(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施の形態]
図1は第1実施形態に係る歯車箱10の外観を示す斜視図である。歯車箱10は、複数の歯車(図示せず)や複数の軸(図示せず)を収納するための収納空間12が内部に形成される歯車箱本体14を備える。
【0010】
図2は歯車箱10の外観を示す側面図である。本図では、歯車箱本体14に組み付けられる各軸16〜20の軸芯位置を点又は一点鎖線により示す。歯車箱10は入力軸16の回転を減速して出力軸17から出力する直交減速機に用いられる。歯車箱本体14の収納空間12には入力軸16の回転を減速して出力軸17に伝達するための複数の減速用歯車が収納される。複数の減速用歯車は入力軸16、出力軸17、後述する第1中間軸18、第2中間軸19、第3中間軸20のそれぞれに取り付けられる。
【0011】
歯車箱本体14は、略直方体状に形成され、鋼材等を用いた鋳造品、切削加工品等により構成される。歯車箱本体14には、複数の側壁部21により囲まれて収納空間12が形成される。側壁部21には、下側壁部21Aと、上側壁部21Bと、前側壁部21Cと、後側壁部21Dと、一対の横側壁部21Eとが含まれる。横側壁部21Eは出力軸17の軸方向の両側に設けられる。以下、下側壁部21Aの被据付面33(後述する)と平行な一方向を前後方向X、被据付面33と平行で前後方向Xに直交する方向を左右方向Y、被据付面33と直交する方向を上下方向Zとして説明する。なお、左右方向Yは出力軸17の軸方向と一致する。
【0012】
図3は歯車箱本体14の内部構造を示す側面図である。上側壁部21Bには、内部を点検するための点検口23が形成される。上側壁部21Bには点検口23を塞ぐための蓋部材(図示せず)をボルト等により装着可能である。
【0013】
前側壁部21Cには、入力軸16が挿通される入力軸穴25が形成される。入力軸穴25には、
図1に示すように、軸受(図示せず)を内蔵する軸受ケーシング27が組み付けられ、入力軸16は、その軸受を介して入力軸穴25の内壁面により支持される。
【0014】
下側壁部21Aには、
図2に示すように、歯車箱本体14を据付面29に据え付けるための固定部材31が装着される平板状の固定部35が設けられる。据付面29とは被駆動装置の外面又はその近傍の床面等である。固定部35は、下側壁部21Aの左右方向Yの両端部寄りの位置に設けられる。固定部35は、前後方向Xに離れて設けられる第1固定部35Aと第2固定部35Bを含む。第1固定部35Aは前後方向Xの中間部に設けられ、第2固定部35Bは前後方向Xの後端部に設けられる。
【0015】
固定部35には固定部材31としてのボルトを挿通するための挿通孔36が形成される。歯車箱本体14は、据付面29と対向する下側壁部21Aの被据付面33を据付面29に載せた状態で、固定部材31により据付面29に固定される。
【0016】
横側壁部21Eには、固定部35に対して被据付面33から離れた方向にずれた位置に凹部37が形成される。凹部37は歯車箱本体14の内側に凹む。凹部37には固定部材31としてのボルトの頭部が収容される。
【0017】
横側壁部21Eには、軸17〜20を支持するための軸穴39が複数形成される。各軸穴39は前後方向Xに間隔を空けて形成される。各軸穴39には、前端側から後端側にかけて第1中間軸18、第2中間軸19、第3中間軸20、出力軸17が挿通される。各軸17〜20は、対応する軸穴39に組み付けられる軸受(図示せず)を介して軸穴39の内壁面により支持される。以下、第1中間軸18、第2中間軸19、第3中間軸20のそれぞれを支持する軸穴39を第1中間軸穴39A、第2中間軸穴39B、第3中間軸穴39Cといい、出力軸17を支持する軸穴39を出力軸穴39Dという。この出力軸穴39Dに対して、第1固定部35Aは前後方向Xの一方に設けられ、第2固定部35Bは前後方向Xの他方に設けられる。
