(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外部デバイスとの間でUSB形式で通信を行うUSB通信手段と、前記外部デバイスとの間でブルートゥース規格にしたがった通信を行うブルートゥース通信手段とを有するオーディオ再生装置であって、
前記USB通信手段に接続された前記外部デバイスから、所定の通信プロトコルにしたがってオーディオデータを受信してオーディオ再生を行う第1のオーディオ再生手段と、
前記ブルートゥース通信手段に接続された前記外部デバイスからオーディオデータを受信してオーディオ再生を行う第2のオーディオ再生手段と、
前記第1のオーディオ再生手段によるオーディオ再生を行う際に、前記所定の通信プロトコルに対応した前記外部デバイスを検出できなかったときに、前記ブルートゥース通信手段を介して前記外部デバイスからオーディオデータを受信して前記第2のオーディオ再生手段によるオーディオ再生に切り替える再生方法切替手段と、
前記再生方法切替手段による切り替えを行う際に、前記USB通信手段に接続された前記外部デバイスを指定して前記ブルートゥース通信手段に接続するために必要なデバイス情報を格納するデバイス情報格納手段と、
を備えることを特徴とするオーディオ再生装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述したように外部デバイスがUSB接続されたオーディオ再生装置でオーディオ再生を行う場合であって、このオーディオ再生装置がMSCによるオーディオデータの通信を想定している場合に、外部デバイスのUSB設定(プロトコル設定)がMTPや独自プロトコルになっていると、オーディオ再生装置はこの外部デバイスを認識することができない。
【0008】
この場合には、外部デバイスとオーディオ再生装置との間をブルートゥース接続することが可能であれば、USB接続からブルートゥース接続に変更することで、外部デバイスに蓄積された共通のオーディオソースに基づく再生動作を実施することが可能になる。しかし、このような接続変更によるオーディオ再生について熟知していない利用者は、外部デバイスが認識されない時点でオーディオ再生を断念する場合がほとんどであり、このような利用者であっても接続変更を行ってオーディオ再生を実現する手法が望まれている。また、接続変更を行うことによりブルートゥース接続によるオーディオ再生が可能であることを利用者が知っている場合であっても、USB接続時に認識できなかった外部デバイスを特定した後にオーディオ再生を指示するなどの操作を行う必要があり、操作が煩雑であった。
【0009】
あるいは、外部デバイスのUSB設定をMTPあるいは独自プロトコルからMSCに変更すればオーディオ再生を行うことが可能であるが、このようなUSB設定変更によりオーディオ再生が可能になることを知らない利用者は、外部デバイスが認識されない時点でオーディオ再生を断念する場合がほとんどであり、このような利用者であってもUSB設定を変更してオーディオ再生を実現する手法が望まれている。
【0010】
なお、上述した特許文献1に開示された情報処理装置では、キーボードやマウス等の機器を接続対象として想定し、これらの機器に対する接続方法をUSB接続あるいはブルートゥース接続に適宜切り替えるものであり、これをそのまま適用しても、異なる通信プロトコルが設定された外部デバイスを認識してオーディオ再生ができるようにはならない。
【0011】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、USB接続された外部デバイスが認識されずにオーディオ再生ができない場合に、煩雑な操作を行うことなくブルートゥース接続に変更してオーディオ再生を開始することができるオーディオ再生装置を提供することにある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、USB接続された外部デバイスが認識されずにオーディオ再生ができない場合に、USB設定の変更を促すことでオーディオ再生を開始することができるオーディオ再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために、本発明のオーディオ再生装置は、外部デバイスとの間でUSB形式で通信を行うUSB通信手段と、外部デバイスとの間でブルートゥース規格にしたがった通信を行うブルートゥース通信手段とを有するオーディオ再生装置であって、USB通信手段に接続された外部デバイスから、所定の通信プロトコルにしたがってオーディオデータを受信してオーディオ再生を行う第1のオーディオ再生手段と、ブルートゥース通信手段に接続された外部デバイスからオーディオデータを受信してオーディオ再生を行う第2のオーディオ再生手段と、第1のオーディオ再生手段によるオーディオ再生を行う際に、所定の通信プロトコルに対応した外部デバイスを検出できなかったときに、ブルートゥース通信手段を介して外部デバイスからオーディオデータを受信して第2のオーディオ再生手段によるオーディオ再生に切り替える再生方法切替手段とを備えている。
