特許第6195511号(P6195511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東海理化電機製作所の特許一覧

<>
  • 特許6195511-車両用ミラー装置 図000002
  • 特許6195511-車両用ミラー装置 図000003
  • 特許6195511-車両用ミラー装置 図000004
  • 特許6195511-車両用ミラー装置 図000005
  • 特許6195511-車両用ミラー装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6195511
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】車両用ミラー装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/074 20060101AFI20170904BHJP
【FI】
   B60R1/074
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-246734(P2013-246734)
(22)【出願日】2013年11月28日
(65)【公開番号】特開2015-104962(P2015-104962A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2016年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】吉田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】石原 衛
【審査官】 森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−059273(JP,A)
【文献】 特開2015−104961(JP,A)
【文献】 特開2015−104960(JP,A)
【文献】 特開平08−216783(JP,A)
【文献】 特開2008−087706(JP,A)
【文献】 特表2013−538751(JP,A)
【文献】 特開2011−201447(JP,A)
【文献】 実開平05−020935(JP,U)
【文献】 特開平09−142212(JP,A)
【文献】 特開2013−043601(JP,A)
【文献】 特開2013−103656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/06−1/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側に設けられた支持体と、
前記支持体に設けられた摺動部材と、
前記支持体の一側に支持されると共に、車両のミラーが設けられ、回動されることで前記ミラーが格納及び起立される回動体と、
前記支持体に設けられた第1摺動面と、
前記摺動部材に設けられた第2摺動面と、
前記回動体に設けられ、前記回動体が回動されることで前記第1摺動面と摺動されて前記支持体に対し前記回動体が一側及び他側の一方に変位される第3摺動面と、
前記回動体に設けられ、前記回動体が回動されることで前記第2摺動面と摺動されて前記回動体に対し前記摺動部材が一側及び他側の他方に変位される第4摺動面と、
を備え、前記第1摺動面、前記第2摺動面、前記第3摺動面又は前記第4摺動面の1つである凹状の凹摺動面の曲率半径を前記凹摺動面以外の前記第1摺動面、前記第2摺動面、前記第3摺動面又は前記第4摺動面の少なくとも1つの曲率半径に比し大きくした車両用ミラー装置。
【請求項2】
前記凹摺動面の曲率半径を前記凹摺動面以外の前記第1摺動面、前記第2摺動面、前記第3摺動面又は前記第4摺動面の2つの曲率半径の合計に比し大きくした請求項1記載の車両用ミラー装置。
【請求項3】
前記凹摺動面の曲率半径を前記凹摺動面以外の前記第1摺動面、前記第2摺動面、前記第3摺動面又は前記第4摺動面の3つの曲率半径の合計と等しくした請求項1又は請求項2記載の車両用ミラー装置。
【請求項4】
前記第1摺動面と前記第3摺動面とが摺動される際の前記回動体の回動量と前記第2摺動面と前記第4摺動面とが摺動される際の前記回動体の回動量とを等しくした請求項1〜請求項3の何れか1項記載の車両用ミラー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回動体が回動されることでミラーが格納及び起立される車両用ミラー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のドアミラーでは、ハウジングが回動されることで、ミラーが格納及び起立されると共に、ハウジングの第1バイザ側リング及び第2バイザ側リングとスタンドの第1ステー側リング及びギアの第2ステー側リングとがそれぞれ摺動される。
【0003】
さらに、ハウジングが回動される際には、第1バイザ側リングの谷部の角面と第1ステー側リングの山部の角面とが摺動されて、スタンドに対するハウジングの上方及び下方の一方への変位が開始及び終了される。しかも、第2バイザ側リングの山部の角面と第2ステー側リングの谷部の角面とが摺動されて、ハウジングに対するギアの上方及び下方の他方への変位が開始及び終了される。
【0004】
