特許第6195562号(P6195562)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6195562局所使用の洗浄組成物の起泡性を改善する新規の方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6195562
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】局所使用の洗浄組成物の起泡性を改善する新規の方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20170904BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20170904BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20170904BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20170904BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
   A61K8/81
   A61Q1/14
   A61Q5/02
   A61Q19/10
   A61K8/86
【請求項の数】15
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2014-527720(P2014-527720)
(86)(22)【出願日】2012年8月24日
(65)【公表番号】特表2014-525943(P2014-525943A)
(43)【公表日】2014年10月2日
(86)【国際出願番号】FR2012051931
(87)【国際公開番号】WO2013030499
(87)【国際公開日】20130307
【審査請求日】2015年8月6日
(31)【優先権主張番号】1157699
(32)【優先日】2011年8月31日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】398057293
【氏名又は名称】ソシエテ・デクスプロワタシオン・デ・プロデュイ・プール・レ・アンデュストリー・シミック・セピック
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE D’EXPLOITATION DE PRODUITS POUR LES INDUSTRIES CHIMIQUES SEPPIC
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】エマニエル ムラ
【審査官】 石川 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−023078(JP,A)
【文献】 特表2004−517133(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/112753(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/030044(WO,A1)
【文献】 特開2002−205915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/81
A61K 8/86
A61Q 1/14
A61Q 5/02
A61Q 19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
pHが4.0以上6.5以下であり、少なくとも1つの起泡性界面活性剤を含む局所使用の洗浄配合物の起泡性を改善する方法であって、少なくとも1つの架橋剤の存在下での、部分的又は完全に塩化した2−メチル2−[(1−オキシ2−プロペニル)アミノ]1−プロパンスルホン酸である強酸官能基を有する少なくとも1つのモノマーと、各々のアルキル基の炭素原子数が1〜4のN,N−ジアルキルアクリルアミドから選ばれる少なくとも1つの中性モノマーと、少なくとも1つの式(I):
【化1】


(式中、Rは炭素原子数8〜20の直鎖又は分岐アルキルラジカルを表し、nは1以上20以下の数を表す)のモノマーとの重合に由来する有効量の架橋アニオン性高分子電解質(P)を前記局所使用の洗浄配合物に組み込むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記架橋アニオン性高分子電解質(P)が、100モル%に対して、
部分的又は完全に塩化した強酸官能基を含むモノマーに由来するモノマー単位20モル%〜80モル%と、
各々のアルキル基の炭素原子数が1〜4のN,N−ジアルキルアクリルアミドから選ばれる中性モノマーに由来するモノマー単位15モル%〜75モル%と、
先に規定した式(I)のモノマーに由来するモノマー単位0.5モル%〜5モル%と、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記架橋アニオン性高分子電解質(P)において、前記中性モノマーがN,N−ジメチルアクリルアミドであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記架橋アニオン性高分子電解質(P)において、前記式(I)のモノマーがテトラエトキシ化ラウリルメタクリレートであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記架橋アニオン性高分子電解質(P)が、トリメチロールプロパントリアクリレートで架橋した、アンモニウム塩形態で部分的に塩化した2−メチル2−[(1−オキソ2−プロペニル)アミノ]1−プロパンスルホン酸と、N,N−ジメチルアクリルアミドと、テトラエトキシ化ラウリルメタクリレートとのターポリマーであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記架橋アニオン性高分子電解質(P)が、100モル%に対して、
アンモニウム形態で部分的に塩化した2−メチル2−[(1−オキソ2−プロペニル)アミノ]1−プロパンスルホン酸に由来するモノマー単位60モル%〜80モル%と、
N,N−ジメチルアクリルアミドに由来するモノマー単位15モル%〜39.5モル%と、
テトラエトキシ化ラウリルメタクリレートに由来するモノマー単位0.5モル%〜5モル%と、
を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記局所使用の洗浄配合物が、少なくとも1つの式(II):
−O−(CH−CH−O)SO−X (II)
(式中、Rは炭素原子数6〜22の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐脂肪族炭化水素ラジカルを表し、pは1〜10の10進数を表し、Xはアルカリ金属又はアルカリ土類金属のカチオン、アンモニウムイオン、ヒドロキシエチルアンモニウムイオン、トリスヒドロキシエチルアンモニウムイオンを表す)のアニオン性起泡性界面活性剤又は式(II)の化合物の混合物を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記局所使用の洗浄配合物が、少なくとも1つの式(III):
−C(O)−NH(CH−N(R)(R)−(CH−CO (III)
(式中、Rは炭素原子数7〜21の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐脂肪族炭化水素ラジカルを表し、R及びRは互いに独立して、炭素原子数1〜4の、ヒドロキシル基で任意に置換された飽和又は不飽和の直鎖又は分岐脂肪族ラジカルを表し、qは2〜6の整数を表し、sは1又は2に等しい整数を表す)の両性起泡性界面活性剤又は式(III)の化合物の混合物を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記局所使用の洗浄配合物が、少なくとも1つの先に規定した式(II)の化合物と、少なくとも1つの先に規定した式(III)の化合物との混合物を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記局所使用の洗浄配合物が、少なくとも1つの式(IV):
−O−(S)−H (IV)
(式中、
yは1.05〜2の10進数であり、
