(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
船灯に関しては、例えば船舶安全法などの法規に準拠する必要がある。この法規では軸方向の所定範囲にわたって所定値以上の光度を実現しなければならないことや、周方向の所定角度にわたって所定値以上の光度を実現しなければならないことなどが規定されている。しかしながら、例えば特許文献1に記載の船灯は、LEDの発光光を反射鏡にて集光させ、凸レンズにて更に集光させている。二段階での制御を必要としており、上記法規に準拠することは容易ではない。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、周方向および軸方向の所定範囲にわたって所定値以上の光度を実現することができる灯器用リフレクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る灯器用光源ユニットは、光源基板と、リフレクタと、支持体とを具備する。
上記光源基板は、単数又は複数の光源を搭載する。
上記リフレクタは、ベース部と、頂部と、上記ベース部と上記頂部との間に設けられ上記光源からの出射光を反射することが可能な反射部とを有する。上記反射部は、上記頂部を中心とする回転曲線からなる曲面体と、上記曲面体上に設けられ上記頂部を中心として同心円状に配列された複数の環状凸面部とを含む。
上記支持体は、上記反射部で反射された光を透過させる周壁部を有し、上記光源基板および上記リフレクタを支持する。
【0009】
従来のリフレクタの多くは、反射面が連続鏡面で構成されていたため、光源の配置誤差や周辺の付属物による影響をシビアに受けてしまい、周方向あるいは軸方向への光度のバラツキが生じやすかった。これに対して本発明では、反射部が複数の環状凸面部を有しているため、個々の環状凸面部における光の拡散機能により、光源の配置誤差や周辺の付属物による影響を緩和するようにしている。これにより周方向および軸方向の所定範囲にわたって光度のバラツキを抑えつつ、所定値以上の光度を実現することが可能となる。
【0010】
上記支持体は、第1の支持部と、第2の支持部とを有してもよい。上記第1の支持部は、上記周壁部の一端に設けられ、上記光源基板を支持する。上記第2の支持部は、上記周壁部の他端に設けられ、上記ベース部を支持する。
これにより、光出射領域を制限することなく光源基板およびリフレクタを支持することができる。
【0011】
上記頂部は、上記光源基板に固定される平面部を有してもよい。この場合、上記光源は、上記平面部の周囲に等角度間隔で配置された複数の光源を含む。
これにより、複数の光源とリフレクタとの相対位置関係を規定することができる。
【0012】
上記構成において、上記第2の支持部は、上記ベース部と係合可能な係合部を有してもよい。
これにより、上記平面部における位置決め作用を維持しつつ、支持体によってリフレクタを安定に支持することができる。
【0013】
一方、頂部は、先鋭部を有してもよい。この場合、上記光源は、上記先鋭部と対向する単一の光源を含む。
この構成により、単一の光源で周方向へ光を照射することができる。
【0014】
上記構成において、上記ベース部は、上記周壁部に対向する環状の第1の斜面部を有してもよい。この場合、上記第2の支持部は、上記第1の斜面部と接し上記先鋭部を上記光源の直上位置へ案内する環状の第2の斜面部を有する。
これにより、光源とリフレクタとの相対位置関係を規定することができる。
【0015】
上記灯器用光源ユニットは、上記光源基板に電気的に接続された回路基板をさらに具備してもよい。この場合、上記第1の支持部は、上記光源基板を支持する第1の面と、上記回路基板を支持し上記第1の面とは反対側の第2の面とを有する。
これにより、光出射領域を制限することなく回路基板を設置することができる。
【0016】
上記複数の環状凸面部は、上記頂部から上記ベース部に向かって配列ピッチが大きくなるように構成されてもよい。
これにより曲面体の曲率の変化に応じて環状凸面部の配列ピッチを最適化することができ、光学設計自由度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上、本発明によれば、周方向および軸方向の所定範囲にわたって所定値以上の光度を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0020】
1.船灯の一般的説明
本発明の実施形態に係る灯器として、船体に設置される船灯について説明する。
