(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記第1の製品図に描画される位置と前記第2の製品図に描画される位置とが一致する、前記第1の非対応図形データ及び前記第2の非対応図形データを対比する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の解析装置。
前記制御部は、前記第2の製品図を前記表示部に表示させる際、前記第1の非対応図形データ及び前記第2の非対応図形データを対比し、前記第1の非対応図形データに一致する前記第2の非対応図形データを第1の表示色で、前記第1の非対応図形データに完全一致しない前記第2の非対応図形データを第2の表示色で、表示させる、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の解析装置。
前記入力部は、前記第2の表示色で表示された前記第2の非対応図形データを指定するための入力操作、及び表示色を第3の表示色または第4の表示色に変更するための入力操作を受け付け、
前記制御部は、前記入力部によって受け付けた入力操作により指定される前記第2の非対応図形データの表示色を前記第3の表示色または前記第4の表示色へ変更する、
ことを特徴とする請求項5に記載の解析装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0017】
[ワイヤハーネスの製品図の詳細]
まず、部品メーカーがカーメーカーから受領するワイヤハーネスの製品図の一例を、
図1(A)から
図3を参照して説明する。
【0018】
ワイヤハーネスの製品図には、情報として、ワイヤハーネスを製品図上に描画するためのオブジェクト情報(以下、オブジェクト情報Xと称する。)と、ワイヤハーネスの一部が詳細に記述された詳細図を製品図上に描画するためのオブジェクト情報(以下、オブジェクト情報Yと称する。)と、製品図に対する各種の注記を製品図上に描画するためのオブジェクト情報(以下、オブジェクト情報Zと称する。)と、が含まれている。以下、オブジェクト情報X、Y、Zのそれぞれについてそのデータ構造の一例を説明する。
【0019】
[ワイヤハーネスを製品図上に描画するためのオブジェクト情報X]
オブジェクト情報Xは、ワイヤハーネスを構成する各部材毎の属性(例えば、電線の線長、線形、電線に取り付けられる端子の識別子、端子を収容するコネクタの名称・品番、端子が収容されるコネクタのキャビティの識別子C/N、等)が記述された属性情報と、ワイヤハーネスを構成する各部材を製品図上に描画するための手続き(描画される対象の形状、当該対象の絵柄、当該対象が配置される位置、等)を規定する機能情報と、が各部材毎に一対となって構成される。
【0020】
オブジェクト情報Xの属性情報及び機能情報をさらに詳細に説明する。ここでは、
図1(A)に示されるワイヤハーネス11を一つの例として挙げ、ワイヤハーネス11を構成する電線W1〜W5、コネクタC1〜C4及びジョイントコネクタJ1、J2それぞれのオブジェクト情報Xについて説明する。まず、
図1(A)に示されるように、ワイヤハーネス11は、5本の電線W1〜W5を構成に含み、各電線Wn(ただし、nは1〜5)は、線長Wn、線形Dnであるとする。各電線Wnは、電線W1、W4の一端が電線W5の一端に電線W2、W3の一端が電線W5の他端に連結されている。また、電線W1、W4の一端はジョイントコネクタJ1によって電線の一端に接続され、電線W2、W3の一端はジョイントコネクタJ2によって電線の他端に接続されている。また、電線W1の他端はコネクタC1に連結され、電線W2の他端はコネクタC2に連結され、電線W3の他端はコネクタC3に連結され、電線W4の他端はコネクタC4に連結され、電線W5の他端はコネクタC5に連結されている。この結果、電線W1〜W5は、全て導通が図られるものとする。
【0021】
そこで、オブジェクト情報Xの属性情報について説明する。
図1(A)に示されるワイヤハーネスを構成する各電線Wnの属性情報は、
図1(B)及び
図1(C)に示されるようにマトリクス状に情報が格納されている。
図1(B)に示されるマトリクスは、各電線Wn毎の、線長Ln、線形Dnに関する属性情報が記述されている。また、
図1(C)に示されるマトリクスは、各電線Wn毎の、一端(始点)及び他端(終点)が接続される接続先に関する情報が記述されている。
図1(C)に示されるマトリクスについて、具体的に説明すると、例えば電線W1は、一端(始点)に設けられた端子Tf1がジョイントコネクタJ1のC/N(キャビティナンバー)No.1によって指定されるキャビティに収容され、他端(終点)に設けられた端子Tt1がコネクタC1のC/N(キャビティナンバー)No.4によって指定されるキャビティに収容されることが記述されている。
【0022】
また、
図1(A)に示されるワイヤハーネスを構成するコネクタC1〜C4の属性情報は、
図1(D)に示されるようにマトリクス状に情報が格納されている。
図1(D)に示されるマトリクスは、各コネクタCn毎の、コネクタ名称、コネクタ品番に関する情報が記述されている。
【0023】
また、
図1(A)に示されるワイヤハーネスを構成するジョイントコネクタJ1、J2の属性情報は、
図1(D)及び
図1(E)に示されるようにマトリクス状に情報が格納されている。
図1(D)に示されるマトリクスは、各ジョイントコネクタJn毎の、コネクタ名称、コネクタ品番に関する情報が記述されている。また、
図1(E)に示されるマトリクスは、各ジョイントコネクタJnが導通させる端子が記述されている。具体的に説明すると、例えばジョイントコネクタJ1は、端子Tf1(電線W1の一端に接続された端子)、端子Tf4(電線W4の一端に接続された端子)及び端子Tf5(電線W5の一端に接続された端子)が導通することが「&」の表記によって記述されている。
【0024】
図1(A)から
図1(E)を参照して説明したように、ワイヤハーネスの製品図には、ワイヤハーネス11を構成する電線W1〜W5、コネクタC1〜C4及びジョイントコネクタJ1、J2それぞれの部材に関し、オブジェクト情報Xの属性情報が記述されている。尚、ワイヤハーネスを構成する部材として電線、ジョイントコネクタ、コネクタを例に挙げて説明したが、ワイヤハーネスを構成する他の部材についても同様に属性情報がワイヤハーネスの製品図に記述されている。
【0025】
続いて、オブジェクト情報Xの機能情報について説明する。機能情報には、ワイヤハーネスを構成する各部材を描画するための手続き(描画される対象の形状、当該対象の絵柄、当該対象が配置される位置、等)が規定されている。
図1(A)に示されるワイヤハーネスを参照して、電線Wn、コネクタCn及びジョイントコネクタJnの機能情報を説明すると、コネクタCn及びジョイントコネクタJnの機能情報は、次の手続きが規定されている。
・コネクタ及びジョイントコネクタをそれぞれ、所定の半径の円形として記述すること。
・コネクタ及びジョイントコネクタを描いた円形の内部に、属性情報を参照して得られる当該コネクタのコネクタ品番を記述すること。
・コネクタ及びジョイントコネクタを描いた円形を、その円形の中心点が所定の位置と一致するよう配置すること。
【0026】
また、電線Wnの機能情報は、次の手続きが規定されている。
・電線をそれぞれ、該電線の一端に接続された端子が収容される部材と、該電線の他端に接続された端子が収容される部材と、が描画された位置を結ぶ線分として記述すること。
・電線を描いた線分の太さを、属性情報を参照して得られる当該電線の線径に応じたものとして記述すること。
・電線を描いた線分の上側に、属性情報を参照して得られる当該電線の線長及び線径を当該線分の方向に文字列が並ぶように記述すること。
【0027】
以上説明したオブジェクト情報Xの属性情報及び機能情報は、対応付けられた状態でワイヤハーネスの各部材毎に用意されている。本明細書中では、オブジェクト情報Xの属性情報を「属性データ」と称することがある。また、オブジェクト情報Xの属性情報及び機能情報に基づいて製品図に描画される図形及び文字列を「対応図形データ」と称することがある。属性情報及び機能情報によって構成されるオブジェクト情報Xを取得した解析装置は、ワイヤハーネスを構成する部材毎に対応図形データを描画してワイヤハーネスの一部または全部を構築する処理を実行する。この結果、
図1(A)に示されるワイヤハーネス11の画像が構築されるとともに、構築されたワイヤハーネスの各部材の近傍に該部材に対応する属性情報が付記される。尚、
