(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る開口部装置を屋外側から見た図である。
図示のように、開口部装置1は、玄関ドアなどのドアであり、躯体(建物)に形成された開口に納められる。開口部装置1は、躯体の開口に取り付けられる枠体2と、該枠体2に丁番3を介して屋外側(図中手前側)に開閉可能に吊り込まれる本発明のドア本体(戸体:建具)4と、を備える。
【0020】
枠体2は、上枠2aと、下枠2bと、戸先側の縦枠2cと、吊元側の縦枠2dと、により矩形に枠組みされる。
ドア本体4は、後述する構成部材により、枠体2に対応して矩形に組み立てられる。そして、ドア本体4の外側表面材4gの戸先側には、電気錠廻り部品としての屋外リーダー5と、ロック廻り部品としての上,下シリンダー錠6a・6b及びハンドル(把手)7が取り付けられている。
【0021】
従って、本開口部装置1は、カードキーやリモートコントロールや携帯電話などで、屋外リーダー5や図示しない屋内リーダーにドア開閉信号を読み込ませることで、上,下シリンダー錠6a・6bのデッドボルトが戸先側から出没することで施開錠する、所謂電気錠式のドアである。
【0022】
図2は、本実施形態に係る開口部装置が躯体の開口に納められた状態の縦断面図で、
図3は、本実施形態に係る開口部装置が躯体の開口に納められた状態の横断面図である。なお、以下では、左右は屋外側から見た左右を表す。
図示のように、開口部装置1は、そのドア本体4が枠体2により躯体8の開口80から屋外側へ若干オフセットされて、開口80に納められる。
【0023】
開口80は、梁部材81と、左,右の柱部材82と、屋内側の床材83と、で区画形成され、その内、梁部材81と左,右の柱部材82の内面には額縁材84が貼設される。額縁材84は、梁部材81と左方の柱部材82にはスペーサ85を介して、また、右方の柱部材82には直接貼り付けられる。屋内側の床材83は、屋外側の床材83とともに、化粧材86とモルタル87とを有する。
【0024】
梁部材81と左,右の柱部材82を含めて、躯体8の構造壁88の両側には、断熱材89が配置される。屋内側の断熱材89と躯体8との間にはスペーサ85が配置されるとともに、外側の断熱材89と外装材90との間にもスペーサ85が配置される。なお、外装材90と枠体2との間には、シーリング材91が介装される。
【0025】
屋内側の床材83と屋外側の床材83とは、後述する下枠2bの段差に対応して、つまずきにくい所定の段差(例えば20mm以下)を有している。
【0026】
枠体2を構成する上枠2aは、本体枠部20aと2つの取付片部20b,20cとを備える。
本体枠部20aは、断面方形(ホロー構造)に形成され、その下面がドア本体4の上面に対向している。
【0027】
取付片部20bは、本体枠部20aの下面から屋内側へ水平に延出した基片20dと、この基片20dの、本体枠部20aから所定距離離間した位置から垂下した第1取付片20eと、この第1取付片20eから屋内側へ所定距離離間した位置の基片20dから上方に起立した第2取付片20fと、を備える。そして、第1取付片20eの前面に、シールパッキン92が付設される。第2取付片20fの後面に、額縁材84の前端面が接合される。また、基片20dと梁部材81とが、スペーサ85を貫通するネジ93で結合されるとともに、基片20dと額縁材84とがネジ93で結合される。
【0028】
取付片部20cは、本体枠部20aの後面から上方へ垂直に延出される。この取付片部20cと梁部材81とが、屋外側の断熱材89を貫通するネジ93で結合される。取付片部20cの前面には、防水テープ94が貼り付けられる。なお、屋外側の断熱材89の表面には、透湿防水シート95が張り付けられる。
【0029】
枠体2を構成する下枠2bは、本体片部21aと取付片部21bと、を備える。
本体片部21aは、段差のある床材83(厳密にはモルタル87)に対応して、垂直片21cと水平片21dとで断面L字状に形成され、その水平片21dの上面がドア本体4の下面に対向している。
【0030】
取付片部21bは、水平片21dの後端から上方へ断面H字状に延出される。そして、この取付片部21bの垂直片21eの前面にシールパッキン92が付設されるとともに、水平片21fの上面にすべり止め部材96が組み付けられる。また、本体片部21aと取付片部21bに跨ってアンカー97が組み付けられ、モルタル87の内部に埋め込まれる。
【0031】
枠体2を構成する戸先側の縦枠2cは、本体枠部22aと、2つの取付片部22b,22cと、を備える。
