【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、本発明に係る端子圧着電線製造装置は、下記の点を特徴としている。
(1) 複数の端子が帯状のキャリアに並んで接続された連鎖端子と、前記連鎖端子を所定の切断位置まで送る端子送り部と、前記切断位置に位置付けられた前記端子を前記キャリアから切断して分離するための切断刃と、を各々が有する複数の端子供給ユニットであって、該端子供給ユニットごとに前記端子の品番が異なる複数の端子供給ユニット、を有し、前記複数の前記端子供給ユニットの中から前記品番の選択に基づいて選ばれた前記端子供給ユニットを用い、選択された品番の前記端子を前記連鎖端子から分離する端子供給部と、
分離された前記選択された品番の前記端子を所定の圧着位置まで移動する端子移送部と、
複数の圧着型を有し、前記複数の前記圧着型の中から前記選択された品番の前記端子の圧着形状に対応するように選ばれた前記圧着型を用い、前記圧着位置に位置する前記選択された品番の前記端子と電線の端部とを圧着接続する圧着部と
、
前記端子移送部に接続された第1演算部と、を備え、
前記端子移送部は、
前記第1演算部の指示に従って移動する移動部であって前記選択された品番の前記端子を該移動部に対して固定した状態にて前記切断位置から前記圧着位置まで移動する移動部と、前記選択された品番の前記端子の前記移動部に対する固定状態と予め定められた基準状態との間のズレ量を検出するための情報を取得する検出部と、を備え、
前記第1演算部は、
前記検出部が取得した前記情報に基づき、前記選択された品番の前記端子の位置及び姿勢を補正して前記選択された品番の前記端子を前記圧着位置に位置付けるように、前記移動部に指示を与える、
こと。
(
2) 上記(
1)の構成の端子圧着電線製造装置であって、
前記端子は、
相手方端子と接続するための接続部と、前記接続部に連設された平板状の基底部と、前記基底部の両側に対向して立設された前記電線の端部を加締めるための一対の加締片と、を有し、
前記端子供給ユニットは、
前記選択された品番の前記端子の前記基底部が平面状の台座上に載置され且つ前記移動部に対して前記選択された品番の前記端子を固定した状態にて、前記選択された品番の前記端子を前記キャリアから切断して分離するように構成されており、
前記検出部は、
前記ズレ量として、前記基底部に沿う平面における前記選択された品番の前記端子の実際の位置及び姿勢と基準となる位置及び姿勢との間の相違を検出するための情報を取得するように構成されており、
前記第1演算部は、
前記検出部が取得した前記情報に基づき、前記選択された品番の前記端子の前記基底部に沿う平面における位置及び姿勢を補正して前記選択された品番の前記端子を前記圧着位置に位置付けるように、前記移動部に指示を与える、
こと。
(
3) 上記(
1)又は(
2)の構成の端子圧着電線製造装置であって、
前記端子移送部は、
前記品番ごとに定まる前記端子の外形状に対応可能であるように用意された複数の前記移動部と、前記複数の前記移動部を円周上に並べるように保持すると共に前記第1演算部の指示に従って回転する回転保持部と、を有し、
前記回転保持部の回転に伴って前記複数の前記移動部が通過する回転軌道上に、前記切断位置と、前記ズレ量を検出するための情報を前記検出部が取得する検出位置と、前記圧着位置と、を配置しており、
前記第1演算部は、
前記選択された品番の前記端子の外形状に対応した前記移動部が前記切断位置、前記検出位置及び前記圧着位置をこの順に通過するように、前記回転保持部に指示を与える、
こと。
(
4) 上記(
1)の構成の端子圧着電線製造装置であって、
前記端子は、
相手方端子と接続するための接続部と、前記接続部に連設された平板状の基底部と、前記基底部の両側に対向して立設された前記電線の端部を加締めるための一対の加締片と、を有し、
前記移動部は、
前記接続部を空気圧を用いて吸着することにより、前記選択された品番の前記端子を該移動部に対して固定する、
こと。
(
5) 上記(
1)の構成の端子圧着電線製造装置であって、
前記端子は、