ここで、このようなドアミラーでは、ハウジングを円滑に回動させることができるのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−59273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、回動体を円滑に回動させることができる車両用ミラー装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様の車両用ミラー装置は、車体側に設けられた支持体と、前記支持体に設けられた摺動部材と、前記支持体に支持されると共に、車両のミラーが設けられ、回動されることで前記ミラーが格納及び起立される回動体と、前記支持体に設けられた第1摺動面と、前記摺動部材に設けられた第2摺動面と、前記回動体に設けられ、前記回動体が回動されることで前記第1摺動面と摺動されて前記支持体に対し前記回動体が前記支持体側及び前記支持体とは反対側の一方に変位される第3摺動面と、前記回動体に設けられ、前記回動体が回動されることで前記第2摺動面と摺動されて前記回動体に対し前記摺動部材が前記支持体側及び前記支持体とは反対側の他方に変位される第4摺動面と、を備え、前記第1摺動面、前記第2摺動面、前記第3摺動面又は前記第4摺動面の1つである凹状の凹摺動面の曲率半径を前記凹摺動面以外の前記第1摺動面、前記第2摺動面、前記第3摺動面又は前記第4摺動面の少なくとも1つの曲率半径に比し大きくしている。
【0008】
本発明の第2態様の車両用ミラー装置は、本発明の第1態様の車両用ミラー装置において、前記凹摺動面の曲率半径を前記凹摺動面以外の前記第1摺動面、前記第2摺動面、前記第3摺動面又は前記第4摺動面の2つの曲率半径の合計に比し大きくしている。
【0009】
本発明の第3態様の車両用ミラー装置は、本発明の第1態様又は第2態様の車両用ミラー装置において、前記凹摺動面の曲率半径を前記凹摺動面以外の前記第1摺動面、前記第2摺動面、前記第3摺動面又は前記第4摺動面の3つの曲率半径の合計と等しくしている。
【0010】
本発明の第4態様の車両用ミラー装置は、本発明の第1態様〜第3態様の何れか1つの車両用ミラー装置において、前記第1摺動面と前記第3摺動面とが摺動される際の前記回動体の回動量と前記第2摺動面と前記第4摺動面とが摺動される際の前記回動体の回動量とを等しくしている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1態様の車両用ミラー装置では、車体側に支持体が設けられると共に、支持体に摺動部材が設けられており、支持体に回動体が支持されると共に、回動体に車両のミラーが設けられている。また、回動体が回動されることで、ミラーが格納及び起立される。
【0012】
さらに、回動体が回動されることで、支持体の第1摺動面と回動体の第3摺動面とが摺動されて、支持体に対し回動体が支持体側及び支持体とは反対側の一方に変位される。しかも、回動体が回動されることで、摺動部材の第2摺動面と回動体の第4摺動面とが摺動されて、回動体に対し摺動部材が支持体側及び支持体とは反対側の他方に変位される。
【0013】
ここで、第1摺動面、第2摺動面、第3摺動面又は第4摺動面の1つである凹状の凹摺動面の曲率半径が、凹摺動面以外の第1摺動面、第2摺動面、第3摺動面又は第4摺動面の少なくとも1つの曲率半径に比し大きくされている。このため、回動体を円滑に回動させることができる。さらに、回動体が回動される際に、支持体に対する摺動部材の支持体側及び支持体とは反対側への変位を抑制できる。
【0014】
本発明の第2態様の車両用ミラー装置では、凹摺動面の曲率半径が、凹摺動面以外の第1摺動面、第2摺動面、第3摺動面又は第4摺動面の2つの曲率半径の合計に比し大きくされている。このため、回動体が回動される際に、支持体に対する摺動部材の支持体側及び支持体とは反対側への変位を効果的に抑制できる。
【0015】
本発明の第3態様の車両用ミラー装置では、凹摺動面の曲率半径が、凹摺動面以外の第1摺動面、第2摺動面、第3摺動面又は第4摺動面の3つの曲率半径の合計と等しくされている。このため、回動体が回動される際に、支持体に対する摺動部材の支持体側及び支持体とは反対側への変位を効果的に抑制できる。
【0016】
本発明の第4態様の車両用ミラー装置では、第1摺動面と第3摺動面とが摺動される際の回動体の回動量と第2摺動面と第4摺動面とが摺動される際の回動体の回動量とが等しくされている。このため、回動体が回動される際に、支持体に対する摺動部材の支持体側及び支持体とは反対側への変位を効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る車両用ドアミラー装置を示す車両後方から見た正面図である。
図2】本発明の実施形態に係る車両用ドアミラー装置における格納機構を示す車両後方かつ車幅方向外方から見た分解斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る車両用ドアミラー装置における格納機構を示す車両後方から見た断面図である。
図4】(A)〜(C)は、本発明の実施形態に係る車両用ドアミラー装置における格納機構の主要部を示す側面図(ミラー回動方向に沿った湾曲を展開した図)であり、(A)は、ミラーの起立時を示し、(B)は、ミラーの格納途中を示し、(C)ミラーの格納時を示している。
図5図4(B)の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1には、本発明の車両用ミラー装置が適用された実施形態に係る車両用ドアミラー装置10が車両後方から見た正面図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車幅方向外方(車両右方)を矢印OUTで示し、上方を矢印UPで示す。
【0019】
本実施形態に係る車両用ドアミラー装置10は、車両の車体を構成するドアとしてのサイドドア(図示省略)の上下方向中間部の車両前側端部に設けられて、車両の外部に配置されている。
【0020】
図1に示す如く、車両用ドアミラー装置10は、車幅方向内側端部において、支持体を構成する支持部材としてのステー12を備えており、ステー12は、車両のサイドドアに取付けられている。
【0021】
ステー12の車幅方向内側端部には、取付部としての板状の取付板14が設けられており、ステー12は、取付板14において、車両のドアに取付けられている。ステー12の車幅方向外側部分には、突出部としての平面視略半円形板状の突出板16が設けられており、突出板16は、取付板14の下端から車幅方向外側に突出されている。
