(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
止血に使用するのに適した前記生体適合性ポリマーは、架橋タンパク質、架橋多糖類、架橋生物学的ポリマー、架橋非生物学的ポリマー、またはそれらの混合物を含む、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の止血組成物。
前記親水性ポリマー構成要素は、PEGを含むポリマー、より好ましくは多求電子ポリアルキレンオキシドポリマー、特に多求電子PEG、例えば、ペンタエリトリトールポリ(エチレングリコール)エーテルテトラスクシンイミジルグルタレートである、請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の止血組成物。
前記生体適合性ポリマーは、架橋ゼラチンであり、前記親水性ポリマー構成要素は、ペンタエリトリトールポリ(エチレングリコール)エーテルテトラスクシンイミジルグルタレートである、請求項1〜8のうちのいずれか一項に記載の止血組成物。
創傷、出血、損傷を受けた組織、出血している組織、および/または骨の欠陥からなる群から選択される損傷の処置のための、請求項1〜10のうちのいずれか一項に記載の止血組成物。
創傷、出血、損傷を受けた組織、および/または出血している組織からなる群から選択される損傷を処置するための、請求項1〜10のうちのいずれか一項に記載の止血組成物であって、該止血組成物が損傷の部位に投与されることを特徴とする、止血組成物。
請求項1〜10のうちのいずれか一項に記載の止血組成物を生成する方法であって、該方法は、乾燥形態において、止血に使用するのに適した生体適合性ポリマーと反応基を含む1つの親水性ポリマー構成要素とを混合するステップを含む、方法。
請求項1〜10のうちのいずれか一項に記載の止血組成物のすぐに使用できる形態を提供する方法であって、該止血組成物は、第1の注射器において提供され、再構成のための希釈剤は、第2の注射器において提供され、該第1および該第2の注射器は、互いに接続され、該希釈剤は、該止血組成物の流動性形態を生成するために該第1の注射器の中にもたらされ、必要に応じて、少なくとも1回、該止血組成物の該流動性形態を該第2の注射器に戻す、方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の特定の実施形態の説明
本発明は、止血組成物における改善を提供する。本発明に従う止血組成物は、微粒子形態での生体適合性ポリマー(例えば、止血に使用するのに適した生体適合性ポリマー(「止血生体適合性ポリマー構成要素」または「止血ポリマー」))の顆粒(例えば、ゼラチン、フィブリン、キトサン、フィブロネクチン、コラーゲン、特にゼラチン))を含む。止血のためにこの生体適合性ポリマーに混合されるのは、反応基を含む1つの親水性ポリマー構成要素である。本発明に従って、ポリマー構成要素の反応基は、組成物が、臨床活動の場所に(例えば、創傷上に)もたらされるまで、それらの反応性を保持している。
【0015】
止血に使用するのに適した微粒子形態での生体適合性ポリマーは、次元的に等方性である形態または非等方性である形態を含み得る。例えば、本発明に従う生体適合性ポリマーは、顆粒または繊維であり得、不連続な構造で(例えば、粉末形態で)存在し得る。
【0016】
好ましい実施形態に従って、生体適合性ポリマーは、液体を吸収する。例えば、液体(例えば、水性の溶液または懸濁液(特に、バッファーまたは血液))との接触の際に、ポリマーは液体を吸収し、水和の程度に依存して、ある程度の膨潤を示す。材料は、好ましくは約200重量%〜約2000重量%、特に約400重量%〜約1300重量%の水または水性バッファーを吸収し、それは、例えば、約50%〜約500%、通常、約50%〜約250%の範囲におけるサブユニットの個々の粒子の直径または幅の名目上の増大に相当する。例えば、(乾燥)粒状粒子が、0.01mm〜1.5mm、特に0.05mm〜1mmの好ましいサイズ範囲を有する場合、完全に水和させられた組成物(例えば、創傷上への投与後、または水性バッファー溶液との接触後)は、0.05mm〜3mm、特に0.25mm〜1.5mmのサイズ範囲を有し得る。
【0017】
本発明の好ましい生体適合性ポリマーの平衡膨潤は、その意図される使用に依存して、一般に、例えば、400%〜1300%、好ましくは500%〜1100%の範囲に及び得る。そのような平衡膨潤は、例えば、架橋の程度を変化させることによって制御され得(架橋ポリマーについて)、そのことは、次に架橋条件(例えば、架橋方法のタイプ、架橋剤(crosslinking agent)の曝露の持続時間、架橋剤の濃度、架橋温度など)を変化させることによって達成される。異なる平衡膨潤値を有する材料は、異なる適用において、異なって機能する。例えば、肝臓ディボットモデルにおける出血を阻害する能力は、700%〜950%の範囲における膨潤を有する架橋ゼラチン材料を用いて最も容易に達成された。大腿動脈プラグ(femoral artery plug)については、500%〜600%の範囲の、より低い平衡膨潤値がより好結果であった。従って、架橋および平衡膨潤を制御する能力により、本発明の組成物が、多様な使用について最適化されることが可能になる。平衡膨潤の他に、材料の水和を、標的部位に送達する直前に制御することも重要である。水和および平衡膨潤は、もちろん、密接に関係している。0%の水和を有する材料は、非膨潤性である。100%の水和を有する材料は、その平衡含水量の状態である。0%と100%との間の水和は、最低量と最大量との間の膨潤に相当する。
