特許第6195636号(P6195636)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6195636
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】静電チャックのためのバリアシール
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20170904BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20170904BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
   H01L21/68 R
   H02N13/00 D
   H01L21/302 101G
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-20365(P2016-20365)
(22)【出願日】2016年2月5日
(65)【公開番号】特開2016-152414(P2016-152414A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2016年2月5日
(31)【優先権主張番号】104105259
(32)【優先日】2015年2月16日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】503156219
【氏名又は名称】麥豐密封科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 祐語
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 俊堯
【審査官】 山口 祐一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−501538(JP,A)
【文献】 特開2009−235536(JP,A)
【文献】 特開平06−279974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/302
21/3065
21/461
21/67−21/683
H02K 24/00−27/30
31/00−31/04
35/00−35/06
39/00
47/00−47/30
53/00
99/00
H02N 1/00−1/12
3/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電チャックのためのバリアシールであって、前記静電チャックが、
上側要素と、
下側要素と、
前記上側要素と前記下側要素とを接続する接続層と、
前記接続層の外縁、前記上側要素、および前記下側要素の間に形成された溝とを備えており、
前記バリアシールが、エラストマーリングであり、
主要封止部と、
前記主要封止部の一側面から突出する少なくとも1つの小封止部とを備えており、
前記主要封止部が、前記溝に向いている少なくとも1つの端部を備えており、前記少なくとも1つの端部の一辺が面取りされた端部であることを特徴とするバリアシール。
【請求項2】
前記溝に向いている前記主要封止部の一側面が端部を備えており、前記端部が面取りされた端部であり、前記バリアシールが第一の小封止部を備えており、前記第一の小封止部が前記主要封止部の内側から前記溝に向かって突出していることを特徴とする請求項1記載の静電チャックのためのバリアシール。
【請求項3】
前記溝に向いている前記第一の小封止部の一側面が2つの端部を備えており、前記2つの端部が面取りされた端部であることを特徴とする請求項2に記載の静電チャックのためのバリアシール。
【請求項4】
前記バリアシールが少なくとも1つの第二の小封止部を備えており、前記少なくとも1つの第二の小封止部は前記主要封止部の外側から、溝から離れる方向へと突出していることを特徴とする請求項2または3に記載の静電チャックのためのバリアシール。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第二の小封止部が、前記溝から離れた面取りされた端部を備えていることを特徴とする請求項4に記載の静電チャックのためのバリアシール。
【請求項6】
前記バリアシールの断面がL字型をしていることを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載の静電チャックのためのバリアシール。
