特許第6195631号(P6195631)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6195631
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】雪面滑走具
(51)【国際特許分類】
   A63C 5/00 20060101AFI20170904BHJP
【FI】
   A63C5/00 Z
   A63C5/00 B
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-557660(P2015-557660)
(86)(22)【出願日】2014年1月18日
(86)【国際出願番号】JP2014050864
(87)【国際公開番号】WO2015107682
(87)【国際公開日】20150723
【審査請求日】2016年7月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】516207746
【氏名又は名称】北澤 澤登
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】北澤 澤登
【審査官】 ▲吉▼川 康史
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0197294(US,A1)
【文献】 特開平10−309340(JP,A)
【文献】 特開平08−019633(JP,A)
【文献】 特開平08−310406(JP,A)
【文献】 特表2001−516306(JP,A)
【文献】 特開昭57−170474(JP,A)
【文献】 特開2006−122154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63C 5/00
B62B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
滑走具本体部(2)と、
前記滑走具本体部(2)における滑走具前後方向の途中の部位から前方に向かって斜め上方に延びる操縦ハンドル(3)と、
前記滑走具本体部(2)における前記操縦ハンドル(3)の後側の部位に取り付けた座席(4)と、
滑走板(7)と、
前記滑走具本体部(2)の本体部底面(5)に着脱可能に前記滑走板(7)を取り付ける滑走板取付け機構(6、106)と、
を有しており、
前記滑走板取付け機構(6、106)は、前記本体部底面(5)に対する前記滑走板(7)の取付け位置を前記滑走具前後方向に変更可能であり、
前記滑走板取付け機構(6、106)は、前記滑走具本体部(2)および前記滑走板(7)のうちの一方に取り付けた第1連結部(30、130)、前記滑走具本体部(2)および前記滑走板(7)のうちの他方に取り付けた第2連結部(40、140)、および、前記第1、第2連結部(30、40;130、140)を連結固定するボルト(50)を備え、
前記第1連結部(30、130)は、前記滑走具前後方向に第1ピッチで形成された複数の位置決め用の位置のうちの一つに、前記ボルト(50)を位置決め可能なボルト位置決め部であり、
前記第2連結部(40、140)は、前記滑走具前後方向に、前記第1ピッチとは異なる第2ピッチで形成された複数の位置の一つに、前記位置決め用の位置の一つに位置決めされた前記ボルト(50)をねじ込み固定可能なボルト固定部である、
雪面滑走具(1)。
【請求項2】
滑走具本体部(2)と、
前記滑走具本体部(2)における滑走具前後方向の途中の部位から前方に向かって斜め上方に延びる操縦ハンドル(3)と、
前記滑走具本体部(2)における前記操縦ハンドル(3)の後側の部位に取り付けた座席(4)と、
滑走板(7)と、
前記滑走具本体部(2)の本体部底面(5)に着脱可能に前記滑走板(7)を取り付ける滑走板取付け機構(6、106)と、
を有しており、
前記滑走板取付け機構(6、106)は、前記本体部底面(5)に対する前記滑走板(7)の取付け位置を前記滑走具前後方向に変更可能であり、
前記本体部底面(5)における前記滑走具前後方向の中心に対する前記滑走板(7)の長さ方向の中心は、前記滑走具前後方向において、前記本体部底面(5)の前記底面長さの1/3以内の範囲内の位置にある雪面滑走具(1)。
【請求項3】
滑走具本体部(2)と、
前記滑走具本体部(2)における滑走具前後方向の途中の部位から前方に向かって斜め上方に延びる操縦ハンドル(3)と、
前記滑走具本体部(2)における前記操縦ハンドル(3)の後側の部位に取り付けた座席(4)と、
滑走板(7)と、
前記滑走具本体部(2)の本体部底面(5)に着脱可能に前記滑走板(7)を取り付ける滑走板取付け機構(6、106)と、
を有しており、
前記滑走板取付け機構(6、106)は、前記本体部底面(5)に対する前記滑走板(7)の取付け位置を前記滑走具前後方向に変更可能であり、
前記本体部底面(5)における前記滑走具前後方向の中心に対する前記滑走板(7)の長さ方向の中心は、前記滑走具前後方向において、前記本体部底面(5)の前記底面長さの1/3以内の範囲内の位置にあり、
前記座席(4)は、
クッション材(16)を介して前記滑走具本体部(2)によって支持されている座部(4b)と、
前記座部(4b)の前側の部位において前記滑走具本体部(2)に対して滑走具幅方向に延びる軸線回りに回動可能に取り付けた本体側連結部(4c)と、
を備えている雪面滑走具(1)。
【請求項4】
滑走具本体部(2)と、
前記滑走具本体部(2)における滑走具前後方向の途中の部位から前方に向かって斜め上方に延びる操縦ハンドル(3)と、
