(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6195833
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】改良されたレーザ距離センサ
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20170904BHJP
G01S 17/88 20060101ALI20170904BHJP
G01S 17/10 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
G01B11/24 A
G01S17/88
G01S17/10
【請求項の数】19
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-530766(P2014-530766)
(86)(22)【出願日】2012年9月13日
(65)【公表番号】特表2014-533350(P2014-533350A)
(43)【公表日】2014年12月11日
(86)【国際出願番号】US2012054993
(87)【国際公開番号】WO2013040121
(87)【国際公開日】20130321
【審査請求日】2015年4月3日
(31)【優先権主張番号】61/534,148
(32)【優先日】2011年9月13日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514063799
【氏名又は名称】オーエスアイ オプトエレクトロニクス インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094983
【弁理士】
【氏名又は名称】北澤 一浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095946
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100099829
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 朗子
(74)【代理人】
【識別番号】100192337
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】ファウラー、キース
(72)【発明者】
【氏名】レイ、ナン−ミン
【審査官】
神谷 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特表2002−515116(JP,A)
【文献】
特開2004−210045(JP,A)
【文献】
特開2010−091377(JP,A)
【文献】
特開2004−272842(JP,A)
【文献】
特開平10−170651(JP,A)
【文献】
特開2002−008188(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0078569(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
G01S 7/48− 7/51
G01S 17/00−17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の三次元形状を測定するシステムであって、
レーザ送信機及び光検出機を有して、複数のレーザビームを生成し、複数の反射ビームを検出し、前記反射ビームの各々は、前記複数の生成されたレーザビームの1つに相当する距離センサと、
前記距離センサに対して配置され、前記車両を横切る前記レーザビームの各々を平行にするスキャンニング機構と、
を有し、
前記スキャンニング機構は、各々が反射面を有する4ファセットキューブを有し、
前記ファセットキューブは、生成されたレーザビームの反射に適するように前記距離センサに対して配置され、
前記スキャンニング機構は、さらに、前記距離センサとデータ通信を行い、前記レーザビームの生成をトリガして所定のスキャン角度を作成するスキャナ制御回路を有し、
前記距離センサの検知領域は、複数の走行レーンを有する車道を含み、
前記車両が前記センサの前記検知領域を移動する時に、前記生成されたレーザビーム及び反射ビームのタイミングから得られた飛行時間を使用して、センサから前記車両の部分までの距離範囲を測定すると共に、前記距離範囲に基づいて前記車両の3次元形状を測定する処理システムと
を有することを特徴とするシステム。
【請求項2】
飛行時間の測定用に時間デジタル変換器(TDC)をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記TDCは、単一のレーザパルスから最大4つのリターンパルスを受信するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
