特許第6195529号(P6195529)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルパイン株式会社の特許一覧

特許6195529無線通信装置およびそのバッファ制御方法
<>
  • 特許6195529-無線通信装置およびそのバッファ制御方法 図000002
  • 特許6195529-無線通信装置およびそのバッファ制御方法 図000003
  • 特許6195529-無線通信装置およびそのバッファ制御方法 図000004
  • 特許6195529-無線通信装置およびそのバッファ制御方法 図000005
  • 特許6195529-無線通信装置およびそのバッファ制御方法 図000006
  • 特許6195529-無線通信装置およびそのバッファ制御方法 図000007
  • 特許6195529-無線通信装置およびそのバッファ制御方法 図000008
  • 特許6195529-無線通信装置およびそのバッファ制御方法 図000009
  • 特許6195529-無線通信装置およびそのバッファ制御方法 図000010
  • 特許6195529-無線通信装置およびそのバッファ制御方法 図000011
  • 特許6195529-無線通信装置およびそのバッファ制御方法 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6195529
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】無線通信装置およびそのバッファ制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/04 20090101AFI20170904BHJP
   H04W 28/14 20090101ALI20170904BHJP
【FI】
   H04W4/04 115
   H04W4/04 111
   H04W28/14
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-32349(P2014-32349)
(22)【出願日】2014年2月21日
(65)【公開番号】特開2015-159382(P2015-159382A)
(43)【公開日】2015年9月3日
【審査請求日】2016年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】久田 誠一
【審査官】 伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−185444(JP,A)
【文献】 特開2003−318809(JP,A)
【文献】 特開2005−151352(JP,A)
【文献】 特開2003−61149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周波数帯域の電波を用いて通信する路側機の設置位置を記憶する設置記憶部と、
前記所定の周波数帯域と相互干渉する周波数帯域の電波を用いて、外部端末と無線通信する無線通信部と、
前記無線通信部を介して、前記外部端末から外部データを取得する取得部と、

前記取得部が取得した前記外部データを一時記憶するバッファ記憶部と、
自装置の現在位置を特定する現在位置特定部と、
前記現在位置が前記設置位置から所定範囲以内となったとき、前記バッファ記憶部の記憶領域を増加させるバッファ制御部と、
を備えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記所定範囲は、所定距離または所定時間であることを特徴とする無線通信装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
自装置の移動速度を検出する移動速度検出部をさらに備え、
前記バッファ制御部は、前記移動速度に応じて、前記所定範囲を変化させることを特徴とする無線通信装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記バッファ制御部は、前記移動速度が速くなるにつれて前記所定範囲を小さくし、一方、前記移動速度が遅くなるにつれて前記所定範囲を大きくすることを特徴とする無線通信装置。
【請求項5】
請求項3において、
前記バッファ制御部は、前記移動速度が速くなるにつれて前記所定範囲を大きくし、一方、前記移動速度が遅くなるにつれて前記所定範囲を小さくすることを特徴とする無線通信装置。
【請求項6】
請求項1または2において、
前記外部端末から前記無線通信部を介して取得する前記外部データの種別を特定する特定部をさらに備え、
前記バッファ制御部は、前記外部データの種別に応じて、前記所定範囲を変化させることを特徴とする無線通信装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項において、
前記無線通信部による通信状態を監視することで、前記無線通信部による無線通信が、前記路側機の無線通信と干渉しているか否かを検出する干渉検出部をさらに備え、
前記バッファ制御部は、前記干渉検出部によって干渉が検出されたときに、前記バッファ記憶部の記憶領域を増加させることを特徴とする無線通信装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項において、
前記所定範囲は、路側機の設置位置からの直線距離または道程距離により決定される範囲であることを特徴とする無線通信装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項において、
