特許第6195737号(P6195737)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6195737
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/49 20060101AFI20170904BHJP
   A61F 13/56 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
   A61F13/49 315A
   A61F13/56 210
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-117718(P2013-117718)
(22)【出願日】2013年6月4日
(65)【公開番号】特開2014-233523(P2014-233523A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2016年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】坂口 智
(72)【発明者】
【氏名】三宅 真紀
【審査官】 ▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−212175(JP,A)
【文献】 特開平10−243961(JP,A)
【文献】 特開2011−036502(JP,A)
【文献】 特開2012−161557(JP,A)
【文献】 実開平04−047428(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15−13/84
A61L15/16−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前胴回り域と、後胴回り域と、前記前胴回り域と前記後胴回り域との間に位置する股下域と、
前記前胴回り域から前記後胴回り域に向かう製品長手方向と、
前記製品長手方向と直交する製品幅方向と、
一対のレッグ開口部と、
前記股下域を跨ぎ、かつ前記前胴回り域と前記後胴回り域の少なくとも一方に延びる吸収体と、
前記後胴回り域の製品幅方向の外側端部に配置され、前記前胴回り域に止着する一対のファスニングテープと、
前記レッグ開口部よりも製品幅方向内側に配置され、かつ前記製品長手方向に伸縮する一対のレッグ伸縮部と、を備える使い捨ておむつであって、
前記吸収体の非肌当接面側に位置する液不透過性のバックシートと、
前記バックシートの非肌当接面側に配置され、かつ不織布からなる外装シートと、
前記吸収体の前記製品幅方向の側縁部を覆い、かつ不織布からなるサイドフラップと、を有し、
前記レッグ伸縮部は、前記レッグ開口部の製品幅方向の内側端部と前記吸収体の製品幅方向の外側端部との前記製品幅方向における中心点よりも製品幅方向内側に位置する第1レッグ伸縮部と、前記中心点よりも製品幅方向外側に位置する第2レッグ伸縮部と、を備え、
前記第2レッグ伸縮部よりも製品幅方向外側には、補助伸縮部が設けられており、
前記レッグ伸縮部の後側端部は、前記ファスニングテープよりも前側、かつ前記ファスニングテープよりも製品幅方向内側に配置されており、
前記補助伸縮部の前側端部は、前記レッグ伸縮部の前側端部よりも後側に配置され、
前記補助伸縮部の後側端部は、前記レッグ伸縮部の後側端部よりも後側に配置されており、
前記レッグ伸縮部は、前記バックシート、前記外装シート及び前記サイドフラップが積層された領域に配置されており、
前記補助伸縮部は、前記外装シート及び前記サイドフラップが積層され、かつ前記バックシートが積層されていない領域に配置されている、使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記使い捨ておむつを伸長させた伸長状態において、前記補助伸縮部は、前記第2レッグ伸縮部の後側端部と、前記ファスニングテープの前記製品幅方向の内側端部における前記前側端部と、を繋ぐ仮想線に交差する、請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記補助伸縮部の前側端部は、前記レッグ開口部の前記製品長手方向の中心よりも後側に配置されている、請求項1又は請求項2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記レッグ開口部は、前記レッグ開口部の前記製品長手方向中心よりも後方に位置する後側レッグ開口部と、前記レッグ開口部の前記製品長手方向中心よりも前方に位置する前側レッグ開口部とを有しており、
前記使い捨ておむつを伸長させた伸長状態において、前記後側レッグ開口部と、前記製品幅方向における中心を通り製品長手方向に平行な直線との間の面積は、前記前側レッグ開口部と、前記製品幅方向における中心を通り前記製品長手方向に延びる直線との間の面積よりも広い、請求項1から請求項3のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記第1レッグ伸縮部は、前記吸収体よりも製品幅方向外側に配置されている、請求項1から請求項4のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記レッグ伸縮部の前記製品長手方向の中心及び前記レッグ開口部の前記製品長手方向の中心は、前記使い捨ておむつの前記製品長手方向の中心よりも前方に位置する、請求項1から請求項5のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記使い捨ておむつを伸長させた伸長状態において、前記後側レッグ開口部には、前記製品幅方向外側に向けて凸状となる凸部が形成されている、請求項4に記載の使い捨ておむつ。
【請求項8】
前記使い捨ておむつを伸長させた伸長状態において、前記前側レッグ開口部には、前記製品幅方向内側に向けて凹む形状となる凹部が形成されている、請求項4又は請求項7に記載の使い捨ておむつ。
【請求項9】
前記補助伸縮部は、前記レッグ開口部の前記製品長手方向の中心よりも後側に位置する後補助伸縮部と、前記レッグ開口部の前記製品長手方向の中心よりも前側に位置する前補助伸縮部と、を有しており、
前記後補助伸縮部の本数は、前記前補助伸縮部の本数よりも多い、請求項1から請求項8のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
【請求項10】