少なくとも2つのTDCを有することを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記4ファセットキューブは、一定の速度で一方向に継続的に回転することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記4ファセットキューブは、一回転毎に4回のスキャンを可能とすることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムは、複数のレーザ到達範囲を生成し、
前記レーザ到達範囲は、端部から端部まで接触するストライプとして現れ、検出の連続ラインを提供することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムの距離範囲の解像度は、±1cmであることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
距離範囲測定の限界は、カスタマイズ可能であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
レーザ送信機及び光検出機からなる距離センサの検知領域を通過する車両の三次元形状を測定する方法であって、
4ファセットキューブを有するスキャンニング機構を使用して前記車両を横切るように複数のレーザビームをスキャンする工程であって、前記4ファセットキューブは、一直線に視野を横切ってレーザビームを指向させるために使用される反射面を有し、前記スキャンニング機構は、所定スキャン角度でレーザをトリガするスキャナ制御回路をさらに有し、該工程により複数の走行レーンを有する車道を前記距離センサの検知領域に含む、工程と、
飛行時間測定値を使用して前記センサから前記車両の部分までの距離範囲を測定する工程と、
各スキャン角度に対する距離範囲データを処理して前記車両の三次元形状を測定する工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項11】
4ファセットキューブは、スキャン中に一定速度で一方向に連続して回転することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
スキャンを行う前記キューブは、各回転毎に4回のスキャンを生じるように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
飛行時間測定用に時間デジタル変換器(TDC)を使用する工程をさらに有することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記TDCは、単一のレーザパルスから最大4つのリターンパルスを受け取るように構成されていることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記TDCは、少なくとも2つのTDCを有することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
さらに、スキャン中に複数のレーザ到達範囲を生成する工程を有し、
前記レーザ到達範囲の各々は、端部から端部まで接触するストライプとして現れ、検出の連続ラインを提供することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項17】
測定の距離範囲の解像度は、±1cmであることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項18】
距離範囲測定の限界は、カスタマイズ可能であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記スキャナ制御回路は、スキャン角度の1度毎に1回レーザパルスをトリガすることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本明細書は、2011年9月13日に出願され「改良されたレーザ距離センサ」と題された米国仮特許出願第61/534、148号に依拠する。上記明細書は、参照として本願に取り込まれている。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、オブジェクトセンサに関し、特に、交通、輸入、輸出その他規制実施カメラのトリガをも可能としながらも、車両を精度良く検知し、検出し、又は分類するために役立つ改良されたレーザ距離センサに関する。
【背景技術】
【0003】
