(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6195669
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】複数の電極接点に係る固定状態検知デバイス及び複数の電極のノードにおける異常な電極接点を検出する固定状態検知デバイス
(51)【国際特許分類】
G01R 31/36 20060101AFI20170904BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20170904BHJP
G01R 31/04 20060101ALI20170904BHJP
H01M 2/10 20060101ALN20170904BHJP
【FI】
G01R31/36 L
B60R16/02 650Z
G01R31/04
!H01M2/10 M
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-523911(P2016-523911)
(86)(22)【出願日】2013年10月16日
(65)【公表番号】特表2017-501377(P2017-501377A)
(43)【公表日】2017年1月12日
(86)【国際出願番号】CN2013085338
(87)【国際公開番号】WO2015054852
(87)【国際公開日】20150423
【審査請求日】2016年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】516280613
【氏名又は名称】アリース エコ アーク(ケイマン) シーオー.エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】楊安瓷
(72)【発明者】
【氏名】楊安陶
(72)【発明者】
【氏名】陳錚錚
【審査官】
公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】
特表2012−531722(JP,A)
【文献】
特開2011−249307(JP,A)
【文献】
特開2002−050342(JP,A)
【文献】
特開2010−282816(JP,A)
【文献】
特開2010−160930(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/095315(WO,A1)
【文献】
特開2013−005509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/04
G01R 31/36
H01M 2/10
H01M 2/30
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極接点に係る固定状態検知デバイスであって、
電極と、端子ボルトと、検知センサアセンブリと、位置決めボルトとを備え、
前記電極は、電極スレッドと位置決めスレッドとを備え、
前記端子ボルトは、コンダクタと前記電極スレッドを固定し且つ少なくとも1つの位置決め凹部を備え、
前記検知センサアセンブリは、絶縁カバーと、第1接触点と、第2接触点と、弾性部材と、電圧信号入力コネクタとを備え、
前記第2接触点は前記電圧信号入力コネクタに接続され、前記第1及び第2接触点が分離するように、前記弾性部材は前記第1及び第2接触点の間に配置され、前記弾性部材が押し潰されると、前記第1及び第2接触点を導通して前記電極のノードの電圧信号を戻す回路が形成され、
前記位置決めボルトは、前記検知センサアセンブリを位置決めスレッドに取り付けるためのものであり、
前記位置決めボルトのヘッド部が前記位置決め凹部に入り込むと、前記端子ボルトが前記位置決めボルトのヘッド部により固定状態となるように構成される、
複数の電極接点に係る固定状態検知デバイス。
【請求項2】
別異の電極に係る別異の検知センサアセンブリを更に備え、
前記電極と前記別異の電極とは、同一のポテンシャルを有する、
請求項1に記載の複数の電極接点に係る固定状態検知デバイス。
【請求項3】
分圧器回路を形成するためのバイアス抵抗器を更に備え、
前記弾性部材が押し潰されない場合には、固有のドロップ電圧信号がバッテリ管理コンポーネントに送信される、
請求項2に記載の複数の電極接点に係る固定状態検知デバイス。
【請求項4】
前記固有のドロップ電圧信号を測定して異常な電極接触点を識別するためのコントロールユニットを更に備える、請求項3に記載の複数の電極接点に係る固定状態検知デバイス。
【請求項5】
複数の電極のノードにおける異常な電極接点を検出する固定状態検知デバイスであって、
少なくとも2つの検知センサアセンブリと電圧信号入力コネクタとを備え、