【0022】
ステー12の突出板16には、格納手段としての図2及び図3に示す格納機構18(リトラクタ)が支持されている。
【0023】
格納機構18には、支持体を構成する支持部としてのスタンド20が設けられている。スタンド20の下端部には、略板状の固定板20Aが設けられており、固定板20Aがステー12の突出板16に上側から固定されて、格納機構18が突出板16に支持されている。固定板20Aの上面には、略円筒状の支持軸20Bが一体に形成されており、支持軸20Bは、固定板20Aから上方に突出されて、軸方向が上下方向に平行に配置されている。
【0024】
固定板20Aの上面には、支持軸20Bの全周において、変位手段を構成する第1係合部としての略円環板状の固定枠22が一体に形成されており、固定枠22は、固定板20Aから上方に突出されると共に、支持軸20Bと同軸上に配置されている。
【0025】
固定枠22には、複数(本実施形態では2個)の固定係合部22A(図4(A)参照)が設けられており、複数の固定係合部22Aは、固定枠22の周方向に等間隔に配置されている。固定係合部22Aは、凹状にされており、固定係合部22Aは、固定枠22の上側及び径方向両側に開放されて、内周面が第1係合面としての固定係合面24にされている。
【0026】
固定係合面24の前倒方向(図2の矢印Bの方向である支持軸20B周方向一方)側の端部は、平面状の第1起立面24Aにされており、第1起立面24Aは、前倒方向へ向かうに従い上方へ向かう方向に傾斜されている。固定係合面24の格納方向(図2の矢印Aの方向である支持軸20B周方向他方)側の端部は、平面状の第1格納面24Bにされており、第1格納面24Bは、格納方向へ向かうに従い上方へ向かう方向に傾斜されている。また、第1起立面24Aと第1格納面24Bとの水平面に対する傾斜角度は、同一にされている。
【0027】
固定係合面24には、第1起立面24Aの格納方向側において、平面状の第1起立底面24Cが設けられており、第1起立底面24Cは、上下方向に垂直に配置されている。固定係合面24には、第1格納面24Bの前倒方向側において、平面状の第1格納底面24Dが設けられており、第1格納底面24Dは、上下方向に垂直に配置されると共に、第1起立底面24Cに比し上側に配置されている。また、第1起立面24Aと第1起立底面24Cとの間及び第1格納面24Bと第1格納底面24Dとの間の凹状の角面(境界面)は、湾曲されている。
【0028】
固定係合面24には、第1起立底面24Cと第1格納底面24Dとの間において、第1変位手段としての平面状の変位傾斜面24Eが設けられており、変位傾斜面24Eは、格納方向へ向かうに従い上方へ向かう方向に傾斜されている。変位傾斜面24Eの水平面に対する傾斜角度は、第1起立面24Aと第1格納面24Bとの水平面に対する傾斜角度に比し小さくされて、θにされている(図5参照)。また、第1起立底面24Cと変位傾斜面24Eとの間及び第1格納底面24Dと変位傾斜面24Eとの間の角面(境界面)は、それぞれ凹状の第1起立角面24F及び第1摺動面としての凸状の第1格納角面24Gにされて、湾曲されている。第1格納角面24Gの曲率半径は、R1にされると共に、第1格納角面24Gの曲率中心を中心とした中心角は、θにされており(図5参照)、第1格納角面24Gの支持軸20B周方向に沿った寸法(範囲)は、R1sinθにされている。
【0029】
スタンド20の支持軸20Bには、回動体を構成する格納体26が回動可能に支持されている。
【0030】
格納体26の下側部分には、作動部としての容器状のケース28が設けられており、ケース28の上面は、開放されている。ケース28の底壁の車幅方向内側部分には、変位手段を構成する第3係合部としての略円環板状の回動枠30が一体に設けられており、回動枠30には、支持軸20Bが同軸上に貫通かつ嵌合されている。これにより、ケース28が、支持軸20Bに回動可能に支持されると共に、支持軸20Bに対し上下方向に変位可能にされている。
【0031】
回動枠30の下面には、複数(本実施形態では2個)の変位係合部30A(図4(A)参照)が設けられており、複数の変位係合部30Aは、回動枠30の周方向に等間隔に配置されている。変位係合部30Aは、側面視台形状の凸状にされており、変位係合部30Aは、下方に突出されて、外周面が第3係合面としての変位係合面32にされている。
【0032】
変位係合面32の前倒方向側の端部は、平面状の第3起立面32Aにされており、第3起立面32Aは、前倒方向へ向かうに従い上方へ向かう方向に傾斜されている。変位係合面32の格納方向側の端部は、平面状の第3格納面32Bにされており、第3格納面32Bは、格納方向へ向かうに従い上方へ向かう方向に傾斜されている。また、第3起立面32Aと第3格納面32Bとの水平面に対する傾斜角度は、同一にされると共に、スタンド20(固定係合面24)の第1起立面24Aと第1格納面24Bとの水平面に対する傾斜角度と同一にされており、第3起立面32Aは、第1起立面24Aに当接(面接触)されている。
【0033】
変位係合面32には、第3起立面32Aと第3格納面32Bとの間において、平面状の第3頂面32Cが設けられており、第3頂面32Cは、上下方向に垂直に配置されて、スタンド20(固定係合面24)の第1起立底面24Cに当接(面接触)されている。また、第3起立面32Aと第3頂面32Cとの間及び第3格納面32Bと第3頂面32Cとの間の角面(境界面)は、それぞれ凸状の第3起立角面32D及び第3摺動面としての凸状の第3格納角面32Eにされて、湾曲されており、第3格納角面32Eは、スタンド20(固定係合面24)の第1起立角面24Fに当接(線接触)されている。第3格納角面32Eの曲率半径は、スタンド20(固定係合面24)の第1格納角面24Gの曲率半径R1に比し小さくされて、R3にされている(図5参照)。
【0034】
