(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コイルばねが予巻きされた状態においても、前記サイレンサーは、弾性復帰力で前記コイルばねをそのコイル中心軸の側に付勢している、請求項1記載のシート巻取装置。
前記巻取りパイプの内周面には複数のV字状溝が周方向に並設されて雌スプライン部が形成されると共に、前記巻取りパイプの軸直交方向の断面における前記V字状溝の開き角度は、前記サイレンサーの軸直交方向の断面におけるコーナ部の角度よりも小さく設定されている、請求項3記載のシート巻取装置。
可撓性を備えた筒状体とされたサイレンサーの内側にコイルばねを同軸に挿入すると共に、前記コイルばねの外周面を、前記サイレンサーの周方向の三箇所以上に設定されたばね隣接部の内周面に接触させて前記ばね隣接部を撓ませる第一工程と、
前記第一工程の後にシート巻取り用の巻取りパイプの内側に前記サイレンサーを同軸に挿入し、周方向に隣り合う前記ばね隣接部同士の間に前記サイレンサーの一部としてそれぞれ設定されたパイプ隣接部の外周部を、前記巻取りパイプの内周面に隣接させて、前記サイレンサーの軸直交方向の断面と前記サイレンサーの軸直交方向の断面における外接円とが交わる交点と、前記巻取りパイプの軸直交方向の断面の内周面と、の間に間隔を形成すると共に、前記コイルばねの一端を前記巻取りパイプに一体回転可能に取り付け、前記コイルばねの他端を前記巻取りパイプに対して相対回転可能に配置する第二工程と、
前記第二工程の後に、前記コイルばねをそのコイル中心軸周りに予巻きして縮径し、これに連動させて前記サイレンサーを弾性復帰させることで、前記サイレンサーの前記ばね隣接部の撓み量を減少させ、それによって前記サイレンサーの軸直交方向の断面における内接円の径を小さくしかつ前記サイレンサーの軸直交方向の断面における外接円の径を大きくする第三工程と、
を有するシート巻取部の組付方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この構造では、例えば、サイレンサーの内径と初期状態の捩りバネの外径とが同径の場合、初期トルクを付与するために捩りバネが予巻きされて当該捩りバネの径が縮小されると、捩りバネとサイレンサーとの間に隙間が形成されてしまう。また、車両の微振動時に捩りバネがサイレンサーを介してシャフトに当たることがないように、例えばサイレンサーを楕円筒状にして捩りバネの外面とシャフトの内面との距離を離した場合には、サイレンサーは長径部の側のみでシャフトの内面に支持されると共に、サイレンサーの短径部の外面とシャフトの内面との間にある程度の隙間が形成される。そして、これらの場合にはシャフトに対して捩りバネが相対的に変位し易くなる。
【0005】
また、後者の場合、シャフトと一体に回転するサイレンサーは、その短径部が上下に配置される場合がある。このような場合や前者のように捩りバネとサイレンサーとの間に隙間が形成される場合には、例えば、車両の悪路走行時等に捩りバネがサイレンサーを介してシャフトに当たることで異音(打音)が発生し易くなる。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して、コイルばねがサイレンサーを介して巻取りパイプに当たることによる異音の発生を防止又は抑制することができるシート巻取装置及びシート巻取部の組付方法を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載する本発明のシート巻取装置は、シートの一端が取り付けられ、前記シートを自らの軸線周りの回転により巻き取る巻取りパイプと、前記巻取りパイプの内部に同軸に配置され、一端が前記巻取りパイプに一体回転可能に取り付けられ、他端が前記巻取りパイプに対して相対回転可能に配置されると共に、予巻きされて前記巻取りパイプを前記シートの巻取り方向へ付勢するコイルばねと、前記巻取りパイプと前記コイルばねとの間に介在されて可撓性を備えた筒状体とされ、周方向の三箇所以上に設定されて前記コイルばねの外周面と接して撓み可能なばね隣接部と、周方向に隣り合う前記ばね隣接部同士の間にそれぞれ設定されて前記巻取りパイプの内周部に支持されるパイプ隣接部と、を備えると共に、前記コイルばねを予巻きによって縮径させた場合に前記ばね隣接部の撓み量を減少させることで自らの軸直交方向の断面における内接円の径を小さくしかつ自らの軸直交方向の断面における外接円の径を大きくする形状に弾性復帰可能なサイレンサーと、を有