従来のオプトエレクトロニクスセンサは、路面上方の固定点から路面までの垂直距離を測定し、次にセンサの下方を通過し又は停車する車両までの距離を測定する飛行時間レーザ距離計システムを使用する。パルスビームの高い繰り返しレートのために、従来のシステムは、車両がセンサの下方を通過するときに、マルチ連続範囲測定値を使用して車両の長手方向のプロファイルを展開することができる。従来のシステムでは、車両の速度を測定して車両のプロファイルを展開するために、この情報を使用することができるものもある。
【0004】
従来、センサは、領域、又は車両などの領域内に位置する物体のいずれかから反射されるエネルギの一部を受信する。次に、リターンパルスエネルギは、領域内の物体の存在によって生じ得る、放射され且つ受信されたパルスの飛行時間の変化を測定するために、受信機に入力として提供される。センサは、また、領域内の1つ以上の物体の速度、個体数、サイズ、又は形状を示す出力を提供するときに有用な様々な特徴を備えている。例えば、典型的なセンサは、飛行時間測定手段から入力を受け取り、物体が複数の分類基準のうちの1つを満たすかどうか(例えば物体は乗用車、トラック又はオートバイであるかどうか)を示す出力を提供するコンポーネントを備えている。
【0005】
係るセンサは、交通制御及びサーベイランス同様に、料金徴収、交通量解析、橋・トンネル・クリアランス検査を含む、広範囲の用途に亘って交通を追跡し且つ分析する非破壊の解法として使用されている。これらの用途は、まさに精度の高いセンサトラッキング及び検出能力を必要とする高ダイナミック操作環境を有する。従来のシステムは、特に、悪天候の間の車両の特定及び分類を可能にする十分に高いスキャンレートで位置を通過する高スピードの交通量を正確に測定し、追跡することは未だできなかった。
【0006】
従って、高スキャンレートで改良された範囲精度及び分解能を備えたセンサシステムに対する需要がある。また、悪天候により生じる誤測定を減らすセンサシステムに対する需要もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、車両分類情報を提供するレーザ手段を有するパルス飛行時間測距センサを開示する。さらに、本明細書は、センサから車両の一部までの距離レンジを測定するレーザ手段を有して、車両がセンサの検出領域内を移動するパルス飛行時間距離センサを開示する。本明細書は、各距離範囲データ出力毎の角度センサに相当する範囲データ出力をも開示する。さらに、車両を横切るように少なくとも1つのビームをスキャンするスキャンニング手段が設けられる。スキャンニング手段は、一の実施の形態では、反射面を有する4ファセットキューブであり、スキャンニングミラーとして使用される。さらに、車両の3次元形状を測定するための各距離範囲データ及び角度範囲データを処理するプロセシング手段も設けられている。
【0008】
一の実施の形態において、本明細書は、車両の3次元形状を測定するシステムである。システムは、複数のレーザビームを生成すると共に複数の反射ビームを検出するレーザ送信機及び光検出器と、車両を横切る前記生成レーザビームの各々をコリメートするために距離センサに対して配置されたスキャンニング機構とを有する。反射ビームの各々は、生成された複数のレーザビームの1つに相当する。前記スキャンニング機構は、各ファセットが反射面を有する4ファセットキューブを有し、前記4ファセットキューブは、生成されたレーザビームを反射するように、距離センサに対して配置されている。前記スキャンニング機構は、さらに、レーザビームの生成をトリガして所定のスキャン角度を生成するために前記距離センサとデータ通信を行うスキャナ制御回路と、車両がセンサの検知領域内を移動するとき、前記生成レーザビーム及び反射ビームのタイミングから得られる飛行時間測定値を使用して、センサから車両の部分までの距離範囲を測定して、距離範囲に基づいて車両の3次元形状を測定するプロセシングシステムとを有する。
【0009】
さらに、本明細書のシステムは、時間デジタル変換器(TDC)を有する。TDCは、単一のレーザパルスから最大4つのリターンパルスを受信するように構成されている。一の実施の形態では、システムは、少なくとも2つのTDCを有する。
【0010】
一の実施の形態において、本明細書にて記載される4ファセットキューブは、一定速度で一の方向に連続的に回転し、各回転毎に4回のスキャンを可能にする。
【0011】
一の実施の形態において、システムは、複数のレーザ到達範囲を生成し、前記レーザ到達範囲は、一方の端部から他方の端部に延びるストライプとして現れ、連続する検出ラインを提供する。
【0012】
一の実施の形態において、本明細書は、レーザ送信機及び光検出機を有する距離センサの検知領域を通過する車両の3次元形状を測定する方法を開示する。この方法は、4ファセットキューブを有するスキャンニング機構を使用して車両を横切るように複数のレーザビームをスキャンする工程を有する。前記4ファセットキューブは、レーザビームを直線で視野を横切るように指向させるために使用される反射面を有する。前記スキャンニング機構は、所定のスキャン角度でレーザをトリガするスキャナ制御回路を有する。方法は、さらに、飛行時間測定値を使用して、センサから車両の一部までの距離範囲を測定し、各スキャン各度毎に距離範囲データを処理して、車両の3次元形状を測定する工程を有する。
