明の実施形態の説明において、上述した従来技術と同じ構成及び相当する構成については、同じ符号を付している。また、図中の符号8Aが上層側の帯状ラベル体を示し、符号8Bが下層側の帯状ラベル体を示している。
【0025】
第1実施形態のラベルロールLは、複数枚のラベル10を表裏面が部分的に重なり合うように配置し、各ラベル10裏面の接着部4aに、隣接して配置されるラベル10の表面のオーバーコート層3を接着させることによりラベル10同士が相互に連結された帯状ラベル体8を形成し、この形成した帯状ラベル体8を芯7にロール状に捲回すことにより構成されている。
【0026】
具体的には、ラベルロールLを構成する各ラベル10は、商品のキャッチコピーや性能等が印刷された印刷部を有するラベル基部2と、ラベル基部2の表面に設けたオーバーコート層3とを備えている(
図3(b)参照)。また、ラベル基部2の裏面側は、その下端側が商品に貼着可能な接着部4aとなっており、その上端側が商品に貼着不能な非接着部4bとなっている(
図2、
図3(a)参照)。そして、ラベル10は、
図2(b)に示すように、その一部(非接着部4b)を突出させた状態にして、接着部4aを商品(被着体)Pに貼着させて用いられるようになっている。
【0027】
上記のオーバーコート層3は、ラベル10の印刷部を保護する機能と、ラベル10表面に接着された他のラベル10を剥がし易くする機能とを担っている。また、印刷部は、ラベル基部2の表面に形成されていてもよいし、ラベル基部2の裏面に形成されていてもよい。例えば、ラベル基部2が透明フィルムなどの場合、印刷部がラベル基部2の表面に形成されていても、ラベル基部2の裏面に形成されていても、ラベル10の表面から印刷部を目視できる。
【0028】
尚、ラベル基部2は、例えば、厚さ寸法が「30〜80μm」のポリエステルフィルム(PET(ポリエチレンテレフタラート))、厚さ寸法が「50〜90μm」のポリプロピレンフィルム、厚さ寸法が「40〜80μm」の合成紙等により形成される。また、オーバーコート層3は、ラベル基部2の表面にオーバーコート剤を塗工することにより形成されている。このオーバーコート剤には、例えば、UVニスや水性ニス等を用いることができる。尚、オーバーコート層3の厚さ寸法は、例えば、「1〜2μm」に形成されている。
【0029】
また、ラベル基部2の裏面側の接着部4a及び非接着部4bは、例えば、以下の方法で形成することができる。
【0030】
具体的には、先ず、ラベル基部2の裏面全域に、ゴム系ホットメルトやUV硬化型アクリル系ホットメルト等を塗工し、ラベル基部2裏面全域に糊面を形成する。次に、ラベル基部2の裏面全域に形成した糊面のうち上端側領域に対して、ニスや樹脂等を塗工して非接着の薄膜を形成させる糊殺し処理を施し、上端側領域の糊面を非粘着化させる。この糊殺し処理がなされた上端側領域が非接着部4bとなり、糊殺し処理がなされていない裏面の下端側領域が接着部4aとなる。尚、糊殺し処理ではなく、ラベル基部2裏面のうち接着部4aとなる領域にだけ、ゴム系ホットメルトやUV硬化型アクリル系ホットメルト等を塗工する方法により、ラベル基部2の裏面側に、接着部4a及び非接着部4bを形成するようにしてもよい。この接着部4の厚さ寸法は、例えば、「15〜20μm」に形成されている。
【0031】
尚、第1実施形態では、ラベル基部2の裏面の接着部4aが、ラベル基部2の下端側に形成されているが特にこれに限定されるものではない。接着部4aの形成位置は、ラベル10の用途に応じて適宜設定される。また、接着部4aの大きさは、ラベル10の用途に応じて適宜設定される。例えば、接着部4aは、ラベル基部2の裏面全域に対して、「20%〜50%」程度の大きさに形成されている。
【0032】
また、
図3(b)に示すように、帯状ラベル体8は、第1のラベル10aの裏面に形成された接着部4aの後端側の所定領域に、第2のラベル10b(第1のラベル10aの後続ラベル)の表面に形成されたオーバーコート層3の先端側を付着させ、さらに、第2のラベル10bの裏面に形成された接着部4aの後端側の所定領域に第3のラベル10c(第2のラベル10bの後続ラベル)の表面に形成されたオーバーコート層3の先端側を付着させることを順次行うことにより形成されている。また、各ラベル10は、その裏面に形成された接着部4aと、後続ラベル10のオーバーコート層3との重なり部分が同層間のラベル10同士の接着領域S1となる。
【0033】