【請求項7】
前記溝に向いている前記主要封止部の一側面が2つの端部を備えており、前記2つの端部が面取りされた端部であり、前記バリアシールが第一の小封止部を備えており、前記第一の小封止部が前記主要封止部の内側から前記溝に向かって突出していることを特徴とする請求項1に記載の静電チャックのためのバリアシール。
【請求項8】
前記溝に向いている前記第一の小封止部の一側面が2つの端部を備えており、前記2つの端部が面取りされた端部であることを特徴とする請求項7に記載の静電チャックのためのバリアシール。
【請求項9】
前記バリアシールが少なくとも1つの第二の小封止部を備えており、前記少なくとも1つの第二の小封止部が前記主要封止部の外側から溝から離れる方向へと突出していることを特徴とする請求項7または8に記載の静電チャックのためのバリアシール。
【請求項10】
前記少なくとも1つの第二の小封止部が、前記溝から離れた面取りされた端部を備えていることを特徴とする請求項9に記載の静電チャックのためのバリアシール。
【請求項11】
前記バリアシールの断面がT字型をしていることを特徴とする請求項7から10のいずれか一項に記載の静電チャックのためのバリアシール。
【請求項12】
前記バリアシールが第三の小封止部をさらに備えており、前記第三の小封止部が前記主要封止部の外側から溝から離れる方向へと突出しており、前記第三の小封止部の高さが前記主要封止部の高さよりも高く、かつ前記第三の小封止部が前記静電チャックの前記上側要素及び前記下側要素とそれぞれ接触していることを特徴とする請求項7または8に記載の静電チャックのためのバリアシール。
【請求項13】
前記溝に向いている前記主要封止部の一側面が2つの端部を備えており、前記2つの端部が面取りされた端部であり、前記バリアシールが第三の小封止部をさらに備えており、前記第三の小封止部が前記主要封止部の外側から溝から離れる方向へと突出し、前記第三の小封止部の高さが前記主要封止部の高さよりも高く、かつ前記第三の小封止部が、前記静電チャックの前記上側要素および前記下側要素とそれぞれ接触していることを特徴とする請求項1に記載の静電チャックのためのバリアシール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマエッチング装置において静電チャックとともに用いるためのバリアシール(barrier seal, 障壁封止材)に関し、より詳細には、複数の封止部を有する静電チャックの溝内に取り付けられ得るバリアシールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプラズマエッチング装置が、図9に示される。プラズマエッチング装置は、静電チャック90を備えている。静電チャック90は、誘電性のセラミック材料で作られた上側要素91と、下側要素92と、軟質の接続層93とを備えている。接続層93は、上側要素91および下側要素92に接続する。静電チャック90は、静電チャック90の周囲に延伸要素100をさらに備えている。静電チャック90と延伸要素100との間に、空隙110および溝113がある。プラズマガス120は、空隙110を通って、静電チャック90と延伸要素100との間の空間内に流入することができ、プラズマガス120が溝113内部にさらに進入し、接続層93を破壊して、静電チャック90の侵食およびプラズマエッチング工程での漏れ箇所を誘発する。静電チャック90内の作動流体は、漏れ箇所を通って静電チャック90の外部に流出し、環境の汚染を誘発することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記課題を解決するために、溝113内にエポキシ樹脂130を付着させることは、図10に示されるように、当分野における技術である。溝113は、エポキシ樹脂130によって充填されて、プラズマガス120による接続層93の破損を防止する。しかし、エポキシ樹脂130は、容易に侵食され、プラズマガス120によってさらに薄くなる。長時間にわたるプラズマエッチングの後、漏れ箇所が形成されて、エポキシ樹脂130がその保護機能を徐々に失う。加えて、エポキシ樹脂130の寿命は、予測することが困難である。技術者は、気体漏れが起こる前に、漏れ箇所を適時に塞ぐことができないかもしれない。
【0004】