Sはグルコース、キシロース又はアラビノースから選ばれる還元糖残基を表し、
はn−オクチルラジカル、n−デシルラジカル、n−ドデシルラジカル、n−テトラ
デシルラジカル又はn−ヘキサデシルラジカルから選ばれるラジカルを表す)の化合物又は式(IV)の化合物の混合物を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
起泡性界面活性剤と架橋アニオン性高分子電解質(P)との質量比が1/10〜40/1であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
局所使用の洗浄配合物の起泡性を改善するために用いられる組成物(C1)であって、その質量の100%に対して、
少なくとも1つの架橋剤の存在下での、部分的又は完全に塩化した2−メチル2−[(1−オキソ2−プロペニル)アミノ]1−プロパンスルホン酸である強酸官能基を有する少なくとも1つのモノマーと、各々のアルキル基の炭素原子数が1〜4のN,N−ジアルキルアクリルアミドから選ばれる少なくとも1つの中性モノマーと、少なくとも1つの式(I):
【化2】

(式中、Rは炭素原子数8〜20の直鎖又は分岐アルキルラジカルを表し、nは1以上20以下の数を表す)のモノマーとの重合に由来する少なくとも1つの架橋アニオン性高分子電解質(P)0.05質量%〜2質量%と、
アニオン性界面活性剤、非アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤によって形成される群の要素から選択される少なくとも1つの起泡性界面活性剤10質量%〜50質量%と、
部分的又は完全に塩化した遊離のα−ヒドロキシ酸及びβ−ヒドロキシ酸からなる群から選択される少なくとも1つの酸剤(A)0.01質量%〜10質量%と、
水89.94質量%〜38質量%と、
を含み、そのpHが4.0以上6.5以下であることを特徴とする、顔及び/又は身体の皮膚の洗浄、あるいは化粧落としに用いられる組成物(C1)。
【請求項13】
起泡性界面活性剤と架橋アニオン性高分子電解質(P)との質量比が1/10〜40/1であることを特徴とする、請求項12に記載の組成物(C1)。
【請求項14】
前記酸剤(A)が乳酸、クエン酸、グリコール酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸及びサリチル酸からなる群の要素から選択されることを特徴とする、請求項12又は13に記載の組成物(C1)。
【請求項15】
顔及び/又は身体の皮膚の洗浄、あるいは化粧落としへの請求項12〜14のいずれか一項に記載の組成物(C1)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧品業界及び/又は医薬品業界の分野に関する。本発明の主題は、洗浄配合物及び/又は発泡配合物の起泡性を改善する新規の方法、それを調製するための新規の組成物及び方法である。
【背景技術】
【0002】
顔、身体及び毛髪用の洗浄処方、より一般的にはシャンプー、ローション、ジェル又は液状石鹸の形態で提供される身体及び毛髪用の衛生用品は、浄化すべき身体の部位への適用時に泡沫の形成を必要とする。これは、消費者心理で考えると、泡沫の形成が洗浄効果の証拠の1つとなるためである。この泡沫の量、その安定性及びそれがもたらす快適感は、これらの配合物の商業的成功を望む際に考慮すべき重要なパラメータである。
【0003】
このため、これらの洗浄配合物は、性質がカチオン性、アニオン性、両性又は非イオン性であるかに関わらず洗浄性界面活性剤及び起泡性界面活性剤を含む。
【0004】
皮膚の表面は弱酸性、概して4.0〜6.5のpH値を有するため(pHが6.5を超える脂性肌を除く)、洗浄配合物は皮膚のpHを損ない、脂性を与えることがないよう同程度のpHを有していなくてはならない。
【0005】
顔、身体及び毛髪の洗浄用の配合物は、浄化すべき皮膚の表面への適用が効果的となるよう十分な粘稠度を有する必要がある。そのため、これらの配合物は、洗浄性界面活性剤及び起泡性界面活性剤と適合し、その粘稠度を与える増粘剤を含むことが多い。
【0006】
これらの配合物の増粘に通常使用される増粘剤には、塩化ナトリウムがある。これは適量で界面活性剤ミセルの形成をもたらし、流体の運動を抑えることにより、その粘度を増大させる。この増粘手段は安価である。しかしながら、洗浄時の泡沫はあまり安定ではなく、それを構成する気泡のサイズが大きいため、顔の洗浄時に眼との接触、したがって眼球刺激のリスクを増大させ、消費者にとって不快な眼の刺激感を引き起こす。
【0007】
植物又は生合成起源の親水コロイド、例えばキサンタンガム、カラヤガム、カラギネート(carrageenates)、アルジネート及びガラクトマンナンも、それらがもたらす増粘が皮膚用洗浄配合物中に含有される電解種の存在に影響を受けないため、化粧品業界でよく使用される増粘剤である。しかしながら、これらの配合物のテクスチャは、硬表面及び皮膚へと過度に付着するという点で「自由流動性(free-running)」であり、使用される装置の洗浄時間の増加をもたらすために調整時(on conditioning chains)、及び消費者が皮膚への適用前に把持する際の両方で欠点となる。
【0008】
直接エマルションでの重合によって調製される、任意に親水的に修飾されたメタクリル酸若しくはアクリル酸、又はメタクリル酸若しくはアクリル酸のエステルをベースとする架橋アニオン性コポリマーも化粧品に使用される。これらのコポリマーは、それぞれ「アルカリ膨潤性エマルション(Alkaline Swellable Emulsion)」(又は「ASE」)及び「疎水性アルカリ膨潤性エマルション(Hydrophobically Alkaline Swellable Emulsion)」(又は「HASE」)という名で当業者に既知である。「HASE」型の増粘剤は、2002年5月2日付けで公開された特許文献1に記載されている。しかしながら、その増粘効果は6.5以上のpHでしか満足のいくものではない。配合物のテクスチャは「ゲル状」タイプであり、この場合も消費者が皮膚への適用前に把持する際に欠点となる。
【0009】
CARBOPOL(商標)、ULTREZ(商標)10、PEMULEN(商標)TR1、PEMULEN(商標)TR2、SIMULGEL(商標)EG、SIMULGEL(商標)EPG、LUVIGEL(商標)EM、SALCARE(商標)SC91、SALCARE(商標)SC92、SALCARE(商標)SC95、SALCARE(商標)SC96、FLOCARE(商標)ET100、FLOCARE(商標)ET58、HISPAGEL(商標)、SEPIGEL(商標)305、SEPIGEL(商標)501、SEPIGEL(商標)502、SIMUGEL(商標)NS、SIMUGEL(商標)800、SIMUGEL(商標)600、SIMUGEL(商標)A、SEPIPLUS(商標)250、SEPIPLUS(商標)265、SEPIPLUS(商標)400、SEPINOV(商標)EMT 10、NOVEMER(商標)EC1、ARISTOFLEX(商標)AVC、ARISTOFLEX(商標)HBM、RAPITHIX(商標)A60、RAPITHIX(商標)A100、COSMEDIA SP及びSTABILEZE(商標)06という名で販売されている、水溶性不飽和モノマー、例えばアクリル酸又はアクリル酸の誘導体、アクリルアミド又はアクリルアミドの誘導体、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸の架橋及び/又は分岐ホモポリマー又はコポリマーである、架橋又は分岐アニオン性高分子電解質の使用も当業者に既知である。これらの架橋又は分岐アニオン性高分子電解質は、逆エマルションへのラジカル重合によって得られる逆ラテックスの形態、又は沈殿重合若しくは逆ラテックスの微粒化によって得られる粉末の形態である。しかしながら、増粘剤としてのその使用が、皮膚用洗浄配合物中に含有される電解種の存在下での増粘に十分に効果的であることは証明されていない。
【0010】
特許文献2に記載されているような架橋又は分岐イオン性高分子電解質は、皮膚用洗浄配合物を効果的に増粘するが、起泡性界面活性剤の存在下、7.0以上のpHでのその使用は、十分に細かい泡沫を得ることを可能にしない。
【0011】