【0014】
オーディオ再生を指示した際に、通信プロトコルの設定が異なるためにUSB接続された外部デバイスが認識できない場合であっても、ブルートゥース接続に切り替えてオーディオ再生を行うことが可能になり、このようなオーディオ再生を行うために必要な煩雑な操作が不要となる。
【0015】
また、上述した再生方法切替手段による切り替えを行う際に、USB通信手段に接続された外部デバイスを指定してブルートゥース通信手段に接続するために必要なデバイス情報を格納するデバイス情報格納手段をさらに
備える。このようなデバイス情報を用いることにより、切り替え後もUSB接続の場合と同じ外部デバイスに格納されているオーディオデータを用いたオーディオ再生が可能となる。
【0016】
また、上述したデバイス情報は、ブルートゥース方式のペアリング設定時に取得することが望ましい。これにより、外部デバイスとオーディオ再生装置とを関連づけた際に同時にデバイス情報を取得することが可能となり、デバイス情報取得の手間を低減することができる。
【0017】
また、上述したデバイス情報として、ペアリング設定時に取得される外部デバイスのBDアドレスおよびCoD情報と、USB通信手段を介した接続時に取得されるベンダーIDおよびプロダクトIDとが対応付けられてデバイス情報格納手段に格納されていることが望ましい。これらの情報をデバイス情報として用いることにより、共通の外部デバイスを特定することが可能となる。
【0018】
また、上述したペアリング設定時に、このペアリング設定の対象となった外部デバイスをUSB通信手段を介して接続することにより、BDアドレスおよびCoD情報とベンダーIDおよびプロダクトIDとの対応付けが行われることが望ましい。ペアリング設定時に同じ外部デバイスを用いてUSB接続を行うことにより、USB接続された外部デバイスとブルートゥース接続された外部デバイスが同じであるかどうかを確実に知ることができる。
【0019】
また、上述した再生方法切替手段による切り替えを行う前に、利用者に対して切替実施の有無を確認する切替確認手段をさらに備え、再生方法切替手段は、切替確認手段による確認動作に対して利用者による切替実施の指示がなされた後に切り替えを行うことが望ましい。これにより、品質が異なるUSBオーディオからブルートゥースオーディオへの切り替えに際して、事前に利用者による承認を得ることが可能となり、利用者が品質の違いを理解した上でオーディオ再生を開始することができる。
【0020】
また、上述した所定の通信プロトコルは、MSCプロトコルであることが望ましい。従来から広く用いられているMSCプロトコルをデフォルトの設定プロトコルとすることにより、通信プロトコルの設定が異なることにより外部デバイスが認識できない事態を極力回避することができる。
【0021】
また、上述した第1のオーディオ再生手段は、外部デバイスから読み出されたオーディオデータを受信してオーディオ再生を行い、第2のオーディオ再生手段は、外部デバイスに格納されたオーディオデータを読み出してストリーミング形式に変換したデータを受信してオーディオ再生を行うことが望ましい。これにより、品質が良好なUSB接続によるオーディオ再生を優先させ、この再生ができない場合に代替手段としてのブルートゥース接続によるオーディオ再生を行うことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を適用した一実施形態のオーディオ再生装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、一実施形態のオーディオ再生装置の構成を示す図である。
図1に示すように、オーディオ再生装置100は、操作部10、タッチパネル12、入力制御部14、表示処理部20、表示装置22、デジタル−アナログ変換器(D/A)30、スピーカ32、BT(ブルートゥース)ユニット40、USBユニット50、制御部60を備えている。
【0027】
このオーディオ再生装置100は、USB接続およびブルートゥース接続された外部デバイス200と連携してオーディオ再生を行うものであり、車両に搭載されている。但し、必ずしも車両に搭載されたものに限定されず、室内に設置されたものであってもよい。
【0028】