当技術分野における別の技術は、図11に示されるように、エポキシ樹脂130に変わる、交換可能なエラストマーリング140(elastomer ring、エラストマー製の環状部材)を提供する。エラストマーリング140は、エポキシ樹脂130の上記の課題を克服し得る。しかし、接続層93と溝113との間には、封止部150のみがある。溝113のサイズは、非常に小さい。エラストマーリング140を溝113内部に均一に装着することは困難である。エラストマーリング140が溝113内に均一に配置されることができないと、技術者は、エラストマーリング140の寿命を予測し難い。エラストマーリング140が接続層93を塞ぐことが可能ではない場合、接続層93の侵食と汚染とが誘発される。プラズマエッチング装置において静電チャック90の溝113を封止することには、依然として多くの課題が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、複数の封止部を有して静電チャックの溝内に配置されるバリアシールを提供することである。本発明のバリアシールは、バリアシールの部分的な破損によって生じる気体漏れを誘発することがない。さらに、バリアシールは、バリアシールの寿命を予測するための緩衝期間を提供する。技術者は、漏れが生じる前に、破損したバリアシールを交換することができる。本発明は、プラズマエッチング工程の安定性および安全性を促進する。
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明は、静電チャックのためのバリアシールを提供する。静電チャックは、上側要素と、下側要素と、上側要素と下側要素とを接続する接続層と、接続層の外縁、上側要素、および下側要素の間に形成された溝とを備えている。バリアシールは、エラストマーリングであり、
少なくとも1つの溝に向いている端部を備えている主要封止部(primary sealing portion)であって、この少なくとも1つの端部の一辺(a side of the at least one edge)が面取りされた端部である、主要封止部と、
前記主要封止部の一側面から突出する少なくとも1つの小封止部と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の利点は、主要封止部および少なくとも1つの小封止部を利用して、接続層を保護するための二重の封止部を構築することである。主要封止部がプラズマガスによって侵食された場合、少なくとも1つの小封止部が、依然として接続層とプラズマガスとの間を継続的に塞ぐ。静電チャックの気体漏れが突然に生じることはない。少なくとも1つの小封止部は、技術者に、破損したバリアシールを交換するための緩衝期間を提供する。本発明は、静電チャックからの作動流体による環境汚染の誘発を防止する。半導体産業において、プラズマエッチング工程が安全となり得る。静電チャックによって製造された製品の質が安定し得る。
【0008】
特に、バリアシールの断面は、L字型をしている。溝に向いている(toward the groove, 溝に対応している)主要封止部の一側面は端部を備えており、この端部は面取りされた端部(chamfered edge)である。バリアシールは、第一の小封止部を備えている。第一の小封止部は、主要封止部の内側から溝に向かって突出する。溝に向いている第一の小封止部の一側面は、2つの端部を備えており、この2つの端部は面取りされた端部である。本発明の利点は、L字型バリアシールを利用して、L字型溝に静電チャックを装着することである。主要封止部および第一の小封止部の面取りされた端部は、エラストマーリングが溝内に容易に配置されることを助ける。そして、溝は、エラストマーリングによって完全に充填されて封止され得る。静電チャックは、エラストマーリングの破損が突然生じたことに起因して機能が中断されることがない。
【0009】
より詳細には、バリアシールは、少なくとも1つの第二の小封止部を備えている。少なくとも1つの第二の小封止部は、主要封止部の外側から、溝から離れる方向へと突出する。少なくとも1つの第二の小封止部は、溝から離れる方向に、面取りされた端部を備えている。本発明の利点は、主要封止部、少なくとも1つの小封止部、および少なくとも1つの第二の小封止部を利用して、接続層を保護するための三重の封止部を構築することである。静電チャックと延伸要素との間の空隙は、少なくとも1つの第二の小封止部によって塞がれ得る。本発明は、プラズマガスが空隙を通って溝内部に進入し、接続層を破壊することを防止することにさらに効果的である。
【0010】
