特許第6195821号(P6195821)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6195821
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】自動車用の制御表示モジュール
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20170904BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20170904BHJP
   B60K 37/06 20060101ALI20170904BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20170904BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
   G06F3/041 460
   B60K35/00 Z
   B60K37/06
   B60R16/02 630L
   G06F3/041 450
   G06F3/044 Z
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-501678(P2014-501678)
(86)(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公表番号】特表2014-512042(P2014-512042A)
(43)【公表日】2014年5月19日
(86)【国際出願番号】FR2012000111
(87)【国際公開番号】WO2012131188
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2015年3月9日
(31)【優先権主張番号】1100975
(32)【優先日】2011年3月31日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】アンリ、ベロー
【審査官】 池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0024462(US,A1)
【文献】 特開2010−134139(JP,A)
【文献】 特開2010−224081(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0284132(US,A1)
【文献】 国際公開第2008/149789(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041 − 3/044
B60K 35/00
B60K 37/06
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用の制御表示モジュール(1)であって、
データを表示するための表示画面(2)と、
ユーザによるコマンドの入力のための容量性タッチパッド(3)であって、少なくとも一部が前記表示画面(2)に被さっているタッチパッド(3)と、
前記表示画面(2)および前記タッチパッド(3)が収容され、フロントフレーム(7)を有する前記ケーシング(5)と、を備え、
当該制御表示モジュール(1)は、厚さが0.5mmおよび1.2mmの間であり、前記ケーシング(5)の前記フロントフレーム(7)の外側のエッジに固定された保持および保護フィルム(11)も備え、
前記タッチパッド(3)は、前記保持および保護フィルム(11)の後方にぶら下がって固定され、
前記タッチパッドと、前記保持および保護フィルムとの固定は、光学接着剤を用いた接着によりなされ、
前記保持および保護フィルム(11)は、局所的な不透明着色部(24)を備え、
前記制御表示モジュール(1)は、前記タッチパッド(3)と前記表示画面(2)との間に挿入され、且つ、前記表示画面(2)を所定の位置に保持することを可能にするシール(15)を備える、ことを特徴とする制御表示モジュール(1)。
【請求項2】
前記保持および保護フィルムは、ポリカーボネートの層を有する、請求項1に記載の制御表示モジュール(1)。
【請求項3】
前記保持および保護フィルムの、前記フロントフレームの外側のエッジとの固定は、接着によりなされる、請求項1または2に記載の制御表示モジュール(1)。
【請求項4】
前記保持および保護フィルムの、前記フロントフレームの外側のエッジとの固定は、オーバーモールディングによりなされる、請求項1または2に記載の制御表示モジュール(1)。
【請求項5】
前記保持および保護フィルムの、前記フロントフレームの外側のエッジとの固定は、イニジェクションモールディングによりなされる、請求項1または2に記載の制御表示モジュール(1)。
【請求項6】
前記保持および保護フィルム(11)は、その外面に偏光フィルムを備える、請求項1乃至のいずれかに記載の制御表示モジュール(1)。
【請求項7】
前記保持および保護フィルム(11)は、傷がないコーティングをその外面に備える、請求項1乃至に記載の制御表示モジュール(1)。
