特許第6195781号(P6195781)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6195781
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】音響装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/02 20060101AFI20170904BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
   H04R1/02 103F
   H04R1/00 318Z
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-226785(P2013-226785)
(22)【出願日】2013年10月31日
(65)【公開番号】特開2015-88978(P2015-88978A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】服部 永雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 純生
(72)【発明者】
【氏名】末永 健明
(72)【発明者】
【氏名】市川 拓人
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 幹生
【審査官】 岩田 淳
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−225385(JP,A)
【文献】 特開2008−035133(JP,A)
【文献】 特開2008−104022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00−1/08
1/12−1/14
1/42−1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体部と、該胴体部に対して変位可能に設けられた複数の可動部と、該可動部に取り付けられたスピーカと、該スピーカから音声信号を出力させる音声信号処理部と、を備えた音響装置であって、
前記胴体部の下側に照明器具を取り付けるための照明器具取り付け部を備え、前記可動部は、前記胴体部に対して水平方向に変位することにより、前記音響装置に取り付けた前記照明器具の形状に応じて前記スピーカの位置を設定できることを特徴とする音響装置。
【請求項2】
前記可動部は、前記胴体部に対して、前記スピーカを遠ざける方向と近づける方向に変位可能に設けられていること特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項3】
前記複数の可動部は、前記音響装置の重心位置が変化しないように、重心位置を対称点として対称形状となるように連動して変位することを特徴とする請求項1または2に記載の音響装置。
【請求項4】
前記音響装置に対する操作入力を可能とする操作入力部と、前記可動部を駆動して変位させるための駆動部と、該駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記操作入力部に対する操作入力に従って変化する前記音響装置の状態に基づいて前記駆動部を駆動させ、前記スピーカの位置を変更することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の音響装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響装置に関し、より詳細には、照明器具と組み合わせて天井面に設置可能とした音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生活様式の多様化などにより、家庭内になるべく器具等の物を置かないような暮らし方をする人も増えている。このため部屋になるべく物を置かないか、置いても目立たないようにしたい、という一定のニーズがある。
音楽鑑賞等に関しても、オーディオセットなどを目立つ形で設置するのではなく、スピーカを壁や天井に埋め込むなど、なるべく目立たない形でオーディオセットを設置する方法がある。しかし、スピーカ等を埋め込み型で設置するには、建物の建築時から埋め込みに関して考慮する必要があり、既存の建物に後付けで埋め込み作業を行うのには困難が伴う。
【0003】
