特許第6195579号(P6195579)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6195579アフィニティークロマトグラフィーIVによる抗体及びFc融合タンパク質精製のためのリガンド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6195579
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】アフィニティークロマトグラフィーIVによる抗体及びFc融合タンパク質精製のためのリガンド
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/12 20060101AFI20170904BHJP
   C07K 1/22 20060101ALI20170904BHJP
   C07D 417/14 20060101ALI20170904BHJP
   C07D 417/12 20060101ALI20170904BHJP
   C07D 407/14 20060101ALI20170904BHJP
   G01N 30/88 20060101ALI20170904BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
   C07D403/12
   C07K1/22
   C07D417/14
   C07D417/12
   C07D407/14
   G01N30/88 201R
   G01N30/88 101S
   G01N30/88 101M
   G01N30/88 101T
   G01N30/88 101K
   G01N30/88 J
   G01N30/88 201X
   G01N33/50 U
【請求項の数】23
【全頁数】81
(21)【出願番号】特願2014-556076(P2014-556076)
(86)(22)【出願日】2013年2月8日
(65)【公表番号】特表2015-509486(P2015-509486A)
(43)【公表日】2015年3月30日
(86)【国際出願番号】EP2013052564
(87)【国際公開番号】WO2013117707
(87)【国際公開日】20130815
【審査請求日】2016年1月27日
(31)【優先権主張番号】12154471.2
(32)【優先日】2012年2月8日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515086850
【氏名又は名称】ノファリクス ドイチェラント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】ビッターマン,ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】アルノルト,マルク
(72)【発明者】
【氏名】ノイマン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】オット,インゲ
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ゼクル,レナーテ
【審査官】 中村 勇介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2001/083515(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/017021(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/020080(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K1/00−19/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体または抗体フラグメントのアフィニティー精製のための、支持材料と、支持材料に共有結合している少なくとも1つのリガンドとを備え、前記抗体または前記抗体フラグメントのFc部分に結合するリガンド置換マトリクスの使用であって、前記リガンドが式(I)で表される、使用。
【化1】
ここで、
Lは、リガンドが付着している支持材料の連結点である;
Spは、スペーサ基である;
vは、0または1である;
Amはアミド基−NR1−C(O)−であり、ここでNR1がAr1に付着しかつ−C(O)−がAr2に付着しているか、−C(O)−がAr1に付着しかつNR1がAr2に付着しているかのいずれかである;
1は水素またはメチルである
Ar1は、イミダゾール、ベンゼン、ピリジン、2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾール及びトリアゾールから選択される5または6員環の単核芳香環または部分的に飽和の芳香環であって、化学結合を介してSpまたはLと接続されるものであり、さらに任意には、
(a)ベンゼンに化学結合を介して付着している;または、
(b)多核環系の一部として、ベンゼンに縮合している;
ここで、Ar1は、Ar1を構成する5または6員環の単核芳香環または部分的に飽和の芳香環に存在する化学結合を介してAmと直接的に接続しているか、Ar1に付着している前記ベンゼン環に存在する化学結合、またはAr1に縮合している前記ベンゼン環における化学結合を介してAmと間接的に接続しているかのいずれかであって;
Ar1は、さらなる置換がされていないか、または、メチル、エチル、プロピル、メトキシ、エトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ;シクロプロピル、ヒドロキシメチル、−NO2、=O、=S;及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの置換基付着しているかのいずれかであり;
Ar2は、N、S、Oから選択される少なくとも1つの原子を含む5員環単核芳香環であって、無置換であるか、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、シクロプロピル、ヒドロキシメチル、t−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、フルオロ、クロロ、カルバモイル、エチルチオ、メチルチオ5または6員環単核芳香環及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの置換基化学結合を介して付着したものであり;任意には、Ar2は、上記のように化学結合を介して付着していてもよい前記置換基に加えて、多核環系の一部としてベンゼンまたはチアゾールと縮合している。
【請求項2】
前記式(I)で表される前記リガンドのR1が水素である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記式(I)で表される前記リガンドのAr2が、N、Sから選択される少なくとも1つの原子を含む5員環単核芳香環である、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記式(I)で表される前記リガンドのAr2が、メチル、エチル、メトキシ、エチルチオ及びシクロプロピルから選択される少なくとも1つの置換基が化学結合を介して付着した前記5員環単核芳香環である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用であって、
Ar1は、ベンゾイミダゾール、2,3−ジヒドロベンゾイミダゾール、ピリジン及び4−トリアゾリルベンゼンから選択され;
Ar1は、ベンゾイミダゾールの1または2位、2,3−ジヒドロベンゾイミダゾールの1位、ピリジンの2位または4−トリアゾリルベンゼンのトリアゾール部の1位に付着する化学結合を介して、SpまたはLに接続し;
Ar1は、ベンゾイミダゾールの5または6位、2,3−ジヒドロベンゾイミダゾールの5または6位、ピリジンの5位または4−トリアゾリルベンゼンのトリアゾール部の4位に付着する化学結合を介して、Amに接続し;
Ar1は、さらなる置換がされていないか、または、メチル、エチル、メトキシ、=S及び=O;及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの置換基付着しているかのいずれかであり;
Ar2は1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール及びチアゾールから選択される5員環単核芳香環であって、無置換であるか、または、メチル、エチル、メトキシ、エチルチオ、及びシクロプロピル;ピリジン、フラン、イソオキサゾール、オキサゾール、イソチアゾール、チアゾールから選択される5または6員環単核芳香環;及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの置換基化学結合を介して付着したものである、使用。
【請求項6】
前記支持材料が、炭水化物または架橋炭水化物、合成ポリマー、無機材料及び複合材料から選択される材料を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
前記炭水化物または架橋炭水化物が、アガロース、セルロース、デキストラン、デンプン、アルギン酸塩及びカラギーナン、セファロース、セファデックスから選択される少なくとも1つの炭水化物または架橋炭水化物である、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記合成ポリマーが、ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、ポリアクリラート、PEG−ポリアクリラートコポリマー、ポリメタクリラート、ポリビニルアルコール、ポリアミド及びパーフルオロカーボンから選択される少なくとも1つの合成ポリマーである、請求項6に記載の使用。
【請求項9】
前記無機材料が、ガラス、シリカ及び金属酸化物のような無機マトリクスから選択される少なくとも1つの無機材料である、請求項6に記載の使用。
【請求項10】
前記抗体がIgGタイプの抗体またはFc融合タンパク質である、請求項1〜のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
前記Fcフラグメントもしくはドメインまたは前記抗体が、IgG抗体クラスのものである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
前記Fcフラグメントもしくはドメインまたは前記抗体が、ヒトIgG、またはヒト由来ポリクローナルあるいはモノクローナルIgGである、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記Fcフラグメントもしくはドメインまたは前記抗体が、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4である、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に定義されるリガンド置換マトリクス。
【請求項15】
請求項14に記載のリガンド置換マトリクスを合成する方法であって、請求項1〜のいずれか1項に特定される式(I)に従うリガンドを前記支持材料に付着させる方法。
【請求項16】
タンパク質のアフィニティー精製方法であって、精製されるタンパク質を、請求項1〜15のいずれか1項に定義されるリガンド置換マトリクスと接触させる方法。
【請求項17】
前記タンパク質のアフィニティー精製方法が、アフィニティークロマトグラフィーのための方法である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記タンパク質が抗体またはFc融合タンパク質である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
抗体または抗体フラグメントのFc部分に結合する、式(II)に示されるリガンドであって、Ar1、Ar2及びAmは請求項1〜5のいずれか1項に定義された意味を有し、SpPはスペーサ前駆体である、リガンド。
【化2】
【請求項20】
抗体または抗体フラグメントのFc部分に結合する、式(III)に示される構造要素を有するリガンドであって、Ar1、Ar2及びAmは請求項1〜5のいずれか1項に定義された意味を有する、リガンド。
【化3】
【請求項21】
請求項19または20に記載のリガンドの、抗体または抗体フラグメントのアフィニティー精製のための使用。
【請求項22】
前記アフィニティー精製が、前記リガンドを適切なマトリクスに付着させた後のアフィニティー精製である、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
前記マトリクスが、前記リガンドにFc部分を介して結合している少なくとも1つの抗体または抗体フラグメントをさらに含む、請求項14に記載のリガンド置換マトリクス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質の分離の分野に関し、好ましくは、アフィニティー分離技術、特に小分子リガンドを用いたクロマトグラフィーによる、モノクローナル及びポリクローナル抗体、並びに免疫グロブリンFcセグメントを含む融合タンパク質の精製の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫グロブリンは、ヒト及び他の脊椎動物の体液中に存在する可溶性タンパク質群である。これらは「抗体」とも呼ばれ、細胞の認識、結合、及び接着の過程において重要な役割を果たす。抗体は、抗原(通常は細菌やウイルス)を認識して排除することにより、免疫系において主要な役割を有するオリゴマー糖タンパク質である。
【0003】
抗体のポリマー鎖は、抗体がいわゆる重鎖及び軽鎖を含むように構成される。基本的な免疫グロブリン単位は、ジスルフィド橋で連結された2つの同一の重鎖及び2つの同一の軽鎖からなる。重鎖には5つのタイプ(α、γ、δ、ε、μ)があり、該タイプが免疫グロブリンクラス(IgA、IgG、IgD、IgE、IgM)を決定する。軽鎖群には2つのサブタイプ(λ及びκ)がある。
【0004】
IgGは、血液及び他の体液中に確認される可溶性抗体である。これらは、細菌または他の病原体に反応して、B細胞に由来する形質細胞により構築され、該細菌または他の病原体を中和する。IgGは、約150kDaの分子量を有するY字型の糖タンパク質であって、2つの重鎖及び2つの軽鎖により構成される。各鎖は、定常領域と可変領域とに区別される。重鎖の2つのカルボキシ末端領域は、Fcフラグメント(「定常フラグメント」)を形成し、重鎖及び軽鎖のアミノ末端領域は抗原を認識するものであり、Fabフラグメント(「抗原結合フラグメント」)と命名されている。
【0005】
Fc融合タンパク質は、抗体Fcフラグメントと、所与の薬剤標的のための特異性を提供するタンパク質またはタンパク質領域とを組み合わせることにより作製される。例として、領域抗体−Fc融合タンパク質が挙げられるが、このFcフラグメントの2つの重鎖は、特異抗体の重鎖(VH)または軽鎖(VL)のいずれかの可変領域に連結されている。他のFc融合タンパク質は、任意のタイプの治療用タンパク質またはタンパク質領域と、Fcフラグメントの組み合わせである。このFc部分は、タンパク質薬剤に安定性及び送達性を付加すると考えられている。
【0006】
治療用抗体及びFc融合タンパク質は、様々な疾病の治療に使用されるが、著名な例としては、関節リウマチ、乾癬、多発性硬化症、及び癌の多くの形態がある。治療用抗体はモノクローナル抗体でもよく、ポリクローナル抗体でもよい。モノクローナル抗体は、単一の抗体産生細胞株に由来するものであり、単一抗原に対して同一の特異性を示す。癌について可能な治療には、腫瘍細胞特異抗原を中和する抗体が含まれる。ベバシズマブ(アバスチン、ジェネンテック社)はモノクローナル抗体であり、これは血管内皮増殖因子(VEGF)を中和し、それによって新生血管の腫瘍組織内への成長を防止する。
【0007】
治療用融合タンパク質、たとえばエタネルセプト(エンブレル、アムジェン社、TNF受容体領域がFcフラグメントに結合されている)またはアレファセプト(アメビブ、バイオジェン・アイデック社、LFA−3がヒトIgG1のFc部分に結合されている)が、自己免疫疾患に対する薬剤として使用または開発されている。
【0008】
タンパク質のバイオセパレーションは、様々な生物学的供給流からのタンパク質産物の回収及び精製に関し、食品、製薬、及びバイオテクノロジー産業において重要な単位操作である。ますます多くの治療用モノクローナル抗体(Mab)及び融合タンパク質が市場に参入してきており、または現在臨床開発中である。このようなタンパク質は、綿密な多段階精製手順により達成される極めて高い純度を必要とする。下流の処理及び精製が製造コストの約50〜80%を占めており、そのため、新規な精製戦略の開発、または既存の精製戦略の改良のために、相当な努力が行われている(1)。
【0009】
アフィニティークロマトグラフィーは、タンパク質精製のための最も有効なクロマトグラフィー法の1つである。それは非常に特異なタンパク質−リガンド相互作用に基づく。該リガンドは、供給原料溶液から標的タンパク質を捕捉するために使用される固定相に、共有結合によって固定化される。アフィニティーリガンドは、高い特異性及び選択性によりその標的と結合することができ、複雑な混合物からであっても、高い収率で1000倍に至るまでの高濃縮を可能にする。
【0010】
典型的には、プロテインAによるアフィニティークロマトグラフィーが、ほとんどのMab及びFc融合タンパク質の精製工程における第1段階である。プロテインAは、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の表面に露出した細胞壁結合タンパク質である。これはナノモルの親和性で、様々な種からの免疫グロブリン、特にヒトのサブタイプIgG1、IgG2、及びIgG4の定常部(Fc領域)に結合する(2)。しかしながら、消毒及び定置洗浄工程に適用される過酷な条件下では、生成物中に浸出し、安定性に乏しいため、プロテインAの使用が制限される。プロテインAの化学的安定性は、Mab精製のために遺伝子操作されたプロテインA変異体を用いることにより改善され得る。もっとも、プロテインA樹脂は高コストであるため、適当な代替品、特に小分子から選択される代替品が探求されている。
【0011】
Mabsorbent A2P(プロメティック・バイオサイエンス社)は、免疫グロブリン精製のための小分子リガンドである。しかしながら、該リガンドは適切な選択性を示さず(3)、プロセスクロマトグラフィーに適用されない。
【0012】
別の手法では、抗体精製の最初の捕捉段階として混合モードクロマトグラフィーが使用される。最も一般的な材料は、固定化された2−メルカプトエチルピリジン(MEP HyperCel、ポール・コーポレーション)に基づくものであり、これは発酵ブロスから効果的にIgGを捕捉するが、プロテインAと比較すると、低い宿主細胞タンパク質(HCP)除去率を示す(4)。
【0013】
合成小分子アフィニティーリガンドは、通常、化学的安定性が高く、製造コストが低いので、治療用タンパク質精製にとって特に注目されている。タンパク質ベースのリガンドと比較してより利用しやすく、好ましくはより安価で、厳しい条件下においてプロテインAより堅牢で、プロテインAと同等またはそれ以上の選択性を有する合成アフィニティーリガンドは、抗体及びFc融合タンパク質の精製において適切な解法を提供すると考えられる。このようなアフィニティーリガンドは、標的タンパク質に応じて、IgG型免疫グロブリン及びFc融合タンパク質の定常Fc領域を認識するため、好ましくはプロテインAと同様の広範な適用可能性を提供すると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の基礎となる課題は、抗体およびFc融合タンパク質のFc領域に結合する小型のアフィニティーリガンド(化合物)を提供することである。好ましくは、小型のアフィニティーリガンドは、マトリクスへの結合に適用可能となる。本発明のさらに基礎となる課題は、抗体及びFc融合タンパク質のFc領域に結合する小型のアフィニティーリガンドを備えたマトリクスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本課題は、以下に展開される本発明の実施形態により解決される。
【0016】
本発明は、タンパク質(好ましくは、抗体または抗体フラグメント)のアフィニティー精製のための、支持材料と、支持材料に共有結合している少なくとも1つのリガンドとを備えたリガンド置換マトリクスの使用に関し、本発明に従う該リガンド置換マトリクスまたは本発明に従う該リガンドは、それぞれ式(I)で表される。
【化1】
ここで、
Lは、リガンドが付着している支持材料の連結点である;
Spは、スペーサ基である;
vは、0または1である;
Amはアミド基−NR1−C(O)−であり、ここでNR1がAr1に付着しかつ−C(O)−がAr2に付着しているか、−C(O)−がAr1に付着しかつNR1がAr2に付着しているかのいずれかである;
1は水素またはC1〜C4アルキルであり、より好ましくは水素またはメチルであり、最も好ましくは水素である;
Ar1は5、6または7員環の単核芳香環または部分的に飽和の芳香環であって、化学結合を介してSpまたはLと接続されるものでありており、さらに任意には、
(a)さらなる5または6員環単核芳香環に、化学結合を介して付着している;また は、
(b)多核環系の一部として、単核または2核芳香環に縮合している;
ここで、Ar1は、Ar1を構成する前記5、6または7員環芳香環における化学結合を介してAmと直接的に接続しているか、Ar1に付着している前記さらなる5または6員環芳香環における化学結合、またはAr1に縮合している前記さらなる5または6員環芳香環における化学結合を介してAmと間接的に接続しているかのいずれかであって;
Ar1は、さらなる置換がされていないか、C1〜C4アルキル;C3及びC4シクロアルキル;C2〜C4アルケニル;C2〜C4アルキニル;ハロゲン;C1〜C4ハロアルキル;ヒドロキシ置換C1〜C4アルキル;C1〜C4アルコキシ;ヒドロキシ置換C1〜C4アルコキシ;ハロゲン置換C1〜C4アルコキシ;C1〜C4アルキルアミノ;C1〜C4アルキルチオ;−NO2;=O;=S;=NH;−OH;及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの置換基に付着しているかのいずれかである;
Ar2は5または6員環単核芳香環であって、無置換であるか、C1〜C6アルキル;C3〜C6シクロアルキル;C2〜C6アルケニル;C5及びC6シクロアルケニル;C2〜C6アルキニル;aハロゲン;C1〜C6ハロアルキル;ヒドロキシ置換C1〜C6アルキル;C1〜C6アルコキシ;ヒドロキシ置換C1〜C6アルコキシ;ハロゲン置換C1〜C6アルコキシ;C1〜C6アルキルアミノ;C1〜C6アルキルチオ;カルバモイル;C1〜C4アルキレンジオキシ、好ましくはメチレンジオキシ及びエチレンジオキシ;−OH;−SH;及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの置換基に化学結合を介して付着しており;任意には、Ar2は、上記のようにそれが化学結合を介して付着してもよい前記置換基に加えて、多核環系の一部として5または6員環単核芳香環と縮合している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
式(I)は本発明に従うリガンドまたは本発明に従うリガンド置換マトリクスを表してもよい。Lが本発明の支持材料/マトリクスの一部であると見なされる場合には、式(I)はリガンド置換マトリクスを表す。Lが本発明の支持材料/マトリクスの一部であると見なされない場合には、式(I)はマトリクスに付着した後のリガンドを表す。本発明の文脈では、式(I)は好ましくはマトリクスへの付着後のリガンドを表す。この解釈では、本発明に従う、支持材料/マトリクスに付着する前のリガンドは、好ましくは式(II)により表される(下記参照)。
【0018】
本発明の一実施形態では、式(I)に従う本発明に従う(支持材料/マトリクスに付着した後の)リガンド、または本発明のリガンド置換支持材料/マトリクスのそれぞれは、式(Ia)の構造を有する。本発明のさらなる実施形態では、式(I)に従う本発明に従う(支持材料/マトリクスへの付着後の)リガンド、または本発明のリガンド置換支持材料/マトリクスのそれぞれは、式(Ib)の構造を有する。式(Ia)及び(Ib)のいずれにおいても、L、Sp、N、R1、Ar1及びAr2、並びに整数vは、式(I)について上記で定義された意味を有する。
【化2】
【0019】
本発明に従うリガンドは、ヒト由来ポリクローナル及びモノクローナルIgG、特にヒトIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4、並びにウサギおよびマウス免疫グロブリンのような様々な動物種由来のポリクローナル及びモノクローナルIgGと結合する。
【0020】
Lが支持材料/マトリクス上の適切な成分である場合、該リガンド置換マトリクスは式(Ic)のようにも示されることができ、ここでMは該マトリクス/支持材料であり、他の変数は式(I)について説明された意味を有する。
【化3】
【0021】
本発明は、リガンド置換マトリクス、及び、任意にはスペーサ基Spを介して、連結ポイントLにおいてマトリクスに付着する前及び後のリガンド(「化合物」とも称する)にも関する。該マトリクスは支持材料を備えている。すなわち、該マトリクスは完全に該支持材料により構成されているか、該支持材料がマトリクスの一部を形成し、該マトリクスは該支持材料に加えての成分を備えている。
【0022】
本発明は、本発明の文脈において特定されるリガンド置換マトリクスをも含み、ここで該マトリクスがリガンドに結合された少なくとも1つのタンパク質、好ましくは抗体または抗体フラグメントをさらに備える。該抗体または抗体フラグメントは、好ましくは、IgGタイプの抗体またはFc融合タンパク質である。さらに好ましい実施形態では、該リガンドは該抗体または該融合タンパク質のFcフラグメントまたはドメインに結合する。さらに好ましい実施形態では、該Fcフラグメントまたはドメインまたは該抗体は、IgG抗体クラスのものであり、より好ましくはヒトIgG、またはヒト由来ポリクローナルあるいはモノクローナルIgG、特にIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4のものである。
【0023】
したがって、本発明はリガンドすなわち化合物を備え、該化合物はタンパク質、好ましくは抗体または抗体フラグメントを結合し、支持材料/マトリクスに付着する前の該リガンドすなわち化合物は、以下の式を有する。
【化4】