前記凸部は、複数形成されている、請求項7に記載の使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テープタイプのおむつであって、吸収体と、吸収体よりも幅方向外側に延出するサイドフラップと、吸収体よりも製品幅方向外側に配置されたレッグ伸縮部と、を有するおむつが開示されている(例えば、特許文献1、図1参照)。
【0003】
サイドフラップの後胴回り域には、ファスニングテープが接合されている。ファスニングテープが接合された領域よりも前側には、レッグ伸縮部が設けられている。レッグ伸縮部は、製品長手方向に沿って配置されている。使い捨ておむつが着用された状態において、レッグ伸縮部が収縮することにより、使い捨ておむつの股下域が着用者の股下部に向かって引き上げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−161557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の使い捨ておむつには、以下の問題点があった。
【0006】
オープンタイプのおむつを装着する際は、着用者の股下部の前後方向中心にレッグ開口部の製品長手方向中心が合うように着用者の下方に使い捨ておむつを配置し、後胴回り域によって着用者の臀部を包みつつファスニングテープを前胴回り域側に引っ張り、ファスニングテープによって着用者の腰回りにおむつを固定する。
【0007】
使い捨ておむつのファスニングテープから製品幅方向に延びる領域は、ファスニングテープを固定した状態で、着用者の身体に密着する。しかし、使い捨ておむつのファスニングテープよりも股下域側の領域は、ファスニングテープの固定によって着用者の身体に密着しない。また、使い捨ておむつの股下域は、レッグ伸縮部の収縮によって、着用者側に引き上がり、密着し易い。
【0008】
しかし、特許文献1の使い捨ておむつは、ファスニングテープから製品幅方向に延びる領域と股下域の前後方向における間の領域が、ファスニングテープやレッグ伸縮部が配置されていないため、着用者に密着し難い。よって、排泄物の重みによって使い捨ておむつの股下域が引き下がったり、着用者の動きによってサイドフラップが内側に巻き込まれたりして、着用者の身体を適切に覆うことができないことがある。
【0009】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、着用者の身体を適切に覆う状態を維持し易い、テープタイプの使い捨ておむつを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係る使い捨ておむつ(使い捨ておむつ10)は、前胴回り域(前胴回り域20)と、後胴回り域(後胴回り域30)と、前記前胴回り域と前記後胴回り域との間に位置する股下域(股下域25)と、前記前胴回り域から前記後胴回り域に向かう製品長手方向(製品長手方向L)と、前記製品長手方向と直交する製品幅方向(製品幅方向W)と、一対のレッグ開口部(レッグ開口部35)と、前記股下域を跨ぎ、かつ前記前胴回り域と前記後胴回り域の少なくとも一方に延びる吸収体(吸収体40)と、前記後胴回り域の製品幅方向の外側端部に配置され、前記前胴回り域に止着する一対のファスニングテープ(ファスニングテープ90)と、前記レッグ開口部よりも製品幅方向内側に配置され、かつ前記製品長手方向に伸縮する一対のレッグ伸縮部(レッグ伸縮部75)と、を備える使い捨ておむつであって、前記レッグ伸縮部は、前記レッグ開口部の製品幅方向の内側端部(レッグ開口部の製品幅方向の内側端部35I)と前記吸収体の製品幅方向の外側端部(吸収体の製品幅方向の外側端部40T)との前記製品幅方向における中心点(中心点O2)よりも製品幅方向内側に位置する第1レッグ伸縮部(第1レッグ伸縮部751)と、前記中心点よりも製品幅方向外側に位置する第2レッグ伸縮部(第2レッグ伸縮部752)と、を備え、前記第2レッグ伸縮部よりも製品幅方向外側には、補助伸縮部(補助伸縮部77)が設けられており、前記レッグ伸縮部の後側端部(レッグ伸縮部の後側端部75R)は、前記ファスニングテープよりも前側、かつ前記ファスニングテープよりも製品幅方向内側に配置されており、前記補助伸縮部の前側端部(補助伸縮部の前側端部77F)は、前記レッグ伸縮部の前側端部(レッグ伸縮部の前側端部75F)よりも後側に配置され、前記補助伸縮部の後側端部(補助伸縮部の後側端部77R)は、前記レッグ伸縮部の後側端部(レッグ伸縮部の後側端部75R)よりも後側に配置されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る使い捨ておむつによれば、着用者の身体を適切に覆う状態を維持し易い、テープタイプの使い捨ておむつを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る使い捨ておむつの展開平面図である。
図2図1に示したF1-F1線に沿った使い捨ておむつの断面図である。
図3図1に示したF2-F2線に沿った使い捨ておむつの断面図である。
図4】本実施形態に係る使い捨ておむつを着用者に装着した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る使い捨ておむつ10の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0014】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0015】
(1)使い捨ておむつの全体概略構成
図1は、本実施形態に係る使い捨ておむつ10の展開平面図である。図2は、図1に示したF1-F1線に沿った使い捨ておむつの断面図である。図3は、図1に示したF2-F2線に沿った使い捨ておむつの断面図である。図1に示す展開平面図は、使い捨ておむつを構成するトップシート50、サイドフラップ70等の皺が形成されない状態まで、レッグ伸縮部75及びレッグサイドギャザー80の弾性部材81を伸長させた状態の図である。
【0016】
使い捨ておむつ10は、テープタイプの使い捨ておむつである。テープタイプとは、前胴回り域の製品幅方向の外側端部と後胴回り域の製品幅方向の外側端部が、使用前に接合してなく、使用時にファスニングテープ等の止着部材によって接合されるおむつである。
【0017】
使い捨ておむつ10は、前胴回り域20と、股下域25と、後胴回り域30とを有する。前胴回り域20は、着用者の前胴回り部(腹部分)と接する部分である。また、後胴回り域30は、着用者の後胴回り部(背部分)と接する部分である。股下域25は、前胴回り域20と後胴回り域30との間に位置する。
【0018】
なお、本実施形態では、前胴回り域20から後胴回り域30に向かう方向を製品長手方向Lと呼び、製品長手方向Lと直交する方向を製品幅方向Wと呼ぶ。