前記滑走具本体部(2)における前記操縦ハンドル(3)の後側の部位に取り付けた座席(4)と、
滑走板(7)と、
前記滑走具本体部(2)の本体部底面(5)に着脱可能に前記滑走板(7)を取り付ける滑走板取付け機構(6、106)と、
を有しており、
前記滑走板(7)の長さは、前記本体部底面(5)の前記滑走具前後方向の底面長さの2倍以下である雪面滑走具(1)。
【請求項5】
滑走具本体部(2)と、
前記滑走具本体部(2)における滑走具前後方向の途中の部位から前方に向かって斜め上方に延びる操縦ハンドル(3)と、
前記滑走具本体部(2)における前記操縦ハンドル(3)の後側の部位に取り付けた座席(4)と、
滑走板(7)と、
前記滑走具本体部(2)の本体部底面(5)に着脱可能に前記滑走板(7)を取り付ける滑走板取付け機構(6、106)と、
を有しており、
前記滑走板取付け機構(6、106)は、前記本体部底面(5)に対する前記滑走板(7)の取付け位置を前記滑走具前後方向に変更可能であり、
前記滑走板取付け機構(6、106)は、前記滑走具本体部(2)および前記滑走板(7)のうちの一方に取り付けた第1連結部(30、130)、前記滑走具本体部(2)および前記滑走板(7)のうちの他方に取り付けた第2連結部(40、140)、および、前記第1、第2連結部(30、40;130、140)を連結固定するボルト(50)を備え、
前記第1連結部(30、130)は、前記滑走具前後方向に第1ピッチで前記ボルト(50)を位置決め可能なボルト位置決め部であり、
前記第2連結部(40、140)は、前記滑走具前後方向に第2ピッチで前記ボルト(50)をねじ込み固定可能なボルト固定部であり、
前記本体部底面(5)における前記滑走具前後方向の中心に対する前記滑走板(7)の長さ方向の中心は、前記滑走具前後方向において、前記本体部底面(5)の前記底面長さの1/3以内の範囲内の位置にある雪面滑走具(1)。
【請求項6】
滑走具本体部(2)と、
前記滑走具本体部(2)における滑走具前後方向の途中の部位から前方に向かって斜め上方に延びる操縦ハンドル(3)と、
前記滑走具本体部(2)における前記操縦ハンドル(3)の後側の部位に取り付けた座席(4)と、
滑走板(7)と、
前記滑走具本体部(2)の本体部底面(5)に着脱可能に前記滑走板(7)を取り付ける滑走板取付け機構(6、106)と、
を有しており、
前記滑走具本体部(2)は、前記本体部底面(5)を備えた滑走具前後方向に延びる底部補強リブ(9)、前記底部補強リブ(9)の前端部(9a)から後方に向かって斜め上方に延びる前側補強リブ(10)、前記底部補強リブ(9)の後端部(9b)から前方に向かって斜め上方に延びる後側補強リブ(11)、および、前記底部補強リブ(9)、前記前側補強リブ(10)および前記後側補強リブ(11)によって囲まれる部分の少なくとも一部に形成した滑走具幅方向に貫通する第1開口部(13)を備え、
前記操縦ハンドル(3)は、前記前側補強リブ(10)と前記後側補強リブ(11)が合流する前記滑走具本体部の上端部(8a)から上方に向かって斜め前方に延びている、
雪面滑走具(1)。
【請求項7】
前記滑走具本体部(2)および前記操縦ハンドル(3)は、樹脂の射出成形品である単一部品(8)から形成されている請求項6に記載の雪面滑走具(1)。
【請求項8】
両端が連結された所定長さのベルト(15)を有し、
前記操縦ハンドル(3)における前記上端部(8a)には、滑走具幅方向に貫通する第2開口部(14)が形成され、
前記ベルト(15)は前記第2開口部(14)に通すことで前記滑走具本体部(2)に取り付けられている、
請求項6に記載の雪面滑走具(1)。
【請求項9】
前記操縦ハンドル(3)は、その長さ方向に沿って、滑走具前後方向の前側に湾曲し、外周面にグリップ面(3b)が形成されたグリップ部(3a)を備え、
前記グリップ面(3b)における前面部分には、上下方向に所定の間隔で凹面および凸面が交互に形成された凹凸面(3c)が形成され、
前記グリップ面(3b)における後面部分には、上下方向に所定の間隔で溝(3d)が形成されている、
請求項8に記載の雪面滑走具(1)。
【請求項10】
滑走具本体部(2)と、
前記滑走具本体部(2)における滑走具前後方向の途中の部位から前方に向かって斜め上方に延びる操縦ハンドル(3)と、
前記滑走具本体部(2)における前記操縦ハンドル(3)の後側の部位に取り付けた座席(4)と、
滑走板(7)と、
前記滑走具本体部(2)の本体部底面(5)に着脱可能に前記滑走板(7)を取り付ける滑走板取付け機構(6、106)と、
を有しており、
前記座席(4)は、
クッション材(16)を介して前記滑走具本体部(2)によって支持されている座部(4b)と、
前記座部(4b)の前側の部位において前記滑走具本体部(2)に対して滑走具幅方向に延びる軸線回りに回動可能に取り付けた本体側連結部(4c)と、
を備えている雪面滑走具(1)。
【請求項11】
前記座席(4)の前記本体側連結部(4c)は、滑走具前後方向における異なる位置において、前記滑走具本体部(2)に取付け可能である請求項10に記載の雪面滑走具(1)。
【請求項12】
前記クッション材(16)は、1本のコイルスプリング、または、滑走具前後方向あるいは滑走具幅方向に配列した複数本のコイルスプリングである請求項10または11に記載の雪面滑走具(1)。
【請求項13】
滑走具本体部(2)と、
前記滑走具本体部(2)における滑走具前後方向の途中の部位から前方に向かって斜め上方に延びる操縦ハンドル(3)と、
前記滑走具本体部(2)における前記操縦ハンドル(3)の後側の部位に取り付けた座席(4)と、
滑走板(7)と、