本体枠部22aは、断面方形(ホロー構造)に形成され、その右側面がドア本体4の左側面(戸先側面)に対向している。
【0032】
取付片部22bは、本体枠部22aの右側面から屋内側へ垂直に延出した基片22dと、この基片22dの、本体枠部22aから所定距離離間した位置から右方へ折曲した第1取付片22eと、この第1取付片22eから屋内側へ所定距離離間した位置の基片22dから左方へ折曲した第2取付片22fと、を備える。そして、第1取付片22eの前面に、シールパッキン92が付設される。第2取付片22fの後面に、額縁材84の前端面が接合される。また、基片22dと左方の柱部材82とが、スペーサ85を貫通するネジ93で結合されるとともに、基片22dと額縁材84とがネジ93で結合される。
【0033】
取付片部22cは、本体枠部22aの後面から左方へ垂直に延出される。この取付片部22cと左方の柱部材82とが、屋外側の断熱材89を貫通するネジ93で結合される。取付片部22cの前面には、防水テープ94が貼り付けられる。
【0034】
枠体2を構成する吊元側の縦枠2dは、本体枠部23aと、2つの取付片部23b,23cと、を備える。
本体枠部23aは、断面方形(ホロー構造)に形成され、その左側面がドア本体4の右側面(吊元側面)に対向している。そして、本体枠部23aの左側面とドア本体4の右側面との間に、上下方向の3箇所に亘って(
図1参照)丁番3が介設される(
図1参照)。
【0035】
取付片部23bは、本体枠部23aの左側面から屋内側へ垂直に延出した基片23dと、この基片23dの、本体枠部23aから所定距離離間した位置から左方へ折曲した第1取付片23eと、この第1取付片23eから屋内側へ所定距離離間した位置の基片23dから右方へ折曲した第2取付片23fと、を備える。そして、第1取付片23eの前面に、シールパッキン92が付設される。第2取付片23fの後面に、額縁材84の前端面が接合される。また、基片23dと右方の柱部材82とが、ネジ93で結合されるとともに、基片23dと額縁材84とがネジ93で結合される。
【0036】
取付片部23cは、本体枠部23aの後面から右方へ垂直に延出される。この取付片部23cと右方の柱部材82とが、屋外側の断熱材89を貫通するネジ93で結合される。取付片部23cの前面には、防水テープ94が貼り付けられる。
【0037】
上述した上枠2a、下枠2b、戸先側の縦枠2c及び吊元側の縦枠2dは、アルミニウム材を用いた押出成形でそれぞれ形成される。
なお、本開口部装置1は、木造納まりの例を示したが、RC(鉄筋コンクリート)造やSC(鉄骨)造及びその他の納まりにも適用できることは言うまでもない。
【0038】
図4は、本実施形態に係るドア本体の分解斜視図である。
図示のように、ドア本体4は、鉄製(SUSやスチールなどを意味する。以下、同様。)の内側表面材4aと、樹脂製の断熱パネル4bと、鉄製の吊元側芯材4cと、鉄製の戸先側芯材4dと、鉄製の上側芯材4eと、鉄製の下側芯材4fと、鉄製の外側表面材4gと、を備える。なお、断熱パネル4bは樹脂製に限定されず、無機断熱材を使用してもよい。
【0039】
内側表面材4aは、縦に長い矩形状に形成され、その上,下辺と吊元側辺に内向きフランジ41aが形成される。この内側表面材4aの戸先側辺寄りには、電気錠廻り部品取付用孔としての屋内リーダー取付用孔(部品取付用孔)42aと、ロック廻り部品取付用孔としての上,下サムターン錠取付用孔(部品取付用孔)44a,45a及び上下二つのハンドル取付用孔46a,47a(部品取付用孔)と、が形成される。
なお、図中48は電気錠廻り部品とロック廻り部品とからなる電気錠システムをコントロールする制御ユニットで、単に位置関係を示すものである。また、内側表面材4aの戸先側の内面には、上サムターン錠取付用孔44a及びハンドル取付用孔46aに対応する位置に、短冊状に形成された後述の加熱発泡材13Bと、下サムターン錠取付用孔45a及びハンドル取付用孔47aに対応する位置に、短冊状に形成された後述の加熱発泡材13Cと、が接着剤を介して貼り付けられる。
【0040】
断熱パネル4bは、内側表面材4aに対応して縦に長い矩形状に形成されるとともに、内側表面材4aにおける3辺の内向きフランジ41a内にきっちり納まる大きさに形成される。断熱パネル4bの戸先側端部には、ロック廻り部品を貫通する第1の切欠き42bと、電気錠廻り部品とロック廻り部品を収納・貫通する第2の切欠き43bと、電気錠廻り部品を収納する第3の切欠き44bと、制御ユニット48を収納する第4の切欠き45bが形成される。