ここで、L、v、Ar1、Am及びAr2は、式(I)について以下に定義された意味を有し、SpPは以下に明示されるスペーサ前駆体である。本発明はさらに、好ましくは本出願で特定される適切なマトリクスにリガンドを付着させた後の、抗体または抗体フラグメントのアフィニティー精製のためのリガンドの使用についても示す。
【0024】
式(I)におけるvが0の場合には、リガンドはLに直接的に結合している、または結合することとなる。他の実施形態では、リガンドはスペーサ基Spを介して支持材料に結合されている。これは、式(I)におけるvが0でない場合に適合する。
【0025】
上記式(I)におけるLは連結点(linking point)であり、「付着点(point of attachment)」とも称される。当業者は、適切な連結点/付着点を把握している。
【0026】
連結点Lは、リガンド/化合物と直接的に接続されるか、スペーサを介して接続されるかのいずれかであることが理解される。Lは支持材料上の適切な成分であり、該支持材料は、本発明のリガンドを該支持材料に連結するのに適している。適切な成分は、当業者にとって既知である。通常、Lは、支持材料における適切な官能基と、該リガンドの前駆体化合物における対応する官能基との反応により、マトリクス結合リガンドを形成する反応の結果生じる対象の一部であるか、該対象の一部であってもよい。本発明の一実施形態では、該リガンドの前駆体化合物(支持マトリクスと反応し、リガンド置換マトリクスを形成する)は、スペーサ前駆体を備える。「スペーサ前駆体」は、該リガンド置換マトリクスが形成された後に残るスペーサ部分を形成する化学成分であり、支持材料における適切な基(前駆体基)と反応することによって連結点Lを形成するための適切な官能基(前駆体基)を含む(下記参照)。該リガンドの前駆体化合物がスペーサ前駆体を含まない場合(そのため、支持材料と結合を介して直接的に接続される場合)、適切な官能基(前駆体基)はリガンド自身に付着する。
【0027】
好ましい一実施家体では、Lは結合、好ましくは単結合を介して、式(I)に従うリガンドに直接的に接続される。Lが支持材料上の成分である場合には、結合されたリガンドは該支持材料にLを介して接続する。この文脈において、用語「支持材料」は、当業者にとって既知の、市販のポリマーであって、本発明の目的に適したポリマーに関する。
【0028】
本発明に従うリガンドは、以下の構造単位を含む。
【化5】
ここで、式(III)のAr1、Am及びAr2は、式(I)及び(II)について以下及び本明細書の他の部分及び実施例に定義された意味及び好ましい意味を有する。(III)に示された構造単位は、支持材料/マトリクスに付着した後及び支持材料/マトリクスに付着する前のリガンドにおいて存在する。
【0029】
式(I)に示される、及び/または式(II)に示される、または式(III)に示される構造単位を含むリガンドは、タンパク質に結合し、好ましくは抗体に結合し、好ましくはIgGタイプの抗体及びFc融合タンパク質、より好ましくは該抗体または該融合タンパク質のFcフラグメントまたはドメインに結合し、最も好ましくは、該Fcフラグメントまたはドメインまたは該抗体は、IgG抗体クラスのものであり、より好ましくはヒトIgG、またはヒト由来ポリクローナルあるいはモノクローナルIgG、特にIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4のものである。
【0030】
好ましい実施形態では、上記で定義されたリガンドは、支持材料/マトリクスに付着した後及び支持材料/マトリクスに付着する前に、上記で定義されたタンパク質に結合する。
【0031】
さらなる実施形態では、本発明はタンパク質、好ましくは抗体または抗体フラグメントのアフィニティー精製のための、式(Ia)、(Ib)及び(Ic)を含む式(I)及び/または式(II)に示される、及び/または式(III)に示される構造単位を含むリガンドの使用に関し、ここでL、Sp、SpP、Am、Ar1、Ar2、R1及びvは、式(I)、(Ia)、(Ib)(Ic)、(II)及び/または(III)について定義された、並びに/または本明細書及び実施例において、特に好ましい実施形態について定義された意味を有する。本実施形態では、タンパク質、抗体または抗体フラグメントは、好ましくは、式(I)、(II)及び(III)について予め適した特性を有する。本実施形態では、リガンドはマトリクスに付着していても、マトリクスに付着していなくてもよいが、好ましくは、本実施形態では、リガンドはマトリクスに付着している。
【0032】
本発明の文脈における「結合(bond)」は、好ましくは共有化学結合であり、例えば単結合、二重結合または三重結合であって、好ましくは単結合である。
【0033】
好ましい実施形態では、Lは官能基または化学成分であり、本発明のリガンドを支持材料/マトリクスに付着させる前に支持材料それ自体上に存在しているか、本発明のリガンドを支持材料/マトリクスに付着させる過程において化学反応中に形成されるか(「新たな官能基」)のいずれかである。
【0034】
通常、支持材料は分子、好ましくは本発明のリガンドを付着させるための官能基を備えている。本発明の文脈において、官能基は支持材料の一部と見なされる。これは、本発明のリガンドが支持材料に結合を介して接続する場合(すなわち、スペーサ基Spが存在せず、Lがリガンドに結合を介して直接的に接続する場合。下記参照)においても適合し、前記官能基が結合に変換される際、本発明に従う各リガンドと、分子を支持材料に付着させるための前記官能基または前記支持材料自身のいずれかとの間に、結合が直接的に形成され、好ましくは単結合である。
【0035】
本発明に従うリガンドと分子を支持材料に付着させるための官能基との間に、結合が直接的に形成される場合には、前記官能基は、後で支持材料に付着する新たな官能基に相互変換されてもよい。本発明の文脈において、該新たな官能基は支持材料の一部と見なされ、リガンドをマトリクスに結合を介して連結するLを形成し、好ましくは単結合である。
【0036】
支持材料上の適切な官能基(または「前駆体基」、すなわち、本発明に従うリガンドが付着する前に存在する基)、及び、リガンドが支持材料に直接的に結合することを可能とする本発明のリガンド上の適切な官能基は、限定されないが、互いに独立して、−OH、−SH、−NH2、>NH、メタンスルホナート、トリフルオロメチルスルホナート、アリールスルホナート、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、ホスホロアミダイト、エポキシド、N−ヒドロキシコハク酸イミジルカルボキシラート、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールカルボキシラート、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾールカルボキシラート、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、マレイミド、アクリラート、アクリルアミド、アルデヒド、ケトン、ヒドラジン、ヒドラジド、O−アルキルヒドロキシアミン、イソシアナート、イソチオシアナート、シアナート、チオシアナート、ビニルスルホンを含む。
【0037】
支持材料上に存在する官能基が、リガンドとの連結の際に相互変換してもよい官能基(「新たな官能基」)は、限定されないが、炭素−炭素単結合、炭素−窒素単結合、アリールアルキルエーテル、アリールアルキルチオエーテル、ジアリールエーテル、ジアリールチオエーテル、アリールアルキルアミン、アリールジアルキルアミン、アミド、ヒドラジド、スルホンアミド、スルホニルヒドラジド、N−アリールオキシアミド、N−アリールオキシスルホンアミド、ホスファート、リン酸アミド、リン酸ヒドラジド、N−アリールオキシリン酸アミド、ヒドラゾン、オキシム、ウレア、チオウレア、イソウレア、イミドカルボナート、イソチオウレア、イミドチオカルボナートを含む。
【0038】
本発明のさらなる実施形態では、Lはスペーサ基−Sp−に接続される。本実施形態では、Lは、支持材料上の適切な官能基の、スペーサ基Sp上の適切な官能基(または「前駆体基」)との反応により生じる結合または化学単位である。したがって、支持材料上の官能基と、スペーサ基Sp上の官能基(または「相補基」)との化学反応により、本発明に従うリガンドが、支持材料に連結点Lを介して接続する。
【0039】
スペーサ基Spは、好ましくは、C及びH原子に加えてさらなる原子を含んでいてもよい炭化水素基である。適切なさらなる原子は、当業者にとって既知である。好ましい原子は、O、S、N、P、Siを含む。該炭化水素基は、直鎖または分枝鎖または環状であってもよい。スペーサ基Spのより詳細な説明は、下記において提供される。Spは、本発明に従うリガンドのAr1に、単結合、二重結合または三重結合を介して連結され、好ましくは単結合を介して連結される。さらに、Spは官能基(前駆体基)に連結されており、該官能基によって本発明のリガンドは、新たな官能基(「最終官能基」、「最終化学成分」または結合単位とも呼ばれる)が形成される際の化学反応において、マトリクス上に存在する官能基(前駆体基)と共有結合により連結され得る。このような、支持材料上及びSp上に互いに独立して存在してもよい官能基(前駆体基)の例は、限定されないが、−OH、−SH、−NH2、>NH、メタンスルホナート、トリフルオロメチルスルホナート、アリールスルホナート、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、ホスホロアミダイト、エポキシド、N−ヒドロキシコハク酸イミジルカルボキシラート、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールカルボキシラート、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾールカルボキシラート、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、マレイミド、アクリラート、アクリルアミド、アルデヒド、ケトン、ヒドラジン、ヒドラジド、O−アルキルヒドロキシアミン、イソシアナート、イソチオシアナート、シアナート、チオシアナート、ビニルスルホンを含む。支持材料上の官能基と、スペーサSp上に存在する官能基との反応に由来する適切な接続単位の例は、制限されないが、炭素−炭素単結合、エーテル、アリールアルキルエーテル、アリールアルキルチオエーテル、ジアリールエーテル、チオエーテル、ジアリールチオエーテル、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アリールアルキルアミン、アリールジアルキルアミン、アミド、エステル、ヒドラジド、スルホンアミド、スルホニルヒドラジド、N−アリールオキシアミド、N−アリールオキシスルホンアミド、ホスファート、リン酸アミド、リン酸ヒドラジド、N−アリールオキシリン酸アミド、ヒドラゾン、オキシム、ウレア、チオウレア、イソウレア、イミドカルボナート、イソチオウレア、イミドチオカルボナートを含む。
【0040】
スペーサ基Spは、通常、式(I)に従うリガンドのAr1と、支持材料上に存在する官能基 (前駆体基)に化学反応を受けて、前述の最終官能基(接続単位)を形成することが可能な官能基 (前駆体基)とを接続する。通常は、Spは直鎖または分枝鎖の炭化水素であり、環状のサブユニットを包含していてもよい。該炭化水素は、飽和でも不飽和でもよい。すなわち、それは二重結合または三重結合を包含していてもよい。Spが直鎖の炭化水素である場合、1つのリガンド部分が支持材料上の1つの前駆体基と接続可能になる。これに対し、Spが分枝鎖の炭化水素である場合、1つを超えるリガンド部分が支持材料上の1つの前駆体基と接続可能になる。C及びHに加えて、該炭化水素はN、O、P及びSのような他の原子を含んでいてもよく、好ましくはN及びOを含んでいてもよい。該炭素鎖は、他の原子または原子群に割り込まれていてもよい。Spは、該炭化水素鎖に割り込んでいる異なる原子または原子群の組み合わせを含有していてもよい。該炭化水素の炭素鎖に割り込んでいてもよい原子または原子群の例は、−O−、>N−、−C(=O)N(H)−、−C(=O)N<、−O−P(=O)(−O−)2である。該炭化水素が、−N<(第三級アミノ)、−C(=O)−N<(第三級アミド)または−O−(P=O)(−O−)2(リン酸エステル)のような3価の原子または原子群により割り込まれた場合、前記原子群は、Spにおける1つを超えるリガンド接続サブユニットを、支持材料上に存在する官能基と化学反応して、最終的に前述の接続単位を形成することになる官能基を有するSpのサブユニットに接続する分枝点となってもよいことが理解される。Sp中に分枝点の導入を可能にしてもよい追加の適切な原子群としては、例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、アミノマロン酸、リジン、オルニチン及びジアミノプロピオン酸のような天然または非天然の3官能基アミノ酸を含む。これらの場合には、前記3価部分の官能基の1つが、支持材料上に存在する官能基と化学反応することを目的とする官能基となってもよい。通常、Spの全体の長さは100原子未満であり、好ましくは50原子未満であり、より好ましくは30原子未満である。Spが分枝鎖である場合には、該長さは、支持材料上の官能基と化学反応することを目的とする官能基を備えるSpと接続している原子から、Ar1部分に直接的に接続されている最も遠い原子までの距離により規定され、100原子未満であり、好ましくは50原子未満であり、より好ましくは40原子未満である。
【0041】
支持材料上に存在する化学基に化学反応を受けることを目的とする、炭素系官能基(FG)(例えば、カルボン酸、アルデヒド、エポキシド、カルボン酸活性エステルなど)に接続された直鎖Spの適切な成分の例は、制限されないが、以下を含む:
FG−(CH2n−(アルキレン)、ここで1≦n≦100、好ましくは1≦n≦50、より好ましくは1≦n≦30;
FG−(CH2n−O−(アルキレンオキシ)、ここで1≦n≦99、好ましくは1≦n≦49、より好ましくは1≦n≦29;
FG−(CH2n−N(H)−(アルキレンアミノ)、ここで1≦n≦99、好ましくは1≦n≦49、より好ましくは1≦n≦29;
FG−CH2(−O−CH2−CH2n−(オリゴエチレングリコール)、ここで1≦n≦30、好ましくは1≦n≦15、より好ましくは1≦n≦9;
FG−CH2(−O−CH2−CH2n−O−(オリゴエチレングリコリルオキシ)、ここで1≦n≦30、好ましくは1≦n≦15、より好ましくは1≦n≦9;
FG−CH2(−O−CH2−CH2n−N(H)−(オリゴエチレングリコリルアミノ)、ここで1≦n≦30、好ましくは1≦n≦15、より好ましくは1≦n≦9;
FG−CH2(−O−CH2−CH22−N(H)−C(=O)−CH2(−O−CH2−CH22−(アミドに割り込まれたオリゴエチレングリコール);
FG−CH2(−O−CH2−CH22−N(H)−C(=O)−CH2(−O−CH2−CH22−O−(アミドに割り込まれたオリゴエチレングリコリルオキシ);
FG−CH2(−O−CH2−CH22−N(H)−C(=O)−CH2(−O−CH2−CH22−N(H)−(アミドに割り込まれたオリゴエチレングリコリルアミノ)。
【0042】
支持材料上に存在する化学基に化学反応を受けることを目的とする、非炭素系官能基(FG)(例えば、NH2、OH、SH、塩素、臭素、ヨウ素、イソシアナート、イソチオシアナート)に接続された直鎖Spの適切な成分の例は、制限されないが、以下を含む:
FG−(CH2n−(アルキレン)、ここで1≦n≦100、好ましくは1≦n≦50、より好ましくは1≦n≦30;
FG−(CH2n−O−(アルキレンオキシ)、ここで1≦n≦99、好ましくは1≦n≦49、より好ましくは1≦n≦29;
FG−(CH2n−N(H)−(アルキレンアミノ)、ここで1≦n≦99、好ましくは1≦n≦49、より好ましくは1≦n≦29;
FG−CH2CH2(−O−CH2−CH2n−(オリゴエチレングリコール)、ここで1≦n≦30、好ましくは1≦n≦15、より好ましくは1≦n≦9;
FG−CH2CH2(−O−CH2−CH2n−O−(オリゴエチレングリコリルオキシ)、ここで1≦n≦30、好ましくは1≦n≦15、より好ましくは1≦n≦9;
FG−CH2CH2(−O−CH2−CH2n−N(H)−(オリゴエチレングリコリルアミノ)、ここで1≦n≦30、好ましくは1≦n≦15、より好ましくは1≦n≦9;
FG−CH2CH2(−O−CH2−CH22−N(H)−C(=O)−CH2(−O−CH2−CH22−(アミドに割り込まれたオリゴエチレングリコール);
FG−CH2CH2(−O−CH2−CH22−N(H)−C(=O)−CH2(−O−CH2−CH22−O−(アミドに割り込まれたオリゴエチレングリコリルオキシ);
FG−CH2CH2(−O−CH2−CH22−N(H)−C(=O)−CH2(−O−CH2−CH22−N(H)−(アミドに割り込まれたオリゴエチレングリコリルアミノ)。
【0043】
1つの官能基が、支持材料上に存在する官能基と反応することを目的とする官能基性を示す3官能基原子を含む分枝鎖Spの適切な成分の例は、制限されないが、以下を含む:
2N−C(H)(−C(=O)−N(H)−CH2CH2(−O−CH2CH22−)(−CH2−C(=O)−N(H)−CH2CH2(−O−CH2CH22−)(グルタミン酸ビス(3,5−ジオキサ−1−オクチル)アミド;NH2基が、支持材料上に存在する官能基と反応することを目的とする);
2N−C(H)(−C(=O)−N(H)−CH2CH2CH2−)(−CH2−C(=O)−N(H)−CH2CH2CH2−)グルタミン酸ビス(n−プロピル)アミド;NH2基が、支持材料上に存在する官能基と反応することを目的とする);
HO−C(=O)−C(H)(−N(H)−C(=O)−CH2(−O−CH2CH22−)(−CH2−N(H)−C(=O)−CH2(−O−CH2CH22−)(N,N’−ビス(3,5−ジオキサオクタノイル)ジアミノプロピオン酸;theカルボン酸基が、支持材料上に存在する官能基と反応することを目的とする);
【0044】
本発明の実施形態では、R1は以下より選択される:水素;及びC1〜C4アルキル,特に直鎖及び分枝鎖C1〜C4アルキルであり、シクロアルキル単位を含んでいてもよい。例えば、メチル,エチル,n−プロピル,i−プロピル,n−ブチル,i−ブチル,sec−ブチル,tert−ブチル,シクロプロピル,メチルシクロプロピル。
【0045】
好ましくは、R1は水素,エチル及びメチルより選択される。より好ましくは、R1は水素またはメチルである。最も好ましくは、R1は水素である。
【0046】
Ar1は脂環式もしくはヘテロ環式単核芳香環、または部分的に飽和の芳香環であって、5,6または7員環を有していてよい。Ar1は、SpまたはLに化学結合を介して接続される。Ar1のSpまたはLへの該結合は、単結合、二重結合または三重結合であり得る。好ましくは、該結合は単結合である。Ar1は、SpまたはLへの化学結合に加えて、置換基への結合を有し得る。
【0047】
Ar1がヘテロ環式芳香環または部分的に飽和のヘテロ環式芳香環である場合には、それはN、S及びOからなる群より選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含み、好ましくはN及びSからなる群より選択され、より好ましくは1つ以上のN原子を含む。これらすべての実施形態において、Ar1は好ましくは5または6員環である。
【0048】
Ar1がさらなる5または6員環単核芳香環に化学結合を介して付着していない場合、またはさらなる単核または2核芳香環系に縮合していない場合、Ar1は好ましくはの脂環式6員環芳香環(例えば、ベンゼン)またはN原子を有するヘテロ環式6員環(例えば、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン)である。この実施形態において、Ar1は好ましくはベンゼンまたはピリジンであり、ピリジンがより好ましい。
【0049】
一実施形態では、Ar1はさらなる5または6員環単核芳香環に化学結合を介して付着している。Ar1のさらなる5または6員環単核芳香環への該結合は、単結合または二重結合であり得る。好ましくは、該結合は単結合である。該さらなる5または6員環単核芳香環は、脂環式またはヘテロ環式であり得る。すなわち、それはN,O及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含み得る。
【0050】
Ar1が5または6員環単核芳香環に化学結合により付着している場合、Ar1は、好ましくはチアゾール、オキサゾール、イソチアゾール、イソオキサゾールまたはトリアゾールであり、トリアゾール及びチアゾールがより好ましい。Ar1に付着された該5または6員環は、好ましくはベンゼンまたはピリジンである。該ピリジンまたはベンゼン環は、無置換であってもよく、−OH、メチル、エチル、エトキシ、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、モノフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシの群より選択される少なくとも1つの成分により置換されていてもよい。5または6員環単核芳香環に付着されたAr1の好ましい単位は、4−トリアゾリルベンゼン、5−トリアゾリルベンゼン、2−チアゾリルベンゼン、4−チアゾリルベンゼン、5−チアゾリルベンゼン、2−オキサゾリルベンゼン、4−オキサゾリルベンゼン、5−オキサゾリルベンゼン、3−イソチアゾリルベンゼン、4−イソチアゾリルベンゼン、5−イソチアゾリルベンゼン、3−イソオキサゾリルベンゼン、4−イソオキサゾリルベンゼン、5−イソオキサゾリルベンゼン、3−イソチアゾリルベンゼン、4−イソチアゾリルベンゼン、5−イソチアゾリルベンゼンである。5または6員環単核芳香環に付着されたAr1のさらに好ましい単位は、トリアゾリルピリジン、チアゾリルピリジン、オキサゾリルピリジン、イソオキサゾリルピリジン、イソチアゾリルピリジンであり、該ピリジン単位は、Ar1の異なる位置に付着していてもよく、該ピリジンの窒素原子は異なる位置にあってもよい。5または6員環単核芳香環に付着されたAr1より好ましい単位は、4−トリアゾリルベンゼン、4−チアゾリルベンゼン、2−(4−チアゾリル)ピリジン及び3−(4−チアゾリル)ピリジンであり、4−トリアゾリルベンゼンが最も好ましい。
【0051】
本出願において、用語「部分的に飽和の芳香環」は、1つ以上の2重結合が単結合により置換された5、6または7員環芳香環を示す。該環は完全に飽和しておらず、すなわち、少なくとも2つのsp2原子が残存していることが理解される。該部分的に飽和の環系における1つ以上の原子は、=Oにより置換されていてもよい。
【0052】
他の実施形態では、Ar1は、多核芳香環系または部分的に飽和の多核環系の一部として、単核または2核芳香環系に縮合している。多核環系は、2核または3核環系であり、好ましくは2核環系である。
【0053】
本出願において、用語「部分的に飽和の多核環系」は、他の単核または2核芳香環に縮合し、1つ以上の2重結合が単結合により置換された5、6または7員環芳香環を示す。該環は完全に飽和しておらず、すなわち、少なくとも2つのsp2原子が残存していることが理解される。前記環が縮合している該芳香環系が不飽和である際には、該追加の環の一部でもあるAr1の部分的に飽和の環の、少なくともそれらの原子はsp2原子である。該部分的に飽和の環系における1つ以上の原子は、=Oにより置換されていてもよい。
【0054】
Ar1がさらなる単核または2核芳香環系に縮合している場合、Ar1は好ましくはイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、ピラゾール、ピロール、イミダゾリン、オキサゾリン、テトラヒドロピラジンまたはテトラヒドロ[1H]−1、4−オキサゼピンであり、イミダゾール、イミダゾリン及びピラゾールがより好ましく、イミダゾール及びイミダゾリンが最も好ましい。該さらなる芳香環系は、好ましくは単核である。該さらなる芳香環系は、好ましくはベンゼン、チオフェン、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、フラン、チアゾールまたはオキサゾールであり、ベンゼン、チオフェン及びピリジンがより好ましく、ベンゼンが最も好ましい好ましい、より好ましい及び最も好ましい該さらなる芳香環系は、無置換であってもよく、少なくとも1つの−OH、メチル、エチル、エトキシ、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、モノフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシからなる群より選択される成分であってもよい。さらなる芳香環系に縮合しているAr1より形成される単位は、2核または3核環系であり、好ましくは2核環系である。
【0055】
好ましい単位は、ベンゾイミダゾール、2−メチルベンゾイミダゾール、2−エチルベンゾイミダゾール、2−メトキシベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、2,3−ジヒドロ[1H]ベンゾイミダゾール−2−オン、インダゾール、1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン−2−3−オン、2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1、4]オキサゼピン−5−オン、ベンゾチアゾール及びベンゾオキサゾールであり、ベンゾイミダゾール、2−メチルベンゾイミダゾール、2−エチルベンゾイミダゾール、2−メトキシベンゾイミダゾール及び2,3−ジヒドロ[1H]ベンゾイミダゾール−2−オンがより好ましく、ベンゾイミダゾール及び2−メチルベンゾイミダゾールが最も好ましい。
【0056】
Ar1は、Ar1を構成している前記5、6または7員環芳香環または該部分的に飽和の芳香環上に存在する化学結合を介してAmに直接的に結合しているか、Ar1に付着している該さらなる5または6員環芳香環またはAr1に縮合している該さらなる芳香環上に存在する化学結合を介してAmに間接的に結合している。Ar1のAmへの直接的な結合は、前述の3つの選択肢の全てにおいて、すなわち、Ar1がさらなる5または6員環単核芳香環に付着するとき、Ar1が多核環系の一部としてさらなる5または6員環に付着するとき、またはこれら2つの選択肢が適用されないときに行われる。
【0057】
本発明のさらなる実施形態では、Ar1はさらなる置換がされていない。用語「さらなる置換がされていない」は、SpまたはLへの化学結合、及びAr1上に任意に存在する1つ以上の化学結合(これらは、Amへの任意の結合、さらなる5または6員環芳香環への結合及びAr1を芳香環に縮合させる結合から選択される)を除いて、上記に特定された結合種以外には水素原子のみがAr1上に存在することを意味する。