前記滑走具本体部(2)の本体部底面(5)に着脱可能に前記滑走板(7)を取り付ける滑走板取付け機構(6、106)と、
を有しており、
前記滑走板(7)のテール(7b)に着脱可能に取り付けたブレーキ板(18)を有している雪面滑走具(1)。
【請求項14】
請求項1ないし13のうちのいずれか一つの項に記載の雪面滑走具の滑走具本体部に取付け可能な滑走板(7)であって、
前記滑走板取付け機構(6、106)は、前記滑走具本体部(2)に取り付けられる第1連結部(30、130)と、前記滑走板(7)に取り付けられる第2連結部(40、140)とを備え、
前記第2連結部(40、140)の構成部品のうちの少なくとも一つの部品が取り付けられていることを特徴とする雪面滑走具用の滑走板(7)。
【請求項15】
前記滑走板取付け機構(6、106)の前記第1連結部(30、130)は、前記滑走具前後方向に第1ピッチでボルト(50)を位置決め可能なボルト位置決め部であり、前記第2連結部(40、140)は、前記滑走具前後方向に第2ピッチで前記ボルト(50)をねじ込み固定可能なボルト固定部であり、
前記第2連結部(40、140)は、取付け板(41、141)と、この取付け板(41、141)に前記第1ピッチで前記滑走具前後方向に形成した複数個のボルト穴(41a、141a)と、前記取付け板(41、141)を前記滑走板(7)に固定する取付け板固定ボルト(42、142)と、この取付け板固定ボルト(42、142)がねじ込み固定されるボルト受け部(43、143)とを備え、
前記取付け板(41、141)、前記取付け板固定ボルト(42、142)および前記ボルト受け部(43、143)のうち、少なくとも前記ボルト受け部(43、143)が取り付けられている請求項14に記載の雪面滑走具用の滑走板(7)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技用あるいは競技用に用いる雪面滑走具に関する。
【背景技術】
【0002】
雪面滑走具としては、特許文献1、2に記載されているように、単一の滑走面を備えた本体部分に、座席とハンドルが搭載された構成のものが知られている。特許文献1に記載のスキーそり装置は、底面が滑走面となっている前後に長いブレード部分とハンドルとを備えた装置本体部分が射出成形によって一体形成され、そこに座席が取り付けられている。ブレード部分は剛性を高めるために三角形断面となっている。特許文献2に記載のスノーバイクは、底面が滑走面となっているスノーボードに類似する形状の板状体の上、ハンドルおよびサドルを取り付けた構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−19633号公報
【特許文献2】特開平8−310406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の雪面滑走具においては、滑走面の長さ、滑走面に対する座席あるいはサドルの位置、座席あるいはサドルに対するハンドルの位置等が固定されている。このため、使用者の体型、体格によっては、滑走面の中心に対して座席あるいはサドルに座った使用者の重心位置が前後に大きくずれる場合がある。また、使用者によっては、ハンドルと座席あるいはサドルの間隔が狭すぎる場合、広すぎる場合がある。
【0005】
このため、この種の雪面滑走具は汎用性に乏しく、使用者の体型、体格に適した雪面滑走具を得ることが容易ではない。雪面滑走具が使用者の体型、体格に適していない場合には、その操作性、操縦性が低下するという問題が発生する。
【0006】
また、スキー板、スノーボード、そりの場合には、目的、雪質等に応じて滑走面の長さ、幅等が異なるものが使用される。しかしながら、特許文献1、2に記載されている類の雪面滑走具は、単一の滑走面を備えた本体部分にハンドルおよび座席が備わった構造であり、一般的に高価であり、収納場所を多く必要とし、取り扱いも容易ではない。したがって、ゲレンデ等において、複数台の雪面滑走具を目的、雪質等に応じて使い分けることが容易ではないという不便さがある。
【0007】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、簡単な操作によって使用者の体型、体格に適合できるようにした雪面滑走具を提供することにある。
【0008】
また、本発明の課題は、簡単な操作によって、目的、雪質等に応じて使い分けできるようにした雪面滑走具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の雪面滑走具は、
滑走具本体部と、
前記滑走具本体部における滑走具前後方向の途中の部位から前方に向かって斜め上方に延びる操縦ハンドルと、
前記滑走具本体部における前記操縦ハンドルの後側の部位に取り付けた座席と、
滑走板と、
前記滑走具本体部の本体部底面に着脱可能に前記滑走板を取り付ける滑走板取付け機構と、
を有していることを特徴としている。
【0010】
滑走板が滑走具本体部の底面に対して滑走板取付け機構によって着脱可能に取り付けられている。使用者の体型、体格に適した長さ、幅の滑走板を滑走具本体部の底面に取り付けることにより、使用者に適した操作性、操縦性の良い雪面滑走具を実現できる。また、長さ、幅、形状の異なる複数種類の滑走板を用意しておけば、目的、雪質等に応じて、遊技場所において滑走板を交換するだけで、雪面滑走具を目的、雪質等に適したものに変更できる。よって、通常のスキー板、スノーボード、そり等と略同様な手軽さで、目的に応じて雪面滑走具を用いることができる。
【0011】