相手方端子と接続するための接続部と、前記接続部に連設された平板状の基底部と、前記基底部の両側に対向して立設された前記電線の端部を加締めるための一対の加締片と、を有し、
前記検出部は、
前記ズレ量を検出するための情報を該検出部が取得する検出位置に前記選択された品番の前記端子が位置する状態にて、前記選択された品番の前記端子を前記基底部と交差する方向から撮影する、撮影部を有し、
前記第1演算部は、
前記情報として前記撮影部が取得した画像を用い、前記画像に基づいて前記選択された品番の前記端子の前記基底部に沿う平面における位置及び姿勢を把握する、
こと。
(
6) 上記(1)
の構成の端子圧着電線製造装置であって、
前記圧着部に接続された第2演算部を更に備え、
前記端子は、
相手方端子と接続するための接続部と、前記接続部に連設された平板状の基底部と、前記基底部の両側に対向して立設された前記電線の端部を加締めるための一対の加締片と、を有し、
前記圧着部は、
前記品番ごとに定まる前記加締片の形状に対応可能であるように用意された複数の前記圧着型と、前記複数の前記圧着型を移動可能に保持すると共に前記第2演算部の指示に従って移動する型保持部と、を有し、
前記第2演算部は、
前記選択された品番の前記端子が有する前記加締片の形状に対応した前記圧着型が前記圧着位置に位置付けられるように、前記型保持部に指示を与える、
こと。
(
7) 上記(
6)の構成の端子圧着電線製造装置であって、
前記圧着型は、
圧着時に前記加締片の立設方向側に位置するクリンパ部と、圧着時に前記基底部側に位置するアンビル部と、を含み、
前記圧着部は、
前記第2演算部の指示に従って回転するクリンパ側ベース部と、前記クリンパ側ベース部の回転中心から離れる向きに突出するように配置され且つ前記加締片の形状に対応して異なるクリンパ側形状を有する複数の前記クリンパ部と、前記第2演算部の指示に従って回転するアンビル側ベース部と、前記アンビル側ベース部の回転中心から離れる向きに突出するように配置され且つ前記加締片の形状に対応して異なるアンビル側形状を有する複数の前記アンビル部と、を有し、
前記第2演算部は、
前記選択された品番の前記端子が有する前記加締片の形状に対応した前記クリンパ部及びアンビル部が前記圧着位置に位置付けられるように、前記クリンパ側ベース部及び前記アンビル側ベース部に指示を与える、
こと。
(
8) 上記(
7)の構成の端子圧着電線製造装置であって、
前記加締片は、
前記電線の被覆部を加締める一対の被覆加締片と、前記基底部の長手方向における前記被覆加締片と異なる位置に立設された前記電線の導体部を加締める一対の導体加締片と、を有し、
前記クリンパ部は、
前記被覆加締片を加締めるための第1クリンパ部と、前記導体加締片を加締めるための第2クリンパ部と、を有し、
前記アンビル部は、
前記被覆加締片を加締めるための第1アンビル部と、前記導体加締片を加締めるための第2アンビル部と、を有し、
前記圧着部は、
前記第2演算部の指示に従って回転する第1クリンパ側ベース部及び第2クリンパ側ベース部と、前記第1クリンパ側ベース部の回転中心から離れる向きに突出するように配置され且つ前記被覆加締片の形状に対応して異なる第1クリンパ側形状を有する複数の前記第1クリンパ部と、前記第2クリンパ側ベース部の回転中心から離れる向きに突出するように配置され且つ前記導体加締片の形状に対応して異なる第2クリンパ側形状を有する複数の前記第2クリンパ部と、前記第2演算部の指示に従って回転する第1アンビル側ベース部及び第2アンビル側ベース部と、前記第1アンビル側ベース部の回転中心から離れる向きに突出するように配置され且つ前記被覆加締片の形状に対応して異なる第1アンビル側形状を有する複数の前記第1アンビル部と、前記第2アンビル側ベース部の回転中心から離れる向きに突出するように配置され且つ前記導体加締片の形状に対応して異なる第2アンビル側形状を有する複数の前記第2アンビル部と、を有し、
前記第2演算部は、