【0018】
各軸穴39の周縁部41は、
図3に示すように、横側壁部21Eの内面側において、他の部位より左右方向Yに厚肉に形成される。横側壁部21Eの内面側には、出力軸穴39Dの周縁部41から固定部35に向けて延びる出力穴補強リブ43が形成される。出力穴補強リブ43には第1出力穴補強リブ43Aと第2出力穴補強リブ43Bが含まれる。第1出力穴補強リブ43Aは、出力軸穴39Dの周縁部41から第1固定部35Aに向けて延びる。第2出力穴補強リブ43Bは、その周縁部41から第2固定部35Bに向けて延びる。
【0019】
各出力穴補強リブ43は、被据付面33に対して傾斜して形成される。各出力穴補強リブ43は、歯車箱本体14を側面視したとき、出力軸穴39Dの軸芯(出力軸17の軸芯と同じ位置)を間に挟んで互いに逆向きの方向に直線状に延びるように形成される。各出力穴補強リブ43は、その中間部より両端部が拡幅して形成される。
【0020】
第1出力穴補強リブ43Aの一端部43Aaは、出力軸穴39Dの周縁部41と第3中間軸穴39Cの周縁部41との間に延びており、これらに接続される。第2出力穴補強リブ43Bの一端部43Baは、出力軸穴39Dの周縁部41に延びており、これに接続される。
【0021】
図4は歯車箱10の外観を示す拡大側面図である。第1出力穴補強リブ43Aの他端部43Abは、第1固定部35Aの凹部37の側面部37aと下側壁部21Aとの隅角部45に延びており、これらに接続される。第2出力穴補強リブ43Bの他端部43Bbは、第2固定部35Bの凹部37の側面部37aと下側壁部21Aとの隅角部45に延びており、この凹部37の側面部37aに接続される。
【0022】
以上の歯車箱10の作用効果を説明する。各固定部35を固定部材31により据付面29に固定した状態で各歯車に動力が与えられると、出力軸17周りの歯車箱本体14の変形が固定部材31により拘束される。ここでの変形とは、各歯車に生じる噛み合い反力による歯車箱本体14の変形をいう。このとき、各固定部35の付近には過大な応力が作用しやすい。特に、出力軸穴39Dの内壁面40(
図2参照)には他の軸18〜20より出力軸17から過大な荷重が作用し易く、出力軸穴39Dの近傍にある固定部35の付近で過大な応力が作用し易い。
【0023】
この点、本実施形態によれば、各出力穴補強リブ43により、その過大な荷重に対して効果的に抵抗でき、出力軸穴39Dの左右方向Yや上下方向Zの変形を抑え易くなる。また、その過大な荷重に効果的に抵抗できるため、各固定部35の付近に作用する応力を緩和でき、その変形を抑え易くなる。これらにより、歯車箱本体14の剛性、耐荷力を確保し易くなる。よって、この荷重に抵抗するために横側壁部21Eの板厚を過度に増大させなくともよくなり、各側壁部21の板厚の低減により、歯車箱本体14の強度を確保しつつも軽量化を図れる。
【0024】
本発明者が検討したところ、各出力穴補強リブ43の有無により、各固定部35の近傍に作用する応力を4割以上低減でき、出力軸穴39Dの周縁部41の変形を3割以上低減できた。特に、各出力穴補強リブ43は、被据付面33に対して鉛直に形成されるより、傾斜して形成されている方が剛性、耐荷力の確保に効果的であった。
【0025】
[第2の実施の形態]
図5は第2実施形態に係る歯車箱10の外観を示す斜視図であり、
図6はその側面図である。以下の実施形態では、第1実施形態で説明した要素と同じ要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0026】
固定部35は、前後方向Xの前端部に設けられる第1固定部35Aと、その中間部に設けられる第2固定部35Bと、その後端部に設けられる第3固定部35Cとを含む。