図19は、船体への船灯の配置例を示す。一般的に、船体1000は、船首灯1001、船尾灯1002、中央のマスト灯1003、また、右舷灯および左舷灯でなる舷灯1004を有する。これら各種の灯器による射光範囲は、船舶安全法に準拠したものとなっている。船舶の大きさに違いによって、船灯の設置数が異なり、例えば小さいサイズの船舶の場合、左右舷灯が一体となった1つの舷灯が用いられ場合もある。
【0021】
具体的には、船首灯1001および中央マスト灯の射光範囲が、船首の方向を中心として225°と規定され、船尾灯1002の射光範囲が、船尾の方向を中心として135°と規定されている。また、舷灯1004の射光範囲が、船首方向からそれぞれ左方向および右方向へ112.5°と規定されている。
【0022】
船灯には、常用灯のみの単式、常用灯および予備灯が一体となった二重式がある。遠洋区域を航行する船舶は、主に二重式の船灯が用いられる。
【0023】
<第1の実施形態>
(灯器の全体構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る灯器として単式の船灯の正面側を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す灯器100の背面側を示す斜視図である。
図3は、この灯器100の分解斜視図である。灯器100は、
図1中、z方向を上下方向(縦方向)として主に使用される。また、以降の説明では、z方向を上下方向とし、xおよびy方向を水平面内の直交する2軸方向とする。
【0024】
灯器100は、光源ユニット10(
図3参照)と、この光源ユニット10を収容する収容体50と、灯器100からの射光範囲を画定するルーバ90と、収容体50の上下にそれぞれ接続された端部部材60とを備える。
【0025】
収容体50は、例えば透光性を有するアウターカバー(カバー)20と、このアウターカバー20に装着されたベースカバー30とを有する。端部部材60は、例えばアウターカバー20の上部に装着されたリッド70と、ベースカバー30の下部に装着されたベース80と含む。ベース80は、主に灯器100を船体への取り付けるための部品であり、船体に固定するための複数の脚部81を有する。なお、リッド70には取っ手71が設けられている。光源ユニット10、アウターカバー20、ベースカバー30、リッド70およびベース80の各部品は、概ね円筒形状を有して構成されている。
【0026】
図4は、灯器100の平面図である。
図5は、
図4におけるA−A線における一部模式的な断面図である。
図6は、光源ユニット10の分解斜視図である。
【0027】
アウターカバー20の一端(図において下端)は開口され、また、ベースカバー30の、その一端に対面する一端(図において上端)は開口されている。アウターカバー20には、外方へ突設された突設部21(
図3参照)が設けられ、また、ベースカバー30にもその突設部21の形状に概ね対応する形状を有する突設部31が設けられている。これら突設部21および31には、複数、例えば6個のネジ穴21aおよび31aがそれぞれ形成されている。突設部21および31が当接してネジN1で締結されることにより、アウターカバー20およびベースカバー30が接続される。また、これらの突設部21および31の間には、
図3および
図5に示すシールリング59が介在されている。
【0028】
なお、アウターカバー20の上部中央には開口22が形成され、その開口22を介して収容体50内の空気圧を調整する図示しない弁等が、この開口22上に設けられる。
【0029】
図3に示すように、ルーバ90は、円筒体の一部をなし遮光性を有する本体部93と、本体部93から広がるように設けられた羽根部95とを有する。ルーバ90は、リッド70とアウターカバー20との間に挟持されるようにして取り付けられる。
【0030】
アウターカバー20は、透光性材料で構成され、主に光源ユニット10からの光を外部に出射させる側周部23を有する。また、アウターカバー20は、上記したように側周部23から外方へ突設された突設部21を有する。突設部21は、ルーバ90の取付領域25を有する。取付領域25は、周溝26と、取付部としての係止溝27とを含む。周溝26は、側周部23の外形に沿って360°全周にわたって設けられ、ルーバ90の本体部93が配置される溝である。係止溝27は、周溝26の周りの所定の角度位置でこの周溝26にそれぞれ接続されており、ルーバ90の羽根部95と係合する溝である。
【0031】