各検知センサアセンブリは、絶縁アセンブリと、第1接触点と、第2接触点と、弾性部材とを備え、
前記第2接触点は前記電圧信号入力コネクタに接続され、前記第1及び第2接触点が分離するように、前記弾性部材は前記第1及び第2接触点の間に配置され、前記弾性部材が位置決めボルト及び関連する端子ボルトの固定によって押し潰されると、第1接触点と第2接触点とを導通する回路が形成され、検知センサアセンブリが位置決めボルトにより位置決めスレッドに固定され、
前記位置決めボルトのヘッド部が前記端子ボルトの位置決め凹部に入り込むと、前記端子ボルトは前記位置決めボルトのヘッド部によって固定状態となるように構成される、
複数の電極のノードにおける異常な電極接点を検出する固定状態検知デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知センサアセンブリを利用し且つ複数の電極接点に係る固定状態検知デバイスに関し、特に検知センサアセンブリの信号の安定性を利用して固定状態を確認する機器に関する。固定状態検知デバイスは、電気自動車の分野で特に有益である。なぜなら、固定状態検知デバイスは、当該分野において動力を供給する大量のバッテリモジュールとともによく接続されるからである。関連する端子ボルトは、電気自動車における振動の影響を受ける。
【背景技術】
【0002】
何百ものバッテリが、大型電気自動車のバッテリモジュールに使用され、直列接続又は並列接続されている。ほとんどの組み立て方法において、すべての電極接触点を正確に固定することは困難なので、緩みのリスクがこのタイプのバッテリモジュールには常に存在する。しかし、電気自動車が走行しているときには、バッテリは電気自動車の継続的な振動によって継続的に影響を受ける。すなわち、電気自動車が長時間走行するときには、電極接触点が緩められて、その結果、高電圧アークやスパークを起こすことがある。したがって、バッテリモジュールの安全を確保するために固定状態検知デバイスが求められているといえる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、固定状態検知デバイスを提供するものである。固定状態検知デバイスは、バッテリの電圧情報及びバッテリモジュールの電極接点の固定状態を戻すために用いられる検出センサアセンブリを含む。特に、固定状態検知デバイスは、継続的に振動し得る電気自動車に応用されるものである。
【0004】
本発明の目的は、複数の電極接点に係る固定状態検知デバイスを提供することにある。電極接触点が万が一緩められたときには、電気自動車の電気システムの障害を避けるために、これを検知したことをユーザに通知する。
【0005】
本発明の第2の目的は、複数の電極接点に係る固定状態検知デバイスを提供することにある。電極接触点の固定状態及びバッテリの電圧情報が固定状態検知デバイスによってバッテリ管理ユニットに送信される。
【0006】
本発明の別の目的は、バッテリ管理ユニットにおける少なくとも1つの検知センサアセンブリを利用することで、同一のポテンシャルを有する異なる電極の固定状態を検知することができる固定状態検知デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によれば、複数の電極接点に係る固定状態検知デバイスであって、電極と、端子ボルトと、センシングユニットと、位置決めボルトとを備え、前記電極は、電極スレッドと位置決めスレッドとを備え、前記端子ボルトは、コンダクタと前記電極スレッドを固定し且つ少なくとも1つの位置決め凹部を備え、前記センシングユニットは、絶縁カバーと、第1接触点と、第2接触点と、弾性部材と、電圧信号入力コネクタとを備え、前記弾性部材が押し潰されると、前記電極のノードの電圧信号を戻す回路が形成され、前記位置決めボルトは、検知センサアセンブリを位置決めスレッドに取り付けるためのものであり、前記位置決めボルトのヘッド部が前記位置決め凹部に入り込むと、前記端子ボルトが前記位置決めボルトのヘッド部により固定状態となるように構成される、複数の電極接点に係る固定状態検知デバイスが提供される。
【0008】
本発明の別の側面によれば、別異の電極に係る別異の検知センサアセンブリを更に備え、前記電極と前記別異の電極とは、同一のポテンシャルを有する、複数の電極接点に係る固定状態検知デバイスが提供される。
【0009】
本発明の別の側面によれば、分圧器回路を形成するためのバイアス抵抗器を更に備え、前記弾性部材が押し潰されない場合には、固有のドロップ電圧信号がバッテリ管理コンポーネントに送信される、複数の電極接点に係る固定状態検知デバイスが提供される。
【0010】