前記バッファ記憶部から前記外部データを読み出し、前記読み出した前記外部データに基づいて、所定の処理を行うアプリケーション処理部をさらに備えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記バッファ制御部は、前記アプリケーション処理部が前記所定の処理を行っているときに限り、前記バッファ記憶部の記憶領域を増加させることを特徴とする無線通信装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項において、
前記外部データは、音楽コンテンツ、映像コンテンツ、電話音声データのいずれかのデータであることを特徴とする無線通信装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項において、
前記路側機は、高速道路上に設置され、渋滞情報を提供する電波ビーコンであり、
前記無線通信部は、無線LANまたはブルートゥースの少なくとも一方の規格に準拠する無線通信方式を用いて、前記外部機器と無線通信を行うことを特徴とする無線通信装置。
【請求項13】
所定の周波数帯域の電波を用いて通信する路側機の設置位置を記憶する設置位置記憶部を有する無線通信装置のバッファ制御方法であって、
前記所定の周波数帯域と相互干渉する周波数帯域の電波を用いて、無線通信部によって外部端末と無線通信するステップと、
前記無線通信部を介して、前記外部端末から外部データを取得部によって取得するステップと、
前記取得部が取得した外部データをバッファ記憶部によって一時記憶するステップと、
自装置の現在位置を現在位置特定部によって特定するステップと、
前記現在位置が前記設置位置から所定範囲以内となったとき、前記バッファ制御部によって前記バッファ記憶部の記憶領域を増加させるステップと、
を有することを特徴とする無線通信装置のバッファ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線接続された携帯端末等から外部データを取得して各種の処理を行う無線通信装置およびそのバッファ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スマートフォンのような携帯端末と車載機を無線LANやBluetooth(登録商標)の規格に準拠した無線通信方式を用いて接続し、相互にデータ通信を行う車載通信システムが知られている。例えば、スマートフォンと車載ナビゲーション装置を無線LANにより無線接続し、スマートフォンに記憶された音楽データを車載ナビゲーション装置で再生できるようになっている。このような携帯端末と車載機とを接続するために利用される無線LANやBluetoothによる無線通信方式は、主に、2.4GHz帯の電波を利用してデータ通信を行っている。
【0003】
また、近年の車載ナビゲーション装置では、VICS(登録商標)と呼ばれる交通渋滞や交通規制情報を取得し、地図への渋滞表示や最適経路の探索に利用している。このVICSの提供には、FM多重放送や道路の路側に設置された電波ビーコン、光ビーコンなどの路側機と無線通信を行い、VICS情報を取得している。とりわけ、電波ビーコンによる無線通信には、無線LANやBluetoothと同様に2.4GHz帯の電波が用いられている。そのため、電波ビーコンの通信エリア内では、携帯端末と車載機とが行う無線通信の電波と電波ビーコンの電波が干渉してしまい、通信速度が低下するなど通信品質への影響が懸念される。
【0004】
そこで、上記のような車内の無線通信と電波ビーコンとの無線通信とで発生する干渉を考慮して無線通信を行う移動体用通信装置が提案が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この移動体用通信装置では、優先度の低い無線通信機器による通信を禁止することで、車内の無線通信と電波ビーコンの無線通信との電波干渉が発生しないようにして、優先度の高い無線通信の機会を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−318809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の車載通信システムの中には、携帯端末からコンテンツデータを取得し、再生する際、バッファリングを行っているものがある。このバッファリングにより、携帯端末からのコンテンツデータの転送が断続的になったり、転送速度が低速になってしまうことによって発生する映像の乱れや音切れを防止することができる。つまり、無線LANやBluetoothと電波ビーコンの干渉を考慮して、バッファ領域を大きく確保しておくことも考えられるが、バッファ領域を大きく確保しておくことは、CPUの動作レスポンスの低下や使用リソースの増加が懸念される。そのため、バッファ領域は最低限の領域で抑えておく必要がある。
【0007】
また、上記特許文献1では、バッファリングが考慮されておらず、干渉が生じる可能性のあるエリアでは、携帯端末から車載機への無線通信を利用したコンテンツデータの転送を制限している。つまり、干渉が生じる可能性のあるエリアでは、携帯端末と車載機でのデータの授受を行わず、上記エリア外に出ると再度データの収受を行うようにしており、車載機が外部データを取得する処理が非効率であった。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、路側機で用いられる電波により干渉が生じる場合であっても、外部端末との間の無線通信により外部データを効率よく取得することができる無線通信装置およびそのバッファ制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明に係る無線通信装置は、所定の周波数帯域の電波を用いて通信する路側機の設置位置を記憶する設置記憶部と、所定の周波数帯域と相互干渉する周波数帯域の電波を用いて、外部端末と無線通信する無線通信部と、無線通信部を介して、外部端末から外部データを取得する取得部と、取得部が取得した外部データを一時記憶するバッファ記憶部と、自装置の現在位置を特定する現在位置特定部と、現在位置が設置位置から所定範囲以内となったとき、バッファ記憶部の記憶領域を増加させるバッファ制御部とを備えている。これにより、路側機で用いられる電波により干渉が生じる場合であっても、バッファメモリの記憶領域を大きくすることで通信速度の低下等により通信状態が不安定になった場合でも、確実に外部データを取り込むことで、効率よく外部データを取得することが可能となる。