また、外部デバイス200としては、スマートフォンと称される携帯端末装置や、携帯情報端末(PDA、Personal Digital Assistants)、携帯オーディオ機器などが想定されており、USB接続とブルートゥース接続の両方がサポートされている必要がある。
【0029】
操作部10は、オーディオ再生装置100に対する利用者による操作を受け付けるためのものであり、表示装置22の周囲に配置された各種の操作キー、操作スイッチ、操作つまみ等を含んで構成されている。また、表示装置22に各種の操作画面や入力画面が表示された時点で、これらの操作画面や入力画面の一部を利用者が指などで直接指し示すことにより、操作画面や入力画面の表示項目を選択することができるようになっており、このような操作画面や入力画面を用いた操作を可能とするために、指し示された指などの位置を検出するタッチパネル12が備わっている。なお、タッチパネルを用いる代わりに、リモートコントロールユニット等を用いて操作画面や入力画面の一部を利用者の指示に応じて選択するようにしてもよい。入力制御部14は、操作部10やタッチパネル12を監視しており、それらの操作内容を決定する。
【0030】
表示処理部20は、各種の操作画面や入力画面等を表示する映像信号を出力して表示装置22にこれらの画面を表示する。表示装置22は、運転席と助手席の中央前方に設置されており、例えば液晶表示装置(LCD)を用いて構成されている。
【0031】
デジタル−アナログ変換器30は、オーディオ再生に伴って生成されるオーディオデータをアナログのオーディオ信号に変換してスピーカ32から出力する。なお、実際には、デジタル−アナログ変換器30とスピーカ32の間には信号を増幅する増幅器が接続されているが、
図1ではこの増幅器は省略されている。また、デジタル−アナログ変換器30とスピーカ32との組合せは再生チャンネル数分備わっているが、
図1では一組のみが図示されている。
【0032】
BTユニット40は、ブルートゥース規格にしたがってオーディオ再生装置100と外部デバイス200との間でオーディオデータ等の送受信を行う通信装置(ブルートゥース機器)である。このBTユニット40には、無線通信に必要なハードウェアと、このハードウェアを制御してペアリング設定や無線接続を行うために必要な各種の処理部が含まれる。外部デバイス200の検出やブルートゥースを用いた無線接続に必要な各種の処理はこのBTユニット40によって行われる。USBユニット50は、外部デバイス200との間でUSB形式で信号の入出力(通信)を行うためのものであり、USBポートやUSBホストコントローラが含まれる。
【0033】
制御部60は、オーディオ再生装置100の全体を制御してオーディオ再生に関する各種処理を行うためのものであり、ROMやRAMなどに格納された所定のアプリケーション(プログラム)をCPUで実行することにより各種処理が実現される。この制御部60は、USBオーディオ再生部61、BTオーディオ再生部62、デバイス情報取得部63、デバイス情報格納部64、再生方法切替部65、切替確認部66、プロトコル変更警告部67、BT処理部68を有する。
【0034】
USBオーディオ再生部61は、USBユニット50に接続された外部デバイス200から、所定の通信プロトコルにしたがってオーディオデータを受信してオーディオ再生を行う。本実施形態では、所定の通信プログラムとしてMSC(Mass Storage Class)プロトコルを用いることが想定されている。このMSCは、接続されたUSB機器(外部デバイス)を記憶装置として認識して制御するためのものである。
【0035】
BTオーディオ再生部62は、BTユニット40に接続された外部デバイス200からオーディオデータを受信してオーディオ再生を行う。なお、以下では、「USBオーディオ」の用語は、USBオーディオ再生部61によるオーディオ再生に対応して広く使用する場合があり、「BTオーディオ」の用語は、BTオーディオ再生部62によるオーディオ再生に対応して広く使用する場合がある。
【0036】
再生方法切替部65は、USBオーディオ再生部61によるオーディオ再生を行う際に、MSCプロトコルに対応した外部デバイス200を検出できなかったときに、BTユニット40を介して外部デバイス200からオーディオデータを受信してBTオーディオ再生部62によるオーディオ再生に切り替える。
【0037】
デバイス情報格納部64は、再生方法切替部65によるオーディオ再生の切り替えを行う際に、USBユニット50に接続された外部デバイス200を指定してBTユニット40に接続するために必要なデバイス情報を格納する。このデバイス情報は、ブルートゥース方式のペアリング設定時に取得される。具体的には、デバイス情報として、ペアリング設定時に取得される外部デバイス200のBD(Bluetooth Device)アドレスおよびCoD(Class of Device)情報と、同じ外部デバイス200がUSBユニット50を介して接続されたときに取得されるベンダー(Vendor)IDおよびプロダクト(Product)IDとが対応付けられてデバイス情報格納部64に格納される。