係止溝27は、z軸まわりの周方向の遮光角度範囲が異なる複数種のルーバを取付け可能に、周溝26の所定位置に複数組設けられている。一のルーバは、羽根部95が複数の係止溝27のうち所定の2つで一組の係止溝27に係合することにより、z軸周りの動きがほぼ規制されて係止される。同様に、他のルーバは、上記一組の係止溝27とは異なる他の一組の係止溝27に係合することで、アウターカバー20に係止される。このように本実施形態では、複数種のルーバを共通のアウターカバー20で支持することが可能に構成されている。
【0032】
リッド70にも、アウターカバー20と同様に、周溝76(
図5参照)および係止溝77(
図1、2参照)を含むルーバ90の取付領域75を有する。具体的には、リッド70は、下端の外周縁部に取付領域75を有している。
図5におけるアウターカバー20およびリッド70のそれぞれ取付領域25では、その断面位置により周溝26、76のみが描かれ、係止溝27、77は描かれていない。
【0033】
リッド70の各係止溝77の配置は、アウターカバー20の各係止溝27とそれぞれ同一の角度配置となっている。これにより、アウターカバー20の取付領域25とリッド70の取付領域75とがルーバ90を挟むようにして、ルーバ90が灯器本体に取り付けられる。
【0034】
図4等に示すように、リッド70の上面には、灯器100の向きの基準となる基準マーク72が付されている。基準マーク72は、リッド70の成形時に一体で形成されることが好ましいが、そのような方法以外にも、リッド70の形成後に接着剤や超音波等の接着手段によってリッド70に接続されてもよい。灯器100の製造側の作業者、あるいはこの灯器100の利用者(以下、作業者という)は、基準マーク72を基準として灯器100を組み立てたり、ルーバ90を取付部に取り付けたり、灯器100を船体に設置したりすることがでるので、その組み立てや設置等が容易になる。例えば本実施形態では、基準マーク72を船首方向に向けるようにして、灯器100が船体のそれぞれの箇所に設置され得る。
【0035】
(光源ユニットの構成)
図5および
図6に示すように、光源ユニット10は、光源としての固体発光素子である単数又は複数のLED(Light Emitting Diode)15を搭載した光源基板11と、LED15からの光を反射するリフレクタ12と、これらLED15およびリフレクタ12を一体的に支持する支持体としてのインナーカバー13とを備える。
【0036】
インナーカバー13は、例えば一体成形により構成された部品であり、透光性を有する樹脂材料で構成され、概略円筒形状を有している。インナーカバー13を構成する側壁は、光出射領域13Aを形成する第1の周壁部136と、基板配置領域13Bを形成する第2の周壁部137とを有する。第1の周壁部136は、リフレクタ12の反射部124で反射された光を透過させることが可能な透光性を有する。一方、第2の周壁部137は、基板配置領域13Bの内部を見えにくく(あるいは見えなく)するために、複数面取り加工のように形成された面を有していてもよいし、あるいは、有色であってもよい。
【0037】
インナーカバー13の内部は、
図5に示すように、仕切板131によって光出射領域13Aおよび基板配置領域13Bの2つの領域に分割される。インナーカバー13の光出射領域13Aの上端および基板配置領域13Bの下端は、それぞれ開口することにより、上部開口132および下部開口133がそれぞれ形成されており、これによりインナーカバー13の断面は、概略H形状を有する。
【0038】
図5において上部側の領域である光出射領域13Aには、主に光源基板11およびリフレクタ12が配置される。下部側の領域である基板配置領域13Bには、例えば2つの回路基板(電源基板B1および制御基板B2)が配置されている。
【0039】
仕切板131は、光出射領域13Aに面する第1の面S1と、その反対側である基板配置領域13Bに面する第2の面S2とを有する。第1の面S1には、光源基板11を支持する固定台131aが設けられ、第2の面S2には、電源基板B1および制御基板B2を支持する支持台131bが設けられる。このように電源基板B1および制御基板B2が光出射領域13A以外の領域に設置されているため、光出射領域を制限することなくこれら回路基板を設置することが可能となる。
【0040】
電源基板B1および制御基板B2は、コネクタ11dを介して光源基板11に電気的に接続されているとともに、支持台131bにネジ固定されている。電源基板B1は、LED15に電力を供給する。制御基板B2は、上記電源基板B1によるLED15の駆動を制御したり、LED15の動作を監視したりする。なお、電源基板B1と制御基板B2とがこのようにそれぞれ別個である必要はなく、1つの基板で構成されていてもよい。