【0010】
さらに、自装置の移動速度を検出する移動速度検出部を備え、バッファ制御部は、移動速度に応じて、所定範囲を変化させるようにしてもよい。これにより、より確実に外部データを効率よく取得することが可能となる。
【0011】
ここで、上述のように、移動速度に応じて所定範囲を変化させる場合、移動速度が速くなるにつれて所定範囲を小さくし、一方、移動速度が遅くなるにつれて所定範囲を大きくする。これにより、移動速度が速いことで干渉が生じる期間が短くなるため、影響が少なくなり、より効率よく外部データを取得することが可能となる。もしくは、上述のように、移動速度に応じて所定範囲を変化させる場合、移動速度が速くなるにつれて所定範囲を大きくし、一方、移動速度が遅くなるにつれて所定範囲を小さくする。これにより、移動速度が速いことで干渉が生じる範囲に入るまでの時間が短くなるため、事前により多くのバッファを記憶させることが可能となり、より効率よく外部データを取得することが可能となる。
【0012】
また、外部端末から無線通信部を介して取得する外部データの種別を特定する特定部をさらに備え、バッファ制御部は、外部データの種別に応じて、所定範囲を変化させるようにしてもよい。これにより、外部端末から取得する外部データの種別によりデータサイズが異なることを考慮して、所定範囲を変化させ、より効率よく外部データを取得することが可能となる。
【0013】
さらに、無線通信部による通信状態を監視することで、無線通信部による無線通信が、路側機の無線通信と干渉しているか否かを検出する干渉検出部を備え、バッファ記憶部の記憶領域を増加させる。これにより、干渉が発生しているときにのみバッファ記憶部の記憶領域を増加させることが可能となり、不要なタイミングでのバッファ記憶部の記憶領域の増加を抑制することができる。
【0014】
望ましくは、バッファ記憶部から外部データを読み出し、読み出した外部データに基づいて、所定の処理を行うアプリケーション処理部をさらに備え、バッファ制御部は、アプリケーション処理部が所定の処理を行っているときに限り、バッファ記憶部の記憶領域を増加させる。これにより、外部端末から無線通信を用いて、通信を行っていないときには路側機との干渉が発生しないため、不要なタイミングでのバッファ記憶部の記憶領域の増加を抑制することができる。
【0015】
上述した路側機は、高速道路上に設置され、渋滞情報を提供する電波ビーコンであり、無線通信部は、無線LANまたはブルートゥースの少なくとも一方に準拠する無線通信を用いて、外部機器と無線通信を行う。
【0016】
ここで、所定範囲は、路側機の設置位置に対する所定距離または所定時間に基づき決定される範囲である。また、所定距離のときには、路側機の設置位置からの直線距離、または道程距離により決定される。また、外部データは、音楽コンテンツ、映像コンテンツ、電話音声データのいずれかのデータである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例1に係る車載システムの構成を示す図である。
図2】本発明の携帯端末装置の構成を示す図である。
図3】本発明のメモリの構造を示す図である。
図4】本発明の実施例1に係る車載システムのバッファ制御方法の動作手順を示す流れ図である。
図5】本発明の実施例1の具体例を示す図である。
図6】本発明の実施例1の変形例におけるバッファ領域増加範囲−速度可変テーブルの一例である。
図7】本発明の実施例1の変形例におけるバッファ領域増加範囲−データ種別可変テーブルの一例である。
図8】本発明の実施例2に係る車載システムの構成を示す図である。
図9】本発明の実施例2に係る車載システムのバッファ制御方法の動作手順を示す流れ図である。
図10】本発明の実施例3に係る車載システムの構成を示す図である。
図11】本発明の実施例3に係る車載システムのバッファ制御方法の動作手順を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を適用した一実施形態の車載システムについて、図面を参照しながら、説明する。好ましい実施形態として、車両に備えられた車載システムを例に説明する。
【0019】
図1は、一実施形態の実施例1に係る車載システム1の構成を示す図である。図1に示すように、車載システム1は、大別して、ナビゲーションユニット10と、このナビゲーションユニット10にそれぞれ接続された補助記憶装置11、位置情報取得装置12、VICS受信機13、入力装置14、表示装置15、音声出力装置16、携帯端末装置19とによって構成されている。
【0020】
補助記憶装置11は、ハードディスク装置やフラッシュメモリ等により構成され、地図データおよびコンテンツデータ、ナビゲーションユニットを制御するための各種プログラムデータが記憶されている。地図データは、道路ネットワーク情報である道路データ、地図を描画するための背景データ、経路探索を行うための経路計算コスト情報からなる経路計算データ、POI(Point Of Interest)の情報である施設データにより構成されている。VICSを提供する電波ビーコンの設置位置は、この地図データに格納されている。これら地図データは所定の地理的区域毎に図葉と呼ばれる矩形単位で管理されており、各図葉は地図の詳細度に応じた複数のレベル、例えば、最も詳細な地図を示す最下位レベル(レベル0)から最も簡易な地図を示す最上位レベル(レベル2)に亘る複数のレベルごとに階層化された状態で管理されている。