【0058】
他の実施形態では、Ar1は、以下に明示する少なくとも1つの置換基に付着している。該少なくとも1つの置換基は、前述の選択肢の全てにおいて、すなわち、Ar1がAmに直接的に接続しているとき、またはAr1がさらなる5または6員環単核芳香環に付着しているとき、またはAr1が多核環系の一部としてさらなる5または6員環に縮合しているとき、またはこれらの選択肢が適用されないとき(この場合、Ar1はAmに直接的に接続している必要がある)に存在し得る。
【0059】
該少なくとも1つの置換基は、C1〜C4アルキル;C3及びC4シクロアルキル;C2〜C4アルケニル;C2〜C4アルキニル;ハロゲン;C1〜C4ハロアルキル;ヒドロキシ置換C1〜C4アルキル;C1〜C4アルコキシ;ヒドロキシ置換C1〜C4アルコキシ;ハロゲン置換C1〜C4アルコキシ;C1〜C4アルキルアミノ;C1〜C4アルキルチオ;−NO2;=O;=S;=NH;−OH;及びそれらの組み合わせより選択される。
【0060】
1〜C4アルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチルを含む。C1〜C4アルコキシは、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、t−ブチルオキシを含む。C3及びC4シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル及びメチルシクロプロピルである。C1〜C4ハロアルキルは、以下を含む:フルオロ−、ジフルオロ−及びトリフルオロメチル、並びに1つ以上のフルオロ置換されたエチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル;クロロ−、ジクロロ−及びトリクロロメチル;並びに1つ以上のクロロ置換されたエチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル。ハロゲン置換C1〜C4アルコキシは、以下を含む:フルオロ−、ジフルオロ−及びトリフルオロメトキシ、並びに1つ以上のフルオロ置換されたエトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ;クロロ−、ジクロロ−及びトリクロロメチル;並びに1つ以上のクロロ置換されたエトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ。
【0061】
好ましい置換基は、メチル、エチル、プロピル、メトキシ、エトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ;シクロプロピル、ヒドロキシメチル、−NO2、=Oであり、メチル、エチル、メトキシ及び=Oが最も好ましい。
【0062】
Ar1の該少なくとも1つの置換基への結合は、単結合または2重結合であり得る。
【0063】
Ar1、またはさらなる5または6員環芳香環のAr1への付着により生じる単位、またはさらなる5または6員環芳香環のAr1への縮合により生じる単位は、Amだけでなく、SpまたはLにも付着する。
【0064】
Amの配向性に応じて、Ar1への付着またはさらなる5または6員環芳香環のAr1への付着または縮合により生じる単位は、AmのC=O基またはAmのNR1基を介して達成されてもよい。さらなる5または6員環芳香環に付着または縮合されないAr1の適切な成分の例は、制限されないが、ベンゼン、チオフェン、ピリジン、ピリミジン、ピラジンまたはピリダジンを含む。
【0065】
好ましい実施形態では、Ar1はベンゼンである。この実施形態において、Am及びSpのNR1基またはC=O基またはLは、互いに対してオルト、メタまたはパラ配向性であってもよく、メタまたはパラ配向性が好ましく、パラ配向性がより好ましい。他の好ましい実施形態では、Ar1はピリジンである。この実施形態において、Am及びSpのNR1基またはC=O基またはLは、互いに対してオルト、メタまたはパラ配向性であってもよく、メタまたはパラ配向性が好ましく、パラ配向性がより好ましく、このとき該ピリジンのN原子は異なる位置にあってもよい。
【0066】
Ar1がさらなる5または6員環芳香環に付着することにより生じる適切な成分の例は、制限されないが、4−トリアゾリルベンゼン、5−トリアゾリルベンゼン、2−チアゾリルベンゼン、4−チアゾリルベンゼン、5−チアゾリルベンゼン、2−オキサゾリルベンゼン、4−オキサゾリルベンゼン、5−オキサゾリルベンゼン、3−イソチアゾリルベンゼン、4−イソチアゾリルベンゼン、5−イソチアゾリルベンゼン、3−イソオキサゾリルベンゼン、4−イソオキサゾリルベンゼン、5−イソオキサゾリルベンゼン、3−イソチアゾリルベンゼン、4−イソチアゾリルベンゼン、5−イソチアゾリルベンゼンを含む。これらの場合では、AmのNR1基またはC=O基は、通常はベンゼン部分に付着しており、Ar1の5員環芳香環に対してオルト、メタまたはパラ、好ましくはメタまたはパラに位置していてもよく、通常、SpまたはLは、該環におけるベンゼン部分が付着した原子に隣接していないAr1の環状原子を介して、Ar1の5員環芳香環に付着している。
【0067】
さらなる5または6員環芳香環をAr1付に着させることにより生じる適切な成分のさらなる例は、制限されないが、トリアゾリルピリジン、チアゾリルピリジン、オキサゾリルピリジン、イソオキサゾリルピリジン、イソチアゾリルピリジンを含み、該ピリジン単位はAr1の異なる位置に付着してもよく、該ピリジンの窒素原子は異なる位置にあってもよい。これらの場合では、AmのNR1基またはC=O基は、通常は該ピリジン部分に付着してもよく、Ar1の5員環芳香環に対してオルト、メタまたはパラ、好ましくはメタまたはパラに位置していてもよく、通常、SpまたはLは、該環におけるベンゼン部分が付着した原子に隣接していないAr1の環状原子を介して、Ar1の5員環芳香環に付着している。
【0068】
さらなる5または6員環芳香環に縮合したAr1より生じる適切な単位の例は、制限されないが、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、2,3−ジヒドロ[1H]ベンゾイミダゾール、インダゾール、1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン、2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1、4]オキサゼピン、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾールを含み、、ベンゾイミダゾール及び2,3−ジヒドロ[1H]ベンゾイミダゾールがより好ましく、ベンゾイミダゾールが最も好ましい。
【0069】
さらなる5または6員環芳香環に縮合したAr1より生じる単位がベンゾイミダゾールである場合には、LまたはSpは通常1または2位に付着し、AmのNR1基またはC=O基は通常5または6位、好ましくは5位に付着する。さらなる5または6員環芳香環に縮合したAr1より生じる単位がベンゾトリアゾールである場合には、LまたはSpは通常1位にに付着し、AmのNR1基またはC=O基は通常5位に付着する。さらなる5または6員環芳香環に縮合したAr1より生じる単位が2,3−ジヒドロ[1H]ベンゾイミダゾールである場合には、LまたはSpは通常1位に付着し、AmのNR1基またはC=O基は通常5位に付着する。さらなる5または6員環芳香環に縮合したAr1より生じる単位がインダゾールである場合には、LまたはSpは通常1位に付着し、AmのNR1基またはC=O基は通常3または5位に付着する。さらなる5または6員環芳香環に縮合したAr1より生じる単位がテトラヒドロキノキサリンである場合には、LまたはSpは通常1位に付着し、AmのNR1基またはC=O基は通常6または7位、好ましくは6位に付着する。さらなる5または6員環芳香環に縮合したAr1より生じる単位が2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]オキサゼピンである場合には、LまたはSpは通常4位に付着し、AmのNR1基またはC=O基は通常7位に付着する。さらなる5または6員環芳香環に縮合したAr1より生じる単位がベンゾチアゾールである場合には、LまたはSpは通常2位に付着し、AmのNR1基またはC=O基は通常5または6位に付着する。さらなる5または6員環芳香環に縮合したAr1より生じる単位がベンゾオキサゾールである場合には、LまたはSpは通常2位に付着し、AmのNR1基またはC=O基は通常5または6位に付着する。
【0070】
Ar2 は脂環式またはヘテロ環式単核芳香環であり、5または6員環を有し得る。Ar2 は、Amに化学結合を介して接続している。一実施形態では、Ar2はAmのN原子に接続している;他の実施形態では、Ar2はAmのC原子に接続している。好ましくは、Ar2はAmのN原子に接続している。Ar2は、Amとの化学結合に加えて、少なくとも1つのさらなる化学成分、すなわち少なくとも1つの置換基に付着し得る、または多核環系の一部として、5または6員環単核芳香環に縮合し得る。
【0071】
Ar2がヘテロ環式芳香環である場合には、それはN、S及びOからなる群より選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含み、好ましくはN及びSからなる群より選択され、より好ましくは少なくとも1つのN原子及び少なくとも1つのS原子を含む。これらすべての実施形態において、Ar2は好ましくは5または6員環であり、より好ましくは5員環である。
【0072】
Ar2がさらなる単核または2核芳香環系に縮合していない場合、一実施形態では、Ar2は6員環脂環式芳香環(例えば、ベンゼン)または少なくとも1つのN原子を有する6員環ヘテロ環(例えば、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジンまたはトリアジン)である。この実施形態では、Ar2は、好ましくはベンゼン、ピリジン、ピラジン、ピリダジンまたはピリミジンであり、ベンゼン及びピリダジンがより好ましい。他の実施形態では、Ar2はN、S及びOからなる群より選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5員環ヘテロ環式芳香環であり、N及びSを含むものが好ましい。Ar2の適切な例は、制限されないが、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、チオフェン、フランを含む。Ar2の好ましい例は、チアゾール、1,2,4−チアジアゾール及び1,3,4−チアジアゾールであり、1,2,4−チアジアゾール及び1,3,4−チアジアゾールが最も好ましい。
【0073】
他の実施形態では、Ar2は、多核環系の一部として、単核または2核芳香環系に縮合している。多核環系は2核または3核環系であり、好ましくは2核環系である。
【0074】
Ar2がさらなる単核または2核芳香環系に縮合している場合には、Ar2は好ましくは1H−ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、またはイミダゾールである。Ar2が1H−ピラゾールである場合、該第2の芳香環系は4または5位を介してAr2に縮合し、Amは3位に付着している。Ar2がチアゾールである場合、該第2の芳香環は4または5位を介してAr2に縮合し、Amは2位に付着している。Ar2がオキサゾールである場合、該第2の芳香環系は4または5位を介してAr2に縮合し、Amは2位に付着している。Ar2がイミダゾールである場合、該第2の芳香環系は1または2位を介してAr2に縮合し、Amは4位に付着している。あるいは、該第2の芳香環系は4または5位を介してAr2に縮合し、Amは2位に付着している。該さらなる芳香環系は、好ましくは単核である。該さらなる芳香環系は、好ましくはベンゼン、チオフェン、ピリジン、フラン、チアゾール、オキサゾールまたはイミダゾールである。より好ましくは、該さらなる芳香環系はベンゼンまたはチアゾールである。該さらなる芳香環系がチアゾールである場合には、それはAr2に2または3位を介して縮合している。さらなる芳香環系に縮合しているAr2より形成された単位は、好ましくはベンゾオキサゾール(Amは2位に付着)、ベンゾチアゾール(Amは2位に付着)、インダゾール(Amは3位に付着)またはイミダゾ−[2,1−b]チアゾール(Amは6位に付着)である。
【0075】
Ar2がオキサゾールまたはチアゾールである場合、それは第2の芳香環系に縮合する代わりに、4または5位を介してシクロペンテンに縮合してもよい。その結果得られる単位は、好ましい単位でもあり、5,6−ジヒドロ−4H−シクロペンタオキサゾール(Amは2位に付着)及び5,6−ジヒドロ−4H−シクロペンタチアゾール(Amは2位に付着)が挙げられ、5,6−ジヒドロ−4H−シクロペンタチアゾールがより好ましい。
【0076】
本発明のさらなる実施形態では、Ar2はさらなる置換がされていない。用語「さらなる置換がされていない」は、Amへの化学結合、及びAr2上に任意に存在する1つ以上の化学結合を除いて、上記に特定された結合種以外には水素原子のみがAr2上に存在することを意味する。
【0077】
他の実施形態では、Ar2は、以下に明示する少なくとも1つの置換基に付着している。該少なくとも1つの置換基は、前述の2つの選択肢の全てにおいて、すなわち、Ar2が多核環系の一部としてさらなる5または6員環に縮合しているとき、またはAr2がさらなる環に縮合していないときに存在し得る。Ar2の少なくとも1つの置換基への結合は、単結合または2重結合であり得る。好ましくは、該結合は単結合である。
【0078】
Ar2が化学結合を介して付着し得る少なくとも1つの置換基は、C1〜C6アルキル;C3〜C6シクロアルキル;C2〜C6アルケニル;C5及びC6シクロアルケニル;C2〜C6アルキニル;ハロゲン;C1〜C6ハロアルキル;ヒドロキシ置換C1〜C6アルキル;C1〜C6アルコキシ;ヒドロキシ置換C1〜C6アルコキシ;ハロゲン置換C1〜C6アルコキシ;C1〜C6アルキルアミノ;C1〜C6アルキルチオ;−OH;SH;カルバモイル;C1〜C4アルキレンジオキシ;5または6員環単核芳香環;及びこれらの組み合わせより選択され、ここでAr2は、任意には、上述の化学結合を介して付着されてもよい該置換基に加えて、多核環系の一部として5または6員環単核芳香環に縮合している。
いる。
【0079】
1〜C6アルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル及びヘキシルを含む。C1〜C6アルコキシは、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、ペンチルオキシ及びヘキシルオキシを含む。C3〜C6シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロプロピル、ジメチルシクロプロピル、トリメチルシクロプロピル、エチルシクロプロピル、プロピルシクロプロピル、メチルエチルシクロプロピル、メチルシクロブチル、ジメチルシクロブチル、エチルシクロブチル、及びメチルシクロペンチルを含む。C1〜C6ハロアルキルは:フルオロ−、ジフルオロ−及びトリフルオロメチル、及び1つ以上のフッ素に置換されたエチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、プロピル及びヘキシル;クロロ−、ジクロロ−及びトリクロロメチル;及び1つ以上の塩素に置換されたエチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、プロピル及びヘキシルを含む。ハロゲン置換C1〜C4アルコキシは:フルオロ−、ジフルオロ−及びトリフルオロメトキシ、及び及び1つ以上のフッ素置換されたエトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ;クロロ−、ジクロロ−及びトリクロロメチル;及び及び1つ以上の塩素に置換されたエトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ;メチレンジオキシを含むC1〜C4アルキレンジオキシ;エチレンジオキシ、プロピレンジオキシ、ブチレンジオキを含み、好ましくは、メチレンジオキシ、エチレンジオキシを含む。
【0080】
好ましい置換基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、シクロプロピル、ヒドロキシメチル、t−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、フッ素、塩素、カルバモイル、エチルチオ、メチルチオであり、メチル、エチル、カルバモイル、メトキシ、エチルチオ及びシクロプロピルが最も好ましい。
【0081】
一実施形態において、Ar2に化学結合により付着する置換基は、5または6員環単核芳香環である。Ar2の5または6員環芳香環への結合は、単結合または2重結合であり得る。好ましくは、該結合は単結合である。該さらなる5または6員環単核芳香環は、脂肪族環またはヘテロ環であり得る。すなわち、それはN、S及びOからなる群より選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含み得る。
【0082】
Ar2が5または6員環単核芳香環に化学結合を介して付着している場合には、Ar2は好ましくはオキサゾール、イソオキサゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピロール、チアゾール、イソチアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、ピリジン、ピリダジンまたはピリミジンである。より好ましくは、Ar2はピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾールまたはピリダジンである。最も好ましくは、Ar2はピラゾール、チアゾール、1,2,4−チアジアゾールまたは1,3,4−チアジアゾールである。Ar2がオキサゾールである場合、Amは2位に付着し、該さらなる単核芳香環は4または5位に付着する。あるいは、Amは4または5位に付着し、該さらなる単核芳香環は2位に付着する。Ar2がイソオキサゾールである場合、Amは3位に付着し、該さらなる単核芳香環は5位に付着する。あるいは、Amは5位に付着し、該さらなる単核芳香環は3位に付着する。Ar2がイミダゾールである場合、Amは2位に付着し、該さらなる単核芳香環は4位に付着する。あるいは、Amは4位に付着し、該さらなる単核芳香環は2位に付着する。Ar2がピラゾールである場合、Amは3位に付着し、該さらなる単核芳香環は5位に付着する。あるいは、Amは3または4位に付着し、該さらなる単核芳香環は1位に付着する。Ar2がピロールである場合、Amは2位に付着し、該さらなる単核芳香環は4位に付着する。あるいは、Amは4位に付着し、該さらなる単核芳香環は2位に付着する。なおあるいは、Amは3位に付着し、該さらなる単核芳香環は1位に付着する。Ar2がチアゾールは2位に付着し、該さらなる単核芳香環は4または5位に付着する。あるいは、Amは4または5位に付着し、該さらなる単核芳香環は2位に付着する。Ar2がイソチアゾールである場合、Amは3位に付着し、該さらなる単核芳香環は5位に付着する。あるいは、Amは5位に付着し、該さらなる単核芳香環は3位に付着する。Ar2が1,2,4−チアジアゾールである場合、Amは3位に付着し、該さらなる単核芳香環は5位に付着する。あるいは、Amは5位に付着し、該さらなる単核芳香環は3位に付着する。Ar2が1,3,4−チアジアゾールである場合、Amは2位に付着し、該さらなる単核芳香環は5位に付着する。Ar2がピリジンである場合、Am及び該さらなる単核芳香環は互いに対してメタまたはパラに位置し、好ましくはパラに位置しており、このときピリジンコアの窒素原子は異なる位置にあってもよい。Ar2がピリダジンである場合、Amは3位に付着し、該さらなる単核芳香環は6位に付着する。あるいは、Amは5位に付着し、該さらなる単核芳香環は3位に付着する。なおあるいは、Amは3位に付着し、該さらなる単核芳香環は5位に付着する。Ar2がピリミジンである場合、Am及び該さらなる単核芳香環は互いに対してメタまたはパラに位置し、好ましくはパラに位置しており、このときピリミジンコアの窒素原子は異なる位置を有していてもよい。
【0083】
Ar2に付着している該さらなる単核5または6員環芳香環は、好ましくはベンゼン、フラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、またはピリジンである。より好ましくは、Ar2に付着している該さらなる単核5または6員環芳香環は、フラン、オキサゾール、イソオキサゾールまたはピリジンであり、フランが最も好ましい。該さらなる単核芳香環がフランである場合、それは2または3位を介してAr2に付着している。該さらなる単核芳香環がチオフェンである場合、それは2または3位を介してAr2に付着している。該さらなる単核芳香環がオキサゾールである場合、それは2、4または5位を介してAr2に付着している。該さらなる単核芳香環がイソオキサゾールである場合、それは3、4または5位を介してAr2に付着している。該さらなる単核芳香環がチアゾールである場合、それは2、4または5位を介してAr2に付着している。該さらなる単核芳香環がイソチアゾール、それは3、4または5位を介してAr2に付着している。該さらなる単核芳香環がピリジンである場合、それは2、3または4位を介してAr2に付着している。
【0084】
5または6員環単核芳香環に付着しているAr2の好ましい単位は、1−フェニルピラゾール(Amは3位に付着)、2−(2−フリル)ピラゾール(Amは5位に付着)、4−フェニルチアゾール(Amは2位に付着)、5−フェニルチアゾール(Amは2位に付着)、2−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール(Amは5位に付着)、2−(3−フリル)−1,3,4−チアジアゾール(Amは5位に付着)、2−(2−ピリジル)−1,3,4−チアジアゾール(Amは5位に付着)、2−(3−ピリジル)−1,3,4−チアジアゾール(Amは5位に付着)、2−(4−ピリジル)−1,3,4−チアジアゾール(Amは5位に付着)、3−(2−フリル)−1,2,4−チアジアゾール(Amは5位に付着)、4−(2−フリル)チアゾール(Amは2位に付着)、5−(2−フリル)チアゾール(Amは2位に付着)、2−フェニル−1,3,4−チアジアゾール(Amは5位に付着)、3−フェニル−1,2,4−チアジアゾール(Amは5位に付着)、4−(2−ピリジル)チアゾール(Amは2位に付着)、4−(3−ピリジル)チアゾール(Amは2位に付着)、4−(4−ピリジル)チアゾール(Amは2位に付着)5−(2−ピリジル)チアゾール(Amは2位に付着)、5−(3−ピリジル)チアゾール(Amは2位に付着)、5−(4−ピリジル)チアゾール(Amは2位に付着)、3−(2−フリル)ピリダジン(Amは6位に付着)、2−(5−イソオキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール(Amは5位に付着)、2−(5−オキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール(Amは5位に付着)、2−(2−オキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール(Amは5位に付着)である。
【0085】
5または6員環単核芳香環に付着しているAr2のより好ましい単位は、2−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール(Amは5位に付着)、2−(3−フリル)−1,3,4−チアジアゾール(Amは5位に付着)、3−(2−フリル)−1,2,4−チアジアゾール(Amは5位に付着)、4−(2−フリル)チアゾール(Amは2位に付着)、5−(2−フリル)チアゾール(Amは2位に付着)、4−(2−ピリジル)チアゾール(Amは2位に付着)、4−(3−ピリジル)チアゾール(Amは2位に付着)、4−(4−ピリジル)チアゾール(Amは2位に付着)、3−(2−フリル)ピリダジン(Amは6位に付着)、2−(5−イソオキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール(Amは5位に付着)、2−(5−オキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール(Amは5位に付着)、2−(2−オキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール(Amは5位に付着)である。5または6員環単核芳香環に付着しているAr2の最も好ましい単位は、2−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール(Amは5位に付着)、3−(2−フリル)−1,2,4−チアジアゾール(Amは5位に付着)、4−(2−ピリジル)チアゾール(Amは2位に付着)、4−(3−ピリジル)チアゾール(Amは2位に付着)、4−(4−ピリジル)チアゾール(Amは2位に付着)である。
【0086】
さらなる5または6員環単核芳香環に付着したAr2より生じる単位は、Amへの付着に加えて、以下より選択される1つ以上の置換基を付着していてもよい:メチル、エチル、メトキシ、メチレンジオキシ(この場合、該置換基は、さらなる5または6員環単核芳香環に付着したAr2より生じる単位において2原子に付着している)、エトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、−F、−Cl、−Br。好ましい置換基は、メチル及びメチレンジオキシである。
【0087】
Ar2は、C=O基(式Ia参照)またはNR1基(式Ib参照)のいずれかに付着されている。
【0088】
式(I)に示される変数L、Sp、Ar1、Am、R1及びAr2の様々な意味についての前述の全ての定義は、本発明の実施形態に関しており、考慮している変数以外の、他の変数の任意の1つまたは全てが、通常の、好ましい、より好ましいまたはさらに好ましい実施形態に関するか否かにかかわらず、通常の実施形態、好ましい実施形態、より好ましい実施形態及びさらに好ましい実施形態における各変数を含む。したがって、1つの変数の通常の実施形態は、好ましい、より好ましい及びさらに好ましい実施形態における任意の他の変数と組み合わせることができる。
【0089】
以下、一般式(I)の好ましい定義における定義について述べる。
【0090】
下記の全ての実施形態において(すなわち、好ましい、より好ましいまたはさらに好ましい実施形態において)、R1は水素またはメチルであり、最も好ましくは水素である。
【0091】
本発明の好ましい実施形態では、式(I)の変数は以下の意味を有する:
Ar1は、1、2または3個のN原子を含む5または6員環の単核芳香環または部分的に飽和の芳香環、またはベンゼンであって、前記単核環またはベンゼンは、化学結合を介してSpまたはLと接続されるものであり、さらに任意には、
(a)ベンゼンまたはチオフェンに化学結合を介して付着している;または、
(b)多核環系の一部として、ベンゼンまたはチオフェンに縮合している;
ここで、Ar1は、Ar1を構成する前記芳香環またはベンゼンに存在する化学結合を介してAmと直接的に接続しているか、Ar1に付着している前記ベンゼン環またはチオフェン環に存在する化学結合、またはAr1に縮合している前記ベンゼン環またはチオフェン環における化学結合を介してAmと間接的に接続しているかのいずれかであって;
Ar1は、さらなる置換がされていないか、または、メチル、エチル、プロピル、メトキシ、エトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ;シクロプロピル、ヒドロキシメチル、−NO2、=O、=S;及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの置換基に付着しているかのいずれかである;及び/または、
Ar2は5員環単核芳香環であって、無置換であるか、または、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、シクロプロピル、ヒドロキシメチル、t−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、フッ素、塩素、カルバモイル、エチルチオ、メチルチオ、5または6員環単核芳香環及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの置換基に化学結合を介して付着しており;任意には、Ar2は、上記のようにそれが化学結合を介して付着してもよい該置換基に加えて、多核環系の一部としてベンゼンまたはチアゾールと縮合している。
【0092】
本発明のさらに好ましい実施形態では、式(I)の変数は以下の意味を有する:
Ar1は、イミダゾール、ベンゼン、ピリジン、2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾール及びトリアゾールから選択される5または6員環の単核芳香環または部分的に飽和の芳香環であって、化学結合を介してSpまたはLと接続されるものであり、さらに任意には、
(a)ベンゼンに化学結合を介して付着している;または、
(b)多核環系の一部として、ベンゼンに縮合している;
ここで、Ar1は、Ar1を構成する5または6員環の単核芳香環または部分的に飽和の芳香環に存在する化学結合を介してAmと直接的に接続しているか、Ar1に付着している該ベンゼン環に存在する化学結合、またはAr1に縮合している該ベンゼン環における化学結合を介してAmと間接的に接続しているかのいずれかであって;
Ar1は、さらなる置換がされていないか、または、メチル、エチル、プロピル、メトキシ、エトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ;シクロプロピル、ヒドロキシメチル、−NO2、=O、=S;及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの置換基に付着しているかのいずれかである;及び/または、
Ar2は、N、S、Oから、好ましくはN、Sから選択される少なくとも1つの原子を含む5員環単核芳香環であって、無置換であるか、または、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、シクロプロピル、ヒドロキシメチル、t−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、フルオロ、クロロ、カルバモイル、エチルチオ、メチルチオから、好ましくはメチル、エチル、メトキシ、エチルチオ及びシクロプロピルから;5または6員環単核芳香環及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの置換基に化学結合を介して付着しており;任意には、Ar2は、上記のようにそれが化学結合を介して付着してもよい該置換基に加えて、多核環系の一部としてベンゼンまたはチアゾールと縮合している。
【0093】
本発明のさらに好ましい実施形態では、式(I)の変数は以下の意味を有する:
Ar1は、ベンゾイミダゾール、2,3−ジヒドロベンゾイミダゾール、ピリジン及び4−トリアゾリルベンゼンから選択され;
Ar1は、ベンゾイミダゾールの1または2位、2,3−ジヒドロベンゾイミダゾールの1位、ピリジンの2位または4−トリアゾリルベンゼンのトリアゾール部の1位に付着する化学結合を介して、SpまたはLに接続し;
ここで、Ar1は、ベンゾイミダゾールの5または6位、2,3−ジヒドロベンゾイミダゾールの5または6位、ピリジンの5位または4−トリアゾリルベンゼンのトリアゾール部の4位に付着する化学結合を介して、Amに接続し;
Ar1は、さらなる置換がされていないか、または、メチル、エチル、メトキシ、=S及び=O;及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの置換基に付着しているかのいずれかである;及び/または、
Ar2は1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール及びチアゾールから選択される5員環単核芳香環であって、無置換であるか、または、メチル、エチル、メトキシ、エチルチオ、及びシクロプロピル;ピリジン、フラン、イソオキサゾール、オキサゾール、イソチアゾール、チアゾールから選択される5または6員環単核芳香環;及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの置換基に化学結合を介して付着している。
【0094】
本発明は、(支持材料に付着された後に、)本発明の方法で用いられるリガンド置換マトリクスを、該支持材料と共に形成する本発明のリガンドをも含む。該マトリクス/支持材料に付着する前の該リガンドは、以下の式(II)、(IIa)及び(IIb)に従うものであり、ここで記号Sp,Ar1,Ar2及びAmは前記好ましい意味を含む上述の意味を有する:
【化6】
【0095】
本発明に従うリガンドは、以下の構造単位を含む。
【化7】
ここで、Ar1,Am及びAr2は、式(I)について本明細書及び実施例を通じて定義された意味を有する。(III)として示される該構造単位は、支持材料/マトリクスに付着した後及び支持材料/マトリクスに付着する前のリガンドにおいて存在する。
【0096】
式(I)に示されるリガンド、及び/または式(II)に示されるリガンド、及び/または式(III)に示される構造単位を含むリガンドは、タンパク質に結合し、好ましくは抗体に結合し、好ましくはIgGタイプの抗体及びFc融合タンパク質、より好ましくは該抗体または該融合タンパク質のFcフラグメントまたはドメインに結合し、最も好ましくは、該Fcフラグメントまたはドメインまたは該抗体は、IgG抗体クラスのものであり、より好ましくはヒトIgG、またはヒト由来ポリクローナルあるいはモノクローナルIgG、特にIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4のものである。
【0097】
好ましい実施形態では、上記で定義されたリガンドは、支持材料/マトリクスに付着した後及び支持材料/マトリクスに付着する前に、上記で定義されたタンパク質に結合する。
【0098】
式(II)、(IIa)及び(IIb)に従うリガンドは、該リガンドに付着するスペーサ前駆体基SpPリガンドを備える。
【0099】
式(II)、(IIa)及び(IIb)に従うリガンドは、付着したスペーサ基を有さないさらなる化合物を合成するための前駆体として用いられ得る。該指定化合物は、スペーサ基の開裂の後に生成され、場合によっては、SpPに接続される該リガンドに存在している官能基を、当業者に既知である任意の他の適切な官能基に変換されてもよい。そのための適切な反応は、当業者にとって既知である。その結果生じる化合物もまた、本発明に含まれる。
【0100】
本発明に従うマトリクスの好ましいリガンドを、以下に示す。ここで、各式において、最も左側のN原子は、表示されていない連結点Lに接続される。以下の全ての式は、リガンドに付着したスペーサ前駆体基(SpP)を表す:
【0101】
【化8】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−5−[(1−メチルインダゾール−3−イル)カルボキサミド]ベンゾイミダゾール(L01)
【0102】
【化9】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(1−メチル−3−インダゾリル)アミド(L02)
【0103】
【化10】
4−(3−アミノ−1−プロピル)−7−[(1−メチルインダゾール−3−イル)カルボキサミド]−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]オキサゼピン−5−オン(L03)
【0104】
【化11】
1−(3−アミノ−1−プロピル)インダゾールe−3−カルボン酸N−(3−カルバモイル−4−メトキシフェニル)アミド(L04)
【0105】
【化12】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L05)
【0106】
【化13】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾトリアゾールe−5−カルボン酸N−(1−メチルインダゾール−3−イル)アミド(L06)
【0107】
【化14】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(2−エチル−1,3,4−チアジアゾール−5−イル)アミド(L07)
【0108】
【化15】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(ベンゾオキサゾール−2−イル)アミド(L08)
【0109】
【化16】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1,3,4−チアジアゾール−5−イル]アミド(
09)
【0110】
【化17】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(ベンゾチ
アゾール−2−イル)アミド(L10)
【0111】
【化18】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(5−メチ
ル−1−フェニルピラゾール−3−イル)アミド(L11)
【0112】
【化19】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(2−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−5−イル)アミド(L12)
【0113】
【化20】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(1,3,4−チアジアゾール−2−イル)アミド(L13)
【0114】
【化21】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(2−メチル−1,3,4−チアジアゾール−5−イル)アミド(L14)
【0115】
【化22】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(4−メチルチアゾール−2−イル)アミド(L15)
【0116】
【化23】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(チアゾール−2−イル)アミド(L16)
【0117】
【化24】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(5−メチルチアゾール−2−イル)アミド(L17)
【0118】
【化25】
4−[(3−アミノ−1−プロピル)アミノ]−3−ニトロ安息香酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L18)
【0119】
【化26】
6−[(3−アミノ−1−プロピル)アミノ]ニコチン酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L19)
【0120】
【化27】
4−[(1−アミノ−3−プロピル)オキシ]安息香酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L20)
【0121】
【化28】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(4−ピリジル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L21)
【0122】
【化29】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(3−フェニル−1,2,4−チアジアゾール−5−イル)アミド(L22)
【0123】
【化30】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[4−(2−ピリジル)チアゾール−2−イル]アミド(L23)
【0124】
【化31】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L24)
【0125】
【化32】
1−(8−アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L25)
【0126】
【化33】
1−(8−アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)アミド(L26)
【0127】
【化34】
1−(8−アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(1,3,4−チアジアゾール−2−イル)アミド(L27)
【0128】
【化35】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2,3−ジオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン−6−カルボン酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L28)
【0129】
【化36】
1−(8−アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(4−メチルチアゾール−2−イル)アミド(L29)
【0130】
【化37】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−5−[(イミダゾ−[2,1−b]チアゾール−6−イル)カルボキサミド]ベンゾイミダゾール(L30)
【0131】
【化38】
2−(5−アミノ−1−ペンチル)−1−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L31)
【0132】
【化39】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(5,6−ジヒドロ−(4H)−シクロペンタチアゾール−2−イル)アミド(L32)
【0133】
【化40】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(2−フェニル−1,3,4−チアジアゾール−5−イル)アミド(L33)
【0134】
【化41】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(6−メチルピリダジン−3−イル)アミド(L34)
【0135】
【化42】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(2−シクロプロピル−1,3,4−チアジアゾール−5−イル)アミド(L35)
【0136】
【化43】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(3−メチル−1,2,4−チアジアゾール−5−イル)アミド(L36)
【0137】
【化44】
4−(5−アミノ−3−オキサ−1−ペンチルオキシ)安息香酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L37)
【0138】
【化45】
4−[(1−アミノ−3−プロピル)オキシ]安息香酸N−[4−(2−ピリジル)チアゾール−2−イル]アミド(L38)
【0139】
【化46】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L39)
【0140】
【化47】
6−[(3−アミノ−1−プロピル)アミノ]ニコチン酸N−[4−(2−ピリジル)チアゾール−2−イル]アミド(L40)
【0141】
【化48】
1−(8−アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[4−(2−ピリジル)チアゾール−2−イル]アミド(L41)
【0142】
【化49】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[4−(2−ピリジル)チアゾール−2−イル]アミド(L42)
【0143】
【化50】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−エチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[4−(2−ピリジル)チアゾール−2−イル]アミド(L43)
【0144】
【化51】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−エチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L44)
【0145】
【化52】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−メトキシベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L45)
【0146】
【化53】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[4−(3−ピリジル)チアゾール−2−イル]アミド(L46)
【0147】
【化54】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[4−(4−ピリジル)チアゾール−2−イル]アミド(L47)
【0148】
【化55】
6−[1−(3−アミノ−1−プロピル)トリアゾール−4−イル]安息香酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L48)
【0149】
【化56】
1−(8−アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L49)
【0150】
【化57】
1−(8−アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L50)
【0151】
【化58】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[4−(4−ピリジル)チアゾール−2−イル]アミド(L51)
【0152】
【化59】
1−(8−アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[4−(4−ピリジル)チアゾール−2−イル]アミド(L52)
【0153】
【化60】
(S)−グルタミン酸N,N’−ビス{8−{5−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イルカルバモイル]ベンゾイミダゾール−1−イル}−3,5−ジオキサ−1−オクチル}アミド(L53)
【0154】
【化61】
(S)−グルタミン酸N,N’−ビス{8−{5−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イルカルバモイル]−2−メチルベンゾイミダゾール−1−イル}−3,5−ジオキサ−1−オクチル}アミド(L54)
【0155】
【化62】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[3−(2−フリル)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]アミド(L55)
【0156】
【化63】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(3−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L56)
【0157】
【化64】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[4−(2−フリル)チアゾール−2−イル]アミド(L57)
【0158】
【化65】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−フリル)チアゾール−2−イル]アミド(L58)
【0159】
【化66】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[6−(2−フリル)ピリダジン−3−イル]アミド(L59)
【0160】
【化67】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[3−(2−フリル)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]アミド(L60)
【0161】
【化68】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(3−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L61)
【0162】
【化69】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[4−(2−フリル)チアゾール−2−イル]アミド(L62)
【0163】
【化70】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−フリル)チアゾール−2−イル]アミド(L63)
【0164】
【化71】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[6−(2−フリル)ピリダジン−3−イル]アミド(L64)
【0165】
【化72】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−エチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[3−(2−フリル)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]アミド(L65)
【0166】
【化73】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−エチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(3−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L66)
【0167】
【化74】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−エチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[4−(2−フリル)チアゾール−2−イル]アミド(L67)
【0168】
【化75】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−エチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−フリル)チアゾール−2−イル]アミド(L68)
【0169】
【化76】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−エチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[6−(2−フリル)ピリダジン−3−イル]アミド(L69)
【0170】
【化77】
4−[2−(3−アミノ−1−プロピルアミノ)チアゾール−4−イル]安息香酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L70)
【0171】
【化78】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(5−イソオキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L71)
【0172】
【化79】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(5−オキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L72)
【0173】
【化80】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−オキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L73)
【0174】
リガンド(II)の合成は、例えば、液相合成においてカルボン酸成分とアミン成分とを組み合わせることにより、最終的にアミドAmを形成することにより行うことができる。該カップリングは、当業者にとって既知の活性化試薬を用いてカルボン酸成分を活性化し、続いて必要であれば反応混合物の通常の加熱またはマイクロ波照射により昇温させて、活性化されたカルボン酸をアミン成分と反応させることにより実施することができる。この反応中において、該アミノ基は、後で指示材料へのリガンドの付着を可能にする前駆体基として用いられるものであり、tert−ブトキシカルボニルのような適切な保護基によって保護される必要がある。該2成分のカップリングが成功した後に、該保護基を適切な条件下にて除去する必要がある。個別の成分を構築するため、当業者にとって既知である追加の液相合成工程を適用してもよい。スペーサ基を含む脱保護された該リガンドは、これもまた当業者にとって既知であるクロマトグラフィー法により精製される。