【0041】
吊元側芯材4cと戸先側芯材4dとは、ともに平面視で角部を直角にしたU字状に形成される。吊元側芯材4cは断熱パネル4bの吊元側端部に配置され、戸先側芯材4dは断熱パネル4bの戸先側端部に配置される。戸先側芯材4dの内面には、断熱パネル4bの第1の切欠き42bに配置する後述の第1の囲い芯材11Bと、第2の切欠き43bに配置する後述の第2の囲い芯材11Bと、第3の切欠き44bに配置する後述の第3の囲い芯材11Cが取り付けられる。また、戸先側芯材4dの戸先面には、第1の囲い芯材11Bのエリア内に位置して一個のロック廻り部品出入り用孔(部品取付用孔)46dと、第2の囲い芯材11Bのエリア内に位置して二個のロック廻り部品出入り用孔(部品取付用孔)47d,48dと、一個の制御ユニット取付用孔(部品取付用孔)49dと、が形成される。なお、図示しないがロック廻り部品出入り用孔(部品取付用孔)として、ラッチが出入りする孔も形成される。
【0042】
上側芯材4eと下側芯材4fとは、ともに側面視で角部を直角にしたU字状に形成される。上側芯材4eは断熱パネル4bの上端部に配置され、下側芯材4fは断熱パネル4bの下端部に配置される。
【0043】
外側表面材4gは、縦に長い矩形状に形成され、その上,下辺と吊元側辺に内向きフランジ41gが形成される。この外側表面材4gの戸先側辺寄りには、電気錠廻り部品取付用孔としての屋外リーダー取付用孔(部品取付用孔)42gと、ロック部品取付用孔としての上,下シリンダー錠取付用孔(部品取付用孔)44g,45g及び上,下ハンドル取付用孔46g,47g(部品取付用孔)と、が形成される。
なお、外側表面材4gの戸先側の内面には、屋外リーダー取付用孔42gに対応する位置に、短冊状に形成された後述の加熱発泡材13Dと、上シリンダー錠取付用孔44g及び上ハンドル取付用孔46gに対応する位置に、短冊状に形成された後述の加熱発泡材13Eと、下シリンダー錠取付用孔45g及び下ハンドル取付用孔47gに対応する位置に、短冊状に形成された後述の加熱発泡材13Fと、が接着剤を介して貼り付けられる。
【0044】
したがって、ドア本体4を組み立てるにあたっては、先ず、内側表面材4a又は外側表面材4gの一方(例えば、外側表面材4g)に、吊元側芯材4c、戸先側芯材4d、上側芯材4e及び下側芯材4fをリベットなどで固定する。次に、これらの芯材4c〜4fの内側に、断熱パネル4bを配置する。そして、断熱パネル4bを配置した状態で、蓋をするように他方の内側表面材4a又は外側表面材4gの一方(例えば、内側表面材4a)を固定する。
【0045】
なお、この際、吊元側芯材4cの外面に樹脂エッジを貼り付けたり、戸先側芯材4dの両側に芯材スペーサを付設したりする場合もある。また、前述したロック廻り部品と電気錠廻り部品は、従前と同様に、適宜の段階で取り付けられる。
【0046】
図5は、本実施形態に係る囲い芯材の説明図で、ドア本体の外側表面材を裏面側から視た図である。
図示のように、第1の囲い芯材11Bは、側面視で角部を直角にしたU字状に形成された本体部11A1と、この本体部11A1の上,下両端部を外方へ折り曲げて形成された取付片11A2と、本体部11A1の両側縁に付設された外向きフランジ(両表面材との当接面)11A3と、を備える。取付片11A2は、戸先側芯材4dの底面部にリベットなどで結合される。本体部11A1は、例えば、外側表面材4gに形成された下シリンダー
錠取付用孔45g(内側表面材4aに形成された下サムターン錠取付用孔45aも含む)と、下ハンドル取付用孔47g(内側表面材4aに形成された下ハンドル取付用孔47aも含む)を取り囲める大きさを有している。そして、外向きフランジ11A3の外面と本体部11A1の内面(内側面)には、エポキシ系樹脂やポリ塩化ビニル(PVC)などからなる加熱発泡材11A4が接着剤で貼り付けられている。なお、説明の便宜上、第6の加熱発泡材13Fの図示を省略した。
【0047】
第2の囲い芯材11Bは、第1の囲い芯材11Bよりも長尺状であり、側面視で角部を直角にしたU字状に形成された本体部11B1と、この本体部11B1の上,下両端部を外方へ折り曲げて形成された取付片11B2と、本体部11B1の両側縁に付設された外向きフランジ(両表面材との当接面)11B3と、を備える。取付片11B2は、戸先側芯材4dの底面部にリベットなどで固定される。本体部11B1は、例えば、外側表面材4gに形成された上シリンダー錠取付用孔44g(内側表面材4aに形成された上サムターン錠取付用孔44aも含む)と、上ハンドル取付用孔46g(内側表面材4aに形成された上ハンドル取付用孔46aも含む)と、屋外リーダー取付用孔42gなどのドア本体4の開口を取り囲める大きさを有している。そして、外向きフランジ11B3の外面と本体部11B