また、スピーカ等を天井や壁などに固定し、設置スペースを節約する方法もある。例えば店舗などでは、省スペース性および客が容易に接触しないようにすることを考慮し、スピーカ取り付け金具などを用いて天井や壁などに複数のスピーカを固定する場合も多い。しかし、この場合もスピーカに接続する配線を追加する必要があり、手間がかかるうえ美観を損なう恐れがある。また、スピーカに対しては音声信号を無線等で伝送することもできるが、信号を再生するためには電力が必要となり、現実的には結線が必要となる。
【0004】
この問題を解決するため、照明器具用の電力線を経由して電力を得て音声信号を再生する機器が発表されている。このような機器の例として、照明器具と音響機器を同列に設置することにより、電力を供給しつつ天井面への設置を可能とするものがある。
例えば特許文献1には、ケーブルの露出により天井が乱雑となることなく屋内の天井にスピーカを配設するスピーカ配設システムが開示されている。このシステムは、家屋における室内の天井や壁に設置され、照明装置を取り付け可能なライティングダクトと、無線送信されたオーディオ信号を受信する赤外線受信機を有し、ライティングダクトに取り付けられ、ライティングダクトを介して電源電力の供給を受けて赤外線受信機によって受信されたオーディオ信号が示す音を出力するスピーカ装置と、オーディオ信号を生成するディジタルオーディオプレイヤと、ディジタルオーディオプレイヤによって生成されたオーディオ信号を、赤外線受信機に向けて無線送信する赤外線送信機とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5168632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような照明器具と音響機器とを同列に設置する構成によれば、音響機器を天井面に設置することができ、目立たない設置が可能である。しかし、天井面にスピーカが露出することには変わりなく、照明器具が故障して点灯していないかのような印象を与えかねない。また、ライティングダクトが設置されている個所には上記のような音響機器を設置できるが、ライティングダクトを新たに設置するには工事が必要となり、容易ではない。
天井面に取り付けるシーリングライトと音響機器を一体型にする構成も考えられるが、実際にスピーカが目立たないように照明器具を設計すると、必ずしも音響的に良好な位置にスピーカを設置できない。受聴者に対して直接スピーカを向けることは、照明の陰を作ることとなり、困難となるため、スピーカを照明の陰に設置せざるを得ない。このとき、周波数の高い音は直進性が高く、スピーカの軸上に遮蔽物があるとその軸方向にいる受聴者には高音が減衰して聞こえるので、受聴者に対して優れた周波数特性で音響を再生することが困難となる。
【0007】
照明器具による影響を避けるために、照明器具の外周よりも外側に音響機器の腕を伸ばし、照明器具の外周よりも外側に受聴者に向けてスピーカを設置する方法もある。この場合、受聴者に対してスピーカの軸を向けることができるので、優れた周波数特性で音響を再生することができる。
しかし、このようなスピーカを取り付けた照明器具は専用設計する以外ないが、必ずしも使用者にとって好みのデザインのものが発売されるとは限らず、さらに照明器具の買い替えが必要となるのでコスト高となってしまう。
【0008】
本発明は、上述した課題を鑑みてなされたものであり、照明器具と組み合わせて天井面に設置可能で、音響を優れた周波数特性で受聴者に伝達できる音響装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、胴体部と、該胴体部に対して変位可能に設けられた複数の可動部と、該可動部に取り付けられたスピーカと、該スピーカから音声信号を出力させる音声信号処理部と、を備えた音響装置であって、前記音響装置の下側に照明器具を取り付けるための照明器具取り付け部を備え、前記可動部は、前記胴体部に対して水平方向に変位することにより、前記音響装置に取り付けた前記照明器具の形状に応じて前記スピーカの位置を設定できることを特徴としたものである。
【0010】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記可動部が、前記胴体部に対して、前記スピーカを遠ざける方向と近づける方向に変位可能に設けられていること特徴としたものである。
【0011】
第3の技術手段は、第1または第2の技術手段において、前記複数の可動部が、前記音響装置の重心位置が変化しないように、重心位置を対称点として対称形状となるように連動して変位することを特徴としたものである。
【0012】