【0021】
コンテンツデータは、音楽データ(例えばMP3の音声ファイルフォーマットに基づき作成されたデータ)や動画データ(例えばAVIやMP4などのファイルフォーマットに基づき作成されたデータ)と、これらを管理する管理データなどにより構成される。プログラムデータは、ナビゲーションユニット10の各機能を動作させるために必要なプログラムの集合である。
【0022】
位置情報取得装置12は、図示しないGPS受信機や自律航法センサにより構成される。GPS受信機は、GPS衛星から配信されるGPS情報(時刻や軌道に関する情報)を受信し、自律航法センサは、回転角度を検出するジャイロなどの角度センサや、一定走行距離ごとにパルスを発生する距離センサ等からなり、車両の車速、加速度(角速度)および自車方位等の情報を検出する。そして、位置情報取得装置12は、これらの情報を後述する現在位置特定部104に出力する。
【0023】
VICS受信機13は、FM多重放送受信機や電波ビーコン受信機、光ビーコン受信機によって構成され、交通情報の送信元(提供者)から送信された交通情報を受信し、ナビゲーションユニット10に出力する。電波ビーコン受信機は、道路に設置された電波ビーコンと2.4GHz帯の周波数帯域の電波により無線通信を行うことで、交通情報を受信している。交通情報は、現在の混雑具合(渋滞具合)や、工事による通行禁止情報、交通事故情報などの情報であり、渋滞情報の表示や、経路探索時に利用される。
【0024】
入力装置14は、ナビゲーションユニット10における各種指示操作を受け付けるためのものであり、各種ボタンや表示装置15に取り付けられたタッチパネル等により構成され、操作内容に応じた操作信号を後述する入力制御部101に出力する。
【0025】
表示装置15は、LCD(液晶表示装置)等で構成され、後述する表示出力制御部112から入力される映像信号に対応する画面を表示する。
【0026】
音声出力装置16は、スピーカ等で構成され、後述する音声出力制御部113から入力される音声信号を音に変換し報知する。
【0027】
携帯端末装置19は、一般にスマートフォンと称されるものであり、携帯電話機と携帯情報端末の機能を有する。図2に示すように、携帯端末装置19は、システムバス200、通信インタフェース201、制御部202、操作部204、タッチパネル205、表示部206、入力処理部207、表示処理部208、電話処理部209、アンテナ210、メモリ211から構成されている。
【0028】
通信インタフェース(以下、通信I/F)201は、無線LANやBluetoothの規格に準拠した無線通信により、ナビゲーションユニット10との間で無線接続を行い、各種データの送受信を行う通信装置(無線LANモジュールやBluetoothモジュール)である。
【0029】
制御部202は、携帯端末装置19の全体を制御するためのものであり、CPUを含んで構成され、メモリ211に格納されたアプリケーションプログラムを実行するアプリケーション実行部203を含んでいる。また、制御部202は、ナビゲーションユニット10からの指示に従い、メモリ211に記憶されたコンテンツデータを、通信I/F201を介してナビゲーションユニット10に送信する。
【0030】
操作部204は、テンキーやその他のキーおよび各種スイッチを含んでいる。タッチパネル205は、表示部206の画面の一部が利用者によって指し示されたときにその指示位置を検出する。操作部204あるいはタッチパネル205を用いて、各種の操作指示や各種の入力を行うことができる。入力処理部207は、操作部204およびタッチパネル205の操作内容を監視し、利用者による操作内容を検出する。
【0031】
表示部206は、LCD(液晶表示装置)等で構成されている。表示処理部208は、複数の操作アイコンが含まれる操作画面や制御部202によって作成された画面を表示部206に表示する。
【0032】
電話処理部209は、携帯電話機としての処理を行う。例えば、電話処理部209は、アンテナ210を介して、基地局との間で発着信処理を行って通話処理やインターネット接続処理等を行う。
【0033】
メモリ211は、制御部202によって実行される制御プログラムや、各種アプリケーションプログラム212や楽曲データや動画データなどのコンテンツデータを格納する。例えば、複数のアプリケーションプログラム212として楽曲再生アプリ、動画再生アプリ、データ送信アプリなどが格納される。
【0034】
図1に戻り、ナビゲーションユニット10は、システムバス100にそれぞれ接続された入力制御部101、通信インタフェース102、補助記憶制御部103、現在位置特定部104、VICSインタフェース105、ナビゲーション制御部106、アプリケーション制御部107、バッファ制御部111、表示出力制御部112、音声出力制御部113から構成されている。
【0035】
入力制御部101は、入力装置14から入力される操作信号をシステムバス100に接続された各部に出力する。
【0036】
通信インタフェース(以下、通信I/F)102は、無線LANやBluetoothの規格に準拠した無線通信により、携帯端末装置19との間で無線接続を行い、各種データの送受信を行う通信装置(無線LANモジュールやBluetoothモジュール)である。
【0037】
補助記憶制御部103は、例えば、ハードディスクドライバやカードリーダーなどにより構成され、補助記憶装置11に対して読み書きの制御を行う。具体的には、補助記憶制御部103は、補助記憶装置11に記憶される地図データを読み出し、ナビゲーション制御部106やバッファ制御部111に出力したり、コンテンツデータを読み出し、アプリケーション制御部107に出力したりする。また、補助記憶制御部103は、アプリケーション制御部107からの指示に従い、コンテンツデータを補助記憶装置11に書き込む。
【0038】
