(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記案内穴部は、前記水平方向延在部の下端から上方に向かって細くなったテーパー形状部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置の端子案内部材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1で開示された技術は、あくまでもガイドピンで下方部材に対して上方部材を位置決めするものに過ぎず、何かの拍子でピン端子が曲がってしまった場合等には、当該ピン端子を改めて位置調整しなければならない。
【0006】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、下方部材に対して上方部材の位置決めを行うとともに、ピン端子を上方部材に対して位置決めし、かつ、当該上方部材にピン端子を取り付ける際に治具としても機能する端子案内部材と、このような端子案内部材を用いた半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による半導体装置の端子案内部材は、
電子部品が設置された下方部材の上面に取り付け可能となり、鉛直方向に延びた鉛直方向延在部と、
前記鉛直方向延在部の側部から水平方向に延びた水平方向延在部と、
を備え、
前記下方部材の上面から上方に延びたピン端子の挿通される案内穴部が、前記水平方向延在部に形成され、
前記鉛直方向延在部が、前記水平方向延在部より下方に延びた下方鉛直方向延在部と、前記水平方向延在部より上方に延びた複数の上方鉛直方向延在部とを有し、
前記下方鉛直方向延在部が前記下方部材の上面に取り付けられたときに、前記上方鉛直方向延在部の上端が前記ピン端子の上端よりも高い位置に位置づけられ、
前記上方鉛直方向延在部の上端によって、電子部品が設置された上方部材が前記下方部材及び前記ピン端子に対して位置決めされ、当該上方部材に前記上方鉛直方向延在部の上端及び前記ピン端子が装着され、
前記上方部材に前記上方鉛直方向延在部の上端及び前記ピン端子が装着された際、前記ピン端子が、前記上方部材の下面に形成された挿入穴に挿入され、かつ、前記案内穴部に固定されておらず、
前記案内穴部のもっとも小さな部分の断面積が、前記挿入穴の断面積よりも小さくなっている。
【0008】
本発明による半導体装置の端子案内部材において、
前記ピン端子が屈曲部を有してもよい。
【0009】
本発明による半導体装置の端子案内部材において、
前記下方鉛直方向延在部が複数設けられてもよい。
【0010】
本発明による半導体装置の端子案内部材において、
前記案内穴部は、前記水平方向延在部の下端から上方に向かって細くなったテーパー形状部を有してもよい。
【0011】
本発明による半導体装置の端子案内部材において、
水平方向において、前記下方鉛直方向延在部の設置位置と前記上方鉛直方向延在部の設置位置とが異なっていてもよい。
【0012】
本発明による半導体装置の端子案内部材において、
前記下方部材は第一樹脂材料で作られたケーシングを有し、
前記端子案内部材は、前記第一樹脂材料と異なる第二樹脂材料で作られ、
前記第二樹脂部材の耐熱温度は、前記第一樹脂部材の耐熱温度よりも低くなっていてもよい。
【0013】
本発明による半導体装置の端子案内部材において、
前記ピン端子が屈曲部を有し、
前記下方鉛直方向延在部が前記下方部材の上面に取り付けられたときに、前記屈曲部は前記水平方向延在部より下方に位置してもよい。
【0014】
本発明による半導体装置の端子案内部材において、
前記下方部材はケーシングを有し、
前記ケーシング内に樹脂が流し込まれ当該樹脂が硬化されることで、前記下方鉛直方向延在部の少なくとも下端が前記ケーシングに対して固定されてもよい。
【0015】
本発明による半導体装置の端子案内部材において、
導電性材料によって形成され、前記上方部材と前記下方部材との間で電流を流す端子としての機能も果たしてもよい。
【0016】
本発明による半導体装置の端子案内部材において、
前記下方鉛直方向延在部が複数設けられ、
一の下方鉛直方向延在部の長さが他の下方鉛直方向延在部の長さよりも短くなり、前記下方鉛直方向延在部が前記下方部材の上面に取り付けられたときに、前記一の下方鉛直方向延在部の下端が前記他の下方鉛直方向延在部の下端よりも上方に位置してもよい。
【0017】
本発明による半導体装置の端子案内部材において、