第4の技術手段は、第1〜第3のいずれか1の技術手段において、前記音響装置に対する操作入力を可能とする操作入力部と、前記可動部を駆動して変位させるための駆動部と、該駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記操作入力部に対する操作入力に従って変化する前記音響装置の状態に基づいて前記駆動部を駆動させ、前記スピーカの位置を変更することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、照明器具と組み合わせて天井面に設置可能で、音響を優れた周波数特性で受聴者に伝達できる音響装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明による音響装置の実施形態1の外観を示す図である。
図2図1の音響装置の内部構成を説明する図である。
図3】本発明に係る音響装置の要部の機能構成例を示す図である。
図4】天井に取り付けた音響装置に対して照明器具をさらに取り付けた構成例を示す図である。
図5】天井に取り付けた音響装置に対して照明器具をさらに取り付けた構成例の他の例を示す図である。
図6】本発明による音響装置の実施形態2による機能構成例を示す図である。
図7】本発明による音響装置の実施形態3の外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る音響装置の実施形態を添付された図面を参照して具体的に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同様の機能を有する部分には同じ符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
図1は、本発明による音響装置の実施形態1の外観を示す図で、図1(A)は音響装置の側面外観図、図1(B)は音響装置の下面外観図である。また、図2は、図1の音響装置の内部構成を説明する図で、図2(A)は音響装置を側面から見た内部構成を示す図、図2(B)は音響装置を下方から見たときの内部構成を示す図である。
【0016】
音響装置1は、胴体部10、2つのスピーカ部20、およびローゼットアダプタ30から構成されている。
2つのスピーカ部20は、胴体部10に取り付けられている。これら2つのスピーカ部20は、それぞれスピーカ部筐体21、スピーカユニット22、およびラックアーム23を備える。それぞれのスピーカ部20は、胴体部10の内部でスライド可能に保持され、胴体部10に対して水平方向に伸縮して変位する。スピーカ部20は、本発明の可動部に相当するもので、上記のように胴体部10に対して変位可能に設けられていて、音響装置1に取り付けた照明器具の形状に応じてスピーカユニット22の位置を設定できるようにしたものである。なおスピーカユニット22は、本発明のスピーカに相当する。
【0017】
胴体部10は、胴体部筐体11、胴体部10の下方に照明器具を取り付けるためのレセプタクル12、基板13、およびギア14を備えている。レセプタクル12は、本発明の照明器具取り付け部に相当する。
胴体部10の内部では、円形形状の胴体部筐体11の中心位置にギア14が回動可能に軸支されている。そして2つのスピーカ部20のそれぞれのラックアーム23がギア14に係合し、ギア14の回転とともにラックアーム23が互いに平行に移動する。
【0018】
これにより、2つのスピーカ部20は、胴体部筐体11に対してギア14の回転軸位置を中心として放射方向に対称に伸縮する。伸縮による変位の方向は、胴体部筐体11に対してスピーカユニット22を遠ざける方向および近づける方向となる。
ここでは2つのスピーカ部20は、音響装置1の重心位置を対称点として点対称の形状となるように連動して変位するので、音響装置1の重心位置が変化しないままスピーカ部20を伸縮させることができる。よって、天井40に設置されたレセプタクル41に音響装置1を取り付けたときに、バランスがとれた状態でスピーカ部20の形状を変化させることができ、安全である。
【0019】
また、スピーカ部20は、レセプタクル12に取り付けた照明器具よりも外側(音響装置と照明器具を平面視したときに照明器具よりも外側)にスピーカ部22を位置させることが可能であり、スピーカユニット22のスピーカ軸上に遮蔽物がない状態を作り出すことができるので、優れた周波数特性で音声再生が可能となる。
【0020】
図3は、本発明に係る音響装置の要部の機能構成例を示す図である。音響装置1は、入力部101、音声信号処理部102、制御部104、電源部105、及びリモコン受光部106、スピーカユニット22等を備える。入力部101、音声信号処理部102、制御部104、電源部105等は、胴体部10の基板13に実装されたプロセッサなどによってその機能が実現される。