【0019】
使い捨ておむつ10は、股下域25を跨ぎ、かつ股下域25から前胴回り域20及び後胴回り域30のうち少なくともいずれか一方に向かって延びる吸収体40を備える。吸収体40は、吸収性コア40aとコアラップ40bとによって構成される。
【0020】
吸収性コア40aは、従来の使い捨ておむつと同様であり、粉砕パルプや高吸収ポリマーなど、公知の部材や材料を用いて適宜構成することができる。吸収性コア40aは、シート状のコアラップ40bによって包まれている。
【0021】
コアラップ40bは、吸収性コア40aを被覆するシートである。コアラップ40bの少なくとも肌面側の一部は、透液性を有する各種の繊維不織布もしくはティッシュシートによって構成される。例えば、質量約10〜30g/m2のエアースルー繊維不織布、スパンボンド不織布、SMS(スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド)不織布、または質量約10〜30g/m2のティッシュシートを用いることができる。
【0022】
吸収体40の表面側(肌当接面側)には、液透過性のトップシート50が備えられる。また、吸収体40の裏面側(非肌当接面側)には、液不透過性のバックシート60aが備えられる。バックシート60aの裏面側(非肌当接面側)には、外装シート60が設けられる。
【0023】
吸収体40の製品幅方向Wにおける側縁部には、サイドフラップ70がそれぞれ備えられる。サイドフラップ70は、前胴回り域20、股下域25、及び後胴回り域30を跨ぎ、かつ吸収体40よりも製品幅方向外側に配置される。サイドフラップ70は、1枚または2枚以上の複数枚重ねた不織布によって構成されている。
【0024】
使い捨ておむつ10のサイドフラップ70には、一対のレッグ開口部35が形成される。レッグ開口部35は、使い捨ておむつの製品幅方向の側端部に設けられており、使い捨ておむつが着用者に着用された状態で、着用者の脚回りに沿って配置される部分である。レッグ開口部35は、吸収性本体の製品幅方向における中心に向かって凹んでいる。
【0025】
レッグ開口部35は、レッグ開口部の製品長手方向の中心O4よりも後方に位置する後側レッグ開口部35Rと、レッグ開口部の製品長手方向の中心よりも前方に位置する前側レッグ開口部35Fとを有する。後側レッグ開口部35Rと、製品幅方向における中心を通り製品長手方向に平行な直線L1との間の面積は、前側レッグ開口部35Fと、製品幅方向における中心を通り製品長手方向に平行な直線L1との間の面積よりも広い。当該面積は、使い捨ておむつを構成するトップシート50、サイドフラップ70等の皺が目視にて視認できない状態まで、レッグ伸縮部75及びレッグサイドギャザー80の弾性部材81を伸長させた伸長状態の面積である。
【0026】
また、一対のサイドフラップ70には、ファスニングテープ90がそれぞれ備えられる。ファスニングテープ90は、後胴回り域30において、製品幅方向Wに沿って延び、前胴回り域20の非肌当接面に止着されることにより、使い捨ておむつ10を着用者の身体に保持する。
【0027】
ターゲット部95は、前胴回り域内の非肌当接面に配置され、一対のファスニングテープ90がそれぞれ止着するように構成されている。
【0028】
本実施形態において、前胴回り域20、後胴回り域30、及びファスニングテープ90によって胴回り保持部が構成される。後胴回り域30の胴回り保持部は、ファスニングテープ90の係合部分が設けられた領域から製品幅方向に延びる範囲である。前胴回り域20の胴回り保持部は、ターゲット部95が設けられた領域から製品幅方向に延びる範囲である。
【0029】
サイドフラップ70には、レッグ開口部35よりも製品幅方向内側に配置され、製品長手方向Lに伸縮可能な一対のレッグ伸縮部75が備えられる。
【0030】
レッグ伸縮部75は、レッグ開口部35を製品長手方向に伸縮できるように構成されていればよく、レッグ開口部35に沿って配置されていてもよいし、一部がレッグ開口部35に対して傾斜した状態で配置されていてもよい。
【0031】
また、レッグ伸縮部75よりも製品幅方向外側には、股下域25と後胴回り域30とに跨って配置され、かつ製品長手方向に伸縮する補助伸縮部77が配置されている。
【0032】
なお、レッグ伸縮部75及び補助伸縮部77は、糸ゴム等によって実質的に製品長手方向に収縮する部分であり、収縮力が発揮されない状態で弾性部材が配置された部分を除く概念である。なお、レッグ伸縮部75及び補助伸縮部77の構成については、後述にて詳細に説明する。
【0033】
また、一対のレッグ伸縮部75の内側(製品幅方向Wにおける中央寄り)には、製品長手方向Lに沿って延びる一対のレッグサイドギャザー80が備えられる。レッグサイドギャザー80は、サイドフラップ70の製品幅方向の内側端部に設けられており、レッグ伸縮部75よりも製品幅方向内側に配置される起立性の伸縮ギャザーである。レッグサイドギャザー80は、レッグ伸縮部75よりも製品幅方向内側に配置されている。レッグサイドギャザー80は、従来において周知の構成を採用することができ、具体的には、サイドフラップ70と別のシート材によって構成されていてもよい。
【0034】
また、製品幅方向における一対のファスニングテープ間には、製品幅方向に伸縮可能な腰回り伸縮部85が設けられている。腰回り伸縮部85は、ファスニングテープ間を製品幅方向に収縮する。
【0035】
本実施形態において、腰回り伸縮部85は、伸縮性シートによって構成されている。腰回り伸縮部85を構成する部材については、特に限定されないが、出来る限り薄くて曲げ剛性が低く、幅入り率が小さいものを用いることが好ましい。曲げ剛性を低い材料によって腰回り伸縮部85を構成することにより、腰回り伸縮部85が身体に沿って曲がりやすくなり、着用者の身体に負荷をかけずに腰回り伸縮部85を身体に沿わせてフィットさせることができる。また、幅入りが小さい材料によって腰回り伸縮部85を構成することにより、使い捨ておむつが製品幅方向に伸長した場合における使い捨ておむつの製品長手方向の収縮を抑制し、着用者の腰回りにおいて使い捨ておむつが股下側に引き下がることを抑制できる。
【0036】
本実施形態では、腰回り伸縮部85として、目付けが20〜65g/mの伸縮性フィルムを用いた。
【0037】
腰回り伸縮部85は、非伸長状態(自然状態)における長さの1.5〜2.5倍に引き延ばされた後、ホットメルト接着剤又は加熱処理等によって外装シート60に接着される。
【0038】