現在位置特定部104は、位置情報取得装置12から入力された位置情報に基づき、必要に応じて、補助記憶装置11に記憶される地図データを使い、マップマッチング等の位置補正を行いながら、自車両の現在位置を特定する。そして、特定した現在位置をシステムバス100に接続した各部に出力する。例えば、現在位置特定部104は、特定した現在位置をナビゲーション制御部106やバッファ制御部111に出力する。また、現在位置特定部104は、必要に応じて、位置情報取得装置12から入力される車速情報をバッファ制御部111に出力する。
【0039】
VICSインタフェース部(以下、VICS I/F)105は、VICS受信機13を接続するためのインタフェースであり、VICS受信機13が受信したデータをナビゲーション制御部106に出力する。
【0040】
ナビゲーション制御部106は、ROMやRAM、および補助記憶装置11に格納された所定のプログラムをCPUで実行することにより、ナビゲーションユニット10のナビゲーション機能全体を制御する。例えば、現在位置特定部104から入力された現在位置や補助記憶装置11に記憶される地図データを用いて、地図表示機能、経路探索機能、経路誘導機能および検索機能等、ナビゲーションユニット10の各種ナビゲーション機能を実行する。
【0041】
アプリケーション制御部107は、ROMやRAM、および補助記憶装置11に格納された所定のプログラムをCPUで実行することにより、ナビゲーションユニット10のアプリケーション機能全体を制御する。例えば、補助記憶装置11に記憶されるコンテンツデータや携帯端末装置19から取得する各種データを用いて、楽曲再生機能、動画再生機能、画像表示機能、ハンズフリー電話機能等、ナビゲーションユニット10の各種アプリケーション機能を実行する。アプリケーション制御部107は、図1に示すように、その機能要素に分け、メモリ108、データ取得部109、アプリケーション実行部110により構成されている。
【0042】
メモリ108は、プログラムデータを格納する処理領域やバッファリングを行うためのバッファ領域を有する。通常、メモリ108の全記憶容量に対して、バッファリングした際のバッファデータを蓄積するためのバッファ領域が所定分確保されている(図3(a))。そして、後述するバッファ制御部111からの指示に応じて、このバッファ領域が増加され、その増加された分、処理領域が縮小される(図3(b))
データ取得部109は、補助記憶装置11や通信I/F102を介して携帯端末装置19からコンテンツデータを取得し、順次メモリ108のバッファ領域に書き込む。
【0043】
そして、アプリケーション実行部110は、メモリ108のバッファ領域に記憶されたコンテンツデータを記憶された順に取り出し、取り出したコンテンツデータを用いた処理を実行して映像信号や音声信号を生成し、表示出力制御部112や音声出力制御部113に出力する。このとき、取り出したコンテンツデータは、メモリ108のバッファ領域から随時削除される。
【0044】
バッファ制御部111は、地図データに記憶される電波ビーコンの位置と現在位置特定部104から入力される現在位置情報に基づいて、メモリ108のバッファ領域の増減を制御する。具体的には、バッファ制御部111は、現在位置特定部104から入力される現在位置が、電波ビーコンの設置位置から所定範囲(例えば、電波ビーコンの設置位置を中心とした半径50mの範囲)以内となったときに、メモリ108のバッファ領域を増加させる。その後、バッファ制御部111は、現在位置が電波ビーコンの設置位置から所定範囲外になると、増加させたメモリ108のバッファ領域を通常の状態(増加させる前の状態)に戻す。
【0045】
表示出力制御部112は、ナビゲーション制御部106やアプリケーション制御部107から入力された画像データを表示装置15に表示する。
【0046】
音声出力制御部113は、ナビゲーション制御部106やアプリケーション制御部107から入力された音声データを、D/A変換処理を行い、音声出力装置16に出力する。
【0047】
上述した補助記憶装置11が設置記憶部に、通信インタフェース102が無線通信部に、データ取得部109が取得部に、メモリ108がバッファ記憶部に、携帯端末装置19が外部端末に、アプリケーション実行部110がアプリケーション処理部にそれぞれ対応する。
【0048】
次に、実施例1に係る車載システム1のバッファ制御方法を、図4を用いて説明する。現在位置取得装置12により取得された各種位置情報に基づき、現在位置特定部104は、現在位置を算出する(ステップS101)。そして、現在位置特定部104は、算出した現在位置情報をバッファ制御部111に出力する。現在位置特定部104は、常時現在位置の算出および出力を行う。
【0049】
そして、バッファ制御部111は、現在位置情報が入力されると、地図データから電波ビーコンの設置位置を取得し、現在位置が電波ビーコンの設置位置に対して、所定範囲(例えば電波ビーコンの設置位置を中心とした半径50mの範囲)以内に入ったか否かを判別する(ステップS103)。ここで、バッファ制御部111が、入っていないと判定すると(ステップS103のNO)、ステップS101に戻る。つまり、現在位置が電波ビーコンの設置位置に対して所定範囲以内に入るまで、ステップS101、ステップS103の処理を繰り返し行う。一方、バッファ制御部111が、入ったと判定すると(ステップS103のYES)、バッファ制御部111は、アプリケーション制御部107のメモリ108のバッファ領域を増加させる(ステップS105)。
【0050】
その後、現在位置特定部104は、バッファ制御部111がメモリ108のバッファ領域を増加させた後も、現在位置を算出し続け、算出した現在位置情報をバッファ制御部111に出力する(ステップS107)。バッファ制御部111は、入力される現在位置情報が電波ビーコンの設置位置に対して、所定範囲より離れたか否かを判定する(ステップS109)。ここで、バッファ制御部111が離れていないと判定すると(ステップS109のNO)、ステップS107に戻る。つまり、現在位置が電波ビーコンの設置位置に対して所定範囲より離れるまで、ステップS107、ステップS109の処理を繰り返し行う。