【0021】
入力部101には、外部から音声信号が入力される。入力される音声信号は、有線で接続された外部機器から入力してもよく、あるいは音響装置1で記録メディアを再生して音声信号を入力するものであってもよい。また、無線通信により送信された音声信号を受信する構成としてもよく、あるいは音響装置1の入力部101にネットワーク接続の仕組みを備え、ネットワーク上のサーバ等に保持されたコンテンツから音声信号を取得できるようにしてもよい。この場合、電源供給のための電灯線を経由してネットワークに接続する仕組みになっていてもよい。以下では、入力部101は、無線通信により音声信号を入力するものとする。
【0022】
音声信号処理部102は、入力部101に入力した音声信号をスピーカユニット22から出力させるための音声信号処理を行う。音声信号処理部102には増幅部103が備えられ、増幅部103は、入力部101から入力された音声信号を増幅し、スピーカユニット22に対して信号を出力する。また、増幅部103は、増幅率を可変できるようになっていてもよい。可変範囲は、無限大減衰(無音状態)から可変可能となっていることが好ましく、音質を変化させられるようになっているとなお好ましい。
【0023】
制御部104は、音響装置1を制御するため、入力部101、音声信号処理部102、電源部105などの装置各部を制御する。制御部104は各部の設定値を保持するレジスタを有し、音響装置1の起動時や設定変更時にレジスタの内容を各部に伝え、設定値を各部に反映させる。また、リモコン受光部106は、音響装置1に付随する操作入力手段であるリモコン107から送信されたリモコン信号を受光して制御部104に伝える。制御部104はリモコンの信号に従って、レジスタの設定値を変更することにより各部に対して設定変更を行う。リモコン107及びリモコン受光部106は、本発明の操作入力部に相当する。
【0024】
電源部105は、音響装置1の各部に電源を供給する。また、電源部105には、音響装置1と組み合わせて用いられる照明器具2に供給する電源を給電する給電部を設け、音響装置1の電源部105によって照明器具の照明用電源を制御するようにしてもよい。
より具体的には、電源部105は、レセプタクル12に取り付けた照明器具2に供給する電源の通電・遮断制御を行ったり、発光モードの切り替え操作のために短時間の電源遮断機能を持たせたりしてもよい。照明器具2のなかには1秒程度の短時間の電源断操作で発光モードを切り替える機能、例えば明点灯・暗点灯・常夜灯などの発光モードを順に選んでいく機能をもつものがある。このような照明器具を想定し、音響装置1側で照明器具2に対して1秒程度の電源断制御を行うことにより、照明器具の発光モードを変更することができる。
【0025】
図4及び図5は、天井に取り付けた音響装置に対して照明器具をさらに取り付けた構成例をそれぞれ示す図である。図4および図5に示す構成は、照明器具2の形状が異なるものであるが、いずれも同様の構成及び取り付け手順にて照明器具2を音響装置1に取り付けることができる。
音響装置1を照明器具2と天井40との間に設置する場合、まず、ユーザは、本音響装置1を目的とする位置に設置する。ここではユーザは、例えば部屋の天井40に設置されたレセプタクル41に音響装置1のローゼットアダプタ30(図1図2参照)を取り付ける。ローゼットアダプタ30は、レセプタクルに係合させて30°程度回転させることでレセプタクルに固定することができる。
そしてユーザは、取り付けたローゼットアダプタ30にさらに胴体部10を取り付ける。胴体部10は、ローゼットアダプタ30に設けられた爪に対し胴体部10を嵌め込むことにより取り付けることができる。これにより音響装置1を部屋の天井40に取り付けることができる。
【0026】
なお、胴体部10の取り外しが可能となるように、ローゼットアダプタ30に設けられた爪を解除することができるようになっていることとする。胴体部10が分割してローゼットアダプタ30を操作できるようになっていてもよいし、胴体部10の外側からローゼットアダプタ30に設けられた爪を押し込むことができるような構造になっていてもよい。
【0027】
上記の手順で部屋の天井40のレセプタクル41に音響装置1を取り付けた後、ユーザは、音響装置1の下部に照明器具2を取り付ける。取り付け方は照明器具2により異なるが、概ね上記と同じ手順で、照明器具2のローゼットアダプタを音響装置1のレセプタクル12(図1図2参照)に取り付け、そのローゼットアダプタに対して照明器具を嵌め込むことにより照明器具2を取り付けることができる。これらの作業により、図4図5に示すように天井40に音響装置1と照明器具2とを取り付けることができる。言い換えれば、天井40と照明器具2との間に音響装置1を介在させて取り付けることができる。