本実施形態では、腰回り伸縮部85は、外装シート60とバックシート60aとの間に配置されている。しかし、コアラップ40bが吸収性コア40aよりも製品長手方向外側に延出する構成にあっては、腰回り伸縮部85は、コアラップ40bと、バックシート60a又は外装シート60と、の間に配置されていてもよい。腰回り伸縮部の位置は、特に限定されない。また、吸収体が配置されない領域にあっては、サイドフラップ70と、バックシート60a又は外装シート60と、の間に配置されていてもよい。
【0039】
なお、本実施形態に係る腰回り伸縮部は、製品幅方向に伸縮するように構成されているが、腰回り伸縮部が製品幅方向と製品長手方向に伸縮するように構成されていてもよい。
【0040】
ファスニングテープ90は、後胴回り域30に対応するサイドフラップ70の領域に取り付けられている。ファスニングテープ90は、サイドフラップ70に連結された基材シート91と、複数の係合部材としての係合フック(図示せず)が設けられ、基材シート91に固定されたフックシート92と、を備える。フックシート92は、係合部材が設けられた領域であり、上述の後胴回り域における胴回り保持部は、フックシート92から製品幅方向に延びる領域である。
【0041】
フックシート92は、基材シート91に固定、具体的には接合されている。フックシート92と基材シート91との接合は、ファスニングテープ90の剛性が必要以上に高くなることがないようされていることが好ましい。具体的には、フックシート92と基材シート91とは、点状、線状或いはスパイラル状のような間欠的に塗布されたホットメルト接着剤によって接合されていることが好ましい。なお、フックシート92と基材シート91とは、熱シールなどで接合されてもよい。
【0042】
基材シート91は、1枚または2枚以上の複数枚重ねた不織布によって構成されている。基材シート91としては、スパンボンド(SB)またはスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)などの製法によって製造された不織布を用いることができる。基材シート91を構成する不織布の目付け(複数枚の場合は合計目付け)は、30〜120g/m2であり、好ましくは40〜90g/m2である。
【0043】
ターゲット部95は、前胴回り域の外装シート60の非肌当接側の面に設けられている。ターゲット部95は、ファスニングテープの係合フックが引っ掛かるように構成されており、フックとループの係止システムのループとして機能する。ターゲット部としては、例えば、エアースルー不織布を用いることができる。
【0044】
ターゲット部95は、例えばポリオレフィン系の熱可塑性合成樹脂繊維から作られた繊維不織布またはポリオレフィン系の熱可塑性合成樹脂フィルムを用いることができる。また、ターゲット部に取り付けられたループは、ポリオレフィン系の熱可塑性合成樹脂によって形成できる。
【0045】
更に、ターゲット部95として、嵩高の不織布であって、その一部をエンボスすることで不織布表面の毛羽立ちを防止した不織布を用いてもよい。
【0046】
また、使い捨ておむつの外装シート60を不織布によって形成し、ファスニングテープ90の取り付け位置を示す図柄をバックシート60a又は外装シート60の非肌当接側の面に印刷する、若しくは図柄のシートをバックシート60a又は外装シート60の非肌当接側に配置することによってもターゲット部とすることができる。
【0047】
た、後側レッグ開口部35Rと、製品幅方向における中心を通り製品長手方向に平行な直線L1との間の面積は、前側レッグ開口部35Fと、製品幅方向における中心を通り製品長手方向に平行な直線L1との間の面積よりも広い。よって、レッグ開口部の製品長手方向中心よりも後側に位置するサイドフラップは、レッグ開口部の製品長手方向中心よりも前側に位置するサイドフラップよりも製品幅方向外側に延出しており、身体を覆うことができる面積が広い。
【0048】
なお、製品幅方向における中心を通り製品長手方向に平行な直線L1とは、使い捨ておむつの製品幅方向における中心を通り、かつ製品長手方向に平行な直線L1である。
【0049】
着用者の身体は、前後対称ではなく、腹側の表面積よりも背側の表面積の方が広い。着用者の背側には、外側に臀部が存在するためである。また、着用者が使い捨ておむつを着用した状態では、レッグ開口部35の製品長手方向の中心O4が、着用者の股下の製品長手方向の中心に対応する位置となり易い。例えば、レッグ開口部の製品長手方向中心よりも後方に位置する後側レッグ開口部と製品幅方向における中心を通り製品長手方向に平行な直線との間の面積が、レッグ開口部の製品長手方向中心よりも前方に位置する前側レッグ開口部と製品幅方向における中心を通り製品長手方向に平行な直線との間の面積と同じ面積、又は後側レッグ開口部と製品幅方向における中心を通り製品長手方向に平行な直線との間の面積が、前側レッグ開口部と製品幅方向における中心を通り製品長手方向に平行な直線との間の面積よりも少ないと、前後非対称である身体を覆うように使い捨ておむつを配置できず、着用者の背側において突っ張った状態となったり、着用者の腹側においてよれた状態となったりする。
【0050】
更に、レッグ開口部の製品長手方向の中心O4よりも後側に位置するサイドフラップ70と、レッグ開口部の製品長手方向の中心04よりも前側に位置するサイドフラップ70の製品幅方向の位置が略同じ位置であって、着用者の背側において突っ張った状態となると、装着された状態で後胴回り域側のレッグ開口部35がめくれあがり、着用者の臀部が露出してしまうことがある。また、臀部を覆うことができる十分な面積がないために、装着時に後胴回り域の製品幅方向端部が内側に巻き込まれ、着用者の臀部が露出してしまうことがある。
【0051】
しかし、レッグ開口部の製品長手方向中心よりも後側に位置するサイドフラップは、レッグ開口部の製品長手方向中心よりも前側に位置するサイドフラップよりも幅方向外側に延出しているため、前後非対称である身体を覆うように使い捨ておむつを配置でき、着用者の身体に対応して使い捨ておむつを配置することができる。
【0052】
後側レッグ開口部35Rには、製品幅方向外側に向けて凸状となる凸部36が複数形成されている。凸部36は、レッグ開口部の前後の領域よりも製品幅方向外側に突出した部分である。レッグ開口部35は、着用者の脚繰りに当たる箇所であり、使い捨ておむつ10の内側に向かって入り込み易い部分である。従って、より広くレッグ開口部35が身体を覆うことが好ましく、特に、後側レッグ開口部35Rが身体を広く覆うように配置されることが望ましい。凸部36を設けることにより、後側レッグ開口部35R部分の面積を大きくして、かつその形状を外向きに凸形状とすることにより、広く臀部を覆うことができる。