【0038】
デバイス情報取得部63は、ペアリング設定時に上述したデバイス情報を取得する。例えば、ペアリング設定時に、このペアリング設定の対象となった外部デバイス200をUSBユニット50を介して接続することにより、BDアドレスおよびCoD情報とベンダーIDおよびプロダクトIDとの対応付けが行われる。
【0039】
切替確認部66は、再生方法切替部65による切り替えを行う前に、利用者に対して切替実施の有無を確認する。この切替確認部66による確認動作に対して利用者による切替実施の指示がなされた後に、再生方法切替部65による切り替えが行われる。
【0040】
プロトコル変更警告部67は、USBオーディオ再生部61によるオーディオ再生を行う際に、MSCプロトコルに対応した外部デバイス200を検出できなかったときに、外部デバイス200の設定プロトコルをMSCプロトコルに変更するよう警告する。
【0041】
BT処理部68は、外部デバイス200等との間でペアリング設定を行う際に必要な処理を行う。例えば、外部デバイス200との間でペアリング設定を行う際に、ペアリング設定開始をBTユニット40に指示したり、外部デバイス200に割り当てられたパスコードを指定する処理などがBT処理部68によって行われる。
【0042】
上述したUSBユニット50がUSB通信手段に、BTユニット40がブルートゥース通信手段に、USBオーディオ再生部61が第1のオーディオ再生手段に、BTオーディオ再生部62が第2のオーディオ再生手段に、再生方法切替部65が再生方法切替手段に、デバイス情報格納部64がデバイス情報格納手段にそれぞれ対応する。また、切替確認部66が切替確認手段に、プロトコル変更警告部67がプロトコル変更警告手段にそれぞれ対応する。
【0043】
本実施形態のオーディオ再生装置100はこのような構成を有しており、USBオーディオの再生に失敗した場合にBTオーディオの再生に切り替える動作について説明する。
【0044】
図2は、ブルートゥースのペアリング設定に合わせて行われるデバイス情報取得の動作手順を示す流れ図である。この動作手順は、USBオーディオからBTオーディオに切り替える動作を実施する前に行う必要がある。
【0045】
利用者の操作に応じてBT処理部68からBTユニット40に対してペアリング設定動作の開始が指示されると、BT処理部68は、BTユニット40によって周辺検索を行って(ステップ100)、ブルートゥースの通信可能範囲に存在する外部デバイス200を検出する(ステップ102)。次に、BT処理部68は、ペアリング設定を行う(ステップ104)。
【0046】
また、デバイス情報取得部63は、外部デバイス200からBTユニット40経由でデバイス情報A(BDアドレス、CoD情報)を取得する(ステップ106)。次に、デバイス情報取得部63は、ペアリング設定を行った外部デバイス200に対するUSB接続を促す(ステップ108)。例えば、
図3に示すように、「ペアリングしたスマートフォンのUSB IDを取得します。USB接続して下さい。」等のUSB接続を促すメッセージが表示される。
【0047】
次に、デバイス情報取得部64は、USBユニット50を監視し、USBユニット50に外部デバイス200が接続されたか否かを判定する(ステップ110)。接続されない場合には否定判断が行われ、この判定が繰り返される。また、外部デバイス200が接続されるとステップ110の判定において肯定判断が行われる。
【0048】
次に、デバイス情報取得部63は、外部デバイス200からUSBユニット50経由でデバイス情報B(ベンダーID(VID)、プロダクトID(PID))を取得する(ステップ112)。その後、デバイス情報取得部63は、ステップ106で取得したデバイス情報Aとステップ112で取得したデバイス情報Bを関連づけて(対応させて)、外部デバイス200に対応するデバイス情報としてデバイス情報格納部64に格納する。
【0049】
図4は、USBオーディオの再生に失敗した場合にBTオーディオの再生に切り替える動作手順を示す流れ図である。USBオーディオ再生部61は、利用者によってUSBオーディオの再生が指示されたか否かを判定する(ステップ200)。例えば、使用者は、操作画面に含まれるUSBオーディオのアイコンを指し示すことにより、あるいは、USBオーディオ用に割り当てられた特定の操作キーを押下することにより、USBオーディオの再生を指示することができる。利用者によるUSBオーディオの再生指示がなされない場合にはステップ200の判定において否定判断が行われ、この判定が繰り返される。