そして、第1実施形態では、上層側の帯状ラベル体8Aを構成する各ラベル10は、いずれも、その裏面に接着されている同層の後続ラベル10との接着領域S1の面積が、自身よりも1段下層に配置された帯状ラベル体8Bとの接着領域S2の面積より大きくなるように、隣接するラベル10同士が連結されている。尚、帯状ラベル体8Aを構成する各ラベル10が、「接着領域S1の面積>接着領域S2の面積」を満たす場合とは、少なくとも、ラベル10の裏面に接着された同層の後続ラベル10との接着領域S1の面積が、その裏面に形成された接着部4aの全面積の50%より大きいことが要件となる。
【0034】
上記の構成により、ラベルロールLにおいて、「隣接して接着した同層間のラベル10同士の接合力F1」が「上下層間のラベル10同士の接合力F2」よりも大きくなる。その結果、ラベルロールLの先頭ラベル10を引っ張り、帯状ラベル体8を引き出している最中に、帯状ラベル体8が途中で途切れることが防止される。したがって、第1実施形態によれば、ラベリングマシン(ラベル貼付装置)に、上記のラベルロールLを装着し、商品Pにラベルを自動貼付することが可能になる。すなわち、第1実施形態によれば、その一部を商品から突出させた状態で商品に貼付する商品宣伝用のラベル(アテーションラベル)10の自動貼付が可能になり、ラベル(アテーションラベル)10の貼付作業の効率化が実現される。
【0035】
具体的には、「接合力F1」と「接合力F2」との大小関係は、「同層のラベル同士10の接着領域S1の面積」と「上下層間のラベル10同士の接着領域S2の面積」との大小関係に関連している。すなわち、「接着領域S1の面積」が「接着領域S2の面積」と同じであれば「接合力F1=接合力F2」となる。また、「接着領域S1の面積」が「接着領域S2の面積」より大きければ「接合力F1>接合力F2」となり、「接着領域S1の面積」が「接着領域S2の面積」より小さければ「接合力F1<接合力F2」となる。したがって、本実施形態では、ラベル10の裏面に接着される同層の後続ラベル10との接着領域S1の面積が、その裏面に形成された接着部4aの全面積の50%より大きくなるようにラベル10同士の連結した。このように構成すると、ラベル10裏面の接着部4aのうち、「同層の後続ラベルとの接着領域S1」以外の領域全てが、下層のラベル10に接着されたとしても、「接着領域S1の面積」は「接着領域S2の面積」より大きくなり「接合力F1>接合力F2」の要件が満たされる。
【0036】
尚、ラベル10の裏面に接着される同層の後続ラベル10との接着領域S1の面積は、ラベル10の裏面に形成された接着部4aの全面積の80%以下になるように、隣接するラベル10同士が連結されていることが望ましい。このように構成することで(すなわち、接着領域S1の面積が、裏面に形成された接着部4aの全面積の50〜80%)とすることで、帯状ラベル体8が途中で途切れることが防止されることに加え、さらに、ラベル貼付装置がラベルロールからラベル10を1枚ずつ剥がすための「剥がし代」が確保される。
【0037】
さらに、第1実施形態の構成によれば、
図12に示した従来技術と比べ、ラベル10の裏面からラベル10の外周縁部にはみ出してくる粘着糊(接着部4aを形成する粘着糊)の量を少なくすることができる。すなわち、第1実施形態によれば、ラベル10の外周縁部にはみ出してくる粘着糊の量が少なくなるため、当該粘着糊による隣接するラベル10同士の糊着が防止される。その結果、第1実施形態によれば、ラベルロールLからラベル10が剥がしづらくなる現象が防止される。
【0038】
以下、
図4を参照しながら、ラベル10の外周縁部にはみ出した粘着糊が与える影響について説明する。尚、
図4は、本発明の第1実施形態のラベル裏面からはみ出す粘着糊の状態を説明するための模式図であり、(a)がラベル下端側の断面を示した模式図であり、(b)がラベルから粘着糊がはみ出してきた状態を示した模式図であり、(c)が第1実施形態のラベルロールからはみ出す粘着糊の状態を説明するための模式図である。
【0039】
ラベルロールLを構成する帯状ラベル体8は、所定のテンションをかけてロール状に巻き回されている。そのため、帯状ラベル体8は、自身よりも上層に配置された帯状ラベル体8からの押圧力を受けると共に、自身の下層に配置された帯状ラベル体8からの反力(前記押圧力に対する反力)を受けている。すなわち、ラベルロールLを構成する各ラベル10は、自身の上下層に配置されたラベル10から所定圧力で挟持された状態になっている。その結果、ラベルロールLを構成する各ラベル10では、その裏面の接着部4aを形成する粘着糊が前記所定圧力の影響により経時変化し、ラベル10の裏面から外周縁部にはみ出してくる現象が生じる(
