特許第6195440号(P6195440)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ウイル・コーポレーションの特許一覧

<>
  • 特許6195440-ラベル、帯状ラベル体及びラベルロール 図000002
  • 特許6195440-ラベル、帯状ラベル体及びラベルロール 図000003
  • 特許6195440-ラベル、帯状ラベル体及びラベルロール 図000004
  • 特許6195440-ラベル、帯状ラベル体及びラベルロール 図000005
  • 特許6195440-ラベル、帯状ラベル体及びラベルロール 図000006
  • 特許6195440-ラベル、帯状ラベル体及びラベルロール 図000007
  • 特許6195440-ラベル、帯状ラベル体及びラベルロール 図000008
  • 特許6195440-ラベル、帯状ラベル体及びラベルロール 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6195440
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】ラベル、帯状ラベル体及びラベルロール
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/10 20060101AFI20170904BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20170904BHJP
   G09F 3/02 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
   G09F3/10 A
   G09F3/00 D
   G09F3/02 B
   G09F3/10 C
   G09F3/10 H
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-275432(P2012-275432)
(22)【出願日】2012年12月18日
(65)【公開番号】特開2014-119631(P2014-119631A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】512210836
【氏名又は名称】株式会社ウイル・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100088214
【弁理士】
【氏名又は名称】生田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100087686
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 雅利
(74)【代理人】
【識別番号】100094536
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 隆二
(74)【代理人】
【識別番号】100129805
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 晋
(72)【発明者】
【氏名】清友 典一
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−65089(JP,A)
【文献】 特開平11−344930(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/082533(WO,A1)
【文献】 特開2002−088323(JP,A)
【文献】 実開昭54−124499(JP,U)
【文献】 米国特許第6280549(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 1/00−3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体に、その一部を突出させた状態で貼着されるラベルであって、
ラベル基部と、
前記ラベル基部の表面に設けたオーバーコート層とを有し、
前記ラベル基部の裏面には、粘着性が持続する第1糊が塗工され形成された第1接着部と、所定時間経過すると硬化する第2糊が塗工され形成された第2接着部とが設けられ