し、前記コイルばねが予巻きされていない状態で、前記サイレンサーの軸直交方向の断面と前記サイレンサーの軸直交方向の断面における外接円とが交わる交点と、前記巻取りパイプの軸直交方向の断面の内周面と、の間に間隔が形成されるように、前記サイレンサー及び前記巻取りパイプが構成されている。
【0008】
請求項1に記載する本発明のシート巻取装置では、巻取りパイプの内部にコイルばねが同軸に配置され、このコイルばねが予巻きされて巻取りパイプをシートの巻取り方向へ付勢している。巻取りパイプとコイルばねとの間には、可撓性を備えて筒状体を成すサイレンサーが介在されている。このサイレンサーは、周方向の三箇所以上に設定されたばね隣接部がコイルばねの外周面と接して撓み可能とされると共に、周方向に隣り合うばね隣接部同士の間にそれぞれパイプ隣接部が設定されており、これらのパイプ隣接部が巻取りパイプの内周部に支持されている。
【0009】
ここで、
コイルばねが予巻きされていない状態で、サイレンサーの軸直交方向の断面とサイレンサーの軸直交方向の断面における外接円とが交わる交点と、巻取りパイプの軸直交方向の断面の内周面と、の間に間隔が形成されるように、サイレンサー及び巻取りパイプは構成されている。そして、サイレンサーは、コイルばねを予巻きによって縮径させた場合にばね隣接部の撓み量を減少させることで自らの軸直交方向の断面における内接円の径を小さくしかつ自らの軸直交方向の断面における外接円の径を大きくする形状に弾性復帰可能となっている。このため、コイルばねを予巻きしても、コイルばねとサイレンサーの三箇所以上のばね隣接部との接触状態は維持されるうえに、コイルばねを予巻きすると、サイレンサーの三箇所以上のパイプ隣接部が巻取りパイプの内周部との間の隙間を小さくするように変位するので、パイプ隣接部が巻取りパイプの内周部に一層安定的に支持される。
【0010】
従って、コイルばねを内側に配置したサイレンサーと、サイレンサーを内側に配置した巻取りパイプとの相対移動が規制されると共に、コイルばねとサイレンサーとの相対移動が規制される。これにより、例えば、シート巻取装置を搭載した車両が悪路を走行し、シート巻取装置が大きく上下動しても、コイルばねは、巻取りパイプと同軸の位置付近でサイレンサーによって安定的に拘束され、巻取りパイプに対する相対変位が抑えられる。つまり、コイルばねがサイレンサーを介して巻取りパイプに当たる現象が防止又は効果的に抑制される。
【0011】
請求項2に記載する本発明のシート巻取装置は、請求項1記載の構成において、前記コイルばねが予巻きされた状態においても、前記サイレンサーは、弾性復帰力で前記コイルばねをそのコイル中心軸の側に付勢している。
【0012】
請求項2に記載する本発明のシート巻取装置では、コイルばねが予巻きされた状態においても、サイレンサーは、弾性復帰力でコイルばねをそのコイル中心軸の側に付勢しているので、巻取りパイプの側へのコイルばねの変位が一層効果的に抑えられる。
【0013】
請求項3に記載する本発明のシート巻取装置は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記サイレンサーは、その内側に前記コイルばねが配置される前の初期形状が正多角形の角筒状に形成されている。
【0014】
請求項3に記載する本発明のシート巻取装置では、サイレンサーは、その内側にコイルばねが配置される前の初期形状が正多角形の角筒状に形成されているので、サイレンサーの軸直交方向の断面における各辺中央部をばね隣接部とし、各コーナ部をパイプ隣接部とすることができる。このため、簡易な構成でありながら、巻取りパイプに対するコイルばねの相対変位が安定的に抑えられる。
【0015】