回動枠30の上面には、複数(本実施形態では2個)の回動係合部30B(図4(A)参照)が設けられており、複数の回動係合部30Bは、回動枠30の周方向に等間隔に配置されている。回動係合部30Bは、凹状にされており、回動係合部30Bは、回動枠30の上側及び径方向両側に開放されて、内周面が第4係合面としての回動係合面34にされている。
【0035】
回動係合面34の格納方向側の端部は、平面状の維持傾斜面34Aにされており、維持傾斜面34Aは、前倒方向へ向かうに従い下方へ向かう方向に傾斜されると共に、水平面に対する傾斜角度がスタンド20(固定係合面24)の変位傾斜面24Eの水平面に対する傾斜角度と同一にされてθにされている(図5参照)。また、維持傾斜面34Aと回動枠30上面との間の角面(境界面)は、凸状の第4起立角面34Bにされて、湾曲されている。
【0036】
回動係合面34には、維持傾斜面34Aの前倒方向側において、平面状の第4底面34Cが設けられており、第4底面34Cは、上下方向に垂直に配置されている。また、維持傾斜面34Aと第4底面34Cとの間の角面(境界面)は、第4摺動面(凹摺動面)としての凹状の第4格納角面34Dにされて、湾曲されている。第4格納角面34Dの曲率半径は、スタンド20(固定係合面24)の第1格納角面24Gの曲率半径R1及びケース28(変位係合面32)の第3格納角面32Eの曲率半径R3に比し大きくされて、R4にされており(図5参照)、第1格納角面24Gは、支持軸20B周方向に沿った寸法(範囲)が、第1格納角面24Gと同一にされてR1sinθにされている。
【0037】
ケース28の上側には、保持部としての容器状のモータベース36が固定されており、モータベース36の車幅方向内側部分内には、スタンド20の支持軸20Bが収容されている。
【0038】
モータベース36の車幅方向外側部分には、駆動手段としてのモータ38が保持されており、モータ38の出力軸38Aは、モータベース36の下側に延出されて、ケース28内に挿入されている。モータ38には、車両の制御装置(図示省略)が電気的に接続されており、制御装置の制御により、格納機構18が作動されて、モータ38が駆動されることで、モータ38の出力軸38Aが回転される。
【0039】
ケース28内には、モータ38の下側において、ギア部材(初段ギア)としてのウォームギア40が設けられており、ウォームギア40は、モータ38の出力軸38Aに同軸上に取付けられている。ウォームギア40と出力軸38Aとは、一体回転可能にされており、出力軸38Aが回転されることで、ウォームギア40が回転される。
【0040】
ウォームギア40の車幅方向内側には、連絡ギア(中間ギア)としてのウォームシャフト42が設けられており、ウォームシャフト42は、ケース28に回転自在に支持されている。ウォームシャフト42には、一側部分においてヘリカルギア部42A(ウォームホイールギア)が設けられると共に、他側部分においてウォームギア部42Bが設けられている。ヘリカルギア部42Aは、ウォームギア40に噛合されており、ウォームギア40が回転されることで、ウォームシャフト42(ヘリカルギア部42A及びウォームギア部42B)が回転される。
【0041】
スタンド20の支持軸20Bには、ケース28の回動枠30上側において、付勢機構44が支持されている。
【0042】
付勢機構44には、変位手段を構成する摺動部材(第2係合部)としての略円環板状のキャンセルディテント46が設けられており、キャンセルディテント46は、スタンド20の支持軸20Bが同軸上に貫通かつ嵌合されて、支持軸20Bに回転不能に支持されると共に、支持軸20Bに対し上下方向に変位可能にされている。
【0043】
キャンセルディテント46には、複数(本実施形態では2個)の維持係合部46A(図4(A)参照)が設けられており、複数の維持係合部46Aは、キャンセルディテント46の周方向に等間隔に配置されている。維持係合部46Aは、側面視台形状の凸状にされており、維持係合部46Aは、下方に突出されて、外周面が第2係合面としての維持係合面48にされている。
【0044】
維持係合面48の格納方向側の端部は、平面状の第2起立面48Aにされており、第2起立面48Aは、格納方向へ向かうに従い上方へ向かう方向に傾斜されている。維持係合面48の前倒方向側の端部は、平面状の第2格納面48Bにされており、第2格納面48Bは、前倒方向へ向かうに従い上方へ向かう方向に傾斜されている。また、第2起立面48Aと第2格納面48Bとの水平面に対する傾斜角度は、同一にされると共に、スタンド20(固定係合面24)の第1起立面24Aと第1格納面24Bとの水平面に対する傾斜角度と同一にされている。
【0045】
維持係合面48には、第2起立面48Aと第2格納面48Bとの間において、平面状の第2頂面48Cが設けられており、第2頂面48Cは、上下方向に垂直に配置されている。また、第2起立面48Aと第2頂面48Cとの間及び第2格納面48Bと第2頂面48Cとの間の角面(境界面)は、それぞれ第2摺動面としての凸状の第2起立角面48D及び凸状の第2格納角面48Eにされて、湾曲されており、第2起立角面48Dは、ケース28(回動係合面34)の維持傾斜面34A上端(第4起立角面34Bでもよい)に当接(線接触)されている。第2起立角面48Dの曲率半径は、スタンド20(固定係合面24)の第1格納角面24Gの曲率半径R1及びケース28(回動係合面34)の第4格納角面34Dの曲率半径R4に比し小さくされて、R2にされている(図5参照)。さらに、R1+R2+R3−R4=0にされている。
【0046】
キャンセルディテント46の上側には、略円環板状のロックカム50が設けられており、ロックカム50は、スタンド20の支持軸20Bが同軸上に貫通かつ固定されて、支持軸20Bに回転不能かつ上下方向に変位不能に支持されている。
【0047】
ロックカム50の下側には、付勢手段としての圧縮コイルスプリング52が設けられており、圧縮コイルスプリング52には、スタンド20の支持軸20Bが同軸上に貫通されている。