【0051】
一方、バッファ制御部111が離れたと判定すると(ステップS109のYES)、ステップS105で増加させたメモリ108のバッファ領域を減らし、増加させる前の状態に戻す(ステップS111)。
【0052】
具体的には、図5(a)に示すように、車載システム1を搭載した車両がVP1の位置を走行中は、電波ビーコンの設置位置より50m以上離れており、メモリ108のバッファ領域は予め設定された容量分だけ確保されている状態であるが、その後、車両が矢印の方向に進み、VP2の位置にまで移動すると、バッファ制御部111は、電波ビーコンの設置位置から50m以内に接近したと判定し、バッファ制御部111は、メモリ108のバッファ領域を増加させる。ここで、バッファ制御部111は、車両が線C1で囲まれた電波ビーコンの設置位置から50m以内の範囲を走行している間は、バッファ領域を増加させた状態を継続させる。一方、車両がVP3の位置まで走行し、電波ビーコンの設置位置から50mより離れる(線C1で囲まれる範囲から外れる)と、バッファ制御部111は、増加させているメモリ108のバッファ領域を通常の状態(増加させる前の状態)に戻す。なお、図5(b)は、図5(a)と同じ状況を斜め方向から見たときのイメージを示している。
【0053】
このようにして、自車両が電波ビーコンの設置位置に対して所定範囲以内に入っているときに、バッファ領域を増加させることができるので、確実に外部データを取り込むことで、効率よく外部データを取得することが可能となる。
【0054】
次に、上記実施例1の変形例の説明をする。上記実施例1の説明では、バッファ領域を増加させる範囲(バッファ領域増加範囲)を電波ビーコンの設置位置から50mとして説明したがこれに限らず、電波ビーコンの通信可能エリア(例えば図5の点線C2で囲まれる範囲)より広い範囲であれば、本発明の効果を逸脱しない程度にいかなる範囲に設定してもよい。例えば、50mという距離を70mに設定したり、電波ビーコンの設置位置から道程距離で50mに設定したりしてもよい。さらに、車両の走行速度(自装置の移動速度)に応じて、バッファ領域増加範囲を動的に可変にさせるようにしてもよい。例えば、図6に示すようなバッファ領域増加範囲−速度可変テーブルをバッファ制御部111に予め備えておき、走行速度が速くなるにつれて、バッファ領域増加範囲を小さくなるようにしてもよく(a)、反対に、走行速度が速くなるにつれて、バッファ領域増加範囲を大きくするようにしてもよい(b)。また、アプリケーション制御部107が携帯端末装置19から通信I/F102を介して取得し、処理しているコンテンツデータの種別に応じて、動的に可変となるようにすることも可能である。例えば、図7に示すようなバッファ領域増加範囲−データ種別可変テーブルをバッファ制御部111に予め備えておき、一般的にデータサイズが大きい映像データは、バッファ領域増加範囲を大きく、反対に、ハンズフリーでの電話音声データは、バッファ増加範囲を小さく設定するようにしてもよい。このように、バッファ領域増加範囲を状況に応じて可変となるように設定することも可能である。なお、車両の走行速度は、現在位置特定部104によって特定される各時刻毎の車両位置に基づいて検出する場合や、車速センサ(図示せず)から一定距離毎に出力される車速パルスに基づいて検出する場合などが考えられる。この場合の現在位置特定部104や車速センサが移動速度検出部に対応する。
【0055】
図8は、一実施形態の実施例2に係る車載システム2の構成を示す図である。なお、実施例1と同じ構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0056】
図8に示すように、車載システム2は、大別して、ナビゲーションユニット20と、このナビゲーションユニット20にそれぞれ接続された補助記憶装置11、位置情報取得装置12、VICS受信機13、入力装置14、表示装置15、音声出力装置16、携帯端末装置19とによって構成されている。
【0057】
ナビゲーションユニット20は、システムバス100にそれぞれ接続された入力制御部101、通信インタフェース102、補助記憶制御部103、現在位置特定部104、VICSインタフェース105、ナビゲーション制御部106、アプリケーション制御部107、バッファ制御部311、表示出力制御部112、音声出力制御部113、干渉検出部301から構成されている。
【0058】
干渉検出部301は、通信I/F102を介して取得した各種データの転送速度等を監視し、転送速度が落ちたか否かを判定することで、干渉が発生している否かを判定する。そして、干渉検出部301は、その結果をバッファ制御部311に出力する。具体的には、干渉検出部301は、取得する各種データの転送速度が落ちた(遅くなった)ときに、干渉が発生していると判定し、その結果をバッファ制御部311に出力する。
【0059】
バッファ制御部311は、地図データに記憶される電波ビーコンの位置と現在位置特定部104から入力される現在位置情報に基づいて、電波ビーコンの設置位置から所定範囲になったかを判定する。そして、所定範囲になったと判定した場合、続いて、バッファ制御部311は、干渉検出部301から入力される干渉しているか否かの結果に応じて、メモリ108のバッファ領域の増減を制御する。具体的には、バッファ制御部311は、現在位置特定部104から入力される現在位置が、電波ビーコンの設置位置から所定範囲以内となり、かつ、干渉検出部301が干渉を検出した場合に、メモリ108のバッファ領域を増加させる。その後、バッファ制御部311は、現在位置が電波ビーコンの設置位置から所定範囲外になり、干渉検出部301が干渉を検出していない検出した場合、増加させたメモリ108のバッファ領域を通常の状態(増加させる前の状態)に戻す。あるいは、バッファ制御部311は、現在位置が電波ビーコンの設置位置から所定範囲外になるか、または、干渉検出部301が干渉していないと検出したかのいずれかを満たしたとき、増加させたメモリ108のバッファ領域を通常の状態(増加させる前の状態)に戻す。