【0175】
適切な液相合成プロトコルが、特定のリガンドに対して適用できない場合には、該合成は代わりに不溶性の支持体上において行い得る。該支持体は樹脂としても知られ、例えば、ポリスチレン樹脂であり、好ましくは、例えばヒドロキシ基のような、当業者にとって既知の反応により追加の分子が付着し得る反応基(官能基)を有する適切なスペーサがあらかじめロードされているポリスチレン樹脂である。最終的には、該スペーサ基を含む該リガンドは、当業者にとって既知の適切な開裂プロトコルにより前記不溶性の支持体/樹脂より解放され、当業者にとって既知であるクロマトグラフィー法により精製される。
【0176】
用語「抗体」は、免疫グロブリンを意味し、天然のものと、全部または一部が合成により製造されたものとの両方を含み、さらに、特定の結合特性を維持しているそれらの全てのフラグメント及び誘導体を含む。典型的なフラグメントは、Fc、Fab、重鎖、および軽鎖である。該用語はまた、アミノ酸配列を比較したときに、免疫グロブリン結合ドメインに対して相同または大部分において相同(例えば、少なくとも95%同一)である結合ドメインを有している任意のポリペプチドを含む。これらのポリペプチドは、天然源より得られてもよく、一部または全部が合成により製造されてもよい。抗体はモノクローナルでもポリクローナルでもよく、ヒトまたは非ヒト起源であってもよく、キメラタンパク質であってもよい。該キメラタンパク質としては、ヒトFc部分が、マウスFabフラグメントと融合したもの(末尾に…ximab(…キシマブ)がつく治療用抗体、例えばリツキシマブ)、またはヒトマウス配列を含むFabフラグメントと融合したもの(末尾に…zumab(…ズマブ)がつく治療用抗体、例えばベバシズマブ)、または異なるFabフラグメントに連結している(二重特異性抗体)ものが挙げられる。該抗体は、任意の免疫グロブリンクラスの構成要素であってもよく、好ましくはIgG、ヒト抗体の場合には、好ましくはIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4の構成要素であってもよい。
【0177】
本発明の最も好ましい実施形態において、本発明のリガンドが抗体のFc部分に結合するとされる場合には、該抗体はFcフラグメントまたはドメインを含む。したがって、本発明の抗体は、免疫グロブリンクラスのFcフラグメントまたはドメインを含む抗体であって、好ましくはIgG、より好ましくはヒトIgG、またはヒト由来ポリクローナルあるいはモノクローナルIgG、特にIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4のものである。
【0178】
用語「Fc融合タンパク質」は、Fcフラグメントと、1つ以上のタンパク質またはタンパク質ドメインとの任意の組み合わせを意味する。Fc融合タンパク質の例は、限定されないが、ヒトIgG1のFcドメインと可溶性受容体ドメインとのキメラ(末尾に…cept(…セプト)がつく治療用タンパク質)であって、例えば、エタネルセプト(ヒトIgG1と2つの腫瘍壊死因子受容体ドメインとの組み合わせ)またはリロナセプト(インターロイキン1受容体ドメインと融合したヒトIgG1)が挙げられる。Fc融合タンパク質は、任意の手段で製造されてもよい。例えば、Fc融合タンパク質は、Fcフラグメントを適切なタンパク質またはタンパク質ドメインと結合させることにより、酵素的または化学的に製造してもよく、Fc及びタンパク質/タンパク質ドメイン配列をコードする遺伝子から、組み合え技術によって製造することもできる。あるいは、Fc融合タンパク質は、全部または一部が合成により製造することもできる。Fc融合タンパク質はまた、多分子複合体であってもよい。機能的なFc融合タンパク質は、典型的には少なくとも約50アミノ酸からなり、より典型的には少なくとも約200アミノ酸からなる。
【0179】
本発明は、本明細書の他の箇所に記載される式(I)のアフィニティーリガンド及びそれらの好ましい実施形態を用いて、たとえば発酵上清またはヒトまたは動物由来の血漿といった複雑な混合物から、抗体またはFc融合タンパク質を、好ましくはアフィニティークロマトグラフィーによってアフィニティー精製することについても示す。
【0180】
したがって、好ましい実施形態では、本発明は、タンパク質、好ましくは免疫グロブリンまたはFc融合タンパク質を、アフィニティー精製、好ましくはアフィニティークロマトグラフィーにより精製するための方法を含む。本発明のアフィニティーリガンドは、抗体のFc領域に結合する。
【0181】
ベバシズマブ(アバスチン(登録商標)、Genentech/Roche)は、ヒト化モノクローナル抗体である。これは、新生血管形成(血管新生)を促進するタンパク質である血管内皮細胞増殖因子A(VEGF−A)の機能を標的とし、かつ阻害することにより、新生血管の形成を防止することにより、腫瘍の増殖を停止する。
【0182】
トシリズマブ(アクテムラ(登録商標)、Genentech/Roche)は、ヒト化モノクローナル抗体である。これは、インターロイキン6受容体に対するものであって、炎症性サイトカインであるインターロイキン6の作用を妨害する。これは関節リウマチの治療のために認可されている。
【0183】
パリビズマブ(シナジス(登録商標)、Abbott)は、RSウイルス(RSV)Fタンパク質のAエピトープに対するヒト化モノクローナル抗体である。これは、RSV感染の予防に使用される。
【0184】
セツキシマブ(アービタックス(登録商標)、Merck Serono)は、上皮成長因子受容体に対するキメラ型モノクローナル抗体である。これは、大腸癌及び頭及び首の扁平上皮癌の治療に必要である。
【0185】
ヒトポリクローナルIgGは、Fc部分を介して免疫グロブリンをアフィニティー精製するための前記リガンドが、あらゆる状況で適用可能であることを実証するために調査される。
【0186】
本発明を実施する際には、一般式(I)に従うリガンドは、適切な支持材料の支持材料に付着し、それによってリガンド置換マトリクスとなり、通常はタンパク質分離のための、アフィニティー精製用、好ましくはアフィニティークロマトグラフィー用のマトリクス(本発明の文脈において、アフィニティーマトリクスとも称される)となる。該一般式のリガンドは、L(任意にはスペーサ−Sp−を含む)を介して支持材料に付着している。
【0187】
したがって、本発明は、支持材料及びここまで本明細書に明記した少なくとも1つのリガンドを備え、該リガンドがLを介してそれに付着している、タンパク質分離のためのリガンド置換マトリクス(アフィニティーマトリクス)を含む。
【0188】
該マトリクス(Mとして示される)は、当業者にとって既知である任意の適切な支持材料を含んでいてもよく、そのような支持材料より構成されていてもよい。該材料は、可溶性または不溶性でもよく、粒子状または非粒子状でもよく、繊維及び膜を含むモノリス構造でもよく、多孔性または非多孔性でもよい。それは、接触している溶液中の溶質から本発明のリガンドを分離する簡便な手段を提供する。支持材料の例には、アガロース、セファロース、セファデックス、セルロース、デキストラン、デンプン、アルギン酸塩及びカラギーナンのような炭水化物及び架橋炭水化物マトリクス;ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、ポリアクリラート、PEGポリアクリラートコポリマー、ポリメタクリラート(例えばポリ(ヒドロキシエチルメタクリラート)、ポリビニルアルコール、ポリアミドまたはパーフルオロカーボンのような合成ポリマーマトリクス;ガラス、シリカまたは金属酸化物のような無機マトリクス;並びに複合材料が含まれる。
【0189】
該アフィニティーマトリクスは、適切な支持材料のマトリクスを提供し、それに式(I)(式(Ia)、(Ib)及び(Ic)、及び/または式(II)を含む、及び/または式(III)の構造要素を有する)のリガンドを付着させることによって調製される。該リガンド(I)を該支持材料に付着させるための方法は、当業者にとって既知である。
【0190】
したがって、本発明は、式(I)(式(Ia)、(Ib)及び(Ic)、及び/または式(II)を含む、及び/または式(III)の構造要素を有する)のリガンドを、リガンド置換マトリクスの調製/合成に使用することを含む。該リガンドにおいて、変数L、Sp、SpP、Am、Ar1Ar2、R1及び/またはvは、式(I)、(Ia)、(Ib)(Ic)、(II)、及び/または(III)について定義された意味、及び/または本明細書において定義された意味を有し、特に好ましい実施例についての意味を有する。該リガンド置換マトリクスは、好ましくは式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(II)として定義され、より好ましくは式(II)として定義される。
【0191】
本発明は、精製対象のタンパク質を前述のリガンド置換マトリクスと接触させるタンパク質のアフィニティー精製、好ましくはアフィニティークロマトグラフィーの方法にも関する。
【0192】
用語「アフィニティー精製」(用語「アフィニティー分離」と区別なく使用される)は、式(I)のリガンドによるタンパク質の分子認識を含む任意の分離技術に関する。該リガンドは、後にリガンド−抗体複合体の分離を容易にする固体担体上に固定化されていてもよい。分離技術には、限定されないが、充填カラム、モノリス構造体または膜におけるアフィニティークロマトグラフィーが含まれる。該用語にはさらに、バッチ方式での吸着またはアフィニティー沈殿が含まれる。
【0193】
特徴とは関係なく、精製技術は、リガンドが粗製抗体と接触する最初の認識段階によって構成される。第2段階では、不純物がリガンド−抗体複合体から分離されるか(例えば、カラムクロマトグラフィー)、リガンド−抗体複合体が不純物から分離される(例えば、アフィニティー沈殿)。第3段階で、該抗体は、、例えば、pH、イオン強度の変化及び/または有機溶媒、界面活性剤またはカオトロープのような改質剤の添加などの化学的及び/または物理的条件の変更により、リガンド−抗体複合体から遊離される。
【0194】
以下、本発明を下記の実施例により説明するが、これにより本発明が限定されると解釈してはならない。
【0195】
本明細書に引用された文献:
1. A.Cecilia, A.Roque, C.R. Lowe, M.A. Taipa: Antibodies and Genetically Engineered Related Molecules: Production and Purification, Biotechnol. Prog. 2004, 20, 639-654
2. K.L.Carson: Flexibility-the guiding principle for antibody manufacturing, Nature Biotechnology, 2005, 23, 1054-1058; S.Hober, K.Nord, M. Linhult: Protein A chromatography for antibody purification, J. Chromatogr. B. 2007, 848, 40-47
3. T.Arakawa, Y.Kita, H.Sato, D. Ejima, Protein Expression and Purification. 2009, 63, 158-163
4. S. Ghose, B. Hubbard, S.M. Cramer, Journal of Chromatography A, 2006, 1122, 144-152
【実施例】
【0196】
材料及び方法
特に指示のない限り、すべての化学成分及び溶媒は、実施例1を除いて、分析グレードとした。実施例1に使用した試薬は、粒子の必要条件及び入手しやすさに応じて、調製用から分析用のグレードとした。
平均孔径0.45μmの親水性メンブレンフィルタを有する96及び384ウェルフィルタプレートは、Pall GmbH(ドライアイシュ/ドイツ)より購入した。平均孔径10μmのポリエチレン製の上部フリットは、Porex(バウツェン/ドイツ)より提供された。画分の収集及び分析アッセイ用の多目的マイクロタイタープレートは、Greiner Bio One GmbH(フリッケンハウゼン/ドイツ)に発注した。分析アッセイは、BMG Labtech GmbH(オッフェンブルク/ドイツ)製のFluostar Galaxyプレートリーダを使用して読み取った。
抗体によるカラムクロマトグラフィー及び抗体フラグメントの精製は、Waters社HPLCシステム(Waters GmbH、エシュボルン/ドイツ)で行った。カラムの充填のために、オムニフィット(Omnifit)カラムハウジング(Diba Industries Ltd、ケンブリッジ/英国)を使用した。NHS活性化セファロース4FF(NMS-activated Sepharose 4 FF)、組換えプロテインAセファロースFF(rProtein A Sepharose FF)及びSuperdex 70クロマトグラフィー媒体は、GE Healthcare(ウプサラ/スウェーデン)より購入した。Mabsorbent A2P HFはPrometic Life Sciences(ケンブリッジ/英国)より購入し、MEP HypercelはPall Corporation(ニューヨーク州ポートワシントン、米国)より購入した。
リガンドの分析クロマトグラフィーは、ダイオードアレイ検出器とシングル四重極型質量分析計とを含むShimazu HPLCシステム(Shimadzu Deutschland GmbH、デュースブルク/ドイツ)で行った。モノリス型C18逆相カラムは、Merck KGaA(ダルムシュタット/ドイツ)より購入した。分析に使用した溶媒は、質量分析グレードとした。
本発明で使用した抗体は、ベバシズマブ(アバスチン、F. Hoffmann-La Roche、スイス)、トシリズマブ(ロアクテムラ、F. Hoffmann-La Roche、スイス)、パリビズマブ(シナジス、Abbott、米国)、セツキシマブ(アービタックス、Merck Serono GmbH、ドイツ)及びヒト血清由来ポリIgG(Sigma-Aldrich、米国)であった。
プロテインAクロマトグラフィーからの素通り画分(宿主細胞タンパク質に関する)は、無血清培地における抗体産生CHO細胞培養物の上清に由来するものであった。
ブラッドフォードアッセイ用のクマシーブリリアントブルー染色試薬は、Thermo Scientific(ボン/ドイツ)より購入した。
【0197】
実施例1:リガンドの合成
基本工程A:マイクロ波照射下における芳香族カルボン酸と芳香族アミンとのカップリング、脱保護。The(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アルキルまたは(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アルコキシ−アルコキシ−アルキル置換芳香族カルボン酸(0.1〜0.5mmol,通常0.1mmol及びHATU(カルボン酸に対して1当量)を、アセトニトリル(1〜5mL,通常1mL)及びDIPEA(カルボン酸に対して2当量)に溶解した。5〜10分(通常10分)撹拌した後に、該溶液をマイクロ波バイアル中の芳香族アミン(カルボン酸に対して1当量)に加えた。アルゴンで置換した後、該バイアルを封止し、該混合物をマイクロ波照射下にて100〜120°C(通常120°C)に60〜90分間(通常90分間)加熱した。少量のサンプルを取り出し、HPLC−MS分析にかけた。反応が完結したならば(すなわち、活性エステルがHPLC−MSで確認されなければ)、該混合物をワークアップした。活性エステル及び芳香族アミンの両方が検出された場合、加熱を最大12時間続けた。未反応の活性エステルが検出されたが、残留芳香族アミンが検出されなかった場合には、微量のアセトニトリル(通常0.5mL)中の過剰量の芳香族アミン(カルボン酸に対して通常0.5当量)を加え、活性エステルが完全に消費されるまで加熱を続けた。
多くの場合において、該反応混合物を室温に冷却すると、生成物がほぼ定量的に沈殿する。これらの場合には、該固体を分離し、酢酸エチル(1〜2度,通常1度)またはメタノール(1度)で洗浄した後、TBME(1度)で洗浄し、窒素流により慎重に乾燥させた。
生成物が沈殿しないか部分的にしか沈殿しない場合には、該溶媒を窒素流下にて除去しする。残渣をクエン酸水溶液(5%)で処理した後、酢酸エチルで複数回抽出する。有機層を組み合わせて水で洗浄し、蒸発乾固させる。
全ての場合において、該残渣をジクロロメタン(通常2mL)及びトリフルオロ酢酸(通常1mL)で通常1時間処理することによりtert−ブトキシカルボニル保護基の脱保護を実施した後、該溶媒を蒸発させた。粗生成物を分取逆相HPLC−MS(水中アセトニトリルによるグラジエント溶出)またはフラッシュカラムクロマトグラフィー(アミノ改質固定相、ジクロロメタン中メタノールによるグラジエント溶出)により精製した。
【0198】
【化81】
3−アミノ−4−[(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)アミノ]安息香酸の合成:N−tert−ブトキシカルボニル−1,3−ジアミノプロパン(5mmol)及びDIPEA(10mmol)(ジオキサン(5mL)中)を、4−フルオロ−3−ニトロ安息香酸(5mmol)(ジオキサン(5mL)中)に加えた。該混合物を加熱して90分間還流させ、その後、溶媒を真空中にて除去し、残渣をクエン酸水溶液(5%)で処理して、酢酸エチルにより2度抽出した。有機層を合わせて水で洗浄し、蒸発乾固させ、酢酸エチルと共に蒸発させて、残渣を高真空状態にて乾燥させた。
該残渣にパラジウム活性炭素(5%、水50%により湿潤、Degussa社製タイプE101 NO/W、50mg)及びメタノール(20mL)をアルゴン下において加えた。トリエチルシラン(4mL)を10分かけて滴加した。その後、該混合物をセライトに通過させて濾過し、濾液を蒸発乾固させ、残渣を高真空状態で乾燥させて、さらなる精製を行わずに使用した。この反応を何度も繰り返し成功させた。
【0199】
【化82】
1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸の合成:前記工程により得られた3−アミノ−4−[(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)アミノ]安息香酸の全量に、オルトギ酸トリメチル(10mL)を加えた。該混合物を加熱して35分間還流させ、その後、溶媒を除去し、残渣を高真空中にて乾燥させて、フラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2固定相,ジクロロメタン中メタノールによるグラジエント溶出)により精製して、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸を褐色固体として得た。
【0200】
【化83】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[4−(3−ピリジル)チアゾール−2−イル]アミド(L46)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−4−(3−ピリジル)チアゾールより調製した。ESI−MS:379(M+1)
【0201】
【化84】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[4−(4−ピリジル)チアゾール−2−イル]アミド(L47)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−4−(4−ピリジル)チアゾールより調製した。ESI−MS:379(M+1)
【0202】
【化85】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[4−(2−ピリジル)チアゾール−2−イル]アミド(L23)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−4−(2−ピリジル)チアゾールより調製した。ESI−MS:379(M+1)
【0203】
【化86】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L05)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−5−(2−フリル)−1,3,4−チアゾールより調製した。ESI−MS:369(M+1)
【0204】
【化87】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(6−メチルピリダジン−3−イル)アミド(L34)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び3−アミノ−6−メチルピリダジンより調製した。ESI−MS:311(M+1)
【0205】
【化88】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(3−メチル−1,2,4−チアジアゾール−5−イル)アミド(L36)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び5−アミノ−3−メチル−1,2,4−チアゾールより調製した。ESI−MS:317(M+1)
【0206】
【化89】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(1,3,4−チアジアゾール−2−イル)アミド(L13)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−1,3,4−チアゾールより調製した。ESI−MS:303(M+1)
【0207】
【化90】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(4−ピリジル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L21)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−5−(4−ピリジル)−1,3,4−チアゾールより調製した。ESI−MS:380(M+1)
【0208】
【化91】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(2−メチル−1,3,4−チアジアゾール−5−イル)アミド(L14)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−5−メチル−1,3,4−チアゾールより調製した。ESI−MS:317(M+1)
【0209】
【化92】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(3−フェニル−1,2,4−チアジアゾール−5−イル)アミド(L22)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び5−アミノ−3−フェニル−1,2,4−チアゾールより調製した。ESI−MS:379(M+1)
【0210】
【化93】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(2−シクロプロピル−1,3,4−チアジアゾール−5−イル)アミド(L35)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−5−シクロプロピル−1,3,4−チアゾールより調製した。ESI−MS:343(M+1)
【0211】
【化94】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(1−メチル−3−インダゾリル)アミド(L02)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び3−アミノ−1−メチルインダゾールより調製した。ESI−MS:349(M+1)
【0212】
【化95】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1,3,4−チアジアゾール−5−イル]アミド(L09)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−5−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1,3,4−チアゾールより調製した。ESI−MS:423(M+1)
【0213】
【化96】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(ベンゾチアゾール−2−イル)アミド(L10)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノベンゾチアゾールより調製した。ESI−MS:352(M+1)
【0214】
【化97】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(2−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−5−イル)アミド(L12)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−5−エチルチオ−1,3,4−チアゾールより調製した。ESI−MS:363(M+1)
【0215】
【化98】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(4−メチルチアゾール−2−イル)アミド(L15)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−4−メチルチアゾールより調製した。ESI−MS:316(M+1)
【0216】
【化99】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(2−フェニル−1,3,4−チアジアゾール−5−イル)アミド(L33)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−5−フェニル−1,3,4−チアゾールより調製した。ESI−MS:379(M+1)
【0217】
【化100】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(5−メチル−1−フェニルピラゾール−3−イル)アミド(L11)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び3−アミノ−5−メチル−1−フェニルピラゾールeより調製した。ESI−MS:375(M+1)
【0218】