請求項4に記載する本発明のシート巻取装置は、請求項3記載の構成において、前記巻取りパイプの内周面には複数のV字状溝が周方向に並設されて雌スプライン部が形成されると共に、前記巻取りパイプの軸直交方向の断面における前記V字状溝の開き角度は、前記サイレンサーの軸直交方向の断面におけるコーナ部の角度よりも小さく設定されている。
【0016】
請求項4に記載する本発明のシート巻取装置では、巻取りパイプの内周面に複数のV字状溝が周方向に並設されて雌スプライン部が形成されている。ここで、巻取りパイプの軸直交方向の断面におけるV字状溝の開き角度は、サイレンサーの軸直交方向の断面におけるコーナ部の角度よりも小さく設定されている。このため、サイレンサーは各コーナ部における曲点の両サイド部をV字状溝の開口部に安定的に接触させることができる。これにより、サイレンサーは巻取りパイプに一層安定的に支持される。
【0017】
請求項5に記載するシート巻取部の組付方法は、可撓性を備えた筒状体とされたサイレンサーの内側にコイルばねを同軸に挿入すると共に、前記コイルばねの外周面を、前記サイレンサーの周方向の三箇所以上に設定されたばね隣接部の内周面に接触させて前記ばね隣接部を撓ませる第一工程と、前記第一工程の後にシート巻取り用の巻取りパイプの内側に前記サイレンサーを同軸に挿入し、周方向に隣り合う前記ばね隣接部同士の間に前記サイレンサーの一部としてそれぞれ設定されたパイプ隣接部の外周部を、前記巻取りパイプの内周面に隣接させ
て、前記サイレンサーの軸直交方向の断面と前記サイレンサーの軸直交方向の断面における外接円とが交わる交点と、前記巻取りパイプの軸直交方向の断面の内周面と、の間に間隔を形成すると共に、前記コイルばねの一端を前記巻取りパイプに一体回転可能に取り付け、前記コイルばねの他端を前記巻取りパイプに対して相対回転可能に配置する第二工程と、前記第二工程の後に、前記コイルばねをそのコイル中心軸周りに予巻きして縮径し、これに連動させて前記サイレンサーを弾性復帰させることで、前記サイレンサーの前記ばね隣接部の撓み量を減少させ、それによって前記サイレンサーの軸直交方向の断面における内接円の径を小さくしかつ前記サイレンサーの軸直交方向の断面における外接円の径を大きくする第三工程と、を有する。
【0018】
請求項5に記載するシート巻取部の組付方法では、まず第一工程において、可撓性を備えた筒状体とされたサイレンサーの内側にコイルばねを同軸に挿入すると共に、コイルばねの外周面を、サイレンサーの周方向の三箇所以上に設定されたばね隣接部の内周面に接触させてばね隣接部を撓ませる。次に、第一工程の後の第二工程では、シート巻取り用の巻取りパイプの内側にサイレンサーを同軸に挿入し、周方向に隣り合うばね隣接部同士の間にサイレンサーの一部としてそれぞれ設定されたパイプ隣接部の外周部を、巻取りパイプの内周面に隣接させ
て、サイレンサーの軸直交方向の断面とサイレンサーの軸直交方向の断面における外接円とが交わる交点と、巻取りパイプの軸直交方向の断面の内周面と、の間に間隔を形成すると共に、コイルばねの一端を巻取りパイプに一体回転可能に取り付け、コイルばねの他端を巻取りパイプに対して相対回転可能に配置する。次に、第二工程の後の第三工程では、コイルばねをそのコイル中心軸周りに予巻きして縮径し、これに連動させて前記サイレンサーを弾性復帰させることで、サイレンサーのばね隣接部の撓み量を減少させ、それによってサイレンサーの軸直交方向の断面における内接円の径を小さくしかつサイレンサーの軸直交方向の断面における外接円の径を大きくする。
【0019】
このため、サイレンサーの三箇所以上のばね隣接部はコイルばねとの接触状態が維持されると共に、サイレンサーの三箇所以上のパイプ隣接部が巻取りパイプの内周部との間の隙間を小さくするように変位するので、パイプ隣接部が巻取りパイプの内周部に一層安定的に支持される。
【0020】