【0027】
図7は歯車箱本体14の内部構造を示す側面図である。横側壁部21Eの内面側には、第2中間軸穴39Bの周縁部41から第1固定部35Aに向けて延びる中間軸穴補強リブ47が形成される。また、横側壁部21Eの内面側には、出力軸穴39Dの周縁部41から第2固定部35Bに向けて延びる出力穴補強リブ43が形成される。各リブ43、47は、歯車箱本体14を側面視したとき、それぞれほぼ同方向に直線状に延びるように形成される。
【0028】
中間軸穴補強リブ47の一端部47aは第2中間軸穴39Bの周縁部41に延びており、これに接続される。出力穴補強リブ43の一端部43aは出力軸穴39Dの周縁部41に延びており、これに接続される。
【0029】
図8は歯車箱10の外観を示す拡大側面図である。中間軸穴補強リブ47の他端部47bは、第1固定部35Aの凹部37の側面部37aと下側壁部21Aとの隅角部45に延びており、これらに接続される。出力穴補強リブ43の他端部43bは、第2固定部35Bの凹部37の側面部37aと下側壁部21Aとの隅角部45に延びており、この凹部37の側面部37aに接続される。
【0030】
本実施形態に係る歯車箱10によっても第1実施形態に係る歯車箱10と同様の作用効果を得られる。
【0031】
[第3の実施の形態]
図9は第3実施形態に係る歯車箱10の外観を示す斜視図である。歯車箱本体14は、前後方向Xの一方(前方)から他方(後方)にかけて順に設けられる第1収納部49と、中間部51と、第2収納部53を有する。第1収納部49と中間部51には、それぞれ出力軸穴39Dとは別の軸穴39である第1中間軸穴39Aと第2中間軸穴39Bが形成され、第2収納部53には出力軸穴39Dが形成される。
【0032】
図10は歯車箱10の外観を示す側面図である。第1収納部49の外周面49aは、第1曲率半径R1[m]を有する曲面状に形成され、第2収納部53の外周面53aは、第1曲率半径R1より大きい第2曲率半径R2[m]を有する曲面状に形成される。中間部51の外周面51aは、第1収納部49の外周面49aと第2収納部53の外周面53aを滑らかに繋げるように直線状に形成される。
【0033】
第1収納部49の外周面49aは、第1中間軸18に取り付けられる歯車(図示せず)の歯先円に沿うように形成され、その内部には第1中間軸18に取り付けられる歯車や入力軸16に取り付けられる歯車が収納される。中間部51の内部には第2中間軸19に取り付けられる歯車が収納される。第2収納部53の外周面53aは、出力軸17に取り付けられる歯車(図示せず)の歯先円に沿うように形成され、その内部には出力軸17に取り付けられる歯車が収納される。
【0034】
歯車箱本体14は、第1収納部49、中間部51、第2収納部53の左右方向Yに対向する壁部により横側壁部21Eが形成され、第1収納部49の外周壁部の一部により前側壁部21Cが形成され、第2収納部53の外周壁部の一部により後側壁部21Dが形成される。また、歯車箱本体14は、第1収納部49、中間部51、第2収納部53の上下方向Zに対向する壁部により下側壁部21A、上側壁部21Bが形成される。
【0035】
前側壁部21Cには、前後方向Xの前側に突出する筒状部55が形成され、その先端側には入力軸16が挿通される入力軸穴25が形成される。入力軸16は筒状部55内に組み付けられる軸受(図示せず)を介して筒状部55の内壁面により支持される。
【0036】
下側壁部21Aには、その下側壁部21Aから離れる方向に突き出る脚部57が設けられる。脚部57は、下側壁部21Aの左右方向Yの両側に設けられる。脚部57は、前後方向Xの前端側に設けられる第1脚部57Aと、その後端側に設けられる第2脚部57Bとを含む。第1脚部57Aと第2脚部57Bは前後方向Xに離れて設けられることになる。