本発明の別の側面によれば、前記固有のドロップ電圧信号を測定して異常な電極接触点を識別するためのコントロールユニットを更に備える、複数の電極接点に係る固定状態検知デバイスが提供される。
【0011】
本発明の別の側面によれば、複数の電極のノードにおける異常な電極接点を検出する固定状態検知デバイスであって、少なくとも2つの検知センサアセンブリと電圧信号入力コネクタとを備え、各検知センサアセンブリは、絶縁アセンブリと、第1接触点と、第2接触点と、弾性部材とを備え、前記弾性部材が位置決めボルト及び関連する端子ボルトの固定によって押し潰されると、第1接触点と第2接触点とを導通する回路が形成され、検知センサアセンブリが位置決めボルトにより位置決めスレッドに固定され、前記位置決めボルトのヘッド部が位置決め凹部に入り込むと、前記端子ボルトは前記位置決めボルトのヘッド部によって固定状態となるように構成される、複数の電極のノードにおける異常な電極接点を検出する固定状態検知デバイスが提供される。
【0012】
上述の本発明は、その分野に属する通常の知識を有する者が下記の発明の詳細な説明及び添付した図面を参照することによってより簡易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る固定状態検知デバイスの等角図法による模式図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る固定状態検知デバイスの分解図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る固定状態検知デバイスの断面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る固定状態検知デバイスの等角図法による模式図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る並列接続された複数のバッテリモジュールの配線図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の第1実施形態に係る複数の電極接点に係る固定状態検知デバイスについて、
図1〜
図3を参照しながら説明する。本固定状態検知デバイスは、電極101、端子ボルト102、位置決め凹部103、電極スレッド104、位置決めボルト105、位置決めスレッド106、コンダクタ110、第1接触点111、第2接触点112、第1絶縁スリーブ113、第2絶縁スリーブ114、絶縁カバー、及び弾性スペーサー116を備える。
【0015】
図2に示されるように、電極は、電極スレッド104と位置決めスレッド106とを含む。
【0016】
コンダクタ110は、端子ボルト102を通して電極101に固定される。端子ボルト102は、位置決め凹部103と位置決めスレッド106とが整合するように位置を調節し、これにより位置決めボルト105が設けられる。
【0017】
位置決めボルト105は、検出センサアセンブリを位置決めスレッド106に取り付けるためのものである。
【0018】
センシングユニットは、絶縁カバー115、第1接触点111、第2接触点112及び弾性スペーサー116を含む。
図3に示され且つ第1実施形態において例示するように、絶縁カバー115は、第1接触点111と第2接触点112とを含む。絶縁カバー115が位置決めボルト105により押し潰されると、弾性スペーサー116が圧縮されて第1接触点111と第2接触点112とが互いに接触し、これによって導電性回路を形成する。絶縁カバー115が開放又は減圧されると、弾性スペーサー116は、第1接触点111と第2接触点112とを隔て、これにより第1接触点111及び第2接触点112間の回路が切り離される。
【0019】
第1実施形態において、第1接触点111はバッテリ管理ユニットと接続されて、第2接触点112は電圧検出プローブ又は電圧検出コネクタ(電極から電圧信号を受信する)と接続される。つまり、第1接触点111が第2接触点112に接触するときには、安定した電圧信号がバッテリ管理ユニットにより継続的に受信され、第1接触点111と第2接触点112とが絶縁されるときには、電圧信号が失われる。
【0020】
続いて
図4を参照し、本発明の第2実施形態に係る複数の電極接点に係る固定状態検知デバイスについて説明する。複数の検知センサアセンブリは、第1バッテリ401と第2バッテリ402とに設けられる。第1バッテリ401と第2バッテリ402とは、並列に接続される。
【0021】
第2実施形態は、2つのバッテリが並列接続されるときに、複数の検知センサアセンブリによって電圧信号が送信されることにより複数の電極が固定状態であることを検出するものである。第1バッテリ410の負極412及び第2バッテリ420の負極421は、同一のポテンシャルを有する。