図4(a)から
図4(b)のように変化する)。
【0040】
そして、第1実施形態の例(
図4(c)に示す例)では、ラベル10aの裏面に、2枚のラベル10b、ラベル10cが重ねられ、各ラベル10には、2段の段差部が形成されている。また、各ラベル10の裏面の接着部4aは、段差部により複数段の水平領域(3つの水平領域E1、E2、E3)に分割されている。また、接着領域S1の面積が「接着部4aの全面積SAの50%」より大きくなるように隣接するラベル10同士を接着されると、ラベル10aの裏面に形成された水平領域E1、E2、E3は、いずれも、接着部4aの全面積SAの50%よりも小さくなる。
【0041】
したがって、上記の接着領域S1の面積を「接着部4aの全面積SAの50%」より大きくすることで、ラベル10の前端側の外周縁部からはみ出す粘着糊だけではなく、ラベル10の後端側の外周縁部からはみ出す粘着糊の量も少なくなる。その結果、第1実施形態では、粘着糊による隣接するラベル10同士の糊着が防止される(符号B1参照)ことに加え、更に、当該粘着糊による上下層間のラベル10同士の糊着が防止される(符号B2参照)。したがって、第1実施形態では、ラベルロールLからラベル10が剥がしづらくなる現象が防止される。また、第1実施形態によれば、ラベル10の裏面からはみ出した粘着糊を原因で生じるラベル10が途中で途切れることが防止される。
【0042】
次に、本発明の第2実施形態について
図5、6を用いて説明する。尚、第2実施形態は、上述した第1実施形態のラベルロールLの構成に、側面コート層の構成を追加したものである。そのため、以下では、第1実施形態と異なる部分を詳細に説明し、同じ構成の説明を簡略化する。尚、第2実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成及び相当する構成については、説明の便宜上、同じ符号を用いる。
【0043】
第2実施形態では、ラベル10の側面部のうち接着部4aが形成されている領域の側面部に、UVニスや水性ニス等のオーバーコート剤(剥離剤)を塗布(又は塗工)することにより形成された側面コート層21が設けられている。
【0044】
具体的には、
図5に示すように、ラベル10は、接着部4aが形成されている領域の側面部の全体(全周)に亘って、オーバーコート剤を塗布(又は塗工)して形成された側面コート層21が設けられている。この側面コート層21は、ラベル10の側面部の下端から上端に向けて延び、さらに、好ましくは、側面部の上端からラベル10の表面縁部まで延設されている。また、側面コート層21は、オーバコートオーバーコート層3と同じ材料により形成されている。このように、側面コート層21の形成に、オーバーコート層3の形成に用いる材料をそのまま使用しているため、製品原価が抑制される。
【0045】
そして、上記構成によれば、
図6(a)、(b)に示すように、ラベル10の裏面の接着部4を形成する粘着糊が、ラベル10の裏面から外周縁部にはみ出してきても、側面部に形成した側面コート層21が、前記はみ出してきた粘着糊に密着して変形し、はみ出してきた粘着糊を覆う。そのため、ラベル10の裏面の接着部4aを形成する粘着糊が、裏面から外周縁部にはみ出してきても、粘着糊を覆う側面コート層21が、上層側のラベル20の接着部4aに対して剥離層として機能する。これにより、ラベル10の裏面から外周縁部にはみ出した粘着糊が、隣接して接着されているラベル10の接着部4aと糊着することが防止される。すなわち、第2実施形態では、隣接するラベル10同士の接合力が大きくなる要因が取り除かれ、その結果、ラベルロールLからラベル10を引き出す際に、ラベル10が剥がれ
づらくなる現象が防止される。
【0046】
また、第2実施形態は、ラベル10の側面部の全体に亘り、側面コート層21が形成されているため、当該粘着糊の影響による隣接するラベル10同士の糊着防止に加え、はみ出した粘着糊の影響による上下層間のラベル10同士の糊着も防止される。その結果、ラベル10の裏面からはみ出した粘着糊が原因により発生する「ラベル10を帯状体のままで引き出している際に、帯状ラベル体8が途中で途切れる現象」が防止される。また、第2実施形態によれば、ラベル10の側面部のうち、接着部4aが形成されている領域の側面部の全体に亘り、側面コート層21が形成されているため、ラベルロールLの側面部から粘着糊がはみ出す現象が防止され、その結果、ラベルロールLの側面部へのゴミや埃の付着が防止される。