【0037】
各脚部57には、その先端側に歯車箱本体14を据付面29に据え付けるための平板状の固定部35が設けられる。固定部35は、第1脚部57Aの先端側に設けられる第1固定部35Aと、第2脚部57Bの先端側に設けられる第2固定部35Bとを含む。第1固定部35Aと第2固定部35Bは前後方向Xに離れて設けられることになる。
【0038】
横側壁部21Eの外面側には、各軸穴39の周縁部41に軸穴リブ59が形成される。軸穴リブ59は、各軸穴39の周縁部41に沿うように環状に形成され、左右方向Yの外側に突出する。隣り合う軸穴39の軸穴リブ59は一部において連続するように設けられる。詳細には、第1中間軸穴39Aの軸穴リブ59と第2中間軸穴39Bの軸穴リブ59との間には、それらを結合する第1リブ結合部61が設けられる。第1リブ結合部61の外周面61aは平面状に形成され、各軸穴リブ59の外周面59aを滑らかに繋ぐように設けられる。また、第2中間軸穴39Bの軸穴リブ59と出力軸穴39Dの軸穴リブ59との間には、それらを結合する第2リブ結合部63が設けられる。第2リブ結合部63の外周面63aは凹状の曲面状に形成され、各軸穴リブ59の外周面59aを滑らかに繋ぐように設けられる。
【0039】
横側壁部21Eの外面側には、第1中間軸穴39Aの周縁部41から第1固定部35Aに向けて直線状に延びる中間軸穴補強リブ47が形成される。中間軸穴補強リブ47の一端部47aは第1中間軸穴39Aの軸穴リブ59に接続され、その他端部47bは第1固定部35Aに接続される。第1脚部57Aは中間軸穴補強リブ47によりその一部が形成される。中間軸穴補強リブ47は被据付面33に対して傾斜して形成される。
【0040】
横側壁部21Eの外面側には、出力軸穴39Dの周縁部41から第2固定部35Bに向けて直線状に延びる出力穴補強リブ43が形成される。出力穴補強リブ43の一端部43aは、出力軸穴39Dの軸穴リブ59に接続される。出力穴補強リブ43の他端部43bは、第2固定部35Bに接続される。出力穴補強リブ43は被据付面33に対して傾斜して形成される。出力穴補強リブ43と中間軸穴補強リブ47は、被据付面33に対して互いに逆向きに傾斜して形成される。被据付面33に対する鋭角での傾斜角度は、中間軸穴補強リブ47の方が出力穴補強リブ43より大きくなるように形成される。
【0041】
横側壁部21Eの外面側には、出力軸穴39Dの周縁部41と、第2中間軸穴39Bの周縁部41とのそれぞれから被据付面33と離れる側に延びる第1連結リブ65が形成される。各第1連結リブ65は、横側壁部21Eと上側壁部21Bとの角部分において繋がるように、その先端側が互いに近づく方向に直線状に延びて形成される。
【0042】
上側壁部21Bの外面側には、
図9に示すように、左右方向Yに延びる連設リブ67が形成される。連設リブ67の一端部67aは、一方の横側壁部21Eの各第1連結リブ65の先端部に接続される。連設リブ67の他端部67bは、他方の横側壁部21Eの各第1連結リブ65の先端部に接続される。一対の横側壁部21Eの各第1連結リブ65は連設リブ67を介して接続される。各中間軸18、19や出力軸17の軸方向のスラスト荷重が歯車箱本体14に作用し、各軸穴39の周縁部41が面外方向(左右方向Y)に変形しようとしたとき、この連設リブ67によりその変形が効果的に抑えられ、各歯車の噛み合いへの悪影響が抑えられる。
【0043】
出力穴補強リブ43と中間軸穴補強リブ47は、それらの一端部43a、47aの間が第1接続リブ75と第2接続リブ77により接続される。
図10では第1接続リブ75と第2接続リブ77のそれぞれが通る位置を二点鎖線L6、L7で示す。
【0044】