前記滑走板取付け機構は、前記本体部底面に対する前記滑走板の取付け位置を前記滑走具前後方向に変更可能であることが望ましい。滑走板の取付け位置を前後方向に調整することによって、使用者の体型、体格に拘わらず、座席に座った使用者の前後方向の重心と滑走板の滑走面の前後方向の中心とを最適な位置関係にすることができる。
【0012】
前記滑走板取付け機構は、前記滑走具本体部および前記滑走板のうちの一方に取り付けた第1連結部、前記滑走具本体部および前記滑走板のうちの他方に取り付けた第2連結部、および、前記第1、第2連結部を連結固定するボルト(連結具)を備え、前記第1連結部は、前記滑走具前後方向に第1ピッチで前記ボルトを位置決め可能なボルト位置決め部であり、前記第2連結部は、前記滑走具前後方向に第2ピッチで前記ボルトをねじ込み固定可能なボルト固定部であることが望ましい。
【0013】
第1、第2ピッチを異なるピッチとしておけば、第1ピッチあるいは第2ピッチよりも細かなピッチで、滑走具前後方向の位置調整を行うことができる。位置決め用のピッチは、取付け用の金具等の強度等によって、その最小ピッチに制約がある。このような場合に、本発明の滑走板取付け機構を採用すれば、より狭いピッチで滑走板の滑走具前後方向の位置調整を行うことが可能になる。
【0014】
本発明の雪面滑走具において、前記本体部底面の前記滑走具前後方向の底面長さは、前記滑走板の長さの1/2以上、好ましくは、2/3以上であることが望ましい。使用者および滑走具本体部の荷重が、滑走具前後方向に長い本体部底面を介して、滑走板に対して、その前後方向に分散して加わる。よって、滑走板に対する応力集中を回避でき、強度の高い雪面滑走具を実現できる。
【0015】
前記本体部底面における前記滑走具前後方向の中心に対する前記滑走板の長さ方向の中心は、前記滑走具長さ方向において、前記本体部底面の前記底面長さの1/3以内の範囲内の位置に入るようにしておけばよい。
【0016】
本発明の雪面滑走具において、前記滑走具本体部および前記操縦ハンドルは、樹脂の射出成形品からなる単一部品とすることが望ましい。また、前記単一部品における前記滑走具本体部に相当する部分は、前記本体部底面を備えた滑走具前後方向に延びる底部補強リブ、前記底部補強リブの前端部から後方に向かって斜め上方に延びる前側補強リブ、前記底部補強リブの後端部から前方に向かって斜め上方に延びる後側補強リブ、および、前記底部補強リブ、前記前側補強リブおよび前記後側補強リブによって囲まれる部分の少なくとも一部に形成した滑走具幅方向に貫通する単一あるいは複数の第1開口部を備えていることが望ましい。この場合、前記単一部品における前記操縦ハンドルに相当する部分は、前記前側補強リブと前記後側補強リブが合流する上端部分から上方に向かって斜め前方に延びる部分である。
【0017】
このように、底部補強リブを底辺とし、前後の補強リブを斜辺とする三角形が形成されるので、上下、前後方向からの力に対する強度の高い滑走具本体部を形成できる。また、三角形の間の部分に、少なくとも1つの第1開口部を形成してあるので、滑走具本体部の軽量化も図ることができる。
【0018】
本発明の雪面滑走具において、雪面滑走具の持ち運びの便宜のため、滑降中に雪面滑走具から滑走者が落ちた場合等において雪面滑走具のみが滑落して離れた場所に行くことを防止するため等の目的で、雪面滑走具にベルトを取り付けておくことが望ましい。このために、本発明の雪面滑走具は、両端が連結された所定長さのベルトを有し、前記操縦ハンドルにおける前記上端部分に繋がっている部分には、滑走具幅方向に貫通する第2開口部が形成され、前記ベルトは前記第2開口部に通すことで前記滑走具本体部に取り付けられていることが望ましい。
【0019】
本発明の雪面滑走具の操縦ハンドルの握り性を向上するために、前記操縦ハンドルの上端部分は、その長さ方向に沿って、滑走具前後方向の前方に湾曲し、当該上端部分の外周面には握り面が形成されており、前記握り面における前記操縦ハンドルの湾曲側の前面部分には、上下方向に所定の間隔で突曲面および湾曲面が交互に形成され、前記握り面における前記操縦ハンドルの突曲面側の後面部分には、上下方向に所定の間隔で溝が形成されていることが望ましい。
【0020】
このようにすれば、滑走者は、親指を後面部分の溝に掛け、残りの4本の指を前面部分の凹凸状の面に掛けることで、滑りなく、操縦ハンドルを握ることができる。
【0021】
本発明の雪面滑走具において、前記座席は、クッション材を介して前記滑走具本体部によって支持されている座部と、前記座部の前側の部位において前記滑走具本体部に対して滑走具幅方向に延びる軸線回りに回動可能に取り付けた本体側連結部とを備えていれば、座り心地を改善できる。
【0022】
この場合、前記座席の前記本体側連結部を、滑走具前後方向における異なる位置において、前記滑走具本体部に取付け可能であることが望ましい。滑走者の体格、体型に応じて座席の位置を前後に変えることで、雪面滑走具の操作性、操縦性を改善できる。
【0023】
また、前記クッション材として、1本のコイルばね、または、滑走具前後方向あるいは滑走具幅方向に配列した複数本のコイルばねを用いることができる。
【0024】
本発明の雪面滑走具において、前記滑走板のテールに着脱可能に取り付けたブレーキ板を有していることが望ましい。
【0025】
次に、本発明は、上記構成の雪面滑走具の滑走具本体部に取付け可能な滑走板であって、前記滑走板取付け機構が、前記滑走具本体部に取り付けられる第1連結部と、前記滑走板に取り付けられる第2連結部とを備えている場合に、前記第2連結部の構成部品のうちの少なくとも一つの部品が取り付けられていることを特徴としている。
【0026】