【0041】
第2の周壁部137の端部(
図5において下端)には、z方向で見て多角形、例えば概略6角形に形成された下部フランジ135が設けられている。下部フランジ135の6角に設けられた穴135aのうち少なくとも3箇所はネジ穴となっている。ベースカバー30の底部には、
図3に示すように、その3箇所のネジ穴に対応する位置に3個のネジ穴部39が設けられている。これにより、インナーカバー13がベースカバー30にネジ(
図5参照)N2で固定され、光源ユニット10がベースカバー30を含む収容体50に取り付けられる。
【0042】
光源基板11、電源基板B1および制御基板B2は、ケーブル群16により接続されている。ベースカバー30の側周壁32の所定の箇所には、2つのハーネス58(
図3および5参照)をそれぞれ接続するための2つの取付穴38が設けられている。電源基板B1等の外部接続用のケーブル群17が、これらのハーネス58を介して灯器100の外部に引き出される。
【0043】
次に、光源基板11およびリフレクタ12の詳細について説明する。
【0044】
本実施形態の光源ユニット10は、光源基板11上に同一円周上に等角度間隔で配置された複数(図示の例では6個)のLED15を有する。以降では、説明の便宜上、複数のLED15が配列形状である円の中心を通り、鉛直軸(z軸)に平行な軸を「光源中心軸」という。
【0045】
船灯は、その種類に応じて発光色が異なる。例えば、マスト灯及び船尾灯は、それぞれ白色で発光し、右舷灯は緑色、左舷灯は赤色でそれぞれ発光するように構成される。発光色は、LED15の発光色で決定されてもよいし、透光性材料で構成されたインナーカバー13あるいはアウターカバー20の光出射領域が灯種に応じた色に着色されてもよい。
【0046】
リフレクタ12は、光源基板11に対向する頂部122と、インナーカバー13に支持されるベース部126と、頂部122とベース部126との間に設けられた反射部124とを有する。
【0047】
インナーカバー13は、光源基板11を支持する仕切板131(第1の支持部)と、リフレクタ12を支持する上部フランジ134(第2の支持部)とを有する。仕切板131は第1の周壁部136の下端部に設けられ、上部フランジ134は第1の周壁部136の上部開口132の周囲に設けられる。上部フランジ134におけるz軸周りの所定の角度位置には、複数の突起134a(係合部)が設けられている。
図6に示すように、これらの突起134aがリフレクタ12のベース部126に設けられた穴126aに係合することで、ベース部126の下面が、インナーカバー13の上部フランジ134の上面に載置される。
【0048】
図7はリフレクタ12の平面図、
図8はリフレクタの側面図、
図9は、
図7におけるB−B線断面図、
図10は、
図8における要部の拡大図である。
【0049】
リフレクタ12は、ベース部126と、頂部122と、反射部124とを有する。リフレクタ12は、全体的に、概ね錐体形状を有する。リフレクタ12は、例えばプラスチック材料の射出成型体で形成され、少なくとも反射部124を含む外表面をアルミニウムや銀等の金属膜で被覆することで作製される。
【0050】
反射部124は、ベース部126と頂部122との間に設けられ、光源(LED15)からの出射光を反射することが可能に構成される。反射部124は、頂部122を中心とする回転曲線からなる回転曲線からなる曲面体120と、曲面体120上に設けられた複数の環状凸面部121とを有する。反射部124は、その最大半径位置において、円筒状の連結部125を介してベース部126に接続されている。
【0051】
反射部124のマクロ的な形状は、二次曲面(例えば放物面や楕円面)とされる。すなわち、
図9で示す断面で見てその反射部124の断面のマクロ的な形状は二次曲線を描く。この二次曲線を頂部122の中心を通る中心軸12cのまわりに回転させた回転曲線によって曲面体120が構成される。曲面体120は、中心軸12c側に凸なる形状の二次曲面で構成され、その具体的な形状は、LED15の個数や位置、灯器100からの光の出射範囲等に応じて決定される。
【0052】
複数の環状凸面部121は、頂部122を中心として同心円状にそれぞれ配列されている。複数の環状凸面部121は、曲面体120の表面に沿って各々配列された、曲面体120の表面から中心軸12cとは反対側に突出する凸状の曲面部をそれぞれ有する。個々の環状凸面部121は、周方向に等価な形状を有するとともに、頂部122からベース部126に向かって中心軸12cからの半径が徐々に大きくなるように形成される。