第1接続リブ75は、出力軸穴39Dの軸穴リブ59の一部と、各第1連結リブ65と、第2中間軸穴39Bの軸穴リブ59の一部と、第1リブ結合部61とにより構成される。第2接続リブ77は、出力軸穴39Dの軸穴リブ59の一部と、第2リブ結合部63と、第2中間軸穴39Bの軸穴リブ59の一部と、第1リブ結合部61とにより構成される。
【0045】
出力穴補強リブ43、第1接続リブ75、中間軸穴補強リブ47は、第2固定部35Bから第1固定部35Aに向けて各リブ43、75、47が連なるように設けられる。また、出力穴補強リブ43、第2接続リブ77、中間軸穴補強リブ47も、第2固定部35Bから第1固定部35Aに向けて各リブ43、77、47が連なるように設けられる。
【0046】
以上の歯車箱10によれば、各固定部35を被据付面33に固定した状態で各歯車に動力が与えられると、各軸穴39の内壁面には軸17〜19から過大な荷重が作用し易く、それらの近傍にある固定部35の付近で過大な応力が作用し易い。この点、本実施形態によれば、出力穴補強リブ43や中間軸穴補強リブ47により、その過大な荷重に対して効果的に抵抗でき、各軸穴39の左右方向Yや上下方向Zの変形を抑え易くなる。また、各リブ43、47により、その過大な荷重に効果的に抵抗できるため、各固定部35の付近に作用する応力を緩和でき、その変形を抑え易くなる。これらにより、歯車箱10の剛性、耐荷力を確保し易くなる。よって、この荷重に抵抗するために横側壁部21Eの板厚を過度に増大させなくともよくなり、各側壁部21の板厚の低減により、歯車箱本体14の強度を確保しつつも軽量化を図れる
【0047】
また、本実施形態では、歯車箱本体14の第1収納部49や第2収納部53が形成されるため、歯車箱本体14が直方体状に形成される場合よりも部材使用量を抑えられ、歯車箱本体14の軽量化を図れる。
【0048】
また、第1接続リブ75や第2接続リブ77が形成されるため、各軸穴39の周縁部41に作用する荷重を、各接続リブ75、77や中間軸穴補強リブ47、出力穴補強リブ43により分散して伝達し易くなり、その荷重による応力の集中の発生を抑えられる。
【0049】
[第4の実施の形態]
図11は第4実施形態に係る歯車箱10の外観を示す斜視図である。歯車箱本体14は、第3実施形態と同様に、前後方向Xの一方から他方にかけて順に設けられる第1収納部49と、中間部51と、第2収納部53を有する。
【0050】
図12は歯車箱10の外観を示す側面図である。歯車箱本体14の下側壁部21Aには、第3実施形態と同様に、その下側壁部21Aから離れる方向に突き出る脚部57が設けられる。脚部57は、前後方向Xに離れて設けられる第1脚部57Aと第2脚部57Bを含む。第1脚部57Aの先端側には第1固定部35Aが設けられ、第2脚部57Bの先端側には第2固定部35Bが設けられる。第1固定部35Aと第2固定部35Bは前後方向Xに離れて設けられることになる。
【0051】
第1収納部49の横側壁部21Eを構成する一部の壁部49bは第1固定部35Aに向けて延びるように形成され、その一部の壁部49bにより第1脚部57Aが構成される。第2収納部53の横側壁部21Eを構成する一部の壁部53bは第2固定部35Bに向けて延びるように形成され、その一部の壁部53bにより第2脚部57Bが構成される。
【0052】
中間部51の上側の外周面51aは、
図11に示すように、歯車箱本体14の上側壁部21Bにおいて、被据付面33に対して外に凸の曲面状となるように形成される。中間部51の上側の外周面51aは、第1収納部49の外周面49aと第2収納部53の外周面53aを滑らかに繋ぐように設けられる。各中間軸18、19や出力軸17の軸方向のスラスト荷重が歯車箱本体14に作用し、各軸穴39の周縁部41が面外方向(左右方向Y)に変形しようとしたとき、この中間部51の上側の外周面51aによりその変形が効果的に抑えられ、各歯車の噛み合いへの悪影響が抑えられる。