前記選択された品番の前記端子が有する前記被覆加締片及び前記導体加締片の形状に対応した前記第1クリンパ部及び前記第2クリンパ部並びに前記第1アンビル部及び前記第2アンビル部が前記圧着位置に位置付けられるように、前記第1クリンパ側ベース部及び前記第2クリンパ側ベース部並びに前記第1アンビル側ベース部及び前記第2アンビル側ベース部に指示を与える、
こと。
【0011】
上記(1)の端子圧着電線製造装置によれば、端子供給部では、端子の品番が異なる複数の端子供給ユニットの中から選択された端子供給ユニットにより、選択された品番の端子が切断して供給され、圧着部では、当該端子の圧着形状に対応する圧着型により、端子と電線とが圧着される。このように、異品番への切替に、端子供給ユニットの切替及び圧着型の切替のみで対応できるため、切替時間を短縮できる。また、部品を共用化することで専用部品を削減できるので、設備を小型化して製造コストを削減できる。
また、従来のアプリケータを用いた圧着装置では、端子の圧着形状が一致する端子群であっても、接続部の形状が相違して品番が異なれば、異なるアプリケータを用いる必要があるため、アプリケータの数が多くなってしまっていた。これに対して、上記(1)の端子圧着電線製造装置によれば、圧着部が他の部分とは独立しているので、端子の圧着形状が一致する場合には、圧着型を共有とすることができる。このため、部品の共用化により専用部品を削減し、設備を小型化して製造コストを削減できる。
また、従来の圧着装置では、連鎖端子をアプリケータに常時接続している必要があるので、アプリケータの列に対向して端子リールも配列する必要があり、端子リールの設置位置の自由度が小さいという問題があった。これに対して、上記(1)の端子圧着電線製造装置によれば、端子供給部と圧着部が結合されておらず、端子供給部で端子を切断して供給するので、端子リールのレイアウトの自由度を向上できる。例えば、端子リール部をリール台上に円環状に並べ、選択された品番の端子が切断位置に位置付けられるように当該リール台が回転する構成とすることができ、設備の省スペース化を図ることができる。
上記(2)の端子圧着電線製造装置によれば、切断位置から圧着位置まで端子を移動する際に、検出部が取得した情報に基づいて検出されたズレ量に従って端子の位置及び姿勢が補正されるので、端子が圧着位置に確実に位置付けられる。このため、端子圧着の精度を高めて品質を向上すると共に、不良の発生を低減して作業時間を短縮することができる。また、従来の圧着装置では、圧着後に当該圧着が正しく行われたかを検査するしかなかったのに対して、上記(2)の端子圧着電線製造装置によれば、端子位置を補正して位置決めしてから端子を圧着するので、圧着前における端子位置を保証することができ、品質管理を実施し易い。
上記(3)の端子圧着電線製造装置によれば、端子が移動部に固定された状態で切断された後に、検出部でズレ量を検出するための情報を取得するので、ズレ量を検出した後に端子を固定し直すことがない。このため、端子を確実に圧着位置に位置付けることができる。また、基底部が平面上の台座上に載置され、且つ移動部に固定された状態で端子が切断されるので、台座平面(基底部に沿う平面)に垂直な方向における端子の固定のズレを低減できる。当該台座平面に垂直な方向におけるズレを考慮する必要がないので、検出部では、基底部に沿う平面における基準状態からのズレ量を検出するための情報を取得すればよい。即ち、この場合には、2次元平面上におけるズレのみを考慮すればよい。これにより、検出部の構成を簡易なものとすることができると共に、位置及び姿勢の補正における移動量及びを削減して移動の高精度化及び処理の高速化を実現できる。
上記(4)の端子圧着電線製造装置によれば、複数の移動部を円周上に並ぶように保持した回転保持部の回転により、選択された品番の端子の外形状に対応した移動部が、切断位置にて端子を固定した後、検出位置、圧着位置に順に位置付けられ、端子を圧着位置まで移動する。このため、選択された端子の外形状に対応した移動部を用いて当該端子を移動することができるので、例えばどの端子に対しても同一の移動部を用いる場合と比較して移動精度を向上できる。また、例えば複数の移動部を一列に直線的に並べた場合と比較して、平易な構造によって移動機構を実現できると共に、設置スペースを小さくすることができる。