【化101】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(チアゾール−2−イル)アミド(L16)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノチアゾールより調製した。ESI−MS:302(M+1)
【0219】
【化102】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(5−メチルチアゾール−2−イル)アミド(L17)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−5−メチルチアゾールより調製した。ESI−MS:316(M+1)
【0220】
【化103】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(2−エチル−1,3,4−チアジアゾール−5−イル)アミド(L07)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−5−エチル−1,3,4−チアゾールより調製した。ESI−MS:331(M+1)
【0221】
【化104】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(ベンゾオキサゾール−2−イル)アミド(L08)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノベンゾオキサゾールより調製した。ESI−MS:336(M+1)
【0222】
【化105】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(5,6−ジヒドロ−(4H)−シクロペンタチアゾール−2−イル)アミド(L32)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−5,6−ジヒドロ−(4H)−シクロペンタチアゾールより調製した。ESI−MS:342(M+1)
【0223】
【化106】
1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸の合成:ガラスバイアル中にて、3−アミノ−4−[(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)アミノ]安息香酸(合成、前述を参照。0.5mmol)(ジオキサン(2mL)中)に、オルト酢酸トリメチル(2mmol)を加えた。該バイアルを完全に密閉し、該混合物を100℃に1時間加熱して、その後、溶媒を蒸発させた。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2固定相、ジクロロメタン中メタノールによるグラジエント溶出)により精製して、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸を褐色固体として得た。
【0224】
【化107】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[4−(2−ピリジル)チアゾール−2−イル]アミド(L42)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−4−(2−ピリジル)チアゾールより調製した。ESI−MS:393(M+1)
【0225】
【化108】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L39)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−5−(2−フリル)−1,3,4−チアゾールより調製した。ESI−MS:383(M+1)
【0226】
【化109】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[4−(4−ピリジル)チアゾール−2−イル]アミド(L51)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−4−(4−ピリジル)チアゾールより調製した。ESI−MS:393(M+1)
【0227】
【化110】
1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)−2−メトキシベンゾイミダゾール−5−カルボン酸の合成:ガラスバイアル中にて、3−アミノ−4−[(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)アミノ]安息香酸(合成、前述を参照。0.5mmol)(ジオキサン(2mL)中)に、オルト酢酸テトラメチル(2mmol)を加えた。該バイアルを完全に密閉し、該混合物を100℃に1時間加熱して、その後、溶媒を蒸発させた。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2固定相、ジクロロメタン中メタノールによるグラジエント溶出)により精製して、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)−2−メトキシベンゾイミダゾール−5−カルボン酸を褐色固体として得た。
【0228】
【化111】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−メトキシベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L45)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)−2−メトキシベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−5−(2−フリル)−1,3,4−チアゾールより調製した(保護基の開裂は、低濃度トリフルオロ酢酸を用いて、メトキシ基の酸による開裂/加水分解を避けるために最小限の反応時間にて行った)。ESI−MS:399(M+1)
【0229】
【化112】
1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)−2−エチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸の合成:ガラスバイアル中にて、3−アミノ−4−[(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)アミノ]安息香酸(合成、前述を参照。0.5mmol)(ジオキサン(2mL)中)に、オルトプロピオン酸トリエチル(2mmol)を加えた。該バイアルを完全に密閉し、該混合物を100℃に1時間加熱して、その後、溶媒を蒸発させた。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2固定相、ジクロロメタン中メタノールによるグラジエント溶出)により精製して、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)−2−エチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸を褐色固体として得た。
【0230】
【化113】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−エチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[4−(2−ピリジル)チアゾール−2−イル]アミド(L43)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)−2−エチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−4−(2−ピリジル)チアゾールより調製した。ESI−MS:407(M+1)
【0231】
【化114】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−エチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L44)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)−2−エチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−5−(2−フリル)−1,3,4−チアゾールより調製した。ESI−MS:397(M+1)
【0232】
【化115】
1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−5−カルボン酸の合成:3−アミノ−4−[(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)アミノ]安息香酸(合成,前述を参照。0.2mmol)(ジクロロメタン(2mL)中)に、DIPEA(1mmol)及びクロロトリメチルシラン(0.6mmol)を加えた。5分間撹拌した後、炭酸ビス(トリクロロメチル)溶液(0.1mmol)(ジクロロメタン(1mL)中)を滴加し、5分間撹拌を続けた。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(200μL)を加え、該混合物を2分間振り混ぜ、続いてクエン酸水溶液(5%)を加えて有機層を分離した。水層をジクロロメタンによりもう一度抽出し、有機層を合わせてクエン酸水溶液(5%)及び水で洗浄し、その後、生じた懸濁液を蒸発乾固した。残渣を酢酸エチル(1mL)及びTBME(0.5mL)で抽出し,続いてTBMEにより追加の抽出を行った。有機層を合わせて蒸発乾固させ、高真空状態で乾燥させた。1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−5−カルボン酸粗生成物を、さらなる精製を行わずに使用した。
【0233】
【化116】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L24)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−5−(2−フリル)−1,3,4−チアゾールより調製した。ESI−MS:385(M+1)
【0234】
【化117】
1−(3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−プロピル)−2,3−ジオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン−6−カルボン酸の合成:3−アミノ−4−[(3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−1−プロピル)アミノ]安息香酸(合成,前述を参照。0.2mmol)(ジクロロメタン(2mL)中)に、DIPEA(1mmol)及びクロロトリメチルシラン(0.6mmol)を加えた。5分間撹拌した後、塩化オキサリル(0.3mmol)溶液(0.1mmol)(ジクロロメタン(1mL)中)を滴加し、5分間撹拌を続けた。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(200μL)を加え、該混合物を2分間振り混ぜ、続いてクエン酸水溶液(5%)を加えて有機層を分離した。水層をジクロロメタンによりもう一度抽出し、有機層を合わせてクエン酸水溶液(5%)及び水で洗浄し、その後、生じた懸濁液を蒸発乾固した。残渣を高真空状態で乾燥させた。1−(3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−プロピル)−2,3−ジオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン−6−カルボン酸粗生成物を、さらなる精製を行わずに使用した。
【0235】
【化118】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2,3−ジオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン−6−カルボン酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L28)の合成:基本工程Aに従い、1−(3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−プロピル)−2,3−ジオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン−6−カルボン酸及び2−アミノ−5−(2−フリル)−1,3,4−チアゾールより調製した。ESI−MS:413(M+1)
【0236】
【化119】
1−アミノ−8−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−3,5−ジオキサオクタンの合成:1,8−ジアミノ−3,5−ジオキサオクタン(135mmol)を、ジクロロメタン(100mL)に溶解させた。撹拌している間に、二炭酸ジ−tert−ブチル溶液(45mmol)(ジクロロメタン(50mL)中)をゆっくりと加えた。1時間後、溶媒を除去し、残渣を酢酸エチル(200mL)で希釈して、炭酸ナトリウム水溶液(10%)で3度洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。無色の油状物を高真空状態において乾燥させた後、粗生成物をさらなる精製を行わずに使用した。
【0237】
【化120】
4−アミノ−3−[8−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル]アミノ安息香酸の合成:1−アミノ−8−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−3,5−ジオキサオクタン(6mmol)及びDIPEA(10mmol)を、ジオキサン(5mL)に溶解させた。4−フルオロ−3−ニトロ安息香酸溶液(5mmol)(ジオキサン(5mL)中)を加えて、該混合物を加熱して2時間還流させ、その後、別分量の1−アミノ−8−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−3,5−ジオキサオクタン(2mmol)(ジオキサン(2mL)中)を加え、加熱を1時間続けた。溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチル(50mL)に溶解して、クエン酸水溶液(5%)及び水で洗浄した。溶媒を除去し、残渣を高真空状態で乾燥させた。
該残渣にパラジウム活性炭素(5%、水50%により湿潤、Degussa社製タイプE101 NO/W、50mg)及びメタノール(20mL)をアルゴン下において加えた。トリエチルシラン(4mL)を10分かけて滴加した。20分撹拌した後、追加のトリエチルシラン(1mL)を2分かけて滴加した後、10分間撹拌を続けた。その後、該混合物をセライトに通過させて濾過し、濾液を蒸発乾固させ、残渣を高真空状態で乾燥させて、さらなる精製を行わずに使用した。この反応を何度も繰り返し成功させた。
【0238】
【化121】
1−[8−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル]ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸の合成:4−アミノ−3−[8−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル]アミノ安息香酸(合成、前述を参照。一回分の材料全量を用いた)を、オルトギ酸トリメチル(5mL)に溶解し、80℃で1時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2固定相,ジクロロメタン中メタノールによるグラジエント溶出)により精製して、1−[8−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル]ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸を褐色固体として得た。
【0239】
【化122】
1−(8−アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L25)の合成:基本工程Aに従い、1−[8−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル]ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−5−(2−フリル)−1,3,4−チアゾールより調製した。ESI−MS:443(M+1)
【0240】
【化123】
1−(8−アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[4−(2−ピリジル)チアゾール−2−イル]アミド(L41)の合成:基本工程Aに従い、1−[8−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル]ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−4−(2−ピリジル)チアゾールより調製した。ESI−MS:453(M+1)
【0241】
【化124】
1−(8−アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(4−メチルチアゾール−2−イル)アミド(L29)の合成:基本工程Aに従い、1−[8−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル]ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−4−メチルチアゾールより調製した。ESI−MS:390(M+1)
【0242】
【化125】
1−(8−アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(1,3,4−チアジアゾール−2−イル)アミド(L27)の合成:基本工程Aに従い、1−[8−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル]ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−1,3,4−チアゾールより調製した。ESI−MS:377(M+1)
【0243】
【化126】
1−(8−アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−(5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)アミド(L26)の合成:基本工程Aに従い、1−[8−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル]ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−5−メチル−1,3,4−チアゾールより調製した。ESI−MS:391(M+1)
【0244】
【化127】
1−[8−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル]−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸の合成:4−アミノ−3−[8−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル]アミノ安息香酸(合成、前述を参照。一回分の材料全量を用いた)を、オルト酢酸トリメチル(20mL)に溶解し、加熱して1時間還流させた。溶媒を蒸発させ、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2固定相,ジクロロメタン中メタノールによるグラジエント溶出)により精製して、1−[8−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル]−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸を褐色固体として得た。
【0245】
【化128】
1−(8−アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L49)の合成:基本工程Aに従い、1−[8−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル]−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−5−(2−フリル)−1,3,4−チアゾールより調製した。ESI−MS:457(M+1)
【0246】
【化129】
1−(8−アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[4−(4−ピリジル)チアゾール−2−イル]アミド(L52)の合成:基本工程Aに従い、1−[8−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル]−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸及び2−アミノ−4−(4−ピリジル)チアゾールより調製した。ESI−MS:467(M+1)
【0247】
【化130】
(S)−グルタミン酸N,N’−ビス{8−{5−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イルカルバモイル]ベンゾイミダゾール−1−イル}−3,5−ジオキサ−1−オクチル}アミド(L53)の合成:1−(8−アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L25)を500μmolスケールで調製した(合成、前述を参照。クロマトグラフィー精製は適用していない)。アミントリフルオロ酢酸塩の粗生成物を、DMF(1mL)及びDIPEA(3mmol)で処理した。N−tert−ブトキシカルボニルグルタミン酸(0.2mmol)、HATU(0.4mmol)及びDIPEA(1mmol)をDMF(1mL)に溶解させた。5分後に、該混合物を前記調製済溶液に加えた。20分後、TBME(2mL)を加えて、該混合物を約1時間放置し、生じた厚い沈殿を遠心分離により分離して、酢酸エチル及びTBMEで洗浄し、窒素流により慎重に乾燥させた。得られた固体をジクロロメタン(2mL)及びトリフルオロ酢酸(1mL)で30分間処理した後、溶媒を除去して、残渣を分取逆相HPLC−MSにより精製した。ESI−MS:499((M+2)/2)
【0248】
【化131】
(S)−グルタミン酸N,N’−ビス{8−{5−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イルカルバモイル]−2−メチルベンゾイミダゾール−1−イル}−3,5−ジオキサ−1−オクチル}アミド(L54)の合成:1−(8−アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L49)を500μmolスケールで調製した(合成、前述を参照。クロマトグラフィー精製は適用していない)。アミントリフルオロ酢酸塩の粗生成物を、DMF(1mL)及びDIPEA(3mmol)で処理した。N−tert−ブトキシカルボニルグルタミン酸(0.2mmol)、HATU(0.4mmol)及びDIPEA(1mmol)をDMF(1mL)に溶解させた。5分後に、該混合物を前記調製済溶液に加えた。20分後、TBME(2mL)を加えて、該混合物を約1時間放置し、生じた厚い沈殿を遠心分離により分離して、酢酸エチル及びTBMEで洗浄し、窒素流により慎重に乾燥させた。得られた固体をジクロロメタン(2mL)及びトリフルオロ酢酸(1mL)で30分間処理した後、溶媒を除去して、残渣を分取逆相HPLC−MSにより精製した。ESI−MS:513((M+2)/2)
【0249】
【化132】
1−(8−アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L50)の合成:4−アミノ−3−[8−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル]アミノ安息香酸(1mmol、合成、前述を参照)をジオキサン(4mL)に溶解させて、オルト炭酸テトラメチル(4mmol)で処理し、100℃に1時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2固定相,ジクロロメタン中メタノールによるグラジエント溶出)により精製して、1−[8−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル)−2−メトキシベンゾイミダゾール−5−カルボン酸を得た。
該カルボン酸(0.1mmol)、HATU(0.1mmol)及びDIPEA(0.2mmol)をアセトニトリル(1mL)に溶解させた。10分後に、該溶液を2−アミノ−5−(2−フリル)−1,3,4−チアゾール(0.1mmol)に加え、該混合物をマイクロ波照射下にて120℃に90分間加熱した。室温に冷却した後、沈殿を分離して、TBMEで洗浄し、窒素流により慎重に乾燥させて、トリフルオロ酢酸(1mL)で処理した。該溶液をマイクロ波照射下にて100℃に1時間加熱した。室温に冷却した後、溶媒を除去して、残渣を分取逆相HPLC−MSにより精製して、1−(8−アミノ−3,5−ジオキサ−1−オクチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミドを得た。ESI−MS:459(M+1)
【0250】
【化133】
6−[(3−アミノ−1−プロピル)アミノ]ニコチン酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L19)の合成:6−クロロニコチン酸(0.2mmol)、HATU(0.2mmol)及びDIPEA(0.4mmol)をアセトニトリル(1mL)に溶解させた。1分後に、該暗赤色溶液を2−アミノ−5−(2−フリル)−1,3,4−チアゾール(0.2mmol)に加え、該混合物を50℃に5分間加熱した。室温に冷却した後、生じた沈殿を分離して、酢酸エチル及びTBMEで洗浄し、空気乾燥させた。その後、1,3−ジアミノプロパン(1mL)を加えて、該混合物をマイクロ波照射下にて150℃に1時間加熱した。溶媒を窒素流により乾燥させた後、残渣を分取逆相HPLC−MSにより精製した。ESI−MS:345(M+1)
【0251】
【化134】