【0053】
中間部51の下側の外周面51aは、
図12に示すように、第1収納部49の外周面49aと第2収納部53の外周面53aを滑らかに繋ぐように設けられる。
【0054】
前側壁部21Cの筒状部55には、
図11に示すように、その基端側部分56から先端側にずれた位置に縮径部69が形成される。筒状部55の縮径部69の先端部には、その周方向に沿って径方向外側に突き出る環状の先端リブ71が形成される。筒状部55の縮径部69の外周面には、その周方向に間隔を空けて複数の第1軸リブ73が形成される。第1軸リブ73は、筒状部55の軸方向に沿って形成され、その先端部が先端リブ71に接続される。筒状部55の基端側部分56の外周面には、その周方向に間隔を空けて複数の第2軸リブ74が形成される。第2軸リブ74の先端部は第1軸リブ73の基端部に接続され、その基端部は上側壁部21Bと横側壁部21Eの角部分まで延びてこれに接続される。第2軸リブ74は第1軸リブ73よりその突出高さが大きくなるように形成される。これら先端リブ71や各軸リブ73、74により、筒状部55の断面変形が効果的に抑えられる。
【0055】
横側壁部21Eの外面側には、
図12に示すように、出力軸穴39Dから前後方向Xに離れる側に向けて第2中間軸穴39Bと第1中間軸穴39Aが順に設けられる。隣り合う軸穴39の軸穴リブ59は、
図12に示すように、一部において連続するように設けられる。詳細には、第1中間軸穴39Aの軸穴リブ59と第2中間軸穴39Bの軸穴リブ59とは、各軸穴39A、39Bの周縁部41に沿うように環状に形成されるとともに、それらの一部が重なるように設けられ、その重なる位置にはくびれ部分75が形成される。出力軸穴39Dの軸穴リブ59は、出力軸穴39Dの周縁部41に沿うように環状に形成される。第2中間軸穴39Bの軸穴リブ59と出力軸穴39Dの軸穴リブ59との間には、第3実施形態と同様に、それらを結合する第2リブ結合部63が設けられる。第2リブ結合部63の外周面63aは凹状の曲面状に形成される。
【0056】
横側壁部21Eの外面側には、各固定部35に対して被据付面33から離れた方向にずれた位置に凹部37が形成される。凹部37には、第1固定部35Aに対して被据付面33から離れた方向にずれた位置に形成される第1凹部37Aと、第2固定部35Bに対して被据付面33から離れた方向にずれた位置に形成される第2凹部37Bとが含まれる。第1凹部37Aは、第1固定部35Aと、後述の第1中間軸穴補強リブ47Aと、第2中間軸穴補強リブ47Bと、横側壁部21Eとにより区画される。第2凹部37Bは、第2固定部35Bと、後述の第1出力穴補強リブ43Aと、第2出力穴補強リブ43Bと、横側壁部21Eとにより区画される。
【0057】
横側壁部21Eの外面側には、第1中間軸穴39Aの周縁部41から第1固定部35Aに向けて延びる第1中間軸穴補強リブ47Aと、第2中間軸穴39Bの周縁部41から第1固定部35Aに向けて延びる第2中間軸穴補強リブ47Bとが形成される。第1中間軸穴補強リブ47Aの一端部は第1中間軸穴39Aの軸穴リブ59に接続され、その他端部は第1固定部35Aに接続される。第2中間軸穴補強リブ47Bの一端部は第2中間軸穴39Bの軸穴リブ59に接続され、その他端部は第1固定部35Aに接続される。各中間軸穴補強リブ47A、47Bは被据付面33に対して傾斜して形成される。被据付面33に対する鋭角での傾斜角度は、第1中間軸穴補強リブ47Aの方が第2中間軸穴補強リブ47Bより大きくなるように形成される。
【0058】