【0047】
尚、第2実施形態において、ラベル10の接着部4aが形成された領域の側面部のうち、隣接して連結されている前方ラベル10の裏面に配置されている部分にだけ、側面コート層21が形成されていてもよい。
【0048】
このように構成したのは、隣接して配置されるラベル10同士の糊着が、ラベル10の側面部のうち、隣接して連結されている前方ラベル10の裏面に配置されている部分(側面部の一部)にはみ出してくる粘着糊によりなされるためである。この構成においても、ラベル10の裏面から外周縁部にはみ出した粘着糊の影響による隣接するラベル10同士の糊着が防止され、その結果、ラベルロールLからラベル10が剥がし
づらくなる現象が防止される。
【0049】
尚、第2実施形態の側面コート層21は、例えば、凸版印刷用の版と液状インキ(本実施形態では液状のオーバーコート剤)とを用いる凸版印刷方式により形成することができる。
【0050】
ここで、
図7を用いて、凸版印刷方式により側面コート層21を形成する方法を説明する。
図7は、本発明の第2実施形態のラベルに側面コート層を形成する工程を説明するための模式図であり、(a)がラベル縁部に向けて版を移動させている状態を示した模式図であり、(b)がラベル縁部に版を押し付けている状態を示した模式図であり、(c)がラベルから版を離間させている状態を示した模式図である。
【0051】
尚、図中の符号40は、ゴムや樹脂等の弾性材により形成された版を示しており、この版40はインキの塗布面が「3〜5mm」程度に形成されている。また、符号30は、液状のオーバーコート剤を示している。また、符号50は、紫外線を照射するUV照射装置を示している。また、ラベル基部2の裏面の下端側領域に接着部4aが形成され、その表面にはオーバーコート層3が形成されている(図中では、説明の便宜上、オーバーコート層3を省略している)。また、図中において、符号1は側面コート層21が形成される前のラベルを示し、符号10は側面コート層21が形成されたラベルを示している。
【0052】
第2施形態では、側面コート層21を形成する前工程において、ラベル印刷と、外形型抜き及びカス取り(周囲の不要な部分を取り除くカス取り)とが行われる。具体的には、ラベル印刷、外形型抜き及びカス取りが終わったラベル1に対し、液状のオーバーコート剤(UVシリコーン剤等)30を塗布した版40を、ラベル1の表面縁部(接着部4aが形成された領域に対応する表面縁部)と、当該表面縁部の外側領域とを跨らせた位置に配置し、その版40をラベル1の縁部に押し付ける(
図7(a)、(b)参照)。その後、ラベル1から版40を離間させる(
図7(c)参照)。これにより、ラベル10の側面部に、オーバーコート剤30が塗工される。次に、UV照射装置50により、塗工されたオーバーコート剤30に紫外線を照射し、塗工されたオーバーコート剤を硬化させる。これにより、ラベル10の側面部にオーバーコート層21が形成される。尚、版40は、弾性材で形成されている。また、版40が押圧されるラベル1は、厚さ寸法(ラベル基部2、オーバーコート層3及び接着層4を含む厚さ寸法)が「50〜120μm」程度に形成されている。そのため、ラベル1の縁部に版40が押し付けられると、版40の塗布面が弾性変形し、ラベル1の側面部に塗布面が当接し、これにより、ラベル1の側面部にオーバーコート剤30が塗布される。
【0053】
尚、
図7では、版40は、ラベル1側面部(接着部4aが形成された領域の側面部)の一方側に、オーバーコート剤30が印刷される形状に形成されているが、これは一例に過ぎない。版40は、ラベル1側面部のうち接着部4aが形成された領域の全域に亘って、オーバーコート剤30を印刷できる形状に形成されていてもよい。例えば、版40は、その塗布面が、ラベル1の外周縁部を覆う形状(ラベル1が円形の場合には半円状)に形成されていてもよい。
【0054】
次に、本発明の第3実施形態について
図8を用いて説明する。尚、第3実施形態は、上述した第1、2実施形態のラベルロールLの構成に対して、オーバーコート層3の構成を変形したものであり、それ以外の構成は、第1、2実施形態と同様である。そのため、以下では、第1、2実施形態と異なる部分を詳細に説明し、同じ構成の説明を簡略化する。尚、第3実施形態の説明において、第1、2実施形態と同様の構成及び相当する構成については、説明の便宜上、同じ符号を用いる。