【0053】
環状凸面部121を構成する曲面部の曲率半径は、曲面体120の半径位置に応じて異なっており、その大きさは特に限定されず、光学仕様に応じて適宜設定され、例えば1m〜100mの範囲に設定される。環状凸面部121の凸部の高さも特に限定されず、曲面体120の半径位置に応じて適宜設定可能であり、例えば、最大で0.25mm程度に設定される。
【0054】
環状凸面部121の配列ピッチは特に限定されず、要求される光学特性に応じて適宜設定される。本実施形態では、頂部122からベース部126に向かって、環状凸面部121の配列ピッチが大きくなるように構成される。
【0055】
本実施形態において頂部122は、光源基板11に対向する平面部122aを有する。平面部122aは、xy平面に平行に形成され、その中心軸12cが、複数のLED15が配列される円周の中心(光源中心軸)に配置される。
【0056】
本実施形態では、例えば、各LED15が反射部124の有する二次曲線の一つの焦点上に配置されるように、リフレクタ12および光源基板11が相対的に位置決めされている。具体的には、仕切板131上に設けられた固定台131aに光源基板11が位置決め、固定された上で、リフレクタ12の中心軸12cと光源中心軸とが整列するように、リフレクタ12の頂部122(平面部122a)が光源基板11上に載置される。すなわち、光源基板11は、固定台131a上に設けられた複数の突起131pと嵌合する複数の嵌合孔11aを有し、これにより光源基板11と固定台131aとの相対位置が規定される。
【0057】
一方、頂部122は、光源基板11に接続される複数の接続部122bを有する。複数の接続部122bは、光源基板11に向かって突出するように平面部122aに設けられ、光源基板11に設けられた複数の接続孔11bにそれぞれ係合する。これにより、光源基板11とリフレクタ12との相対位置が規定されるため、リフレクタ12の中心軸12cと光源中心軸とのズレによる灯器100の周方向及び軸方向への光度のバラツキを抑制できる。
【0058】
また、頂部122には、リフレクタ12を光源基板11に固定するための複数のネジ挿通孔122cが設けられている。複数のネジ挿通孔122cは、光源基板11に設けられた複数のネジ挿通孔11cと、仕切板131に設けられたネジ孔P1とに対応して設けられ、リフレクタ12は、図示しない複数本のネジ部材を介して光源基板11及び仕切板131にそれぞれ固定される。
【0059】
なお、リフレクタ12の頂部122および光源基板11の固定手段として、ネジとは異なる機械的な係合手段、あるいは接着剤であってもよい。
【0060】
このようにリフレクタ12と光源基板11との位置決めは、主に頂部122により行われ、上部フランジ134の突起134aとベース部126の穴126aとの係合は、二次的あるいは補助的の位置決めとなる。
【0061】
(光源ユニットの動作)
以上のように構成される光源ユニット10においては、光源基板11上の複数のLED15が同時に点灯し、それらの出射光が各々リフレクタ12の反射部124で反射される。反射部124で反射された光は、インナーカバー13の第1の周壁部136およびアウターカバー20の側周部23を介して灯器100の全周方向に出射する。
【0062】
本実施形態においては、各環状凸面部121によって、LED15からの光をそれぞれ拡散させるように反射することができるので、反射部124の全体で均一な光を出射することができる。すなわち、点光源であるLEDを用いた場合であっても、環状凸面部121の集合である反射部124の全体で均一な光を出射することができる。
【0063】
図11A,Bは、リフレクタ12により反射されるLED15の出射光の光線追跡図であり、Aは、任意の1つの環状凸面部121で反射される光の拡散の様子を示し、Bは、反射部124全体で反射される光の拡散の様子を示している。
【0064】
一方、
図12A,Bは、比較例として示す反射部124Rが連続鏡面で構成されたリフレクタ12Rにより反射される光源光の光線追跡図であり、Aは単位領域で反射される光の拡散の様子を示し、Bは、反射部124R全体で反射される光の拡散の様子を示している。
【0065】
比較例に係るリフレクタ12Rにおいては、