【0053】
更に、後側レッグ開口部35R、特に、後側レッグ開口部35Rの後部には、応力が集中し易いため、凸部36を形成することによって、肌への圧力をより分散できる状態としておくことが好ましい。具体的には、ファスニングテープ90の基端に近い位置では、応力が集中し易く、また使い捨ておむつ10の着用時には前後で重なり合うこともある部位であるため、肌への圧力を分散できるように凸状とすることが好ましい。
【0054】
前側レッグ開口部35Fには、製品幅方向内側に向けて凹む形状となる凹部が形成されている。凹部37は、レッグ開口部の前後の領域よりも製品幅方向内側に凹んで部分である。凹部37は、凹状であるため、着用者のそけい部に沿い易い。このため、サイドフラップ70及びレッグ伸縮部75が着用者によりフィットし、使い捨ておむつ10の前胴回り域20から股下域25を、着用者の動きに関わらず安定して身体に沿わせられる。例えば、着用者の脚の動きにより吸収体40の幅を狭くするような動きがなされた場合でも、凹部37がそけい部にフィットし続け、吸収体40の幅が狭まることなく広い状態を維持できる。凸部36及び凹部37は、肌への圧力緩和に加えて、着用者の身体に沿うことも必要である。
【0055】
(2)レッグ伸縮部及び補助伸縮部の構成
レッグ伸縮部75は、吸収体40よりも製品幅方向外側において製品長手方向Lに沿って配置され、製品長手方向Lに伸縮可能に構成されている。
【0056】
レッグ伸縮部75は、レッグ開口部35の製品幅方向の内側端部35Iと吸収体40の製品幅方向の外側端部40Tとの製品幅方向における中心点O2よりも製品幅方向内側に位置する第1レッグ伸縮部751と、中心点O2よりも製品幅方向外側に位置する2本の第2レッグ伸縮部752と、を備える。本実施形態に係る弾性部材は、ポリウレタン弾性繊維や天然ゴムからなる。補助伸縮部77は、所定本数の弾性部材(図1の例では、1本の弾性部材)によって構成されている。本実施形態に係る弾性部材は、ポリウレタン弾性繊維や天然ゴムからなる。
【0057】
また、本実施の形態の補助伸縮部77を構成する弾性部材は、製品長手方向に沿って配置された糸ゴムである。よって、サイドフラップ70の補助伸縮部が設けられた領域全体を均等に収縮させてふくらみのある着用者の臀部にサイドフラップ70が沿うことができるので、当該領域がめくれることなく臀部を覆うことができる。
【0058】
レッグ伸縮部75の後側端部75Rは、ファスニングテープ90よりも前側、かつファスニングテープよりも製品幅方向内側に配置されている。よって、レッグ伸縮部75によって、ファスニングテープ90よりも前側かつ幅方向内側の領域が収縮する。
【0059】
補助伸縮部77の前側端部77Fは、レッグ伸縮部75の前側端部75Fよりも後側に配置されている。よって、補助伸縮部77によって、レッグ伸縮部75の前側端部75Fよりも後方の領域が収縮する。補助伸縮部77の後側端部77Rは、レッグ伸縮部の後側端部よりも後側に配置されている。よって、補助伸縮部77によって、レッグ伸縮部75よりも後方の領域が収縮する。
【0060】
レッグ伸縮部75によって使い捨ておむつの股下域を着用者の股下部に向かって引き上げることができる。更に、レッグ伸縮部によって引き上げた力を、補助伸縮部77によってファスニングテープ90に伝達することができる。よって、ファスニングテープ90を止着した状態で、ファスニングテープ90によって着用者の腰回りに保持する領域及びレッグ伸縮部75が配置された領域のみならず、ファスニングテープ90とレッグ伸縮部75の間の領域を着用者に密着させ易くなる。
【0061】
具体的には、第1レッグ伸縮部751によって吸収体40を着用者側に持ち上げる。第1レッグ伸縮部751よって引き上げる力は、第2レッグ伸縮部752によって幅方向外側に伝達される。第2レッグ伸縮部752が伝達した力は、補助伸縮部77を介して、製品幅方向外側かつ製品長手方向外側に伝達される。
【0062】
レッグ伸縮部75よりも前側かつ製品幅方向外側には、ファスニングテープ90が配置されている。補助伸縮部77によって、レッグ伸縮部75による引き上げ力をファスニングテープ90に伝達できる。ファスニングテープ90を固定することにより、使い捨ておむつ10を着用者の腰回り及び股下部に密着させ、かつ使い捨ておむつのファスニングテープ90から製品幅方向に延びる領域と股下域の間の領域も着用者側に保持できる。そのため、着用者の身体を適切に覆う状態を維持し易くなり、漏れを抑制できる。
【0063】
更に、補助伸縮部によってレッグ伸縮部よりも製品幅方向外側の領域を収縮させることができ、後胴回り域のサイドフラップによって適切に臀部を覆うことができる。よって、特に、後側レッグ開口部の着用時のめくれを抑制できる。また、レッグ伸縮部の収縮によってレッグ開口部を身体側に引き寄せることができ、レッグ開口部のずれを抑制できる。
【0064】
また、使い捨ておむつを伸長させた伸長状態において、補助伸縮部77は、第2レッグ伸縮部752の後側端部と、ファスニングテープの製品幅方向内側端部における前側端部90Iと、を繋ぐ仮想線FL1に交差する。仮想線FL1は、レッグ伸縮部の引き上げ力が作用する点と、ファスニングテープによる胴回り方向の保持する力が作用する点と、を繋ぐ線である。当該仮想線FL1上に補助伸縮部77が交差することにより、レッグ伸縮部75の引き上げ力をファスニングテープに伝達し易くなる。使い捨ておむつのファスニングテープ90から製品幅方向に延びる領域と股下域の間の領域を、より好適に着用者側に保持できる。
【0065】
ファスニングテープの製品幅方向内側端部における前側端部90Iとは、ファスニングテープがサイドフラップ70に接合された領域において幅方向内側端部に位置し、かつ当該領域において前側端部に位置する部分である。また、本実施の形態のように、ファスニングテープが2枚のシート間に挟まれた構成にあっては、サイドフラップは、サイドフラップ70と重なった領域において、サイドフラップ70に密着していると解される。よって、ファスニングテープの製品幅方向内側端部における前側端部90Iは、ファスニングテープ全体の製品幅方向内側に位置し、かつ前側端部に位置する部分であってもよい。
【0066】
なお、本実施の形態では、第1レッグ伸縮部751の後側端部と第2レッグ伸縮部752の後側端部の前後方向の位置は、略一致している。第1レッグ伸縮部よりも第2レッグ伸縮部の方が、ファスニングテープに近い。よって、第2レッグ伸縮部752の後側端部と、ファスニングテープの製品幅方向内側端部における前側端部90Iと、を繋ぐ仮想線FL1に、補助伸縮部が交差することが好ましい。
【0067】