従って、コイルばねを内側に配置したサイレンサーと、サイレンサーを内側に配置した巻取りパイプとの相対移動が規制されると共に、コイルばねとサイレンサーとの相対移動が規制される。これにより、例えば、シート巻取部を搭載した車両が悪路を走行し、シート巻取部が大きく上下動しても、コイルばねは、巻取りパイプと同軸の位置付近でサイレンサーによって安定的に拘束され、巻取りパイプに対する相対変位が抑えられる。つまり、コイルばねがサイレンサーを介して巻取りパイプに当たる現象が防止又は効果的に抑制される。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明に係るシート巻取装置及びシート巻取部の組付方法では、コイルばねがサイレンサーを介して巻取りパイプに当たることによる異音の発生を防止又は抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態に係るシート巻取装置及びシート巻取部の組付方法について
図1〜
図3を用いて説明する。なお、シート巻取装置は車両に搭載されており、
図1及び
図2において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印Wは車両幅方向を示している。
【0024】
(シート巻取装置の構成)
図1には、本実施形態に係るシート巻取装置12が適用されたトノカバー装置10が分解斜視図にて示されている。また、
図2には、シート巻取装置12におけるシート巻取部14(シート巻取機構を構成する部分)が一部破断された状態の斜視図にて示されている。
【0025】
図1に示されるトノカバー装置10は、一例として、図示しない車両後部の荷室に設けられ、リヤシートの背面上部に隣接して配置されている。このトノカバー装置10は、シート巻取装置12及びシートとしてのトノカバー16を含んで構成されている。
【0026】
シート巻取装置12は、車両幅方向を長手方向として配置された長尺状のケース18を備えている。ケース18は、長手方向に直交する方向に切断した断面形状が略C字形状とされ、開放側の引出口18Aを車両後方側に向けて配置されている。ケース18の長手方向の両端部には、ホルダー20が配置されている。ホルダー20は、縦壁部20Aから装置幅方向内側へ延出されてケース18の長手方向の両端部を覆う円筒部20Bを備えている。そして、ホルダー20の円筒部20Bには、ケース18の長手方向の両端部がネジ22で固定されている。また、ホルダー20は、縦壁部20Aから装置幅方向内側へ延出して円筒部20Bと同軸に設定された支持軸20Cと、縦壁部20Aから支持軸20Cの延出方向とは反対側に延出されたフランジ部20Dと、を備えている。ホルダー20のフランジ部20Dは、ボルト24A及びナット24Bで車体側へ固定されている。
【0027】
ケース18の内側には、円筒状の巻取りパイプ30が収容されている。巻取りパイプ30は、車両幅方向を長手方向としてホルダー20の支持軸20Cと同軸に配置され、長手方向の両端部がホルダー20の円筒部20Bの内側に挿入されている。そして、巻取りパイプ30の長手方向の両端部には、ホルダー20の支持軸20Cが挿入されている。これにより、巻取りパイプ30は、ホルダー20の支持軸20Cに回転可能に支持され、自らの軸線周りに回転可能とされている。
【0028】
巻取りパイプ30には、トノカバー16の一端16Aが粘着テープ26を介して取り付けられており、トノカバー16の他端側には、引出部28が取り付けられている。巻取りパイプ30は、自らの軸線周りの一方である巻取り方向(矢印X方向)へ回転することで、トノカバー16をその一端16A側から層状に巻き取るようになっている。引出部28の幅方向の両サイドには、ストッパ28Aが設けられており、これらのストッパ28Aは、トノカバー16が巻取りパイプ30に巻き取られた場合にケース18の引出口18Aに当接するようになっている。また、トノカバー16の他端側の引出部28が引っ張られた場合、巻取りパイプ30は、自らの軸線周りの他方である引出し方向(矢印X方向とは反対の方向)へ回転することで、トノカバー16をケース18の引出口18Aから引き出し可能としている。
【0029】
図2に示されるように、巻取りパイプ30の内周面には、複数のV字状溝32Aが周方向に並設されて雌スプライン部32が形成されている。また、巻取りパイプ30の内部には、その軸線方向の一方側(