【0055】
本発明の第3実施形態では、オーバーコート層3が、第1オーバーコート部3aと、第1オーバーコート部3aよりも表面粗さが小さい(表面が滑らかな)第2オーバーコート部3bとを有する構成になっている(
図8(a)参照)。この第1オーバーコート部3aは、例えば、ラベル基部2の一端側にオーバーコート剤を1回塗工することにより形成されている。また、第2オーバーコート部3bは、ラベル基部2の他端側にオーバーコート剤を2回塗工することにより形成されている。
【0056】
具体的には、第3実施形態では、
図8(a)に示すように、ラベル10の表面に、第1オーバーコート部3aと、第2オーバーコート部3bとが形成されている。この構成によれば、第1オーバーコート部3a及び第2オーバーコート部3bのそれぞれに、同じ粘着度の接着物(ラベル等の接着物)を接着し、この接着された接着物を引っ張って引き剥がす場合、第1オーバーコート部3aに接着された接着物は、第2オーバーコート部3bに接着された接着物と比べ、引っ張られる際の摩擦力が大きくなり剥がれにくくなる。尚、
図8(c)に示すように、第1オーバーコート部3a及び第2オーバーコート部3bが、接着部4a形成面の裏側面にだけに形成されていてもよい。
【0057】
また、第1オーバーコート部3a及び第2オーバーコート部3bの形成方法については、特に限定されるものではないが、例えば、ラベル10の印刷に用いられている多色刷り印刷機を用いて形成するようにしてもよい。この場合、先ず、多色刷り印刷機により、ラベル基部2の表面全域にオーバーコート剤を塗工する(1度塗りする)。次に、多色刷り印刷機により、オーバーコート剤を1度塗りしたラベル10の後端側の「予め定めた2度塗領域」に再度オーバーコート剤を塗工(2度塗り)する。これにより、ラベル10の表面のうち、オーバーコート剤が1度塗りされた領域が第1オーバーコート部3aとなり、オーバーコート剤が2度塗りされた領域が第2オーバーコート部3bとなる。尚、第1オーバーコート部3a及び第2オーバーコート部3bの形成方法は、オーバーコート剤を2度塗りする方法ではなく、塗工後の表面粗さが異なる2種類のオーバーコート剤(例えば、重剥離シリコーン剤、軽剥離シリコーン剤)を塗り分けることにより、第1オーバーコート部3a及び第2オーバーコート部3bを形成するようにしてもよい。また、ラベル基部2の表面を構成する材質を領域毎に変えることにより、第1オーバーコート部3a及び第2オーバーコート部3bを形成するようにしてもよい。
【0058】
次に、第3実施形態の帯状ラベル体8について説明する。具体的には、
図8(b)に示すように、帯状ラベル体8は、第1のラベル10aの裏面に形成された接着部4aの後端側領域に、第2のラベル10b(第1のラベル10aの後続ラベル)の表面に形成された第1オーバーコート部3aを付着させ、さらに、第2のラベル10bの裏面に形成された接着部4aの後端側領域に、第3のラベル10c(第2のラベル10bの後続ラベル)の表面に形成された第1オーバーコート部3aを付着させることを順次行うことにより形成されている(各ラベル10の第1オーバーコート部3aは、同層間でラベル1同士が接触する領域(第1接触領域)に配置される)。尚、同層間のラベル10同士の接着領域(第1接触領域)の面積は、ラベル10表面の第1オーバーコート部3aが形成された領域の面積と同じ大きさになっている。そのため、帯状ラベル体8を表面から見ると、各ラベル10(先頭に配置されているラベル10を除く)の第1オーバーコート部3aのうち接着部4a形成面の反対(裏側)面になる第1オーバーコート部3aは、隣接して連結される前方ラベル10により覆われた状態になっている。
【0059】
そして、上記の帯状ラベル体8を芯7にロール状に捲回すと、上下層間でラベル10同士が接着される。すなわち、
図8(b)に示すように、帯状ラベル体8を構成する各ラベル10は、その裏面に形成された接着部4aの前端側領域(この領域が第2接触領域となる)が、当該ラベル10より一段下層に配置される下層ラベル10の第2オーバーコート部3bに重ね合わされ接着される(各ラベル10の第2オーバーコート部3bは、上下層間でラベル1同士が接触する第2接触領域に配置される)。
【0060】