特に、バリアシールの断面は、T字型をしている。溝に向いている主要封止部の一側面は2つの端部を備えており、この2つの端部は、面取りされた端部である。バリアシールは、第一の小封止部を備えている。第一の小封止部は、主要封止部の内側から溝に向かって突出する。溝に向いている第一の小封止部の一側面は2つの端部を備えており、この2つの端部は面取りされた端部である。本発明の利点は、T字型バリアシールを利用して、T字型溝に静電チャックを装着することである。主要封止部および第一の小封止部の面取りされた端部は、エラストマーリングが溝内に容易に配置されることを助ける。そして、溝は、エラストマーリングによって完全に充填されて封止され得る。静電チャックは、エラストマーリングの破損が突然生じたことに起因して機能することを中断されることがない。
【0011】
より詳細には、バリアシールは、少なくとも1つの第二の小封止部を備えている。少なくとも1つの第二の小封止部は、主要封止部の外側から、溝から離れる方向へと突出する。少なくとも1つの第二の小封止部は、溝から離れた面取りされた端部を備えている。本発明の利点は、主要封止部、少なくとも1つの小封止部、および少なくとも1つの第二の小封止部を利用して、接続層を保護するための三重の封止部を構築することである。静電チャックと延伸要素との間の空隙は、少なくとも1つの第二の小封止部によって塞がれ得る。本発明は、プラズマガスが空隙を通って溝内部に進入し、接続層を破壊することを防止することにさらに効果的である。
【0012】
より詳細には、バリアシールは、少なくとも1つの第二の小封止部に代わる第三の小封止部をさらに備えている。第三の小封止部は、主要封止部の外側から、溝から離れる方向に突出する。第三の小封止部の高さは、主要封止部の高さよりも高く、かつ第三の小封止部は、静電チャックの上側要素及び下側要素とそれぞれ接触している。
【0013】
本発明の利点は、第1には、第三の小封止部を利用して、少なくとも1つの第二の小封止部の代用となることである。さらに本発明の利点は、主要封止部、少なくとも1つの小封止部、および第三の小封止部を利用して、接続層を保護するための三重の封止部を構築することである。静電チャックと延伸要素との間の空隙は、第三の小封止部によって塞がれ、部分的に充填され得る。本発明は、プラズマガスからの侵食に耐えることに効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明による、静電チャックの溝上に配置されたバリアシールの第一の実施形態の概略図である。
図2】本発明による、静電チャックの溝上に配置されたバリアシールの第二の実施形態の概略図である。
図3】本発明による、静電チャックの溝上に配置されたバリアシールの第三の実施形態の概略図である。
図4】本発明による、静電チャックの溝上に配置されたバリアシールの第四の実施形態の概略図である。
図5】本発明による、静電チャックの溝上に配置されたバリアシールの第五の実施形態の概略図である。
図6】本発明による、静電チャックの溝上に配置されたバリアシールの第六の実施形態の概略図である。
図7】本発明による、静電チャックの溝上に配置されたバリアシールの第七の実施形態の概略図である。
図8】本発明による、静電チャックの溝上に配置されたバリアシールの第八の実施形態の概略図である。
図9】プラズマによるエッチング装置の従来の静電チャックの概略図である。
図10】エポキシ樹脂による従来の静電チャックの溝充填の概略図である。
図11】従来の静電チャックの溝上に配置された交換可能なエラストマーリングの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のバリアシールは、静電チャック10の側壁に対して用いられる。図1を参照すると、静電チャック10は、上側要素11と、接続層12と、下側要素13とを備えている。上側要素11は、底部111および上部112を有する。底部の直径wは、上部の直径Wよりも小さい。接続層12は、上側要素11の底部111と、下側要素13とに接続する。溝14は、接続層12の外側面の周囲に形成される。溝14はまた、上側要素11と下側要素13との間にある。
【0016】
バリアシールによって溝14が充填される前に、接続層12の外側の一部が取り除かれて、深さDおよび直径w’が得られる。接続層の直径w’は、底部の直径wよりも小さい。そして、溝14の断面は、図1および2を参照するとL字型をしている。
【0017】