図1(A)では、ワイヤハーネスの各部材の近傍に付記された属性情報と、参照符号と、の混同を防ぐために、付記された属性情報には下線を引いている。
【0028】
[詳細図を製品図上に描画するためのオブジェクト情報Y]
オブジェクト情報Yは、ワイヤハーネスの一部が詳細に記述された詳細図を製品図上に描画するための情報である。オブジェクト情報Yは、図形を形作る要素(点、線分の形状、曲線の形状、線分または曲線によって形作られる任意の輪郭の形状、文字列、等)についての情報が記述された属性情報と、図形を形作る要素を描画するための手続き(要素の線種、要素が配置される位置、要素の絵柄、等)を規定する機能情報と、が一対となって構成される。
【0029】
オブジェクト情報Yの属性情報及び機能情報をさらに詳細に説明する。ここでは、
図1(A)に示されるように、コネクタC2を詳細に記述する詳細
図12a、及び電線W2、W3、W5を詳細に記述する詳細
図12bを製品図上に描画する形態を一つの例として挙げる。
図2(A)及び
図2(B)はそれぞれ、詳細図の一例を示す。
図2(A)に示される詳細
図12aは、コネクタC2の斜視図を表現したものである。また、
図2(B)に示される詳細
図12bは、電線W2、W3、W5が車両に配索される際の取付構造を説明する図を表現したものである。
【0030】
図2(A)に示される詳細
図12aとして描画される図形は、オブジェクト情報Yの属性情報に記述される線分E1、曲線E2及び文字列E3の各要素がオブジェクト情報Yの機能情報によって規定される条件(線種、位置、絵柄等)で描画されることにより、構築される。例えば、規定される条件に従って複数本の線分E1が配置されることによってコネクタC2が形作られ、規定される条件に従って複数の線分E1及び曲線E2が配置されることによって外周がテープTによって巻かれた電線W2が形作られ、規定される条件に従って文字列が配置されることによってコネクタC2及び電線W2を特定するための記載が示されている。また、詳細
図12aが描かれた意図、すなわち、カーメーカー側が部品メーカー側に通知したい事項が、文字列E3「コネクタにテープをL以上巻いて納入の事」によって表現されている。尚、
図2(A)では、文字列の要素E3と、参照符号と、の混同を防ぐために、要素E3には下線を引いている。
【0031】
また、
図2(B)に示される詳細
図12bとして描画される図形は、
図2(A)と同様、オブジェクト情報Yの属性情報に記述される線分、曲線及び文字列の各要素がオブジェクト情報Yの機能情報によって規定される条件(線種、位置、絵柄等)で描画されることにより、構築される。例えば、規定される条件に従って複数本の線分、曲線、矩形状の枠体、文字列などが配置されることによって図中中央の電線W2、W3、W5とバンドB2、B3、B5の位置関係を示す図形が形作られ、規定される条件に従って複数本の線分、円形状の枠体などが配置されることによってバンドB2、B3、B5に設けられたクランプの向きを示す図形が形作られる。また、詳細
図12bが描かれた意図、すなわち、カーメーカー側が部品メーカー側に通知したい事項が、「クランプが突き出す向きを統一して納入の事」によって表現されている。
【0032】
図2(A)及び
図2(B)に示されるように、詳細
図12a、12bには、上述したオブジェクト情報Xの記述にしたがって製品図に構築されたワイヤハーネスの図形では伝えることが難しい点、すなわちオブジェクト情報Xの属性情報として規定されていない点、を説明するための図形が描画されている。このため、オブジェクト情報Yの記述にしたがって構築された詳細図は、製品図を視認する解析者には製品図中のワイヤハーネスとの関係が認識されるものの、オブジェクト情報Xの属性情報とオブジェクト情報Yとは、データ構造上、対応付けされていない。このようにオブジェクト情報Xの属性情報と対応付けされておらず、オブジェクト情報Yの属性情報及び機能情報に基づいて製品図に描画される図形及び文字列を「非対応図形データ」と称することがある。オブジェクト情報Yを取得した解析装置は、非対応図形データを描画して詳細図を構築する処理を実行する。この結果、
図1(A)に示される詳細
図12a、12bが製品図に付記される。
【0033】
尚、ここまでは、オブジェクト情報Yの属性情報として記述された要素を、オブジェクト情報Yの機能情報に記述された規定の条件に従って配置し、詳細図を構築する形態について説明した。オブジェクト情報Yのデータ構造の別の形態としては、属性情報として画像データ、または該画像データが格納された保存先を示す情報が用意されており、機能情報として該画像データを配置する位置、該画像データの拡大率・縮小率、画像データの縦横の寸法、等が記述されているものであってもよい。
【0034】
[注記を製品図上に描画するためのオブジェクト情報Z]
オブジェクト情報Zは、製品図に対する各種の注記を製品図上に描画するためのオブジェクト情報である。オブジェクト情報Zは、文字列、囲み枠及び罫線についての情報が記述された属性情報と、文字列を囲み枠内に描画するための手続き(囲み枠または罫線の線種、文字列が配置される位置、等)を規定する機能情報と、が一対となって構成される。
【0035】
オブジェクト情報Zの属性情報及び機能情報をさらに詳細に説明する。ここでは、
図1(A)に示される製品図上に注記13を描画する形態を説明する。
図3は、注記の一例を示す。注記13には、製品図に描かれたワイヤハーネスから見て取ることができない製品図に対する各種の注記(例えば、製品図の改訂版数、改訂日など)が記述されている。
【0036】
図3に示される注記13として描画される図形は、オブジェクト情報Zの属性情報に記述される文字列E4、囲い枠E5及び罫線E6の各要素がオブジェクト情報Yの機能情報によって規定される条件(線種、位置、絵柄等)で描画されることにより、構築される。
図3では、囲い枠E5及び罫線E6によって形成されるセルに、各種の文字列E4が配置されて、注記13が形作られている。
【0037】
図3に示されるように、注記13には、上述したオブジェクト情報Xの記述にしたがって製品図に構築されたワイヤハーネスの図形では伝えることが難しい点、すなわちオブジェクト情報Xの属性情報として規定されていない点、を説明するための図形が描画されている。このため、オブジェクト情報Zの記述にしたがって構築された注記は、製品図を視認する解析者には製品図中のワイヤハーネスとの関係が認識されるものの、オブジェクト情報Xの属性情報とオブジェクト情報Zとは、データ構造上、対応付けされていない。このようにオブジェクト情報Xの属性情報と対応付けされておらず、オブジェクト情報Zの属性情報及び機能情報に基づいて製品図に描画される図形及び文字列もまた、「非対応図形データ」と称することがある。オブジェクト情報Zを取得した解析装置は、非対応図形データを描画して注記を構築する処理を実行する。この結果、
図1(A)に示される注記13が製品図に付記される。
【0038】
以上、オブジェクト情報X、Y、Zが含まれる製品図のデータ構造、及びオブジェクト情報X、Y、Zの記述にしたがって構築された製品図の表示例について詳細に説明した。
【0039】
これ以降では、変更後の製品図において発生した変更点を解析装置を利用して効率的に抽出することができる手法について説明する。
【0040】
[本発明の解析装置の詳細]
本発明の実施形態の解析装置の構成について詳細に説明する。
図4は、本発明の実施形態の解析装置の機能ブロック図である。
【0041】
[本発明の解析装置の機能構成]
本発明に係る実施形態の解析装置は、入力部401、データベース部402、プログラム記憶部403、データ記憶部404、表示部405、処理部406を含んで構成される。本発明の解析装置は、例えば汎用PCによって構成される場合、入力部401はキーボード、マウス、テンキーなどの各種入力インタフェースによって実現され、データベース部402及びプログラム記憶部403は、ハードディスクドライブ(HDD)によって実現され、データ記憶部404はRAM(Random Access Memory)によって実現され、表示部405はCRTディスプレイ、液晶ディスプレイなどの各種出力デバイスによって実現され、処理部406は、CPU(Central Processing Unit)によって実現される。データベース部402には、ワイヤハーネスの製品図を記述するデータが記憶されている。また、プログラム記憶部403には、後述の[変更点抽出アルゴリズムの詳細]を処理部406に実行するためのプログラムが記録されている。また、データ記憶部404には、後述の[変更点抽出アルゴリズムの詳細]を実行している処理部406から入出力されるデータが記録される。