【0018】
本発明の好ましい実施形態に従って、生体適合性ポリマーおよび親水性ポリマー構成要素は、乾燥形態、好ましくは混合乾燥形態で存在する。
【0019】
本発明の止血に使用するのに適した微粒子形態での生体適合性ポリマーは、生物学的ポリマーおよび非生物学的ポリマーから形成され得る。適切な生物学的ポリマーは、タンパク質、多糖類、生物学的ポリマー、非生物学的ポリマー、ならびにそれらの誘導体および組み合わせを含み得る。適切なタンパク質としては、ゼラチン、コラーゲン、アルブミン、ヘモグロビン、フィブリノゲン、フィブリン、カゼイン、フィブロネクチン、エラスチン、ケラチン、およびラミニン、ならびにそれらの誘導体および組み合わせが挙げられる。特に好ましいのは、ゼラチンまたは可溶性の非線維状コラーゲン、より好ましくはゼラチンを使用することであり、例示的なゼラチン製剤は、下に明記される。他の適切な生物学的ポリマーとしては、多糖類(例えば、グリコサミノグリカン、デンプン、セルロース、デキストラン、ヘミセルロース、キシラン、アガロース、アルギネート、およびキトサン)、ならびにそれらの誘導体および組み合わせが挙げられる。適切な非生物学的ポリマーは、2つの機構、すなわち(1)ポリマー骨格の破壊、または(2)水溶性をもたらす側鎖の分解のいずれかによって分解可能であるように選択される。止血に使用するのに適した例示的な非生物学的生体適合性ポリマーとしては、合成物質(例えば、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリビニル樹脂、ポリラクチド−グリコリド、ポリカプロラクトン、およびポリオキシエチレン(polyoxyethlene))、ならびにそれらの誘導体および組み合わせが挙げられる。異なる種類のポリマーの組み合わせも可能である(例えば、タンパク質と多糖類、タンパク質と非生物学的ヒドロゲル形成ポリマーなど)。特に、親水性ポリマー構成要素が、(例えば、創傷環境における)投与の際にアミノ基と反応する反応基を有する場合、好ましい止血ポリマーは、アミノ基を含む。
【0020】
「その誘導体」は、任意の化学的に修飾されたポリマー(例えば、架橋ポリマーなど)を含む。
【0021】
特に、親水性ポリマー構成要素が、(例えば、創傷環境における)投与の際にアミノ基と反応する反応基を有する場合、好ましい止血ポリマーは、求核基(例えば、アミノ基など)を含む。
【0022】
本発明の好ましい実施形態に従って、生体適合性ポリマーは、ゼラチン、コラーゲン、アルブミン、フィブリノゲン、フィブリン、および(上で規定されるような)それらの誘導体からなる群から選択され、特に好ましいポリマーは、ゼラチンまたはコラーゲンであり、特に好ましいのは、架橋ゼラチンである。
【0023】
本発明の好ましい実施形態に従って、止血に使用するのに適した生体適合性ポリマーは、架橋タンパク質、架橋多糖類、架橋生物学的ポリマー、架橋された非生物学的ポリマー、またはそれらの混合物を含む。
【0024】
非架橋ポリマーは、止血ポリマーの適切なヒドロゲルベースを再構成する(例えば、形成する)のに適した任意の態様で架橋され得る。例えば、ポリマー分子は、2つまたは2つより多いポリマー分子鎖に共有結合により結合している二官能性または多官能性架橋剤を用いて架橋され得る。例示的な二官能性架橋剤としては、アルデヒド、エポキシド、スクシンイミド、カルボジイミド、マレイミド、アジド、カーボネート、イソシアネート、ジビニルスルホン、アルコール、アミン、イミデート、無水物、ハロゲン化物、シラン、ジアゾアセテート、アジリジンなどが挙げられる。あるいは、架橋は、ポリマーにおける側鎖または部分を活性化する酸化剤および他の作用物質(例えば、過ヨウ素酸塩)を用いることによって達成され得、その結果、それらは、他の側鎖または部分と反応して架橋結合を形成し得る。架橋のさらなる方法は、ポリマーを放射線(例えば、γ線)に曝露して、ポリマー鎖を活性化して架橋反応を可能にすることを含む。脱水熱(dehydrothermal)架橋方法も適切であり得る。ゼラチン分子を架橋するための好ましい方法が、下に記載される。
【0025】
生体適合性止血ポリマーは、創傷に適用されると、血流に対してバリアを形成し得る効率的なマトリックスを形成する。特に、止血ポリマーの膨潤特性は、止血ポリマーを出血および再出血プロセスに対する有効な機械的バリアにし得る。
【0026】
好ましい実施形態において、本発明に従う止血組成物は、粒状調製物として提供されるか、または使用される。好ましい実施形態に従って、止血に使用するのに適した生体適合性ポリマー顆粒は、架橋タンパク質、架橋多糖類、もしくは架橋された非生物学的ポリマー、またはそれらの混合物を含む。
【0027】