前記ラベル基部の裏面には、前記第1接着部及び前記第2接着部に加えて、糊が塗工されていない糊なし部が形成されていることを特徴とするラベル。
【請求項2】
前記第1糊は、ゴム系ホットメルト接着剤又はUV硬化型アクリル系ホットメルト接着剤で形成され、
前記第2糊は、オレフィン系接着剤で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のラベル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のラベルを複数連結して形成した帯状ラベル体であって、
前記第2接着部が形成されてから所定時間経過するまでの間に、複数枚の前記ラベルの表裏面を部分的に重なり合うように配置して、各ラベル基部の裏面に形成された第1接着部及び第2接着部に、隣接して配置される後続ラベルのオーバーコート層を接着させていくことによりラベル同士が連結されており、
前記連結されたラベルの裏面に剥離紙が貼着されていることを特徴とする帯状ラベル体。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のラベルを複数連結して形成した帯状ラベル体を捲き回して構成されたラベルロールであって、
前記帯状ラベル体は、前記第2接着部が形成されてから所定時間経過するまでの間に、複数枚の前記ラベルの表裏面を部分的に重なり合うように配置して、各ラベル基部の裏面に形成された第1接着部及び第2接着部に、隣接して配置される後続ラベルのオーバーコート層を接着させていくことにより形成されており、
前記帯状ラベル体を構成する各ラベルの前記第2接着部が硬化した後で、該帯状ラベル体をロール状に捲き回すことにより形成されていることを特徴とするラベルロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル、帯状ラベル体及びラベルロール関し、例えば、商品等の被着体に、その一部を突出させた状態で貼着される商品宣伝用のラベル、当該ラベルを複数連結して形成した帯状ラベル体及び当該帯状ラベル体をロール状に捲き回して構成されたラベルロールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、店舗に陳列される商品に対して、ラベルの一部を商品から突出させた状態で貼着する商品宣伝用のラベルが広く用いられており、このようなラベルが、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載のラベル(部分糊付けラベル)は、その表面にキャッチコピー等が印刷された印刷部が形成され、その裏面に商品に貼着可能な接着部と、商品に貼着不可な非接着部とが形成されている。そして、このラベルは、その一部(非接着部)を商品から突出させた状態にし、接着部を商品に貼着させて用いられるようになっている。
【0003】
尚、上記の商品宣伝用のラベルでは、店舗でのPR効果を高めるため、商品から突出させる領域を大きく形成する傾向にあり、例えば、ラベル裏面に形成する接着部の面積がラベル裏面全域の20%に満たないものも存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3177283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術の商品宣伝用の部分糊付けラベルは、以下に示す技術的課題を有している。具体的には、上記の部分糊付けラベルは、その裏面の一部に接着部が形成されているだけであるため、裏面全域に接着部が形成されているラベルと比べて接着力が弱い。したがって、複数枚のラベルの表裏面を部分的に重なり合うように配置してラベル同士を連結した帯状ラベル体を形成した場合、連結されたラベル同士の接着力が弱く、ラベル同士が離間するという技術的課題を有している。そのため、上記の部分糊付けラベルでは、帯状ラベル体を形成したり、形成した帯状ラベル体をロール状に捲き回してラベルロールを形成したりすることが困難であった。特に、ラベル裏面の接着部の面積がラベル裏面全域の20%に満たないようなラベルでは、帯状ラベル体を形成するのが非常に困難である。その結果、上記のような部分糊付けラベルでは、1枚ずつ剥離紙が貼り付けられる構成が採用されており、剥離紙が多量の廃棄物として発生するという環境問題を生じさせていた。
【0006】