【0042】
[変更点抽出アルゴリズムの詳細]
本発明の実施形態の解析装置が実行する変更点抽出アルゴリズムは、次の3つのフェーズに分けられる。すなわち、属性データ比較フェーズ、非対応図形データ比較フェーズ、及び目視比較フェーズである。以下、属性データ比較フェーズ、非対応図形データ比較フェーズ、目視比較フェーズの順に説明する。
【0043】
[属性データ比較フェーズの詳細]
属性データ比較フェーズでは、次の処理を実行して、変更前の製品図及び変更後の製品図それぞれにおけるワイヤハーネスを構築する。すなわち、
(A1)変更前の製品図(以下、第1の製品図と称する。)に記述された、ワイヤハーネスを構成する任意の部材に関するオブジェクト情報Xの属性情報(以下、第1の属性データと称する。)を参照し、変更後の製品図(以下、第2の製品図と称する。)に記述されたオブジェクト情報Xの属性情報(以下、第2の属性データと称する。)との一致または不一致、及び一致する場合にはその一致の程度を判別する。
(A2−1)第1の属性データに完全一致する第2の属性データがあった場合、その第1の属性データに対応付けられた対応図形データ(以下、第1の対応図形データと称する。)を、第1の製品図に第1の表示色で表示する。
(A2−2)第1の属性データに完全一致する第2の属性データがあった場合、その第2の属性データに対応付けられた対応図形データ(以下、第2の対応図形データと称する。)を、第2の製品図に第1の表示色で表示する。
(A2−3)第1の属性データに部分一致する第2の属性データがあった場合、その第1の属性データに対応付けられた第1の対応図形データを、第1の製品図に第1の表示色とは異なる第3の表示色で表示する。
(A2−4)第1の属性データに部分一致する第2の属性データがあった場合、その第2の属性データに対応付けられた第2の対応図形データを、第2の製品図に第1の表示色とは異なる第3の表示色で表示する。
(A2−5)第2の属性データには第1の属性データに一致するものがないと判別された場合、その第1の属性データに対応付けられた第1の対応図形データを、第1の製品図に第1の表示色及び第3の表示色とは異なる第4の表示色で表示する。
(A3)第1の製品図に記述された第1の属性データ毎に上記(A1)から(A2−5)の処理を行い、全ての第1の属性データに対して上記(A1)から(A2−5)の処理の実行が完了した後、第1の属性データに完全一致するもの及び第1の属性データに部分一致するものを除く第2の属性データに対応付けられた第2の対応図形データを、第2の製品図に第1の表示色及び第3の表示色とは異なる第4の表示色で表示する。
【0044】
まず、上記(A1)の処理では、第1の属性データと第2の属性データの一致または不一致、及び一致する場合のその一致の程度を次のように判別する。すなわち、第1の製品図におけるワイヤハーネスを構成する任意の部材の第1の属性データを参照し、第2の製品図におけるワイヤハーネスを構成する全ての部材の第2の属性データと照合する。例えば、
図1(B)及び
図1(C)に示されるように電線の属性データが記述されている場合、第1の製品図から電線W1の第1の属性データ(電線識別子W1、線長L1、線形D1、始点情報J1、Tf1、No.1、終点情報C1、Tt1、No.4)のうち電線識別子W1を参照し、第2の製品図における電線識別子W1によって特定される第2の属性データを検索する。電線識別子W1によって特定される第2の属性データが存在すれば、引き続き、第1の属性データを構成する他の情報(線長L1、線形D1、始点情報J1、Tf1、No.1、終点情報C1、Tt1、No.4)のうち線長L1を参照し、第2の製品図における線長L1によって特定される第2の属性データを検索する。線長L1によって特定される第2の属性データが存在すれば、引き続き、第1の属性データを構成する他の情報(線形D1、始点情報J1、Tf1、No.1、終点情報C1、Tt1、No.4)のうち線形D1を参照する。以後、この処理を、第2の製品図における電線識別子W1によって特定される第2の属性データに対して、参照した情報に一致する、第2の属性データを構成する情報が存在する限り繰り返す。この処理の結果、第1の属性データを構成する全ての情報と一致する第2の属性データが存在した場合上記(A2−1)及び(A2−2)に進む。例えば、
図1(B)及び
図1(C)に示されるように電線の属性データが記述されている場合、第1の製品図から参照した、第1の属性データ(電線識別子W1、線長L1、線形D1、始点情報J1、Tf1、No.1、終点情報C1、Tt1、No.4)の各情報と完全に一致する第2の属性データが第2の製品図の電線に存在するときに、上記(A2−1)及び(A2−2)に進む。以後、第1の製品図におけるある部材の第1の属性データを構成する各情報の全てが、第2の製品図におけるある部材の第2の属性データを構成する各情報に一致することを完全一致と称する。
【0045】
また、上記(A1)の処理の結果、第1の属性データを構成する一部の情報と一致したものの、第1の属性データを構成する全ての情報とは一致しなかった場合上記(A2−3)及び(A2−4)に進む。例えば、
図1(B)及び
図1(C)に示されるように電線の属性データが記述されている場合、第1の製品図から参照した、第1の属性データ(電線識別子W1、線長L1、線形D1、始点情報J1、Tf1、No.1、終点情報C1、Tt1、No.4)の各情報のうち、一部の情報である電線識別子W1及び線長L1が一致するものの、別の一部の情報である線形D1が一致しない第2の属性データが第2の製品図の電線に存在するときに、上記(A2−3)及び(A2−4)に進む。以後、第1の製品図におけるある部材の第1の属性データを構成する各情報の一部が、第2の製品図におけるある部材の第2の属性データを構成する各情報の一部に一致することを部分一致と称する。
【0046】
また、上記(A1)の処理の結果、第1の属性データを構成する情報に一致するものが存在しない場合、上記(A2−5)に進む。例えば、
図1(B)及び
図1(C)に示されるように電線の属性データが記述されている場合、第1の製品図から参照した、第1の属性データ(電線識別子W1、線長L1、線形D1、始点情報J1、Tf1、No.1、終点情報C1、Tt1、No.4)の各情報のうち、電線識別子W1に一致するものが第2の製品図の第2の属性データに存在しないとき、上記(A2−5)に進む。
【0047】
上記(A2−1)及び(A2−2)の処理では、第2の属性データに完全一致した第1の属性データに対応付けられた機能情報を参照し、第1の対応図形データを第1の製品図に描画する。このとき、第1の対応図形データの表示色を灰色として描画する。また、第1の属性データに完全一致した第2の属性データに対応付けられた機能情報を参照し、第2の対応図形データを第2の製品図に描画する。このとき、第2の対応図形データの表示色を灰色として描画する。この結果、第1の製品図及び第2の製品図を出力した際には、第1の製品図から第2の製品図への変更点の無い同一の部材であることを示す灰色として第2の対応図形が表示される。
【0048】
上記(A2−3)及び(A2−4)の処理では、第2の属性データに部分一致した第1の属性データに対応付けられた機能情報を参照し、第1の対応図形データを第1の製品図に描画する。このとき、第1の対応図形データの表示色を桃色として描画する。また、第1の属性データに部分一致した第2の属性データに対応付けられた機能情報を参照し、第2の対応図形データを第2の製品図に描画する。このとき、第2の対応図形データの表示色を桃色として描画する。この結果、第1の製品図及び第2の製品図を出力した際には、第1の製品図から第2の製品図への変更が部分的に発生した部材であることを示す桃色として第2の対応図形データが表示される。
【0049】
上記(A2−5)の処理では、第1の属性データに対応付けられた機能情報を参照し、第1の対応図形データを第1の製品図に描画する。このとき、第1の対応図形データの表示色を青色として描画する。この結果、第1の製品図を出力した際には、第2の製品図では廃止された部材であることを示す青色として第1の対応図形データが表示される。
【0050】