前記下方鉛直方向延在部の横断面は多角形状となり、
前記上方鉛直方向延在部の横断面は円形状となってもよい。
【0018】
本発明による半導体装置の端子案内部材において、
前記下方鉛直方向延在部の下端に切欠きが設けられてもよい。
【0019】
本発明による半導体装置は、
電子部品が設置された下方部材と、
前記下方部材の上面から上方に延びたピン端子と、
前記ピン端子を案内する、上述した端子案内部材と、
電子部品が設置された上方部材であって、前記端子案内部材で案内された前記ピン端子が接続される上方部材と、
を備える。
【0020】
本発明による半導体装置の製造方法は、
上述した端子案内部材を用いた半導体装置の製造方法であって、
電子部品及びピン端子が設置された下方部材を準備する工程と、
前記ピン端子を水平方向延在部の案内穴部に挿通し、かつ、下方鉛直方向延在部を前記下方部材の上面に設置する工程と、
電子部品が設置された上方部材に上方鉛直方向延在部の上端を装着し、かつ、前記上方部材の下面に形成された挿入穴に前記ピン端子を挿入する工程と、
を備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、水平方向延在部に形成された案内穴部にピン端子を挿通することができる。そして、上方鉛直方向延在部の上端によって、上方部材を下方部材及びピン端子に対して位置決めし、その後で、当該上方部材に上方鉛直方向延在部の上端及びピン端子を装着することができる。このため、下方部材に対して上方部材及びピン端子の位置決めを行うことができる。
【0022】
また、水平方向延在部に形成された案内穴部にピン端子を挿通したまま、当該ピン端子を上方部材に装着することができるので、本発明の端子案内部材を、上方部材にピン端子を取り付ける際の治具として機能させることができる。
【0023】
さらに、本発明によれば、上方部材に上方鉛直方向延在部の上端及びピン端子が装着された際、ピン端子が案内穴部に固定されていないことから、上下方向で加わる応力を緩和することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
第1の実施の形態
以下、本発明に係る半導体装置の端子案内部材、半導体装置及び半導体装置の製造方法の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、
図1乃至
図12は本発明の第1の実施の形態を説明するための図である。
【0026】
《構成》
最初に、本実施の形態の半導体装置の端子案内部材10及び半導体装置の構成について説明する。
【0027】
図1乃至
図5で示された本実施の形態の一例及び
図6乃至
図10で示された本実施の形態の別の例で示されるように、本実施の形態の半導体装置は、半導体素子40が設置された下方基板21等を含む下方部材20と、下方部材20の上面から上方に延びるピン端子30と、ピン端子30を案内する端子案内部材10と、図示しない半導体素子が設置された上方基板等を含む上方部材60(
図12参照)と、を備えている。このうち上方部材60には、端子案内部材10で案内されたピン端子30が接続されるようになっている。なお、本実施の形態の端子案内部材10は、下方部材20の上面から上方に延びたピン端子30を上方部材60に対して位置決めし、かつ、当該上方部材60にピン端子30を取り付ける際に治具としても機能するものである。なお、本実施の形態では、電子部品の一例として半導体素子40及び図示しない半導体素子を用いて説明しているが、これらはあくまで一例であることには留意が必要である。
【0028】
本実施の形態の下方部材20は例えば電力を制御するパワー部であり、上方部材60は例えばパワー部を制御する制御部である。また、下方部材20の下面側には下方部材20から発生する熱を放熱するためのヒートシンク(図示せず)が設けられている。
【0029】
ピン端子30の一例としては、信号を伝達する信号端子を挙げることができ、その直径は例えば0.7mm以下、典型的には0.6mmとなっている。なお、端子案内部材10で案内されるピン端子30は屈曲部32を有している(
図3及び
図8参照)。ちなみに、本実施の形態では、屈曲部32が1回だけ折り曲げられている態様を用いて説明するが、これに限られることはなく、屈曲部32は2回以上折り曲げられた態様となっていてもよい。
【0030】
図5及び