しかし、第1レッグ伸縮部の後側端部が第2レッグ伸縮部の後側端部よりも後方に位置し、かつ第2レッグ伸縮部よりも第1レッグ伸縮部の方が、ファスニングテープに近く構成されていてもよい。当該構成においても、第2レッグ伸縮部752の後側端部と、ファスニングテープの製品幅方向内側端部における前側端部90Iと、を繋ぐ仮想線に、補助伸縮部が交差することが好ましい。第1レッグ伸縮部751の後側端部が第2レッグ伸縮部752の後側端部よりも後方に位置する場合であっても、製品幅方向内側に位置する第1レッグ伸縮部751から製品幅方向外側に位置する第2レッグ伸縮部752に向かってレッグ伸縮部75の引き上げ力を伝達し、更に、第1レッグ伸縮部751を介してファスニングテープに該引き上げ力を伝達し易くなる。
【0068】
第1レッグ伸縮部は、吸収体よりも製品幅方向外側に配置されている。第1レッグ伸縮部によって吸収体よりも幅方向外側の領域を収縮させ、着用者側に引き上げることができる。吸収体よりも幅方向外側の領域がレッグ伸縮部によって収縮するため、当該収縮した領域が吸収体の外側端部を支持できる。よって、吸収体よりも幅方向外側の領域が吸収体の製品幅方向の外側端部も幅方向内側に入りにくくなる。よって、サイドフラップ70が幅方向内側に入り込むことを抑制できる。
【0069】
また、第1レッグ伸縮部が吸収体に重なって配置されていてもよい。しかし、本実施の形態のように、第1レッグ伸縮部が吸収体よりも製品幅方向外側に配置されていると、吸収体の剛性によって第1レッグ伸縮部が収縮し難くなることを抑制できる。
【0070】
図2に示すように、第1レッグ伸縮部751は、バックシート60aと外装シート60の間に配置されている。第1レッグ伸縮部751は、バックシート60a、外装シート60及びサイドフラップ70が積層された部分に設けられている。また、第2レッグ伸縮部752は、バックシート60aと外装シート60の間に配置されている。第2レッグ伸縮部752は、バックシート60a、外装シート60及びサイドフラップ70が積層された部分に設けられている。第1レッグ伸縮部751と第2レッグ伸縮部752は、同様のシートが積層された部分にそれぞれ設けられている。更に、第1レッグ伸縮部751の伸長率と、第2レッグ伸縮部の伸長率は、同じ伸長率である。
【0071】
第1レッグ伸縮部751は、第2レッグ伸縮部752よりも吸収体40の近くに配置されている。よって、吸収体の剛性の影響によって、第1レッグ伸縮部751は、第2レッグ伸縮部752よりも収縮し難くなる。第1レッグ伸縮部751は、臀部のふくらみに近い位置を通るように配置されている。そのため、第1レッグ伸縮部751が過度に収縮すると、身体にフィットさせる影響よりも下方(股下側)にずれる影響が大きくなってしまう。一方、第2レッグ伸縮部752は、レッグ開口部をファスニングテープ側(幅方向外側)へ引き出す機能を有する。よって、第2レッグ伸縮部752の伸長率は、大きい方が好ましい。
【0072】
レッグ伸縮部75の製品長手方向の中心O3は、使い捨ておむつの伸長状態において、使い捨ておむつの製品長手方向の中心O1よりも前方に位置する。また、使い捨ておむつの伸長状態において、レッグ開口部35の製品長手方向の中心O4は、使い捨ておむつの製品長手方向の中心O1よりも前方に位置する。
【0073】
このように、レッグ伸縮部75の製品長手方向の中心O3及びレッグ開口部35の製品長手方向の中心O4を使い捨ておむつの製品長手方向の中心O1よりも前方に配置することにより、レッグ伸縮部75の製品長手方向の中心O3及びレッグ開口部35の製品長手方向の中心O4を身体の製品長手方向中心に当てて使い捨ておむつを装着した状態で、後胴回り域30の製品長手方向Lの長さを前胴回り域20の製品長手方向Lの長さよりも長く設けることができる。
【0074】
上述のように、着用者の身体は、前後対称ではなく、腹側よりも背側の方が長く構成されている。例えば、後胴回り域30の製品長手方向Lの長さと、前胴回り域20の製品長手方向Lの長さと、が同じであると、前後非対称である身体のラインに沿って使い捨ておむつが配置されない。
【0075】
特に、着用者の動きが生じた場合(特に、足を上げたり、立ったり、座ったりした際)には、着用者の身体の表面の皮膚の伸縮量(長さの変化量)は、腹側によりも背側(臀部)の方が大きくなる。よって、例えば、使い捨ておむつ10の自然状態の後胴回り域30の製品長手方向Lの長さと、使い捨ておむつ10の自然状態の前胴回り域20の製品長手方向Lの長さと、が同じであると、着用者の背側において突っ張った状態となる。
【0076】
しかし、本実施形態に係る使い捨ておむつによれば、使い捨ておむつ10の自然状態の後胴回り域30の製品長手方向Lの長さを、使い捨ておむつ10の自然状態の前胴回り域20の製品長手方向Lの長さよりも長くできるため、着用者の臀部回りを適切に覆うことができる。よって、着用者の動きがあった場合であっても、着用者の皮膚の動きに影響を受けて、使い捨ておむつ10の前胴回り域20及び後胴回り域30が、製品長手方向Lに沿う向きに動いてしまうという事態を抑制することが可能となり、適切に臀部を覆うことができる。
【0077】
更に、レッグ伸縮部75の製品長手方向の中心O1及びレッグ開口部35の製品長手方向の中心O4を使い捨ておむつの製品長手方向の中心O1よりも前方に配置することにより、レッグ開口部を前寄り(腹側寄り)に形成できる。着用者の足は、体の前側寄りに向かって伸びている。ファスニングテープ90によって係合した状態において、レッグ開口部35が前寄りの位置となるため、着用者の体により適したおむつとなる。そのため、装着時に着用者が足をうごかし易くなり、後胴回り域も突っ張り難くできる。
【0078】
また、補助伸縮部77は、股下域25と後胴回り域30とに跨って配置されており、補助伸縮部の前側端部77Fは、レッグ開口部35の製品長手方向の中心よりも後方に位置する。よって、レッグ伸縮部の後部かつ製品幅方向外側の領域が補助伸縮部77によって収縮し、後胴回り域のレッグ開口部近傍(臀部の股下側の端部)を後方及び幅方向外側に引き上げることができる。図4は、使い捨ておむつを装着した状態を模式的に示した図である。
【0079】
例えば、一般的に使い捨ておむつを装着する際は、使い捨ておむつの股下域を着用者の股下に当てた状態で、使い捨ておむつを製品長手方向に引っ張り、ファスニングテープ等で固定する。このように装着すると、ファスニングテープの止着部分と股下域との間で使い捨ておむつが引っ張られ、レッグ開口部35が着用者の脚回りに沿って配置されないことがある。
【0080】