図2の左側)のサイド寄りに係止部材34が配置されている。係止部材34の外周面には、複数の逆V字状の凸部36Aが周方向に並設されて雄スプライン部36が形成されている。係止部材34の雄スプライン部36は、巻取りパイプ30の雌スプライン部32に嵌合している。係止部材34には、装置幅方向内側へ向く端部から切り込まれた係止部38が形成されている。
【0030】
また、巻取りパイプ30の内部には、係止部材34に隣接してコイルばね40(巻取りばね)が配置されている。コイルばね40は、図中左側の一端40Aが係止部材34の係止部38に係止されると共に、図中右側の他端40Bが
図1に示される図中右側のホルダー20(20X)の支持軸20Cの係止穴20C1に係止されている。これにより、
図2に示されるコイルばね40は、一端40Aが巻取りパイプ30に一体回転可能に取り付けられ、他端40Bが巻取りパイプ30に対して相対回転可能に配置されている。このコイルばね40は、巻取りパイプ30と同軸に配置されると共に、初期トルクを付与するためにコイル中心軸40X周りの一方(矢印R方向)に巻き締められて取り付けられている。すなわち、コイルばね40は、予巻きされて巻取りパイプ30をトノカバー16(
図1参照)の巻取り方向(矢印X方向)へ付勢するようになっている。
【0031】
巻取りパイプ30とコイルばね40との間には、サイレンサー42が介在されている。サイレンサー42は、軟質樹脂材料からなる可撓性を備えた筒状体とされており、その内側にコイルばね40が配置される前の初期形状が
図1に示されるように正方形(広義には正多角形)の角筒状に形成されている。
【0032】
図3(B)には、コイルばね40が予巻きされる前のシート巻取部14の状態がシート巻取部14の軸直交方向に切断した断面図にて示され、
図3(C)には、コイルばね40が予巻きされた後のシート巻取部14の状態がシート巻取部14の軸直交方向に切断した断面図にて示されている。
【0033】
図3(B)及び
図3(C)に示されるように、サイレンサー42には、周方向の四箇所にコイルばね40の外周面と接して撓み可能なばね隣接部44が設定されている。サイレンサー42は、自らの軸直交方向の断面における各辺中央部42Sをばね隣接部44としている。また、サイレンサー42には、周方向に隣り合うばね隣接部44同士の間にそれぞれパイプ隣接部46が設定されている。パイプ隣接部46は、巻取りパイプ30の内周部である雌スプライン部32に支持されている。サイレンサー42は、自らの軸直交方向の断面における各コーナ部42C(曲点及びその近傍部)をパイプ隣接部46としている。
【0034】
ここで、巻取りパイプ30の軸直交方向の断面におけるV字状溝32Aの開き角度は、サイレンサー42の軸直交方向の断面におけるコーナ部42Cの角度よりも小さく設定されている。これにより、サイレンサー42は、コーナ部42Cにおける曲点の両サイド側の近傍部がV字状溝32Aの開口部に接触している。
【0035】
サイレンサー42は、コイルばね40を予巻きによって縮径させた場合にばね隣接部44の撓み量を減少させることで自らの軸直交方向の断面における内接円C1(コイルばね40の外周面と一致する円)の径D1を小さくしかつ自らの軸直交方向の断面における外接円C2の径D2を大きくする形状に弾性復帰可能とされている。また、サイレンサー42は、コイルばね40を予巻きによって縮径させた場合に、ばね隣接部44の撓み量を減少させることで、自らの軸直交方向の断面において隣り合うパイプ隣接部46同士の距離(コーナ部42Cにおける曲点間の距離L)を長くしている。
【0036】
さらに、本実施形態では、
図3(C)に示されるように、コイルばね40が予巻きされた状態においても、サイレンサー42は、ばね隣接部44が若干撓んでおり、弾性復帰力でコイルばね40をそのコイル中心軸40Xの側に付勢している。但し、コイルばね40は、そのコイル中心軸40X周りの回転が可能な状態(回転が阻害されない状態)でサイレンサー42に保持されている。
【0037】
(シート巻取部の組付方法)