本発明は、上記技術的課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、被着体に、その一部を突出させた状態で貼着されるラベルにおいて、廃棄物の量を減少させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的課題を解決するための本発明は、被着体に、その一部を突出させた状態で貼着されるラベルであって、ラベル基部と、前記ラベル基部の表面に設けたオーバーコート層とを有し、前記ラベル基部の裏面には、粘着性が持続する第1糊が塗工され形成された第1接着部と、所定時間経過すると硬化する第2糊が塗工され形成された第2接着部とが設けられ、前記ラベル基部の裏面には、前記第1接着部及び前記第2接着部に加えて、糊が塗工されていない糊なし部が形成されていることを特徴とする。また、前記第1糊は、ゴム系ホットメルト接着剤又はUV硬化型アクリル系ホットメルト接着剤で形成され、前記第2糊は、オレフィン系接着剤で形成されていることが望ましい。
【0008】
このように、本発明のラベルでは、ラベル基部裏面に、粘着性が持続する第1接着部と、所定時間経過すると硬化する第2糊が塗工され形成された第2接着部とが設けられている。すなわち、本発明のラベルは、所定時間経過するまでは、ラベル裏面全域に接着部が形成されているラベルと同様の機能を有している。この構成によれば、第2接着部が形成されてから所定時間経過するまでの間に、複数枚のラベルの表裏面を部分的に重なり合うように配置してラベル同士を連結すると、上述した従来技術の部分糊付けラベルを複数連結する場合と比べ、ラベル同士が強い接着力で連結された帯状ラベル体を形成することができる。そのため、例えば、この帯状ラベル体をロール状に捲き回してラベルロールを形成することもでき、これにより、剥離紙を用いないラベルロールが提供され、廃棄物となる剥離紙を削減することができる。尚、第2接着部は、所定時間経過すると硬化するため、ラベルが被着体に貼着される際には、被着体に対して接着不能となっている。そのため、本発明のラベルは、商品に貼着する際には、接着不能となっている第2接着部を商品から突出させて、第1接着部を商品に貼着させることができ、商品宣伝用のラベルとして機能させることができる。
【0009】
また、上記のように構成したのは以下の理由による。具体的には、複数枚のラベルにより形成した帯状ラベル体は、その先端を引っ張る等した際に、ラベル同士が簡単に離間しない程度の接着力で連結されていることが要求される。したがって、ラベル同士が簡単に離間しない程度の接着力で連結されていれば、ラベル裏面のうち第1接着部以外の領域全てに第2接着部が形成されている必要がない。そのため、ラベルの大きさや形状に応じて、ラベル同士の接着に必要な領域に第2接着部を設けて、それ以外(第1接着部及び第2接着部以外)の領域を糊なし部とすることで、第2接着部の形成面積を小さくし、第2接着部を形成するための糊剤の量を低減させるようにした。これにより、ラベルの製品コストを下げることができる。


【0010】
また、本発明は、ラベルを複数連結して形成した帯状ラベル体であって、前記第2接着部が形成されてから所定時間経過するまでの間に、複数枚の前記ラベルの表裏面を部分的に重なり合うように配置して、各ラベル基部の裏面に形成された第1接着部及び第2接着部に、隣接して配置される後続ラベルのオーバーコート層を接着させていくことによりラベル同士が連結されており、前記連結されたラベルの裏面に剥離紙が貼着されていることを特徴とする。
【0011】
上記帯状ラベル体の構成によれば、帯状ラベル体は、複数枚のラベルの表裏面を部分的に重なり合うように配置して連結されているため、上述した従来技術の部分糊付けラベルのように、1枚ずつ剥離紙が貼り付けられる場合と比べて、剥離紙の大きさ(面積)を小さくすることができる。その結果、本発明の構成によれば、被着体に、その一部を突出させた状態で貼着されるラベルにおいて、廃棄物の量を軽減することができる。
【0012】