上記(5)の端子圧着電線製造装置によれば、移動部が、端子の接続部を空気圧により吸着することによって端子を固定するので、例えばアームにより挟持するものや電磁吸着によるものと比較して、簡易な構造によって移動機構を実現できる。
上記(6)の端子圧着電線製造装置によれば、例えばカメラである撮影部により撮影した画像に基づいて、端子のズレ量を把握できるので、平易な構造によって検出部を実現できる。
上記(7)の端子圧着電線製造装置によれば、型保持部が、選択された品番の端子の加締片の形状に対応した圧着型を圧着位置に位置付けるので、多品番の端子が端子供給部から供給された場合であっても良好に端子を圧着できる。また、上述したように、従来の圧着装置では、加締片の形状が一致していても、接続部の形状が相違して品番が異なれば、異なるアプリケータを使用する必要があったのに対して、上記(7)の端子圧着電線製造装置によれば、加締片の形状が一致する場合には、圧着型を共有とすることができる。このため、部品の共用化により専用部品を削減し、設備を小型化して製造コストを削減できる。
上記(8)の端子圧着電線製造装置によれば、クリンパとアンビルとを、それぞれ回転部材から外側方向に突出するように複数配置し、選択された品番の端子の加締片の形状に対応したクリンパ部及びアンビル部が圧着位置に位置付けられるようにしたので、更に設置スペースを小さくすることができる。この結果、多品番の端子に対応可能な端子圧着電線製造装置を実現できる。
上記(9)の端子圧着電線製造装置によれば、被覆部を加締める被覆加締片と、導体部を加締める導体加締片のそれぞれについて、上記同様に、回転部材から外側方向に突出するように複数形成し、選択された品番の端子の被覆加締片及び導体加締片の形状に合わせて特定の第1、第2クリンパ部、及び第1、第2アンビル部がそれぞれ圧着位置に位置付けられるようにしたので、設置スペースを更に小さくすることができる。
上記(10)の端子圧着電線製造装置によれば、リール部が円環状に並ぶように配置されるので、従来の圧着装置のようにアプリケータの列に対向して端子リールを配列する場合と比較して、設備の省スペース化を図ることができる。
尚、上述した第1演算部、第2演算部、及び第3演算部は、1つの演算装置により構成されていてもよく、2以上の演算装置により構成されていても構わない。
【0012】
また、前述した目的を達成するために、本発明に係る端子圧着電線の製造方法は、下記の点を特徴としている。
(
9) 複数の端子が帯状のキャリアに並んで接続された連鎖端子と、前記連鎖端子を所定の切断位置まで送る端子送り部と、前記切断位置に位置付けられた前記端子を前記キャリアから切断して分離するための切断刃と、を各々が有する複数の端子供給ユニットであって、該端子供給ユニットごとに前記端子の品番が異なる複数の端子供給ユニット、の中から前記品番の選択に基づいて選ばれた前記端子供給ユニットを用い、選択された品番の前記端子を前記連鎖端子から分離する端子供給工程と、
分離された前記選択された品番の前記端子を所定の圧着位置まで移動する端子移送工程と、
複数の圧着型の中から前記選択された品番の前記端子の圧着形状に対応するように選ばれた前記圧着型を用い、前記圧着位置に位置する前記選択された品番の前記端子と電線の端部とを圧着接続する圧着工程と、を含
み、
前記端子移送工程は、
前記選択された品番の前記端子を移動部に対して固定した状態にて前記切断位置から前記圧着位置まで移動する移動工程と、前記選択された品番の前記端子の固定状態と予め定められた基準状態との間のズレ量を検出するための情報を取得する検出工程と、を含み、
前記移動工程は、
前記検出工程において取得した情報に基づき、前記選択された品番の前記端子の位置及び姿勢を補正しながら前記選択された品番の前記端子を前記圧着位置に移動する、
こと。
(
10) 上記(
9)の構成の端子圧着電線の製造方法であって、
前記端子は、
相手方端子と接続するための接続部と、前記接続部に連設された平板状の基底部と、前記基底部の両側に対向して立設された前記電線の端部を加締めるための一対の加締片と、を有し、