図10に示すように、本実施の形態の半導体装置の端子案内部材10は、下方部材20の上面に取り付け可能となり、鉛直方向に延びた鉛直方向延在部11,12と、鉛直方向延在部11,12の側部から水平方向に延びた水平方向延在部15と、を備えている。そして、下方部材20の上面から上方に延びたピン端子30の挿通される案内穴部19が、水平方向延在部15に形成されている。
【0031】
上述した鉛直方向延在部11,12は、水平方向延在部15より下方に延びた複数(本実施の形態では2本)の下方鉛直方向延在部12と、水平方向延在部15より上方に延びた複数(本実施の形態では2本)の上方鉛直方向延在部11とを有している。そして、下方鉛直方向延在部12が下方部材20の上面に取り付けられたときに、上方鉛直方向延在部11の上端がピン端子30の上端よりも高い位置(一例としては2mm程度高い位置)に位置づけられることとなる(
図4及び
図9参照)。このため、上方鉛直方向延在部11の上端によって、上方部材60を下方部材20及びピン端子30に対して位置決めしたうえで、上方部材60にピン端子30を装着することができる。なお、後述するように、本実施の形態では、案内穴部19のもっとも小さな部分の断面積が挿入穴62の断面積よりも小さくなっていることから、上方部材60をピン端子30に対して位置決めするのには十分なものとなっている。
【0032】
なお、本実施の形態では、下方鉛直方向延在部12が複数設けられている態様を用いて説明するが、これに限られることはなく、下方鉛直方向延在部12は一つだけであってもよい。
【0033】
上方部材60に上方鉛直方向延在部11の上端及びピン端子30が装着された際、ピン端子30は、上方部材60の下面に形成された挿入穴62に挿入されるが(
図12参照)、水平方向延在部15の案内穴部19には触れておらず固定されていない(
図11(a)(b)参照)。なお、上方部材60の挿入穴62に挿入されたピン端子30の上端は、上方部材60から上方に突出している。
【0034】
また、水平方向延在部15の案内穴部19のもっとも小さな部分の断面積は、上方部材60の挿入穴62の断面積よりも小さくなっている。また、
図11(a)(b)に示すように、本実施の形態の案内穴部19は、水平方向延在部15の下端から上方に向かって細くなったテーパー形状部19aと、テーパー形状部19aの上端から上方に向かって延びた円柱形状部19bと、を有している。そして、本実施の形態において上述した案内穴部19のもっとも小さな部分というのは円柱形状部19bのことを意味している。本実施の形態の端子案内部材10で案内されるピン端子30は屈曲部32を有しているが、端子案内部材10の下方鉛直方向延在部12が下方部材20の上面に取り付けられたときに、この屈曲部32は水平方向延在部15より下方に位置することとなる(
図11(a)参照)。
【0035】
図1乃至
図5で示す態様では、
図2に示すように水平方向延在部15に7つの案内穴部19が形成されており、これら7つの案内穴部19の各々にピン端子30が挿通されている。なお、
図1に示す態様では、案内穴部19内に挿通されるピン端子30以外にも、当該ピン端子30と比較して太さの太いピン端子30’が示されている。このピン端子30’は、例えば入力端子や出力端子として機能する端子であり、その直径は典型的には1.2mm以上となっている。なお、このように太さの太いピン端子30’については、その長さをピン端子30よりも長くすることで、下方部材20に対して上方部材60及びピン端子30の位置決めを行う機能を持たせることもできる。
【0036】
図6乃至
図10で示す態様では、
図7に示すように水平方向延在部15に9つの案内穴部19が形成されており、これら9つの案内穴部19の各々にピン端子30が挿通されている。より具体的には、水平方向延在部15が、長さの長い第一水平方向延在部15aと、第一水平方向延在部15aと水平方向で直交する方向で延び、長さの短い第二水平方向延在部15bとを有している。そして、第一水平方向延在部15aに8つの案内穴部19が形成され、第二水平方向延在部15bに1つの案内穴部19が形成されている態様となっている。
【0037】
ちなみに、
図1乃至
図5で示された本実施の形態の一例のように、下方鉛直方向延在部12の設置位置と上方鉛直方向延在部11の設置位置とが水平方向において同じ位置に位置していてもよいが(
図5参照)、
図6乃至
図10で示された本実施の形態の別の例のように、下方鉛直方向延在部12の設置位置と上方鉛直方向延在部11の設置位置とが水平方向において異なる位置に位置していてもよい(
図10参照)。
【0038】