また、本発明は、前記ラベルを複数連結して形成した帯状ラベル体を捲き回して構成されたラベルロールであって、前記帯状ラベル体は、前記第2接着部が形成されてから所定時間経過するまでの間に、複数枚の前記ラベルの表裏面を部分的に重なり合うように配置して、各ラベル基部の裏面に形成された第1接着部及び第2接着部に、隣接して配置される後続ラベルのオーバーコート層を接着させていくことにより形成されており、帯状ラベル体を構成する各ラベルの前記第2接着部が硬化した後で、該帯状ラベル体をロール状に捲き回すことにより形成されていることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、ラベルロールを構成する各ラベルは、第1接着部のうち後続ラベル表面と重なる領域S1と、第2接着部のうち後続ラベル表面と重なる領域S2とが同層の後続ラベルに接着される。また、各ラベルは、第1接着部のうち領域S1以外の領域S3が自身より下層に配置されたラベルに接着される。すなわち、本発明によれば、同層間のラベル同士は、「第1接着部の領域S1及び第2接着部の領域S2」と接着され、上下層間のラベル同士は、第1接着部の領域S3だけで接着される構成となる。そのため、本発明によれば、同層間で連結されるラベル同士の接着力を、上下層間で連結されるラベル同士の接着力に対して強めることができる。
【0014】
その結果、本発明によれば、ラベルロールの先端部を引っ張り帯状ラベル体を引き出している際に、帯状ラベル体を構成している各ラベルが、自身よりも下層に配置されたラベルから剥がれずに残存して帯状ラベル体が途切れることを抑制できる。したがって、本発明によれば、ラベル貼着装置を用いて、被着体に対して、商品宣伝用のラベルを自動貼着することができる。すなわち、本発明のラベルロールの構成によれば、ラベル貼着装置がラベルロールの先端部を引き出している際にラベルが途切れる可能性が軽減されるため、ラベルの自動貼着処理が途中で頻繁に中断することがなくなり、ラベルの自動貼着処理を効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の構成によれば、被着体に、その一部を突出させた状態で貼着されるラベルにおいて、廃棄物の量を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態のラベルを商品に貼着した状態を示した模式図である。
図2】本発明の第1実施形態のラベルの裏面を示した模式図である。
図3】本発明の第1実施形態のラベルを連結した帯状ラベル体を裏面から見た模式図である。
図4】本発明の第1実施形態のラベルロールの外観を示した模式図である。
図5】本発明の第1実施形態の帯状ラベル体に剥離紙を貼着した構成を示した模式図である。
図6】本発明の第1実施形態の変形例を示した模式図であり、ラベルを裏面から見た模式図を示している。
図7】本発明の第2実施形態のラベルを説明するための模式図であり、ラベルを裏面から見た模式図を示している。
図8】本発明の第2実施形態の変形例を示した模式図であり、ラベルを裏面から見た模式図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態のラベル10は、その一部を商品から突出させた状態で商品に貼着する商品宣伝用のラベル(所謂「アテーションラベル」)である。また、本実施形態の帯状ラベル体8は、商品宣伝用のラベル10を複数連結して帯状に形成したものであり、ラベルロールLは、帯状ラベル体8をロール状に捲き回して構成したものである。先ず、本発明の第1実施形態について図1〜4を用いて説明する。
【0018】
図1に示すように、第1実施形態のラベル10は、商品のキャッチコピーや性能等が印刷された印刷部を有するラベル基部2と、ラベル基部2の表面に設けられたオーバーコート層3とを備えている。また、図1、2に示すように、ラベル基部2の裏面には、塗工後に粘着性が持続する第1糊(粘着糊)を塗工して形成された第1接着部4aと、塗工後所定時間(例えば、30〜40秒)経過すると硬化する第2糊(接着糊)を塗工して形成された第2接着部4bとが設けられている。
【0019】
尚、第1実施形態では、第1接着部4aがラベル10裏面全域に対して20%程度の面積になっており、第2接着部4bがラベル10の裏面全域に対して80%程度の面積になっているが、第1接着部4a及び第2接着部4bの裏面全域に対する面積の割合は、あくまでも一例である。また、前記印刷部は、ラベル基部2の表面に形成されていてもよいし、ラベル基部2の裏面に形成されていてもよい(例えば、ラベル基部2が透明フィルムなどの場合、印刷部がラベル基部2の表面に形成されていても、ラベル基部2の裏面に形成されていても、ラベル10の表面から印刷部を目視できる)。