上で言及されるように、止血に使用するのに適した生体適合性ポリマーは、好ましくは粒状材料である。この粒状材料は、流体(すなわち、希釈剤)に曝される場合、迅速に膨潤し得、この膨潤形態において、出血部位に適用され得る流動性ペーストに寄与することができる。生体適合性ポリマー(例えば、ゼラチン)は、フィルムとして提供され得、このフィルムは、次に、粉にされて、粒状材料を形成し得る。この粒状材料に含まれる粒子のほとんど(例えば、90%w/wより多く)は、好ましくは10μm〜1,000μm、特に、50μm〜700μmの粒径を有する。
【0028】
好ましい実施形態に従って、止血に使用するのに適した微粒子形態での生体適合性ポリマーは、架橋ゼラチンである。乾燥架橋ゼラチン粉末は、薬学的に受容可能な希釈剤と接触させられる場合、迅速に再水和するように調製され得る。特に、ゼラチン粉末の形態でのゼラチン顆粒は、好ましくは、WO98/08550AおよびWO2003/007845Aに記載されるように、フラグメントまたはサブユニットとも称される比較的大きい粒子を含む。好ましい(メジアン)粒径は、10μm〜1,000μm、好ましくは50μm〜700μmの範囲であるが、この好ましい範囲の外の粒径は、多くの状況において使用を見出され得る。乾燥組成物はまた、水性の再水和する媒体(=希釈剤、再構成媒体または再水和媒体とも称される)に曝される場合、顕著な「平衡膨潤」を示す。好ましくは、膨潤は、400%〜1000%の範囲である。完全に水和し、従って、完全に膨潤させられた場合のゼラチンヒドロゲル粉末の重量からゼラチンヒドロゲル粉末の乾燥重量を引くことによって、「平衡膨潤」が決定され得る。次に、差異が、乾燥重量で割られ、100をかけられて、膨潤が測定される。乾燥重量は、実質的に全ての残留水分を除去するために十分な時間の間(例えば、120℃で2時間)、材料を高温に曝露した後に測定されるべきである。材料の水和平衡は、乾燥材料を、含水量が一定になるのに十分な時間の間、代表的に、室温で18時間〜24時間の間、薬学的に受容可能な希釈剤(例えば、食塩水)中に浸漬することによって達成され得る。
【0029】
架橋ゼラチンを生成する例示的な方法は、以下の通りである。ゼラチンが得られ、水性溶液に懸濁されて、代表的に、1重量%〜70重量%、通常3重量%〜10重量%の固体含有量を有する非架橋ヒドロゲルを形成する。ゼラチンは、代表的に、グルタルアルデヒド(例えば、水性バッファー中0.01%w/w〜0.05%w/w、0℃〜15℃で一晩)、過ヨウ素酸ナトリウム(例えば、0.05M、0℃〜15℃で48時間保持される)、もしくは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(「EDC」)(例えば、0.5%w/w〜1.5%w/w、室温で一晩)のいずれかへの曝露によって、または約0.3メガラド〜3メガラドのγ線もしくは電子ビーム放射線への曝露によって架橋される。あるいは、ゼラチン粒子は、1重量%〜70重量%、通常、3重量%〜10重量%の固体含有量で、アルコール、好ましくはメチルアルコール、またはエチルアルコールに懸濁され得、架橋剤、代表的に、グルタルアルデヒド(例えば、0.01%w/w〜0.1%w/w、室温で一晩)への曝露によって架橋され得る。アルデヒドの場合、pHは、約6〜約11、好ましくは7〜10に保持されるべきである。グルタルアルデヒドを用いて架橋する場合、架橋は、シッフ塩基を介して形成され、シッフ塩基は、その後の還元によって、例えば、水素化ホウ素ナトリウムを用いた処理によって安定化され得る。架橋後、得られた顆粒は、水中で洗浄され得、必要に応じて、アルコール中ですすがれ得、乾燥され得る。得られた乾燥粉末は、次に、本明細書中に記載されるように、最終容器中に提供され得る。
【0030】
好ましくは、生体適合性ポリマーは、本発明に従う止血組成物を生成するために、乾燥粒状形態で提供される。本発明に従う「生体適合性ポリマーの乾燥粒状調製物」は、例えば、WO98/08550Aから公知である。好ましくは、ポリマーは、生体適合性で生分解性の乾燥した安定な粒状材料である。
【0031】
本発明に従う乾燥ポリマーは、通常、10μm〜1,000μmの粒径で提供される。通常、ポリマー粒子は、10μm〜1000μm、特に50μm〜700μmの平均粒子直径(メジアンサイズ)を有する(「平均粒子直径」は、レーザー回折法によって測定される場合のメジアンサイズであり、「メジアンサイズ」(または質量メジアン粒子直径)は、度数分布を半分に分ける粒子直径であり、所与の調製物の粒子の50%は、より大きい直径を有し、粒子の50%は、より小さい直径を有する)。より大きい粒子を適用することは、主に、医学的な必要性に依存し、より小さい平均粒子直径を有する粒子は、しばしば、生成プロセスにおいて取り扱うことがより難しい。乾燥ポリマーは、従って、粒状形態で提供される。粉末および粒状(または顆粒)という用語は、時々、材料の別個のクラスを区別するために使用されるが、粉末は、粒状材料の特別なサブクラスとして本明細書中で定義される。特に、粉末とは、より細かい粒度を有し、従って、流れる場合に凝集塊を形成する傾向がより高い粒状材料を指す。顆粒は、湿潤の場合を除いて、凝集塊を形成する傾向がない、より粗い粒状材料を含む。本願について、使用される粒子は、適切なコーティング技術によってコーティングされ得るものである。本発明に従うポリマー顆粒の粒径は、従って、特定のコーティング技術の必要性に迫られて、この技術に容易に適合され得、最適化され得る。