【0022】
位置決めボルト414は、第1バッテリ410の負極412の電極スレッド413の固定状態を確認するものである。第1実施形態において説明されるように、検知センサアセンブリが、位置決めボルト414に取り付けられ且つ第1バッテリ410の負極412の位置決めスレッドに設けられることを特徴としている。
【0023】
位置決めボルト424は、第2バッテリ420の負極421の電極スレッド423の固定状態を確認するものである。第1実施形態において説明されるように、検知センサアセンブリが位置決めボルト414に取り付けられ且つ第2バッテリ420の負極421の位置決めスレッドに設けられることを特徴としている。
【0024】
第1バッテリ410の負極412及び第2バッテリ420の負極421からの電圧情報信号が、コンダクタ450及び入力線452に送信される。位置決めボルト414及び位置決めボルト424に関連付けられるこれら2つの検知センサアセンブリが押し潰されて、第1接触点及び第2接触点を介して電流が流れるとき、電流情報信号が、バッテリ管理ユニット(図示せず)の入力線452、相互接続線451、及び出力線453を通して、電圧情報を戻すためにバッテリ管理ユニットに送信される。
【0025】
検知センサアセンブリのうちの1つの関連する位置決めボルトが緩まったときは、押し潰された状態が解除され、第1接触点と第2接触点との間の電気伝導が絶縁される。この状況では、バッテリ管理ユニットは電圧情報信号を失う。すなわち、車両管理部ユニットによって、電圧情報信号が失われたら電極接触点が緩まっている可能性があると判断することができる。そして、バッテリ管理ユニットと関連する車両管理部ユニットは、電極接触点における上記必要な検出をするように、ユーザやサービスの提供者に知らせることができる。
【0026】
続いて
図5を参照し、より高度な例である第2実施形態を説明する。ブロック504、503、502、501は、対応するバッテリの対応する電極に係る固定状態、及び並列のバッテリモジュールにおいて指定されたノードの電圧信号を戻す検知センサアセンブリをそれぞれ表している。ワイヤ534、533、532、531は、対応する電極の検知センサアセンブリを接続するものである。
【0027】
図5に例示するように、バイアス抵抗器523、522、521は、何れかのバッテリの端子ボルトが緩められたときにバッテリにおける複数の電極の固定状態を検出し、異常な電極接点を識別可能な分圧器回路を形成するものである。すべての検知センサアセンブリがしっかりと固定されているときには、電圧情報信号がバッテリ管理ユニットによってワイヤ520、534を通して直接的に読み込まれ、電極のノードのすべての電圧値がバッテリ管理ユニットによって取得される。検知センサアセンブリのうちの1つが緩められているときには、ワイヤ520、534の間を通電せず、電極のノードにおける電圧情報信号がバッテリ管理ユニットによって対応するバイアス抵抗器を通して読み込まれ、減少した電圧値がバッテリ管理ユニットにより取得される。これにより、バッテリ管理ユニットと関連付けられた車両管理ユニットによって、減少した電圧信号及び分圧器回路における電圧値の計算結果を通して、接触異常がある電極を決定し且つ特定することができる。
【0028】
図5において示される実施形態を実施すれば、車両管理ユニットによって、電極又はコンダクタが緩む前に異常な電極接点をユーザに通知することができる。緩められた位置決めボルトが、低減された電圧信号を通じて車両管理ユニットにより特定されるので、端子ボルトは依然電極スレッドに位置することとなる。すなわち、異常な電極接点を検知してドライバー又はサービスの提供者に警告することができる。
【符号の説明】
【0029】
101 :電極
102 :端子ボルト
103 :位置決め凹部
104 :電極スレッド
105 :位置決めボルト
106 :位置決めスレッド
110 :コンダクタ
111 :第1接触点
112 :第2接触点
113 :第1絶縁スリーブ
114 :第2絶縁スリーブ
115 :絶縁カバー
116 :弾性スペーサー
401 :第1バッテリ
402 :第2バッテリ
410 :第1バッテリ
412 :負極
413 :電極スレッド
414 :位置決めボルト
420 :第2バッテリ
421 :負極
423 :電極スレッド
424 :位置決めボルト
450 :コンダクタ
451 :相互接続線
452 :入力線
453 :出力線
501 :ブロック
502 :ブロック
503 :ブロック
504 :ブロック
520 :ワイヤ
521 :バイアス抵抗器
522 :バイアス抵抗器
523 :バイアス抵抗器
531 :ワイヤ
532 :ワイヤ
533 :ワイヤ
534 :ワイヤ