次に、シート巻取装置12におけるシート巻取部14の組付方法を説明する。
【0038】
まず、第一工程では、
図1に示される可撓性を備えた筒状体とされたサイレンサー42の内側にコイルばね40を同軸に挿入する。このとき、
図3(A)に示されるように、コイルばね40の外周面を、サイレンサー42の周方向の四箇所に設定されたばね隣接部44(各辺中央部42S)の内周面に接触させてばね隣接部44(各辺中央部42S)を撓ませる。
【0039】
次に、第一工程の後の第二工程では、
図3(B)に示されるように、シート巻取り用の巻取りパイプ30の内側にサイレンサー42を同軸に挿入する。このとき、サイレンサー42の周方向に隣り合うばね隣接部44(各辺中央部42S)同士の間にサイレンサー42の一部としてそれぞれ設定されたパイプ隣接部46(各コーナ部42C)の外周部を、巻取りパイプ30の内周面に隣接させる。
【0040】
この第二工程では、コイルばね40が予巻き(縮径)されていない状態なので、コイルばね40が予巻き(縮径)されている状態(
図3(C)参照)に比べて、サイレンサー42のばね隣接部44の撓み量が多い。そして、これによって第二工程でのサイレンサー42における自らの軸直交方向の断面における外接円C2の径D2は、コイルばね40が予巻きされている場合に比べて小さく、第二工程での隣り合うパイプ隣接部46同士の距離(コーナ部42Cにおける曲点間の距離L)は、コイルばね40が予巻きされている場合に比べて短い。よって、巻取りパイプ30へのサイレンサー42の挿入性は良好となっている。
【0041】
また、第二工程では、コイルばね40の一端40A(
図2参照)を巻取りパイプ30に一体回転可能に取り付け、コイルばね40の他端40Bを巻取りパイプ30に対して相対回転可能に配置する。具体的には、
図2に示されるコイルばね40の図中左側の一端40Aは、巻取りパイプ30の内側で係止部材34の係止部38に係止され、コイルばね40の図中右側の他端40Bは、
図1に示される図中右側のホルダー20(20X)の支持軸20Cの係止穴20C1に係止される。
【0042】
次に、第二工程の後の第三工程では、
図3(C)に示されるように、コイルばね40をそのコイル中心軸40X周りの一方(矢印R方向)に予巻きして縮径し、これに連動させてサイレンサー42を弾性復帰させることで、サイレンサー42のばね隣接部44の撓み量を減少させる。コイルばね40の予巻きは、一例として、
図1に示される図中右側のホルダー20(20X)を回転駆動治具(図示省略)によって把持させると共に、巻取りパイプ30の図中左側の端部を支持治具(図示省略)によって巻取りパイプ30の軸線周りに回転自在に支持させたうえで、前記回転駆動治具を回転駆動することにより行う。なお、トノカバー16の巻取りパイプ30への取り付けは、コイルばね40の予巻き前でも予巻き後でもよい。
【0043】
その後、巻取りパイプ30をケース18の内側に収容し、ケース18をホルダー20に固定した後、ホルダー20を車体側へ固定することで、シート巻取装置12を車体に搭載する。
【0044】
(シート巻取装置の作用・効果)
次に、シート巻取装置12の作用及び効果について説明する。
【0045】
図3(B)及び
図3(C)に示されるように、サイレンサー42は、コイルばね40を予巻きによって縮径させた場合にばね隣接部44の撓み量を減少させることで自らの軸直交方向の断面における内接円C1の径D1を小さくしかつ自らの軸直交方向の断面における外接円C2の径D2を大きくする形状に弾性復帰可能となっている。このため、
図3(C)に示されるように、コイルばね40を予巻きしても、コイルばね40とサイレンサー42の四箇所のばね隣接部44との接触状態は維持されるうえに、コイルばね40を予巻きすると、サイレンサー42の四箇所のパイプ隣接部46が巻取りパイプ30の雌スプライン部32(内周部)との間の隙間を小さくするように変位するので、パイプ隣接部46が巻取りパイプ30の雌スプライン部32に一層安定的に支持される。
【0046】