【0013】
一の実施の形態において、4ファセットキューブは、スキャンの間、一定速度で一の方向に連続的に回転する。一の実施の形態において、スキャンニングキューブは、各回転毎に4回のスキャンを行うように構成される。
【0014】
一の実施の形態において、本明細書の方法は、飛行時間測定用に時間デジタル変換器(TDC)を使用する。TDCは、単一のレーザパルスから最大4つのリターンパルスを受け取るように構成されている。他の実施の形態において、システムは、少なくとも2つのTDCを有する。
【0015】
一の実施の形態において、システムは、スキャンの間、複数のレーザ到達領域を生成し、各レーザ到達領域は、一端部から他端部に向けて延びるストライプとして現れ、連続した検出ラインを提供する。
【0016】
一の実施の形態において、システムの距離範囲の解像度は±1cmである。他の実施の形態では、距離範囲測定の限界は、カスタマイズ可能である。
【0017】
一の実施の形態において、スキャナ制御回路は、スキャン角度の一度毎に1回レーザパルスをトリガする。
【0018】
本明細書の上記及び他の実施の形態は、図面により詳細に記載され、以下の明細書に詳細を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】道路の情報に取り付けられたオプトエレクトロニクスセンサシステムの一の実施の形態の正面図を示す。
【
図2】
図1Aに記載され、高さ「H」に取り付けられ、角度「A」より前方に見下ろす、センサの側面図である。
【
図3】センサがおよそ7メートルの高さに取り付けられた一の実施の形態におけるレーザの到達範囲を示す。
【
図4】センサが交通の移動方向に対して角度0度にあるときのセンサ用に取付高さを変更するためのレーンカバレッジデータを提供する表である。
【
図5A】一の実施の形態による検知システム用の複数の性能パラメータを示す表である。
【
図5B】本発明の一の実施の形態による複数のレーザ出力パラメータを記載する表である。
【
図5C】本発明の一の実施の形態により、センサが実行できる、複数の環境ファクタ及び関連する性能パラメータを示す表である。
【
図6】本発明の一の実施の形態による回転キューブスキャナを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書は、車両分類情報を提供するレーザ手段を含むパルス飛行時間距離センサを開示する。より詳細には、本明細書は、センサから車両の一部までの通達距離を測定するレーザ手段を有して、車両がセンサの検知領域内を移動し、データ出力の各々の範囲が各距離範囲データ出力用のセンサ角度に相当するパルス飛行時間距離センサシステムを開示する。
【0021】
さらに、検知システムは、車両を横切る少なくとも1のビームをスキャンするスキャンニング手段を有する。一の実施の形態において、スキャンニング手段は、反射面を有する4ファセットキューブであり、スキャンニングミラーとして使用される。さらに、プロセシング手段が、車両の3次元形状を測定するために各々の角度範囲データ及び距離範囲データを処理するためにも設けられている。
【0022】
本明細書は、複数の実施の形態を開示する。以下の開示は、当業者が発明の実施を可能とするように提供されている。本明細書で使用される言語は、特別の実施の形態の一般的な否認として解釈すべきではなく、本明細書にて使用される用語の意味を超えて請求項を限定するために使用すべきではない。本明細書にて定義される一般的な原理は、本発明の権利範囲から逸脱せずに、他の実施の形態や応用例に適用される。また、使用される専門用語及び文体は、例示的な実施の形態を記載する目的のためであり、限定として考慮すべきではない。このように、現在開示されている発明は、開示された原理及び特徴と一致する多数の変更例、変形例及び等価な実施の形態を含む最も広範囲な権利範囲と一致するものとする。明確を目的として、本発明に関する技術分野で周知の専門的な物質に関する詳細は、本発明を不必要に不明確にしないために、詳細に記載しない。
【0023】
図1は、検知システムのオプトエレクトロニクスセンサ105の正面図を示す。検知システムは、複数の走行レーン115を有する車道110の上方に取り付けられ、センサ105の下方を通過する車両120を検知し、検出し、分類するとともに、ビデオ及びオーディオ捕捉装置をトリガーする。一の実施の形態により、センサ105は、高速道路の速度で走行する車両を検出するためのマルチレーンエレクトロニック料金徴収オペレーションにおいて使用される。センサ105は、多くの場合、ガントリ、ポールアーム、又は料金所の屋根の構造物125のいずれかの走行レーンの真上に取り付けられている。より具体的には、センサは、好ましくは、車道110の上方又は車道110を超えて延在するガントリ構造物125の水平部分の中心点又はその周辺に取り付けられ、ガントリ構造体125の左右の垂直部分に固定的に取り付けられることによって、高所に維持されている。