前記端子供給工程では、
前記選択された品番の前記端子の前記基底部が平面状の台座上に載置され且つ前記移動部に対して前記選択された品番の前記端子を固定した状態にて、前記端子供給ユニットが前記選択された品番の前記端子を前記キャリアから切断して分離し、
前記検出工程では、
前記ズレ量として、前記基底部に沿う平面における前記選択された品番の前記端子の実際の位置及び姿勢と基準となる位置及び姿勢との間の相違を検出するための情報を取得し、
前記移動工程では、
前記検出工程にて取得した前記情報に基づき、前記選択された品番の前記端子の前記基底部に沿う平面における位置及び姿勢を補正して前記選択された品番の前記端子を前記圧着位置に移動する、
こと。
(
11) 上記(
9)又は(
10)の構成の端子圧着電線の製造方法であって、
前記移動工程では、
前記品番ごとに定まる前記端子の外形状に対応可能であるように用意された複数の前記移動部を円周上に並べるように配置すると共に、前記複数の前記移動部を前記円周に沿って回転させることにより、前記端子を移動し、
前記複数の前記移動部が通過する回転軌道上に、前記切断位置と、前記ズレ量を検出するための情報を前記検出工程にて取得する検出位置と、前記圧着位置と、が配置されており、
前記移動工程では、
前記選択された品番の前記端子の外形状に対応した前記移動部を前記切断位置、前記検出位置及び前記圧着位置の順に通過させる、
こと。
(
12) 上記(
9)の端子圧着電線の製造方法であって、
前記端子は、
相手方端子と接続するための接続部と、前記接続部に連設された平板状の基底部と、前記基底部の両側に対向して立設された前記電線の端部を加締めるための一対の加締片と、を有し、
前記移動工程では、
前記接続部を空気圧を用いて前記移動部に吸着させることにより、前記選択された品番の前記端子を前記移動部に対して固定する、
こと。
(
13) 上記(
9)の構成の端子圧着電線の製造方法であって、
前記端子は、
相手方端子と接続するための接続部と、前記接続部に連設された平板状の基底部と、前記基底部の両側に対向して立設された前記電線の端部を加締めるための一対の加締片と、を有し、
前記検出工程は、
前記ズレ量を検出するための情報を取得する所定の検出位置に前記選択された品番の前記端子が位置する状態にて、前記選択された品番の前記端子を前記基底部と交差する方向から撮影する、撮影工程を含み、
前記検出工程では、
前記情報として前記撮影工程で取得した画像を用い、前記画像に基づいて前記選択された品番の前記端子の前記基底部に沿う平面における位置及び姿勢を把握する、
こと。
(
14) 上記(
9)の構成の端子圧着電線の製造方法であって、
前記端子は、
相手方端子と接続するための接続部と、前記接続部に連設された平板状の基底部と、前記基底部の両側に対向して立設された前記電線の端部を加締めるための一対の加締片と、を有し、
前記圧着工程では、
前記品番ごとに定まる前記加締片の形状に対応可能であるように用意された複数の前記圧着型のうちの前記選択された品番の前記端子が有する前記加締片の形状に対応した前記圧着型を、前記圧着位置に位置付ける、
こと。
(
15) 上記(
14)の構成の端子圧着電線の製造方法であって、
前記圧着型は、
圧着時に前記加締片の立設方向側に位置するクリンパ部、及び、圧着時に前記基底部側に位置するアンビル部であって、回転可能なクリンパ側ベース部の回転中心から離れる向きに突出するように配置され且つ前記加締片の形状に対応して異なるクリンパ側形状を有する複数の前記クリンパ部、及び、回転可能なアンビル側ベース部の回転中心から離れる向きに突出するように配置され且つ前記加締片の形状に対応して異なるアンビル側形状を有する複数の前記アンビル部、を有し、
前記圧着工程では、
前記選択された品番の前記端子が有する前記加締片の形状に対応した前記クリンパ部及びアンビル部を前記圧着位置に位置付けるように、前記クリンパ側ベース部及び前記アンビル側ベース部を回転させる、
こと。
(
16) 上記(