ここで、前記滑走板取付け機構の前記第1連結部が、前記滑走具前後方向に第1ピッチで前記ボルトを位置決め可能なボルト位置決め部であり、前記第2連結部が、前記滑走具前後方向に第2ピッチで前記ボルトをねじ込み固定可能なボルト固定部である場合には、前記第2連結部は、取付け板と、この取付け板に前記第1ピッチで前記滑走具前後方向に形成した複数個のボルト穴と、前記取付け板を前記滑走板に固定する取付け板固定ボルトと、この取付け板固定ボルトがねじ込み固定されるボルト受け部とを備えている。この場合には、本発明の雪面滑走具用の滑走板は、前記取付け板、前記取付け板固定ボルトおよび前記ボルト受け部のうち、少なくとも前記ボルト受け部が取り付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明を適用した雪面滑走具を示す斜視図である。
図2図1の雪面滑走具の右側面図である。
図3図1の雪面滑走具の左側面図である。
図4図1の雪面滑走具の平面図である。
図5図1の雪面滑走具の底面図である。
図6図1の雪面滑走具の正面図である。
図7図1の雪面滑走具の背面図である。
図8図1の雪面滑走具の滑走板取付け機構を示す説明図である。
図9図8の滑走板取付け機構の一部を示す部分斜視図、分解斜視図である。
図10図8の滑走板取付け機構の滑走板の側の部分を示す説明図である。
図11】滑走板取付け機構の別の例を示す説明図である。
図12図11の滑走板取付け機構の一部を示す説明図である。
【発明の実施の形態】
【0028】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した雪面滑走具の実施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態に係る雪面滑走具を示す外観斜視図であり、図2図7は当該雪面滑走具の右側面図、左側面図、平面図、底面図、正面図および背面図である。以下の説明においては、図1に示すように、雪面滑走具の前後方向をY、その幅方向をX、その上下方向をZとする。
【0029】
本実施の形態に係る雪面滑走具1は、滑走具本体部2と、滑走具本体部2における前後方向Yの途中の部位から前方に向かって斜め上方に延びる操縦ハンドル3と、滑走具本体部2における操縦ハンドル3の後側の部位に取り付けた座席4とを備えている。滑走具本体部2の底部には、前後方向Yに延びる一定幅の本体部底面5が形成されている。本体部底面5の前側端面5a、後側端面5bは下方に僅かに突出した平坦面となっている。本体部底面5には、滑走板取付け機構6によって、滑走板7が着脱可能に取り付けられている。本体部底面5に取り付けた滑走板7は、前側端面5aおよび後側端面5bに当接した状態になる。滑走板7は、例えば、本体部底面5の幅とほぼ同一の幅で、本体部底面5に比べて前後方向Yに長い。滑走板7として、一般的なスキー板、スノーボードを用いることができる。
【0030】
滑走具本体部2および操縦ハンドル3は、樹脂の射出成形品からなる単一部品であり、内部は空洞となっている。この単一部品を、以下の説明においては、必要に応じて一体型滑走具本体部8と呼ぶ。滑走具本体部2、操縦ハンドル3は、アルミニウム等の金属素材、その他の素材から形成することも可能であり、樹脂素材、射出成形品に限定されるものではない。
【0031】
一体型滑走具本体部8における滑走具本体部2に相当する部分は、本体部底面5が形成されている前後方向Yに延びる底部補強リブ9、底部補強リブ9の前端部9aから後方に向かって斜め上方に延びる前側補強リブ10、および底部補強リブ9の後端部9bから前方に向かって斜め上方に延びる後側補強リブ11を備えている。これらのリブ9〜11は中空成形体である。
【0032】
底部補強リブ9、前側補強リブ10および後側補強リブ11によって、幅方向Xからみ見た場合に略三角形の枠組みが形成されている。また、これらのリブ9、10、11によって囲まれる部分には、これらのリブよりも幅方向Xの厚さが薄い板部12が形成されている。この板部12には、幅方向Xに貫通する第1開口部として、三角形の開口部13Aと平行四辺形の開口部13Bが形成され、滑走具本体部2の軽量化が図られている。開口部13Aの内周縁のうち、底辺縁13aは、底部補強リブ9の前端部9aの側から当該底部補強リブ9に沿って、当該底部補強リブ9の前後方向Yの中程の位置まで延び、その後側の斜辺縁13cは底辺縁13aの後端から前方に向かって斜め上方に延び、その前側の斜辺縁13bは底面縁13aの前端から後方に向かって斜め上方に延びて後側の斜辺縁13cの上端に繋がっている。
【0033】
一体型滑走具本体部8における操縦ハンドル3に相当する部分は、前側補強リブ10と後側補強リブ11が合流する上端部8aから上方に向かって、後側補強リブ11とほぼ同一方向の斜め前方に延びる部分である。上端部8aには、幅方向Xに貫通する略三角形の第2開口部14が形成されている。この開口部14はベルト通し穴として機能し、ここには図1において想像線で示すようにベルト15、ワイヤーなどを通すことができる。ベルト15は例えば流し止め用ベルトである。盗難防止用のワイヤー、チェーンを通すために用いることもできる。
【0034】
操縦ハンドル3は前後方向に僅かに長径の楕円状の断面をした中空体からなる。操縦ハンドル3の上側の部分は、上方に向かって前後方向Yの前方に僅かに湾曲したグリップ部3aとなっている。グリップ部3aの外周面に形成したグリップ面3bにおいて、その湾曲側の前面部分には、上下方向に所定の間隔で凹曲面および凸曲面が交互に形成された凹凸面3cが形成され、その後面部分には、上下方向に所定の間隔で溝3dが形成されている。これにより、グリップ部3aが握り易くなっており、また、滑りにくくなっている。なお、操縦ハンドル3を上下方向に伸縮可能な構造と、そのグリップ部の高さ位置を調整できるようにすることも可能である。なお、操縦ハンドルとして、左右の端部にグリップ部が形成されているT形状のものを用いることも可能である。