【0024】
図2は、およそ7メートル(23ft)の高さ「H’」、且つ10度の前方見下ろし角度「A」215で取り付けられたセンサ205の側面図である。センサは、好ましくは、センサ205から発せられたビーム225が、車道に向けて下方に飛行し、ガントリ230に対して90度未満の角度で車道を交差するように、法線からオフセットされて取り付けられている。このような角度は、センサ205を、ガントリ230に対して、25度未満の範囲内の、好ましくはおよそ10度の見下ろし角度215を使用して取り付けることによって形成される。
【0025】
図1及び2を参照すると、動作中は、センサ105は、センサ下方の道幅を横切る距離・範囲測定値を取りつつ、車道をスキャンする。車両がないとき、範囲の測定値は、道110までの距離範囲に等しい。車両120がセンサの下方にあるとき、車両の上面までの距離が測定され、スキャン毎に車両の横方向の高さプロファイルを提供する。このように、
図2に示すように、車両がスキャンするレーザビームを通過するとき、車両の表面上の様々なポイントまでの距離範囲は、車両に向けて複数のレーザビームを発し、複数のレーザビームの各々に対し対応する反射ビームを検出し、発せられ且つ対応する反射ビームの各々に対する飛行時間を記録し、距離情報を生成するために飛行時間データを使用することによって測定される。一の実施の形態において、センサ105は、毎秒120スキャンの速さ(sps)で90度の視野の幅を横切る狭レーザビーム135をスキャンする。狭レーザビームスキャン幅によって、高速で走行する車両に接近して追従する検出及び分離が可能となる。
【0026】
次に、これらの範囲や測定距離は、車両のプロファイルを生成するために使用される。プロファイルは、得られた距離測定値のために、当業界では周知の幾何学変換を使用して形成される。一の実施の形態において、レーザスキャンは、様々なスキャン角度で実行されて、距離の測定値のより広い範囲を獲得し、より正確な車両プロファイルを生成する。
【0027】
一の実施の形態において、これらの測定値は、車道での各車両の位置を一義的に検出し、分類し、そして測定するためにプログラムされたコンピュータにリアルタイムで(有線又は無線ネットワークを使用して)ストリーミングされる。本発明の一の概念により、スキャンニングレーザ距離計は、車両検出の改善された精度及びトリガを可能とする単一面プロファイルを測定する。一の実施の形態において、パルス飛行時間範囲測定は、精度±2.5cm(±1.0インチ)の車両プロファイルを提供する。連続したスキャンをコンピュータにストリーミングすることによって、完全3次元車両プロファイルをリアルタイムで展開できる。
【0028】
なお、センサの取付高さは、各例示毎に変わることに留意すべきである。様々な水平ビーム幅及び取付高さの相関が、以下に提供され、
図4について示されている。
図4は、センサが車両に対して0度の角度にあるときに、センサの取付高さ415を変更することについて、水平ビーム幅405の点で、レーンカバレッジを提供する表を提供する。好ましい実施の形態において、見下ろし角度「A」は、出射されたレーザ光の高い反射を生成するために、0から10度までの範囲にある。反射ストライプは、出射レーザ光の反射を増やすために10度よりも大なる見下ろし角度に位置され、道の上に間隔を空けて路面にペイントされていても良い。舗装が非常に真っ黒であり、そのために反射率が低ければ、反射ストライプを使うこともできる。これによって、水たまりが舗装の上にあり、スキャナからのエネルギを散逸させるような雨の中では、反射して戻る十分な量のエネルギが保証される(鏡のような効果)。
【0029】
図1及び2を再び参照すると、一の実施の形態により、センサ105、205は、隣接配置され且つ軸外配置のダイオードレーザ送信機及びシリコンアバランシェフォトダイオード(APD)受信機からなるパルス飛行時間距離計を使用する。参照用に、アバランシェフォトダイオードは、本実施の形態にて使用されるように、電子の雪崩による少量の移動によってストライクされたときに多量の電流を生成するフォトセンサである。送信機は、ダイオードレーザ、その駆動回路、及びコリメートレンズからなる。光受信機は、対物レンズ、狭帯域光フィルタ、検出機・増幅器、及び閾値検出器が互いに接続されてなる。
【0030】
一の実施の形態において、ダイオードレーザは、パルス出力を生成するために、ダイオードドライバによって駆動されるInGaAs注入レーザである。スキャナ制御回路からのトリガパルスは、必要スキャン角度でレーザをトリガする。一の実施の形態において、シリコンAPD受信機用の理想レーザ放射波長は、904nmである。