【0032】
本発明に従う止血組成物の親水性ポリマー構成要素(「反応性の親水性構成要素」または「親水性(ポリマー)架橋剤(crosslinker)」とも称される)は、止血組成物が患者に(例えば、患者の創傷、または患者が止血活動を必要としている別の場所に)適用されると、その反応基と反応することができる親水性架橋剤である。従って、ポリマー構成要素の反応基が患者に適用される場合、反応性であることは、本発明にとって重要である。従って、創傷に適用されると反応すべきポリマー構成要素の反応基が、製造プロセス中に保持されるように、本発明に従う止血組成物を製造することが必要である。
【0033】
これは、種々の手法で行われ得る。例えば、通常の親水性ポリマー構成要素は、水との接触後に加水分解を受けやすい反応基を有する。従って、患者への止血組成物の投与前、特に製造中の水または水性液体との早すぎる接触は、防止されなければならない。しかし、製造中の親水性ポリマー構成要素の処理は、反応基の反応が阻害される条件における(例えば、低pHにおける)水性媒体中でも可能であり得る。親水性ポリマー構成要素が溶解させられ得る場合、溶解した親水性ポリマー構成要素は、生体ポリマーのマトリックスの上にスプレーされ得るか、またはプリントされ得る。乾燥形態(例えば、粉末)の親水性ポリマー構成要素を、止血に使用するのに適した乾燥形態の生体適合性ポリマーと混合することも可能である。必要である場合、次に、止血に使用するのに適した生体適合性ポリマーに温度上昇が適用されて、散在させられた親水性ポリマー構成要素を溶解させ、止血組成物の永久的なコーティングを達成し得る。あるいは、これらの親水性ポリマー構成要素は、不活性有機溶媒(親水性ポリマー構成要素の反応基に関して不活性)の中に吸収され得、生体材料のマトリックスの上にもたらされ得る。そのような有機溶媒の例は、乾燥エタノール、乾燥アセトン、または乾燥ジクロロメタンである(それらは、例えば、親水性ポリマー構成要素(例えば、NHS−エステル置換PEG)について不活性である)。
【0034】
用語「反応基を含む1つの親水性ポリマー構成要素」とは、求核反応基を有する第2またはさらなる親水性ポリマー構成要素の存在が、本発明に従う止血組成物において除外されることを意味する。
【0035】
好ましい実施形態において、親水性ポリマー構成要素は、単一の親水性ポリマー構成要素であり、ポリアルキレンオキシドポリマー、好ましくはPEGを含むポリマーである。この反応性ポリマーの反応基は、好ましくは、求電子基である。
【0036】
反応性の親水性構成要素は、多求電子(multi−electrophilic)ポリアルキレンオキシドポリマー、例えば、多求電子PEGであり得る。反応性の親水性構成要素は、2つまたは2つより多い求電子基、好ましくは、スクシンイミジルエステル(−CON(COCH
2)
2)、アルデヒド(−CHO)、およびイソシアネート(−N=C=O)から選択される2つまたは2つより多い反応基を含むPEGを含み得る(例えば、WO2008/016983 A(本明細書中でその全体が参考として援用される)に開示される構成要素、および商標CoSeal(登録商標)の下での市販のものの構成要素のうちの1つ)。
【0037】
本発明に従う親水性ポリマー架橋剤の好ましい求電子基は、タンパク質のアミノ基、カルボキシ基、チオール基、およびヒドロキシ基、またはそれらの混合物に対して反応性のある基である。
【0038】
好ましいアミノ基特異的反応基は
、NHS−エステル基、イミドエステル基、アルデヒド基、
カルボジイミドの存在下でのカルボキシ基
、イソシアネート、またはTHPP(ベータ−[トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィノ]プロピオン酸)であり、特に好ましいのは、ペンタエリトリトールポリ(エチレングリコール)エーテルテトラスクシンイミジルグルタレート(=ペンタエリトリトールテトラキス[1−1’−オキソ−5’−スクシンイミジルペンタノエート−2−ポリ−オキソエチレングリコール]エーテル(=MW 10,000を有するNHS−PEG)である。
【0039】
好ましいカルボキシ基特異的反応基は、カルボジイミドの存在下でのアミノ基である。
【0040】
好ましいチオール基特異的反応基は、マレイミドまたはハロアセチルである。
【0041】
好ましいヒドロキシ基特異的反応基は、イソシアネート基である。
【0042】
親水性架橋剤における反応基は、同一であり得る(ホモ官能性)か、または異なり得る(ヘテロ官能性)。親水性ポリマー構成要素は、2つの反応基(ホモ二官能性またはヘテロ二官能性)、またはそれより多くの反応基(ホモ/ヘテロ−三官能性またはそれより多く)を有し得る。
【0043】
特別な実施形態において、材料は、合成ポリマーであり、好ましくは、PEGを含む。ポリマーは、PEGの誘導体であり得、架橋および組織への接着に適した活性側鎖基を含む。