【0035】
次に、座席4は例えば樹脂成形品である。樹脂以外の素材、例えば、金属素材等を用いて形成することも可能である。座席4は、座面4aが形成されている座部4bと、滑走具本体部2に対して上下方向に回動可能に取り付けた左右の本体側連結部4cとを備えている。座部4bは滑走具本体部2よりも広幅であり、その幅方向Xの両側の下側部分が、前方に延びて、左右の本体側連結部4cとなっている。
【0036】
座部4bは滑走具本体部2の後側補強リブ11の上方に位置している。座部4bの前側の部分は後側補強リブ11の上面部分に沿って上方に隆起した形状をしている。後側補強リブ11における上下方向Zの中程の部位には凹部11cが形成されており、この凹部11cには、座席4のクッション材として機能する1本のコイルスプリング16が装着されている。コイルスプリング16は、座部4bにおける幅方向Xの中心に位置し、凹部11cの底面と座部4bの裏面との間において、上下方向Zに対して僅かに後方に傾斜した方向に配置されている。
【0037】
左右の本体側連結部4cの前端部は、幅方向Xに延びる支持ピン17の両端部に回動可能に連結されている。支持ピン17は滑走具本体部2における上端部8aの部分に固定されている。座席4は、コイルスプリング16によって滑走具本体部2から上方に浮き上がった位置に保持される。滑走者が座席4に座ると、コイルスプリング16が圧縮されて、座席4は支持ピン17を中心として下方に沈む。座席4の最も下側の位置は、座席4の座部4bが後側補強リブ11に当る位置である。
【0038】
なお、本例では1本のコイルスプリング16を使用しているが、例えば、2本のコイルスプリングで座席4を支持することも可能である。例えば、幅方向Xに2本のコイルスプリングを配置することができる。また、滑走具本体部2に対する支持ピン17の取付け位置を変更できるようにすることも可能である。例えば、支持ピン17のピン穴を、滑走具本体部2の上端部8aにおいて、前後方向Yに2か所形成しておけば、座席4の位置を前後方向Yに調整できる。さらに、座席4として大きさ、座面高さ、座面形状等の異なる複数の種類の座席を用意しておき、滑走者に適した座席を取付けるようにすることも可能である。
【0039】
ここで、滑走具本体部2の前端部には、足掛け(ベダル)の取付け穴201が形成されている。滑走具本体部2における底部補強リブ9と前側補強リブ10とが合流する角部には、幅方向Xに貫通する取付け穴201が形成されている。取付け穴201には、不図示の左右一対の足掛けを、必要に応じて取り付けることが可能である。
【0040】
次に、滑走板7にはブレーキ板18が取り付けられている。ブレーキ板18は、滑走板7の滑走面である底面7aにおけるテール7bの部分に、着脱可能に取り付けられている。ブレーキ板18は、テール7bの底面部分に取り付けられる取付け部分18aと、この取付け部分18aの後端から後方に向かって斜め下方に折れ曲がって突出している爪部分18bとを備えている。取付け部分18aには、左右一対のビス穴が形成され、これらに通したビス19によってブレーキ板18が滑走板7に固定されている。滑走板7のテール7bには、左右一対のビス受け部7cが形成されており、これらにビス19がねじ込み固定される。なお、ブレーキ板18として、異なる種類のものを用意しておけば、滑走者が好みのブレーキ板を取り付けることが可能になる。
【0041】
(滑走板取付け機構)
図8(a)、(b)および(c)は滑走板取付け機構6を示す説明図であり、図8(a)は滑走板7が滑走具本体部2に対して前後方向Yの最も後側の位置に取り付けられた状態を示し、図8(b)は滑走板7が滑走具本体部2に対して前後方向Yの最も前側の位置に取り付けられた状態を示し、図8(c)は滑走板7が滑走具本体部2に対して前後方向Yの最も後側の位置から1ピッチP1分だけ前側の位置に取り付けられた状態を示す。図9(a)は滑走板取付け機構6の一部を示す説明図であり、図9(b)は滑走板取付け機構6の構成部品を示す説明図である。図10(a)および(b)は滑走板7の平面図および斜視図であり、滑走板7に取り付けられている滑走板取付け機構6の構成部品を示す。
【0042】
滑走板取付け機構6は、滑走具本体部2の本体部底面5に滑走板7を着脱可能に取り付けるためのものであり、また、取付け位置を前後方向Yに変更可能である。本例では、滑走具本体部2の底部補強リブ9の左右両側の部位において、それぞれ前後方向Yの3箇所に、同一構造の取付け部20(1)〜20(6)が配置されている。図8においては右側の取付け部20(4)、20(5)、20(6)のみが示されている。したがって、滑走板7は、合計6か所の位置で、滑走具本体部2の本体部底面5に固定される。各取付け部20(1)〜20(6)は同一構成であるので、右側の最も前側の位置にある取付け部20(4)の構成を説明する。
【0043】
取付け部20(4)は、滑走具本体部2および滑走板7のうちの一方に取り付けた第1連結部30と、他方に取り付けた第2連結部40と、第1、第2連結部30、40を連結固定する固定ボルト50とを備えている。本例では、第1連結部30が滑走具本体部2に取り付けられ、第2連結部40が滑走板7に取り付けられている。逆に、第1連結部30を滑走板7に取付け、第2連結部40を滑走具本体部2に取り付けることも可能である。
【0044】