【請求項8】
前記タッチパッド(3)は容量性である、請求項1乃至のいずれかに記載の制御表示モジュール(1)。
【請求項9】
制御ボタンをさらに備え、
前記保持および保護フィルムは、前記制御ボタンも覆う、請求項1乃至のいずれかに記載の制御表示モジュール(1)。
【請求項10】
前記保持および保護フィルム(11)の厚さは、0.75mmである、請求項1乃至のいずれかに記載の制御表示モジュール(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用のタッチセンシティブ面制御表示モジュールの分野に関する。より詳細には、そうしたモジュールは、有利には、例えば、空調機能、オーディオシステム、電話技術システム、マルチメディアシステムを、あるいはナビゲーションシステムでさえも制御するために、自動車のダッシュボードまたはフロントコンソール上に、運転者に近接して位置するコントロールに適用することができる。
【背景技術】
【0002】
自動車の制御表示装置は、情報またはコマンドデータを表示するための表示画面を備える。これらの画面は、例えば、コマンドが車両のユーザによって入力されることを可能にする透明なタッチパッドで覆われている場合もある。またある装置は、画面に近接して位置するさらに別の制御ボタンも備える。
【0003】
タッチパッドは、例えば、抵抗技術や容量技術などを使用することにより、ユーザの指のタッチの座標を判定することを可能にする。
【0004】
これらのタッチパッドは、例えば容量性タッチパッドであってもよく、容量性タッチパッドは、電界の識別可能な外乱を引き起こし、パッド上の位置の定義を可能にする指またはスタイラスのある程度持続的な手法である。
【0005】
一方、タッチパッドは薄く脆弱な要素でもある。したがって、タッチパッドを、特にユーザが生じさせる可能性のある衝撃から保護する必要がある。
【0006】
さらに、自動車製造者らは、現在、スムーズな見た目かつ均一な感触を持った制御モジュールを提案することにより、ユーザのためにより人間工学的な自動車の外観を提供しようとしている。
【0007】
その上、優れた表示品質を得るために、自動車製造者らは、表示画面とタッチ面との距離の短縮といった異なる制約条件に直面している。さらに、容量性パッドの場合、ユーザの指が配置される制御面とタッチパッドとの間の距離は、タッチパッドの感度を最適化するために、可能な限り小さくする必要があり、かつ、制御面とタッチパッドとの間の距離は、いかなるエアーギャップも含んでいてはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって本発明は、スムーズな見た目かつ均一な感触を持った外観ならびに優れた表示品質を得ることを可能にする、改善された自動車用の制御表示モジュールを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
よって、本発明の実施形態は、自動車用の制御表示モジュールであって、
データを表示するための表示画面と、
ユーザによるコマンドの入力のための容量性タッチパッドであって、少なくとも一部が前記表示画面に被さっているタッチパッドと、
前記表示画面および前記タッチパッドが収容され、フロントフレームを有する前記ケーシングと、を備え、
当該制御表示モジュールは、厚さが0.5mmおよび1.2mmの間であり、前記ケーシングの前記フロントフレームの外側のエッジに固定された保持および保護フィルムも備え、
前記タッチパッドは、前記保持および保護フィルムの後方にぶら下がって固定されることを特徴とする制御表示モジュールにある。
【0010】
本発明の別の側面によれば、前記保持および保護フィルムは、ポリカーボネートの層を有する。
【0011】
本発明のさらなる側面によれば、前記保持および保護フィルムの、前記フロントフレームの外側のエッジとの固定は、接着によりなされる。
【0012】
本発明のさらなる側面によれば、前記保持および保護フィルムの、前記フロントフレームの外側のエッジとの固定は、オーバーモールディングによりなされる。
【0013】
本発明の別の側面によれば、前記保持および保護フィルムの、前記フロントフレームの外側のエッジとの固定は、イニジェクションモールディングによりなされる。
【0014】
本発明のさらなる側面によれば、前記タッチパッドと、前記保持および保護フィルムとの固定は、接着によりなされる。
【0015】
本発明の追加の側面によれば、前記保持および保護フィルムは、少なくとも前記ケーシングの内部リムをユーザから隠すための局所的な不透明着色部を備える。
【0016】
本発明の別の側面によれば、前記保持および保護フィルムは、その外面に偏光フィルムを備える。
【0017】
本発明のさらなる側面によれば、前記保持および保護フィルムは、傷がないコーティングをその外面に備える。
【0018】
本発明の追加の側面によれば、前記タッチパッドは容量性である。
【0019】