第1の製品図に記述された第1の属性データ毎に上記(A1)から(A2−5)の処理を行い、全ての第1の属性データに対して上記(A1)から(A2−5)の処理の実行が完了したとき、第1の製品図には、第1の製品図からの変更点の無い同一の部材が灰色で、第1の製品図からの変更が部分的に発生した部材が桃色で、第2の製品図では廃止された部材が青色で、それぞれ表示されている。他方、第2の製品図には、第1の製品図からの変更点の無い同一の部材が灰色で、第1の製品図からの変更が部分的に発生した部材が桃色で、それぞれ表示され、一方、第1の製品図には存在せず第2の製品図に追加された部材が表示されていない。上記(A3)の処理では、全ての第1の属性データに対して上記(A1)から(A2−5)の処理の実行が完了したときに表示されずに残っている第2の属性データを抽出し、その第2の属性データに対応付けられた機能情報を参照し、第2の対応図形データを第2の製品図に描画する。このとき、第2の対応図形データの表示色を緑色として描画する。この結果、第2の製品図を出力した際には、第2の製品図に追加された部材であることを示す緑色として第2の対応図形データが表示される。
【0051】
尚、上記(A2−1)から(A2−4)の処理の対象になった第2の属性データにはそれぞれ、その処理が為されたことを示す識別子(フラグ)を付記しておき、上記(A3)の処理では、その識別子が付記されていない第2の属性データを抽出するようにする。
【0052】
また、上記(A3)の処理で第2の対応図形データを表示する表示色を緑色とした。これは、第1の製品図で表示される、第2の製品図では廃止された第1の対応図形データと、第2の製品図で表示される、第2の製品図に追加された第1の対応図形データと、を識別可能に表示するためである。尚、上記(A3)の処理で第2の対応図形データに表示する表示色は、灰色及び桃色以外であればよく、上記(A2−5)の処理で第2の対応図形データを表示した青色であってもよい。
【0053】
上記の(A1)〜(A2−5)の処理を、第1の製品図に記述された、ワイヤハーネスを構成する全ての部材それぞれに関する第1の属性データに関して行い、その後、上記(A3)の処理を第2の製品図に対して実行する。こうして構築された第1の製品図には、第2の製品図と共通する部材が灰色、第2の製品図において変更が部分的に発生した部材が桃色、第2の製品図において廃止された部材が青色、として、それぞれのステータスが明示的に表示される。他方、第2の製品図には、第1の製品図と共通する部材が灰色、第1の製品図からの変更が部分的に発生した部材が桃色、第2の製品図において追加された部材が緑色、として、それぞれのステータスが明示的に表示される。
図5(A)に、ワイヤハーネスのステータスが明示された第1の製品図の表示例を、
図5(B)に、ワイヤハーネスのステータスが明示された第2の製品図の表示例を、それぞれ示す。
図5(A)及び
図5(B)は、ハッチングの有無及び絵柄の違いによって表示色の違いを表現している。
【0054】
図5(A)及び
図5(B)では、第1の製品図から第2の製品図にかけて電線W4の線径がD4からD4’に変更され、第1の製品図に存在した電線W3及びコネクタC3が第2の製品図では廃止され、第1の製品図に存在しなかった電線W6及びその電線W6に接続されるコネクタC6が第2の製品図では追加されているものとする。
図5(A)に示される表示例では、第2の製品図において変更が部分的に発生した電線W4が桃色(右上から左下に向かうハッチング)に表示され、第2の製品図では廃止された電線W3及びコネクタC3が青色(白抜き、且つ枠が点線)に表示され、第1の製品図と第2の製品図に共通する他の部材が灰色(左上から右下に向かうハッチング)に表示されている。他方、
図5(B)に示される表示例では、第2の製品図において変更が部分的に発生した電線W4が桃色(右上から左下に向かうハッチング)に表示され、第2の製品図で追加された電線W6及びコネクタC6が緑色(ドットのハッチング)に表示され、第1の製品図と第2の製品図に共通する他の部材が灰色(左上から右下に向かうハッチング)に表示されている。
【0055】
このようにステータスが明示的に表示された第1の製品図または第2の製品図を視認した解析者は、ひと目で、第1の製品図に記述されたワイヤハーネスと第2の製品図に記述されたワイヤハーネスの差分を特定することができる、すなわち、部分的に変更された部材、追加された部材または廃止された部材を把握することができる。また、第1の製品図及び第2の製品図において属性データが一致するものの形状が異なるように描画されてしまう対応図形データを、変更点が無いもの(すなわち、灰色)として描画することができる。この結果、対応図形データの変更点の有無を確実に抽出することができる。
【0056】
[属性データ比較フェーズの詳細]では、上記(A2−5)の処理で第2の製品図では廃止された部材を第1の製品図中に青色で描画し、上記(A3)の処理で第2の製品図に追加された部材を第2の製品図中に緑色で描画する、とした。このように描画する以外に、第2の製品図では廃止された部材を第1の製品図中に橙色で描画し、上記(A3)の処理で第2の製品図に追加された部材を第2の製品図中に橙色で描画するようにしてもよい。このように表示する結果、第2の製品図に追加された部材を解析者が視認できるようにし、後述する「目視比較フェーズ」において、橙色で表示されている対応図形データに対して入力操作を促すようにすればよい。
【0057】
[非対応図形データ比較フェーズの詳細]
属性データ比較フェーズに続く非対応図形データ比較フェーズでは、次の処理を実行して、変更前の製品図及び変更後の製品図における詳細図及び注記を構築する。すなわち、
(B1)第1の製品図に記述された、詳細図に関するオブジェクト情報Y及び注記に関するオブジェクト情報Z、並びに、第2の製品図に記述された、詳細図に関するオブジェクト情報Y及び注記に関するオブジェクト情報Z、を抽出する。
(B2)第1の製品図に記述されたオブジェクト情報Yに基づく非対応図形データ及びオブジェクト情報Zに基づく非対応図形データ(以下、第1の非対応図形データと称する)を、第1の表示色、第3の表示色及び第4の表示色とは異なる第2の表示色で第1の製品図に表示する。
(B3)第2の製品図に記述されたオブジェクト情報Yに基づく非対応図形データ及びオブジェクト情報Zに基づく非対応図形データ(以下、第2の非対応図形データと称する)を、第1の表示色、第3の表示色及び第4の表示色とは異なる第2の表示色で第2の製品図に表示する。
【0058】
まず、上記(B1)の処理では、オブジェクト情報Y及びオブジェクト情報Zを次のように第1の製品図及び第2の製品図それぞれから抽出する。[詳細図を製品図上に描画するためのオブジェクト情報Y]及び[注記を製品図上に描画するためのオブジェクト情報Z]にて説明したように、オブジェクト情報Yの属性情報及び機能情報及びオブジェクト情報Zの属性情報及び機能情報はオブジェクト情報Xの属性情報に対応付けられていない。オブジェクト情報Xの属性情報と、オブジェクト情報Y及びZの属性情報と、はデータ構造が異なる。このデータ構造の違いを判別して、オブジェクト情報Y及びオブジェクト情報Zを抽出することができる。尚、上記(B1)の処理で抽出されるオブジェクト情報Y及びオブジェクト情報Zは、[属性データ比較フェーズの詳細]における(A1)の処理の対象にならなかったデータに相当する。このため、上記(A1)の処理の対象になったデータにはそれぞれ、その処理が為されたことを示す識別子(フラグ)を付記しておき、上記(B1)の処理では、その識別子が付記されていないデータをオブジェクト情報Y及びオブジェクト情報Zとして抽出するようにしてもよい。
【0059】
上記(B2)の処理では、抽出したオブジェクト情報Y及びオブジェクト情報Zの機能情報を参照し、第1の非対応図形データを第1の製品図に描画する。このとき、第1の非対応図形データの表示色を橙色として描画する。
【0060】
上記(B3)の処理では、抽出したオブジェクト情報Y及びオブジェクト情報Zの機能情報を参照し、第2の非対応図形データを第2の製品図に描画する。このとき、第2の非対応図形データの表示色を橙色として描画する。
【0061】
こうして構築された第1の製品図には、第1の対応図形データが灰色、桃色または青色で、他方、第1の非対応図形データがこれらの表示色とは異なる橙色で明示的に表示される。また、第2の製品図には、第2の対応図形データが灰色、桃色または緑色で、他方、第2の非対応図形データがこれらの表示色とは異なる橙色で明示的に表示される。
【0062】
このようにステータスが明示的に表示された第1の製品図または第2の製品図を視認した解析者は、ひと目で、第1の製品図に記述された詳細図及び注記、並びに、第2の製品図に記述された詳細図及び注記を特定することができる。この結果、製品図に記述されたワイヤハーネスと、製品図に記述された詳細図及び注記と、を容易に識別することができる。