1の内面(内側面)には、エポキシ系樹脂やポリ塩化ビニル(PVC)などからなる加熱発泡材11B4が接着剤で貼り付けられている。なお、説明の便宜上、加熱発泡材13Eと加熱発泡材13Dの図示を省略した。
【0048】
第3の囲い芯材11Cは、側面視で方形状に形成された本体部11C1と、この本体部11C1の上辺のみを戸先側へ水平に延出したのち下方へ折り曲げて形成された取付片11C2と、本体部11C1の両側縁に付設された外向きフランジ(両表面材との当接面)11C3と、を備える。取付片11C2は、戸先側芯材4dの底面部にリベットなどで結合される。本体部11C1は、内側表面材4aに形成された屋内リーダー取付用孔42aを取り囲める大きさを有している。そして、外向きフランジ11C3の外面と本体部11C1の内面(内側面)には、エポキシ系樹脂やポリ塩化ビニル(PVC)などからなる加熱発泡材11C4が接着剤で貼り付けられている。
【0049】
したがって、ドア本体4の組立状態では、第1〜第3の囲い芯材11B〜11Cは、内側表面材4aと外側表面材4gとに挟まれた状態となり、第1〜第3の囲い芯材11B〜11Cで囲まれたエリアは、密閉空間となる。
なお、第1〜第3の囲い芯材11B〜11Cにおける本体部11A1〜11C1と取付片11A2〜11C2と外向きフランジ11A3〜11C3とは、SUSやスチールなどの鉄材を用いて一体成形される。また、第1〜第3の囲い芯材11B〜11Cにおける内側表面材4aと外側表面材4gとの当接面(外向きフランジ11A3、外向きフランジ11B、外向きフランジ11C3など)は、第1〜第3の囲い芯材11B〜11Cとは別の部材に設けても良い。
【0050】
以上のように構成された開口部装置によれば、ドア本体4の内部に、各種の部品取付用孔を全方位で取り囲むべく設けられた第1〜第3の囲い芯材11B〜11Cを備えた。
これにより、部品取付用孔廻りが第1〜第3の囲い芯材11B〜11Cで全方位に亘って取り囲まれるので、ドア本体4内の可燃ガスが部品取付用孔より外部に漏出し、引火することが防止できる。また、第1〜第3の囲い芯材11B〜11Cは最小限で済むので、芯材重量が減るとともに加熱発泡材11A4,11B4,11C4の使用量も減り、コストダウンを図れる。
【0051】
また、第1〜第3の囲い芯材11B〜11Cは、ドア本体4を構成する戸先側芯材4dに結合されるので、第1〜第3の囲い芯材11B〜11Cが堅固に取り付けられるとともに、部品取付用孔廻りを全方位に亘って簡単に取り囲むことができる。
【0052】
また、第1,第2の囲い芯材11B,11Bは、側面視で角部を直角にしたU字状に形成され、その両端部が前記戸先側芯材4dに結合されるので、第1,第2の囲い芯材11B,11Bが堅固に取り付けられるとともに、部品取付用孔廻りを全方位に亘って簡単に取り囲むことができる。
【0053】
また、第3の囲い芯材11Cは、側面視で方形状に形成され、その一辺部が戸先側芯材4dに結合されるので、囲い芯材がより堅固に取り付けられるとともに、部品取付用孔廻りを全方位に亘ってより簡単に取り囲むことができる。
【0054】
また、各種囲い芯材を箱状に形成し、その開口部を戸先側芯材4dに結合することで、部品取付用孔廻りを全方位に亘ってより確実に取り囲むことができる。
【0055】
また、第1〜第3の囲い芯材11B〜11Cは、その内側面に加熱発泡材11A4,11B4,11C4が付設されているので、第1〜第3の囲い芯材11B〜11Cに設けた加熱発泡材11A4,11B4,11C4が熱により第1〜第3の囲い芯材11B〜11Cの内側に発泡し、密実に充填・密閉されるので、ドア本体4内の可燃ガスの流入が防止できる。
【0056】
また、第1〜第3の囲い芯材11B〜11Cは、外側表面材4gとの当接面に加熱発泡材11A4,11B4,11C4が付設されているので、当該加熱発泡材11A4,11B4,11C4の発泡により、ドア本体4内の可燃ガスが第1〜第3の囲い芯材11B〜11Cの内側に入り込むことがより一層防止できる。
【0057】
また、部品取付用孔は、ロック部品取付用孔及び電気錠部品取付用孔のうちいずれか一方又は両方であるので、本囲い芯材は、ドア本体4内の可燃ガスが漏出し易いロック部品取付用孔や電気錠部品取付用孔廻りにおいて、有効である。
ここで、