【0028】
この状態でユーザは、スピーカ部20を胴体部筐体11から引き出して、スピーカ部20に内蔵されたスピーカユニット22が、照明器具2の外周よりも外側に位置するように設定する。これにより、照明器具2の下方にいる受聴者とスピーカユニット22との間に遮蔽物となる照明器具2が介在しない位置関係を実現できる。
照明器具2の設置が完了すれば、ユーザは音響装置1を使用した音声再生を行うことができる。例えばユーザは、音源を保持した無線送信機を操作して、無線送信機から音響装置1に音声信号を送信して再生出力させることができる。
【0029】
具体的には、例えばユーザは、音響装置1に付属するリモコンと、音源を保持した無線送信機としての携帯用音楽再生機とを操作し、音響装置1と携帯用音楽再生機に内蔵された無線接続機能を実行させて接続確立モードに設定する。そして音響装置1と携帯用音楽再生器とを互いに認証させて通信接続を確立させ、携帯用音楽再生機から送信した音声信号を音響装置1で受信できるようにする。
【0030】
次にユーザは、携帯用音楽再生機を操作し、音響装置1に対して音声信号を送信させる。より具体的には、ユーザは携帯用音楽再生機を操作し、音量を調節した上で音源ファイルを再生し、携帯用音楽再生機から音声信号を音響装置1に無線送信する。
音響装置1では、入力部101を構成する無線接続モジュールが音声信号を受信し、増幅部103に伝送する。増幅部103は、受信した音声信号の音量・音質を調節し、予め設定された増幅率で音声信号を増幅する。増幅された音声信号はスピーカユニット22により再生出力される。
【0031】
増幅部103は、音声信号の音量・音質を調整するが、ユーザは、リモコン107を用いて音量・音質の調整値を変化させることができる。ここではユーザは、送信側の携帯用音楽再生機で音量を調節することができるが、リモコン107を用いて受信側の音響装置1で音量を調整することもできる。
ユーザが音量の調整を行っていない状態では初期設定値が適用され、携帯用音楽再生機の音量設定を最大にしたときに音響装置1の最大音量で再生される程度の音量設定値となる。
【0032】
また、音質設定はユーザの好みによって変更されてもよい。音質設定は、高音増強・低音増強・高音減衰・低音減衰・通過などから選択することができるが、通過設定でもスピーカの特性を補正するような設定になっているとなおよい。
そしてユーザがリモコンを操作すると、音響装置1のリモコン受光部がリモコン信号を受信し、制御部104に伝送する。制御部104は、リモコン信号を解読し、制御部104に保持されている設定値を変更して音響装置1の動作を変更する。
【0033】
これら一連の操作により、ユーザは携帯用音楽再生機に記録されている音源ファイルの音声信号を音響装置1で再生させることができる。これにより、外形が異なる照明器具を取り付けても、スピーカユニット22を目立たないよう設置することができ、かつスピーカユニット22からの音が直接受聴者の耳に届くことにより、高音質な音声を再生できる音響装置を実現することができる。
【0034】
図6は、本発明による音響装置の実施形態2による機能構成例を示す図である。本実施形態は、上記実施形態1の構成に加えて、スピーカ部20を駆動して変位させるための駆動部108を設けたものである。音響装置1には、駆動部108として例えばモータを内蔵させ、モータの力でスピーカ部20を駆動して伸縮させる。駆動部108の駆動動作は、リモコン107を使用してユーザにより任意に設定することができる。
【0035】
この場合、制御部104では、リモコン107による操作入力に従って変化する音響装置1の状態に基づいて、スピーカ部20を駆動してスピーカユニット22の位置を変更させることができる。
例えば、音響装置1を使用しないときには、スピーカユニット22を胴体部10に近づけて、照明器具2の陰にスピーカユニット22を隠すようにすることができる。このときに制御部104は、リモコン107による音響装置1の停止操作に応じて、スピーカ部20を胴体部10方向に変位させるように駆動部108を制御し、リモコン107により音響装置1の音声再生を開始する操作が行われたときに、スピーカ部20を胴体部10から外側に伸ばすように駆動部108を制御する。
【0036】