このように、第3実施形態では、ラベル10表面に、表面粗さが異なる2種類のオーバーコート部(第1オーバーコート部3a、第2オーバーコート部3b)が形成されている。そして、ラベルロールLでは、隣接して連結する同層間のラベル10同士は、ラベル10裏面の接着部4aに、当該ラベル10と隣接する後続ラベル10表面の第1オーバーコート部3aが重ね合わされて接着されている。また、上下層間のラベル10同士は、ラベル10裏面の接着部4bに、当該ラベル10より一段下層に配置される下層ラベル10の表面の第2オーバーコート部3bが重ね合わされて接着されている。
【0061】
すなわち、第3実施形態では、上下層間のラベル10同士は、同層間のラベル10同士が重ね合わされる第1オーバーコート部3aと比べ、表面粗さが小さい第2オーバーコート部3bに重ね合わされて接着されている。この構成により、第3実施形態のラベルロールLは、隣接して接着された同層間のラベル10同士の接合力を、上下層間のラベル10同士の接合力に対し強めることができる。したがって、第3実施形態では、ラベルロールLの先端を引っ張り、ラベル10を引き出す場合に、上下層間で接着されているラベル10同士は、隣接して接着されている同層間のラベル10同士と比べて、離間し易く(剥がれ易く)なる。その結果、第3実施形態によれば、ラベルロールLからラベル10を引き出している最中に、ラベル10が途中で途切れることが防止される。
【0062】
尚、同層間のラベル10同士の接合力と、上下層間のラベル10同士の接合力との関係は、「第1接触領域」と「第2接触領域」の大きさにも依存するため、第1オーバーコート部3a及び第2オーバーコート部3bの表面粗さは、「第1接触領域」及び「第2接触領域」の大きさが考慮された上で適宜設定される。
【0063】
また、第3実施形態において、第1オーバーコート部3a、第2オーバーコート部3bを形成するオーバーコート剤には、例えば、UVニス、水性ニス、シリコーン剥離剤等を用いることができる。そして、第1オーバーコート部3aおよび第2オーバーコート部3bは、UVニス、水性ニス、シリコーン剥離剤から選択される同じ材質のオーバーコート剤から構成されていてもよい。尚、オーバーコート層3(第1オーバーコート部3a、第2オーバーコート部3b)の厚さ寸法は、例えば、「1〜2μm」に形成され、接着層4の厚さ寸法は、例えば、「15〜20μm」に形成されている。
【0064】
尚、「第1オーバーコート部3aに重ね合わされて接着されているラベルの接合力」の大きさと、「第2オーバーコート部3bに重ね合わされて接着されているラベルの接合力」の大きさとを検証するため、第1オーバーコート部3a及び第2オーバーコート部3bの剥離力及び表面粗さの測定試験を行った。
【0065】
具体的には、同時押出二軸延伸ポリプロピレンフィルム(BOPP)で形成された厚さ寸法が「60μm」の基材2の表面に、シリコーン(シリコーン剥離剤)を1度塗りして形成したオーバーコート層3を備えたラベルAと、シリコーン(シリコーン剥離剤)を2度塗りして形成したオーバーコート層3を備えたラベルBとを作成した。そして、ラベルA、Bに対して、それぞれ、オーバーコート層3の面状態、剥離性能、表面粗さの検査を行った。尚、ラベルAは、基材2の表面にシリコーンを印刷(「アニロックス400線、塗工量約12g/m
2」)して形成した。また、ラベルBは、シリコーンが一度塗りされたラベルAの表面にシリコーンを再度印刷(アニロックス400線、塗工量約6g/m
2)して形成した。また、上記測定試験は、各項目について、それぞれ、20回行った。
【0066】
検査の結果、ラベルA、Bのオーバーコート層3の面状態、剥離製性能について、下記表1に示す結果が得られた。尚、シリコーン塗工量、剥離力は、測定値の平均を示している。また、硬化状態及びマジックハジキについては、全サンプルにおいて同様の結果となった。
【表1】
【0067】
ここで、表1に示すシリコーンの塗工量とは、蛍光X線分析装置を利用して算出された値であり、ラベルAが「1.3(g/m
2)」となり、ラベルBが「1.8(g/m
2)」となった。また、硬化状態とは、セロハンテープ(登録商標)を、ラベルA、Bのオーバーコート層3の表面(シリコーン面)に押しつけ、セロハンテープの粘着低下度合を判断したものであり、ラベルA、Bのいずれも硬化状態は良好であった。また、マジックハジキとは、ラベルA、Bのオーバーコート層3の表面(シリコーン面)にマジックペンで線を引き(書き)、インキのハジキ具合を目視して行ったものであり、ラベルA、Bのいずれもインキハジキが良好であった。すなわち、「シリコーンを1度塗りしたラベルA」及び「シリコーンを2度塗りしたラベルB」は、いずれも、その表面が硬化し滑らかになっていた。