本発明の別の側面によれば、制御ボタンをさらに備え、前記保持および保護フィルムは、前記制御ボタンも覆う。
【0020】
本発明の別の側面によれば、前記保持および保護フィルムの厚さは、0.75mmである。
【0021】
本発明の他の特徴および利点は、本発明の1つの可能な実施形態を非限定的指示として表す添付の図面を参照して以下の説明を読めば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態による制御表示モジュールを示す正面図である。
図2】切断線I−Iに沿った、本発明の第1の実施形態による制御表示モジュールを示す断面図である。
図3】切断線I−Iに沿った、本発明の第2の実施形態による制御表示モジュールを示す断面図である。
図4】切断線I−Iに沿った、本発明の第3の実施形態による制御表示モジュールを示す断面図である。
図5】本発明の第1の実施形態による図2の詳細II、ならびにユーザの限界視角を示す図である。
図6a】本発明による制御表示モジュールの第1の実施形態の要素の組立ての異なるステップを示す図である。
図6b】本発明による制御表示モジュールの第1の実施形態の要素の組立ての異なるステップを示す図である。
図6c】本発明による制御表示モジュールの第1の実施形態の要素の組立ての異なるステップを示す図である。
図6d】本発明による制御表示モジュールの第1の実施形態の要素の組立ての異なるステップを示す図である。
図7a】本発明の代替の実施形態による制御表示モジュールを示す概略的正面図である。
図7b】本発明の代替の実施形態による制御表示モジュールを示す概略的正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以上の図面において、同じ参照番号は同じ要素を示す。
【0024】
図1に、車両内でおおむね垂直に配置されている自動車用の制御表示モジュール1の概略的正面図を示す。制御表示モジュール1は、例えば、空調機能、オーディオシステム、電話技術システム、マルチメディアシステムを、あるいはナビゲーションシステムでさえも制御するために、ユーザに近接して、例えば、車両のセンターコンソール上やダッシュボード(不図示)上に固定することができる。
【0025】
この図では、制御表示モジュール1は、情報またはコマンドデータを表示するための表示画面2と、(点線で表す)少なくとも1つのタッチパッド3とを備え、ユーザによるコマンドの入力のための制御前面4であって、少なくとも表示画面2上に被せられた制御前面4と、表示画面2とタッチパッド3とが収容されているケーシング5とを有する。図1に示す第1の例では、タッチパッド3は、表示画面2を覆うとともに、画面2の辺を超えて延びている。
【0026】
タッチパッド3は、表示画面2の前面に配置され、入力手段として働くように透明である。タッチパッド3は、ユーザの指が制御前面4を押すポイントの、パッド3の平面における座標を判定する。タッチパッド3は、例えば容量性を備える。ユーザの指の動きまたは圧力により、この面へのユーザの指の接触の位置、動きおよび範囲とともに変化する信号が生成される。
【0027】
タッチパッド3は、表示画面2の前面に配置され入力手段として働くよう、透明である。タッチパッド3は、ユーザがパッド3の面において自分の指で制御前面4を押す点の座標を判定する。タッチパッド3は、例えば、抵抗性や容量性を備える。ユーザの指の動きまたはタッチが、接触するユーザの指の場所および動きと共に、この面上の範囲に従って変化する信号の作成を引き起こす。
【0028】
さらに、表示画面2は、例えば薄膜トランジスタ(TFT)画面であり、例えば7インチ(つまり17.78cm)の画面である。
【0029】
よって、表示画面2およびタッチパッド3は、コマンドの入力および対応するデータの表示を可能にする。
【0030】
図2に、異なる要素の位置をより明確に区別することを可能にする、制御表示モジュール1の一部を上から見た断面図を示す。このように、制御表示モジュール1はケーシング5を備え、ケーシング5はフロントフレーム7を有し、フロントフレーム7は開口部9および内部リム10を有する。ケーシング5は、例えば、プラスチックまたは硬質エラストマーでてきている。
【0031】
表示画面2は、ケーシング5の内側に位置決めされており、制御前面4の方を向いている。タッチパッド3は、フロントフレーム7の開口部9のレベルに位置決めされており、少なくとも一部は表示画面2に被さっている。タッチパッド3は保持および保護フィルム11の背後に固定されており、保持および保護フィルム11の外面は制御前面4を構成している。よって、タッチパッド3は、保持および保護フィルム11の後方につるされる。保持および保護フィルム11により、タッチパッドがフィルム11により保護され、フィルム11が、例えばユーザの操作のような外部の攻撃に対してタッチパッドを保護する機能を有することが理解されるはずである。
【0032】
タッチパッド3は、良好な透明性品質を保証することを可能にする「光学接着剤」を使用して、保持および保護フィルム11に接着される。保持および保護フィルム11は、フロントフレーム7の外面に固定されている。固定は、保持および保護フィルム11がフロントフレーム7上で「ピンと張る」ように、なされる。