15)の構成の端子圧着電線の製造方法であって、
前記加締片は、
前記電線の被覆部を加締める一対の被覆加締片と、前記基底部の長手方向における前記被覆加締片と異なる位置に立設された前記電線の導体部を加締める一対の導体加締片と、を有し、
前記クリンパ部は、
前記被覆加締片を加締めるための第1クリンパ部と、前記導体加締片を加締めるための第2クリンパ部と、を有し、
前記アンビル部は、
前記被覆加締片を加締めるための第1アンビル部と、前記導体加締片を加締めるための第2アンビル部と、を有し、
前記圧着型は、
圧着時に前記加締片の立設方向側に位置する第1クリンパ部及び第2クリンパ部、並びに、圧着時に前記基底部側に位置する第1アンビル部及び第2アンビル部であって、回転可能な第1クリンパ側ベース部の回転中心から離れる向きに突出するように配置され且つ前記被覆加締片の形状に対応して異なる第1クリンパ側形状を有する複数の前記第1クリンパ部、及び、回転中心な第2クリンパ側ベース部の回転中心から離れる向きに突出するように配置され且つ前記導体加締片の形状に対応して異なる第2クリンパ側形状を有する複数の前記第2クリンパ部、並びに、回転可能な第1アンビル側ベース部の回転中心から離れる向きに突出するように配置され且つ前記被覆加締片の形状に対応して異なる第1アンビル側形状を有する複数の前記第1アンビル部、及び、回転可能な第2アンビル側ベース部の回転中心から離れる向きに突出するように配置され且つ前記導体加締片の形状に対応して異なる第2アンビル側形状を有する複数の前記第2アンビル部と、を有し、
前記圧着工程では、
前記選択された品番の前記端子が有する前記被覆加締片及び前記導体加締片の形状に対応した前記第1クリンパ部及び前記第2クリンパ部並びに前記第1アンビル部及び前記第2アンビル部を前記圧着位置に位置付けるように、前記第1クリンパ側ベース部及び前記第2クリンパ側ベース部並びに前記第1アンビル側ベース部及び前記第2アンビル側ベース部を回転させる、
こと。
【0013】
上記(11)の端子圧着電線の製造方法によれば、端子供給工程では、端子の品番が異なる複数の端子供給ユニットの中から選択された端子供給ユニットにより、選択された品番の端子が切断して供給され、圧着工程では、当該端子の圧着形状に対応する圧着型により、端子と電線とが圧着される。このように、異品番への切替に、端子供給ユニットの切替及び圧着型の切替のみで対応できるため、切替時間を短縮できる。また、部品を共用化することで専用部品を削減できるので、設備を小型化して製造コストを削減できる。
また、従来のアプリケータを用いた製造方法では、端子の圧着形状が一致する端子群であっても、接続部の形状が相違して品番が異なれば、異なるアプリケータを用いる必要があるため、アプリケータの数が多くなってしまっていた。これに対して、上記(11)の端子圧着電線の製造方法によれば、圧着工程が他の工程とは独立しているので、端子の圧着形状が一致する場合には、圧着型を共有とすることができる。このため、部品の共用化により専用部品を削減し、設備を小型化して製造コストを削減できる。
また、従来の製造方法では、連鎖端子をアプリケータに常時接続している必要があるので、アプリケータの列に対向して端子リールも配列する必要があり、端子リールの設置位置の自由度が小さいという問題があった。これに対して、上記(11)の端子圧着電線の製造方法によれば、端子供給工程と圧着工程とが1工程として結合しておらず、端子供給工程で端子を切断し、後工程に選択された端子を供給するので、端子リールのレイアウトの自由度を向上できる。例えば、端子リール部をリール台上に円環状に並べ、選択された品番の端子が切断位置に位置付けられるように当該リール台が回転する構成とすることができ、設備の省スペース化を図ることができる。
上記(12)の端子圧着電線の製造方法によれば、移動工程にて切断位置から圧着位置まで端子を移動する際に、検出工程で取得した情報に基づいて検出されたズレ量に従って端子の位置及び姿勢が補正されるので、端子が圧着位置に確実に位置付けられる。このため、端子圧着の精度を高めて品質を向上すると共に、不良の発生を低減して作業時間を短縮することができる。また、従来の製造方法では、圧着後に当該圧着が正しく行われたかを検査するしかなかったのに対して、上記(12)の端子圧着電線の製造方法によれば、端子位置を補正して位置決めしてから端子を圧着するので、圧着前における端子位置を保証することができ、品質管理を実施し易い。