【0048】
圧縮コイルスプリング52の下側には、係止部材としての略円筒状のクラッチプレート54が設けられており、クラッチプレート54は、スタンド20の支持軸20Bが同軸上に貫通かつ嵌合されて、支持軸20Bに回転不能に支持されると共に、支持軸20Bに対し上下方向に変位可能にされている。クラッチプレート54とロックカム50との間には、圧縮コイルスプリング52が掛渡されており、クラッチプレート54は、圧縮コイルスプリング52によって下方に付勢されている。
【0049】
クラッチプレート54の下面には、係止部としての係止突起54A(図2参照)が複数(本実施形態では4個)設けられており、複数の係止突起54Aは、クラッチプレート54の周方向に等間隔に配置されている。係止突起54Aは、下方に突出されると共に、側面視台形状にされており、係止突起54Aのクラッチプレート54周方向における両端面は、係止突起54Aのクラッチプレート54周方向外側へ向かうに従い上側へ向かう方向に傾斜されている。
【0050】
クラッチプレート54とキャンセルディテント46との間には、出力ギア(最終ギア)としての略円筒状のギアプレート56(ウォームホイール)が設けられており、ギアプレート56は、スタンド20の支持軸20Bが同軸上に貫通されて、支持軸20Bを中心として回転可能にされている。ギアプレート56の下部内には、略円環板状の底壁56Aが一体に形成されており、ギアプレート56内には、底壁56Aの上側において、クラッチプレート54が同軸上に嵌入されている。
【0051】
ギアプレート56の底壁56A上面には、被係止部としての係止凹部56B(図2参照)が複数(本実施形態では4個)設けられており、複数の係止凹部56Bは、ギアプレート56の周方向に等間隔に配置されている。係止凹部56Bは、上側に開放されると共に、側面視台形状にされており、係止凹部56Bのギアプレート56周方向における両端面は、係止凹部56Bのギアプレート56周方向外側へ向かうに従い上側へ向かう方向に傾斜されている。係止凹部56Bには、クラッチプレート54の係止突起54Aが嵌入されており、ギアプレート56の底壁56Aは、圧縮コイルスプリング52の付勢力によってクラッチプレート54とキャンセルディテント46との間に挟持されている。このため、係止凹部56Bへの係止突起54Aの嵌入の解除が制限されて、ギアプレート56の回転が係止されている。
【0052】
ギアプレート56の外周には、上記ウォームシャフト42のウォームギア部42Bが噛合されており、ウォームシャフト42が回転されることで、ギアプレート56にウォームシャフト42の回転力が作用される。
【0053】
上記格納体26は、図1に示す回動体を構成する収容部材としての略直方体形容器状のバイザ58の車幅方向内側部分内に収容されており、バイザ58は、下壁の車幅方向内側部分に上記スタンド20が貫通されると共に、車両後側面が開放されている。バイザ58は、格納体26のケース28に連結されており、バイザ58は、格納体26と一体に回動可能かつ上下方向に変位可能にされている。
【0054】
バイザ58内には、車両後側面(開放部分)近傍において、回動体を構成する略矩形板状のミラー60が配置されており、ミラー60の全周及び車両前側面は、バイザ58によって被覆されている。ミラー60の鏡面60Aは、車両後側へ向けられており、ミラー60によって車両の乗員(特に運転手)が車両後側を視認可能にされている。ミラー60は、バイザ58に連結されており、ミラー60は、バイザ58と一体に回動可能かつ上下方向に変位可能にされている。
【0055】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0056】
以上の構成の車両用ドアミラー装置10では、格納機構18の格納体26が起立位置(展開位置、復帰位置)に配置されて、バイザ58及びミラー60が起立されている。
【0057】
格納機構18では、格納体26(ケース28の回動枠30の変位係合部30A)の変位係合面32の第3起立面32Aがスタンド20(固定枠22の固定係合部22A)の固定係合面24の第1起立面24Aに当接(面接触)されると共に、変位係合面32の第3頂面32Cが固定係合面24の第1起立底面24Cに当接(面接触)され、かつ、変位係合面32の第3格納角面32Eが固定係合面24の第1起立角面24Fに当接(線接触)されている。さらに、格納体26(回動枠30の回動係合部30B)の回動係合面34の維持傾斜面34A上端にキャンセルディテント46(維持係合部46A)の維持係合面48の第2起立角面48Dが当接(線接触)されている。
【0058】
しかも、格納機構18では、クラッチプレート54の係止突起54Aがギアプレート56の係止凹部56Bに嵌入されると共に、圧縮コイルスプリング52の付勢力によってキャンセルディテント46とクラッチプレート54との間にギアプレート56の底壁56Aが挟持されている。このため、係止突起54Aの係止凹部56Bへの嵌入の解除が制限されることで、ギアプレート56の回転が係止されて、格納体26、バイザ58及びミラー60の回動が係止されている。
【0059】
バイザ58又はミラー60に格納方向への所定荷重以上の外力が作用された際には、格納体26に格納方向への回動力が作用されることで、圧縮コイルスプリング52の付勢力に抗して、係止突起54Aの係止凹部56Bへの嵌入が解除されて、ギアプレート56の格納方向への回転が許容される。このため、格納体26の格納方向への回動が許容されることで、バイザ58及びミラー60が、格納体26と一体に格納方向へ回動されて、格納(後格納)可能にされる。
【0060】
一方、バイザ58又はミラー60に前倒方向への特定荷重以上の外力が作用された際には、格納体26に前倒方向への回動力が作用されることで、圧縮コイルスプリング52の付勢力に抗して、係止突起54Aの係止凹部56Bへの嵌入が解除されて、ギアプレート56の前倒方向への回転が許容される。このため、格納体26の前倒方向への回動が許容されることで、バイザ58及びミラー60が、格納体26と一体に前倒方向へ回動されて、前倒(前格納)可能にされる。