図1及び
図6に示すように、本実施の形態の下方部材20は、半導体素子40が設置された下方基板21と、当該下方基板21上に設置され半導体素子40を取り囲むケーシング22とを有している。このケーシング22の材料となっている第一樹脂材料と、端子案内部材10の材料となっている第二樹脂材料とは、同じ材料であってもよいし異なる材料であってもよい。端子案内部材10の材料の一例としては例えばPBT(ポリブチレンテレフタラート)を挙げることができる。また、ケーシング22の材料の一例としては例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)を挙げることができる。ちなみに、PBTと比較すると、PPSは堅くてもろい。このため、端子案内部材10の材料としてはPPSではなくPBTを用いることが好ましい。他方、ケーシング22の熱による膨張と端子案内部材10の熱による膨張の割合を合わせる観点からすると、ケーシング22の材料と端子案内部材10の材料とは同じ材料(例えばPPS)となっていることが好ましい。
【0039】
ケーシング22で用いられる第一樹脂材料と端子案内部材10で用いられる第二樹脂材料とが異なる材料である場合には、例えば、端子案内部材10で用いられる第二樹脂部材の耐熱温度が、ケーシング22で用いられる第一樹脂部材の耐熱温度よりも低くなっていてもよい。
【0040】
また、
図1及び
図6に示すように、ケーシング22は下方鉛直方向延在部12が取り付けられる取付部29を有している。そして、取付部29に下方鉛直方向延在部12が取り付けられた後、ケーシング22内にモールド樹脂が流し込まれ当該モールド樹脂が硬化されることで、下方鉛直方向延在部12の少なくとも下端がケーシング22に対して固定されることとなる。なお、流し込まれるモールド樹脂の硬化温度は例えば150℃程度になっている。
【0041】
本実施の形態では、
図6乃至
図10で示された別の例のように、一の下方鉛直方向延在部12(
図10では下方鉛直方向延在部12a)の長さが他の下方鉛直方向延在部12(
図10では下方鉛直方向延在部12b)の長さよりも短くなり、下方鉛直方向延在部12が下方部材20の上面に取り付けられたときに、一の下方鉛直方向延在部12(
図10では下方鉛直方向延在部12a)の下端が他の下方鉛直方向延在部12(
図10では下方鉛直方向延在部12b)の下端よりも上方に位置するような態様を採用してもよい(
図10参照)。
【0042】
また、本実施の形態において、下方鉛直方向延在部12の横断面が円形状又は多角形状となる態様や上方鉛直方向延在部11の横断面が円形状又は多角形状となる態様を採用してもよいし、下方鉛直方向延在部12の下端や上方鉛直方向延在部11の上端に切欠きが設けられている態様を採用してもよい。なお、
図1乃至
図5で示された本実施の形態の一例及び
図6乃至
図10で示された本実施の形態の別の例の各々において、下方鉛直方向延在部12の横断面が多角形状となっている。また、
図1乃至
図5で示された本実施の形態の一例では下方鉛直方向延在部12の下端に切欠き12cが設けられており、より具体的には
図5で示された下方鉛直方向延在部12の下端において
図5の紙面表側の部分が切り取られて(切欠き12cが形成され)、鉛直方向に延びた面を形成している。
【0043】
《製造方法》
次に、本実施の形態における半導体装置の製造方法について説明する。
【0044】
まず、半導体素子40及びピン端子30が設置された下方部材20が準備される(
図1及び
図6参照)。この下方部材20は例えばパワー部である。本実施の形態の下方部材20は、半導体素子40が設置された下方基板21と、当該下方基板21上に設置され半導体素子40を取り囲むケーシング22とを有している。
【0045】
次に、ピン端子30及び下方部材20に端子案内部材10が取り付けられる。より具体的には、ピン端子30が水平方向延在部15の案内穴部19に挿通され、かつ、下方鉛直方向延在部12が下方部材20の上面に形成された取付部29に取り付けられる。なお、ピン端子30の屈曲部32は案内穴部19を通過しないことから、結果的に、当該屈曲部32は水平方向延在部15より下方に位置することとなる。
【0046】
ピン端子30及び下方部材20に端子案内部材10が取り付けられると、下方部材20のケーシング22内にモールド樹脂が流し込まれる。そして、このモールド樹脂が硬化されることで、下方鉛直方向延在部12の少なくとも下端がケーシング22に対して固定されることとなる。