図12A,Bに示すように、光源光は反射部124Rにおいて正反射することで灯器の周方向(xy平面方向)へ出射される。このとき灯器の軸方向(z方向)への拡散角は、反射部124rを構成する曲線の傾きによって決定されるため、反射部124r全体としては、当該軸方向への照射角が制限されることになる。
【0066】
これに対して本実施形態の光源ユニット10においては、リフレクタ12の反射部124の表面に複数の環状凸面部121が設けられているため、各LED15の出射光は、灯器100の軸方向(z方向)に拡散されつつ、灯器100の周方向(xy平面方向)に反射されることになる。これにより軸方向へより広い照射範囲にわたって、所定値以上の光度を実現することが可能となる。
【0067】
また、比較例に係るリフレクタ12Rは、反射部124Rが連続鏡面で構成されていたため、光源の配置誤差や周辺の付属物、反射部の寸法公差等による影響をシビアに受けてしまい、周方向あるいは軸方向への光度のバラツキが生じやすかった。
【0068】
これに対して本実施形態のリフレクタ12においては、反射部124が複数の環状凸面部121を有しているため、個々の環状凸面部121における光の拡散機能により、光源の配置誤差や周辺の付属物、寸法公差等による影響が緩和されことになる。これにより周方向および軸方向の所定範囲にわたって光度のバラツキを抑えつつ、所定値以上の光度を実現することが可能となる。
【0069】
さらに、複数の環状凸面部121は、頂部122からベース部126に向かって配列ピッチが大きくなるように形成されている。これにより曲面体の曲率の変化に応じて環状凸面部の配列ピッチを最適化することができ、光学設計自由度を向上させることができる。
【0070】
より具体的には、LED15から遠ざかるに従って、環状凸面部121の配列ピッチが大きくなるため、LED15からの光の出射角(拡散角)に対応した環状凸面部121の最適化が図れる。これによりLED15からの出射光を効率よく利用でき、灯器100の周方向及び軸方向への所定以上の光度を容易に実現することが可能となる。
【0071】
本発明者らの実験によれば、周方向に対する軸方向(z方向)の角度が−5°〜5°の範囲において平行な光線を照射できるとともに、特定のz位置での周方向における最大光度と最小光度との差が1.5倍以内(特定のz位置での周方向における最大光度がその最小光度の1.5倍以下)の均一な光を得ることができることが確認された。
【0072】
さらに本実施形態によれば、光源ユニット10により光源15とリフレクタ12とをユニット構造にできるため、部品点数の削減、灯器100の小型化等を実現することができる。また、当該光源ユニットを、灯種の異なる複数の灯器に共通に用いることが可能となる。
【0073】
<第2の実施形態>
図13は、本発明の第2の実施形態に係る灯器を示す断面図である。これ以降の説明では、上記第1の実施形態に係る灯器が含む部材や機能等について同様のものは説明を簡略化または省略し、異なる点を中心に説明する。
【0074】
本実施形態の灯器200は、第1の実施形態に係る灯器100の光源ユニット10と異なる光源ユニット110を備える。
図14は、その光源ユニット110の分解斜視図である。光源ユニット110のインナーカバー13は、上記第1の実施形態に係るインナーカバー13と同じ構成を有する。
【0075】
光源基板111に搭載された光源は1つのLED15であり、光源基板111の中心にLED15が配置されている。このLED15の位置を通る鉛直軸を、説明上便宜的に「光源中心軸」とする。
【0077】
リフレクタ18は、ベース部186と、頂部182と、反射部184とを有する。リフレクタ18は、全体的に、概ね錐体形状を有する。リフレクタ18は、例えばプラスチック材料の射出成型体で形成され、少なくとも反射部184を含む外表面をアルミニウムや銀等の金属膜で被覆することで作製される。
【0078】
反射部184は、ベース部186と頂部182との間に設けられ、光源(LED15)からの出射光を反射することが可能に構成される。反射部184は、頂部182を中心とする回転曲線からなる回転曲線からなる曲面体180と、曲面体180上に設けられた複数の環状凸面部181とを有する。反射部184は、その最大半径位置において、円筒状の連結部185を介してベース部186に接続されている。
【0079】
第1の実施形態と同様に、反射部184のマクロ的な形状は、二次曲面(例えば放物面や楕円面)とされる。すなわち、
図17で示す断面で見てその反射部184の断面のマクロ的な形状は二次曲線を描く。この二次曲線を頂部182の中心を通る中心軸18cのまわりに回転させた回転曲線によって曲面体180が構成される。曲面体180は、中心軸18c側に凸なる形状の二次曲面で構成される。