図5Bは、本発明の一の実施の形態による複数のレーザ出力パラメータを示す。複数のレーザ出力パラメータは、波長、最大パルス幅、パルス毎の最大エネルギ、及び平均レーザパワーを含むが、これらに限定されない。一の実施の形態において、レーザ波長は904nmである。一の実施の形態において、最大パルス幅は8nsである。一の実施の形態において、パルス毎の最大エネルギは64nJである。一の実施の形態において、平均レーザパワーは、8μWである。上記のように提供された値は、本発明の一の実施の形態を反映する値の例示である。なお、これらの値は、変更可能であり、製造時の誤差によるユニットからユニットまでの些細な変化があることに留意すべきである。
【0031】
本発明の一の実施の形態により、センサは、ラインスキャンを行うために回転するフォー・ファセット・キューブも使用するので、ダイオードレーザパルスを直線状に視野(道)を横切るように効率良く指向させる。このように、フォー・ファセット・キューブは、レーザコリメータとして使用される。
図6を参照すると、キューブスキャナ601は、一定速度で一方向に連続して回転する。キューブスキャナ601は、4つの側面、すなわち、ファセット601a、601b、601c及び601dを有する。一の実施の形態において、キューブスキャナ601は、4つのファセット601a、601b、601c及び601dによって形成された1の正方形又は長方形のブロック691と、4つのファセットによって形成される第2の正方形又は長方形のブロック692とを含む。第2のブロック692は、レーザダイオード602から送られてくるエネルギを受け取り、さらに反射するように構成されている。第1のブロック691は、道路や車両からの反射エネルギを受け取り、そして反射するように構成されている。第2のブロック及び第1のブロックは、ギャップを介して離間されていても良く、ブロック691、692の一方が他方に対して回転できるように、軸を介して物理的に結合されていても良い。2つのブロック691、692は、第2のブロック692からギャップによって分離されていたり、両者が回転できるような方法で両ブロックに結合されているベース693に装着されていても良い。
【0032】
各ブロック691、692における各ファセットは、反射面からなる。各ファセット間の角度、及び各ファセットと各ブロックのベースとの間の角度は、90度である。4ファセットキューブによって、1回転毎に4回のスキャンが可能になる。従来のスキャンニングシステムは、レーザの軸に対して45度に装着された単一のミラー面を使用し、故に、ミラーの1回転毎に1回のスキャンのみを可能としていた。レーザの軸に垂直な4つのファセットを備えることによって、本発明のキューブ601は、1回転毎に4回のスキャンを提供する。このように、本システムのモータは、同一回数のスキャンを行う従来のシステムにおいて4分の1のモータの速度のみでの回転を必要とする。さらに、レーザは、本システムにおいて、1度の回転でパルス化されるため、4面キューブの使用によって、本システムのレーザは、従来のシステムの繰り返し速度の4分の1でパルス化が可能となる。これによって、本システムは、モータをより高速でスピンさせることができ、より高速でスキャンし、低い周波数でレーザをパルス化する。これによって、現システムは、モータをより高速でスピンさせたり、より高速でスキャンさせたり、レーザを低周波数でパルス化したりできる。従って、レーザが過剰動作したり、又は有害な温度までに昇温されることを回避できる。
【0033】
回転するキューブによって、たとえ高速道路が3つ以上のレーンを有していても、高速道路全体を横切る略直線状にダイオードレーザ602をスキャンするために必要な一定角度の分離が可能となる。モータ制御機構603が、回転を容易とするためにキューブ601に結合されている。モータ速度制御631及びファセット位置632用の信号は、デジタル信号プロセッサ(DSP)610によって生成される。一の実施の形態において、DSP610は、適宜のインターフェース660によってコンピュータに接続されている。
【0034】
DPS610は、レーザトリガ信号633も生成し、レーザドライバ604をトリガして、レーザダイオード602を起動する。ダイオードレーザから発せられたレーザビームは、レンズ605を使用してコリメートされる。ビーム640は、回転するキューブスキャナ601によって向きを変えられ、温度制御ウインドウ606を通過して、目標の車両をスキャンする。ウインドウは、必要に応じて、加熱され、又は冷却されるので、ウインドウは、凝結による曇りや汚れの影響を受けにくい。
【0035】