【0047】
上述したようにピン端子30及び下方部材20に端子案内部材10が取り付けられると、端子案内部材10で上方部材60を位置決めしたうえで、上方部材60にピン端子30が取り付けられる。より具体的には、まず、上方部材60の装着穴61が上方鉛直方向延在部11の上端に対して位置決めされ(上方部材60が上方鉛直方向延在部11の上端によって下方部材20及びピン端子30に対して位置決めされ)、当該装着穴61に上方鉛直方向延在部11の上端が装着される。その後で、上方部材60の下面に形成された挿入穴62にピン端子30が挿入される(
図12参照)。ちなみに、上方部材60は例えばパワー部を制御する制御部である。
【0048】
上述したように端子案内部材10で上方部材60を位置決めしたうえで上方部材60にピン端子30を取り付けると、上方部材60と下方部材20とが例えばネジ70を用いて互いに固定される(
図12参照)。より具体的には、下方部材20の上下方向に延びた固定部28内に形成されたネジ孔(図示せず)内で、上方部材60に形成された固定穴68を挿通したネジ70が固定されることで、上方部材60と下方部材20とが互いに固定される。このように上方部材60と下方部材20とが互いに固定されると、このように上方部材60と下方部材20との組合体が反転され、上方部材60が下方に位置し下方部材20が上方に位置づけられる。そして、上方部材60の上方基板がはんだ槽に通されることで、上方基板にはんだが塗られ、ピン端子30のうち上方基板から突出した部分にもはんだが塗られることとなる。なお、上方部材60の上方基板にはんだが塗られる際には端子案内部材10がはんだに触れないようにカバーで覆われている。ちなみに、はんだの温度は240℃程度となっている。
【0049】
《効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態による作用・効果について説明する。
【0050】
本実施の形態によれば、水平方向延在部15に形成された案内穴部19にピン端子30を挿通することができる。そして、上方鉛直方向延在部11の上端によって、上方部材60を下方部材20及びピン端子30に対して位置決めし、その後で、当該上方部材60に上方鉛直方向延在部11の上端及びピン端子30を装着することができる。このため、下方部材20に対して上方部材60及びピン端子30の位置決めを行うことができる。なお、本実施の形態では、案内穴部19のもっとも小さな部分の断面積が挿入穴62の断面積よりも小さくなっていることから、上方部材60をピン端子30に対して位置決めするのには十分なものとなっている。
【0051】
また、水平方向延在部15に形成された案内穴部19にピン端子30を挿通したまま、当該ピン端子30を上方部材60に装着することができるので、端子案内部材10を、上方部材60にピン端子30を取り付ける際の治具として機能させることができる。
【0052】
ちなみにピン端子30が曲がってしまうことを重視してピン端子30の上端以外の全てを端子案内部材で覆ってしまうことも考えられる。しかしながら、このような態様では、端子案内部材を形成するのにより多くの材料が必要となり、その結果、端子案内部材の製造コストが高くなってしまう。この点、本実施の形態では、ピン端子30の上端以外の全てを端子案内部材で覆ってしまうというような構成を採用せず、水平方向延在部15、上方鉛直方向延在部11及び下方鉛直方向延在部12で端子案内部材10を形成し、位置決め及び治具機能を果たすうえで極力少ない材料を用いているので、製造コストを低く抑えることができる点で非常に有益である。
【0053】
また、ピン端子30と端子案内部材とを一体として形成することも考えられるが、ピン端子30と端子案内部材とを一体として形成するのには手間がかかり、結果的にコストが高くなってしまう。これに対して、本実施の形態によれば、ピン端子30とは別に端子案内部材10だけを樹脂成形によって作れるので、製造の手間がかからず、コストを低く抑えることができる。
【0054】
さらに、本実施の形態によれば、上方部材60に上方鉛直方向延在部11の上端及びピン端子30が装着された際、ピン端子30が案内穴部19に触れておらず固定されていない(
図11(a)(b)参照)。このため、ピン端子30の屈曲部32によって、上方部材60と下方部材20との間において上下方向で加わる応力を緩和することができる。
【0055】