【0060】
次に、実施例2に係る車載システム2のバッファ制御方法を、図9を用いて説明する。
【0061】
現在位置取得装置12により取得された各種位置情報に基づき、現在位置特定部104は、現在位置を算出する(ステップS201)。そして、現在位置特定部104は、算出した現在位置情報をバッファ制御部311に出力する。現在位置特定部104は、常時現在位置の算出および出力を行う。
【0062】
そして、バッファ制御部311は、現在位置情報が入力されると、地図データから電波ビーコンの設置位置を取得し、現在位置が電波ビーコンの設置位置に対して、所定範囲(例えば電波ビーコンの設置意思を中心とした半径50mの範囲)以内に入ったか否かを判別する(ステップS203)。ここで、バッファ制御部311が、入っていないと判定すると(ステップS203のNO)、ステップS201に戻る。つまり、現在位置が電波ビーコンの設置位置に対して所定範囲以内に入るまで、ステップS201、ステップS203の処理を繰り返し行う。一方、バッファ制御部311が、入ったと判定すると(ステップS203のYES)、バッファ制御部311は、続いて、干渉検出部301から入力される干渉の検出結果に基づき、干渉が発生しているか否かを判定する(ステップS205)。ここで、バッファ制御部311が、干渉が発生していないと判定すると(ステップS205のNO)、干渉が発生すると判定するまで、ステップS205の干渉発生判定を繰り返し行う。一方、バッファ制御部311が、干渉が発生したと判定すると(ステップS205のYES)、バッファ制御部311は、アプリケーション制御部107のメモリ108のバッファ領域を増加させる(ステップS207)。
【0063】
その後、現在位置特定部104は、バッファ制御部311がメモリ108のバッファ領域を増加させた後も、現在位置を算出し続け、算出した現在位置情報をバッファ制御部311に出力する(ステップS209)。バッファ制御部311は、干渉検出部301から入力される干渉の検出結果に基づき、干渉がなくなったか、または、入力される現在位置情報が電波ビーコンの設置位置に対して、所定範囲より離れるまで、バッファ領域を増加させた状態を継続させる(ステップS211)。
【0064】
そして、バッファ制御部311が、干渉がなくなったか、または現在位置が所定範囲より離れたと判定すると(ステップS211のYES)、ステップS207で増加させたメモリ108のバッファ領域を減らし、増加させる前の状態に戻す(ステップS213)。
【0065】
このようにすることで、自車両が電波ビーコンの設置位置に対して所定範囲以内に入っているにも関わらず、何らかの影響により、電波干渉が発生していないときに、不要バッファ領域の増加を抑制することができ、より効率よく外部データを取得することが可能となる。
【0066】
ここで、上記実施例2のステップS211では、バッファ制御部311は、干渉がなくなったか、または現在位置が所定範囲より離れたと判定した場合に、メモリ108のバッファ領域を、増加させる前の状態に戻す例を説明したが、干渉がなくなり、かつ現在位置が所定範囲より離れたと判定した場合に、メモリ108のバッファ領域を、増加させる前の状態に戻すようにしてもよい。
【0067】
また、上記実施例2においても、実施例1の変形例で示したように、所定範囲を、速度に応じて変化させたりデータ種別に応じて変化させたりと、実施例1と同様に変形することが可能である。
【0068】
図10は、一実施形態の実施例3に係る車載システム3の構成を示す図である。なお、実施例1および実施例2と同じ構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。上記実施例1または実施例2では、バッファ領域増加範囲を電波ビーコンの設置位置から所定距離とした場合をもとに説明したが、この実施例3では、このバッファ領域増加範囲を電波ビーコンの設置位置に到達するまでの所定時間とする例を説明する。
【0069】
図10に示すように、車載システム3は、大別して、ナビゲーションユニット30と、このナビゲーションユニット30にそれぞれ接続された補助記憶装置11、位置情報取得装置12、VICS受信機13、入力装置14、表示装置15、音声出力装置16、携帯端末装置19とによって構成されている。
【0070】
ナビゲーションユニット30は、システムバス100にそれぞれ接続された入力制御部101、通信インタフェース102、補助記憶制御部103、現在位置特定部104、VICSインタフェース105、ナビゲーション制御部406、アプリケーション制御部107、バッファ制御部411、表示出力制御部112、音声出力制御部113から構成されている。
【0071】
ナビゲーション制御部406は、実施例1に記載したナビゲーション制御部106の各種処理に加え、現在位置特定部104から入力される現在位置と、補助記憶装置11に記憶される地図データに基づき、現在位置から現在位置に最も近い電波ビーコンの設置位置までの所要時間を算出する処理を行う。そして、ナビゲーション制御部406は、算出した所要時間をバッファ制御部411に出力する。
【0072】
バッファ制御部411は、ナビゲーション制御部406から入力される所要時間とバッファ制御部411に予め設定されたバッファ増加開始時間に基づいて、メモリ108のバッファ領域の増減を制御する。具体的には、バッファ制御部411は、ナビゲーション制御部406から入力される所要時間が、予め設定されたバッファ増加開始時間(例えば、10秒)以内となったときに、メモリ108のバッファ領域を増加させる。その後、バッファ制御部411は、現在位置が電波ビーコンの設置位置に到達すると、タイマーをスタートさせ、バッファ増加終了時間(例えば、10秒)経過したか否かを判定し、経過したと判定すると、増加させたメモリ108のバッファ領域を通常の状態(増加させる前の状態)に戻す。