【0033】
保持および保護フィルム11は、例えば薄い半硬質のポリカーボネートであり、このポリカーボネートは積層され、スクリーン印刷によって装飾され、フロントフレーム7に固定され得る。保持および保護フィルム11のフロント面7への固定は、接着、オーバーモールディングまたはインジェクションモールディングによりなされる。保持および保護フィルム11は、0.5mmおよび1.2mmの間の厚さを有し、タッチパッドの感度を向上するために比較的薄い。タッチパッドを保持および保護フィルム11に接着することで、保持および保護フィルム11の薄さに起因する硬さの欠如を補償できる。さらに、0.5、0.75および1mmのポリカーボネートが商用的に利用可能であるため、単位当たりの単価を下げることができる。保持および保護フィルム11の厚さは、表示画面2およびタッチパッド3のサイズに依存することに留意すべきである。よって、対角線が7インチ(17.78cm)の表示画面2の場合、0.75mmの厚さが適しており、より大きなサイズの表示画面2にはより厚くする必要がある。しかしながら、タッチパッド3が保持および保護フィルム11に接着されているため、タッチパッド3は、ユーザにより観察されるときに、制御前面4の強固さに大きく貢献する。これにより、保持および保護フィルム11の厚さを制限できる。
【0034】
さらに、この保護フィルム11の外面は、指紋およびグレアの影響を制限するために、偏光フィルムで覆われていてもよい。また、傷がないコーティングが保持および保護フィルム11の外面に加えられてもよい。
【0035】
またさらに、表示画面2は、一方では、例えば、ケーシング5の後部、すなわち、制御前面4とは反対側に位置する固定ねじ31によって、後方からケーシング5に固定されており、他方では、表示画面2とタッチパッド3との間に突出している内部リム10によって、表示画面2の外面のレベルで前方から保持されている。
【0036】
その厚さを制限するために、ケーシング5の内部リング10は、ケーシング5に固定された金属製インサート、例えば、オーバーモールディング、接着、スナップリベット締め、リベット締め、ねじ止め、スナップ嵌めによってケーシング5に固定されうる鋼またはステンレス鋼でできたインサートで形成されている。ケーシング5は、例えば、金属製インサート10上にモールドされている。
【0037】
さらに、特に、表示画面2とタッチパッド3との間に侵入し得るほこりまたは湿気に対する封止を提供するために、制御表示モジュール1は、少なくとも1つのシールも備える。
【0038】
図2に示す第1の実施形態によれば、制御表示モジュール1は均一なシール15を備える。シール15の第1の部分17は、金属製インサートで形成された内部リブ10と表示画面2との間に挿入されており、表示画面2の金属製インサート10との接触を防止すると同時に表示画面2を所定の位置に保持することを可能にし、シール15の第2の部分19は、内部リムを越えて表示画面2の中心に向かって延びている。この場合には、シール15は、シール15の第1の部分17が負荷なしのその初期厚さに対して少なくとも50%だけその厚さが低減されるように圧縮され、それによって、第2の部分19が表示画面2とタッチパッド3との間の封止を提供するような強圧縮性の開放発泡体である。第1の部分は、例えば70%だけ圧縮され、第2の部分は20%だけ圧縮される。この強圧縮は、その厚さが第1の部分17と内部リム10とが組み合わせによって形成される厚さよりも大きいシール15の第2の部分19を得ることを可能にし、よって、内部リブ10とタッチパッドとの間に位置するギャップを、表示画面2とタッチパッド3との間のしっかりした封止を供給するように埋めることを可能にする。
【0039】
この種のシール15は、ポリエチレンといった、エチレン・プロピレンジエンモノマー(EPDM)型のエラストマー細胞泡(cellular foam)から製造され得る。実際には、これらの材料は、単位当たりのコストが低く、自動車産業で必要とされる不燃性であるという利点を提供する。
【0040】
さらに、シール15は、制御表示モジュール1の異なる要素の厚さに関する許容差があればそれを埋め、表示画面2を振動および衝撃から保護することを可能にする。また、制御表示モジュール1では、特に光源の存在が原因で大きな温度変化が生じ、それが制御表示モジュール1の様々な要素を膨張させる原因となる可能性があり、シール15は、各要素を所定の位置に保持し、特に、相対的に脆弱な要素である表示画面2およびタッチパッド3に加わる応力を制限することを可能にすることにも留意すべきである。
【0041】