従って、コイルばね40を内側に配置したサイレンサー42と、サイレンサー42を内側に配置した巻取りパイプ30との相対移動が規制されると共に、コイルばね40とサイレンサー42との相対移動が規制される。これにより、例えば、シート巻取装置12(
図2参照)を搭載した車両が悪路を走行し、シート巻取装置12が大きく上下動しても、コイルばね40は、巻取りパイプ30と同軸の位置付近でサイレンサー42によって安定的に拘束され、巻取りパイプ30に対する相対変位が抑えられる。つまり、コイルばね40が変動して(暴れて)サイレンサー42を介して巻取りパイプ30に当たる現象が防止又は効果的に抑制される。
【0047】
また、本実施形態では、コイルばね40が予巻きされた状態においても、サイレンサー42は、弾性復帰力でコイルばね40をそのコイル中心軸40Xの側に付勢している。このため、巻取りパイプ30の側へのコイルばね40の変位が一層効果的に抑えられる。
【0048】
また、本実施形態では、
図1に示されるように、サイレンサー42は、その内側にコイルばね40が配置される前の初期形状が正方形(正多角形)の角筒状に形成されている。従って、
図3に示されるように、サイレンサー42の軸直交方向の断面における各辺中央部42Sをばね隣接部44とし、各コーナ部42Cをパイプ隣接部46とすることができる。このため、簡易な構成でありながら、巻取りパイプ30に対するコイルばね40の相対変位が安定的に抑えられる。
【0049】
また、
図3(B)及び
図3(C)に示されるように、本実施形態では、巻取りパイプ30の内周面に複数のV字状溝32Aが周方向に並設されて雌スプライン部32が形成されている。ここで、巻取りパイプ30の軸直交方向の断面におけるV字状溝32Aの開き角度は、サイレンサー42の軸直交方向の断面におけるコーナ部42Cの角度よりも小さく設定されている。このため、サイレンサー42は各コーナ部42Cにおける曲点の両サイド側の近傍部をV字状溝32Aの開口部に安定的に接触させることができる。これにより、サイレンサー42は巻取りパイプ30に一層安定的に支持される。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係るシート巻取装置12及びシート巻取部14の組付方法では、コイルばね40がサイレンサー42を介して巻取りパイプ30に当たることによる異音の発生を防止又は抑制することができる。また、本実施形態では、例えば、公知構造に対してサイレンサーの形状を変更するのみで所望の効果が得られる。さらに、シート巻取部14の組付方法では、組付作業性を向上することができる。
【0051】
(実施形態の補足説明)
なお、上記実施形態では、シート巻取装置12が
図1等に示されるトノカバー装置10に適用されているが、シート巻取装置は、例えば、遮光シートの一端が巻取りパイプに取り付けられるサンシェード装置や、シートとしてのブラインドの一端が巻取りパイプに取り付けられるブラインド装置等のような他の装置に適用されてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、コイルばね40の一端40Aが係止部材34(他部材)を介して巻取りパイプ30に一体回転可能に取り付けられているが、例えば、巻取りパイプの内面に係止部が形成されると共にコイルばねの一端が前記係止部に係止される等の構成を採ることで、コイルばねの一端が巻取りパイプに一体回転可能に取り付けられてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、コイルばね40の他端40Bがホルダー20(20X)の支持軸20Cの係止穴20C1に係止されることでコイルばね40の他端40Bが巻取りパイプ30に対して相対回転可能に配置されているが、例えば、ホルダー20(20X)の円筒部20Bに相当する部位の内面に係止部が形成されると共にコイルばねの他端が前記係止部に係止される等の構成を採ることで、コイルばねの他端が巻取りパイプに対して相対回転可能に配置されてもよい。
【0054】