【0068】
また、表1に示す剥離力とは、測定装置(株式会社エー・アンド・デイ社製、卓上型材料試験機(STA−1225))により測定された値である。具体的には、上記測定装置により、ラベルAのオーバーコート層3の表面(シリコーン面)に貼られたラベル10を「0.3mm/min」で剥がしたときの剥離力と、ラベルBのオーバーコート層3の表面(シリコーン面)に貼られたラベル10を「0.3mm/min」で剥がしたときの剥離力とを測定した。尚、剥離力の測定では、所定条件下で1日保存したラベルA、Bの測定と、所定条件下で7日保存したラベルA、Bの測定を行った。この測定では、ラベルAのオーバーコート層3に貼られたラベル10を剥がす剥離力の方が、ラベルBのオーバーコート層3に貼られたラベル10を剥がす剥離力よりも大きいことが確認された。さらに、ラベルA、Bに対して、それぞれ、電子顕微鏡を用いて、オーバーコート層3の表面を観察したところ、ラベルBのオーバーコート層3の表面(シリコーン面)の方が、ラベルAのオーバーコート層3の表面よりも表面が滑らかであった。
【0069】
上記の剥離力及び表面粗さの試験結果により、ラベルAのオーバーコート層3の表面(シリコーン面)に貼られたラベル10の方が、ラベルBのオーバーコート層3の表面(シリコーン面)に貼られたラベル10よりも剥がれにくいことが確認された。
【0070】
次に、本発明の第4実施形態について、
図9を用いて説明する。
図9は、本発明の第4実施形態のラベルロールを説明するための模式図であり、(a)が第4実施形態の帯状ラベル体を裏面からみた模式図であり、(b)が第4実施形態の帯状ラベル体の断面を示した模式図である。尚、第4実施形態では、上述した第1、2実施形態の接着部4aの構成を変形したものであるため、第4実施形態の説明では、第1、2実施形態と同じ構成及び相当する構成には同じ符号を付して説明を省略する。
【0071】
第4実施形態では、ラベル基部2裏面の下端領域に形成された接着部4aが、弱接着部4a1と、弱接着部4a1よりも粘着力が大きい(強い)強接着部4a2とに分割されて形成されている。具体的には、ラベル10の裏面の接着部4aは、その一端側(前端側領域)に形成された弱接着部4a1と、その他端側(後端側領域)に形成された強接着部4a2とにより2つの領域に分割されている。
【0072】
尚、ラベル10の裏面に、弱接着部4a1及び強接着部4a2を形成する方法について特に限定されるものではないが、例えば、以下のように形成することができる。具体的には、先ず、公知の接着層形成方法により、ラベル基部2裏面の下端領域に粘着糊を塗工する。次に、多色刷り印刷機により、ラベル10裏面の前端側領域に、ニス等を網状に印刷する。これにより、ニスを網状に印刷して粘着力を弱くした部位が弱接着部4a1となり、ニスが印刷されていない部位が強接着部4a2となる。
【0073】
そして、第4実施形態の帯状ラベル体8は、第1のラベル10a裏面の後端側領域に形成された強接着部4a2に、第2のラベル10b(第1のラベル10aの後続ラベル)の表面のオーバーコート層3を付着させ、さらに、第2のラベル10b裏面の後端側領域に形成された強接着部4a2に、第3のラベル10c(第2のラベル10bの後続ラベル)の表面に形成されたオーバーコート層3を付着させることを順次行うことにより形成されている。これにより、ラベルロールLの各ラベル10の強接着部4a2は、同層間においてラベル10同士が接触する領域に配置される。尚、帯状ラベル体8を裏面から見ると、各ラベル10の裏面の強接着部4a2が、隣接して連結される後続ラベル10により覆われた状態になっている。
【0074】
そして、上記の帯状ラベル体8を芯7にロール状に捲回すと、上下層間でラベル10が接着される。具体的には、帯状ラベル体8を構成する各ラベル10は、その裏面の前端側領域に形成された弱接着部4a1が、当該ラベル10より一段下層に配置される下層ラベル10のオーバーコート層3に重ね合わされ接着される。これにより、ラベル10の弱接着部4a1は、上下層間のラベル10同士が接触する領域に配置される。
【0075】
このように、第4実施形態では、ラベル10の裏面に、粘着力が異なる2種類の接着部(弱接着部4a1、強接着部4a2)が形成されている。そして、ラベルロールLでは、隣接して連結する同層間のラベル10同士は、ラベル10裏面の強接着部4a2に、当該ラベル20と隣接する後続ラベル10表面のオーバーコート層3が重ね合わされて接着されている。また、上下層のラベル10同士は、上層ラベル10裏面の弱接着部4a1に、この上層ラベル20より一段下層に配置される下層ラベル10の表面に形成されたオーバーコート層3が重ね合わされて接着されている。