表示画面2はしたがって、一方では固定ねじ31によって、他方では、シール15の第1の部分17を介して金属製インサートによって実現される内部リム10によって保持される。シール15のこの第1の部分17を、例えば2から5mmの長さとし、シール15の第2の部分19も同様の2から5mmとすることができる。さらに、シール15は0.8mmの初期厚さとすることができ、この厚さは第1の部分17での圧縮後に0.3mmまで低減される。また金属製インサート10の厚さも、例えば0.3mmとすることができる。シール15の第2の部分19は、表示画面2とタッチパッド3とを接ぎ合わせることを可能にし、また、タッチパッド3を金属製インサート10との接触から保護することも可能にする。しかし、シール15の第2の部分19の圧縮は、シール15によってタッチパッド3に加えられる圧力を制限するために制限されなければならず、この圧力は、パッド、および、パッドが固定されている保護スクリーン11の変形、すなわち、ユーザが見て感じることができる変形を引き起こす可能性もある。
【0042】
タッチパッド3の厚さはおおよそ1.1mmであり、保護フィルム11の厚さはおおよそ0.75mmであり、よって、表示画面2と制御前面4の全体距離は、おおよそ3mm(0.75+1.1+0.8+0.3)であり、表示画面2はその外面のところに0.3mmのリムを有する。
【0043】
また、制御表示モジュール1は電子的な制御表示信号の管理を可能にするプリント回路33も備え、このプリント回路33は、一方では表示画面2に、他方では接続リボンケーブル35を介してタッチパッド3に接続される。
【0044】
接続リボンケーブル35とタッチパッド3との間の接続は、使用される技術に応じて、タッチパッド3の両面の一方または他方の面に配置することができ、そのため、接続が保護スクリーン11と接触する面で行われるときには、接続リボンケーブル35とタッチパッド3の間の接続によって生じる余分な厚さは、ユーザが感じられる違いを回避するために、例えば、接着剤の層や透明フィルムによってなどによって補正されなければならない。
【0045】
図3に示す第2の実施形態によれば、シールは、2つの部分39および41を備える2段シール37である。薄い方の第1の部分39は、金属製インサートによって形成された内部リム10と表示画面2との間に挿入されることが意図されている。厚い方の第2の部分41は、表示画面2とタッチパッド3との間に挿入されるように、内部リム10を越えて表示画面2の中心に向かって延びることが意図されており、2段シール37の2つの部分39および41は、先の実施形態のシール15の2つの部分17および19と同じ機能を有する。2段シール37は、連続開放気泡発泡体(open cell foam)でも、独立気泡発泡体(closed cell foam)でも形成することができる。というのは、この実施形態では、2段シール37の第1の部分39は先の実施形態の場合ほど圧縮されないからである。よって、シール37の第1の部分39は、例えば、2から5mmの長さと、0.5mmの負荷なしの初期厚さおよび圧縮後の0.3mmの厚さとすることができ、他方第2の部分41は、2から5mmの長さと、0.9または1mmの負荷なしの初期厚さおよび圧縮後のおおよそ0.8mmの厚さとすることができる。この実施形態で表示画面2と制御前面4との間の結果的な距離は、先の実施形態での距離と同じである。図3の制御表示モジュール1のその他の要素もまた、図2に示した先の実施形態と同一である。
【0046】
図4に示す第3の実施形態によれば、その第1の部分22が表示画面2とケーシング5の内部リム10との間に挿入されるシール21に加えて、制御表示モジュール1は、その第1の部分26がケーシング5の内部リム10とタッチパッド3との間に挿入されるさらに別のシール23も備える。2つのシール21および23のそれぞれの第2の部分28および30は、内部リム10を越えて表示画面2の中心に向かって延びる。2つのシール21および23の組み合わせはよって、表示画面2とタッチパッド3との間にしっかりした封止を生じさせることを可能にする。この場合には、2つのシール21および23は、例えば、0.5または0.6mmの負荷なしの初期厚さを有し、2つのシールの第1の部分は2から5mmの長さと、圧縮後の0.3mmの厚さとを有し、第2の部分も2から5mmの長さを有する。この実施形態で表示画面2と制御前面4との間の結果的な距離は、先の実施形態での距離とほぼ同じである。図4の制御表示モジュール1のその他の要素もまた、図2および図3に示した先の実施形態と同一である。
【0047】
また、前述の実施形態の1つまたは複数のシールは、金属製インサートによって形成された内部リム10の縁部を隠すことを可能にすることにも留意すべきである。実際には、1つまたは複数のシールは、例えばつや消し黒などで着色されていてよく、よって、金属製インサート10の縁部を隠すことができ、金属製インサート10はその場合塗装される必要がなく、そのコストが低減される。
【0048】
さらに、前述の異なる実施形態では、(1つまたは複数の)シールを、シールが接触する要素の圧力によって保持することができるが、(1つまたは複数の)シールは、両面粘着性シール、すなわち、その両面が、(1つまたは複数の)シールと、シールが接触する要素の表面との接着を保証することを可能にする粘着性物質を含むものとすることもできる。代替の実施形態によれば、シールはその面の一方だけに粘着性物質を含んでいてよく、これは、特に製造中にシールを所定の位置に保持することを可能にし、封止効果はシールの圧縮によって保証される。