【0020】
そして、第1実施形態によれば、第2接着部4bは、ラベル基部3裏面に塗工されてから所定時間経過するまで粘着性を有し(製造段階では粘着性を有し)、所定時間経過後、硬化するため、ラベル10が被着体に貼着される際には、被着体に対して接着不能な状態になっている。すなわち、ラベル10は、実際に使用される段階では、被着体に対して、その裏面の一部だけが貼着可能な接着部(第1接着部4a)を備えた構成となる。そのため、図1に示すように、商品Pにラベル10を貼着する際には、接着不能となっている第2接着部4bを商品Pから突出させた状態にして、第1接着部4aを商品Pに貼着させることができ、商品宣伝用のラベル10として機能させることができる。
【0021】
尚、ラベル基部2は、例えば、厚さ寸法が「30〜80μm」のポリエステルフィルム(PET(ポリエチレンテレフタラート))、厚さ寸法が「50〜90μm」のポリプロピレンフィルム、厚さ寸法が「40〜80μm」の合成紙等により形成される。また、オーバーコート層3は、ラベル基部2の表面にオーバーコート剤を塗工することにより形成されている。このオーバーコート剤には、例えば、UVニスや水性ニス等を用いることができる。尚、オーバーコート層3の厚さ寸法は、例えば、「1〜2μm」に形成されている。
【0022】
また、第1接着部4aを形成する第1糊(粘着糊)には、例えば、ゴム系ホットメルト接着剤やUV硬化型アクリル系ホットメルト接着剤が用いられる。また、第2接着部4bを形成する第2糊(接着糊)には、「接着機能を有するが、塗工して所定時間経過後に硬化(或いは乾燥)し、その後は非接着となる特性を有する接着糊」が用いられる。例えば、第2接着糊には、オレフィン系接着剤(例えば、株式会社MORESCO製の「モレスコメルト(登録商標) AC−856、857」)を用いることができる。
【0023】
そして、第1実施形態のラベル10の構成によれば、ラベル10裏面に第2接着部4bを形成した後、所定時間(例えば、30〜40秒)経過するまでの間に、複数枚のラベル10の表裏面を部分的に重なり合うように配置し、各ラベル10の裏面に形成された接着部(第1接着部4a、第2接着部4b)に、隣接して配置される後続ラベル10のオーバーコート層3を接着させていくことによりラベル同士10を相互に連結した帯状ラベル体8(図3参照)を形成することができる。
【0024】
具体的には、図3に示すように、帯状ラベル体8は、第1のラベル10aの裏面に形成された第1接着部4a及び第2接着部4bの後端側領域に、第2のラベル10b(第1のラベル10aの後続ラベル)の表面に形成されたオーバーコート層3の先端側領域を接着させ、さらに、第2のラベル10bの裏面に形成された第1接着部4a及び第2接着部4bの後端側領域に、第3のラベル10c(第2のラベル10bの後続ラベル)の表面に形成されたオーバーコート層3の先端側領域を接着させることを順次行うことにより形成されている。
【0025】
この構成によれば、帯状ラベル体8を構成する各ラベル10は、裏面の接着部(第1接着部4a、第2接着部4b)のうち、同層の後続ラベル10表面のオーバーコート層3aと接触している領域S1A、S2Aが、後続ラベル10と接着される。すなわち、帯状ラベル体8を構成する各ラベル10は、被着体に貼着する際に接着部として機能する第1接着部4aの一部をなす領域S1Aが同層の後続ラベル10と接着さているだけではなく、第2接着部4bの一部をなす領域S2Aも同層の後続ラベル10と接着される。そのため、第1実施形態では、従来技術の広告宣伝用のラベル(裏面の一部分にだけ接着部が形成されているラベル)を複数連結する場合と比べ、ラベル10同士を強い接着力で連結することができる。尚、帯状ラベル体8の隣接して連結されるラベル10同士の接着領域(S1A+S2A)の面積は、ラベル10裏面全域の面積の50%より大きくなっていることが望ましい。このように連結することにより、ラベル10同士をより強い接着力で連結させることができる。
【0026】
そして、第1実施形態のラベル10の構成によれば、後述する図4に示すラベルロールLのように剥離紙を用いない構成を形成したり、或いは、後述する図5に示すような、帯状ラベル体8の裏面に剥離紙100を貼着した構成を採用して剥離紙の量を低減したりすることができる。以下、第1実施形態のラベル10を用いて構成したラベルロールLの構成と、帯状ラベル体8に剥離紙100を貼着した構成とを順に説明する。