また、上記実施形態の変形例として、サイレンサーは、その内側にコイルばねが配置される前の初期形状が例えば正三角形や正五角形等の正方形以外の正多角形の角筒状に形成されていてもよい。これらの場合にも、各辺中央部が、コイルばねの外周面と接して撓み可能なばね隣接部となり、各コーナ部が、巻取りパイプの内周部に支持されるパイプ隣接部となる。
【0055】
また、上記実施形態の変形例として、サイレンサーにおける軸直交方向の断面形状は、当該サイレンサーの内側にコイルばねが配置される前の初期形状が、例えば、
図4(A)に示されるように、正方形の各辺を大径円弧状に筒外側へ湾曲させた湾曲辺52に置き換えたような形状であってもよい。
図4(A)に示されるサイレンサー50では、各々の湾曲辺52の辺中央部52Aが、コイルばねの外周面と接して撓み可能なばね隣接部となり、各コーナ部54が、巻取りパイプの内周部に支持されるパイプ隣接部となる。
【0056】
また、
図4(A)に示されるサイレンサー50と同様の変形例として、サイレンサーにおける軸直交方向の断面形状は、当該サイレンサーの内側にコイルばねが配置される前の初期形状が、例えば、正三角形や正五角形等のような正方形以外の正多角形の各辺を、大径円弧状に筒外側へ湾曲させた湾曲辺に置き換えたような形状であってもよい。この場合も、各々の湾曲辺の辺中央部が、コイルばねの外周面と接して撓み可能なばね隣接部となり、各コーナ部が、巻取りパイプの内周部に支持されるパイプ隣接部となる。
【0057】
また、他の変形例として、サイレンサーにおける軸直交方向の断面形状は、当該サイレンサーの内側にコイルばねが配置される前の初期形状が、例えば、
図4(B)に示されるように、正方形の各コーナ部を筒外側へ膨出させた膨出部64に置き換えたような形状であってもよい。
図4(B)に示されるサイレンサー60では、各辺中央部62Aが、コイルばねの外周面と接して撓み可能なばね隣接部となり、膨出部64が、巻取りパイプの内周部に支持されるパイプ隣接部となる。
【0058】
また、
図4(B)に示されるサイレンサー60と同様の変形例として、サイレンサーにおける軸直交方向の断面形状は、当該サイレンサーの内側にコイルばねが配置される前の初期形状が、例えば、正三角形や正五角形等のような正方形以外の正多角形の各コーナ部を、筒外側へ膨出させた膨出部に置き換えたような形状であってもよい。この場合も、各辺中央部が、コイルばねの外周面と接して撓み可能なばね隣接部となり、膨出部が、巻取りパイプの内周部に支持されるパイプ隣接部となる。
【0059】
さらに、他の変形例として、サイレンサーは、
図4(B)に示されるサイレンサー60の各辺62を
図4(A)に示されるサイレンサー50の湾曲辺52に置き換えたような形状のサイレンサーとしてもよい。このようなサイレンサーでは、各々の湾曲辺52の辺中央部52Aが、コイルばねの外周面と接して撓み可能なばね隣接部となり、膨出部64が、巻取りパイプの内周部に支持されるパイプ隣接部となる。
【0060】
また、他の変形例として、サイレンサーにおける軸直交方向の断面形状は、当該サイレンサーの内側にコイルばねが配置される前の初期形状が、例えば、正三角形や正五角形等のような正方形以外の正多角形の各辺を大径円弧状に筒外側へ湾曲させた湾曲辺に置き換えると共に各コーナ部を筒外側へ膨出させた膨出部に置き換えてもよい。この場合も、各々の湾曲辺の辺中央部が、コイルばねの外周面と接して撓み可能なばね隣接部となり、膨出部が、巻取りパイプの内周部に支持されるパイプ隣接部となる。
【0061】
また、上記実施形態の変形例として、サイレンサーは、コイルばねが予巻きされた状態で、初期形状に弾性復帰している(すなわち、弾性復帰によってコイルばねとの接触状態は維持されているものの、コイルばねをそのコイル中心軸の側に付勢していない)ような設定とすることも可能である。
【0062】
また、上記実施形態の変形例として、巻取りパイプの内周面には雌スプライン部が形成されていなくてもよい。
【0063】
なお、上記実施形態及び上述の複数の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
【0064】
以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。