【0063】
続いて、非対応図形データ比較フェーズでは、次の処理を実行して、変更前の製品図及び変更後の製品図における詳細図及び注記の表示色を変更する。すなわち、
(B4)第1の製品図に記述された詳細図を構成するオブジェクト情報Yを参照し、第2の製品図に記述された詳細図を構成するオブジェクト情報Yとの一致、不一致を判別する。同様に、第1の製品図に記述された注記を構成するオブジェクト情報Zを参照し、第2の製品図に記述された注記を構成するオブジェクト情報Zとの一致、不一致を判別する。
(B5)第1の製品図に記述されたオブジェクト情報Yに完全一致するオブジェクト情報Yが第2の製品図に有った場合、第1の製品図に記述されたそのオブジェクト情報Yに基づく第1の非対応図形データを、第1の製品図に第1の表示色で表示する。同様に、第1の製品図に記述されたオブジェクト情報Zに完全一致するオブジェクト情報Zが第2の製品図に有った場合、第1の製品図に記述されたそのオブジェクト情報Zに基づく第1の非対応図形データを、第1の製品図に第1の表示色で表示する。
(B6)第1の製品図に記述されたオブジェクト情報Yに完全一致するオブジェクト情報Yが第2の製品図に有った場合、第2の製品図に記述されたそのオブジェクト情報Yに基づく第2の非対応図形データを、第2の製品図に第1の表示色で表示する。同様に、第1の製品図に記述されたオブジェクト情報Zに完全一致するオブジェクト情報Zが第2の製品図に有った場合、第2の製品図に記述されたそのオブジェクト情報Zに基づく第2の非対応図形データを、第2の製品図に第1の表示色で表示する。
【0064】
上記(B4)の処理では、第1の製品図に記述されたオブジェクト情報Yを参照し、第2の製品図に記述されたオブジェクト情報Yとの一致、不一致を判別する。このとき、概念的には、第1の製品図に記述された詳細図及び注記を形作る各要素を参照し、第2の製品図に記述された詳細図及び注記を形作る各要素の属性情報の一致、不一致、及び機能情報の一致、不一致を判別する。すなわち、第1の製品図に記述されたあるオブジェクト情報Yの全ての要素に属性情報及び機能情報が一致するオブジェクト情報Yが第2の製品図にあれば、第2の製品図に記述されたそのオブジェクト情報Yが第1の製品図にも記述されていると判別する。他方、第1の製品図に記述されたあるオブジェクト情報Yの一部の要素に属性情報及び機能情報が一致するオブジェクト情報Yが第2の製品図にあれば、或いは、第1の製品図に記述されたあるオブジェクト情報Yのいずれの要素にも一致するオブジェクト情報Yが第2の製品図に無ければ、第1の製品図に記述されているオブジェクト情報Yに対応するオブジェクト情報Yが第2の製品図に存在しないと判別する。尚、各要素の属性情報の一致、不一致、及び機能情報の一致、不一致を判別するにあたって、要素の機能情報のうち、当該要素の描画位置を規定する手続きの一致、不一致を最初に判別するようにすれば、効率的に要素の一致、不一致を判別することができる(描画位置が異なる場合、それらの要素は異なる要素である蓋然性が高いため。)。同様の処理を第1の製品図に記述されたオブジェクト情報Zと、第2の製品図に記述されたオブジェクト情報Zと、に対して実行する。
【0065】
上記(B5)の処理では、第1の製品図に記述されたオブジェクト情報Yに完全一致した第2の製品図に記述されたオブジェクト情報Yが存在すれば、第1の製品図に記述されたオブジェクト情報Yに基づいて第1の非対応図形データを第1の製品図に描画する。このとき、第1の非対応図形データの表示色を灰色として描画する。この結果、第1の製品図を出力した際には、第1の製品図からの変更点の無い詳細図であることを示す灰色として第1の非対応図形データが表示される。同様の処理を、第1の製品図及び第2の製品図に記述されたオブジェクト情報Zに対して実行する。
【0066】
上記(B6)の処理では、第1の製品図に記述されたオブジェクト情報Yに完全一致した第2の製品図に記述されたオブジェクト情報Yが存在すれば、第2の製品図に記述されたオブジェクト情報Yに基づいて第2の非対応図形データを第2の製品図に描画する。このとき、第2の非対応図形データの表示色を灰色として描画する。この結果、第2の製品図を出力した際には、第1の製品図からの変更点の無い詳細図であることを示す灰色として第2の非対応図形データが表示される。同様の処理を、第1の製品図及び第2の製品図に記述されたオブジェクト情報Zに対して実行する。
【0067】
上記の(B4)〜(B6)の処理を、第1の製品図に記述されたオブジェクト情報Y及びオブジェクト情報Zそれぞれに関して行い、詳細図及び注記の変更点の抽出処理を終了する。この抽出処理の結果、第1の製品図及び第2の製品図それぞれにおいて、2つの製品図間で図形の形状が一致しない詳細図及び注記は、上記の(B2)及び(B3)の処理で設定された橙色のまま表示色が維持される。他方、2つの製品図間で図形の形状が一致する詳細図及び注記は、上記の(B5)及び(B6)の処理で表示色が灰色に変更される。
図6(A)に、ワイヤハーネス、詳細図及び注記のステータスが明示された第1の製品図の表示例を、
図6(B)に、ワイヤハーネス、詳細図及び注記のステータスが明示された第2の製品図の表示例を、それぞれ示す。
図6(A)及び
図6(B)は、ハッチングの有無及び絵柄の違いによって表示色の違いを表現している。
【0068】
図6(A)及び
図6(B)では、第1の製品図から第2の製品図にかけて詳細
図12bが変更されているものとする。
図6(A)に示される表示例では、第2の製品図において変更が発生した詳細
図12bが橙色(右上から左下、左上から右下に向かう線部が交差するハッチング)に表示され、第1の製品図と第2の製品図に共通する詳細
図12a及び注記13が灰色(左上から右下に向かうハッチング)に表示されている。他方、
図6(B)に示される表示例では、第2の製品図において変更が発生した詳細
図12bが橙色(右上から左下、左上から右下に向かう線部が交差するハッチング)に表示され、第1の製品図と第2の製品図に共通する詳細
図12a及び注記13が灰色(左上から右下に向かうハッチング)に表示されている。
【0069】
このようにステータスが明示的に表示された第1の製品図または第2の製品図を視認した解析者は、ひと目で、第1の製品図に記述された詳細図及び注記のうち第2の製品図では変更された点、及び、第2の製品図に記述された詳細図及び注記のうち第1の製品図から変更された点を特定することができる。この結果、製品図に記述された詳細図及び注記のうちの変更が発生した箇所のみを容易に識別することができる。これはつまり、解析者は橙色で表示された詳細図及び注記のみを確認すればよいことになり、確認作業に要する労力を低減することができる。
【0070】
尚、[非対応図形データ比較フェーズの詳細]では、第2の製品図において詳細
図12aの変更が発生した場合、第1の製品図及び第2の製品図に記述された詳細
図12aが橙色として表示されることを説明した。変更が発生した詳細
図12aを表示するにあたって、変更が発生した詳細
図12a全体を橙色として表示してもよい。具体的には、ある詳細図を記述するオブジェクト情報Yの一部の要素が第1の製品図と第2の製品図とで異なる場合、そのオブジェクト情報Yの全ての要素を橙色として表示する。例えば、
図2(A)に示す詳細図が
図7(A)に示す詳細図のようにコネクタC2のキャビティ開口を表す要素E7の形状及び個数が変更された場合、その要素E7を含むオブジェクト情報Yの全ての要素を橙色として表示する(
図7(A)では点線により橙色を表現している。)。
【0071】
あるいは、変更が発生した詳細
図12aの変更箇所のみを橙色として表示し、当該詳細
図12aの変更箇所以外の部分を灰色として表示するようにしてもよい。具体的には、ある詳細図を記述するオブジェクト情報Yの一部の要素が第1の製品図と第2の製品図とで異なる場合、そのオブジェクト情報Yの一部の要素を橙色として表示し、その他の要素を灰色として表示する。例えば、
図2(A)に示す詳細図が
図7(B)に示す詳細図のようにコネクタC2のキャビティ開口を表す要素E7の形状及び個数が変更された場合、その要素E7を橙色として表示し、オブジェクト情報Yのその他の要素を灰色として表示する(
図7(A)では点線により橙色を、実線により灰色を表現している。)。
【0072】
[目視比較フェーズの詳細]