【0027】
先ず、ラベルロールLについて説明する。帯状ラベル体8は、従来技術の広告宣伝用のラベル(裏面の一部分にだけ接着部が形成されているラベル)を複数連結する場合と比べ、ロール状に捲き回されている最中に途中で途切れることが起こりにくい構造になっている。そのため、第1実施形態によれば、図4に示すように、芯7に帯状ラベル体8をロール状に捲き回したラベルロールLを形成することができる。その結果、第1実施形態によれば、被着体に、その一部を突出させた状態で貼着されるラベル10において、剥離紙を用いないラベルロールLが提供でき、廃棄物の量を削減することができる。
【0028】
具体的には、第1実施形態のラベルロールLは、帯状ラベル体8の各ラベル10の第2接着部4bが硬化した後で、帯状ラベル体8を芯7に捲き回すことにより形成されている。これにより、ラベルロールLを構成する各ラベル10は、第1接着部4aの一部である領域S1Aと、第2接着部4bの一部である領域S2Aとが同層の後続ラベル10と接着される。また、ラベルロールLを構成する各ラベル10は、第1接着部4aの領域S3Aが自身より下層に配置されたラベル10に接着される。
【0029】
また、第1実施形態では、ラベルロールLを構成する各ラベル10は、「同層で連結されるラベル10と接着される領域(領域S1A+領域S2A)の面積」が、「自身よりも下層に配置されるラベル10と接着される領域S3Aの面積」よりも大きくなるように形成されている。尚、図示する例では、第1接着部4aは、ラベル10裏面全域に対して20%程度の面積に形成され、第2接着部4bはラベル10の裏面全域に対して80%程度の面積に形成されているため、「(領域S1Aの+領域S2A)の面積」>「領域S3Aの面積」の関係を満たしている。
【0030】
そして、ラベル10同士の接着力の大きさは、接着される領域の面積と関連するため、第1実施形態では、同層間で連結されるラベル10同士の接着力が、上下層間で連結されるラベル10同士の接着力よりも大きくなる。
【0031】
その結果、第1実施形態によれば、ラベルロールLの先端部(先端ラベル10)を引っ張り帯状ラベル体8を引き出している最中に、引き出している帯状ラベル体8を構成する各ラベル10が、自身よりも下層のラベル10から剥がれずに残存し、帯状ラベル体8が途切れる現象が防止される。すなわち、第1実施形態によれば、ラベル10を引き出している最中に途切れることが防止されたラベルロールLが提供される。
【0032】
したがって、第1実施形態によれば、ラベル貼着装置を用いて、被着体に対して、商品宣伝用のラベル10を自動貼着することができる。すなわち、第1実施形態のラベルロールLの構成によれば、ラベル貼着装置がラベルロールLの先端部を引き出している際にラベルが途切れる可能性が軽減されるため、ラベル10の自動貼着処理が途中で頻繁に中断することがなくなり、ラベル10の自動貼着処理を効率的に行うことができる。
【0033】
尚、第1接着部4a及び第2接着部4bのラベル全域に対する面積割合について、特に限定されるものではない。ラベルロールLを形成した場合に、「同層間のラベル10と接着される領域(領域S1A+領域S2A)の面積」が、「自身よりも下層に配置されたラベル10と接着される領域S3Aの面積」よりも大きくなるように、第1接着部4a及び第2接着部4bのラベル全域に対する面積割合が設定されていればよい。
【0034】
次に、帯状ラベル体8に剥離紙100を貼着した構成を説明する。具体的には、図5に示すように、複数枚(図示する例では12枚)のラベル10を連結して形成した帯状ラベル体8の裏面に剥離紙100を貼り付けた構成になっている。尚、図5は、本発明の第1実施形態の帯状ラベル体に剥離紙を貼着した構成を示した模式図である。
【0035】
図示する構成においても、帯状ラベル体8は、複数枚のラベル10の表裏面を部分的に重なり合うように配置して連結されているため、従来技術の部分糊付けラベルのように、1枚ずつ剥離紙が貼り付けられる場合と比べて、剥離紙の大きさ(面積)を小さくすることができる。その結果、被着体に、その一部を突出させた状態で貼着されるラベル10において、廃棄物の量を軽減することができる。
【0036】