【0073】
次に、実施例3に係る車載システム3のバッファ制御方法を、図11を用いて説明する。
【0074】
現在位置取得装置12により取得された各種位置情報に基づき、現在位置特定部104は、現在位置を算出する(ステップS301)。そして、現在位置特定部104は、算出した現在位置情報をバッファ制御部411に出力するとともに、ナビゲーション制御部106に出力する。
【0075】
そして、ナビゲーション制御部406は、現在位置と地図データに記憶される現在位置に最も近い電波ビーコンの設置位置に基づき、現在位置から現在位置に最も近い電波ビーコンの設置位置に到達する所要時間を算出する(ステップS303)。そして、ナビゲーション制御部406は、その結果をバッファ制御部411に出力する。
【0076】
バッファ制御部411は、ナビゲーション制御部406から入力される所要時間が予め設定されたバッファ増加開始時間以内となったか否かを判定する(ステップS305)。ここで、バッファ制御部411が、バッファ増加開始時間以内でないと判定すると(ステップS305のNO)、ステップS301に戻る。つまり、入力される所要時間がバッファ増加開始時間以内となるまで、ステップS301、ステップS303の処理を繰り返し行う。一方、バッファ制御部411が、バッファ増加開始時間以内となったと判定すると(ステップS305のYES)、バッファ制御部411は、アプリケーション制御部107のメモリ108のバッファ領域を増加させる(ステップS307)。
【0077】
その後、現在位置特定部104は、バッファ制御部411がメモリ108のバッファ領域を増加させた後も、現在位置を算出し続け、算出した現在位置情報をバッファ制御部411に出力する(ステップS309)。そして、バッファ制御部411は、現在位置が地図データに記憶される電波ビーコンの設置位置に到達すると(ステップS311のYES)、タイマーをスタートさせ(ステップS313)、そのタイマーが予め設定されたバッファ増加終了時間経過したか判定する(ステップS315)。ここで、バッファ制御部411は、このタイマーがバッファ増加終了時間経過していないと判定すると(ステップS315のNO)、ステップS315に戻る。つまり、タイマーがバッファ増加終了時間経過するまで、ステップS315の判定を繰り返し行う。一方、バッファ制御部411が、バッファ増加終了時間経過したと判定すると(ステップS315のYES)、ステップS309で増加させたメモリ108のバッファ領域を減らし、増加させる前の状態に戻す(ステップS317)。
【0078】
このようにして、バッファ領域増加範囲を電波ビーコンの設置位置からの所定距離ではなく、電波ビーコンの設置位置に到達するまでの所定時間とすることが可能となる。
【0079】
なお、上記実施例3において、実施例2に示す干渉制御部301を追加することで、干渉の有無を考慮して、バッファ領域の増加を制御することが可能となる。
【0080】
また、上記実施例1〜3では、ナビゲーションユニットのアプリケーション制御部107を構成するメモリにバッファ領域を設けた例を説明したが、これに限らず、バッファ領域を補助記憶装置11に設けることも可能である。
【0081】
また、上記実施例1〜3では、VICS受信機を有する車載システムを例に説明したが、VICS受信機を接続していない車載システムにも、適用は可能である。
【0082】
さらに、上記実施例1〜3では、携帯端末装置を、スマートフォンとして利用する例を説明したがこれに限らず、無線LANやBluetoothなどの規格に準拠した無線通信を利用してナビゲーションユニットとデータの送受信が可能なものでもよい。例えば、携帯音楽プレーヤーやスマートフォンではない携帯電話においても、無線LANやBluetoothなどの無線通信によりコンテンツを取得可能な各種装置でも可能である。そして、上記実施例1〜3では、電波ビーコンの設置位置に対して、バッファ領域の増加制御を行う説明をしたが、この電波ビーコンに限らず、車内の無線通信と干渉が生じる帯域の電波を利用して無線通信をする路側機に対して、すべて応用が可能である。例えば、車内の無線通信が2.4GHz帯の電波を用いて通信しているときには、上記電波ビーコンに加え、2.4GHz帯の電波を用いて通信するインターネット通信のアクセスポイントの位置も考慮して、バッファ領域の増加制御を行うようにすることができ、車内の無線通信が5GHz帯の電波を用いて通信しているときには、同様に5GHz帯の電波を用いて通信を行う路側機の位置を考慮して、バッファ領域の増加制御を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
上述したように、本発明によれば、無線接続された携帯端末等から外部データを取得して各種処理を行う無線通信装置において、外部データを効率よく取得することができる。
【符号の説明】
【0084】
1、2、3 車載システム
10、20、30 ナビゲーションユニット
11 補助記憶装置
12 位置情報取得装置
13 VICS受信機
100 システムバス
102 通信I/F
103 補助記憶制御部
104 現在位置特定部
105 VICS I/F
106、406 ナビゲーション制御部
107 アプリケーション制御部
108 メモリ
109 データ取得部
110 アプリケーション実行部
111、311、411 バッファ制御部
301 干渉制御部
VP1、VP2、VP3 車両位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11