属性データ比較フェーズ及び非対応図形データ比較フェーズを経て出力される製品図は、ワイヤハーネスが灰色、桃色、青色または緑色で表示され、詳細図及び注記が灰色または橙色で表示されている。このように色分けされた第1の製品図及び第2の製品図では、詳細図及び注記は、第1の製品図及び第2の製品図間で変更が有った箇所については識別されるものの、その変更の内容、つまり、第1の製品図からの変更が部分的に発生したものなのか、第2の製品図において廃止されたものなのか、または、第2の製品図に追加されたものなのか、については識別されていない。このため、解析者は、詳細図及び注記を確認してその変更の内容を判断する必要がある。目視比較フェーズは、解析者が詳細図及び注記の変更の内容を判断する作業を補助することを目的としている。以下、目視比較フェーズを
図8(A)及び
図8(B)を参照して説明する。
【0073】
解析者は、属性データ比較フェーズ及び非対応図形データ比較フェーズを経て構築された製品図をモニター上に表示させた状態で橙色で表示されている詳細図を指定することができる。例えば、解析装置に接続されたマウスを操作しポインタを該当詳細図に合わせクリックすることで詳細図を指定する。
【0074】
解析装置は、橙色で表示されている詳細図を指定する入力操作を解析者から受け付けると、解析者に指定された詳細図が、第1の製品図から部分的な変更が発生したものなのか、第2の製品図に追加されたものなのか、または第2の製品図では廃止されたものなのか、その選択を促すメニューM1、M2を表示させる。
図8(A)に示される第1の製品図の表示例では、詳細
図12bが解析者によって指定され、第1の製品図から部分的な変更が発生したものであることを解析装置に通知する項目「変更」、及び第2の製品図では廃止されたものであることを解析装置に通知する項目「廃止」が、メニューM1によって選択可能に表示されている(尚、第2の製品図に追加されたものであることを解析装置に通知する項目「追加」は、選択不能に表示されている。)。また、
図8(B)に示される第2の製品図の表示例では、詳細
図12bが解析者によって指定され、第1の製品図から部分的な変更が発生したものであることを解析装置に通知する項目「変更」、及び第2の製品図に追加されたものであることを解析装置に通知する項目「追加」が、メニューM2によって選択可能に表示されている(尚、第2の製品図では廃止されたものであることを解析装置に通知する項目「廃止」は、選択不能に表示されている。)。
【0075】
解析装置は、上記メニューM1、M2のいずれかの項目を指定する入力操作を解析者から受け付けると、詳細
図12bの表示色を指定された項目に対応する色に変更する。解析装置は、項目「変更」を指定する入力操作を受け付けると詳細
図12bの表示色を桃色に変更し、項目「追加」を指定する入力操作を受け付けると詳細
図12bの表示色を緑色に変更し、項目「廃止」を指定する入力操作を受け付けると詳細
図12bの表示色を青色に変更する。
【0076】
解析者は、橙色で表示されている非対応図形データ(すなわち詳細図及び注記)全てに対してこの一連の処理を実施する。この際、解析者が任意の非対応図形データに対する入力操作を実施する度に当該非対応図形データの表示色が橙色以外のものに変更されていく。この結果、解析者は、自身が入力操作し終えた非対応図形データを覚えておくことなく、橙色で表示されている非対応図形データが無くなるまで非対応図形データに対して入力操作を行えばよいため、解析者が詳細図及び注記の変更の内容を判断する作業の効率化が図られる。
【0077】
以上、本発明の実施形態の解析装置が実行する変更点抽出アルゴリズムについて詳細に説明した。本発明の実施形態の解析装置が属性データ比較フェーズ、非対応図形データ比較フェーズ、及び目視比較フェーズを順を追って実行することによって、解析者は、解析装置のモニターに出力された第1の製品図及び第2の製品図を視て、第2の製品図に発生した第1の製品図からの変更点を把握することができ、且つ、その変更点の内容(変更、追加、廃止)を製品図にデータとして簡易に書き加えることができる。このため、本発明によれば、製品図の変更点を解析者が短期間で抽出できるとともに、変更点を抽出し忘れてしまうことを抑制することができる。
【0078】
尚、本発明の実施形態では、属性データ比較フェーズ、非対応図形データ比較フェーズ、及び目視比較フェーズを順を追って実行する形態について説明した。この形態であれば、一連の処理で、製品図中に対応図形データ及び非対応図形データを表示することができる。また、この一連の処理のなかで属性データ比較フェーズを実行することにより、対応図形データが属性データ比較フェーズにて抽出され、属性データ比較フェーズにて抽出されずに残った非対応図形データが非対応図形データ比較フェーズでのデータ処理の対象となる。このため、非対応図形データを効率的に且つ確実に抽出することができる。特別な状況として製品図中に属性データの記述が存在しない場合、つまり、製品図中に対応図形データが記述されておらず非対応図形データのみが記述されている場合もあり得る。この場合であっても、上記の一連の処理によって非対応図形データを確実に抽出することができる。このように、上記の一連の処理は、製品図中の属性データの有無に関わらず、実行することができる。
【0079】
或いは、製品図中に属性データの記述が存在せず製品図中に非対応図形データの記述のみが存在し、属性データの比較が不要であることが分かっている場合には、製品図中に対応図形データを表示せずに非対応図形データのみを表示し、その非対応図形データの変更点の確認だけを行うことも可能である。この場合には、属性データ比較フェーズは実行せず、非対応図形データ比較フェーズ及び目視比較フェーズを順を追って実行すればよい。このため、属性データ比較フェーズは本発明に必須の処理ではない。
【0080】
[変更点抽出アルゴリズムの変形例の詳細]
本発明の実施形態の解析装置が実行する変更点抽出アルゴリズムは、属性データ比較フェーズを次のようにすることもできる。以下、属性データ比較フェーズの変形例を説明する。項目[変更点抽出アルゴリズムの詳細]にて説明した変更点抽出アルゴリズムと比べると、属性データ比較フェーズに(A0)の処理が追加された点が異なり、これに伴い、(A1)から(A2−5)の処理が変更されている。
【0081】
[属性データ比較フェーズの変形例の詳細]
属性データ比較フェーズの変形例では、次の処理を実行して、第2の製品図それぞれにおけるワイヤハーネスを構築する。すなわち、
(A0)第1の製品図に記述された第1の属性データを参照し、第1の対応図形データの全てを、第1の製品図に第2の表示色で表示する。また、第2の製品図に記述された第2の属性データを参照し、第2の対応図形データの全てを、第2の製品図に第2の表示色で表示する。
(A1)第1の製品図に記述された第1の属性データを参照し、第2の製品図に記述された第2の属性データとの一致または不一致、及び一致する場合にはその一致の程度を判別する。
(A2−1)第1の属性データに完全一致する第2の属性データがあった場合、その第1の属性データに対応付けられた第1の対応図形データの表示色を第1の表示色に変更して、第1の製品図に表示する。
(A2−2)第1の属性データに完全一致する第2の属性データがあった場合、その第2の属性データに対応付けられた第2の対応図形データの表示色を第1の表示色に変更して、第2の製品図に表示する。
(A2−3)第1の属性データに部分一致する第2の属性データがあった場合、その第1の属性データに対応付けられた第1の対応図形データの表示色を第3の表示色に変更して、第1の製品図に表示する。
(A2−4)第1の属性データに部分一致する第2の属性データがあった場合、その第2の属性データに対応付けられた第2の対応図形データの表示色を第3の表示色に変更して、第2の製品図に表示する。
(A2−5)第2の属性データには第1の属性データに一致するものがないと判別された場合、その第1の属性データに対応付けられた第1の対応図形データを、第1の製品図に第1の表示色及び第3の表示色とは異なる第4の表示色で表示する。
【0082】
まず、上記(A0)の処理では、第1の対応図形データを第1の製品図に描画する。このとき、第1の対応図形データの表示色を橙色として描画する。また、第2の対応図形データを第2の製品図に描画する。このとき、第2の対応図形データの表示色を橙色として描画する。
【0083】
上記(A1)の処理では、第1の属性データと第2の属性データの一致または不一致、及び一致する場合のその一致の程度を判別する。尚、上記(A1)の処理は、[属性データ比較フェーズの詳細]にて述べた通りであるため、ここでの詳細な説明を省略する。
【0084】