【0061】
制御装置の制御により格納機構18が作動された際には、格納体26のモータ38が駆動されることで、モータ38の出力軸38Aが回転される。このため、ウォームギア40が出力軸38Aと一体に回転されて、ウォームシャフト42(ヘリカルギア部42A及びウォームギア部42B)が回転されることで、ウォームギア部42Bがギアプレート56の回りを回動される。これにより、格納体26がウォームギア部42Bと一体に回動されて、バイザ58及びミラー60が格納体26と一体に回動される。
【0062】
バイザ58及びミラー60が起立された状態から、モータ38が駆動されて出力軸38Aが一方向へ回転されることで、格納体26が格納方向に回動される。このため、バイザ58及びミラー60が格納体26と一体に格納方向(車両後側かつ車幅方向内側)へ回動されて、格納体26が格納位置(後格納位置)まで回動されることで、バイザ58及びミラー60が、サイドドアに対する突出を解除されて、格納(後格納)される。
【0063】
格納体26が格納位置まで回動される際には、格納体26の変位係合面32の第3頂面32C(第3格納角面32Eを含む)がスタンド20の固定係合面24の変位傾斜面24E及び第1格納底面24D(第1起立角面24F及び第1格納角面24Gを含む)に摺動されて、変位係合面32の第3格納面32Bが固定係合面24の第1格納面24Bに当接(面接触)されると共に、変位係合面32の第3頂面32Cが固定係合面24の第1格納底面24Dに当接(面接触)される(図4の(A)〜(C)参照)。このため、格納体26の回動が制限されて、格納体26が格納位置に停止される。
【0064】
さらに、格納体26が格納位置まで回動される際には、キャンセルディテント46の維持係合面48の第2頂面48C(第2起立角面48Dを含む)が格納体26の回動係合面34の維持傾斜面34A及び第4底面34C(第4格納角面34Dを含む)に摺動されて、維持係合面48の第2頂面48Cが回動係合面34の第4底面34Cに当接(面接触)される(図4の(A)〜(C)参照)。
【0065】
バイザ58及びミラー60が格納された状態から、モータ38が駆動されて出力軸38Aが他方向へ回転されることで、格納体26が前倒方向に回動される。このため、バイザ58及びミラー60が格納体26と一体に前倒方向(車両前側かつ車幅方向外側)へ回動されて、格納体26が起立位置まで回動されることで、バイザ58及びミラー60が、サイドドアに対して突出されて、起立(展開、復帰)される。
【0066】
格納体26が起立位置まで回動される際には、格納体26の変位係合面32の第3頂面32C(第3格納角面32Eを含む)がスタンド20の固定係合面24の第1格納底面24D及び変位傾斜面24E(第1格納角面24G及び第1起立角面24Fを含む)に摺動されて、変位係合面32の第3起立面32Aが固定係合面24の第1起立面24Aに当接(面接触)されると共に、変位係合面32の第3頂面32Cが固定係合面24の第1起立底面24Cに当接(面接触)され、かつ、変位係合面32の第3格納角面32Eが固定係合面24の第1起立角面24Fに当接(線接触)される。このため、格納体26の回動が制限されて、格納体26が起立位置に停止される。
【0067】
さらに、格納体26が起立位置まで回動される際には、キャンセルディテント46の維持係合面48の第2頂面48C(第2起立角面48Dを含む)が格納体26の回動係合面34の第4底面34C及び維持傾斜面34A(第4格納角面34Dを含む)に摺動されて、維持係合面48の第2起立角面48Dが回動係合面34の維持傾斜面34A上端に当接(線接触)される。
【0068】
ここで、格納機構18が作動されてバイザ58及びミラー60が格納される際には、格納体26の変位係合面32の第3格納角面32Eがスタンド20の固定係合面24の変位傾斜面24E(第1起立角面24F及び第1格納角面24Gを含む)に摺動されて、格納体26が上側(ステー12とは反対側)に変位されることで、バイザ58及びミラー60が上側に変位される。さらに、格納機構18が作動されてバイザ58及びミラー60が起立される際には、格納体26の変位係合面32の第3格納角面32Eがスタンド20の固定係合面24の変位傾斜面24E(第1格納角面24G及び第1起立角面24Fを含む)に摺動されて、格納体26が下側に変位されることで、バイザ58及びミラー60が下側に変位される。
【0069】
このため、格納機構18が作動されてバイザ58及びミラー60が格納及び起立される際には、バイザ58及びミラー60が起立された際に比し、ステー12とバイザ58との間の隙間寸法が増加される。このため、格納機構18の作動によって、バイザ58がステー12に対し円滑に回動できて、バイザ58及びミラー60を円滑に格納及び起立させることができる。
【0070】
ところで、図5に示す如く、格納機構18が作動されてバイザ58及びミラー60が格納される際には、格納体26の変位係合面32の第3格納角面32Eがスタンド20の固定係合面24の第1格納角面24Gに摺動されて、スタンド20に対する格納体26の上側への変位が終了されると共に、キャンセルディテント46の維持係合面48の第2起立角面48Dが格納体26の回動係合面34の第4格納角面34Dに摺動されて、格納体26に対するキャンセルディテント46の下側への変位が終了される。
【0071】
さらに、格納機構18が作動されてバイザ58及びミラー60が起立される際には、格納体26の変位係合面32の第3格納角面32Eがスタンド20の固定係合面24の第1格納角面24Gに摺動されて、スタンド20に対する格納体26の下側への変位が開始されると共に、キャンセルディテント46の維持係合面48の第2起立角面48Dが格納体26の回動係合面34の第4格納角面34Dに摺動されて、格納体26に対するキャンセルディテント46の上側への変位が開始される。