横側壁部21Eの外面側には、出力軸穴39Dの周縁部41から第2固定部35Bに向けて延びる第1出力穴補強リブ43Aと、その周縁部41の別の箇所から第2固定部35Bに向けて延びる第2出力穴補強リブ43Bとが形成される。各出力穴補強リブ43Aの一端部は出力軸穴39Dの軸穴リブ59に接続され、それらの他端部は第2固定部35Bに接続される。各出力穴補強リブ43A、43Bは被据付面33に対して傾斜して形成される。被据付面33に対する鋭角での傾斜角度は、第1出力穴補強リブ43Aの方が第2出力穴補強リブ43Bより大きくなるように形成される。
【0059】
横側壁部21Eの外面側には、出力軸穴39Dの周縁部41と、第1中間軸穴39Aの周縁部41とのそれぞれから被据付面33と離れる側に延びる第1連結リブ65が形成される。各第1連結リブ65は、横側壁部21Eと上側壁部21Bとの角部分において繋がるように、その先端側が互いに近づく方向に延びて形成される。
【0060】
第1中間軸穴補強リブ47Aと第1出力穴補強リブ43Aは、それらの一端部の間が第1接続リブ75により接続される。第1接続リブ75は、出力軸穴39Dの軸穴リブ59の一部と、各第1連結リブ65と、第1中間軸穴39Aの軸穴リブ59の一部とにより構成される。第1接続リブ75は、被据付面33に対して外向きに凸の曲線状に形成される。
【0061】
第1出力穴補強リブ43A、第1接続リブ75、第1中間軸穴補強リブ47Aは、第2固定部35Bから第1固定部35Aに向けて各リブ43A、75、47Aが連なるように設けられる。より詳細には、これらリブ43A、75、47Aは、第2固定部35Bから第1中間軸穴39Aの周縁部41にかけて延びるアーチ状の第1仮想線L1と、第1中間軸穴39Aの周縁部41から第1固定部35Aにかけて延びるアーチ状の第2仮想線L2とに沿って各リブ43A、75、47Aが位置するように設けられる。第1仮想線L1と第2仮想線L2は、第1中間軸穴39Aの周縁部41において連なるように設けられる。また、これら仮想線L1、L2は、横側壁部21Eの各軸穴39に対して、被据付面33から遠い側を通るとともに、各軸穴39の何れかの周縁部41を通るように設けられる。本例では第1中間軸穴39Aと出力軸穴39Dの周縁部41を通るように設けられる。第1接続リブ75も、各軸穴39に対して、被据付面33から遠い側を通るように設けられることになる。
【0062】
第2中間軸穴補強リブ47Bと第2出力穴補強リブ43Bは、それらの一端部の間が第2接続リブ77により接続される。第2接続リブ77は、出力軸穴39Dの軸穴リブ59の一部と、第2リブ結合部63と、第2中間軸穴39Bの軸穴リブ59の一部とにより形成される。
【0063】
第2出力穴補強リブ43B、第2接続リブ77、第2中間軸穴補強リブ47Bは、第2固定部35Bから第1固定部35Aに向けて各リブ43B、77、47Bが連なるように設けられる。より詳細には、これらリブ43B、77、47Bは、第1固定部35Aから第2固定部35Bにかけて延びるアーチ状の第3仮想線L3に沿って各リブ43B、77、47Bが位置するように設けられる。第3仮想線L3は、横側壁部21Eの各軸穴39に対して、被据付面33に近い側を通るとともに、各軸穴39の何れかの周縁部41を通るように設けられる。本例では第2中間軸穴39Bと出力軸穴39Dの周縁部41を通るように設けられる。第2接続リブ77も、各軸穴39に対して、被据付面33に近い側を通るように設けられることになる。
【0064】
横側壁部21Eの外面側には、第1中間軸穴39Aと第2中間軸穴39Bの周縁部41の重なる位置にあるくびれ部分75から第1固定部35Aに向けて延びる第3軸穴補強リブ47Cが形成される。第3軸穴補強リブ47Cは、その一端部が第1中間軸穴39Aと第2中間軸穴39Bの軸穴リブ59に接続され、その他端部が第2中間軸穴補強リブ47Bの端部に接続される。
【0065】