【0050】
また、利用者によるUSBオーディオの再生指示がなされた場合にはステップ200の判定において肯定判断が行われる。次に、USBオーディオ再生部61は、通信プロトコルがMSCに設定された外部デバイス200がUSB接続されているか否かを判定する(ステップ202)。接続されている場合には肯定判断が行われ、USBオーディオ再生部61は、外部デバイス200に格納されたオーディオデータをMSCプロトコルを用いて読み出してオーディオ再生を行う(ステップ204)。
【0051】
一方、通信プロトコルがMSCに設定された外部デバイス200がUSB接続されていない場合にはステップ202の判定において否定判断が行われる。この場合には、再生方法切替部65は、BTオーディオ再生部62に指示を送って、USBオーディオからBTオーディオ再生部62によるBTオーディオの再生動作に自動的に切り替える(ステップ206)。なお、本実施形態では、外部デバイス200がUSB接続されているが、この外部デバイス200の通信プロトコルがMSCに設定されていない場合を想定しており、この外部デバイス200がUSB接続された時点でこの外部デバイス200の識別が行われる。このため、この外部デバイス200を特定してブルートゥースの接続先として指定することが可能となる。
【0052】
次に、BTオーディオ再生部62は、外部デバイス200がブルートゥース接続されているか否かを判定する(ステップ208)。接続されている場合には肯定判断が行われ、BTオーディオ再生部62は、外部デバイス200から送信されるストリーミング形式のオーディオデータを受信してオーディオ再生を行う(ステップ210)。接続されていない場合には否定判断がなされ、ステップ208の判断を繰り返す。
【0053】
なお、BTオーディオであってもUSBオーディオであっても外部デバイス200に格納されているオーディオデータを用いる点で代わりはないが、BTオーディオの場合には外部デバイス200内でファイル形式で格納されたオーディオデータをストリーミング形式に変換してオーディオ再生装置100に送られる。このため、一般には、USBオーディオに対してBTオーディオは品質が低下する。
【0054】
このように、本実施形態のオーディオ再生装置100では、USBオーディオの再生が指示された際に、通信プロトコルの設定(MSC)が異なるためにUSB接続された外部デバイス200が認識できない場合であっても、ブルートゥース接続に切り替えてBTオーディオの再生を行うことが可能になり、このような再生方法の切り替えを伴うオーディオ再生を行うために必要な煩雑な操作が不要となる。
【0055】
また、デバイス情報格納部64には、再生方法の切り替えを行う際に、USBユニット50に接続された外部デバイス200を指定してBTユニット40に接続するために必要なデバイス情報が格納されている。このようなデバイス情報を用いることにより、切り替え後もUSB接続の場合と同じ外部デバイス200に格納されているオーディオデータを用いたオーディオ再生が可能となる。
【0056】
また、このデバイス情報は、ブルートゥース方式のペアリング設定時に取得している。これにより、ペアリング設定によって外部デバイス200とオーディオ再生装置100とを関連づけた際に同時にデバイス情報を取得することが可能となり、デバイス情報取得の手間を低減することができる。
【0057】
また、このデバイス情報として、ペアリング設定時に取得される外部デバイス200のBDアドレスおよびCoD情報と、USBユニット50を介した接続時に取得されるベンダーIDおよびプロダクトIDとが対応付けられてデバイス情報格納部64に格納されている。これらの情報をデバイス情報として用いることにより、共通の外部デバイス200を特定することが可能となる。
【0058】
また、ペアリング設定時に、このペアリング設定の対象となった外部デバイス200をUSBユニット50を介して接続することにより、BDアドレスおよびCoD情報とベンダーIDおよびプロダクトIDとの対応付けが行われている。ペアリング設定時に同じ外部デバイス200を用いてUSB接続を行うことにより、USB接続された外部デバイス200とブルートゥース接続された外部デバイス200が同じであるかどうかを確実に知ることができる。
【0059】
また、USB接続を行う際の通信プロトコルとしてMSCプロトコルが用いられている。従来から広く用いられているMSCプロトコルをデフォルトの設定プロトコルとすることにより、通信プロトコルの設定が異なることにより外部デバイス200が認識できない事態を極力回避することができる。