【0044】
反応基によって、親水性で反応性のポリマーは、血液タンパク質、およびまた組織表面タンパク質を架橋する能力を有する。生体材料への架橋も可能である。
【0045】
多求電子ポリアルキレンオキシドは、2つまたは2つより多いスクシンイミジル基を含み得る。多求電子ポリアルキレンオキシドは、2つまたは2つより多いマレイミジル基を含み得る。
【0046】
好ましくは、多求電子ポリアルキレンオキシドは、ポリエチレングリコール、またはその誘導体である。
【0047】
最も好ましい実施形態において、親水性ポリマー構成要素は、ペンタエリトリトールポリ(エチレングリコール)エーテルテトラスクシンイミジルグルタレート(=COH102、また、ペンタエリトリトールテトラキス[1−1’−オキソ−5’−スクシンイミジルペンタノエート−2−ポリ−オキソエチレングリコール]エーテル)である。
【0048】
親水性ポリマー構成要素は、親水性架橋剤である。好ましい実施形態に従って、この架橋剤は、架橋のために、2つより多くの反応基(「アーム」)を有し、例えば、架橋のために、反応基を有する3、4、5、6、7、8、またはそれより多くのアームを有する。例えば、NHS−PEG−NHSは、本発明に従う有効な親水性架橋剤である。しかし、いくつかの実施形態について、4−アームポリマー(例えば、4−アーム−p−NP−PEG)は、より好ましい場合があり、同じ原理的説明に基づいて、8−アームポリマー(例えば、8−アーム−NHS−PEG)は、多重反応性架橋が有益である実施形態について、より好ましい場合さえあり得る。さらに、本発明に従う親水性架橋剤は、ポリマー、すなわち、共有化学結合によって代表的に接続される繰り返し構造ユニットから構成される巨大分子(高分子)である。本発明に従う親水性ポリマー構成要素は、(本発明に従う止血組成物中で架橋剤として適切に役立つために)少なくとも1000Daの分子量を有するべきであり、好ましくは、本発明に従う架橋ポリマーは、少なくとも5000Daの分子量、特に、少なくとも8000Daの分子量を有する。
【0049】
いくつかの親水性架橋剤について、(例えば、投与部位における)塩基性反応条件の存在は、(例えば、投与部位におけるより速い架橋反応についての)官能性能のために好ましいか、または必要である。例えば、炭酸イオンまたは炭酸水素イオン(例えば、7.6またはそれより上のpH、好ましくは8.0またはそれより上のpH、特に8.3およびそれより上のpHを有するバッファーとして)は、本発明に従う止血組成物の改善された性能を可能にするため、または止血および/または創傷接着材料としての効率的な使用を可能にするために、投与部位にさらに提供され得る(例えば、バッファー溶液として、またはそのようなバッファーに浸されたファブリックもしくはパッドとして)。
【0050】
本発明に従う組成物における親水性ポリマー構成要素(それは、言及されるように、架橋剤として働く)の反応性は、組成物中で保持される。これは、架橋剤の反応基が止血組成物とまだ反応しておらず、水によって加水分解されていない(または、少なくとも、本組成物の止血機能性に否定的な結果を招く顕著な量ではない)ことを意味する。これは、架橋剤の反応基の、止血ポリマーとの反応または水との反応をもたらさない手法で、止血ポリマーを親水性架橋剤と組み合わせることによって達成され得る。通常、これは、水性条件(または湿潤)、特に、酸性条件の存在なしでの湿潤の省略を含む(架橋剤が、酸性条件下で反応性ではない場合)。これは、反応性止血材料の供給を可能にする。
【0051】
本発明の特に好ましい止血組成物に従って、生体適合性ポリマーは、架橋ゼラチンであり、親水性ポリマー構成要素は、ペンタエリトリトールポリ(エチレングリコール)エーテルテトラスクシンイミジルグルタレートである。
【0052】
本発明に従う止血組成物における生体適合性ポリマー 対 親水性ポリマー構成要素の好ましい比は、0.1%w/w〜50%w/w、好ましくは5%w/w〜40%w/wである。
【0053】
本発明に従う止血組成物は、止血ポリマーおよび親水性で反応性の構成要素の乾燥組成物として(例えば、物理的混合物として)、好ましくは提供され、生体適合性ポリマーおよび親水性ポリマー構成要素は、乾燥形態、好ましくは混合乾燥形態で存在する。本発明に従って、「混合」は、粉末混合、コーティング、含浸、ブレンディング、凝集、共凍結乾燥、懸濁物からの乾燥、その後または同時の共充填、共押出しなどを含む。
【0054】
本発明に従う「乾燥」止血組成物は、同等の利用可能な生成物(例えば、Floseal(登録商標))の水分含有量におおよそ相当し得る残存水分含有量のみを有する(Flosealは、例えば、乾燥生成物として、約12%の水分を有する)。通常、本発明に従う乾燥組成物は、これらの生成物より少ない残存水分含有量を有し、好ましくは10%より少ない水分、より好ましくは5%より少ない水分、より好ましくは2.5%より少ない水分、特に1%より少ない水分を有する。本発明に従う止血組成物はまた、より低い水分含有量(例えば、0.1%またはそれよりもさらに少ない)を有し得る。本発明に従う乾燥した止血用組成物の好ましい水分含有量は、0.1%〜10%、特に0.5%〜5%である。組成物が乾燥すればするほど、貯蔵寿命がより長くなり、全体としての組成物の止血特性が傷つくリスクが低くなることは明らかである。