特に、臀部側は、着用者の腹側に比べて臀部の面積が大きいため、装着時に後胴回り域の製品幅方向端部が内側に巻き込まれ、臀部の一部が露出してしまうおそれがある。しかし、補助伸縮部77によって後胴回り域30に使い捨ておむつを寄せることができ、着用者の臀部が露出してしまう不具合を抑制できる。
【0081】
また、後側レッグ開口部35Rのみに補助伸縮部が設けられ、前側レッグ開口部35Fに補助伸縮部が設けられていない。一般的に、着用者の臀部側の脚回りは、そけい部を中心に凸状である。これに対して、着用者の前側の脚回りは、そけい部を中心に凹状であり、臀部側の脚回りに比べてそのふくらみが小さいフラットである。前側レッグ開口部35Fに補助伸縮部が設けられていないため、前側レッグ開口部を平坦な状態に維持し易くなり、着用者の身体に沿って配置できる。
【0082】
使い捨ておむつ10の伸長状態において、製品幅方向における補助伸縮部77とレッグ伸縮部75との距離D1は、10mm〜30mmであることが望ましい。例えば、補助伸縮部77とレッグ伸縮部75との距離が30mm以上であると、補助伸縮部77とレッグ伸縮部75とが互いに独立して伸縮し、補助伸縮部77とレッグ伸縮部75とが連動し難い。しかし、使い捨ておむつ10の伸長状態における製品幅方向における補助伸縮部とレッグ伸縮部との距離が10mm〜30mmの場合には、補助伸縮部77とレッグ伸縮部75が連動し易い。例えば、補助伸縮部のみが独立して収縮すると、おむつを装着する際に収縮部分が内側に巻き込まれたり、倒れ込んだりすることが考えられる。しかし、補助伸縮部とレッグ伸縮部が連動することにより、補助伸縮部が内側に倒れ込むことを抑制できる。
【0083】
また、補助伸縮部77は、第2レッグ伸縮部752の後側端部とファスニングテープの製品幅方向内側端部における前側端部90Iとを繋ぐ仮想線FL1よりも後方に延出している。より好適には、補助伸縮部77は、仮想線FL1よりも5mm以上後方に延出している。当該構成によれば、補助伸縮部77を介したレッグ伸縮部75からファスニングテープ90までの連動性が高くなり、より好適に、使い捨ておむつ10を着用者の腰回り及び股下部に密着させ、かつ使い捨ておむつのファスニングテープ90から製品幅方向に延びる領域と股下域の間の領域も着用者側に保持できる。
【0084】
なお、本明細書における「長さ」の測定は、以下の測定方法によって行われるものとする。
【0085】
使い捨ておむつ10がパッケージなどに封入されている場合には、パッケージから取り出し、その状態にて20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において12時間放置したサンプルを用いる。
【0086】
次いで、シンワ測定株式会社製のスプリングメジャー(テープ:ガラス繊維入塩ビ被覆)を用いて、測定対象部位に沿わせるようにして、使い捨ておむつ10のこの状態の長さ、つまり、使い捨ておむつ10の自然状態のレッグ伸縮部75の長さを測定する。また、伸長状態の長さは、使い捨ておむつ10を自然状態から弾性部材によるしわが目視にて確認できない状態まで延伸した時のレッグ伸縮部75の長さを測定する。
【0087】
ここで、10サンプルに対して、それぞれの状態で上述の測定を行い、その平均値を、長さとした。
【0088】
レッグ開口部35は、製品幅方向外側から製品幅方向内側に向かう凸形状であり、使い捨ておむつ10の伸長状態のレッグ開口部35において最も製品幅方向内側に位置する内側端部35Iとレッグ伸縮部75との距離D2は、レッグ伸縮部と補助伸縮部との製品幅方向における距離よりも短く、かつ15mm以下である。
【0089】
使い捨ておむつ10の伸長状態におけるレッグ開口部35の内側端部35Iとレッグ伸縮部75との距離が15mmよりも長いと、レッグ伸縮部75による収縮力がレッグ開口部35の内側端部まで作用せず、レッグ開口部35をレッグ伸縮部75によって適切に収縮させることができないおそれがある。また、レッグ開口部35の内側端部35Iは、着用された状態で着用者の脚によって挟まれ、着用者に密着する部分である。レッグ開口部35の内側端部35Iとレッグ伸縮部との距離が15mm以下であることにより、少なくともレッグ開口部の着用者と密着する部分を収縮させ、着用者の脚回りに沿って配置できる。
【0090】
サイドフラップ70には、レッグ伸縮部75と補助伸縮部77とによって収縮されたフリル状の収縮部が形成される。レッグ伸縮部75と補助伸縮部77によってフリル状の収縮部を身体に密着させることができる。また、レッグ開口部において最も製品幅方向内側に位置する内側端部35Iとレッグ伸縮部と距離が、レッグ伸縮部と補助伸縮部との距離よりも短いため、レッグ伸縮部によってレッグ開口部の内側端部の巻き込みを抑制し、股下部から後胴回り域にかけて補助伸縮部を配置し、サイドフラップの補助伸縮部が配置された領域全体が広がった形状を維持し易くなる。
【0091】
さらに、レッグ伸縮部75と補助伸縮部77とによって形成されるフリルは、製品長手方向に伸縮するため、フリル(しわ)が、製品幅方向に沿って伸びる。このフリル(しわ)が支えになって、後胴回り域の製品幅方向端部の幅方向内側への巻き込みを防止できる。
【0092】
また、補助伸縮部77は、全領域に亘って伸縮状態であってもよいし、その両端部の領域が非伸縮状態であってもよい。例えば、補助伸縮部77の両端部の領域(10mm以下、2mm以上領域、より好ましくは5mm以下、2mm以上の領域)を非伸縮状態とすることにより、後側レッグ開口部35R近傍においてしわを抑制した状態とできる。よって、後側レッグ開口部35R近傍がより身体に隙間なく沿うことができる。また、補助伸縮部77の端部にHMA接着剤等の接着剤を設けないことにより、補助伸縮部77の端部が位置する後側レッグ開口部35Rのエッジをやわらかくできる。
【0093】
レッグ開口部の内側端部35Iは、使い捨ておむつ10の自然状態において、第2レッグ伸縮部752と補助伸縮部77との製品幅方向における中心を通り、かつ製品長手方向に沿った中心線L2上に位置する。このような構成によれば、レッグ伸縮部と補助伸縮部とによってレッグ開口部の内側端部を引き上げ、レッグ開口部の内側端部の巻き込みを防止することができる。よって、レッグ開口部の内側端部を身体に沿わせて配置できる。
【0094】
レッグ伸縮部75は、サイドフラップ70と外装シート60との間に配置されている。或いは、吸収体40と外装シート60との間に配置されるバックシート60aが備えられる領域では、レッグ伸縮部75は、バックシート60aとサイドフラップ70との間に配置されている。
【0095】
レッグ伸縮部75の伸長率は、1.7〜2.4倍であることが好ましい。本実施形態では、レッグ伸縮部75の伸長率は、1.9〜2.2倍に設定される。なお、伸長率とは、レッグ伸縮部の伸長の程度を意味し、以下のように規定される。