滑走具本体部2の側の第1連結部30は、前後方向Yに第1ピッチP1で固定ボルト50を位置決めして固定可能なボルト位置決め部であり、第2連結部40は、前後方向Yに第2ピッチP2で固定ボルト50をねじ込み固定可能なボルト固定部である。本例では、第1ピッチP1に比べて、第2ピッチP2の方が広い。
【0045】
図8図9に示すように、第1連結部30は、滑走具本体部2の底部補強リブ9の右側部に形成した凹部31と、凹部31に装着した第1ワッシャー32と、第1ワッシャー32に装着した第2ワッシャー33とを備えている。凹部31は、前後方向Yに延びる一定長さの矩形断面の凹部であり、上方および右側方に開口している。第1ワッシャー32は、凹部31に丁度はまり込む大きさ、形状を備えたボックス形状のものであり、上面が開口部32aとなっている。第1ワッシャー32の内部には、前後方向Yに第1ピッチP1で、複数個の同一形状をした位置決め突起32bが形成されている。本例では、図9(b)から分かるように、位置決め突起32bは、第1ワッシャー32の内周底面と左右の内周側面との間の入隅部分に沿って形成されている。
【0046】
第2ワッシャー33は、第1ワッシャー32の内部に、その開口部32aから挿入されている。第2ワッシャー33は直方体形状をしており、第1ワッシャー32の矩形断面の凹部32c内において、その長辺方向である前後方向Yにスライド可能である。第2ワッシャー33の底面と左右の側面との間の出隅部分には、その長辺方向に沿って第1ピッチP1で、複数個の同一形状をした突起係合溝33aが形成されている。各突起係合溝33aには、下側から第1ワッシャー32の位置決め突起32bを差し込み可能である。これら位置決め突起32bと突起係合溝33aとの係合により、第2ワッシャー33は、第1ワッシャー32の凹部32c内における装着位置を、その前後方向Yに第1ピッチP1で変更可能である。
【0047】
第2ワッシャー33には、その上下方向Zに貫通する円形のボルト挿通穴33bが形成されている。第1ワッシャー32の底板部分には、上下方向Zに貫通するボルト挿通用の長円形をした長穴32dが形成されている。長穴32dは前後方向Yに長い長穴であり、固定ボルト50が通された状態の第2ワッシャー33を前後方向Yに移動させることが可能となっている。
【0048】
このように、第1、第2ワッシャー32、33から構成されるダブルワッシャー構造によって、滑走具本体部2に取り付けられる固定ボルト50の位置を、第1ピッチP1で、所定の範囲内で、前後方向Yに変更可能である。具体的には、図8(a)に示すように、第1ワッシャー32の前側の内側端面に第2ワッシャー33の前端面が当接する位置から、図8(b)に示すように、第1ワッシャー32の後側の内側端面に第2ワッシャー33の後端面が当接する位置までの間で、固定ボルト50の位置を第1ピッチP1で調整可能である。
【0049】
次に、滑走板7に取り付けた第2連結部40は、滑走板7の上面7dに配置される取付け板41と、取付け板41を滑走板7に固定するための固定ボルト42と、固定ボルト42をねじ込み固定するための滑走板7に組み込まれているボルト受け部43とを備えている。図10を参照して説明すると、滑走板7の上面7dには、3枚の取付け板41の取付け位置を規定する複数のボルト受け部43が配置されている。本例では、各取付け板41について、5か所にボルト受け部43が設けられている。各取付け板41には、その中心および四隅の5か所に、ボルト穴41aが形成されている。各ボルト穴41aを通して、固定ボルト42をボルト受け部43にねじ込み固定することで、図10に示すように、各取付け板41が滑走板7の上面7dにおける定まった位置に固定される。
【0050】
前後方向Yにおける前側の取付け板41は左右の取付け部20(1)、20(4)のための板であり、中間の取付け板41は左右の取付け部20(2)、20(5)のための板であり、後側の取付け板41は左右の取付け部20(3)、20(6)のための板である。
【0051】
取付け板41において、右側の縁部における前後のボルト穴41aの間の部分には、当該縁部に沿って前後方向に延びる台座部44が形成されている。台座部44は、図9(b)、図10(b)から分かるように、取付け板41の縁部を上方に矩形状に隆起するように折り曲げ加工して形成されている。台座部44には、前後方向Yに沿って、第2ピッチP2で複数個のボルト穴45が形成されている。各ボルト穴45には固定ボルト50をねじ込み固定可能である。
【0052】
図8に示すように、前側の左右の取付け部20(1)、20(4)において、滑走具本体部2の側の第1連結部30の固定ボルト50を、前後方向Yの最も前側の位置に位置決めする。そして、当該固定ボルト50を、滑走板7の側の第2連結部40の取付け板41における最も前側のボルト穴45に位置決めする。これにより、前後方向Yの中間の取付け部20(2)、20(5)、後側の取付け部20(3)、20(6)においても、同様に、固定ボルト50が最も前側のボルト穴45に位置決めされる。よって、各取付け部20(1)〜20(6)において、それぞれ固定ボルト50をねじ込み固定すると、滑走板7が滑走具本体部2の本体部底面5に対して、前後方向の最も後側の位置に位置決め固定される。
【0053】
固定ボルト50を固定するボルト穴45の位置を変えることで、第2ピッチP2で、滑走板7の取付け位置を前後方向Yに調整できる。図8(b)は、滑走板7を最も後側の位置で、滑走具本体部2に取り付けた状態を示す。
【0054】