特許文献3は、2−メチル2−[(1−オキソ2−プロペニル)アミノ]1−プロパンスルホン酸と、少なくとも1つの酸素原子又は窒素原子を含む分子量が500g/mol未満の不飽和オレフィンモノマー及び少なくとも1つのマクロマーとのラジカル重合によって得られるコポリマーを記載している。特許文献3は、特許文献2に記載されるような架橋又は分岐アニオン性高分子電解質を含む化粧品組成物も、起泡性界面活性剤も、泡沫と眼との接触のリスクが抑えられるように少量の泡沫を発生する洗浄用化粧品組成物の調製への上記架橋又は分岐アニオン性高分子電解質の使用も開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2002/34793号
【特許文献2】国際公開第2011/030044号
【特許文献3】米国特許第7,025,973号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、皮膚の毛穴を浄化するか、又は不純物、過剰の皮脂、死細胞若しくは化粧の痕跡を皮膚から除去することを目的とする顔の洗浄の特定の場合では、洗浄配合物が少量の泡沫を発生し、この泡沫を構成する気泡が安定であり、消費者にとって不快な眼の刺激感を引き起こす眼との接触、したがって眼球刺激のリスクが抑えられるように洗浄時に十分に細かい平均サイズを有することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、これらの欠点の克服を試みるために、本発明者らは、消費者が把持することが容易であり、皮膚、より具体的には顔の洗浄動作への使用時に細かい安定な泡沫を発
生する、pHが4.0以上6.5以下、より具体的には4.5以上6.0以下の洗浄配合物を含む新規の溶液を開発しようとした。
【0015】
したがって、第1の態様によると、本発明の主題は、pHが4.0以上6.5以下であり、少なくとも1つの起泡性界面活性剤を含む局所使用の洗浄配合物の起泡性を改善する方法であって、少なくとも1つの架橋剤の存在下での、部分的又は完全に塩化した2−メチル2−[(1−オキソ2−プロペニル)アミノ]1−プロパンスルホン酸である強酸官能基を有する少なくとも1つのモノマーと、各々のアルキル基の炭素原子数が1〜4のN,N−ジアルキルアクリルアミドから選ばれる少なくとも1つの中性モノマーと、少なくとも1つの式(I):
【化1】
(式中、Rは炭素原子数8〜20の直鎖又は分岐アルキルラジカルを表し、nは1以上20以下の数を表す)のモノマーとの重合に由来する有効量の架橋アニオン性高分子電解質(P)を上記局所使用の洗浄配合物に組み込むことを特徴とする、方法である。
【0016】
「起泡性界面活性剤」とは、上に規定した方法の定義において、イオン性、カチオン性、両性又は非イオン性に関わらず、局所的に許容可能な任意の起泡性界面活性剤を意味する。
【0017】
架橋アニオン性高分子電解質(P)の有効量は、以下のような量を意味する:
洗浄配合物によって形成される泡沫中に存在する少なくとも70%の気泡の平均径が、該泡沫の発生の瞬間から10分後に150マイクロメートル(μm)以下である、
洗浄配合物によって形成される泡沫中に存在する30%以下の気泡の平均径が、該泡沫の発生の瞬間から10分後に150μm以上450μm以下である、及び、
6回転/分の速度でブルックフィールドLVT型の粘度計を用いて20℃の温度で測定される調製された洗浄配合物の粘度が、2000mPa・s以上30000mPa・s以下、より具体的には2000mPa・s以上20000mPa・s以下である。
【0018】
上に規定した方法の定義において使用される「局所使用の」という表現は、上記局所使用の洗浄配合物が、化粧品、皮膚用化粧品(dermocosmetic)、皮膚用医薬品若しくは医薬品配合物の場合の直接的適用であるか、又は例えば皮膚若しくは粘膜と接触させることを意図する布地若しくは紙ワイプ若しくは生理用品の形態の身体用衛生用品の場合の間接的適用であるかに関わらず、身体及び顔の皮膚、毛髪、頭皮又は粘膜への適用によって使用されることを意味する。
【0019】
「架橋アニオン性高分子電解質」とは、上に規定した方法の定義において、水不溶性であるが、水膨潤性であるため、化学ゲルをもたらす3次元格子の状態の非直鎖架橋アニオン性高分子電解質を意味する。
【0020】
「部分的に塩化した又は完全に塩化した」とは、上に規定した方法の定義において、それを組み込むモノマーの上記強酸官能基が概して、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩若しくはカリウム塩の形態、又はアンモニウム塩の形態で部分的又は完全に塩化していることを意味する。
【0021】
上に記載の方法及び本発明の主題との関連では、使用される上記架橋アニオン性高分子電解質(P)は概して、5モル%〜95モル%、より具体的には10モル%〜90モル%、特に20モル%〜80モル%、より特には60モル%〜80モル%の強酸官能基モノマーを含む。
【0022】
本発明の主題である方法との関連では、先に規定した上記架橋アニオン性高分子電解質(P)は、より具体的には各々のアルキル基の炭素原子数が1〜4のN,N−ジアルキルアクリルアミドから選ばれる中性モノマーを4.9モル%〜90モル%、より具体的には9.5モル%〜85モル%、特に15モル%〜75モル%、より特には15モル%〜39.5モル%含む。
【0023】
本発明の主題である上に規定した方法に使用される上記架橋アニオン性高分子電解質(P)において、それを組み込むモノマーの強酸官能基は、とりわけ部分的又は完全に塩化したスルホン酸官能基である。
【0024】
上に規定した方法の具体的な態様によると、有効量の架橋アニオン性高分子電解質(P)とは、100質量%の洗浄配合物について、上記アニオン性高分子電解質(P)の質量比が0.1%〜2.0%、より具体的には0.1質量%〜1.5質量%、更により具体的には0.1質量%〜1質量%であることを意味する。
【0025】
各々のアルキル基の炭素原子数が1〜4のN,N−ジアルキルアクリルアミドから選ばれる中性モノマーは、とりわけN,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド及びN,N−ジプロピルアクリルアミドから選ばれる。
【0026】
本発明との関連では、先に規定した上記架橋アニオン性高分子電解質(P)は、0.1モル%〜10モル%の式(I)のモノマー、より具体的には0.5モル%〜5モル%の式(I)のモノマーを含む。
【0027】
本発明の主題である方法に使用される上記架橋アニオン性高分子電解質(P)中に存在する式(I)のモノマーにおいて、炭素原子数8〜20の直鎖又は分岐アルキルラジカルとは、より具体的にはRについて、以下のものを意味する:
直鎖第一級アルコールに由来するラジカル、例えばオクチルラジカル、デシルラジカル、ウンデシルラジカル、ドデシルラジカル、トリデシルラジカル、テトラデシルラジカル、ペンタデシルラジカル、ヘキサデシルラジカル、ヘプタデシルラジカル、オクタデシルラジカル、ノナデシルラジカル若しくはエイコシルラジカル、又は、
一般式:
CH−(CH−CH[CH−(CHP−2]−CHOH
(式中、pは2〜9の整数を表す)に従う分岐1−アルカノールであるゲルベアルコール(Guerbet alcohols)に由来するラジカル、例えば2−エチルヘキシルラジカル、2−プロピルヘプチルラジカル、2−ブチルオクチルラジカル、2−ペンチルノニルラジカル、2−ヘキシルデシルラジカル若しくは2−オクチルドデシルラジカル、又は、
一般式:
CH−CH(CH)−(CH−CHOH
(式中、mは2〜16の整数を表す)に従うイソアルカノールに由来するラジカル、例えば4−メチルペンチルラジカル、5−メチルヘキシルラジカル、6−メチルヘプチルラジカル、15−メチルペンタデシルラジカル、若しくは16−メチルヘプタデシルラジカル、若しくは2−ヘキシルオクチルラジカル、2−オクチルデシルラジカル、若しくは2−ヘキシルドデシルラジカル。
【0028】
具体的な態様によると、本発明の主題は、上記架橋アニオン性高分子電解質(P)が、
100モル%に対して、
部分的又は完全に塩化した強酸官能基を含むモノマーに由来するモノマー単位20モル%〜80モル%と、
各々のアルキル基の炭素原子数が1〜4のN,N−ジアルキルアクリルアミドから選ばれる中性モノマーに由来するモノマー単位15モル%〜75モル%と、
先に規定した式(I)のモノマーに由来するモノマー単位0.5モル%〜5モル%と、を含むことを特徴とする、先に記載した方法である。