横側壁部21Eの外面側には、第1中間軸穴39Aと第2中間軸穴39Bの周縁部41の重なる位置にあるくびれ部分75から第1連結リブ65に向けて延びる第2連結リブ79が形成される。第2連結リブ79は、その一端部が第1中間軸穴39Aと第2中間軸穴39Bの軸穴リブ59に接続され、その他端部が第1連結リブ65に接続される。第3軸穴補強リブ47Cと第2連結リブ79は、第1連結リブ65から各軸穴39の周縁部41の重なる位置を通り第1固定部35Aに向けて延びる第4仮想線L4に沿って各リブ47C、79が位置するように設けられる。
【0066】
横側壁部21Eの外面側には、第2中間軸穴39Bの周縁部41から第1連結リブ65に向けて延びる第3連結リブ81が形成される。第3連結リブ81は、その一端部が第2中間軸穴39Bの軸穴リブ59に接続され、その他端部が第1連結リブ65に接続される。第2連結リブ79と第3連結リブ81は、その先端側が互いに近づく方向に延びて形成される。
【0067】
以上の実施形態に係る歯車箱10によれば、第3実施形態に係る歯車箱10と同様の作用効果を得られる。また、第1接続リブ75が形成されるため、第1中間軸穴39Aや出力軸穴39Dの周縁部41に作用する荷重を、第1接続リブ75や第1中間軸穴補強リブ47A、第1出力穴補強リブ43Aにより分散して伝達し易くなり、その荷重による応力集中の発生を抑えられる。特に、第1接続リブ75は、被据付面33に対して外側に向けて凸の曲線状に形成されるため、その第1接続リブ75の近傍に作用する荷重をより効果的に分散し易くなる。また、各リブ75、47A、43Aは、アーチ状の第1仮想線L1、L2に沿って位置するように設けられるため、各リブ75、47A、43Aの近傍に作用する荷重をより効果的に分散し易くなる。
【0068】
また、第2接続リブ77が形成されるため、第2中間軸穴39Bや出力軸穴39Dの周縁部41に作用する荷重を、第2接続リブ77や、第2中間軸穴補強リブ47B、第2出力穴補強リブ43Bにより分散して伝達し易くなり、その荷重による応力集中の発生を抑えられる。特に、各リブ77、47B、43Bは、アーチ状の第3仮想線L3に沿って位置するように設けられるため、各リブ77、47B、43Bの近傍に作用する荷重をより効果的に分散し易くなる。
【0069】
また、各脚部57には、複数の軸穴39の何れかの軸穴39の周縁部41に延びるリブが前後方向Xに間隔を空けて配置される。第1脚部57Aでは、前後方向Xに間隔を空けて第1中間軸穴補強リブ47Aと第2中間軸穴補強リブ47Bとが形成される。第2脚部57Bでは、前後方向Xに間隔を空けて第1出力穴補強リブ43Aと第2出力穴補強リブ43Bが形成される。よって、各リブにより、脚部57の近傍にある軸穴39の周縁部41や脚部57の変形を効果的に抑えられる。
【0070】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示すにすぎない。また、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能である。
【0071】
上述の実施形態に係る歯車箱10は減速機に用いられるものを説明した。歯車箱10は、歯車を収納する歯車装置であれば、減速機の他に変速機等に用いられてもよい。
【0072】
上述の実施形態に係る歯車箱本体14は、横側壁部21Eの各軸穴39に挿通される各軸17〜20と、前側壁部21Cの入力軸穴25に挿通される入力軸16とが直交する直交軸減速機に用いられるものを説明した。歯車箱本体14は、入力軸穴25と各軸穴39が横側壁部21Eに形成され、各軸穴39に挿通される各軸17〜20と入力軸穴25に挿通される入力軸16が平行な平行軸減速機に用いられてもよい。また、歯車箱本体14に形成される軸穴39の数や、歯車箱本体14の各軸穴39に軸受を介して支持される軸の数も特に限定されない。