上記(A2−1)の処理では、第2の属性データに完全一致した第1の属性データに対応付けられた機能情報を参照し、第1の対応図形データを第1の製品図に描画する。このとき、第1の対応図形データの表示色を橙色から灰色へ変更して描画する。この結果、第1の製品図を出力した際には、第2の製品図への変更点の無い同一の部材であることを示す灰色として第2の対応図形が表示される。
【0085】
上記(A2−2)の処理では、第1の属性データに完全一致した第2の属性データに対応付けられた機能情報を参照し、第2の対応図形データを第2の製品図に描画する。このとき、第2の対応図形データの表示色を橙色から灰色へ変更して描画する。この結果、第2の製品図を出力した際には、第1の製品図からの変更点の無い同一の部材であることを示す灰色として第2の対応図形が表示される。
【0086】
上記(A2−3)の処理では、第2の属性データに部分一致した第1の属性データに対応付けられた機能情報を参照し、第1の対応図形データを第1の製品図に描画する。このとき、第1の対応図形データの表示色を橙色から桃色へ変更して描画する。この結果、第1の製品図を出力した際には、第1の製品図からの変更が部分的に発生した部材であることを示す桃色として第1の対応図形データが表示される。
【0087】
上記(A2−4)の処理では、第1の属性データに部分一致した第2の属性データに対応付けられた機能情報を参照し、第2の対応図形データを第2の製品図に描画する。このとき、第2の対応図形データの表示色を橙色から桃色へ変更して描画する。この結果、第2の製品図を出力した際には、第1の製品図からの変更が部分的に発生した部材であることを示す桃色として第2の対応図形データが表示される。
【0088】
上記(A2−5)の処理では、第1の属性データに対応付けられた機能情報を参照し、第1の対応図形データを第1の製品図に描画する。このとき、第1の対応図形データの表示色を青色として描画する。この結果、第1の製品図を出力した際には、第2の製品図では廃止された部材であることを示す青色として第1の対応図形データが表示される。
【0089】
上記(A0)の処理から開始し、第1の製品図に記述された第1の属性データ毎に上記(A1)から(A2−4)の処理を行い、全ての第1の属性データに対して上記(A1)から(A2−4)の処理の実行が完了したとき、第1の製品図には、第1の製品図からの変更点の無い同一の部材が灰色で、第1の製品図からの変更が部分的に発生した部材が桃色で、第2の製品図では廃止された部材が青色で、それぞれ表示されている。他方、第2の製品図には、第1の製品図からの変更点の無い同一の部材が灰色で、第1の製品図からの変更が部分的に発生した部材が桃色で、第2の製品図に追加された部材が橙色で、それぞれ表示されている。
【0090】
こうして構築された第2の製品図には、第1の製品図と共通する部材が灰色、第1の製品図からの変更が部分的に発生した部材が桃色、第2の製品図において追加された部材が橙色、として、それぞれのステータスが明示的に表示される。
図9に、ワイヤハーネスのステータスが明示された第2の製品図の表示例を示す。
図9は、ハッチングの有無及び絵柄の違いによって表示色の違いを表現している。
【0091】
図9では、第1の製品図から第2の製品図にかけて電線W4の線径がD4からD4’に変更され、第1の製品図に存在した電線W3及びコネクタC3が第2の製品図では廃止され、第1の製品図に存在しなかった電線W6及びその電線W6に接続されるコネクタC6が第2の製品図では追加されているものとする。
図9に示される表示例では、第2の製品図において変更が部分的に発生した電線W4が桃色(右上から左下に向かうハッチング)に表示され、第2の製品図で追加された電線W6及びコネクタC6が橙色(右上から左下、左上から右下に向かう線部が交差するハッチング)に表示され、第1の製品図と第2の製品図に共通する他の部材が灰色(左上から右下に向かうハッチング)に表示されている。
【0092】
このようにステータスが明示的に表示された第2の製品図を視認した解析者は、ひと目で、第1の製品図に記述されたワイヤハーネスと第2の製品図に記述されたワイヤハーネスの差分を特定することができる、すなわち、部分的に変更された部材、追加された部材を把握することができる。
【0093】
[属性データ比較フェーズの変形例]では、上記の(A0)の処理を実行することにより、第2の製品図に記述される第2の対応図形データの全てが、一旦橙色で表示される。このため、(A2−2)の処理で灰色として表示された第2の対応図形及び(A2−4)の処理で桃色として表示された第2の対応図形を除く第2の対応図形は、橙色で表示されたままである。こうして、第1の製品図に存在せず第2の製品図で追加された部材をひと目で識別することができる。このように第2の製品図に追加された部材を解析者が視認できるようにした後、上述した「目視比較フェーズ」において、橙色で表示されている対応図形データに対して入力操作を促すようにすればよい。
【0094】
また、[属性データ比較フェーズの変形例]では、上記の(A0)の処理を実行する際、[非対応図形データ比較フェーズの詳細]における(B1)から(B3)の処理を実行してもよい。すなわち、第1の製品図に、第1の対応図形データ及び第1の非対応図形データの全てを、第1の製品図に第2の表示色(すなわち、橙色)で表示し、さらに、第2の製品図に、第2の対応図形データ及び第2の非対応図形データの全てを、第2の製品図に第2の表示色(すなわち、橙色)で表示してもよい。このような処理にすれば、属性データ比較フェーズの始まりから非対応図形データ比較フェーズの終わりにかけて、(A1)から(A2−5)の処理及び(B4)から(B6)の処理が完了する毎に橙色で表示される対象が減少していく。この結果、橙色のまま残った対象が目視比較フェーズで処理されるべきものとなる。この一連の処理により、属性データ比較フェーズから目視比較フェーズへと解析者を案内することができるため、より好ましいユーザインタフェースを提供することができる。
【0095】
[変更点抽出アルゴリズムの応用例]
[応用例1]
[変更点抽出アルゴリズムの詳細]の[非対応図形データ比較フェーズの詳細]では、第1の製品図に記述されたオブジェクト情報Yを参照し、第2の製品図に記述されたオブジェクト情報Yとの一致、不一致を判別するにあたって、各要素の属性情報及び機能情報の一致、不一致を判別することを説明した((B4)の処理)。この処理によってオブジェクト情報Yの一致、不一致を判別する場合、次の点が課題となる。すなわち、
図10(A)に示される第1の製品図に記述された詳細
図12bの位置と、
図10(B)に示される第2の製品図に記述された詳細
図12b’の位置と、が異なる場合、それらの詳細図内部に描画される要素が同一であったとしても、詳細
図12bのオブジェクト情報Yと詳細
図12b’のオブジェクト情報Yとは不一致と判別される。
【0096】
ところで、製品図において、詳細図及び注記は、展開されたワイヤハーネスが描かれていない製品図の空いた領域に記述されている。このため、製品図に描かれるワイヤハーネスの形状が変更され製品図の空いた領域の形状及び位置が変更されると、詳細図及び注記の中身の要素は変更されずに詳細図及び注記全体の描画される位置が変更されることがある。このような場合、従来、解析者は、変更前及び変更後の詳細図または注記が描画された位置を特定するとともに、詳細図または注記の中身の要素が同一とは限らないため、その中身の要素についても確認していた。
【0097】
そこで、本発明の実施形態の解析装置が実行する変更点抽出アルゴリズムは、非対応図形データ比較フェーズの処理において次の機能を追加し、解析者による解析作業の負担の低減を図る。
(B7)(B5)の処理の後、第1の製品図に第2の表示色で表示された第1の非対応図形データのうちの任意のものを指定する入力操作を受け付ける。
(B8)(B6)の処理の後、第2の製品図に第2の表示色で表示された第2の非対応図形データのうちの任意のものを指定する入力操作を受け付ける。
(B9)第1の非対応図形データに基準位置P1を、第2の非対応図形データに基準位置P2を設定し、それらの基準位置P1、P2を一致させた状態において、第1の非対応図形データを形作る各要素と、第2の非対応図形データを形作る各要素との一致、不一致を判別する。
(B5’)第1の非対応図形データを形作る各要素と、第2の非対応図形データを形作る各要素とが一致する場合、第1の非対応図形データを第1の製品図に第1の表示色で表示する。
(B6’)第1の非対応図形データを形作る各要素と、第2の非対応図形データを形作る各要素とが一致する場合、第2の非対応図形データを第2の製品図に第1の表示色で表示する。