【0029】
本発明の別の具体的な態様によると、その主題は、上記架橋アニオン性高分子電解質(P)において、強酸官能基を有する上記モノマーが、部分的に塩化した又は完全に塩化した2−メチル2−[(1−オキソ2−プロペニル)アミノ]1−プロパンスルホン酸、より具体的にはアルカリ金属塩、例えばナトリウム塩若しくはカリウム塩の形態、又はアンモニウム塩の形態で部分的に塩化した又は完全に塩化した2−メチル2−[(1−オキソ2−プロペニル)アミノ]1−プロパンスルホン酸であることを特徴とする、先に記載した方法である。
【0030】
本発明の具体的な態様によると、その主題は、上記架橋アニオン性高分子電解質(P)において、上記中性モノマーがN,N−ジメチルアクリルアミドであることを特徴とする、先に記載した方法である。
【0031】
本発明の具体的な態様によると、その主題は、上記架橋アニオン性高分子電解質(P)において、先に規定した上記式(I)のモノマーについて、Rが炭素原子数12〜18のアルキルラジカルを表すことを特徴とする、先に記載した方法である。
【0032】
別の具体的な態様によると、本発明の主題は、上記架橋アニオン性高分子電解質(P)において、先に規定した上記式(I)のモノマーについて、Nが3〜20の整数を表すことを特徴とする、先に規定した方法である。
【0033】
更により具体的な態様によると、本発明の主題は、上記架橋アニオン性高分子電解質(P)において、上記式(I)のモノマーがテトラエトキシ化ラウリルメタクリレートであることを特徴とする、先に規定した方法である。
【0034】
更により具体的な態様によると、本発明の主題は、架橋アニオン性高分子電解質(P)中に含まれる式(I)のモノマーがエイコサエトキシ化ステアリルメタクリレートである、先に規定した方法である。
【0035】
別の具体的な態様によると、本発明の主題は、上記架橋アニオン性高分子電解質(P)が、使用されるモノマーに対して表されるモル比が0.005%〜1%、より具体的には0.01%〜0.5%、特に0.01%〜0.25%のジエチレン化合物又はポリエチレン化合物で架橋している、先に規定した方法である。架橋剤は、とりわけエチレングリコールジメタクリレート、テトラアリルオキシエタン、エチレングリコールジアクリレート、ジアリル尿素、トリアリルアミン、トリメチロールプロパントリアクリレート若しくはメチレンビス(アクリルアミド)、又はこれらの化合物の混合物から選ばれる。
【0036】
本発明の主題である方法に使用される架橋アニオン性高分子電解質(P)は、錯化剤、移動剤又は鎖制限剤(chain-limiting agents)等の様々な添加剤を含んでいてもよい。
【0037】
具体的な態様によると、本発明の主題は、上記架橋アニオン性高分子電解質(P)が、トリメチロールプロパントリアクリレートで架橋した、アンモニウム形態で部分的に塩化した2−メチル2−[(1−オキソ2−プロペニル)アミノ]1−プロパンスルホン酸と
、N,N−ジメチルアクリルアミドと、テトラエトキシ化ラウリルメタクリレートとのターポリマー、又はトリメチロールプロパントリアクリレートで架橋した、アンモニウム塩の形態で部分的に塩化した2−メチル2−[(1−オキソ2−プロペニル)アミノ]1−プロパンスルホン酸と、N,N−ジメチルアクリルアミドと、エイコサエトキシ化ステアリルメタクリレートとのターポリマーから選ばれる、先に記載した方法である。
【0038】
更により具体的な態様によると、本発明の主題は、上記架橋アニオン性高分子電解質(P)が、トリメチロールプロパントリアクリレートで架橋した、アンモニウム形態で部分的に塩化した2−メチル2−[(1−オキソ2−プロペニル)アミノ]1−プロパンスルホン酸と、N,N−ジメチルアクリルアミドと、テトラエトキシ化ラウリルメタクリレートとのターポリマーである、先に記載した方法である。
【0039】
更により具体的な態様によると、本発明の主題は、上記架橋アニオン性高分子電解質(P)が、100モル%に対して、
アンモニウム形態で部分的に塩化した2−メチル2−[(1−オキソ2−プロペニル)アミノ]1−プロパンスルホン酸に由来するモノマー単位60モル%〜80モル%と、
N,N−ジメチルアクリルアミドに由来するモノマー単位15モル%〜39.5モル%と、
テトラエトキシ化ラウリルメタクリレートに由来するモノマー単位0.5モル%〜5モル%と、
を含む、先に記載した方法である。
【0040】
上に規定した本発明の主題である方法では、pH4.0以上6.5以下の局所使用の洗浄配合物中の架橋アニオン性高分子電解質(P)と関連付けることができるアニオン性界面活性剤として、とりわけ以下の化合物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩及びアミノアルコール塩を挙げることができる:アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルアミドエーテル硫酸塩、アルキルアリールポリエーテル硫酸塩、モノグリセリド硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアミドスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルカルボン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルエーテルスルホコハク酸塩、アルキルアミドスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、アルキルサルコシン塩、アシルイセチオン酸塩、N−アシルタウリン酸塩及びアシルラクチル酸塩。アニオン性界面活性剤として、リポアミノ酸、リポタンパク質、リポペプチド、リポタンパク質の誘導体、タンパク質の誘導体、任意に水素化されたコプラ油の脂肪酸塩及び酸性塩を挙げることもできる。
【0041】
本発明のより具体的な態様によると、本発明の主題は、局所使用の洗浄配合物が、少なくとも1つの式(II):
−O−(CH−CH−O)SO−X (II)
(式中、Rは炭素原子数6〜22の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐脂肪族炭化水素ラジカルを表し、pは1〜10、好ましくは2〜4の10進数を表し、Xはアルカリ金属又はアルカリ土類金属のカチオン、アンモニウムイオン、ヒドロキシエチルアンモニウムイオン、トリス(ヒドロキシエチル)アンモニウムイオンを表す)のアニオン性起泡性界面活性剤又は式(II)の化合物の混合物を含む、先に記載した方法である。
【0042】
上に規定した式(II)において、Xは例えばナトリウムイオン、マグネシウムイオン又はアンモニウムイオンを表す。
【0043】
本発明の主題である上に規定した方法では、pH4.0以上6.5以下の局所使用の洗浄配合物中の架橋アニオン性高分子電解質(P)と関連付けることができる両性界面活性
剤として、とりわけアルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、スルタイン、アルキルアミドアルキルスルホベタイン、イミダゾリンの誘導体、ホスホベタイン、両性ポリアセテート及び両性プロピオネートが挙げられる。
【0044】
本発明のより具体的な態様によると、本発明の主題は、局所使用の洗浄配合物が、少なくとも1つの式(III):
−C(O)−NH(CH−N(R)(R)−(CH−CO (III)
(式中、Rは炭素原子数7〜21の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐脂肪族炭化水素ラジカルを表し、R及びRは互いに独立して、炭素原子数1〜4の、ヒドロキシル基で任意に置換された飽和又は不飽和の直鎖又は分岐脂肪族ラジカルを表し、qは2〜6の整数を表し、sは1又は2に等しい整数を表す)の両性起泡性界面活性剤又は式(III)の化合物の混合物を含む、先に記載した方法である。
【0045】
上に規定した式(III)において、R−C(O)−は例えばオクタノイルラジカル、デカノイルラジカル、ラウロイルラジカル又はココイルラジカルを表す。
【0046】
上に規定した式(III)において、qは例えば3に等しい。
【0047】
上に規定した式(III)において、R及びRはメチルラジカルを表す。
【0048】