【0076】
すなわち、上下層間のラベル10同士は、隣接する同層間のラベル10同士が重ね合わされて接着される強接着部4a2と比べ、粘着力が弱い弱接着部4a1に重ね合わされて接着されている。そのため、ラベルロールLの先端を引っ張り、ラベル10を引き出す場合に、上下層間で接着されているラベル10同士は、同層間のラベル10同士と比べて、離間し易く(剥がれ易く)なる。その結果、第4実施形態によれば、ラベルロールLからラベル10を引き出している最中に、ラベル10が途中で途切れることが防止される。
【0077】
尚、上述した第4実施形態のラベルロールLの構成において、第3実形態のオーバーコート層3の構成(「第1オーバーコート部3a、第2オーバーコート部3b」を備える構成)が形成されていてもよい。
【0078】
具体的には、
図10に示す例では、各ラベル10のラベル基部2の表面には、第1オーバーコート部3aと、第2オーバーコート部3bとが形成されている。また、ラベル基部2裏面の下端領域には、弱接着部4a1と、強接着部4a2とが形成されている。尚、
図11は、本発明の第4実施形態の変形例のラベルロールの断面の一部を示した模式図である。
【0079】
そして、帯状ラベル体8は、第1のラベル10a裏面の後端側領域に形成された強接着部4a2に、第2のラベル10b(第1のラベル10aの後続ラベル)の表面の前端側に形成された第1オーバーコート部3aを付着させ、さらに、第2のラベル10b裏面の後端側に形成された強接着部4a2に、第3のラベル10c(第2のラベル10bの後続ラベル)の表面の前端側に形成された第1オーバーコート部3aを付着させることを順次行うことにより形成されている。
【0080】
そして、上記の帯状ラベル体8を芯7にロール状に捲回すと、上下層間でラベル10同士が接着される。具体的には、帯状ラベル体8を構成する各ラベル10は、その裏面下端領域の前端に形成された弱接着部4a1が、当該ラベル10より一段下層に配置される下層ラベル10の第2オーバーコート部3bに重ね合わされ接着される。
【0081】
このように、本変形例では、ラベル10の表面に、表面粗さが異なる2種類のオーバーコート部(第1オーバーコート部3a、第2オーバーコート部3b)が形成されている。また、ラベル10の裏面に、粘着力が異なる2種類の接着部(弱接着部4a1、強接着部4a2)が形成されている。そして、ラベルロールLでは、隣接して連結する同層間のラベル10同士は、ラベル10裏面の強接着部4a2に、当該ラベル10と隣接する後続ラベル10表面の第1オーバーコート部3aが重ね合わされて接着されている。また、上下層間のラベル10同士は、上層ラベル10裏面の弱接着部4a1に、この上層ラベル10より一段下層に配置される下層ラベル10の表面に形成された第2オーバーコート部3bが重ね合わされて接着されている。
【0082】
すなわち、上下層間のラベル10同士は、同層間のラベル10同士が重ね合わされる第1オーバーコート部3aと比べ、表面粗さが小さい(表面が滑らかな)第2オーバーコート部3bと、粘着力を弱める処理が施された弱接着部4a1とが重ね合わされて接着されている。また、同層間のラベル10同士は、第2オーバーコート部3bよりも表面粗さが大きい(表面が粗い)第1オーバーコート部3aと、粘着力を弱める処理が施されていない強接着部4a2とが重ね合わされて接着されている。したがって、本変形例では、上述した第3、4実施形態よりも更に、上下層間で接着されているラベル10同士が、隣接して接着されている同層間のラベル10同士と比べて離間し易く(剥がれ易く)なる。その結果、本変形例によれば、ラベルロールLからラベル10を引き出している最中に、ラベル10が途中で途切れることが防止される。
【0083】
尚、本発明は、上述した実施形態(第1〜4実施形態)に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変更が可能である。
【0084】
例えば、上述した
図1では、ラベル10の下端側領域に接着部4aが形成されているが、あくまでもこれは一例に過ぎない。また、ラベル10の形状については特に限定されるものではない。例えば、ラベル10が多角形状(三角形、四角形等の多角)、星形形状、楕円形状等に形成されていてもよい。