【0055】
すでに言及されたように、止血に使用するのに適した微粒子形態での生体適合性ポリマーは、好ましくは、粉末形態でのゼラチンであり、特に、粉末粒子は、10μm〜1000μm、好ましくは50μm〜750μm、より好ましくは150μm〜700μm、特に、150μm〜500μmのメジアン粒径を有する。
【0056】
さらなる構成要素が、本発明に従う止血組成物中に存在し得る。好ましい実施形態に従って、本発明に従う止血組成物は、抗線維素溶解剤、プロコアギュラント、血小板アクチベータ、抗生物質、血管収縮薬、色素、成長因子、増殖因子、骨形成タンパク質、および鎮痛剤からなる群から選択される物質をさらに含み得る。
【0057】
本発明に従う止血組成物は、ゼラチンおよび多価求核(nucelophilic)物質、好ましくはヒト血清アルブミンのさらなる組成物を、必要に応じて、塩基性のpH(例えば、pH8〜11、好ましくは9〜10、特にpH9.5)で含み得る。2つの構成要素は、次に、損傷に共に適用され得る。
【0058】
別の局面に従って、本発明は、創傷、出血、損傷を受けた組織、出血している組織、および/または骨の欠陥からなる群から選択される損傷の処置のための、本発明に従う止血組成物の使用に関する。
【0059】
本発明は、創傷、出血、損傷を受けた組織、および/または出血している組織からなる群から選択される損傷の処置の方法にも関し、上記方法は、本発明に従う止血組成物を損傷の部位に投与することを含む。
【0060】
別の局面に従って、本発明は、創傷、出血、損傷を受けた組織、および/または出血している組織からなる群から選択される損傷の処置のためのキットを提供し、上記キットは、
a)本発明に従う止血組成物と、
b)使用のための指示と
を含む。
【0061】
本発明は、本発明に従う止血組成物を生成する方法にも関し、上記方法は、乾燥形態において、止血に使用するのに適した生体適合性ポリマーと反応基を含む1つの親水性ポリマー構成要素とを混合するステップを含む。
【0062】
投与容器において、好ましくは注射器において、必要に応じて薬学的に受容可能な希釈剤と一緒に、本発明に従う止血組成物を乾燥形態で提供することが好ましい。
【0063】
本発明に従うこれらの止血組成物は、薬学的に受容可能な希釈剤(例えば、水性のイオン性溶液)を用いて、「すぐに使用できる」止血調製物に再構成され得る。好ましくは、「すぐに使用できる」調製物は、ヒドロゲルとして存在するか、または提供される。この種類の生成物は、異なるフォーマットにおいてではあるが、当該分野における原理において公知であり、通常、構成要素は、別個の実体として乾燥形態で提供される。患者への投与のために構成要素を混合する前に、乾燥構成要素は、通常、別個に、薬学的に受容可能な希釈剤と接触させられる。次に、別個に再構成された構成要素を混合することによって、構成要素の混合が実施される。
【0064】
安定性の理由で、そのような生成物(ならびに本発明に従う生成物)は、通常、乾燥形態で提供され、使用の直前に「すぐに使用できる」形態(それは、通常、(ヒドロ−)ゲル、懸濁物、または溶液の形態である)に至らせられ、湿潤剤または溶媒和(懸濁)剤の添加を必要とする。
【0065】
本発明に従って、止血組成物は、最終容器において、乾燥形態で提供される。乾燥形態において、構成要素についての分解または不活性化プロセスは、保存安定性を可能にするために、有意にかつ適切に減少させられる。
【0066】
本発明に従う乾燥止血組成物は、通常、乾燥組成物を薬学的に受容可能な希釈剤と接触させることによって、使用前に再構成(再水和)される。そのような薬学的に受容可能な希釈剤は、本発明に従うキット(止血組成物を伴う)の一部であり得る。本発明に従う希釈剤は、乾燥止血組成物のための任意の適切な再構成媒体(「再構成溶液」または「再水和媒体」)であり得、これは、乾燥組成物の適切な湿潤を可能にする。好ましくは、乾燥止血組成物は、「すぐに使用できる」フォーマットとしてヒドロゲルの中に再構成される。
【0067】
適切な希釈剤は、薬学的に受容可能な水性流体、例えば、医薬品グレードの脱イオン水(全てのイオン構成要素またはバッファー構成要素が、乾燥組成物中にすでに提供されている場合;「注射用水」)、または特定のイオンおよび/もしくはバッファーを含む医薬品グレードの水性溶液である。好ましくは、希釈剤は、NaCl、CaCl
2、および酢酸ナトリウム(または、もちろんそれらの混合物)からなる群から選択される物質を含む。
【0068】
例えば、適切な希釈剤は、注射用水、ならびに互いに独立して、50mM〜200mMのNaCl(好ましくは、150mM)、10mM〜80mMのCaCl
2(好ましくは、40mM)、および1mM〜50mMの酢酸ナトリウム(好ましくは、20mM)を含む。好ましくは、希釈剤はまた、再構成された乾燥組成物のpHを、好ましくは3.0〜10.0のpH、より好ましくは6.4〜7.5のpH、特に、6.9〜7.1のpHに緩衝するために、バッファーまたはバッファー系を含み得る。