上記(13)の端子圧着電線の製造方法によれば、端子供給工程で端子を固定した状態で切断した後に、検出工程でズレ量を検出するための情報を取得するので、ズレ量を検出した後に端子を固定し直すことがない。このため、端子を確実に圧着位置に位置付けることができる。また、基底部が平面上の台座上に載置され、且つ固定された状態で端子が切断されるので、台座平面(基底部に沿う平面)に垂直な方向における端子の固定のズレを低減できる。当該台座平面に垂直な方向におけるズレを考慮する必要がないので、検出工程では、基底部に沿う平面における基準状態からのズレ量を検出するための情報を取得すればよい。即ち、この場合には、2次元平面上におけるズレのみを考慮すればよい。これにより、ズレ量の検出のための構成を簡易なものとすることができると共に、位置及び姿勢の補正における移動量及びを削減して移動の高精度化及び処理の高速化を実現できる。
上記(14)の端子圧着電線の製造方法によれば、円周上に配置された複数の移動部の回転により、選択された品番の端子の外形状に対応した移動部が、切断位置にて端子を固定した後、検出位置、圧着位置に順に位置付けられ、端子を圧着位置まで移動する。このため、選択された端子の外形状に対応した移動部を用いて当該端子を移動することができるので、例えばどの端子に対しても同一の移動部を用いる場合と比較して移動精度を向上できる。また、例えば複数の移動部を一列に直線的に並べた場合と比較して、平易な構造によって移動機構を実現できると共に、設置スペースを小さくすることができる。
上記(15)の端子圧着電線の製造方法によれば、移動工程では、端子の接続部を空気圧により吸着することによって端子を固定するので、例えばアームにより挟持するものや電磁吸着によるものと比較して、簡易な構造によって移動機構を実現できる。
上記(16)の端子圧着電線の製造方法によれば、例えばカメラである撮影部により撮影した画像に基づいて、端子のズレ量を把握できるので、平易な構造によってズレ量の検出のための構成を実現できる。
上記(17)の端子圧着電線の製造方法によれば、圧着工程では、選択された品番の端子の加締片の形状に対応した圧着型を圧着位置に位置付けるので、多品番の端子が端子供給工程にて供給される場合であっても良好に端子を圧着できる。また、上述したように、従来の製造方法では、加締片の形状が一致していても、接続部の形状が相違して品番が異なれば、異なるアプリケータを使用する必要があったのに対して、上記(17)の端子圧着電線の製造方法によれば、加締片の形状が一致する場合には、圧着型を共有とすることができる。このため、部品の共用化により専用部品を削減し、設備を小型化して製造コストを削減できる。
上記(18)の端子圧着電線の製造方法によれば、クリンパとアンビルとを、それぞれ回転部材から外側方向に突出するように複数配置し、選択された品番の端子の加締片の形状に対応したクリンパ部及びアンビル部が圧着位置に位置付けられるようにしたので、更に設置スペースを小さくすることができる。この結果、多品番の端子に対応可能な端子圧着電線の製造方法を実現できる。
上記(19)の端子圧着電線の製造方法によれば、被覆部を加締める被覆加締片と、導体部を加締める導体加締片のそれぞれについて、上記同様に、回転部材から外側方向に突出するように複数形成し、選択された品番の端子の被覆加締片及び導体加締片の形状に合わせて特定の第1、第2クリンパ部、及び第1、第2アンビル部がそれぞれ圧着位置に位置付けられるようにしたので、設置スペースを更に小さくすることができる。
上記(20)の端子圧着電線製造装置によれば、リール部が円環状に並ぶように配置されるので、従来の製造方法のようにアプリケータの列に対向して端子リールを配列する場合と比較して、設備の省スペース化を図ることができる。