【0072】
ここで、第4格納角面34Dの曲率半径R4が、第1格納角面24Gの曲率半径R1、第2起立角面48Dの曲率半径R2及び第3格納角面32Eの曲率半径R3に比し、大きくされている。
【0073】
このため、格納機構18の作動により、格納体26ひいてはバイザ58及びミラー60を円滑に回動させることができると共に、格納体26ひいてはバイザ58及びミラー60の上下方向への変位を円滑に終了及び開始させることができる。
【0074】
しかも、格納機構18の作動により、第3格納角面32Eが第1格納角面24Gに摺動されると共に、第2起立角面48Dが第4格納角面34Dに摺動される際に、第1格納角面24Gに対する第2起立角面48Dの上下方向への変位を抑制できて、スタンド20に対するキャンセルディテント46の上下方向への変位を抑制でき、キャンセルディテント46の上下方向への変位により圧縮コイルスプリング52の圧縮量が変動されて圧縮コイルスプリング52の付勢力が変動されることを抑制できる。これにより、第3格納角面32Eと第1格納角面24Gとの間の摺動抵抗及び第4格納角面34Dと第2起立角面48Dとの間の摺動抵抗が変動されることを抑制できて、格納体26の回動抵抗が変動されることを抑制でき、モータ38の駆動負荷が変動されることを抑制できて、モータ38の駆動音ひいては格納機構18の作動音が変動されることを抑制できる。
【0075】
さらに、第4格納角面34Dの曲率半径R4が、第1格納角面24Gの曲率半径R1、第2起立角面48Dの曲率半径R2及び第3格納角面32Eの曲率半径R3のうちの任意の2つの合計に比し、大きくされている。このため、格納機構18の作動により、第3格納角面32Eが第1格納角面24Gに摺動されると共に、第2起立角面48Dが第4格納角面34Dに摺動される際に、第1格納角面24Gに対する第2起立角面48Dの上下方向への変位を効果的に抑制できて、スタンド20に対するキャンセルディテント46の上下方向への変位を効果的に抑制でき、格納機構18の作動音が変動されることを効果的に抑制できる。
【0076】
また、第1格納角面24G及び第4格納角面34Dの支持軸20B周方向に沿った寸法が同一(R1sinθ)にされて、第3格納角面32Eが第1格納角面24Gに摺動される際と第2起立角面48Dが第4格納角面34Dに摺動される際との格納体26の回動量(回動角度)が等しくされており、第3格納角面32Eが第1格納角面24Gに摺動される時間と第2起立角面48Dが第4格納角面34Dに摺動される時間とが同時にされている。
【0077】
このため、第3格納角面32Eが第1格納角面24Gに摺動される際における第3格納角面32Eの第1格納角面24Gに対する格納体26回動方向への回動量X1と、第2起立角面48Dが第4格納角面34Dに摺動される際における第2起立角面48Dの第4格納角面34Dに対する格納体26回動方向への回動量X2と、が等しくされている。
【0078】
ここで、第3格納角面32Eが第1格納角面24Gに摺動される際における第3格納角面32Eの第1格納角面24Gとの摺動範囲の第3格納角面32E曲率中心を中心とした中心角をαにすると共に、第2起立角面48Dが第4格納角面34Dに摺動される際における第2起立角面48Dの第4格納角面34Dとの摺動範囲の第2起立角面48D曲率中心を中心とした中心角をβにすると、
X1=R1{sinθ−sin(θ−α)}+R3{sinθ−sin(θ−α)}
=(R1+R3)sinθ−(R1+R3)sin(θ−α)
となり、
X2=R4{sinθ−sin(θ−β)}−R2{sinθ−sin(θ−β)}
=(R4−R2)sinθ−(R4−R2)sin(θ−β)
となる。
【0079】
上述の如く、X1=X2であるため、
(R1+R3)sinθ−(R1+R3)sin(θ−α)
=(R4−R2)sinθ−(R4−R2)sin(θ−β)
であり、
(R1+R2+R3−R4){sinθ−sin(θ−α)}
=(R4−R2){sin(θ−α)−sin(θ−β)}・・・式1
となる。
【0080】
一方、第3格納角面32Eが第1格納角面24Gに摺動される際における第3格納角面32Eの第1格納角面24Gに対する上下方向への変位量Y1は、
Y1=R1{cos(θ−α)−cosθ}+R3{cos(θ−α)−cosθ}
=(R1+R3)cos(θ−α)−(R1+R3)cosθ
となり、
第2起立角面48Dが第4格納角面34Dに摺動される際における第2起立角面48Dの第4格納角面34Dに対する上下方向への変位量Y2は、
Y2=R4{cos(θ−β)−cosθ}−R2{cos(θ−β)−cosθ}
=(R4−R2)cos(θ−β)−(R4−R2)cosθ
となる。
【0081】
ΔY=Y2−Y1とすると、
ΔY=(R4−R2)cos(θ−β)−(R4−R2)cosθ
−{(R1+R3)cos(θ−α)−(R1+R3)cosθ)}
=(R1+R2+R3−R4)cosθ
−(R1+R3)cos(θ−α)+(R4−R2)cos(θ−β)
=(R1+R2+R3−R4){cosθ−cos(θ−α)}
−(R4−R2){cos(θ−α)−cos(θ−β)}・・・式2
となる。
【0082】
ここで、本実施形態では、R1+R2+R3−R4=0にされている。このため、式1から、sin(θ−α)=sin(θ−β)となって、θ−α=θ−βとなり、式2から、ΔY=0となる。
【0083】
このため、格納機構18の作動により、第3格納角面32Eが第1格納角面24Gに摺動されると共に、第2起立角面48Dが第4格納角面34Dに摺動される際に、第1格納角面24Gに対する第2起立角面48Dの上下方向への変位を一層効果的に抑制(防止)できて、スタンド20に対するキャンセルディテント46の上下方向への変位を一層効果的に抑制(防止)でき、格納機構18の作動音が変動されることを一層効果的に抑制できる。
【0084】