また、下方鉛直方向延在部12が複数設けられている態様を採用した場合には、複数の下方鉛直方向延在部12によって、下方部材20に対して端子案内部材10を水平方向で固定することができるので、端子案内部材10が例えば水平方向でずれてしまい、その結果、ピン端子30が曲がってしまうという事態が発生することを防止することができる。
【0056】
また、
図11(a)(b)に示すように、本実施の形態の案内穴部19は、水平方向延在部15の下端から上方に向かって細くなったテーパー形状部19aを有している。このため、ピン端子30を案内穴部19内に容易に挿入することができる。
【0057】
図6乃至
図10で示された本実施の形態の別の例のように、水平方向において、下方鉛直方向延在部12の設置位置と上方鉛直方向延在部11の設置位置とが異なる位置に位置した態様を採用した場合には(
図10参照)、下方鉛直方向延在部12及び上方鉛直方向延在部11を設置する位置を自由に選択することができ、設計の自由度を高めることができる。この点について説明する。下方鉛直方向延在部12の設置位置と上方鉛直方向延在部11の設置位置とが同じ位置に位置した態様によれば、下方鉛直方向延在部12又は上方鉛直方向延在部11の一方によって他方の設置位置が決められることになるので、設計の自由度が低くなってしまう。これに対して、下方鉛直方向延在部12の設置位置と上方鉛直方向延在部11の設置位置とが異なる位置に位置した態様を採用した場合には、下方鉛直方向延在部12又は上方鉛直方向延在部11の一方によって他方の設置位置が決められないので、下方鉛直方向延在部12及び上方鉛直方向延在部11を設置する位置を自由に選択することができ、設計の自由度を高めることができる。
【0058】
上述したように、上方部材60と下方部材20とが互いに固定されると、このように上方部材60と下方部材20との組合体が反転され、上方部材60が下方に位置し下方部材20が上方に位置づけられる。そして、上方部材60の上方基板がはんだ槽に通されることで、上方基板にはんだが塗られ、ピン端子30のうち上方基板から突出した部分にもはんだが塗られることとなるが、他方、端子案内部材10ははんだに触れないようにカバーで覆われることとなる。このように端子案内部材10の上端(反転している際には下端)をカバーで覆うためには、上方鉛直方向延在部11の上端(反転している際には下端)とピン端子30の上端(反転している際には下端)とが一定の距離以上で離隔されている必要がある。この点、
図6乃至
図10で示された本実施の形態の別の例では、下方鉛直方向延在部12と水平方向の端部に位置するピン端子30との間の距離が十分でないことから、仮に下方鉛直方向延在部12の設置位置と上方鉛直方向延在部11の設置位置とを水平方向において同じ位置にすると、上方鉛直方向延在部11の上端をカバーで覆うことができなくなる。すなわち、
図6乃至
図10で示された本実施の形態の別の例では、下方鉛直方向延在部12の設置位置と上方鉛直方向延在部11の設置位置とを水平方向において異なる位置とし、上方鉛直方向延在部11を水平方向の端部に位置するピン端子30から離した位置に位置づけているので、上方鉛直方向延在部11の上端をカバーで覆うことができる。
【0059】
また、
図6乃至
図10で示された本実施の形態の別の例のように、一の下方鉛直方向延在部12(
図10では下方鉛直方向延在部12a)の長さが他の下方鉛直方向延在部12(
図10では下方鉛直方向延在部12b)の長さよりも短くなり、下方鉛直方向延在部12が下方部材20の上面に取り付けられたときに、一の下方鉛直方向延在部12(
図10では下方鉛直方向延在部12a)の下端が他の下方鉛直方向延在部12(
図10では下方鉛直方向延在部12b)の下端よりも上方に位置するような態様を採用した場合にも、設計の自由度を高めることができる。つまり、下方部材20に存在するスペースの関係から、下方鉛直方向延在部12の下端を下方基板21まで延在させることができないことが生じうる。この場合、一の下方鉛直方向延在部12の長さと他の下方鉛直方向延在部12の長さとが異なる態様を採用することで、下方鉛直方向延在部12の下端を下方基板21まで延在させることができない状況にも対応することができ、設計の自由度を高めることができる。
【0060】