図6は、本実施形態に係る囲い芯材の変形例を示す、屋外側から一部切欠いて視た図である。
図示のように、例えば、前述した第1の囲い芯材11Bに例をとると、平面視で角部を直角にしたU字状(上下開放)の囲い芯材のような本体部11A1に、別体で形成したクランク状の上閉塞板11A5と下閉塞板11A6を追加して、第1の囲い芯材11Bを箱状に形成した例である。そして、上閉塞板11A5と下閉塞板11A6の垂直板部11A7(言い換えれば、第1の囲い芯材11Bの開口部)を取付片として戸先側芯材4d(
図5参照)にリベットなどで固定するようになっている。
なお、図示例では、本体部11A1における側面の内,外両面に加熱発泡材11A4を貼り付けているが、上閉塞板11A5と下閉塞板11A6の内面と、本体部11A1における底面の内面に、エポキシ系樹脂やポリ塩化ビニル(PVC)などからなる加熱発泡材11A4を貼り付けても良い。
【0058】
次に、
図7は、本実施形態に係る屋外リーダーとリーダー取付金具の分解斜視図、
図8は、リーダー取付金具の説明図で、同図(a)は平面図、同図(b)は正面図、
図9は、ドア本体への取付状態図、
図10は、囲い芯材の変形例を示す図である。
図示のように、屋外リーダー5の裏面には、リーダー取付金具12が上,下2個のネジ121により着脱可能に取り付けられる。そして、屋外リーダー5は、このリーダー取付金具12を介して、ドア本体4の外側表面材4gに形成された屋外リーダー取付用孔42gに着脱可能に取り付けられる。
【0059】
リーダー取付金具12は、屋外リーダー5が接合されるプレート122の両面に、例えば、エポキシ系樹脂などからなる加熱発泡材123a,123bが貼り付けられる。具体的には、リーダー取付面125aには第1の加熱発泡材としての加熱発泡材123bが、また、その反対側の面125bには第2の加熱発泡材としての加熱発泡材123aが貼り付けられる。この際、屋外リーダー5の裏面リブ部5aとリーダー取付金具12の切欠部124とで位置合わせを行うと良い。また、加熱発泡材123a,123bは、屋外リーダー取付用孔42gよりも大きい面積である。
【0060】
プレート122は、上下一対の取付プレート部(第1プレート部)125と、一般プレート部(第2プレート部)126と、上下一対の連結プレート部127と、を有する。
上下一対の取付プレート部125は、屋外リーダー5の一側方に適宜屈曲して延出される。そして、屋外リーダー取付用孔42gからドア本体4の内部に挿入された後、上下一対の取付プレート部125の直角に屈曲された取付端部128を、ドア本体4の戸先側芯材4dにネジ129で結合される。
一般プレート部126は、取付プレート部125間に位置して、屋外リーダー5の大半部に対応する大きさを有している。
上下一対の連結プレート部127は、一般プレート部126と上下一対の取付プレート部125を連結するものである。上下一対の連結プレート部127は、一般プレート部126より狭幅である。
【0061】
なお、
図9中13Dは、外側表面材4gの内面に、屋外リーダー取付用孔42gを囲繞するようにして貼り付けられた短冊状の加熱発泡材で、11B4は、側面視で角部を直角にしたU字状の第2の囲い芯材11Bにおける本体部11B1の内面と外向きフランジ11B3の外面に貼り付けたエポキシ系樹脂やポリ塩化ビニル(PVC)などからなる加熱発泡材である。
【0062】
また、
図10に示すように、本実施形態のリーダー取付金具12を具備した屋外リーダー5は、平面視で角部を直角にしたU字状(上下開放)のロックピース11Dにも適用することができる。この場合、ロックピース11Dにおける底部11D1の内面と、側部11D2の内,外両面に、エポキシ系樹脂やポリ塩化ビニル(PVC)などからなる加熱発泡材11D3を貼り付けると好適である。
ところで、ドア本体4の内部側が高温に曝されると、熱により屋外リーダー5が脱落してしまう。これにより、上,下シリンダー錠取付用孔44g,45gより大開口である屋外リーダー取付用孔42gが空いてしまい、ここからドア本体4内の可燃ガスが漏出して引火する恐れがあった。
【0063】
ところが、本実施形態では、リーダー取付金具12は、屋外リーダー5が接合されるプレート122の両面に、加熱発泡材123a,123bが貼り付けられている。
【0064】
これにより、リーダー取付金具12の両面に貼り付けた加熱発泡材123a,123bの発泡により、屋外リーダー取付用孔42gからの可燃ガスの漏出が防止される。この際、側面視で角部を直角にしたU字状の第2の囲い芯材11Bの加熱発泡材11B4及び短冊状の加熱発泡材13D(