図1を参照すると、バリアシールの第一の実施形態は、エラストマーリング20である。エラストマーリング20の断面は、L字型をしており、エラストマーリング20は、形状において溝14に対応している。エラストマーリング20は、主要封止部21および第一の小封止部22を備えている。溝14に向いている主要封止部21は、端部211をさらに備えている。端部211は、面取りされた端部である。端部211は、上側要素11の底部111と上部112との間の角に対応している。第一の小封止部22は、主要封止部21の内側から溝14に向かって突出する。溝14に向いている第一の小封止部22は、2つの端部221を備えている。2つの端部221はまた、面取りされた端部である。2つの端部221の一方は、上側要素11の底部111と接続層12との間の角に対応している。2つの端部221のもう一方は、接続層12と下側要素13との間の角に対応している。面取りされた端部は、エラストマーリング20が溝14内に容易に配置されることを助ける。そして、溝14は、エラストマーリング20によって完全に充填され、かつ均一に封止され得る。
【0018】
図2を参照すると、静電チャック10は、静電チャック10の側壁の周囲の延伸要素30をさらに備えている。静電チャック10と延伸要素30との間に、空隙31がある。空隙31は、溝14に直接接続する。プラズマガス40は、プラズマエッチング工程において、空隙31および溝14を通って接続層12を破壊する場合がある。侵食および漏れは、接続層12がプラズマガス40によって破損した後に生じる。
【0019】
図2を参照すると、バリアシールの第二の実施形態は、エラストマーリング20Aである。エラストマーリング20Aの断面は、ほぼL字型をしており、エラストマーリング20Aは、形状において溝14に対応している。エラストマーリング20Aは、主要封止部21Aと、第一の小封止部22Aと、第二の小封止部23Aとを備えている。溝14に向いている主要封止部21Aは、端部211Aをさらに備えている。端部211Aは、面取りされた端部である。端部211Aは、上側要素11の底部111と上部112との間の角に対応している。第一の小封止部22Aは、主要封止部21Aの内側から、溝14に向かって突出する。溝14に向いている第一の小封止部22Aは、2つの端部221Aを備えている。2つの端部221Aもまた、面取りされた端部である。2つの端部221Aの一方は、上側要素11の底部111と接続層12との間の角に対応している。2つの端部221Aのもう一方は、接続層12と下側要素13との間の角に対応している。面取りされた端部は、エラストマーリング20Aが溝14内に容易に配置されることを助ける。そして、溝14は、エラストマーリング20Aによって完全に充填されて封止され得る。
【0020】
第二の小封止部23Aは、主要封止部21Aの外側から、溝14から離れる方向に突出する。第二の小封止部23Aは、主要封止部21Aと、上側要素11の上部112との間の境界面に非常に近接している。第二の小封止部23Aは、溝14から離れた、面取りされた端部231Aを備えている。静電チャック10と延伸要素30との間の空隙31は、第二の小封止部23Aによって塞がれ得る。第二の小封止部23Aは、プラズマガス40が空隙31および溝14内部に流入することを阻止し得る。第二の小封止部23Aは、プラズマガス40のエッチングによって生じる接続層12の破損を効果的に防止する。
【0021】
本発明のバリアシールは、別の種類の静電チャック10Aの側壁に対して用いられる。図3を参照すると、別の種類の静電チャック10Aは、上側要素11Aと、接続層12Aと、下側要素13Aとを備えている。上側要素11Aは、底部111Aおよび上部112Aを有する。底部の直径w11は、上部の直径W11よりも小さい。下側要素13Aは、上部ユニット131Aおよび底ユニット132Aを有する。上部ユニット131Aの直径w13は、底ユニット132Aの直径W13よりも小さい。接続層12Aは、上側要素11Aの底部111Aと、下側要素13Aの上部ユニット131Aとに接続する。溝14Aは、接続層12Aの外側面の周囲に形成される。溝14Aは、上側要素11Aと下側要素13Aとの間にある。
【0022】
バリアシールによって溝14Aが充填される前に、接続層12Aの外側の一部が取り除かれて、深さDおよび直径w’’を得る。接続層の直径w’’は、底部の直径w11および上部ユニットの直径w13よりも小さい。そして、溝14Aの断面は、図3、4および5を参照すると、T字型をしている。
【0023】