【0049】
また、制御表示モジュール1の技術的要素も、見栄えのよい仕上げとするために、ユーザの視界から隠される必要がある。このために、図2の詳細IIを概略的に示す図5に提示するように、(装飾フィルムに相当する)不透明着色部24が保持および保護フィルム11に施されている。この着色部24は、ユーザによって感じられないよう、および、保持および保護フィルム11の外面への偏光フィルムの貼付または傷がない(non-scratch)コーティングの塗布を容易にするように、タッチパッド3およびフロントフレーム7と接触する保護フィルム11の面に施されている。
【0050】
よって、図5には、矢印27および29で、限界角度であると考えられる、表示画面2に対する法線に対して40°の角度に対応するユーザの視角が示されている。不透明着色部24の適用の限界は、不透明着色部24が、一方の側から(矢印27)は表示画面2上の(線25で識別される)表示画像の縁部を隠さず、他方の側から(矢印29)は金属製インサートを隠すことを可能にし、金属製インサート10の縁部がシール15によって隠されるように決定される。よって、ユーザには表示画面上のすべての画像が見えるが、制御表示モジュール1の技術的部分、特に金属製インサート10は見えない。加えて、不透明着色部24の代わりに、偏光フィルムまたはスモークフィルムも、シールおよび接着剤の全体的に灰色がかった外観を隠すことができることにも留意すべきである。
【0051】
制御表示モジュール1の様々な要素の配置をよりよく説明するために、図6a〜図6dに、シール15がその全長にわたって均一な厚さを有する第1の実施形態のためのいくつかの要素の組立てにおける異なるステップを示す。
【0052】
図6aには、シール15が表示画面2のリムと位置合わせされるように表示画面2上に位置決めされる組立プロセスの第1のステップを示す。両面粘着性シールの場合には、シール15が表示画面2に接着される。
【0053】
図6bには、表示画面2がケーシング5内に、表示画面2の外側に位置するシール15の第1の部分17が内部リム10を押すように位置決めされる組立プロセスの第2のステップを示す。両面粘着性シールの場合には、シールが内部リム10に接着される。
【0054】
図6cには、表示画面2の深さが、内部リム10に対してシール15の第1の部分17を圧縮するように調整される組立プロセスの第3のステップを示す。
【0055】
図6dには、タッチパッド3と保持および保護フィルム11とを含む組部品がケーシング5のフロントフレーム7の外面に固定され、結果としてタッチパッド3によるシール15の第2の部分19のわずかな圧縮が得られる組立プロセスの第4のステップを示す。両面粘着性シールの状況では、シール15の第2の部分19がタッチパッド3に接着される。よって、シール15の第2の部分19は、表示画面2とタッチパッド3との間のしっかりした封止を提供する。
【0056】
図7aに、モジュール1が(点線で囲まれた)異なるタッチセンシティブ制御領域を備える自動車用の制御表示モジュール1の代替の実施形態の概略的正面図を示す。表示画面2に対応するタッチセンシティブ領域に加えて、モジュール1は、制御ボタンをシミュレートすることを可能にするタッチセンシティブ領域6a〜6fも備える。これらの領域は、例えば、昼間に、または夜間に運転している間に見え、モジュール1に完全に統合されているという錯覚を与えるように、背後から照光され得る。
【0057】
さらに、これらのタッチセンシティブ制御領域6a〜6fはタッチパッドの背後に表示画面がなく、それにより、ユーザには見えないが、コストを大幅に削減することが可能になる。よって、図5に示した不透明着色部24のような黒い着色を、表示画面2およびバックライト式の制御領域6a〜6fを除くすべての保持および保護フィルムに施すことによって、滑らかな、図7bに示すような表示画面およびバックライト式の制御領域6a〜6fを明示する制御前面が得られる。さらに、そのような構成では、ケーシング5は、これらのタッチセンシティブ制御領域6a〜6fと関連付けられた装置のための剛性の支持ブロックを作り出すために、タッチセンシティブ制御領域6a〜6fの方へ延長されている。
【0058】
よって、本発明の異なる実施形態は、衝撃または振動が生じた場合にさえも所定の位置に表示画面2が保持され得ると同時に、表示画面2とタッチパッド3との間の封止を保証する。さらに、前面フレームに保持される保持および保護フィルム11により、制御表示モジュール1の外観の、スムーズかつ均一な仕上がりを得ることができると同時に、保持および保護フィルム11が薄く、かつ、保持および保護フィルム11と表示画面2との距離が短いために、高品質な表示および高感度なタッチパッド3による検出を達成できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図7a
図7b