本発明のより具体的な態様によると、その主題は、式(III)の両性起泡性界面活性剤がコカミドプロピルベタインである、先に規定した方法である。
【0049】
本発明の別の具体的な態様によると、その主題は、局所使用の洗浄配合物が、少なくとも1つの先に規定した式(II)の化合物と、少なくとも1つの先に規定した式(III)の化合物との混合物を含む、先に記載した方法である。
【0050】
本発明の主題である上に規定した方法では、pH4.0以上6.5以下の局所使用の洗浄配合物中の架橋アニオン性高分子電解質(P)と関連付けることができる非イオン性界面活性剤として、とりわけ炭素原子数8〜16の脂肪アルコールのエトキシ化誘導体、炭素原子数8〜16の脂肪酸のエトキシ化誘導体、炭素原子数8〜16の脂肪酸エステルのエトキシ化誘導体、炭素原子数8〜16のモノグリセリドのエトキシ化誘導体、ソルビタンのエトキシ化誘導体、マンニタンのエトキシ化誘導体、アルキルポリグリコシド、リシン油の誘導体、ポリソルベート、コプラアミド(copra amides)、N−アルキルアミン及びアミンオキシドが挙げられる。
【0051】
非イオン性界面活性剤である上に挙げた非イオン性起泡性界面活性剤としては、より具体的には式(IV):
−O−(S)−H (IV)
(式中、yは1〜5の10進数を表し、Sは還元糖残基を表し、Rは炭素原子数8〜16、好ましくは炭素原子数8〜14の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐アルキルラジカルを表す)の化合物、又は式(IV)の化合物の混合物がある。
【0052】
先に規定した式(IV)の定義において、yは残基Sの平均重合度を表す10進数である。yが整数である場合、(S)はランクyの残基Sのポリマー残基である。yが10進数である場合、式(IV)は化合物:
−O−S−H + a−O−(S)−H + a−O−(S)−H + ... + a−O−(S)−H
(qは1〜10の整数を表す)の以下のa、a、a、aのモル比での混合物であ
る:
【数1】
【0053】
本発明の主題である上に規定した方法では、式(IV)の化合物の定義において、yは1.05〜5、より具体的には1.05〜2である。
【0054】
上に規定した式(IV)において、Rは例えばn−オクチルラジカル、n−デシルラジカル、n−ドデシルラジカル、n−ドデシルラジカル又はn−テトラデシルラジカルを表す。
【0055】
「還元糖」とは、式(IV)の定義において、参考文献"Biochemistry", Daniel Voet/Judith G. Voet, p. 250, John Wiley & Sons, 1990に規定された、アノマー炭素とアセタール基の酸素との間に確立された任意のグリコシド結合を構造中に有しないサッカリド誘導体を意味する。オリゴマー構造(S)は、光学異性、幾何異性又は位置異性に関わらず任意の異性形態であってもよく、異性体の混合物であってもよい。
【0056】
上に規定した式(IV)において、R−O−基はサッカリド残基のアノマー炭素によってSに結合して、アセタール官能基を形成する。
【0057】
本発明のより具体的な態様によると、その主題は、局所使用の洗浄配合物が、少なくとも1つの式(IV)(式中、yは1.05〜2の10進数であり、Sはグルコース、キシロース又はアラビノースから選ばれる還元糖残基を表し、Rはn−オクチルラジカル、n−デシルラジカル、n−ドデシルラジカル、n−テトラデシルラジカル又はn−ヘキサデシルラジカルから選ばれるラジカルを表す)の化合物又は式(IV)の化合物の混合物を含む、先に規定した方法である。
【0058】
本発明の別の具体的な態様によると、その主題は、起泡性界面活性剤と架橋アニオン性高分子電解質(P)との質量比が1/10〜40/1、より具体的には1/1〜40/1、更により具体的には4/1〜40/1であることを特徴とする、先に規定した方法である。
【0059】
本発明の別の主題は、組成物(C1)であって、その質量の100%に対して、
少なくとも1つの架橋剤の存在下での、部分的又は完全に塩化した2−メチル2−[(1−オキソ2−プロペニル)アミノ]1−プロパンスルホン酸である強酸官能基を有する少なくとも1つのモノマーと、各々のアルキル基の炭素原子数が1〜4のN,N−ジアルキルアクリルアミドから選ばれる少なくとも1つの中性モノマーと、少なくとも1つの式(I):
【化2】
(式中、Rは炭素原子数8〜20の直鎖又は分岐アルキルラジカルを表し、nは1以上20以下の数を表す)のモノマーとの重合に由来する少なくとも1つの架橋アニオン性高分子電解質(P)0.05質量%〜2質量%と、
アニオン性界面活性剤、非アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤によって形成される群の要素から選択される少なくとも1つの起泡性界面活性剤10質量%〜50質量%と、
部分的又は完全に塩化した遊離のα−ヒドロキシ酸及びβ−ヒドロキシ酸からなる群から選択される少なくとも1つの酸剤(A)0.01質量%〜10質量%と、
水89.94質量%〜38質量%と、
を含み、そのpHが4.0以上6.5以下であることを特徴とする、組成物(C1)である。
【0060】
具体的な態様によると、本発明の主題である組成物(C1)では、先に規定した高分子電解質(P)において、中性モノマーはN,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド及びN,N−ジプロピルアクリルアミドから選ばれる。
【0061】
より具体的な態様によると、本発明の主題である組成物(C1)では、先に規定した高分子電解質(P)において、中性モノマーはN,N−ジメチルアクリルアミドである。
【0062】
具体的な態様によると、本発明の主題である組成物(C1)では、起泡性界面活性剤は、規定した式(II)の少なくとも1つの化合物若しくは上に規定した式(III)の少なくとも1つの化合物、又は式(II)の少なくとも1つの化合物と式(III)の少なくとも1つの化合物との混合物を含む。
【0063】
別の具体的な態様によると、先に規定した組成物(C1)は、発泡剤と架橋アニオン性高分子電解質(P)との質量比が1/10〜40/1、より具体的には1/1〜40/1、更により具体的には4/1〜40/1であることを特徴とする。
【0064】
「部分的又は完全に塩化した」とは、とりわけ酸剤(A)について、ナトリウム塩若しくはカリウム塩等のアルカリ塩、アルカリ土類塩又はアンモニウム塩の形態で部分的又は完全に塩化していることを意味する。
【0065】
「α−ヒドロキシ酸」とは、とりわけ本発明の主題である組成物(C1)の定義において、式(V):
C(OH)COOH (v)
(式中、R及びRは互いに独立して、水素原子、メチルラジカル、−CH(OH)COOHラジカル、−CHCOOHラジカル、−(CHOH)−CHOHラジカル(ここで、kは1〜6の整数を表す)又はフェニルラジカルを表す)の化合物を意味する。
【0066】
β−ヒドロキシ酸とは、とりわけ本発明の主題である組成物(C1)の定義において、3−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸、カルニチン又はサリチル酸、及び式(VI):
【化3】
(式中、Rは炭素原子数2〜22の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐脂肪族炭化水素ラジカル、例えば2−オクタノイルオキシ安息香酸、2−デカノイルオキシ安息香酸又は2−
ドデカノイルオキシ安息香酸、及び対応するその塩を表す)のサリチル酸のアルキル化誘導体を意味する。
【0067】
具体的な態様によると、先に規定した組成物(C1)は、酸剤(A)が乳酸、クエン酸、グリコール酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸又はサリチル酸から選ばれることを特徴とする。
【0068】
本発明の主題である組成物(C1)は、とりわけ溶液、水性連続相を有するエマルション若しくはマイクロエマルション、油性連続相を有するエマルション若しくはマイクロエマルション、ゲル若しくは泡沫の形態、又はエアロゾルの形態である。
【0069】