6−[(3−アミノ−1−プロピル)アミノ]ニコチン酸N−[4−(2−ピリジル)チアゾール−2−イル]アミド(L40)の合成:6−クロロニコチン酸(0.2mmol)、HATU(0.2mmol)及びDIPEA(0.4mmol)をアセトニトリル(1mL)に溶解させた。1分後に、該暗赤色溶液を2−アミノ−4−(2−ピリジル)チアゾール(0.2mmol)に加え、該混合物を50℃に20分間加熱した。室温に冷却した後、溶媒を蒸発させて、残渣を酢酸エチルに溶解させ、クエン酸水溶液(5%)、炭酸ナトリウム飽和水溶液及び水で洗浄した。溶媒を蒸発させた後、1,3−ジアミノプロパン(1mL)を加えて、該混合物をマイクロ波照射下にて100℃に2時間加熱した。溶媒を窒素流により乾燥させた後、残渣を分取逆相HPLC−MSにより精製した。ESI−MS:355(M+1)
【0252】
【化135】
3−アジド−1−プロピルアミン連結2−クロロトリチルポリスチレン樹脂の合成:2−クロロトリチルクロリド(150μmol)があらかじめロードされたポリスチレン樹脂を3−アミノ−1−プロパノール(0.5mL)で処理し、続いてジクロロメタン(2mL)で処理した。該スラリーを30分間撹拌した後、該樹脂をDMF、メタノール及びジクロロメタンで(各3度ずつ)十分に洗浄し、空気流により乾燥させた。該乾燥樹脂に、ジクロロメタン(2mL),DIPEA(1mmol)及びメタンスルホニルクロリド(0.5mmol)を加えた。室温で1時間振り混ぜた後、該樹脂をジクロロメタンで3度洗浄し、空気流により乾燥させた。該乾燥樹脂を、アジ化ナトリウム(1mmol)を収容したガラスバイアルに移した。DMF(2mL)を加えた後、該バイアルを完全に密封し、該混合物を60℃に一晩加熱した。該樹脂を水/メタノール及びDMSOで(各2度ずつ)洗浄した。
【0253】
【化136】
4−エチニル安息香酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド:4−ブロモ安息香酸(0.2mmol)、HATU(0.2mmol)及びDIPEA(0.4mmol)をアセトニトリル(1mL)に溶解させた。5分後に、該暗赤色溶液を2−アミノ−5−(2−フリル)−1,3,4−チアゾール(0.2mmol)に加えた。該混合物をマイクロ波照射下にて100℃に60分間加熱した。室温に冷却した後、沈殿を分離して、酢酸エチル及びTBMEで洗浄し、窒素流により慎重に乾燥させた。
該固体をテトラヒドロフラン(1mL)中に懸濁させ、マイクロ波チューブ内において、ビス(トリフェニルホスフィニル)パラジウム(II)二塩化物(5μmol)、トリフェニルホスフィン(15μmol)及びヨウ化銅(I)(15μmol)を加えた。超音波を適用しながら該チューブをアルゴンで置換し、その後封止した。トリエチルアミン(0.5mL)及びエチニルトリイソプロピルシラン(0.5mmol)を加えた後、該バイアルをアルゴンで再び置換し、マイクロ波照射下にて100℃に3時間加熱した。その後、全ての揮発成分を窒素流により蒸発させた。残渣をテトラヒドロフラン(1mL)、水(10μL)及びフッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム溶液(1M(THF中),0.5mL)により処理した。該混合物を15分間撹拌し、溶媒を蒸発させ、残渣をSiO2ショートカラムに吸着及び該カラムから溶出(酢酸エチル/メタノール、約4:1により溶出)させて、主要な副生成物から分離した。溶媒を蒸発させた後、生成物を真空状態で乾燥させて、さらなる精製を行わずに使用した。
【0254】
【化137】
6−[1−(3−アミノ−1−プロピル)トリazol−4−イル]安息香酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L48)の合成:2−クロロトリチルポリスチレン樹脂(150μmol、合成、前述を参照)に結合した3−アジド−1−プロピルアミンに、ヨウ化銅(I)(3mg)を加えた。前述により得られた4−エチニル安息香酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミドの全量をDMSO(2mL)に溶解し、該樹脂に加えた。アルゴンにより置換した後、該混合物を60℃で一晩撹拌した。その後、該樹脂DMF、水、メタノール及びジクロロメタンで(各3度ずつ)洗浄し、乾燥させた。生成物を、トリフルオロ酢酸、ジクロロメタン及びトリエチルシラン(45:45:10)で2重に処理して該支持体より開裂させ、その後ジクロロメタンで洗浄した。溶媒を蒸発させた後、粗生成物を分取逆相HPLC−MSにより精製した。ESI−MS:396(M+1)
【0255】
【化138】
2−(5−アミノ−1−ペンチル)−1−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L31)の合成:4−メチルアミノ−3−ニトロ安息香酸(0.2mmol)、HATU(0.2mmol)及びDIPEA(0.4mmol)をアセトニトリル(1mL)に懸濁させて5分間撹拌し、次に該懸濁液を2−アミノ−5−(2−フリル)−1,3,4−チアゾール(0.2mmol)に加えた。該混合物を100℃に20分間加熱した後、DMSO(0.1mL)及びアセトニトリル(1mL)を加えて加熱を1時間続けた。室温に冷却した後、沈殿を収集して、酢酸エチルで2度洗浄し、窒素流により慎重に乾燥させた。
ニトロ基usingパラジウム活性炭素及びトリエチルシランを用いたニトロ器の還元が成功しなかったため、残渣をピリジン(1mL)及び水(50μL)中100℃にて塩化スズ(II)(1mmol)で30分間処理した。室温に冷却した後、固体を濾別し、メタノールで十分にリンスした。溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチルに懸濁させた。該懸濁液を水で3度洗浄し、蒸発乾固させた。
6−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸(0.2mmol)、HATU(0.2mmol)及びDIPEA(0.4mmol)をアセトニトリル(1mL)に溶解させた。2分後に、該溶液を前述で得られた残渣に加え、室温で75分間撹拌した後、生じた沈殿を分離し、酢酸エチルで2度洗浄して、窒素流により慎重に乾燥させた。トリフルオロ酢酸(1mL)を加えて、該混合物を一晩撹拌した。該混合物を蒸発乾固して、残渣を分取逆相HPLC−MSにより精製した。ESI−MS:411(M+1)
【0256】
【化139】
5−アミノ−1−(3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾールの合成:3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−1−プロピルアミン(0.3mmol)及びDIPEA(0.5mmol)に、2,4−ジニトロフルオロベンゼン(0.25mmol)(ジオキサン(1mL)中)を加えた。該混合物を100℃に25分間加熱し、次に溶媒を蒸発させた。残渣を酢酸エチルに溶解し、クエン酸水溶液(5%)及び水で2度洗浄した。溶媒を蒸発させ、残渣をパラジウム活性炭素(5%、水50%により湿潤、Degussa社製タイプE101 NO/W、10mg)及びメタノール(1mL)で処理した。該混合物をアルゴンで置換し、トリエチルシラン(0.6mL)を加えた。該混合物を上清液が脱色するまで降り混ぜた後、オルトギ酸トリメチル(1mL)を加え、該混合物をアルゴン雰囲気下にて80℃に1時間加熱した。その後、懸濁液をセライトに通過させて濾過し、該セライトをメタノールでリンスした。溶媒を蒸発させ、残渣を真空中で乾燥させた。
【0257】
【化140】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−5−[(イミダゾ−[2,1−b]チアゾール−6−イル)カルボキサミド]ベンゾイミダゾール(L30)の合成:イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−カルボン酸(0.25mmol)、HATU(0.25mmol)及びDIPEA(0.5mmol)をアセトニトリル(1mL)に溶解させ、5−アミノ−1−(3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール(合成、前述を参照。一回分の材料全量を用いた)を10分後に加えた。該混合物を室温にて一晩振り混ぜた後、溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチルに溶解し、クエン酸水溶液(5%)、炭酸ナトリウム水溶液及び水で洗浄して、蒸発乾固させた。該残渣にジクロロメタン(2mL)を加え、続いてトリフルオロ酢酸を加え、該混合物を室温にて30分混合した後、溶媒を蒸発させ、残渣を分取逆相HPLC−MSにより精製した。ESI−MS:341(M+1)
【0258】
【化141】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−5−[(1−メチルインダゾール−3−イル)カルボキサミド]ベンゾイミダゾール(L01)の合成:イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−カルボン酸の代わりに1−メチルインダゾール−3−カルボン酸を用いて、1−(3−アミノ−1−プロピル)−5−[(イミダゾ−[2,1−b]チアゾール−6−イル)カルバモイル]ベンゾイミダゾール(L30)についての記載のようにして、本化合物を調製した。ESI−MS:349(M+1)
【0259】
【化142】
4−[(3−アミノ−1−プロピル)アミノ]−3−ニトロ安息香酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L18)の合成:3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−1−プロピルアミン(0.3mmol)、4−フルオロ−3−ニトロ安息香酸(0.3mmol)及びDIPEA(0.6mmol)(ジオキサン(2mL)中)を100℃に40分間加熱し、その後溶媒を蒸発させた.残渣にHATU(0.3mmol)(アセトニトリル(1mL)中)及びDIPEA(0.6mmol)を加えて、該混合物を室温にて5分間撹拌した。2−アミノ−5−(2−フリル)−1,3,4−チアゾール(0.3mmol)(アセトニトリル(1mL)中)を加えた後、該混合物を100℃に20分間加熱した。室温に冷却した後、固体沈殿を収集し、酢酸エチルで3度洗浄して、窒素流により乾燥させた。その後、ジクロロメタン(2mL)及びトリフルオロ酢酸(1mL)を加えて、該混合物を30分間撹拌し、続いて溶媒を蒸発させた。残渣をジクロロメタン(トリエチルアミン1%を含む)中メタノールのグラジエントを用いたNH2改質固定相におけるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。ESI−MS:389(M+1)
【0260】
【化143】
4−[(1−アミノ−3−プロピル)オキシ]安息香酸N−[4−(2−ピリジル)チアゾール−2−イル]アミド(L38)の合成:2−クロロトリチルクロリド(150μmol)があらかじめロードされたポリスチレン樹脂を3−アミノ−1−プロパノール(0.5mL)で処理し、続いてジクロロメタン(2mL)で処理した。該スラリーを30分間撹拌した後、該樹脂をDMF、メタノール及びジクロロメタンで(各3度ずつ)十分に洗浄し、窒素流により乾燥させた。該乾燥樹脂に、トリフェニルホスフィン(1mmol)及び4−ヒドロキシ安息香酸メチル(1mmol)を加えた。乾燥テトラヒドロフラン(2mL)を加えた後、該混合物を該樹脂が十分に膨潤するまで撹拌した。次に、N、N’−アゾジカルボン酸ジイソプロピルエステル(1mmol)を滴加して、該混合物を2時間振り混ぜた。この後、該樹脂をDMF、メタノール及びジクロロメタンで(各3度ずつ)洗浄した。該乾燥樹脂をガラスバイアルに移し、テトラヒドロフラン(2mL)、メタノール(1mL)及び水酸化ナトリウム水溶液(2N、1mL)で処理した。該バイアルを完全に密封し、該混合物を80℃に3時間加熱した後、該樹脂をDMF、酢酸(DMF中)(約5%)、DMF、メタノール及びジクロロメタンで(各3度ずつ)洗浄した。
該樹脂をNMP中に膨潤させた。NMP(1mL)、HATU(0.2mmol)及びDIPEA(0.4mmol)を加えた後、該混合物を10分間撹拌し、続いて2−アミノ−4−(2−ピリジル)チアゾール(0.2mmol)(NMP(1mL)中)を加えた。該バイアルをアルゴンで置換し、該混合物をマイクロ波照射下にて120℃に90分間加熱した。次に、該樹脂を洗浄し(DMF、メタノール、ジクロロメタン、各3度ずつ)、標的化合物をトリフルオロ酢酸、ジクロロメタン及びトリエチルシラン(45:45:10)で2重に処理して該支持体より開裂させ、その後ジクロロメタンでリンスした。溶媒を蒸発させた後、粗生成物を分取逆相HPLC−MSにより精製した。ESI−MS:355(M+1)
【0261】
【化144】
4−[(1−アミノ−3−プロピル)オキシ]安息香酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L20)の合成:N−[4−(2−ピリジル)チアゾール−2−イル]アミド(L38)、2−アミノ−4−(2−ピリジル)チアゾールの代わりに2−アミノ−5−(2−フリル)−1,3,4−チアゾールを用いて、4−(1−アミノ−3−プロピルオキシ)安息香酸についての記載のようにして、本化合物を調製した。ESI−MS:345(M+1)
【0262】
【化145】
4−(5−アミノ−3−オキサ−1−ペンチルオキシ)安息香酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L37)の合成:2−クロロトリチルクロリド(150μmol)があらかじめロードされたポリスチレン樹脂をアミノエトキシエタノール(0.5mL)で処理し、続いてジクロロメタン(2mL)で処理した。該スラリーを30分間撹拌した後、該樹脂をDMF、メタノール及びジクロロメタンで(各3度ずつ)十分に洗浄し、高真空状態で乾燥させた。該乾燥樹脂に、トリフェニルホスフィン(1mmol)及び4−ヒドロキシ安息香酸メチル(1mmol)を加えた。乾燥テトラヒドロフラン(2mL)を加えた後、該混合物を該樹脂が十分に膨潤するまで撹拌した。次に、N、N’−アゾジカルボン酸ジイソプロピルエステル(1mmol)を滴加して、該混合物を2時間振り混ぜた。この後、該樹脂をDMF、メタノール及びジクロロメタンで(各3度ずつ)洗浄した。該乾燥樹脂をガラスバイアルに移し、テトラヒドロフラン(2mL)、メタノール(1mL)及び水酸化ナトリウム水溶液(2N、1mL)で処理した。該バイアルを完全に密封し、該混合物を60℃に2時間、及び80℃に30分間加熱した後、該樹脂をDMF、酢酸(DMF中)(約5%)、メタノール及びジクロロメタンで(各3度ずつ)洗浄した。
該樹脂をNMP中に膨潤させた。NMP(1mL)、HATU(0.2mmol)及びDIPEA(0.4mmol)を加えた後、該混合物を10分間撹拌し、続いて2−アミノ−5−(2−フリル)−1,3,4−チアゾール(0.2mmol)(NMP(1mL)中)を加えた。該バイアルをアルゴンで置換し、該混合物をマイクロ波照射下にて120℃に90分間加熱した。次に、該樹脂を洗浄し(DMF、メタノール、ジクロロメタン、各3度ずつ)、標的化合物をトリフルオロ酢酸、ジクロロメタン及びトリエチルシラン(45:45:10)で2重に処理して該支持体より開裂させ、その後ジクロロメタンでリンスした。溶媒を蒸発させた後、粗生成物を分取逆相HPLC−MSにより精製した。ESI−MS:375(M+1)
【0263】
【化146】
4−(3−アミノ−1−プロピル)−7−[(1−メチルインダゾール−3−イル)カルボキサミド]−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1、4]オキサゼピン−5−オン(L03)の合成:2−クロロトリチルクロライドポリスチレン樹脂(150μmol)に、3−アミノプロパン−1−オール(1mL)及びジクロロメタン(1mL)を加え、該混合物を20分間撹拌した後、該樹脂をDMF、メタノール及びジクロロメタンで(各3度ずつ)洗浄した。該樹脂を乾燥させて、DIPEA(1mmol)(ジクロロメタン(1mL)中)で処理し、続いてメタンスルホニルクロリド(0.5mmol)(ジクロロメタン(1mL)中)を滴加した。該混合物を室温で20分間振り混ぜた後、該樹脂をジクロロメタンで3度洗浄し、乾燥させ、グラスバイアルに移して、エタノールアミン(1mL)及びNMP(1mL)により100℃で2時間処理した。その後、DMF、メタノール及びジクロロメタンで(各3度ずつ)洗浄した
2−フルオロ−5−ニトロ安息香酸(200μmol)及びTBTU(200μmol)(NMP(1.5mL)中)を、DIPEA(400μmol)で2分間処理した.その後、混合物をNMP膨潤樹脂に加え、該混合物を25分間撹拌して、該樹脂を前述のようにして洗浄した。THF(2mL)、メタノール(1mL)及びNaOH水溶液(2M、1mL)を加えた後、該樹脂を3日間撹拌させ、その後メタノール及びジクロロメタンで十分に洗浄した。
該樹脂をピリジン(0.5mL)及び無水塩化スズ(II)(1mmol)(NMP(1.5mL)中)で処理して、室温で5.5時間振り混ぜ、続いて別分量の塩化スズ(II)(0.5mmol)(NMP(0.5mL)中)を加えた。該混合物を一晩振り混ぜた後、メタノールで洗浄した。不溶な反応副生成物を、メタノールを用いた慎重な浮上処理を繰り返して、樹脂より分離した。ジクロロメタンで洗浄した後、該樹脂をNMP中に膨潤させた。1−メチル−3−インダゾールカルボン酸(0.2mmol)及びHATU(0.2mmol)(NMP(1.5mL)中)を、DIPEA(0.4mmol)で処理し、2分後に該混合物を該樹脂に加えて、5時間撹拌した。該樹脂をDMF、メタノール及びジクロロメタンで(3度ずつ)洗浄した。標的化合物をトリフルオロ酢酸(45%)及びトリエチルシラン(10%)(ジクロロメタン中)で2重に処理して該支持体より開裂させ、その後該樹脂をジクロロメタンで十分に洗浄した。溶媒を蒸発させた後、粗生成物を分取逆相HPLC−MSにより精製した。ESI−MS:394(M+1)
【0264】
【化147】
1−(3−アミノ−1−プロピル)インダゾール−3−カルボン酸N−(3−カルバモイル−4−メトキシフェニル)アミド(L04)の合成:シーバー(Sieber)アミドリンカーで保護された9−フルオレニルメトキシカルボニルがあらかじめロードされたポリスチレン樹脂を、ジクロロメタン中に膨潤させ、その後DMFに膨潤させた。該樹脂をピペリジン(DMF中25%、約3mL)で10分間処理し、その後DMF、メタノール及びジクロロメタンで(各3度ずつ)洗浄した。5−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)アミノ−2−メトキシ安息香酸(0.2mmol)及びHATU(0.2mmol)をNMP(1.5mL)に溶解して、DIPEA(0.4mmol)で処理した。2分後に該溶液を該樹脂に加えて、該混合物を30分間撹拌し、該樹脂をDMFで3度洗浄した。ピペリジン(DMF中25%、約3mL)を加えた後、該混合物を15分間撹拌し、続いてDMF、メタノール及びジクロロメタンで(各3度ずつ)洗浄した。
インダゾール−3−カルボン酸(0.5mmol)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.5mmol)をNMP(1.5mL)に溶解させ、N、N’−ジイソプロピルカルボジイミド(0.5mmol)で2分間処理して、該溶液を該樹脂に加え、該混合物を1時間振り混ぜた後、洗浄した(DMF、メタノール、ジクロロメタン、各3度ずつ).乾燥させた後、該樹脂をガラスバイアルに移し、1、3−ジブロモプロパン(1mmol)及びDIPEA(1mmol)(NMP中)により60℃で一晩処理した。該反応をもう一度100℃で4.5h繰り返し、続いて該樹脂を洗浄して(DMF、メタノール、ジクロロメタン、各3度ずつ)、再びガラスバイアルに移した。テトラヒドロフラン(2mL)及び濃縮アンモニア水溶液(1mL)を加えた後、該バイアルを完全に密閉し、該混合物を50℃に90分間加熱した。追加のアンモニア水溶液(1mL)を加えた後、加熱を一晩続けた。該樹脂をDMF、メタノール及びジクロロメタンで(各3度ずつ)洗浄した後、生成物をジクロロメタン、トリフルオロ酢酸及びトリエチルシラン(85:10:5)で3重に処理して該樹脂より開裂させ、その後ジクロロメタンでリンスした。溶媒を蒸発させた後、残渣を分取逆相HPLC−MSにより精製した。ESI−MS:368(M+1)
【0265】
【化148】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾトリアゾール−5−カルボン酸N−(1−メチルインダゾール−3−イル)アミド(L06)の合成:3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−1−プロピルアミン(0.3mmol)、4−フルオロ−3−ニトロ安息香酸(0.3mmol)及びDIPEA(0.6mmol)(ジオキサン(2mL)中)を、100℃に1時間加熱し、その後溶媒を蒸発させた。残渣にクエン酸水溶液(5%)を加えて、該混合物を酢酸エチルで2度抽出した。有機層を合わせて塩化ナトリウム飽和水溶液で2度洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。次に、パラジウム活性炭素(5%、水50%により湿潤、Degussa社製タイプE101 NO/W、15mg)メタノール(2mL)を加え、続いてトリエチルシラン(500μL)を3分かけて滴加した。該混合物をさらに5分間振り混ぜた後、これをセライトに通過させて濾過し、濾液を蒸発乾固させ、残渣を完全に密閉されたガラスバイアル中で、DMF(2mL)及びイソペンチルニトリル(0.9mmol)により60℃で一晩処理した。室温に冷却した後、クエン酸水溶液(5%、2mL)を加えて、該混合物酢酸エチルで3度抽出した。有機層を合わせて、塩化ナトリウム飽和水溶液で3度洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、真空中で乾燥させた。
該残渣を、ジオキサン(1mL)及びDIPEA(0.6mmol)に溶解させ、炭酸ビス(トリクロロメチル)溶液(0.1mmol)(ジオキサン(1mL)中)により室温で30分間処理した。その後、3−アミノ−1−メチルインダゾール(0.3mmol)(ジクロロメタン(1mL)中)を加えて、該混合物を30分間撹拌し、続いて溶媒を蒸発させ、残渣を炭酸ナトリウム飽和水溶液(2mL)で処理して、酢酸エチルで2度抽出した。有機層を合わせてクエン酸水溶液(5%)及び炭酸ナトリウム飽和水溶液で2度洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、セライトに通過させて濾過し、蒸発乾固させた。
該残渣を、ジクロロメタン(2mL)、トリエチルシラン(0.1mL)及びトリフルオロ酢酸(1mL)により室温で15分間処理した。その後、溶媒を蒸発させて、残渣を分取逆相HPLC−MSにより精製した。ESI−MS:350(M+1)
【0266】
【化149】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[3−(2−フリル)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]アミド(L55)の合成:基本工程Aを用いて、合成を行った。カルボン酸成分として、1−[3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−1−プロピル]ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(合成、前述を参照)を使用した。芳香族アミンとして、5−アミノ−3−(2−フリル)−1,2,4−チアゾールを用いた。
【0267】
【化150】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(3−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L56)の合成:基本工程Aを用いて、合成を行った。カルボン酸成分として、1−[3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−1−プロピル]ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(合成、前述を参照)を使用した。芳香族アミンとして、2−アミノ−5−(3−フリル)−1,3,4−チアゾールを用いた。
【0268】
【化151】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[4−(2−フリル)チアゾール−2−イル]アミド(L57)の合成:基本工程Aを用いて、合成を行った。カルボン酸成分として、1−[3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−1−プロピル]ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(合成、前述を参照)を使用した。芳香族アミンとして、2−アミノ−4−(2−フリル)チアゾールを用いた。
【0269】
【化152】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−フリル)チアゾール−2−イル]アミド(L58)の合成:基本工程Aを用いて、合成を行った。カルボン酸成分として、1−[3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−1−プロピル]ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(合成、前述を参照)を使用した。芳香族アミンとして、2−アミノ−5−(2−フリル)チアゾールを用いた。
【0270】
【化153】
1−(3−アミノ−1−プロピル)ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[6−(2−フリル)ピリダジン−3−イル]アミド(L59)の合成:基本工程Aを用いて、合成を行った。カルボン酸成分として、1−[3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−1−プロピル]ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(合成、前述を参照)を使用した。芳香族アミンとして、3−アミノ−6−(2−フリル)ピリダジンを用いた。カップリング時間を、マイクロ波照射下120℃で6〜18時間に延長する必要がある。
【0271】