図3を参照すると、バリアシールの第三の実施形態は、エラストマーリング20Bである。エラストマーリング20Bの断面は、T字型をしており、エラストマーリング20Bは、形状において溝14Aに対応している。エラストマーリング20Bは、主要封止部21Bおよび第一の小封止部22Bを備えている。溝14Aに向いている主要封止部21Bは、2つの端部211Bをさらに備えている。2つの端部211Bは、面取りされた端部である。2つの端部211Bの一方は、上側要素11Aの底部111Aと上部112Aとの間の角に対応している。2つの端部211Bのもう一方は、下側要素13Aの上部ユニット131Aと底ユニット132Aとの間の角に対応している。第一の小封止部22Bは、主要封止部21Bの内側から、溝14Aに向かって突出する。溝14Aに向いている第一の小封止部22Bは、2つの端部221Bを備えている。2つの端部221Bはまた、面取りされた端部である。2つの端部221Bの一方は、上側要素11Aの底部111Aと、接続層12Aとの間の角に対応している。2つの端部221Bのもう一方は、接続層12Aと、下側要素13Aの上部ユニット131Aとの間の角に対応している。面取りされた端部は、エラストマーリング20Bが溝14A内により容易に配置されることを助ける。そして、溝14Aは、エラストマーリング20Bによって完全に充填されて封止され得る。
【0024】
図4を参照すると、静電チャック10Aは、静電チャック10Aの側壁の周囲の延伸要素30Aをさらに備えている。静電チャック10Aと延伸要素30Aとの間には、空隙31Aがある。空隙31Aは、溝14Aに直接接続する。プラズマガス40は、プラズマエッチング工程において、空隙31Aおよび溝14Aを通って接続層12Aを破壊する場合がある。侵食および漏れは、接続層12Aがプラズマガス40によって破損した後に生じる。
【0025】
図4を参照すると、バリアシールの第四の実施形態は、エラストマーリング20Cである。エラストマーリング20Cの断面は、ほぼT字型をしており、エラストマーリング20Cは、形状において溝14Aに対応している。エラストマーリング20Cは、主要封止部21Cと、第一の小封止部22Cと、第二の小封止部23Cとを備えている。溝14Aに向いている主要封止部21Cは、2つの端部211Cをさらに備えている。2つの端部211Cは、面取りされた端部である。2つの端部211Cの一方は、底部111Aと、上側要素11Aの上部112Aとの間の角に対応している。2つの端部211Cのもう一方は、上部ユニット131Aと、下側要素13Aの底ユニット132Aとの間の角に対応している。第一の小封止部22Cは、主要封止部の21C内側から、溝14Aに向かって突出する。溝14Aに向いている第一の小封止部22Cは、2つの端部221Cを備えている。2つの端部221Cはまた、面取りされた端部である。2つの端部221Cの一方は、上側要素11Aの底部111Aと、接続層12Aとの間の角に対応している。2つの端部221Cのもう一方は、接続層12Aと、下側要素13Aの上部ユニット131Aとの間の角に対応している。面取りされた端部は、エラストマーリング20Cが溝14A内に容易に配置されることを助ける。そして、溝14Aは、エラストマーリング20Cによって完全に充填されて封止され得る。
【0026】
第二の小封止部23Cは、主要封止部21Cの外側から、溝14Aから離れる方向に突出する。第二の小封止部23Cは、主要封止部21Cと、上側要素11Aの上部112Aとの間の境界面に非常に近接している。第二の小封止部23Cは、溝14Aから離れた、面取りされた端部231Cを備えている。静電チャック10Aと延伸要素30Aとの間の空隙31Aは、第二の小封止部23Cによって塞がれ得る。第二の小封止部23Cは、プラズマガス40が空隙31Aおよび溝14Aに流入することを阻止し得る。第二の小封止部23Cは、プラズマガス40のエッチングによって生じる接続層12Aの破損を効果的に防止する。
【0027】