概して、本発明の主題である組成物(C1)は、先に規定した上記起泡性界面活性剤及び上記酸剤(A)並びに水に加えて、局所使用の配合物、とりわけ化粧品、皮膚用化粧品、医薬品又は皮膚用医薬品の業界で一般的に使用されるアジュバント及び/又は添加剤を含む。本発明の対象である組成物(C1)中に存在する可能性があるアジュバントとして、安定化剤、塗膜形成化合物、溶媒及び共溶媒、ヒドロトロープ剤(hydrotropic agents)、可塑剤、脂肪、油、乳化剤及び共乳化剤、乳白剤、パール化剤、過脂肪剤、金属イオン封鎖剤、キレート剤、酸化防止剤、香料、防腐剤、調整剤、毛髪及び皮膚の脱色を目的とする漂白剤、皮膚若しくは毛髪に対する治療作用をもたらすことを意図する活性成分、無機充填剤若しくは顔料、視覚効果をもたらす若しくは活性剤の封入を目的とする粒子、角質除去粒子、テクスチャ剤、光学増白剤又は防虫剤を挙げることができる。
【0070】
本発明の対象である組成物(C1)と関連付けることができる溶媒及び共溶媒として、とりわけグリコール、例えばブチレングリコール、ヘキシレングリコール、カプリリルグリコール又は1,2−オクタンジオール、ペンチレングリコール又は1,2−ペンタンジオール、ペンチレングリコール、モノプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、ブチルジグリコール又は分子量が200g・mol−1〜8000g・mol−1のポリエチレングリコール;アルコール、例えばエタノール又はイソプロパノール;ポリオール、例えばグリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、エリトリトール、キシリトール、ソルビトール又は2−メチル−1,3−プロパンジオール;アルコキシル化ポリオールが挙げられる。
【0071】
本発明の対象である組成物(C1)と関連付けることができる乳化剤として、とりわけ炭素原子数16〜22の脂肪酸、炭素原子数16〜22のエトキシ化脂肪酸、脂肪酸とソルビトールとのエステル、炭素原子数16〜22のポリグリセロールエステル、炭素原子数16〜22のエトキシ化脂肪アルコール、炭素原子数16〜22のスクロースエステル、アルキル鎖の炭素原子数が16〜22のアルキルポリグリコシド、硫酸化及びリン酸化脂肪アルコール、又は仏国特許出願公開第2668080号、同第2734496号、同第2756195号、同第2762317号、同第2784680号、同第2784904号、同第2791565号、同第2790977号、同第2807435号、同第2804432号、同第2830774号及び同第2830445号に記載のアルキルポリグリコシドと脂肪アルコールとの混合物、アルキルポリグリコシドから選ばれる乳化界面活性剤の組合せ、アルキルポリグリコシドと脂肪アルコールとの組合せ、仏国特許出願公開第2852257号、同第2858554号、同第2820316号及び同第2852258号で使用されるポリグリコール又はポリグリセロールのポリヒドロキシステアレート等のポリグリセロール又はポリグリコールのエステル又はポリオールが挙げられる。
【0072】
本発明の対象である組成物(C1)と関連付けることができる乳白剤及び/又はパール化剤として、とりわけナトリウム又はマグネシウムパルミテート又はステアレート又はヒドロキシステアレート、エチレン又はポリエチレングリコールモノステアレート又はジス
テアレート、脂肪アルコール、MONTOPOL(商標)OP1という名でSEPPIC社から販売されているスチレンアクリレートコポリマー等のスチレンのホモポリマー及びコポリマーが挙げられる。
【0073】
本発明の対象である組成物(C1)中に任意に存在する油の例としては、以下のものが挙げられる:
鉱油、例えばパラフィン油、ワセリン油、イソパラフィン又は白色鉱油、
動物起源の油、例えばスクアレン又はスクアラン、
植物油、例えばフィトスクアラン、甘扁桃油、コプラ油、リシン油、ホホバ油、オリーブ油、菜種油、落花生油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、トウモロコシ胚芽油、大豆油、綿実油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、月見草油、キビ油、大麦油、ライ麦油、ヒマワリ油、ヤマモモ油、トケイソウ油、ヘーゼルナッツ油、ヤシ油、シアバター、杏仁油、カロフィラム油、シシンブリウム油(sisymbrium oil)、アボカド油、カレンデュラ油、又は花若しくは野菜に由来する油、
エトキシ化植物油、
合成油、例えばブチルミリステート、プロピルミリステート、セチルミリステート、イソプロピルパルミテート、ブチルステアレート、ヘキサデシルステアレート、イソプロピルステアレート、オクチルステアレート、イソセチルステアレート、ドデシルオレエート、ヘキシルラウレート、プロピレングリコールジカプリレート等の脂肪酸エステル、イソプロピルラノレート、イソセチルラノレート等のラノリン酸に由来するエステル、グリセロールトリヘプタノエート等の脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリド、アルキルベンゾエート、水素化油、ポリアルファオレフィン、ポリイソブテン等のポリオレフィン、イソヘキサデカン、イソドデカン等の合成イソアルカン、又は過フッ化油、並びに、
シリコーン油、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミンで修飾されたシリコーン、脂肪酸で修飾されたシリコーン、アルコールで修飾されたシリコーン、アルコール及び脂肪酸で修飾されたシリコーン、ポリエーテル基で修飾されたシリコーン、修飾エポキシシリコーン、フッ素化基で修飾されたシリコーン、環状シリコーン並びにアルキル基で修飾されたシリコーン。
【0074】
本発明の主題である方法を実施する配合物中に任意に存在する別の脂肪としては、脂肪アルコール又は脂肪酸;蜜ろう、カルナウバろう、キャンデリラろう、オーリクリろう(ouricuri wax)、日本ろう、コルク繊維ろう、サトウキビろう、パラフィンろう、亜炭ろう、微結晶ろう、ラノリンろう等のろう;オゾケライト;ポリエチレンろう、シリコーンろう;植物ろう;常温で固体の脂肪アルコール及び脂肪酸;常温で固体のグリセリドを挙げることができる。
【0075】
本発明の主題である組成物(C1)中に存在するα−ヒドロキシ酸及びβ−ヒドロキシ酸以外の活性成分の例としては、ビタミン及びその誘導体、とりわけそのエステル、例えばレチノール(ビタミンA)及びそのエステル(例えばレチニルパルミテート)、アスコルビン酸(ビタミンC)及びそのエステル(例えばマグネシウムアスコルビルホスフェート)、アスコルビン酸糖誘導体(例えばアスコルビルグルコシド)、トコフェロール(ビタミンE)及びそのエステル(例えばトコフェロールアセテート)、ビタミンB3又はB10(ナイアシンアミド及びその誘導体);皮膚の美白作用又は脱色素作用を示す化合物、例えばSEPIWHITE(商標)MSH、アルブチン、コウジ酸、ハイドロキノン、VEGEWHITE(商標)、GATULINE(商標)、SYNERLIGHT(商標)、BIOWHITE(商標)、PHYTOLIGHT(商標)、DERMALIGHT(商標)、CLARISKIN(商標)、MELASLOW(商標)、DERMAWHITE(商標)、ETHIOLINE、MELAREST(商標)、GIGAWHITE(商標)、ALBATINE(商標)、LUMISKIN(商標);鎮静作用を示す化合物