【0060】
ところで、
図4に示した流れ図では、USBオーディオからBTオーディオに利用者に対する確認なしに切り替えるようにしたが、この切り替えの際に、利用者に対して切替実施の有無を確認するようにしてもよい。
【0061】
図5は、USBオーディオからBTオーディオに切り替える際に利用者に対して確認を行う変形例を示す流れ図である。
図5に示す動作手順は、
図4に示す動作手順に対して、ステップ202とステップ206の間にステップ300、302、304が追加されている点が異なっている。以下では、これらの追加された各ステップに着目して説明を行うものとする。
【0062】
通信プロトコルがMSCに設定された外部デバイス200がUSB接続されておらず、ステップ202の判定において否定判断が行われると、次に、切替確認部66は、利用者に切り替えの同意を得るための切替確認画面を作成して表示装置22に表示する(ステップ300)。
【0063】
図6は、切替確認画面の表示例を示す図である。この切替確認画面には、「BTオーディオに切り替えて再生しますか?」等の文字列とともに、「YES」ボタンと「NO」ボタンが含まれる。
【0064】
次に、切替確認部66は、利用者によって切り替えが了承されたか否かを判定する(ステップ302)。利用者によって切替確認画面内の「YES」ボタンが選択されると肯定判断が行われ、ステップ206に移行して、USBオーディオからBTオーディオ再生部62によるBTオーディオの再生動作に自動的に切り替えられる。
【0065】
また、利用者によって切替確認画面内の「NO」ボタンが選択されるとステップ302の判定において否定判断が行われる。次に、切替確認部66(あるいは、再生方法切替部65やUSBオーディオ再生部61が行うようにしてもよい)は、通信プロトコルがMSCに設定された外部デバイス200がUSB接続されていないことを利用者に通知するための「接続失敗」通知画面を表示装置22に表示する(ステップ304)。
【0066】
図7は、接続失敗通知画面の表示例を示す図である。この接続失敗通知画面には、「デバイスが接続されていません。」等の文字列が含まれる。
【0067】
このように、切替確認画面を表示することにより、品質が異なるUSBオーディオからブルートゥースオーディオへの切り替えに際して、事前に利用者による承認を得ることが可能となり、利用者が品質の違いを理解した上で品質が劣るBTオーディオの再生を開始することができる。
【0068】
また、上述した説明では、オーディオ再生動作に先立ってブルートゥースのペアリングを行うようにしたが、USBオーディオの再生に失敗した後にペアリングを行うようにしてもよい。
【0069】
図8は、USBオーディオの再生に失敗した後に必要に応じてペアリングを行う変形例を示す流れ図である。
図8に示す動作手順は、
図4に示す動作手順に対して、ステップ202とステップ206の間にステップ310〜318が追加されている点が異なっている。以下では、これらの追加された各ステップに着目して説明を行うものとする。
【0070】
通信プロトコルがMSCに設定された外部デバイス200がUSB接続されておらず、ステップ202の判定において否定判断が行われると、次に、BT処理部68は、切り替え対象となっている外部デバイス200のペアリングが終了しているか否かを判定する(ステップ310)。ペアリングが終了している場合には肯定判断が行われ、ステップ206に移行して、USBオーディオからBTオーディオ再生部62によるBTオーディオの再生動作に自動的に切り替えられる。
【0071】
また、ペアリングが終了していない場合にはステップ310の判定において否定判断が行われる。次に、BT処理部68は、ペアリング確認画面を作成して表示装置22に表示する(ステップ312)。
図9は、ペアリング確認画面の表示例を示す図である。このペアリング確認画面には、「ペアリングすればBTオーディオの再生が可能です。ペアリングしますか?」等の文字列とともに、「YES」ボタンと「NO」ボタンが含まれる。
【0072】
次に、BT処理部68は、利用者によってペアリングが指示されたか否かを判定する(ステップ314)。利用者によってペアリング確認画面内の「YES」ボタンが選択されると肯定判断が行われ、BT処理部68はペアリング設定を行う(ステップ316)。その後、ステップ206に移行して、USBオーディオからBTオーディオ再生部62によるBTオーディオの再生動作に自動的に切り替えられる。
【0073】
また、利用者によってペアリング確認画面内の「NO」ボタンが選択されるとステップ314の判定において否定判断が行われる。この場合には、切替確認部66(あるいは、再生方法切替部65やUSBオーディオ再生部61が行うようにしてもよい)は、通信プロトコルがMSCに設定された外部デバイス200がUSB接続されていないことを利用者に通知するための「接続失敗」通知画面(例えば