図5を参照すると、バリアシールの第五の実施形態は、エラストマーリング20C’である。エラストマーリング20C’の断面は、ほぼT字型をしており、エラストマーリング20C’は、形状において溝14Aに対応している。エラストマーリング20C’は、主要封止部21C’と、第一の小封止部22C’と、第二の小封止部23C’の3つの部材とを備えている。溝14Aに向いている主要封止部21C’は、2つの端部211C’をさらに備えている。2つの端部211C’は、面取りされた端部である。2つの端部211C’の一方は、底部111Aと、上側要素11Aの上部112Aとの間の角に対応している。2つの端部211C’のもう一方は、下側要素13Aの上部ユニット131Aと底ユニット132Aとの間の角に対応している。第一の小封止部22C’は、主要封止部21C’の内側から、溝14Aに向かって突出する。溝14Aに向いている第一の小封止部22C’は、2つの端部221C’を備えている。2つの端部221C’もまた、面取りされた端部である。2つの端部221C’の一方は、上側要素11Aの底部111Aと、接続層12Aとの間の角に対応している。2つの端部221C’のもう一方は、接続層12Aと、下側要素13Aの上部ユニット131Aとの間の角に対応している。面取りされた端部は、エラストマーリング20C’が溝14A内に容易に配置されることを助ける。そして、溝14Aは、エラストマーリング20C’によって完全に充填されて封止されうる。
【0028】
第二の小封止部23C’の3つの部材は、主要封止部21C’の外側から、溝14Aから離れる方向に突出する。第二の小封止部23C’の3つの部材は、主要封止部21C’の外側の上部位置、中間位置、および底位置にそれぞれ形成される。第二の小封止部23C’の3つの部材の各々が、溝14Aから離れた面取りされた端部231C’を備えている。静電チャック10Aと延伸要素30Aとの間の空隙31Aは、第二の小封止部23C’の3つの部材によって塞がれ得る。第二の小封止部23C’の3つの部材は、プラズマガス40が空隙31Aおよび溝14Aに流入することを阻止し得る。第二の小封止部23C’の3つの部材は、プラズマガス40のエッチングによって生じた接続層12Aの破損を効果的に防止する。第二の小封止部23C’上の部材の数は、3に限定されない。第二の小封止部23C’上での3つの部材の取り付け位置は、主要封止部21C’の外側の上部位置、中間位置、および底位置にそれぞれ限定されない。技術者は、第二の小封止部23C’上での部材の数および取り付け位置を、選択的に変更することができる。
【0029】
図6を参照すると、バリアシールの第六の実施形態は、エラストマーリング20Dである。エラストマーリング20Dの断面は、ほぼT字型をしている。エラストマーリング20Dは、主要封止部21Dと、第一の小封止部22Dと、第三の小封止部24Dとを備えている。溝14Aに向いている主要封止部21Dは、2つの端部211Dをさらに備えている。2つの端部211Dは、面取りされた端部である。2つの端部211Dの一方は、上側要素11Aの底部111Aと上部112Aとの間の角に対応している。2つの端部211Dのもう一方は、下側要素13Aの上部ユニット131Aと底ユニット132Aとの間の角に対応している。第一の小封止部22Dは、主要封止部21Dの内側から溝14Aに向かって突出する。溝14Aに向いている第一の小封止部22Dは、2つの端部221Dを備えている。2つの端部221Dもまた、面取りされた端部である。2つの端部221Dの一方は、上側要素11Aの底部111Aと、接続層12Aとの間の角に対応している。2つの端部221Dのもう一方は、接続層12Aと、下側要素13Aの上部ユニット131Aとの間の角に対応している。面取りされた端部は、エラストマーリング20Dが溝14A内に容易に配置されることを助ける。そして、溝14Aは、エラストマーリング20Dによって完全に充填されて封止され得る。
【0030】
第三の小封止部24Dは、主要封止部21Dの外側から、溝14Aから離れる方向に突出する。第三の小封止部24Dの高さHは、主要封止部21Dの高さhよりも高く、第三の小封止部24Dは、上側要素11Aの上部112Aおよび下側要素13Aの底ユニット132Aとそれぞれ接触している。静電チャック10Aと延伸要素30Aとの間の空隙31Aは、第三の小封止部24Dによって塞がれ得る。第三の小封止部24Dは、プラズマガス40が空隙31Aおよび溝14Aに流入することを阻止し得る。第三の小封止部24Dは、プラズマガス40のエッチングによって生じる接続層12Aの破損を効果的に防止する。
【0031】