また、第1実施形態では、ラベル10裏面の下端側領域が第1接着部4aとなっており、下端側以外の領域が第2接着部4bとなっているが特にこれに限定されるものではない。例えば、図6に示すように、ラベル10裏面の下端側中央部に接着部4a(図示する例では楕円状の接着部4a)が形成され、ラベル10裏面のうち、接着部4a以外の領域が第2接着部4bとなっていてもよい。尚、図6は、第1実施形態の変形例を示す模式図であり、ラベルを裏面から見た模式図を示している。
【0037】
このように、ラベル10の用途に応じて、第1接着部4aの位置や大きさを任意に設定しても、第1接着部4a以外の領域が第2接着部4bとなっているため、第1実施形態と同様、ラベル10同士が強い接着力で連結された帯状ラベル体8を形成することができる。
【0038】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図7は、本発明の第2実施形態のラベルを説明するための模式図であり、ラベルを裏面から見た模式図を示している。尚、第2実施形態は、第1実施形態のラベル10と、その裏面の構成以外は同様の構成となっている。また、第2実施形態の説明において、第1実施形態と同じ構成及び相当する構成については同じ符号を付している。
【0039】
図7に示すように、第2実施形態のラベル10裏面(ラベル基部2の裏面)には、粘着性が持続する第1糊(粘着糊)を塗工した第1接着部4aと、粘着性が持続せず塗工した後所定時間(例えば、30〜40秒)経過後に硬化する第2糊(接着糊)を塗工した第2接着部4bと、糊(粘着剤及び接着剤)が塗工されていない糊なし部5a、5bとが形成されている。
【0040】
具体的には、ラベル10裏面は、下端側から上端側に向けて、第1接着部4a、糊なし部5a、第2接着部4b、糊なし部5bの順に、各部が平行に配置されて形成されている。すなわち、ラベル10裏面の下端側領域に第1接着部4aが形成され、第1接着部4aの上方側に隣接する位置に帯状の糊なし部5aが形成され、糊なし部5aの上方側に第2接着部4bが形成され、第2接着部4bの上方側に糊なし部5bが形成されている。
【0041】
尚、第2実施形態の第1接着部4aは、上述した第1実施形態と同様、ラベル10裏面全域に対して20%程度の面積になっている。また、第2接着部4bの形成領域は、第1接着部4aよりも大きい面積になっている。また、第2接着部4bの形成領域は、糊なし部5aと糊なし部5bとを合計した領域の面積よりも大きい面積になっている。
【0042】
そして、第2実施形態の構成においても、ラベル10裏面に第2接着部4bを形成した後、所定時間(例えば、30〜40秒)経過するまでの間に、複数枚のラベル10の表裏面を部分的に重なり合うように配置し、各ラベル10の裏面に形成された接着部(第1接着部4a、第2接着部4b)に、隣接して配置される後続ラベル10のオーバーコート層3を接着させていくことによりラベル同士10を相互に連結した帯状ラベル体8を形成するようになっている。これにより、帯状ラベル体8を構成する各ラベル10は、裏面の接着部(接着部4a、接着部4b)のうち、同層の後続ラベル10表面のオーバーコート層3aと接触している領域S1B、S2Bが、後続ラベル10と接着される。
【0043】
また、上記構成により、第2実施形態においても、各ラベル10は、第1接着部4aの領域S1Bが同層の後続ラベル10と接着されるだけではなく、第2接着部4bの領域S2Bも同層の後続ラベル10と接着される。そのため、第2実施形態においても、従来技術の広告宣伝用のラベル(裏面の一部分にだけ接着部が形成されているラベル)を複数連結する場合と比べて、ラベル10同士を強い接着力で連結することができる。
【0044】
また、第2実施形態においても、帯状ラベル体8の各ラベル10の第2接着部4bが硬化した後で、帯状ラベル体8を芯7に捲き回してラベルロールLを形成することにより、上述した第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0045】
具体的には、第2実施形態では、ラベルロールLを構成する各ラベル10は、「同層間で連結されるラベル10と接着される領域(領域S1B+領域S2B)の面積」が、「上下層間で連結されるラベル10と接着される領域S3B(接着部4aのうち領域S1B以外の領域)の面積」よりも大きくなるように構成されている。そのため、第2実施形態のラベルロールLにおいても、同層間で連結されるラベル10同士の接着力が、上下層間で連結されるラベル10同士の接着力よりも大きくなる。