【0080】
環状凸面部181も第1の実施形態と同様に構成される。すなわち複数の環状凸面部181は、頂部182を中心として同心円状にそれぞれ配列されている。複数の環状凸面部181は、曲面体180の表面に沿って各々配列された、曲面体180の表面から中心軸18cとは反対側に突出する凸状の曲面部をそれぞれ有する。個々の環状凸面部181は、周方向に等価な形状を有するとともに、頂部182からベース部186に向かって中心軸12cからの半径が徐々に大きくなるように形成される。
【0081】
環状凸面部181を構成する曲面部の曲率半径は、曲面体180の半径位置に応じて異なっており、その大きさは特に限定されず、光学仕様に応じて適宜設定され、例えば1m〜50mの範囲に設定される。環状凸面部181の凸部の高さも特に限定されず、曲面体180の半径位置に応じて適宜設定可能であり、例えば、最大で0.25mm程度に設定される。
【0082】
環状凸面部181の配列ピッチは特に限定されず、要求される光学特性に応じて適宜設定される。本実施形態では、頂部182からベース部186に向かって、環状凸面部181の配列ピッチが大きくなるように構成される。
【0083】
本実施形態において頂部182は、光源基板11に対向する先鋭部182aを有する。先鋭部182aは、その中心(中心軸12c)が、LED15の光出射口の中心(光源中心軸)に配置される。
【0084】
本実施形態では、単一のLED15から所定の出射角で出射される光が反射部184の全周に照射されるように、光源基板111に対してリフレクタ18が位置決めされる。具体的には、仕切板131(第1の支持部)上に設けられた固定台131aに光源基板111が位置決め、固定された上で、リフレクタ18のベース部186がインナーカバー13の上部フランジ134(第2の支持部)上に載置される。すなわち、光源基板111は、固定台131a上に設けられた複数の突起131pと嵌合する複数の嵌合孔111aを有し、これにより光源基板111と固定台131aとの相対位置が規定される。
【0085】
一方、ベース部186は、上部フランジ134上の複数の突起134aに係合する複数の穴186aを有する。さらにベース部186の下面は、インナーカバー13の第1の周壁部136に対向する第1の傾斜部186cを有し、インナーカバー13の上部フランジ134は、第1の傾斜部186cと接する第2の傾斜部134cを有する。第1の傾斜部186cは、ベース部186に全周にわたって形成されており、頂部182に向かって下向き傾斜の傾斜面で構成される。第2の傾斜部186c,134cは、上部フランジ134の全周にわたって形成されており、光源基板111に向かって下向き傾斜の傾斜面で構成される。
【0086】
第2の傾斜部134cは、第1の傾斜部186cとの係合作用により、リフレクタ18の頂部182(先鋭部182a)をLED15の直上位置へ案内する機能を有する。これにより、光源基板11とリフレクタ12との相対位置が規定されるため、リフレクタ12の中心軸18cと光源中心軸とのズレによる灯器200の周方向及び軸方向への光度のバラツキを抑制できる。
【0087】
なお、リフレクタ18とインナーカバー13とは、ベース部186に設けられた複数のネジ挿通孔186bを介して上部フランジ134に設けられた複数のネジ孔134bへ螺着される図示しない複数本のネジ部材によって相互に固定される。
【0088】
以上のように構成される本実施形態の光源ユニット110においても、上述の第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。すなわち本実施形態によれば、反射部184が複数の環状凸面部181を有しているため、個々の環状凸面部181における光の拡散機能により、光源の配置誤差や周辺の付属物による影響を緩和することができる。これにより灯器200の周方向および軸方向の所定範囲にわたって光度のバラツキを抑えつつ、所定値以上の光度を実現することが可能となる。
【0089】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0090】
例えば以上の実施形態では、光源として単数又は複数のLED15を用いたが、これら点光源に代えて、EL素子等の面光源やCCFL等の線光源が採用されてもよい。
【0091】
また以上の各実施形態では、灯器を船灯として説明したが、航空機体に取り付けられる灯器、あるいは、標識灯としても利用可能である。