、例えばSEPICALM(商標)S、アラントイン及びビサボロール;抗炎症剤;保湿作用を示す化合物、例えば尿素、ヒドロキシウレア、多糖、グリセロール、ポリグリセロール、AQUAXYL(商標)、グリセロールグルコシド;ポリフェノールの抽出物、例えばブドウ抽出物、マツ抽出物、ワイン抽出物、オリーブ抽出物;痩身作用又は脂肪分解作用を示す化合物、例えばカフェイン又はその誘導体、ADIPOSLIM(商標)、ADIPOLESS(商標);N−アシル化タンパク質;N−アシル化ペプチド、例えばMATRIXIL(商標);N−アシル化アミノ酸;N−アシル化タンパク質の部分加水分解物;アミノ酸;ペプチド;タンパク質の完全加水分解物;ダイズ抽出物、例えばRaffermine(商標);コムギ抽出物、例えばTENSINE(商標)又はGLIADINE(商標);植物抽出物、例えばタンニンに富んだ植物抽出物、イソフラボンに富んだ植物抽出物又はテルペンに富んだ植物抽出物;淡水藻又は海藻の抽出物;一般的にサンゴ等の海産抽出物;精油ろう(essential waxes);細菌抽出物;鉱物、例えばカルシウム、マグネシウム、銅、コバルト、亜鉛、リチウム又はマンガンの誘導体;銀塩又は金塩;セラミド;リン脂質;抗菌作用又は浄化作用を示す化合物、例えばLIPACIDE(商標)C8G、LIPACIDE(商標)UG、SEPICONTROL(商標)A5;OCTOPIROX(商標)又はSENSIVA(商標)SC50;活力化特性又は刺激特性を示す化合物、例えばSEPITONIC(商標)M3又はPhysiogenyl(商標)、パンテノール及びその誘導体、例えばSEPICAP(商標)MP;アンチエイジング活性剤、例えばSEPILIFT(商標)DPHP、LIPACIDE(商標)PVB、SEPIVINOL(商標)、SEPIVITAL(商標)、MANOLIVA(商標)、PHYTO−AGE(商標)、TIMECODE(商標);SURVICODE(商標);アンチフォトエイジング(anti-photoageing)活性剤;真皮表皮接合部の完全性を保護する活性剤;細胞外基質成分の合成を増大させる活性剤、例えばコラーゲン、エラスチン、グリコサミノグリカン;サイトカイン等の化学的細胞伝達に有利に作用する活性剤又はインテグリン等の物理的細胞伝達に有利に作用する活性剤;皮膚に対して「熱」感を生じる活性剤、例えば皮膚微小循環の活性化因子(例えばニコチネート)又は皮膚に対して「冷」感を生じる生成物(例えばメントール及びその誘導体);皮膚微小循環を改善する活性剤、例えば静脈強化剤(veinotonics);排出活性剤;充血除去目的の活性剤、例えばイチョウ(ginko biloba)、アイビー、インドトチノキ、タケ、ルスカス(ruscus)、ナギイカダ、ツボクサ(Centalla asiatica)、ヒバマタ(wrack)、ローズマリー又はヤナギを挙げることができる。
【0076】
本発明の別の主題は、先に規定した組成物(C1)を調製する方法であって、
上記起泡性界面活性剤、上記酸剤(A)及び水を撹拌下で混合する工程(a)と、
工程(a)で調製された組み合わせを、上記架橋アニオン性高分子電解質(P)と撹拌下で混合する工程(b)と、
を含むことを特徴とする、方法である。
【0077】
本発明の主題である方法の工程a)及びb)は、概して20℃〜60℃、より具体的には20℃〜40℃の温度で、アンカー型の羽根を備える撹拌装置を用いて機械的撹拌下で、50回転/分〜600回転/分、より具体的には50回転/分〜300回転/分の撹拌速度で行われる。
【0078】
最後の態様によると、本発明の主題は、顔及び/又は身体の皮膚の洗浄及び/又は化粧落としへの先に規定した組成物(C1)の使用、より具体的にはにきび及び/又は毛穴の黒ずみ及び/又は面皰の美容処置への先に規定した使用である。
【0079】
以下の実施例は本発明を説明するが、本発明を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0080】
実施例1:
1.1. トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)で架橋したアンモニウム2−メチル2−[(1−オキソ2−プロペニル)アミノ]1−プロパンスルホネートと、N,N−ジメチルアクリルアミドと、テトラエトキシ化ラウリルメタクリレートとのターポリマー[AMPS/DMAM/MAL(40E)77.4/19.2/3.4モル]の調製[本発明による実施例]。
592gのtert−ブタノール/水混合物(容量で97.5/2.5)中15質量%のアンモニウム2−メチル2−[(1−オキソ2−プロペニル)アミノ]1−プロパンスルホネートの水溶液、10.1gのN,N−ジメチルアクリルアミド、4.2gのテトラエトキシ化ラウリルメタクリレート及び0.75gのトリメチロールプロパントリアクリレートを、25℃に維持した反応器に撹拌下で投入する。
【0081】
溶液の良好な均質化を達成するのに十分な時間の後、溶液を70℃に加熱した窒素のバブリングによって脱酸素化する。次いで、0.42gの過酸化ジラウロイルを添加した後、反応媒体を70℃でおよそ60分間、続いて80℃で2時間維持する。
【0082】
冷却後、重合時に形成された粉末を濾過し、乾燥させて、所望の生成物を得る。これを以下、高分子電解質1と称する。
【0083】
1.2. トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)で架橋したアンモニウム2−メチル2−[(1−オキソ2−プロペニル)アミノ]1−プロパンスルホネートと、2−ヒドロキシエチルアクリレートと、テトラエトキシ化ラウリルメタクリレートとのターポリマー[AMPS/HEA/MAL(40E)77.4/19.2/3.4モル]の調製[比較例]。
上記実施例1.1に記載の方法の操作条件を用いて、77.4モル当量のアンモニウム2−メチル2−[(1−オキソ2−プロペニル)アミノ]1−プロパンスルホネートを導入するのに必要な量(質量換算)のtert−ブタノール/水混合物(容量で97.5/2.5)中15質量%のアンモニウム2−メチル2−[(1−オキソ2−プロペニル)アミノ]1−プロパンスルホネートの水溶液、19.2モル当量の2−ヒドロキシエチルアクリレートを導入するのに必要な量(質量換算)の2−ヒドロキシエチルアクリレート、3.4モル当量のテトラエトキシ化ラウリルメタクリレートを導入するのに必要な量(質量換算)のテトラエチル化ラウリルメタクリレート、及び実施例1.1と同じモル比のトリメチロールプロパントリアクリレートを得るのに必要な量(質量換算)のトリメチロールプロパントリアクリレートを25℃に維持した反応器に撹拌下で投入する。
【0084】
溶液の良好な均質化を達成するのに十分な時間の後、溶液を70℃に加熱した窒素のバブリングによって脱酸素化する。次いで、0.42gの過酸化ジラウロイルを添加した後、反応媒体を70℃でおよそ60分間、続いて80℃で2時間維持する。
【0085】
冷却後、重合時に形成された粉末を濾過し、乾燥させて、所望の生成物を得る。これを以下、高分子電解質2と称する。
【0086】
1.3. トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)で架橋したアンモニウム2−メチル2−[(1−オキソ2−プロペニル)アミノ]1−プロパンスルホネートと、テトラエトキシ化ラウリルメタクリレートとのコポリマー[AMPS/MAL(40E)95/5モル]の調製[比較例]。
上記実施例1.1に記載の方法の操作条件を用いて、95モル当量のアンモニウム2−メチル2−[(1−オキソ2−プロペニル)アミノ]1−プロパンスルホネートを導入するのに必要な量(質量換算)のtert−ブタノール/水混合物(容量で97.5/2.
5)中15質量%のアンモニウム2−メチル2−[(1−オキソ2−プロペニル)アミノ]1−プロパンスルホネートの水溶液、5モル当量のテトラエトキシ化ラウリルメタクリレートを導入するのに必要な量(質量換算)のテトラエチル化ラウリルメタクリレート、及び実施例1.1と同じモル比のトリメチロールプロパントリアクリレートを得るのに必要な量(質量換算)のトリメチロールプロパントリアクリレートを25℃に維持した反応器に撹拌下で投入する。
【0087】
溶液の良好な均質化を達成するのに十分な時間の後、溶液を70℃に加熱した窒素のバブリングによって脱酸素化する。次いで、0.42gの過酸化ジラウロイルを添加した後、反応媒体を70℃でおよそ60分間、続いて80℃で2時間維持する。
【0088】
冷却後、重合時に形成された粉末を濾過し、乾燥させて、所望の生成物を得る。これを以下、高分子電解質3と称する。
【0089】
1.4. トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)で架橋したアンモニウム2−メチル2−[(1−オキソ2−プロペニル)アミノ]1−プロパンスルホネートと、2−ヒドロキシエチルアクリレートとのコポリマー[AMPS/HEA 90/10モル]の調製[比較例]
上記実施例1.1に記載の方法の操作条件を用いて、90モル当量のアンモニウム2−メチル2−[(1−オキソ2−プロペニル)アミノ]1−プロパンスルホネートを導入するのに必要な量(質量換算)のtert−ブタノール/水混合物(容量で97.5/2.5)中15質量%のアンモニウム2−メチル2−[(1−オキソ2−プロペニル)アミノ]1−プロパンスルホネートの水溶液、10モル当量の2−ヒドロキシエチルアクリレートを導入するのに必要な量(質量換算)の2−ヒドロキシエチルアクリレート、及び実施例1.1と同じモル比のトリメチロールプロパントリアクリレートを得るのに必要な量(質量換算)のトリメチロールプロパントリアクリレートを25℃に維持した反応器に撹拌下で投入する。