【0069】
好ましい実施形態に従って、希釈剤は、好ましくは10I.U.トロンビン/ml〜1000I.U.トロンビン/ml、特に、250I.U.トロンビン/ml〜700I.U.トロンビン/mlのトロンビンをさらに含む。好ましくは、このすぐに使用できる形態における止血組成物は、10国際単位(I.U.)〜100,000国際単位(I.U.)のトロンビン、より好ましくは100I.U.〜10,000I.U.のトロンビン、特に、500I.U.〜5,000I.U.のトロンビンを含む。すぐに使用できる組成物中のトロンビン濃度は、好ましくは10I.U.〜10,000I.U.の範囲、より好ましくは50I.U.〜5,000I.U.の範囲、特に、100I.U./ml〜1,000I.U./mlの範囲である。希釈剤は、すぐに使用できる組成物において所望の最終濃度を達成する量で使用される。トロンビン調製物は、他の有用な構成要素(例えば、イオン、バッファー、賦形剤、安定剤など)を含み得る。
【0070】
これらの水性希釈剤は、他の成分(例えば、賦形剤)をさらに含み得る。「賦形剤」は、例えば、トロンビンが、保存(または(例えば、照射による)滅菌)の際に、その化学的安定性および生物学的活性を保持することを確実にするために、または審美的な理由(例えば、色)のために、溶液に加えられる不活性物質である。好ましい賦形剤としては、ヒトアルブミン、および酢酸ナトリウムが挙げられる。再構成された生成物におけるヒトアルブミンの好ましい濃度は、0.1mg/ml〜100mg/ml、好ましくは1mg/m〜10mg/mである。好ましい酢酸ナトリウム濃度は、1mg/ml〜10mg/ml、特に2mg/ml〜5mg/mlの範囲である。
【0071】
好ましくは、トロンビン調製物は、ヒトアルブミンを含む。好ましい塩は、NaClおよび/またはCaCl
2であり、両方は、トロンビンについて適用される通常の量および濃度で使用される(例えば、0.5%〜1.5%のNaCl(例えば、0.9%)および/または20mM〜80mMのCaCl
2(例えば、40mM))。
【0072】
好ましい実施形態において、薬学的に受容可能な希釈剤は、別個の容器において提供される。これは、好ましくは注射器であり得る。注射器中の希釈剤は、次に、本発明に従う乾燥止血組成物の再構成のために、最終容器に容易に適用され得る。最終容器も注射器である場合、両方の注射器は、パック中に一緒に完成させられ得る。従って、上記乾燥した安定な止血組成物を再構成するために、薬学的に受容可能な希釈剤を有する希釈剤注射器で完成させられた注射器中に、本発明に従う乾燥止血組成物を提供することが好ましい。
【0073】
好ましい実施形態に従って、最終容器は、滅菌する放射線に曝される場合、ポリマーの修飾を阻害するのに有効な量の安定剤をさらに含み、好ましくはアスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸の他の塩、または抗酸化剤である。
【0074】
別の局面に従って、本発明は、本発明に従う止血組成物を患者の身体における標的部位に送達する方法も提供し、上記方法は、本発明に従うプロセスによって生成される止血組成物を標的部位に送達することを含む。特定の実施形態において、乾燥組成物はまた、標的部位に直接適用され得る(および必要である場合、必要に応じて、標的部位において希釈剤と接触させられる)が、湿潤にされた形態、特にヒドロゲル形態で止血組成物を得るために、標的部位に投与する前に乾燥止血組成物を薬学的に受容可能な希釈剤と接触させることが好ましい。
【0075】
本発明はまた、本発明に従うプロセスによって得られる完成した最終容器を指す。この完成した容器は、滅菌で保存安定性の売買可能な形態での、組み合わせられた構成要素を含む。最終容器は、薬学的に投与可能な化合物を収容(および保存)するのに適した任意の容器であり得る。注射器、バイアル、チューブなどが使用され得るが、本発明に従う止血組成物を注射器中に提供することは、特に好ましい。注射器は、医療行為における注射器の取り扱いの利点に起因して、先行技術にも開示されるように、止血組成物のための好ましい投与手段である。次に、組成物は、好ましくは、注射器の特定の針を介して、または適切なカテーテルを介して(再構成後に)適用され得る。再構成された止血組成物(それは、好ましくは再構成されて、ヒドロゲルを形成する)はまた、種々の他の手段よって、例えば、スパチュラ、ブラシ、スプレーによって、圧力によって手動で、または任意の他の従来の技術によって適用され得る。スプレーによる患者への再構成された止血組成物の投与が特に好ましい。通常、本発明に従う再構成された止血組成物は、再構成された組成物をオリフィス、アパーチャ、針、チューブ、もしくは他の通路を通して押出して、材料のビーズ、層、もしくは同様の部分を形成することができる注射器または同様のアプリケーターを用いて適用される。組成物の機械的破壊は、注射器または他のアプリケーターにおけるオリフィスを通して押出されることによって実施され得、代表的に、0.01mm〜5.0mm、好ましくは0.5mm〜2.5mmの範囲のサイズを有する。しかし、好ましくは、止血組成物は、最初に、所望の粒径を有する乾燥形態から調製される(それは、特に水和による再構成の際に、必須のサイズのサブユニット(例えば、ヒドロゲルサブユニット)を生じる)か、または最終押出し、もしくは他の適用ステップの前に、必須のサイズに部分的もしくは完全に機械的に破壊させられる。これらの機械的構成要素が、ヒト使用のための安全性の必要条件を満たすために、滅菌形態(内側および外側)で提供されなければならないことは、もちろん明白である。