また、本実施の形態において、端子案内部材10の材料となっている第二樹脂部材の耐熱温度がケーシング22の材料となっている第一樹脂部材の耐熱温度よりも低くなっている態様を採用した場合には、低いコストで端子案内部材10を提供することができる点で有益である。つまり、一般に耐熱温度が高い樹脂材料は値段が高い。この点、図示しない外部接続端子をケーシング22にインサート成形している場合には、下方基板21をケーシング22と組み合わせた後に、外部接続端子と下方基板21とのはんだ接合を、下方基板21上に載置された半導体素子40に対してのリフロー処理と同時に行う必要がある。この場合には、下方基板21及びケーシング22を有する下方部材20を一緒にリフロー炉内で加熱することとなり、その温度は通常240℃程度となる。このため、ケーシング22の材料となっている第一樹脂部材の耐熱温度は240℃以上の温度となっている必要がある。他方、端子案内部材10については、このようにリフロー炉内で加熱されないことから、端子案内部材10の材料として、低い耐熱温度の材料を選択することができ、その結果、低いコストで端子案内部材10を提供することができることとなる。
【0061】
また、本実施の形態では、ケーシング22内に流し込まれたモールド樹脂が硬化されることで、下方鉛直方向延在部12の少なくとも下端がケーシング22に対して固定される。このため、端子案内部材10を下方部材20に対してしっかり固定することができ、端子案内部材10自体が何らしかの拍子に水平方向で動いてしまい、その結果、ピン端子30が曲がってしまうことを防止することができる。
【0062】
本実施の形態において、下方鉛直方向延在部12の横断面が多角形状となる態様や下方鉛直方向延在部12の下端に切欠きが設けられている態様を採用した場合には、下方鉛直方向延在部12の一つを下方部材20に装着するだけで端子案内部材10の下方部材20に対する位置を決めることができる。また、上方鉛直方向延在部11の横断面が多角形状となる態様や上方鉛直方向延在部11の上端に切欠きが設けられている態様を採用した場合にも、上方鉛直方向延在部11の一つを上方部材60に装着するだけで端子案内部材10の上方部材60に対する位置を決めることができる。
【0063】
他方、下方鉛直方向延在部12の横断面が円形状となっている態様を採用した場合には、正確な角度を気にすることなく概ねの感覚で下方部材20に端子案内部材10を取り付けることができる。また、上方鉛直方向延在部11の横断面が円形状となっている態様を採用した場合にも、正確な角度を気にすることなく概ねの感覚で上方部材60に端子案内部材10を取り付けることができる。なお、
図1乃至
図5で示された本実施の形態の一例及び
図6乃至
図10で示された本実施の形態の別の例の各々において、上方鉛直方向延在部11の横断面が多角形状となっている。また、
図1乃至
図5で示された本実施の形態の一例において、下方鉛直方向延在部12の下端に切欠き12cが設けられている。
【0064】
ちなみに、
図1乃至
図5で示された本実施の形態の一例及び
図6乃至
図10で示された本実施の形態の別の例のように、下方鉛直方向延在部12としてその横断面が多角形状となる態様を採用し、上方鉛直方向延在部11としてその横断面が円形状となる態様を採用した場合には、下方部材20及びピン端子30に端子案内部材10を取り付ける際には正確な位置づけを重視することができ、かつ、端子案内部材10を上方部材60に取り付ける際にはその取り付けを概ねの感覚で行うことができて作業効率を高めることができる。
【0065】
第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0066】
第2の実施の形態では、端子案内部材10が導電性材料によって形成され、上方部材60と下方部材20との間で電流を流す端子としての機能も果たす態様となっている。第2の実施の形態において、その他の構成は、第1の実施の形態と略同一の態様となっている。
【0067】
本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。第1の実施の形態で詳細に説明したことから、本実施の形態では、本実施の形態に固有の効果のみについて説明する。
【0068】
本実施の形態では、各案内穴部19の内壁に絶縁膜を形成し、ピン端子30と端子案内部材10とが導通しないようになっている。このため、ピン端子30と端子案内部材10とで異なる機能を持たすことができ、一例としてはピン端子30を信号端子として機能させ、端子案内部材10を共通端子として機能させることができる。
【0069】
最後になったが、上述した各実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。