【0090】
溶液の良好な均質化を達成するのに十分な時間の後、溶液を70℃に加熱した窒素のバブリングによって脱酸素化する。次いで、0.42gの過酸化ジラウロイルを添加した後、反応媒体を70℃でおよそ60分間、続いて80℃で2時間維持する。
【0091】
冷却後、重合時に形成された粉末を濾過し、乾燥させて、所望の生成物を得る。これを以下、高分子電解質4と称する。
【0092】
実施例2:
A−高分子電解質1を含む本発明による洗浄組成物及び比較用配合物の調製
表1に示される割合(質量換算)の水を20℃のビーカーに注ぎ入れた後、起泡性界面活性剤を50回転/分の機械的撹拌下で徐々に注ぎ入れ、続いて増粘剤を徐々に注ぎ入れ、続いて所望のpHが得られるように中和剤(配合物に応じて酸性又は塩基性)を注ぎ入れる。本発明による配合物(F1)、(F11)、(F12)及び(F13)並びに比較用配合物(F2)〜(F10)が得られる。
【0093】

【表1】
【0094】
B−従来技術と比較した本発明による洗浄配合物の特性及び特徴の実証
先に調製した配合物(F1)〜(F13)を続いて以下のように評価する:
20℃でのそれらのpHの測定、
適切なスピンドルを装着したブルックフィールドLVT型の粘度計を6回転/分の速度で用いた20℃でのそれらの粘度の測定、
それらの外観の目視評価、
下記に開示する実験プロトコルに従う、それらの各々によって発生した泡沫のサイズ及び安定性の評価。
【0095】
配合物(F1)〜(F13)で発生した泡のサイズ及び安定性を評価する実験プロトコルi)発泡溶液(S)の調製
試験対象の配合物(F1)〜(F13)の各々について、3ミリモルのカルシウムイオンで強化した脱塩水中の試験対象の配合物の活性物質が1質量%の水溶液(S)を500cm調製する(NFT 73−047に従うカルシウム硬度が30度の水の調製に相当する)。
【0096】
ii)試験溶液の調製
試験対象の配合物(F1)〜(F13)の各々について、25cmの対応する溶液(S)を背の高い100cm容ビーカーに取り、これを続いて40℃±1℃の温度に達するようにサーモスタット制御水浴内に30分間入れる。
【0097】
iii)試験溶液の膨張
試験溶液(S)を40℃の温度で安定化させ、好適なサイズの半径流タービン(centripetal turbine)を備えるレイネリ(Rayneri)型の撹拌装置を用いて3000回転/分の速度で、2分間にわたってビーカー内で撹拌し、泡沫を発生させる。
【0098】
iv)試験溶液によって発生した泡沫の観察
形成された泡沫をペトリ皿(直径5.3cm×高さ1.2cm)に、溢れて皿の表面全体に広がるまで移す。このペトリ皿を、NIKONのDXM 1200デジタルカメラを備え、NIKONのACT−1ソフトウェアを搭載したコンピュータに接続したNIKON製のOPTIPHOP−2電子顕微鏡のレンズ下に置き、倍率を40倍とする。焦点調節を行い、クロノメーターの始動と同時に最初の写真を撮影する。次いで、クロノメーターの始動の10分後及び20分後に新たな写真を撮影する。
【0099】
v)結果の表示
上記ii)項〜iv)項に記載の操作を配合物(F1)〜(F13)の各々について繰り返し、有意な統計的母集団(statistical population)を得る。所与の配合物について所与の時点で撮影した各々の写真に対し、実験者は写真に認められる泡の総数(N)を特定し、各々の泡についてNIKONのACT−1ソフトウェアによって提示され、利用可能なマイクロメータースケールを用いて対応する直径を測定する。
【0100】
次いで、実験者は以下のことを記録する:
所与の配合物に関する各々の写真についての直径が150マイクロメートル以下の泡の数(N1)、
直径が150マイクロメートル超450マイクロメートル以下の泡の数(N2)、
直径が450マイクロメートル超の泡の数(N3)。
【0101】
次いで、実験者は各々の写真について以下の比率を算出する:
R1=(N1/NT)×100
R2=(N2/NT)×100
R3=(N3/NT)×100
【0102】
実験者は、t=0での比率R1、R2及びR3の平均(それぞれR1m、R2m及びR3mと呼ぶ)、続いてt=10分での比率R1、R2及びR3の平均(それぞれR1m10、R2m10及びR3m10と呼ぶ)、並びにt=20分での比率R1、R2及
びR3の平均(それぞれR1m20、R2m20及びR3m20と呼ぶ)を算出する。
【0103】
これらの評価の結果を以下の表2に示す。
【0104】
【表2】
【0105】
3)結果の分析
配合物の外観が液体であり、粘度が2000mPa・s〜30000mPa・sであり、配合物によって発生した泡沫において、膨張の10分後の平均径が150マイクロメートル以下の泡の数に関する割合(R1m10によって測定される)が70%超である場合に、結果は満足のいくものであると判断される。
【0106】
本発明による配合物(F1)は液体の外観、測定された4529mPa・sの粘度を特徴し、(F1)によって形成される泡沫は、膨張の10分後の平均径が150マイクロメートル以下の泡の数に関する割合が78%に等しい。この泡沫は膨張の20分後でも非常に安定であり、平均径が150マイクロメートル以下の泡の数に関する割合が76.5%に等しいことも観察される。
【0107】
特許文献2に開示及び教示され、7.0を超えるpH値を特徴とする配合物(F6)及び(F7)から得られる泡沫について、膨張の10分後の平均径が150マイクロメートル以下の泡の数に関する割合がそれぞれ、(F6)については51.3%及び(F7)については62%であることが観察される。配合物(F6)によって発生した泡沫において、膨張の10分後の平均径が450マイクロメートル超の泡の数に関する割合が2.4%に等しいことにも留意されたい。
【0108】
1.5%の塩化ナトリウムを用いて増粘した配合物(F2)から得られる泡沫については、膨張の10分後の平均径が150マイクロメートル以下の泡の数に関する割合が50%であることが観察される。
【0109】
HASE型のポリマーであるCapigel(商標)98を用いて増粘した配合物(F3)及び(F4)によって形成される泡沫について、膨張の10分後の平均径が150マイクロメートル以下の泡の数に関する割合がそれぞれ50%及び53.3%に等しく、膨張の10分後の平均径が450マイクロメートル超の泡の割合がゼロでないことが観察される。
【0110】
2.25%のキサンタンガムを用いて増粘した配合物(F5)から得られる泡沫について、膨張の10分後の平均径が150マイクロメートル以下の泡の数に関する割合が61.7%であり、膨張の10分後の平均径が450マイクロメートル超の泡の割合が4.3%に等しいことが観察される。
【0111】
高分子電解質2を含む配合物(F8)は、均質な液体の外観及び測定された3300mPa・sの粘度を特徴とし、(F8)によって形成される泡沫が示す、膨張の10分後の平均径が150マイクロメートル以下の泡の数に関する割合は58.7%に等しい。
【0112】
高分子電解質3を含む配合物(F9)は、均質な液体の外観及び測定された80mPa・sの粘度を特徴とする。配合物(F9)では、所要の粘度レベル、すなわち2000mPa・sの最小粘度を得ることは可能ではない。
【0113】
高分子電解質4を含む配合物(F10)は、均質な液体の外観及び測定された100mPa・sの粘度を特徴とする。配合物(F10)では、所要の粘度レベル、すなわち2000mPa・sの最小粘度を得ることは可能ではない。
【0114】
本発明による配合物(F11)、(F12)及び(F13)は、均質な液体の外観及び測定された2000mPa・s超の粘度を特徴とし、配合物(F11)、(F12)及び(F13)によって形成される泡沫が示す、膨張の10分後の平均径が150マイクロメートル以下の泡の数に関する割合は70%超である。
【0115】
これらの測定結果の比較から、少なくとも1つの起泡性界面活性剤を含み、pHが4.0以上6.5以下の局所使用の洗浄配合物の起泡性の改善が、該洗浄配合物に有効量の先に記載した架橋アニオン性高分子電解質(P)を組み込むことからなる本発明による方法の実施によって達成されることが明らかに示される。