図7)を表示装置22に表示する(ステップ318)。
【0074】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、USBオーディオの再生に失敗した場合にBTオーディオの再生に切り替えるようにしたが、通信プロトコルをMSCに設定変更することを促すことでUSBオーディオの再生ができるようにしてもよい。
【0075】
図10は、USBオーディオの再生に失敗した後に通信プロトコルの設定変更を促すようにした動作手順を示す流れ図である。USBオーディオ再生部61は、利用者によってUSBオーディオの再生が指示されたか否かを判定する(ステップ400)。例えば、使用者は、操作画面に含まれるUSBオーディオのアイコンを指し示すことにより、あるいは、USBオーディオ用に割り当てられた特定の操作キーを押下することにより、USBオーディオの再生を指示することができる。利用者によるUSBオーディオの再生指示がなされない場合にはステップ400の判定において否定判断が行われ、この判定が繰り返される。
【0076】
また、利用者によるUSBオーディオの再生指示がなされた場合にはステップ400の判定において肯定判断が行われる。次に、USBオーディオ再生部61は、通信プロトコルがMSCに設定された外部デバイス200がUSB接続されているか否かを判定する(ステップ402)。接続されている場合には肯定判断が行われ、USBオーディオ再生部61は、外部デバイス200に格納されたオーディオデータをMSCプロトコルを用いて読み出してオーディオ再生を行う(ステップ404)。
【0077】
一方、通信プロトコルがMSCに設定された外部デバイス200がUSB接続されていない場合(例えばMTPに設定されたスマートフォンが接続されている場合)にはステップ402の判定において否定判断が行われる。次に、プロトコル変更警告部67は、現在の設定(例えばMTP)からMSCへの通信プロトコルの変更を促す警告画面を作成して表示装置22に表示する(ステップ406)。
図11は、プロトコル変更を促す警告画面の表示例を示す図である。この警告画面には、「スマートフォンの設定をMTPからMSCへ変更して下さい。」等の文字列とともに、「YES」ボタンが含まれる。この警告画面が表示されると、通信プロトコルの設定変更を行ってUSBオーディオの再生を開始したいと考える利用者は、外部デバイス200(スマートフォン)の通信プロトコルを変更した後、「YES」ボタンを押下する(指し示す)ことになる。
【0078】
次に、USBオーディオ再生部61は、設定変更されたか否か(「YES」ボタンが押下されたか否か)を判定する(ステップ408)。利用者によって設定変更された場合には肯定判断が行われ、ステップ404に移行してUSBオーディオの再生が開始される。
【0079】
また、使用者によって設定変更がなされない場合(例えば、警告画面が表示されてから「YES」ボタンが押下されずに所定時間経過した場合)にはステップ408の判定において否定判断が行われる。この場合には、USBオーディオ再生部61は、通信プロトコルがMSCに設定された外部デバイス200がUSB接続されていないことを利用者に通知するための「接続失敗」通知画面(例えば
図7)を表示装置22に表示する(ステップ410)。
【0080】
このように、異なる通信プロトコルが設定されているために外部デバイス200を認識できずUSBオーディオの再生を開始できない場合に、通信プロトコルの変更を促すことでUSBオーディオの再生を開始することが可能となる。また、ブルートゥース方式に接続方式を変更する場合に比べて、本来のオーディオ品質でオーディオ再生を行うことが可能となり、オーディオ品質の低下を防止することができる。
【0081】
また、上述した実施形態では、外部デバイス200の通信プロトコルがMSCの場合にUSBオーディオの再生を行うようにしたが、外部デバイス200の通信プロトコルがMSCを含む複数のいずれかに設定されている場合にUSBオーディオの再生を行うようにしてもよい。例えば、オーディオ再生装置100がUSB接続に対応してMSCと独自プロトコルをサポートしている場合には、これら2つの通信プロトコルのいずれかの設定がなされた外部デバイス200が接続された場合にUSBオーディオの再生を行うことができる。したがって、これら2つの通信プロトコル以外の設定がなされた外部デバイス200がUSB接続された場合に、BTオーディオ再生への切り替えを行ったり、MSCあるいは独自プロトコルへの設定変更を促す警告場面を表示したりすればよい。