ここで、滑走具本体部2の側における第1連結部30において、第1ワッシャー32に対する第2ワッシャー33の取付け位置を、図8(c)に示すように、前後方向の後側に位置決め突起32bの1個分だけ移動する。固定ボルト50は、第1連結部30に対して、前後方向Yの後側に第1ピッチP1だけ移動する。この状態で、固定ボルト50を第2連結部40における最も前側のボルト穴45に固定する。この結果、滑走板7は、図8(a)における位置に比べて、第1ピッチP1だけ前側に移動した位置で、滑走具本体部2に取り付けられる。
【0055】
第1ピッチP1を例えば5mmとし、第2ピッチP2は例えば10mmとすると、滑走板7の位置を、前後に5mmピッチで調整できる。取付け板41の台座部44に形成可能なボルト穴45の最小ピッチ(第2ピッチP2)は、取付け板41の強度等によって制限される。本例の滑走板取付け機構6を用いれば、より細かなピッチで滑走板7の前後方向の位置を調整可能になる。なお、滑走板7を滑走具本体部2の本体部底面5に着脱可能に取り付ける機構としては、本例の機構以外の機構を用いることも可能である。例えば、スキー板のビンディングと同様な機構を採用することも可能である。
【0056】
(滑走板取付け機構の別の例)
図11は、上記とは異なる構成の滑走板取付け機構を備えた雪面滑走具を示す斜視図であり、図12(a)はその滑走板取付け機構の第1連結部を示す説明図であり、図12(b)は滑走板取付け機構の第2連結部を示す説明図である。これらの図においては、上記の雪面滑走具1における各部に対応する部位には同一符号を付し、これらの部位についての説明は省略する。
【0057】
図11図12に示す滑走板取付け機構106は、滑走具本体部2の底部補強リブ9の両側の部位のそれぞれにおいて、前後方向Yの6箇所に、同一構造の取付け部120が配置されている。取付け部120は、滑走具本体部2および滑走板7のうちの一方に取り付けた第1連結部130と、他方に取り付けた第2連結部140と、第1、第2連結部130、140を連結固定する固定ボルト150とを備えている。第1連結部130が滑走具本体部2に取り付けられ、第2連結部140が滑走板7に取り付けられている。逆に、第1連結部130を滑走板7に取付け、第2連結部140を滑走具本体部2に取り付けることも可能である。
【0058】
第1連結部130は、前後方向Yに第1ピッチP1で固定ボルト50を位置決めして固定可能なボルト位置決め部であり、第2連結部140は、前後方向Yに同一の第2ピッチP2で固定ボルト150をねじ込み固定可能なボルト固定部である。図12(a)に示すように、第1連結部130は、滑走具本体部2の底部補強リブ9の右側部に形成した凹部131と、凹部131に装着したワッシャー132とを備えている。凹部131は、前後方向Yに一定長さの長円形の凹部であり、上方に開口している。ワッシャー132は、凹部131に丁度はまり込む大きさ、形状を備えた形状のものであり、上面に開口した一定深さの凹部133cを備えている。
【0059】
凹部133cには、固定ボルト150の頭部を嵌め込み可能な3つの凹部133dが前後方向Yに第1ピッチP1で形成されている。各凹部133dの底部中心には、それぞれ上下方向Zに貫通するボルト挿通用の穴が形成されている。したがって、固定ボルト150を、前後方向Yに第1ピッチP1で3箇所の位置に取り付けることができる。
【0060】
図12(b)に示すように、滑走板7に取り付けた第2連結部140は、滑走板7の上面7dに配置される取付け板141と、取付け板141を滑走板7に固定するための固定ボルト142と、固定ボルト142をねじ込み固定するための滑走板7に組み込まれているボルト受け部143とを備えている。滑走板7の上面7dには、前後に2枚の取付け板141の取付け位置を規定する複数のボルト受け部143が配置されている。本例では、各取付け板141について、8か所にボルト受け部143が設けられている。各取付け板141には、その四隅と内側の4か所の合計8か所に、ボルト穴(図示せず)が形成されている。各ボルト穴には固定ボルト142が装着されている。固定ボルト142をボルト受け部143にねじ込み固定することで、図12(b)に示すように、各取付け板141が滑走板7の上面7dにおける定まった位置に固定される。
【0061】
前後方向Yにおける前側の取付け板141は左右の6か所の取付け部120のための板であり、後側の取付け板141は左右の6か所の取付け部120のための板である。取付け板141において、左右の縁部における前後のボルト穴の間の部分には、当該縁部に沿って前後方向に延びる左右の台座部144が形成されている。台座部144は、取付け板141の縁部を上方に矩形状に隆起するように折り曲げ加工して形成されている。台座部144には、前後方向Yに沿って、第2ピッチP2で複数個のボルト穴145が形成されている。各ボルト穴145には固定ボルト150をねじ込み固定可能である。
【0062】
この構成の滑走板取付け機構106によって、前後方向に第1ピッチP1で滑走板7を滑走具本体部2に取付け可能である。また、第1ピッチP1の各取付け位置に対して第2ピッチP2で、滑走板7の取付け位置を前後方向に調整可能である。
【0063】
なお、滑走板7の長さは、雪面滑走具1の本体部底面5の前後方向Yの底面長さの2倍以下、特に1.5倍以下であることが望ましい。この長さの滑走板7を取り付けた場合には、滑走具本体部2の側に作用する荷重によって、滑走板7に、その前後方向において、応力集中が発生することを抑制できる。
【0064】
また、本体部底面5における前後方向Yの中心に対する滑走板7の長さ方向の中心は、一般に、前後方向Yにおいて、本体部底面5の底面長さの1/3以内の範囲内の位置とされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12