図9参照)やロックピース11Dの加熱発泡材11D3と合わせることで、屋外リーダー取付用孔42gからの可燃ガスの漏出がより一層防止できる。
【0065】
また、加熱発泡材123a,123bの断熱効果により、屋外リーダー5への熱伝導を軽減させることができるので、溶融・脱落までの時間を稼げる。結果、引火につながる開口部欠損の発生リスクを軽減できる。
【0066】
また、プレート122は、屋外リーダー5の一側方に延出してドア本体4の戸先側芯材4dにねじ129で結合される上下一対の取付プレート部125と、これらの取付プレート部125間に位置して屋外リーダー5の大半部と接する一般プレート部126と、該一般プレート部126と上下一対の取付プレート部125を連結する上下一対の連結プレート部127と、を有するので、リーダー取付金具12をコンパクトに形成することができる。
【0067】
次に、
図11〜
図14を参照して、本実施形態の加熱発泡材13B,13C,13E,13Fについて説明する。
図11は、本実施形態に係る加熱発泡材13Eの斜視図である。
図12は、本実施形態に係る加熱発泡材13Eの分解正面図で、同図(a)は、基部材の正面図、同図(b)は、積層部材の正面図、
図13は加熱発泡材13Eの使用の状態を示す図である。
図14は、加熱発泡材13Eの発泡した状態を示す模式図である。
【0068】
図11に示すように、加熱発泡材13B,13C,13E,13Fは、第1の加熱発泡材としての基部材131と、第2の加熱発泡材としての連通部139と、第3の加熱発泡材としての積層部材132と、を有する。加熱発泡材13B,13C,13E,13Fは、基部材131に、積層部材132が貼り合わされて形成されている。加熱発泡材13B,13C,13E,13Fは、ドア本体4の内部に配置され、外側表面材4gと、内側表面材4aとの内面側に配置されている。加熱発泡材13B,13C,13E,13Fは、シート状に形成された部材である。
【0069】
第1の加熱発泡材としての基部材131は、
図11及び
図12(a)に示すように、シート状の加熱発泡材13B,13C,13E,13Fの一部であり、外側表面材4gの内面側に直接接する側に配置される。基部材131は、ドア本体4に形成される各種の開口に対向する位置に配置される。基部材131は、厚さが1mm〜2mm程度のポリ塩化ビニル(PVC)の柔らかい加熱発泡材により構成されている。
基部材131は、本体部133と、連通孔133aとを有する。
本体部133は、基部材131の主要な部分を構成する。
連通孔133aは、基部材131と、第2の発泡材としての連通部139との境界部を構成し、中心部がドア本体4の開口と連通する貫通孔に形成されている。連通孔133aは、
図13に示すように、ドア本体4の開口に部品が取り付けられた状態で、内側表面材4aと接する側の孔を形成する。
【0070】
第2の加熱発泡材としての連通部139は、連通孔134aと、切込みとしての切込み部135と、切り欠き部136と、舌片部138と、を有する。連通部139は、基部材131における本体部133の長手方向の一端側に配置されている。
【0071】
連通孔134aは、本体部133の長手方向の一端側に配置された円形の貫通孔である。
切り込み部135は、連通部139に形成される連通孔134aの周方向に切込みを入れて形成されている。切込み部135は、連通孔134aの中心を中心として、連通孔134aから外側に向かうように放射状に形成された切込みである。切込み部135は、略等間隔で連通孔134aの周囲に複数連続して形成されている。切込み部135の連通孔134a側の端部から外側の端部までの長さは、連通孔134aに上,下シリンダー錠6b,6bなどの部品が挿通した際に、部品の厚さに対応している。詳細には、切込み部135の連通孔134a側の端部から外側の端部までの長さは、上,下シリンダー錠6a・6bの厚さ方向の長さより短く形成されている。
【0072】
舌片部138は、隣り合う切込み部135と切込み部135との間に配置され、連通孔134の周囲に連続して複数形成されている。舌片部138は、基部材131における連通孔131aの内周側に配置されている。舌片部138の一端は、本体部133と連続し、舌片部138の他端は、連通孔134側に配置されている。舌片部138は、本体部133の表裏方向に折れ曲がることができる。
【0073】