【0098】
上記(B7)及び(B8)の処理では、解析者は、製品図をモニター上に表示させた状態で橙色で表示されている詳細図または注記を指定することができる。例えば、解析装置に接続されたマウスを操作しポインタを該当詳細図または注記に合わせクリックすることで詳細図を指定する。
【0099】
上記(B9)の処理では、指定された詳細図または注記において、最も左側に描画される要素のうちその最も下側に位置する点を基準位置として設定する。
図10(A)では詳細
図12bの基準位置がP1とされ、
図10(B)では詳細
図12b’の基準位置がP2とされている。尚、設定される基準位置は左下に限られるものではなく、所定の規則に則って第1の非対応図形データ及び第2の非対応図形データに設定されさえすればよい。こうして設定された基準位置P1、P2を基準とした場合の描画位置に、第1の非対応図形データを形作る各要素の機能情報及び第2の非対応図形データを形作る各要素の機能情報を書き換え、第1の非対応図形データを形作る各要素と、第2の非対応図形データを形作る各要素との一致、不一致を判別する。
【0100】
上記(B5’)の処理では、第1の非対応図形データを形作る各要素と、第2の非対応図形データを形作る各要素とが一致する場合、第1の非対応図形データを第1の製品図に灰色の表示色で表示する。この結果、第1の製品図を出力した際には、第1の製品図からの変更点の無い詳細図であることを示す灰色として第1の非対応図形データが表示される。
【0101】
上記(B6’)の処理では、第1の非対応図形データを形作る各要素と、第2の非対応図形データを形作る各要素とが一致する場合、第2の非対応図形データを第2の製品図に灰色の表示色で表示する。この結果、第2の製品図を出力した際には、第2の製品図からの変更点の無い詳細図であることを示す灰色として第2の非対応図形データが表示される。
【0102】
このように、詳細図及び注記の中身の要素は変更されずに詳細図及び注記全体の描画される位置が変更された場合であっても、解析者は、解析装置のモニターに出力された第1の製品図及び第2の製品図を視て、その変更点の有無を製品図にデータとして正確に書き加えることができる。このため、本発明によれば、製品図の変更点を解析者が短期間で抽出できるとともに、変更点を抽出し忘れてしまうことを抑制することができる。
【0103】
[応用例2]
[変更点抽出アルゴリズムの詳細]の[非対応図形データ比較フェーズの詳細]では、第1の製品図に記述されたオブジェクト情報Yを参照し、第2の製品図に記述されたオブジェクト情報Yとの一致、不一致を判別するにあたって、各要素の属性情報及び機能情報の一致、不一致を判別することを説明した((B4)の処理)。この処理によってオブジェクト情報Yの一致、不一致を判別する場合、次の点が課題となる。すなわち、
図11(A)に示される第1の製品図に記述された詳細
図12bを形作る要素と、
図11(B)に示される第2の製品図に記述された詳細
図12b’を形作る要素と、が形状は共通するものの描画される位置が異なる場合、詳細
図12bのオブジェクト情報Yと詳細
図12b’のオブジェクト情報Yとは不一致と判別される。
【0104】
[応用例1]で説明したように、製品図において、詳細図及び注記は、展開されたワイヤハーネスが描かれていない製品図の空いた領域に記述されている。このため、製品図に描かれるワイヤハーネスの形状が変更され製品図の空いた領域の形状及び位置が変更されると、詳細図及び注記の中身の要素の形状には共通性が見られるものの要素の描画される位置が変更されることがある。このような場合、従来、解析者は、変更前及び変更後の詳細図または注記の中身の要素について確認していた。
【0105】
そこで、本発明の実施形態の解析装置が実行する変更点抽出アルゴリズムは、非対応図形データ比較フェーズの処理において次の機能を追加し、解析者による解析作業の負担の低減を図る。
(B10)(B5)の処理の後、第1の製品図に第2の表示色で表示された第1の非対応図形データのうちの任意のものを指定する入力操作、及び指定された第1の非対応図形データの任意の要素を指定する入力操作を受け付ける。
(B11)(B6)の処理の後、第2の製品図に第2の表示色で表示された第2の非対応図形データのうちの任意のものを指定する入力操作、及び指定された第2の非対応図形データの任意の要素を指定する入力操作を受け付ける。
(B12)第1の非対応図形データのうちの指定された要素の集合に基準位置P1を、第2の非対応図形データのうちの指定された要素の集合に基準位置P2を設定し、それらの基準位置P1、P2を一致させた状態において、第1の非対応図形データのうちの指定された要素の集合と、第2の非対応図形データのうちの指定された要素の集合との一致、不一致を判別する。
(B5’’)第1の非対応図形データのうちの指定された要素の集合と、第2の非対応図形データのうちの指定された要素の集合とが一致する場合、第1の非対応図形データのうちの指定された要素の集合を第1の製品図に第1の表示色で表示する。
(B6’’)第1の非対応図形データのうちの指定された要素の集合と、第2の非対応図形データのうちの指定された要素の集合とが一致する場合、第2の非対応図形データのうちの指定された要素の集合を第2の製品図に第1の表示色で表示する。
【0106】
上記(B10)及び(B11)の処理では、解析者は、製品図をモニター上に表示させた状態で橙色で表示されている詳細図または注記を指定することができる。例えば、解析装置に接続されたマウスを操作しポインタを該当詳細図または注記に合わせクリックすることで詳細図を指定する。さらに、解析者は、指定された詳細図または注記を構成する一部の要素を指定することができる。例えば、解析装置に接続されたマウスを操作しポインタによって範囲選択した領域内に位置する要素の集合を指定する。
【0107】
上記(B12)の処理では、指定された要素の集合において、これらの要素の集合を囲む最も小さい長方形(
図11(A)及び
図11(B)で点線で描かれた長方形)のうち、その左下に位置する点を基準位置として設定する。
図11(A)では点線で描かれた長方形の左下が基準位置Q1とされ、
図11(B)では点線で描かれた長方形の左下が基準位置Q2とされている。尚、設定される基準位置は左下に限られるものではなく、所定の規則に則って第1の非対応図形データ及び第2の非対応図形データに設定されさえすればよい。こうして設定された基準位置Q1、Q2を基準とした場合の描画位置に、第1の非対応図形データのうちの指定された各要素の機能情報及び第2の非対応図形データのうちの指定された各要素の機能情報を書き換え、第1の非対応図形データのうちの指定された各要素と、第2の非対応図形データのうちの指定された各要素との一致、不一致を判別する。
【0108】
上記(B5’’)の処理では、第1の非対応図形データのうちの指定された各要素と、第2の非対応図形データのうちの指定された各要素とが一致する場合、第1の非対応図形データのうちの指定された各要素を第1の製品図に灰色の表示色で表示する。この結果、第1の製品図を出力した際には、詳細図のうちの指定された要素が変更されていないことを示す灰色として第1の非対応図形データが表示される。
【0109】
上記(B6’’)の処理では、第1の非対応図形データのうちの指定された各要素と、第2の非対応図形データのうちの指定された各要素との一致する場合、第2の非対応図形データのうちの指定された各要素を第2の製品図に灰色の表示色で表示する。この結果、第2の製品図を出力した際には、詳細図のうちの指定された要素が変更されていないことを示す灰色として第2の非対応図形データが表示される。
【0110】
このように、詳細図及び注記の中身の要素の描画位置が変更された場合であっても、解析者は、解析装置のモニターに出力された第1の製品図及び第2の製品図を視て、その変更点の有無を製品図にデータとして正確に書き加えることができる。このため、本発明によれば、製品図の変更点を解析者が短期間で抽出できるとともに、変更点を抽出し忘れてしまうことを抑制することができる。
【0111】
以上、本発明の解析装置、解析方法及びプログラムによれば、解析者は、解析装置のモニターに出力された第1の製品図及び第2の製品図を視て、第2の製品図に発生した第1の製品図からの変更点を把握することができ、且つ、その変更点の内容(変更、追加、廃止)を製品図にデータとして簡易に書き加えることができる。このため、製品図の変更点を解析者が短期間で抽出できるとともに、変更点を抽出し忘れてしまうことを抑制することができる。