図7を参照すると、バリアシールの第七の実施形態は、エラストマーリング20Eである。エラストマーリング20Eの断面は、キャップの形状をしている。エラストマーリング20Eは、主要封止部21Eおよび第三の小封止部24Eを備えている。溝14Aに向いている主要封止部21Eは、2つの端部211Eをさらに備えている。2つの端部211Eは、面取りされた端部である。2つの端部211Eの一方は、上側要素11Aの底部111Aと上部112Aとの間の角に対応している。2つの端部211Eのもう一方は、下側要素13Aの上部ユニット131Aと底ユニット132Aとの間の角に対応している。第三の小封止部24Eは、主要封止部21Eの外側から、溝14Aから離れる方向に突出する。第三の小封止部24Eの高さH1は、主要封止部21Eの高さh1より高く、第三の小封止部24Eは、上側要素11Aの上部112Aおよび下側要素13Aの底ユニット132Aとそれぞれ接触している。静電チャック10Aと延伸要素30Aとの間の空隙31Aは、第三の小封止部24Eによって塞がれ得る。第三の小封止部24Eは、プラズマガス40が空隙31Aおよび溝14Aに流入することを阻止し得る。第三の小封止部24Eは、プラズマガス40のエッチングによって生じる接続層12Aの破損を効果的に防止する。
【0032】
図8を参照すると、バリアシールの第八の実施形態は、エラストマーリング20E’である。エラストマーリング20E’の断面は、ほぼキャップの形状をしている。エラストマーリング20E’は、主要封止部21E’およびa第三の小封止部24E’を備えている。溝14に向いている主要封止部21E’は、2つの端部211E’をさらに備えている。2つの端部211E’は、面取りされた端部である。2つの端部211E’の一方は、上側要素11の底部111と上部112との間の角に対応している。2つの端部211E’のもう一方は、下側要素13の上面に非常に近接している。第三の小封止部24E’は、主要封止部21E’の外側から、溝14から離れる方向に突出する。第三の小封止部24E’の高さH2は、主要封止部21E’の高さh2より高く、第三の小封止部24E’は、上側要素11の上部112、および下側要素13とそれぞれ接触している。静電チャック10と延伸要素30との間の空隙31は、第三の小封止部24E’によって塞がれ得る。第三の小封止部24E’は、プラズマガス40が空隙31および溝14に流入することを阻止し得る。第三の小封止部24E’は、プラズマガス40のエッチングによって生じる接続層12の破損を効果的に防止する。
【0033】
エラストマーリング20Eとエラストマーリング20E’との間の差は、主要封止部の高さh1、h2と、第三の小封止部の高さH1、H2である。異なる設計の下側要素13、13Aを、エラストマーリング20E’またはエラストマーリング20Eとともにそれぞれ用いてもよい。図7および8を参照すると技術者は、適切なエラストマーリング20Eまたはエラストマーリング20E’を選択して、異なる静電チャック10とともに用いてもよい。
【0034】
すべての種類のエラストマーリング20、20A、20B、20C、20C’、20D、20E、20E’は、ゴムで作られる。ゴムの弾性特性は、エラストマーリング20、20A、20B、20C、20C’、20D、20E、20E’が溝14、14A内に均一かつ完全に配置されることを助け得る。エラストマーリング20、20A、20B、20C、20C’、20D、20E、20E’は、プラズマガス40のエッチングによって生じる接続層12、12Aの破損を効果的に防止し得る。
【0035】
要約すると、静電チャック10の側壁のためのバリアシールは、複数の封止部、たとえば二重または三重の封止部を利用して、プラズマガス40が溝14、14Aまたは空隙31、31Aに流入して、接続層12、12Aを破損することを防止する。複数の封止部のうち1つが、プラズマガス40によって破壊されたとしても、静電チャック10、10Aの気体漏れが生じない。技術者は、漏れの前に、破損したバリアシールを適時に交換し得る。本発明は、半導体産業の発展に有益である。
【符号の説明】
【0036】
10、10A、90 ・・・静電チャック
11、11A、91 ・・・上側要素
12、12A、93 ・・・接続層
13、13A、92 ・・・下側要素
14、14A、113 ・・・溝
20、20A、20B、20C、20C’、20D、20E、20E’、140 ・・・エラストマーリング
21、21A、21B、21C、21C’、21D、21E、21E’ ・・・主要封止部
22、22A、22B、22C、22C’、22D、 ・・・第一の小封止部
23A、23C、23C’ ・・・第二の小封止部
24D、24E、24E’ ・・・第三の小封止部
30、30A、100 ・・・延伸要素
31、31A、110 ・・・空隙
40、120 ・・・プラズマガス
150 ・・・封止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11