切り欠き部136は、複数の舌片部138のうち、本体部133の幅方向における一方と他方に向かい合う位置にある部分が切り欠かれて形成されている。切り欠き部136は、切り込み部135の一部が所定の間隔を隔てて形成されている。切り欠き部136は、位置合わせを可能にするため、対称に形成される。
【0074】
第3の加熱発泡材としての積層部材132は、
図5及び
図6(b)に示すように、基部材131の表面に重ねて配置されるシート状の加熱発泡材13B,13C,13E,13Fの一部である。積層部材132は、不織布を基材としたエポキシ系樹脂の厚さが1.5〜3mm程度の加熱発泡材により構成されている。積層部材132は、基部材131よりも固い。
【0075】
積層部材132は、四角形状の連通孔134bを有する。積層部材132の連通孔134bは、基部材131における連通孔134a及び切込み部135を合わせた部分よりも大きな面積を有する。連通孔134bは、基部材131に重ねたときに連通部139の外枠を形成する孔である。積層部材132は、第2の加熱発泡材139、特に連通孔134bの構成以外は、基部材131と同形に形成されている。
【0076】
ハンドル取り付け孔137は、基部材131及び積層部材132両方の本体部133の長手方向の他方側に配置されている。ハンドル取り付け孔137は、ドア本体4にハンドル7を取り付ける際に、ハンドル7の一部が挿通される取り付け穴である。詳細には、ハンドル取り付け孔137は、外側表面材4gにおける上,下ハンドル取付用孔47g,46g及び内側表面材4aにおける上,下ハンドル取付用孔47a,46aの内面側に付設される。
【0077】
以上の加熱発泡材13B,13C,13E,13Fのうち、一例として加熱発泡材13Eを、ドア本体4の開口としての上シリンダー錠取付用孔44gの内面側に取り付ける際の使用方法について説明する。
【0078】
図13に示すように、加熱発泡材13Eは、基部材131と積層部材132が重ね合わされた状態で、外側表面材4gの内面側に配置される。加熱発泡材13Eは、上シリンダー錠6aを取り付ける上シリンダー錠取付用孔44g(
図4参照)の内面側に、切り欠き部136を用いて位置合わせされ、接着剤により接着される。そして、ドア本体4の外側から上シリンダー錠6aを挿入して舌片部138を押し上げるとともに折り曲げながら、連通孔134に上シリンダー錠6aを挿入する。この状態では、舌片部138は、折り曲げられて上シリンダー錠6aの挿通方向に起立する。なお、ハンドル取り付け孔137は、連通孔134の位置合わせと同時にハンドル取付用孔46gの内面側に位置合わせされる。
【0079】
図14に示すように、ドア本体4が高温に曝されると、第2の加熱発泡材139における舌片部138が連通孔134の周縁部に向かって発泡する。図示のように、舌片部138は、矢印A方向に発泡し、本体部133は、矢印B方向に発泡する。
【0080】
火災により屋内が高温に曝されると、シリンダー錠6aの周囲が溶けて隙間が空いたり、溶け落ちそうになる。しかし、折り曲げられた切込み部135が上シリンダー錠6aの挿通方向に起立しているため、加熱発泡材13Eは、加熱されると上シリンダー錠6aの取り付けられる上シリンダー錠取付用孔44gを塞ぐ方向に発泡する。
【0081】
なお、外側表面材4gにおける下シリンダー錠取付用孔45gの内面側に加熱発泡材13Fを取り付ける場合、さらに内側表面材4aにおける上,下サムターン錠取付用孔44a、45aの内面側に加熱発泡材13B及び加熱発泡材13Cを取り付ける場合も、上記と同様である。
【0082】
以上の構成を備える本実施形態に係る加熱発泡材13B,13C,13E,13Fによれば、以下の効果が奏される。
【0083】
本実施形態では、本発明では、ドア本体4を有する建具1において、ドア本体4に形成された開口に対向し、該開口と連通する連通孔133aを形成した基部材131と、連通孔の周縁部に向かって発泡する連通部139における舌片部138と、を設けた。
【0084】
これにより、面材(外側表面材4g、内側表面材4a)における部品を取り付けるための開口を十分に塞ぐことができ、良好な防火性能を有する建具1を提供することができる。
【0085】
また本実施形態では、舌片部138を基部材131の連通孔133aの内周側に配置し、連通孔134の周方向に向かって変形可能とした。これにより、舌片部138が連通孔133a,134に連通する部品に向かって発泡するため、ドア本体4に形成された部品を取り付けるための開口を十分に塞ぐことができる。
【0086】