【0046】
その結果、第2実施形態においても、ラベルロールLの先端部(先端ラベル10)を引っ張り帯状ラベル体8を引き出している最中に、帯状ラベル体8を構成している各ラベル10が、自身よりも下層のラベル10から剥がれずに残存し、帯状ラベル体8が途切れる現象が発生することが防止される。
【0047】
また、第2実施形態では、第1実施形態と比べて、第2接着部4bの形成面積を小さくすることができるため、第2接着部4bを形成するための第2糊(接着剤)の量が減少する。その結果、第2実施形態は、第1実施形態と比べて、製品原価を下げることができる。
【0048】
尚、第2実施形態のラベルロールを図8に示すように構成しても、第2実施形態と同様の効果が得られる。図8は、本発明の第2実施形態の変形例を示した模式図であり、ラベルを裏面から見た模式図を示している。
【0049】
図示する変形例では、ラベル10裏面の下端側領域に、粘着性が持続する第1糊(粘着糊)を塗工した第1接着部4aが形成されている。また、ラベル裏面の略中央部に、粘着性が持続せず塗工後で所定時間(例えば、30〜40秒)経過すると硬化する第2糊(接着糊)を塗工した第2接着部4bが形成されている。また、ラベル10裏面のうち、第1接着部4a及び第2接着部4b以外の領域が、糊なし部5cとなっている。尚、本変形例では、第2接着部4bは、複数枚のラベル10の表裏面を部分的に重なり合うように配置したときに各ラベル10の裏面のうち、後続ラベル10のオーバーコート層3と重なり合う領域であって、且つ第1接着部4aより上方側の領域に形成されている。
【0050】
そして、本変形例では、帯状ラベル体8を構成する各ラベル10は、裏面の第1接着部4a、第2接着部4b)のうち、同層の後続ラベル10表面のオーバーコート層3aと重ねられて接触する領域S1C、S2Cが、後続ラベル10と接着されるようになっている。このように、帯状ラベル体8を構成する各ラベル10は、被着体に貼着する際に接着部として機能する第1接着部4aの一部をなす領域S1Aが同層の後続ラベル10と接着さているだけではなく、第2接着部4b全域をなす領域S2Cも同層の後続ラベル10と接着される。また、帯状ラベル体8をロール状に捲き回してラベルロールLを構成すると、各ラベル10は、自身より下層のラベル10と領域S3C(第1接着部4aのうちの領域S1C以外の領域)が接着されるようになっている。
【0051】
尚、本変形例においても、ラベルロールLを構成する各ラベル10は、「同層のラベル10と接着される領域(領域S1C+領域S2C)の面積」が、「自身より下層のラベル10と接着される領域S3C(接着部4aのうち領域S1B以外の領域)の面積」よりも大きくなるように構成されている。また、第2実施形態の変形例では、図7に示した第2実施形態と比べ、第2接着部4bの形成面積を小さくしているが、第2接着部4bbの形成面積は、ラベル10の大きさや形状に応じて適宜設計されるものとする。
【0052】
そして、第2実施形態の変形例においても、上述した第2実施形態と同様の効果が得られる共に、第2実施形態よりもさらに第2接着部を形成するための第2糊(接着剤)の量が減少するため、製品原価を下げることができる。
【0053】
尚、本発明は、上述した実施形態(第1、2実施形態)に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変更が可能である。
【0054】
例えば、上述した実施形態(第1実施形態、第2実施形態)では、ラベル10が円状に形成されているが、ラベル10の形状は適宜設計されるものである。また、上述した糊なし部5a、5b、5cは、糊を塗工してから「所謂糊殺し処理」を施すことにより形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0055】
P…商品
L…ラベルロール
10、10a、10b、10c…ラベル
2…ラベル基部
3…オーバーコート層
4a…第1接着部
4b…第2接着部
5a、5b、5c…糊なし部
7…芯
8…帯状ラベル体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8