【化154】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[3−(2−フリル)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]アミド(L60)の合成:基本工程Aを用いて、合成を行った。カルボン酸成分として、1−[3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−1−プロピル]−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(合成、前述を参照)を使用した。芳香族アミンとして、5−アミノ−3−(2−フリル)−1,2,4−チアゾールを用いた。
【0272】
【化155】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(3−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L61)の合成:基本工程Aを用いて、合成を行った。カルボン酸成分として、1−[3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−1−プロピル]−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(合成、前述を参照)を使用した。芳香族アミンとして、2−アミノ−5−(3−フリル)−1,3,4−チアゾールを用いた。
【0273】
【化156】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[4−(2−フリル)チアゾール−2−イル]アミド(L62)の合成:基本工程Aを用いて、合成を行った。カルボン酸成分として、1−[3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−1−プロピル]−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(合成、前述を参照)を使用した。芳香族アミンとして、2−アミノ−4−(2−フリル)チアゾールを用いた。
【0274】
【化157】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−フリル)チアゾール−2−イル]アミド(L63)の合成:基本工程Aを用いて、合成を行った。カルボン酸成分として、1−[3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−1−プロピル]−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(合成、前述を参照)を使用した。芳香族アミンとして、2−アミノ−5−(2−フリル)チアゾールを用いた。
【0275】
【化158】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[6−(2−フリル)ピリダジン−3−イル]アミド(L64)の合成:基本工程Aを用いて、合成を行った。カルボン酸成分として、1−[3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−1−プロピル]−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(合成、前述を参照)を使用した。芳香族アミンとして、3−アミノ−6−(2−フリル)ピリダジンを用いた。カップリング時間を、マイクロ波照射下120℃で6〜18時間に延長する必要がある。
【0276】
【化159】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−エチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[3−(2−フリル)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]アミド(L65)の合成:基本工程Aを用いて、合成を行った。カルボン酸成分として、1−[3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−1−プロピル]−2−エチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(合成、前述を参照)を使用した。芳香族アミンとして、5−アミノ−3−(2−フリル)−1,2,4−チアゾールを用いた。
【0277】
【化160】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−エチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(3−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L66)の合成:基本工程Aを用いて、合成を行った。カルボン酸成分として、1−[3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−1−プロピル]−2−エチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(合成、前述を参照)を使用した。芳香族アミンとして、2−アミノ−5−(3−フリル)−1,3,4−チアゾールを用いた。
【0278】
【化161】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−エチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[4−(2−フリル)チアゾール−2−イル]アミド(L67)の合成:基本工程Aを用いて、合成を行った。カルボン酸成分として、1−[3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−1−プロピル]−2−エチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(合成、前述を参照)を使用した。芳香族アミンとして、2−アミノ−4−(2−フリル)チアゾールを用いた。
【0279】
【化162】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−エチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−フリル)チアゾール−2−イル]アミド(L68)の合成:基本工程Aを用いて、合成を行った。カルボン酸成分として、1−[3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−1−プロピル]−2−エチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(合成、前述を参照)を使用した。芳香族アミンとして、2−アミノ−5−(2−フリル)チアゾールを用いた。
【0280】
【化163】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−エチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[6−(2−フリル)ピリダジン−3−イル]アミド(L69)の合成:基本工程Aを用いて、合成を行った。カルボン酸成分として、1−[3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−1−プロピル]−2−エチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(合成、前述を参照)を使用した。芳香族アミンとして、3−アミノ−6−(2−フリル)ピリダジンを用いた。カップリング時間を、マイクロ波照射下120℃で6〜18時間に延長する必要がある。
【0281】
【化164】
4−[2−(3−アミノ−1−プロピルアミノ)チアゾール−4−イル]安息香酸N−[5−(2−フリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L70)の合成:本合成は、不溶の支持体上で実施される。したがって、1,3−ジアミノプロパン(150μmol)があらかじめロードされたトリチルポリスチレン樹脂を、1−メチルピロリジン−2−オンまたはジクロロメタン(1−5mL)中で、N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)イソシアナート(150〜500μmol)と30分〜一晩反応させる。該樹脂をDMF、メタノール、及びジクロロメタンで洗浄した後、該樹脂ピペリジン(DMF(25%、2〜5mL)中)で10〜30分間処理し、続いて該樹脂を前述のようにして洗浄する。その後、4−ブロモアセチル安息香酸メチルエステル(150〜500μmol)(1−メチルピロリジン−2−オン、ジメチルスルホキシドまたはジクロロメタン(1〜5mL)中、等モル量の適切な塩基(DIPEA、N−メチルモルホリン、トリエチルアミンまたはN、N−ジメチルアニリン)が添加されている)を加え、該混合物を室温で30分〜一晩撹拌し、続いて該樹脂を前述のようにして洗浄する。次に、該樹脂水酸化ナトリウム水溶液(2〜5M、0.5〜2mL)、メタノール(0.5〜2mL)及びテトラヒドロフラン(1〜4mL)の混合物で処理し、40〜70℃で1時間〜一晩撹拌して、その後、DMF、酢酸(DMF(1〜5%)中)、メタノール及びジクロロメタンで洗浄を繰り返す。続いて、HATU(該樹脂のロード量に対して1〜2当量)(NMP(1〜3mL)中)及びDIPEA(HATUの量に対して2当量)の溶液を加え、該混合物を2〜10分撹拌して、続いて2−アミノ−5−(2−フリル)−1,3,4−チアゾール(HATUの量に対して1〜2当量)を加え、該混合物を通常の加熱またはマイクロ波照射により、100〜120℃に30〜180分間加熱する。該樹脂をDMF、メタノール及びジクロロメタンで洗浄した後、最終生成物をトリフルオロ酢酸(10%)及びトリエチルシラン(5%)(ジクロロメタン中)で処理して該支持体より開裂させる。溶媒を蒸発させた後、最終生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(アミノ改質固定相、ジクロロメタン中メタノールによるグラジエント溶出)または分取逆相HPLC−MSにより精製した。
【0282】
【化165】
1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(5−イソオキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L71)、1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(5−オキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L72)及び1−(3−アミノ−1−プロピル)−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸N−[5−(2−オキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミド(L73)の合成:本化合物は、基本工程Aを用いて合成される。各アニリンの合成のために、以下の工程が用いられる:カルボン酸、すなわちイソオキサゾール−5−カルボン酸(L71用)、オキサゾール−5−カルボン酸(L72用)及びオキサゾール−2−カルボン酸(L73用)(10mmol)と、チオセミカルバゾン(15mmol)とを塩化ホスホリル(5mL)に溶解し、60〜80℃に10分〜5時間加熱する。室温に冷却した後、該混合物を氷水に注ぎ、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH8〜10に調節する。適切な溶媒(酢酸エチル、クロロホルムまたはジクロロメタン)による濾過または抽出により、得られた混合物から生成物を回収し、続いて蒸発させる。粗生成物を、再結晶(例えば、エタノール、イソプロパノール、エタノール/水混合液より)により、またはカラムクロマトグラフィー(順相またはアミノ改質固定相、ジクロロメタン中メタノールまたはクロロホルム中メタノールによるグラジエント溶出)により精製する。その後、標的化合物を、得られたアニリンと、基本工程Aで用いられるカルボン酸成分として1−[3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−1−プロピル]−2−メチルベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(合成、前述を参照)とから合成する。
【0283】
実施例1で用いられた略語
DIPEA=N−エチル−N,N−ジイソプロピルアミン
TBME=tert−ブチルメチルエーテル
HATU=O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロリン酸塩
HPLC−MS=高速液体クロマトグラフィーと質量分析との連結
ESI−MS=エレクトロスプレーイオン化質量分析
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO=ジメチルスルホキシド
【0284】
実施例2:リガンドの固定化
実施例1のリガンドを、続くクロマトグラフィー及びバッチ吸着実験のために、NHS活性化セファロース4FFに固定化した。カップリングは、リガンド上のスペーサ前駆体体基のアミノ基と、あらかじめ活性化された樹脂のNHS活性化カルボン酸基との間にアミド結合を形成することにより達成された。
乾燥したリガンドを、約50mMの濃度でDMSO中に再溶解した。カップリング反応では、1M N,N−ジイソプロピルエチルアミンを含有する、90%DMSO及び10%N−メチル−2−ピロリドン中に、約20〜30mMの濃度に溶解したリガンドの1容量を、安定化されたNHS活性化セファロース4FF(GE Healthcare)の1容量に加えた。激しく振り混ぜながら、反応を25℃にて少なくとも3時間行った。反応物の上清を除去し、樹脂を適切な溶媒で2度洗浄した。該樹脂上に残存した活性基を、1Mエタノールアミンにより25℃にて1〜2時間ブロックした。最後に樹脂を洗浄し、以後の実験に使用するまで30%エタノール中で4℃にて保存した。
【0285】
実施例3:(実施例1による)リガンドのクロマトグラフィーによる評価
実験
マイクロタイタープレートクロマトグラフィーにより、樹脂を充填された状態で評価した。各カラム用に約30μLの樹脂を384ウェルフィルタプレートに移し、適切なトップフリットで封止した。組換えプロテインAセファロースFF及びMabsorbent A2P HFによるカラムを対照として含めた。
サンプル導入前に、6.7カラム容積(cv)のリン酸緩衝食塩水(0.15M NaCl、20mMリン酸ナトリウム、pH7.3;PBS)でカラムを平衡化した。PBS中に溶解した0.5mg/ml-1全IgG3.3cvまたは無希釈の宿主細胞タンパク質(HCP)をカラム上に導入した。
結合していないタンパク質を、PBS5cvでカラムから洗い流した後、pH2.5のグリシンバッファー5cvで溶出した。移動容積を、カラムに通して50gで1−2分間スピンさせた。サンプル導入の間、速度を10gに減らし、遠心時間を5−10分に増やした。溶出画分を384ウェルプレートに収集し、タンパク質の濃度をBradfordアッセイにより分析した。タンパク質の質量mi、mft、及びme(下記参照)は、画分容積と測定されたタンパク質濃度との積として算出された。
【0286】
概要及び結果
いくつかの抗体の結合及び溶出を示した。それらの中には、3つのヒト化治療用抗体ベバシズマブ、トシリズマブ及びパリビズマブ、キメラ型抗体セツキシマブ、並びにヒト血清から分離されたヒトpoly-IgG(h-poly-IgG)混合物があった。リガンドの抗体に対する選択性は、宿主細胞タンパク質の結合態様を調査することにより決定した。比較のために、市販の樹脂である組換えプロテインAセファロースFF(rProtein A)及びMabsorbent A2P(A2P)についての結果を含めた。
結合したタンパク質の割合は、導入されたタンパク質の全質量miと、素通り画分において検出されたタンパク質の質量mftとの差を、導入されたタンパク質の全質量で割ったものとして算出した。
【数1】
タンパク質の収率は、溶出されたタンパク質の質量meを、導入されたタンパク質の全質量miで割ったものとして算出した。
【数2】
樹脂の選択性は、結合したベバシズマブの割合BAbを、結合した宿主タンパク質の割合BHCPで割ったものとして算出した。
【数3】
結合したタンパク質の割合及びタンパク質の収率は、全IgG抗体に関するデータに基づき、各樹脂について算出された。宿主細胞タンパク質の場合には、結合したタンパク質の割合のみが与えられる。樹脂の選択性は、ベバシズマブ全IgG及び宿主細胞タンパク質についてのデータより算出した。実験の正確性における限界により、選択性では10を越えた値を切り捨てた。
実施例2より得られた樹脂及び参照樹脂についてのクロマトグラフィー結果は、以下の表に与えられる。L55〜73に示される値は、L01〜L54より得られた知見に基づく推定値である。
【0287】
【表1】
【表2】
【表3】
【0288】
対照は、全ての抗体と100%近くまで結合した。プロテインAは宿主細胞タンパク質(HCP)と全く結合しなかったが、A2Pはそれらに対して高い結合性能を示した。得られた選択性指数は、プロテインAについては10.0、A2Pについては1.0であった。
実施例2の樹脂は、それらの抗体結合性能及び選択性によって、3つのグループに分類することができる。第1グループのリガンドは、抗体結合率が少なくとも90%であり、選択性指数が少なくとも7であることを特徴とする(例えば、L24、L25、L39、L53及びL54)。第2グループのリガンドは、試験された抗体の少なくとも1つに対する減少した抗体結合率(80〜89%)及び/または4〜6.9の選択性を示した(例えば、L5、L30、L31及びL52)。第3グループのリガンドは、試験された抗体の少なくとも1つに対して80%未満が結合し、及び/または4未満の選択性指数を有していた(例えば、L1、L18、L32及びL50)。
【0289】
実施例4:結合の等温式及び時間尺度
実験
抗体としてベバシズマブを用いて実験を行った。精製抗体についてのラングミュア等温式のパラメータは、96ウェルマイクロタイタープレートにおけるバッチ吸着実験により決定した。各ウェル内で、吸着剤スラリー(50%v/v)10μlをタンパク質溶液100μlと混合した。初期濃度は、リン酸緩衝生理食塩水(0.15M NaCl、20mMリン酸緩衝液、pH7.3;PBS)中において、0.05から5mg/mLまで変化させた。反応物を25℃にて少なくとも3時間の間において激しく撹拌した。その後、Bradfordアッセイにより上清中の抗体濃度を測定した。該値をラングミュア等温式に直接当てはめることにより、データを評価した(1)。
取り込み速度は、96ウェルフィルタプレートにおけるバッチ吸着により同様に調べた。改めて、吸着剤スラリー(50%v/v)10μlをタンパク質溶液100μlと混合した。しかしながら、固定初期濃度としてPBS中0.75mg/mLのベバシズマブを用いた。反応物を25℃にて最大80分までの間において激しく撹拌した。2.5、5、10、20、40及び80分後に、フィルターを通してスピンさせることにより上清を速やかに分離し、分析用にサンプリングした。該抗体の濃度は、Bradfordアッセイにより分析した。
【0290】
概要及び結果
実施例1の固定化されたリガンドのサブセットは、ベバシズマブに対するそれらの親和性及び最大容量の点より特徴付けられた。さらに、いくつかのリガンドについて、結合に必要な時間尺度を決定した。比較のために、市販の樹脂である組換えプロテインAセファロースFF(rProtein A)及びMabsorbent A2P(A2P)についての結果を含めた。
ラングミュア等温式のパラメータ、すなわち解離定数Kd及び最大容量qmを、上清中において測定された濃度より決定した。パラメータは、Chase(1)によって導き出されたモデル等式に数値を当てはめることにより推定した。
取り込み速度は、樹脂の抗体との80%の平衡飽和が起こった時間として定義される、結合の時間尺度t0.8によって特徴付けられた。t0.8を決定するため、上清中において測定された濃度に、二重指数関数を当てはめることにより補間し、t0.8の値をグラフより読み取った(2)。実施例2の樹脂及び参照樹脂についてのラングミュア等温式のパラメータ及び結合の時間尺度を、以下の表において報告する。
【0291】
【表4】
【0292】
最も高いアフィニティーは組換えプロテインAにおいて観測され、Kdは0.005mg/mlであった。A2P、樹脂L01、L05、L07、L13、L14、L23、L25、L31、L39、L40、L41、L46、L47、L51及びL54の解離定数は一桁小さく、0.038mg/ml〜0.098mg/mlの範囲であった。残りの樹脂の解離定数は二桁小さく、0.105mg/m〜0.282mg/mlの範囲であった。最大容量に関しては、最も高い容量はA2Pにおいて測定された(樹脂1mlに対し68mg)。組換えプロテインAの最大容量は、樹脂1mlに対し41mgであった。実施例2の樹脂の最大容量は、樹脂1mlに対し34〜53mgと様々であった。結合の時間尺度は、組換えプロテインAでは8.9分、A2Pでは9.2分、実施例2の樹脂では5.3〜11.8分であった。
【0293】
実施例5:動的結合容量
実験
精製ベバシズマブを用いたカラムクロマトグラフィーにより、動的結合容量を決定した。長さ25mm及び内径3mmの分析カラム内に樹脂を充填した。リン酸緩衝生理食塩水(150mM NaCl、20mMリン酸緩衝液、pH7.3)中1mg/mlの抗体を、流速50cm/時間(カラム滞留時間3分)にてカラムに供給し、その間、溶出液を280nmの吸収により常時観測した。供給物の全量が漏出するまで抗体をロードした。動的結合容量は、その10%が漏出した際に決定した。平衡容量は、破過曲線上部の範囲を積分することにより決定した。結合した抗体は、pH3.0のグリシンで溶出することによりカラムから脱離させた。
【0294】
概要及び結果
L05(実施例2より)及び組換えプロテインAセファロースFF(rProtein A)について、ベバシズマブの動的(結合)容量を、流速の関数として決定した。それは、10%の漏出が生じた後の時間t0.1に、流速Fと供給濃度cfとを乗じて算出した。
【数4】
平衡容量は、送られた供給流の濃度についてのカラムに結合した抗体の最大量として定義される。それは、供給濃度cf,経時的な溶出液濃度c(t)及び流速Fを含む、以下の積分計算により算出した。
【数5】
該積分は、数値により計算される。積分は、全量の漏出が生じた後の時点にまで制限される。動的容量及び平衡容量の計算結果は、共にカラム及びクロマトグラフィー系の滞留物により補正された。容量は、カラム中の樹脂の容積により正規化される。
流速の関数としてのL05及び組換えプロテインAセファロースFFについての動的結合容量、及び供給濃度1mg/mlのベバシズマブについての平衡結合容量を、以下の表に示す。
組換えプロテインAについて、動的結合容量は樹脂1mlに対して28mgと決定された。L5の動的結合容量は、樹脂1mlに対して25mgであった。算出された平衡容量は、組換えプロテインAについては樹脂1mlに対して40mgであり、L05については樹脂1mlに対して39mgであった。
【0295】
【表5】
【0296】
実施例6:アルカリ安定性
実施例1のリガンドのサブセットを、そのアルカリ安定性について試験した。リガンドを0.5M水酸化ナトリウムにより25℃で8日間処理した。加水分解をLC−MS分析により観測した。
【0297】
【表6】
ほとんどのリガンドは、0.5M NaOH存在中にて999時間を超える半減期を示した。残りのリガンドは、719時間〜903時間の半減期を示した。
【0298】
実施例7:細胞培養上清からの抗体の精製
実験
細胞培養上清からの抗体の精製についての樹脂の適合性を、カラムクロマトグラフィーにより評価した。宿主細胞タンパク質に0.12mg/mLの濃度で添加したベバシズマブを供給材料として使用した。それに加えて、宿主細胞タンパク質及び純粋な抗体のみを用いたクロマトグラフィーを実行した。実行毎に25カラム容積の試料を注入した。注入の前後において、カラムをPBSで平衡化及び洗浄した。結合したタンパク質を、pH3.0の50mMグリシンで溶出した。3度の単一実行における溶出ピークの範囲を積分及び比較することにより、純度を決定した。収率は、平行して操作されたプロテインAカラムから溶出された抗体の量を100%とみなし、相対的な回収率として表した。
【0299】
概要及び結果
実施例2の樹脂のサブセットにおけるクロマトグラフィーにより、細胞培養上清から抗体を精製した。比較のために、市販の樹脂である組換えプロテインAセファロースFF(rProtein A)におけるクロマトグラフィーを含めた。各樹脂において、抗体、宿主細胞タンパク質または後述の混合物のいずれかを注入し、3つのクロマトグラフィー分析を同一条件下で行った。
【0300】
クロマトグラフィー後における操作の「収率」は、純粋な抗体を用いた実行より算出した。それは、プロテインAにおける実行AE,プロテインAからの溶出ピークの範囲に対する、リガンドを用いた実行AE,リガンドからの溶出ピークの範囲として表した。
【数6】
【0301】
混合物のクロマトグラフィー後における抗体の「純度」は、添加抗体を用いた実行AE,混合物からの溶出ピークの範囲を、純粋な抗体を用いた実行、またはHCPを用いた実行AE,Abにより補正された添加抗体を用いた実行AE,混合物のいずれかと比較することにより算出した。
【数7】
【0302】
実施例2のいくつかの樹脂及び参照樹脂におけるクロマトグラフィー後に得られた純度及び収率を、以下の表に示す。
実験精度の範囲内において、収率は、試験した全ての樹脂において100%であった。純度は、組換えプロテインAでのクロマトグラフィー後において最も高く、続いて、樹脂L25(93%)並びに樹脂L24及びL39(共に91%)でのクロマトグラフィー後において高かった。残りの樹脂でのクロマトグラフィー後の純度は、80%〜89%の範囲内であった。
【0303】
【表7】
【0304】
本実施例に引用された文献:
1. Chase HA. Prediction of the performance of preparative affinity chromatography. J Chromatogr 1984; 297:179-202.
2. Coffman JL, Kramarczyk JF, Kelley BD. High-throughput screening of chromatographic separations: I. Method development and column modeling. Biotechnology and Bioengineering 2008; 100(4):605-618.