スピーカ部20が伸びたときの長さは、スピーカ部20が伸長可能な最大長に設定してもよいが、照明器具の外側にスピーカユニット22が位置するときの状態を予め記憶しておき、制御部104は、その位置情報に従ってスピーカ部20を伸長させるように制御してもよい。スピーカユニット22が照明器具の外側に位置するときの状態は、スピーカ部20に位置センサを設けてその検出結果により判断してもよく、あるいはスピーカ部20を所定長伸長させるために駆動部108にステッピングモータを使用してもよい。
【0037】
図7は、本発明による音響装置の実施形態3の外観を示す図で、図7(A)は音響装置の側面外観図、図7(B)は音響装置の下面外観図である。本実施形態の音響装置1は、上記実施形態1、2の伸縮式のスピーカ部の構成に代えて、揺動式のスピーカ部を構成したものでる。
図7に示すように、本実施形態の音響装置1は、胴体部10、2つのスピーカ部20、およびローゼットアダプタ30から構成されている。胴体部10は、胴体部筐体11、胴体部10の下方に照明器具を取り付けるためのレセプタクル12、および基板13を備えている。
【0038】
2つのスピーカ部20は、胴体部10に取り付けられている。これら2つのスピーカ部20は、それぞれスピーカ部筐体21およびスピーカユニット22を備える。それぞれのスピーカ部20は、胴体部10に対して矢印M方向に揺動動作を行うように軸支されている。
【0039】
これにより2つのスピーカ部20は、胴体部10に近づく位置と、遠ざかる位置との間で揺動させることができ、任意の位置にスピーカユニット22を位置させることができる。そしてこのときに2つのスピーカ部20は、音響装置互いに連動して対称(点対称)に揺動するように構成されているので、音響装置1の重心位置が変化しないままスピーカ部20を揺動させることができる。よって、天井に設置されたレセプタクルに音響装置1を取り付けたときに、バランスがとれた状態でスピーカ部20の形状を変化させることができ、安全である。
【0040】
スピーカ部20は、レセプタクル12に取り付けた照明器具よりも外側(音響装置と照明器具のユニットを平面視したときに照明器具よりも外側)に位置させることが可能であり、スピーカユニット22の軸上に遮蔽物がない状態を作り出すことができるので、高音質再生が可能となる。
また、本実施形態の構成において、図6に示す駆動部108を設け、スピーカユニット22を制御部104によって駆動させるようにすることができる。このときにリモコン107による音響装置1の停止操作や使用開始操作に応じて、スピーカ部20を変位させるように駆動部108を制御させるようにすることができる。
【0041】
上記各実施形態において、音響装置1には、スピーカユニット22が2つ取り付けられているが、3つ以上取り付けたものであってもよい。この場合にも胴体部10に対して伸縮動作または揺動動作を行うスピーカ部は、胴体部10の中心を対称点として点対称に連動して動作することが好ましい。これにより、スピーカ部20の位置が変化しても音響装置1の重心が変化しないため、安全に取り付け、設置作業を行うことができる。
【0042】
また、各実施形態において、音響装置1に付属するリモコン107に、音響装置1に取り付けられる照明器具2の制御機能を持たせてもよい。例えばリモコン107に備えられた照明入切ボタンをユーザが操作すると、リモコン107からリモコン信号が送信され、制御部104が照明器具2に対して電源の供給を行ったり、電源の供給を停止したりする制御を行う。
また、リモコン107に備えられた照明調光ボタンをユーザが操作することにより、制御部104は、照明器具2に供給している電源を1秒程度遮断して照明器具2の調光を行う。また、スピーカ部20の先端に照度センサを取り付け、照明器具2の明るさを検知できるようにしておくと、より確実な調光制御が可能となる。また音響装置1にタイマーを内蔵させて、一定の時刻になったら照明を暗くし、さらに常夜灯に切り替え、消灯する、などの制御が可能となる。
【0043】
なお上記の各実施形態で記載されている技術的特徴(構成要件)は、お互いに組み合わせ可能であり、組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0044】
1…音響装置、2…照明器具、10…胴体部、11…胴体部筐体、12…レセプタクル、12…スピーカ、13…基板、14…ギア、20…スピーカ部、21…スピーカ部筐体、22…スピーカユニット、23…ラックアーム、30…ローゼットアダプタ、40…天井、41…レセプタクル、101…入力部、102…音声信号処理部、103…増幅部、104…制御部、105…電源部、106…リモコン受光部、107…リモコン、108…駆動部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7