また、上述の如く、第3格納角面32Eが第1格納角面24Gに摺動される際と第2起立角面48Dが第4格納角面34Dに摺動される際との格納体26の回動量が等しくされて、第3格納角面32Eが第1格納角面24Gに摺動される時間と第2起立角面48Dが第4格納角面34Dに摺動される時間とが同時にされている。
【0085】
このため、格納機構18の作動により第3格納角面32Eが第1格納角面24Gに摺動される際に第2起立角面48Dが第4格納角面34Dに摺動されないことを抑制(防止)できると共に、格納機構18の作動により第2起立角面48Dが第4格納角面34Dに摺動される際に第3格納角面32Eが第1格納角面24Gに摺動されないことを抑制(防止)でき、第1格納角面24Gに対する第2起立角面48Dの上下方向への変位を一層効果的に抑制(防止)できて、スタンド20に対するキャンセルディテント46の上下方向への変位を一層効果的に抑制(防止)でき、格納機構18の作動音が変動されることを一層効果的に抑制できる。
【0086】
なお、本実施形態では、第4格納角面34Dの曲率半径R4を第1格納角面24Gの曲率半径R1、第2起立角面48Dの曲率半径R2及び第3格納角面32Eの曲率半径R3に比し大きくした。しかしながら、第4格納角面34Dの曲率半径R4を第1格納角面24Gの曲率半径R1、第2起立角面48Dの曲率半径R2又は第3格納角面32Eの曲率半径R3の少なくとも1つに比し大きくすればよい。
【0087】
さらに、本実施形態では、第4格納角面34Dの曲率半径R4を第1格納角面24Gの曲率半径R1、第2起立角面48Dの曲率半径R2及び第3格納角面32Eの曲率半径R3のうちの任意の2つの合計に比し大きくした。しかしながら、第4格納角面34Dの曲率半径R4を第1格納角面24Gの曲率半径R1、第2起立角面48Dの曲率半径R2及び第3格納角面32Eの曲率半径R3のうちの何れか2つの合計に比し大きくすればよい。
【0088】
しかも、本実施形態では、R1+R2+R3−R4=0とした。しかしながら、R1+R2+R3−R4>0、又は、R1+R2+R3−R4<0としてもよい。この場合、上記式2では、cosθ−cos(θ−α)<0、かつ、R4−R2>0である。このため、R1+R2+R3−R4>0である際には、α<βとして、cos(θ−α)−cos(θ−β)<0とすると、ΔYの絶対値を小さくできる。一方、仮にR1+R2+R3−R4<0である際には、α>βとして、cos(θ−α)−cos(θ−β)>0とすると、ΔYの絶対値を小さくできる。これにより、格納機構18の作動により、第3格納角面32Eが第1格納角面24Gに摺動されると共に、第2起立角面48Dが第4格納角面34Dに摺動される際に、第1格納角面24Gに対する第2起立角面48Dの上下方向への変位を抑制できる。
【0089】
また、本実施形態では、スタンド20の固定係合部22Aを凹状に設けると共に、格納体26の変位係合部30Aを凸状に設けた。しかしながら、スタンド20の固定係合部22Aを凸状に設けると共に、格納体26の変位係合部30Aを凹状に設けてもよい。この場合、凸状の固定係合部22A(固定係合面24)を本実施形態の変位係合部30A(変位係合面32)が上下方向及び支持軸20B周方向において反転された構成すると共に、凹状の変位係合部30A(変位係合面32)を本実施形態の固定係合部22A(固定係合面24)が上下方向及び支持軸20B周方向において反転された構成する。
【0090】
さらに、本実施形態では、キャンセルディテント46の維持係合部46Aを凸状に設けると共に、格納体26の回動係合部30Bを凹状に設けた。しかしながら、キャンセルディテント46の維持係合部46Aを凹状に設けると共に、格納体26の回動係合部30Bを凸状に設けてもよい。この場合、凹状の維持係合部46A(維持係合面48)を本実施形態の回動係合部30B(回動係合面34)が上下方向及び支持軸20B周方向において反転された構成すると共に、凸状の回動係合部30B(回動係合面34)を本実施形態の維持係合部46A(維持係合面48)が上下方向及び支持軸20B周方向において反転された構成する。
【0091】
しかも、本実施形態では、スタンド20と格納体26とに固定係合部22Aと変位係合部30Aとを設けると共に、キャンセルディテント46と格納体26とに維持係合部46Aと回動係合部30Bとを設けた。しかしながら、スタンド20と格納体26とに維持係合部46Aと回動係合部30Bとを設けると共に、キャンセルディテント46と格納体26とに固定係合部22Aと変位係合部30Aとを設けてもよい。
【0092】
さらに、本実施形態では、ギアプレート56の下側にキャンセルディテント46を設けて、キャンセルディテント46に維持係合部46Aを設けた。しかしながら、ギアプレート56の下側にキャンセルディテント46を設けずに、ギアプレート56を摺動部材として、ギアプレート56に維持係合部46Aを設けてもよい。
【0093】
また、本実施形態では、本発明を格納体26が起立位置と格納位置との間で回動される際に適用した。しかしながら、これと共に、又は、これに代えて、本発明を格納体26が起立位置と前倒位置との間で回動される際に適用してもよい。
【0094】
さらに、本実施形態では、本発明の車両用ミラー装置を車両用ドアミラー装置10に適用した。しかしながら、本発明の車両用ミラー装置を車両外部の他の車両用アウタミラー装置(例えば車両用フェンダミラー装置)又は車両内部の車両用インナミラー装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0095】
10 車両用ドアミラー装置(車両用ミラー装置)
12 ステー(支持体)
20 スタンド(支持体)
24G 第1格納角面(第1摺動面)
26 格納体(回動体)
32E 第3格納角面(第3摺動面)
34D 第4格納角面(第4摺動面、凹摺動面)
46 キャンセルディテント(摺動部材)
48D 第2起立角面(第2摺動面)
58 バイザ(回動体)
60 ミラー(回動体)
図1
図2
図3
図4
図5