【0096】
レッグ伸縮部の伸長率=(伸長状態のレッグ伸縮部の長さ)÷(自然状態のレッグ伸縮部の長さ)
また、補助伸縮部77の伸長率は、1.6〜2.4倍であることが好ましい。なお、補助伸縮部77の伸長率とは、補助伸縮部の伸長の程度を意味し、以下のように規定される。
【0097】
補助伸縮部の伸長率=(伸長状態の補助伸縮部の長さ)÷(自然状態の補助伸縮部の長さ)
なお、本明細書において、かかる伸長率は、例えば、次のように測定されるものとする。
【0098】
第1に、使い捨ておむつ10がパッケージ等に封入されている場合には、パッケージから使い捨ておむつ10を取り出す。次いで、レッグ伸縮部の配置領域を切り出す。このとき、レッグ伸縮部に接合される外装シートも含めて切り出す。切り出した後のレッグ伸縮部のサンプルの伸長率を測定して、レッグ伸縮部の伸長率を計測する。
【0099】
各サンプルについて、20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において60分間放置し、伸縮方向に沿ってレッグ伸縮部の長さを測定する。この長さを、「自然状態のレッグ伸縮部の長さ」とする。
【0100】
第2に、かかる状態(すなわち、自然状態)における所望領域の伸縮方向における長さ、及び、自然状態から弾性部材による皺が非伸縮性シート上に目視にて確認できない状態まで延伸した時の所望領域の伸縮方向における長さを測定する。この長さを、「伸長状態におけるレッグ伸縮部の長さ」又は「補助伸縮部の伸長状態の長さ」とする。
【0101】
これら測定結果を用い、上述の式にて算出することで伸長率が測定される。
【0102】
(3)使い捨ておむつの製造方法
次に、本実施形態に係る使い捨ておむつの製造方法の一例について説明する。なお、本実施形態において説明しない方法については、既存の方法を用いることができる。また、以下に説明する製造方法は、一例であり、他の製造方法によって製造することもできる。使い捨ておむつの製造方法は、構成部品形成工程と、構成部品載置工程と、脚回り形成工程と、切断工程とを少なくとも含む。
【0103】
構成部品形成工程では、使い捨ておむつを構成する構成部品を形成する。具体的には、例えば、吸収材料を積層して吸収体40を成型する。
【0104】
構成部品載置工程では、バックシートを構成するウェブ上に、レッグ伸縮部75を構成する伸縮性シートや、トップシートを構成するウェブ等の他のウェブ、防漏シート、吸収体、レッグ伸縮部75、補助伸縮部77等の使い捨ておむつ10を構成する構成部品を載置する。
【0105】
脚回り形成工程は、トップシート50、外装シート60、及びバックシート60aを切断する。これにより、補助伸縮部77の前側端部77Fが切断され、かつ着用者の脚回りに配置されるレッグ開口部35が形成される。
【0106】
切断工程では、トップシート50、バックシート60a、吸収体40等が配置された連続体を製品幅方向Wに沿って一製品の大きさに切断する。これにより、使い捨ておむつ10が製造される。
【0107】
(4)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0108】
レッグ伸縮部75は、レッグサイドギャザーの接合部分と製品幅方向において一致していてもよいし、レッグサイドギャザーの接合部分よりも製品幅方向内側に配置されていてもよい。レッグ伸縮部75及び補助伸縮部77を構成する弾性部材は、1本であってもよいし、2本以上であってもよい。第1レッグ伸縮部及び第2レッグ伸縮部752は、それぞれ1本ずつ等同じ本数であってもよいし、異なる本数であってもよい。
【0109】
例えば、補助伸縮部は、レッグ開口部の製品長手方向の中心よりも後側に位置する後補助伸縮部と、レッグ開口部の製品長手方向の中心よりも前側に位置する前補助伸縮部と、を有している。後補助伸縮部の本数は、前補助伸縮部の本数よりも多い。このような構成によっても、レッグ開口部の前側領域よりも後側領域を収縮し、レッグ伸縮部の引き上げ力をファスニングテープに伝達することができる。
【0110】
変形例において、使い捨ておむつを伸長させた伸長状態において、補助伸縮部が、第2レッグ伸縮部の後側端部とファスニングテープの製品幅方向内側端部における前側端部とを繋ぐ仮想線に交差していなくてもよい。
【0111】
変形例において、補助伸縮部の前側端部が、レッグ開口部の製品長手方向の中心よりも後側に配置されていなくてもよい。
【0112】
変形例において、第1レッグ伸縮部は、吸収体よりも製品幅方向外側に配置されてなく、吸収体と重なっていてもよい。
【0113】
変形例において、レッグ伸縮部の製品長手方向の中心及びレッグ開口部の製品長手方向の中心は、使い捨ておむつの製品長手方向の中心と製品長手方向において同じ位置であってもよいし、使い捨ておむつの製品長手方向の中心よりも後であってもよい。
【0114】
変形例において、後側レッグ開口部と製品幅方向における中心を通り製品長手方向に平行な直線との間の面積が、前側レッグ開口部と製品幅方向における中心を通り製品長手方向に平行な直線との間の面積と同じ面積であってもよいし、後側レッグ開口部と製品幅方向における中心を通り製品長手方向に平行な直線との間の面積が、前側レッグ開口部と製品幅方向における中心を通り製品長手方向に平行な直線との間の面積よりも少なくてもよい。
【0115】
使い捨ておむつを伸長させた伸長状態において、後側レッグ開口部に、製品幅方向外側に向けて凸状となる凸部が形成されていなくてもよい。
【0116】
変形例において、使い捨ておむつを伸長させた伸長状態において、前側レッグ開口部に、製品幅方向内側に向けて凹む形状となる凹部が形成されていなくてもよい。
【0117】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0118】
10 :使い捨ておむつ
20 :前胴回り域
25 :股下域
30 :後胴回り域
35 :レッグ開口部
35I :内側端部
35F :前側レッグ開口部
35R :後側レッグ開口部
40 :吸収体
40a :吸収性コア
40b :コアラップ
50 :トップシート
60 :外装シート
60a :バックシート
70 :サイドフラップ
75 :レッグ伸縮部
77 :補助伸縮部
77F :前側端部
80 :レッグサイドギャザー
81 :弾性部材
85 :腰回り伸縮部
90 :ファスニングテープ
91 :基材シート
92 :フックシート
95 :ターゲット部
L :製品長手方向
W :製品幅方向
図1
図2
図3
図4