【0076】
本発明の別の局面は、すぐに使用できる止血組成物を提供する方法に関し、上記方法は、本発明に従うプロセスによって生成される止血組成物を薬学的に受容可能な希釈剤と接触させることを含む。
【0077】
本発明はまた、キットに関し、上記キットは、完成した形態での本発明に従う乾燥した安定な止血組成物と、適切な希釈剤を有する容器とを含む。キットのさらなる構成要素は、使用のための指示、投与手段(例えば、注射器、カテーテル、ブラシなど(組成物が投与手段の中にすでに提供されていない場合))、または医療(外科手術)行為における使用に必要な他の構成要素(例えば、代わりの針もしくはカテーテル、余分なバイアル、またはさらなる創傷被覆手段)であり得る。好ましくは、本発明に従うキットは、乾燥した安定な止血組成物を収容する注射器と、希釈剤を含む(または別の希釈剤容器から希釈剤を吸収するために提供される)注射器とを含む。好ましくは、これらの2つの注射器は、互いに適合される形態で提供され、その結果、希釈剤は、再構成された組成物を投与するための出口以外の、別の入口によって乾燥止血組成物に送達され得る。
【0078】
従って、本発明に従う止血組成物のすぐに使用できる形態を提供する方法は、本発明の好ましい実施形態であり、止血組成物は、第1の注射器において提供され、再構成のための希釈剤は、第2の注射器において提供され、第1および第2の注射器は、互いに接続され、希釈剤は、止血組成物の流動性形態を生成するために第1の注射器の中にもたらされ、必要に応じて、少なくとも1回、止血組成物の流動性形態を第2の注射器に戻す。このプロセス(「噴射(swooshing)」とも称される)により、本発明に従う組成物の適切な「すぐに使用できる」形態が提供され、この形態はまた、短い時間内(例えば、外科手術中の緊急な状況)に、容易に、および効率的に作製され得る。そのような方法によって提供される止血組成物のこの流動性形態は、創傷、出血、損傷を受けた組織、出血している組織、および/または骨の欠陥からなる群から選択される損傷の処置における使用に特に適している。
【0079】
本発明は、下の実施例および図面において、それらに限定されることなくさらに記載される。
【実施例】
【0080】
実施例1:中性混合物
特定の量の架橋ゼラチン粒子を20wt%のNHS−PEGと混合することによって、混合物を調製した。代表的に、両方の構成要素の均質な混合物を得るために、転倒型ミキサーを用いて、少なくとも30分間、50mlの試験管中6gのゼラチン粒子を1.2gのNHS−PEGと混合した。得られた混合物から、5mlの注射器中0.96gを量った。出血部位への適用前に粉末構成要素を水和するために、雌ルアーコネクターを有する5mlの注射器中3.5mlの食塩水溶液を希釈剤として使用した。
【0081】
希釈剤との微粒子構成要素の水和を、両方の注射器の接続し、希釈剤をゼラチンで満たされた注射器に移すこと(transforming)によって達成した。均質な生成物を得るために、注射器の内容物を少なくとも21回押して、行ったり来たりさせた。水和後、得られた生成物を2分間水和させた。得られた生成物を雄ルアーを有する注射器に取り付けられている適切なアプリケーターの先端を用いて、出血している創傷に適用した。
【0082】
実施例2:塩基性混合物
より速い反応性の流動性止血剤を得るために、実施例1に記載される混合物を、希釈剤として9.5のpHを有する3.5mlの塩基性バッファーを用いることによって水和した。
【0083】
得られた生成物を、2分間水和させ、出血している創傷に適用した。
【0084】
実施例3:酸性混合物
延長された安定性を有する反応性の流動性止血剤を得るために、実施例1に記載される混合物を、希釈剤として、1MのHClで1.5に調整されたpHを有する3.5mlの食塩水溶液で水和した。
【0085】
得られた生成物を、2分間水和させ、出血している創傷に適用した。
【0086】
実施例4:インビボ研究
実施例1の調製物を、穿孔状態のヘパリン化動物(ブタ)または生検肝臓病変において止血効力について試験した。一連の各病変を、注射器からアプリケーターの先端を通って適用される生成物を用いて、局所的に処置した。試験生成物を病変に接近させることを助けるために湿らせられたガーゼを使用し、タイマーを開始した。食塩水で湿らせた隣接ガーゼを、30秒後に除去し、出血の度合いを、試験物品を適用した30秒後、1分後、2分後、5分後、および10分後に評価した。活発な出血なく血液で飽和状態になった生成物を0と記録した。過剰な試験物品を灌注するために、5分後の評価の後に病変から離して食塩水溶液を使用した。5分後の評価における選択された製剤の性能を
図1に示す。