また本実施形態では、連通部139に形成される連通孔134に、周方向に切込み部135を形成し、切込み部135の一部に所定の間隔を隔てて切り欠き部136を形成した。これにより、加熱発泡材13B,13C,13E,13Fをドア本体4の開口の内側に取り付ける際に、切り欠き部136を目安にして位置決めさせることが容易となる。
【0087】
また本実施形態では、連通孔133a,134に、上,下サムターン・上,下シリンダー錠6a・6b及び屋外リーダー5のうちいずれか一方又は両方を挿入し、連通部139における舌片部138が上,下サムターン・上,下シリンダー錠6a・6b又は屋外リーダー5の外周縁に向かって発泡可能に構成した。これにより、火災時に上,下サムターン・上,下シリンダー錠6a・6bや屋外リーダー5などが溶け落ちても、連通孔133a,134を塞ぐことができる。
【0088】
次に、
図15〜
図17を参照して、本実施形態の変形例に係る加熱発泡材13Dについて説明する。
図15は、変形例に係る加熱発泡材13Dの斜視図である。
図16は、加熱発泡材13Dの分解正面図で、同図(a)は、基部材131Aの正面図、同図(b)は、積層部材132Aの正面図であり、
図17は加熱発泡材13Dの使用の状態を示す図である。
【0089】
図15に示すように、変形例に係る加熱発泡材13Dは、連通孔134Aが長方形に形成され、切込み部135Aが基部材131Aの長方形の連通孔133aの長方形の周囲を囲んで形成されている点と、切り欠き部136Aの位置とが上記実施形態の加熱発泡材13B,13C,13E,13Fと異なる。なお、変形例の説明において、特に説明されない点は、上記実施形態と同様である。
【0090】
図15及び
図16(a)に示すように、連通孔134aは、長方形に形成されている。
連通部139Aは、長方形の連通孔133aの周囲を囲むように形成される切込み部135Aを有する。
連通部139Aは、複数の切込み部135Aのうち、長方形の連通孔134aの周囲において、長手方向に沿う辺の略中央部と、幅方向に沿う辺の略中央部にそれぞれ対称に形成される切り欠き部136Aを有する。
【0091】
図16(b)に示すように、積層部材132Aは、基部材131Aにおける連通孔134a及び切込み部135Aを合わせた部分よりも大きな面積の連通孔134bを有する。連通孔134bは、長方形に形成され、積層部材132Aは基部材131Aに重ねられた状態で、舌片部138Aの外枠を形成する。
なお、変形例に係る加熱発泡材13Dは、ハンドル取り付け孔137を備えていない。
【0092】
以上の加熱発泡材13Dを、屋外リーダー取付用孔42gの内面側に取り付ける際の使用方法について説明する。
【0093】
図17に示すように、加熱発泡材13Dは、基部材131Aと積層部材132Aが重ね合わされた状態で、ドア本体4の内面側に配置される。加熱発泡材13Dは、外側表面材4gにおいて、屋外リーダー取付用孔42gの内面側に、切り欠き部136Aを用いて位置合わせされ、接着剤により接着される。そして、外側表面材4gの外側から屋外リーダー5を挿入して切込み部135Aを押し上げるとともに折り曲げながら、連通孔133a,134に屋外リーダー5を挿入する。
【0094】
変形例に係る加熱発泡材13Dによれば、ドア本体4に取り付ける部品として、電気錠廻り部品としての屋外リーダー5を用いる場合にも、本実施形態と同様の効果が奏される。
【0095】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態及び変形例では、加熱発泡材13B〜13Fは、基部材131,131A及び積層部材132,132Aを有するが、必ずしも基部材131,131A及び積層部材132,132Aを重ね合わせたものでなくてもよい。即ち、加熱発泡材13B〜13Fは、ドア本体4の開口を十分塞ぐことができる程度に発泡できれば、一枚の部材で構成されていてもよい。
【0096】
また、上記実施形態及び変形例では、加熱発泡材13B〜13Fは、それぞれ基部材131,131A及び積層部材132,132Aを重ね合わせて構成されているが、必ずしもこれに限られない。例えば、内側表面材4aに取り付ける加熱発泡材13B及び加熱発泡材13Cは、基部材131のみで形成されていてもよい。いずれの加熱発泡材も、加熱発泡材を取り付ける場所に応じて重ねる部材の枚数を変更してよい。
【0097】
また、上記実施形態及び変形例では、内側表面材4aにおける屋内リーダー取付用孔42aの内面側には、加熱発泡材を取り付けていないが、これに限られない。屋内リーダー取付用孔42aの内面側にも、変形例に係る加熱発泡材と同様の形状の加熱発泡材を取り付けてもよい。