一の実施の形態において、光検出回路は、車両から反射された光の放射を、入力放射の等価なエレクトリカルアナログに変換し、次に論理レベル信号に変換する。このように、目標の車両650から反射されたレーザビームは、再び、光検出回路を介してスキャンニングキューブ601によって、光受信機611に向けて方向を変えられる。なお、光検出回路は、受信機対物レンズ607、フィルタ608、及びAPD検出器609を有する。論理レベル信号は、距離カウンタロジック620の内部で処理されて、デジタル範囲データ634を生成する。
【0036】
一の実施の形態において、パルス走行時間の測定値は、デジタル信号プロセッサ(DSP)610によって読まれ、距離・範囲測定値へと変換される。実施の形態において、時間・デジタル変換器(TDC)が、飛行時間測定用のシングルチップ上の集積回路として使用される。この装置によって、システムの組み込みソフトウエアは、スタートパルス635とストップパルス636との間に期間を設けることによって、スキャナの下方の物体の範囲を測定することができる。なお、スタートパルス635は、レーザが発せられたときに生成され、ストップパルス636は、レーザの反射エネルギが、ターゲットに入射して反射されてスキャナに戻るときに生成される。TDCの使用は、従来の時間・アナログ変換(TAC)及びアナログ・デジタル変換(ADC)マルチチップ回路に比較すると、解像度が良くなり、サイズが小さくなり、回路がシンプルになり、電力消費が低下し、価格が廉価になる。これは、TDCテクノロジが、時間のセグメントを、その時間のデジタル表現へと変換しながらも、TACテクノロジは、時間セグメントを、次にデジタル値へと変換しなければならないアナログ値に変換する。TACは、タスクの実行に比較的大量の電子回路を必要とするが、TDCは、小さな集積回路からなるのみである。TDCは、等価なTAC回路によって必要とされるものに比較して、およそ0.005%の回路基板のリアルエステートを消費する。一の実施の形態において、範囲の解像度は、従来の±7.62cmに対して、±1cmに改善される。
【0037】
さらに、TDCは、単一のレーザパルスから最大4つのリターンパルスまで受け取ることができる。実施の形態により、センサ上で2つのTDCチップを使用し、それらの間を前後にスイッチングすることによって、単一のレーザパルスからの8つのリターンパルスが、受信される。一の実施の形態において、35ftに設定された最大範囲で、8つのリターンパルスは、僅か70nS、すなわち0.00000007秒で受信される。これは、TACを使用して達成できるが、しかし、この目的に必要とされる回路の量は、回路基板上で少なくとも200倍以上の空間を必要とする。この構成は、悪天候から入ってくるリターンを無視し、センサの下方を移動する車両からのリターンを使用することによって、雨、雪及び霧の悪天候の下で調べる能力を改善する。
【0038】
図5Cは、本発明の一の実施の形態によりセンサが実行する複数の環境ファクタ及び対応する性能パラメータを示す。一の実施の形態において、環境ファクタは、温度、熱衝撃、湿度、雨、雪の負荷、氷の負荷、風の負荷、埃、振動、衝撃、信頼性及びメンテナンス性を含むが、これらに限定されない。
【0039】
一の実施の形態において、提供されたレーザの配置及びコリメート用の光学系(4ファセットキューブ)は、垂直軸方向に82.6uラジアン及び水平軸方向に16.5mラジアンの固有ダイバージェンスを備えたレーザの到達範囲を提供する。
図1に示すセンサ105は、車道の上方7.65m(25フィート)のところに取り付けられるとき、スキャンニング90レーザパルスによって照らされる地面上の車道の幅は、15.3メートル(50フィート)をカバーする。一の実施の形態において、センサ105が、車道の上方およそ6m(20フィート)のところに取り付けられるとき、単一のレーザパルスは、車道上の139mm(5.49インチ)のストライプ・到達範囲によって、0.762mm(0.03インチ)を照らし、レーザがスキャン角度の1度毎に1回パルス照射されるときに、2から3レーン用に最適なクロスレーンカバレッジと高いインライン解像度とを提供する。他の実施の形態において、センサが例えば7メートルの高さに取り付けられれば、レーザビーム用の各範囲測定は、舗道上の115.6mm(4.55インチ)のストライプ・到達範囲によって0.508mm(0.02インチ)を照らす。
【0040】
図3を参照すると、他の実施の形態において、センサが25フィートの高さに取り付けられるとき、舗道に形成されるレーザの到達範囲は、垂直方向310におよそ、0.15インチ(3.6mm)及び水平方向305に4.6インチ(117mm)である。なお、到達範囲は、舗道に沿ってストライプとして現れるものとして理解すべきである。これらの「ストライプ」パターンの到達領域は、スキャンの間に形成され、端から端まで単にタッチする道を横切る連続するストライプとして現れ、故に、連続した検出ラインを提供する。ストライプ状の到達範囲のパターンは、光放射チップの出力ファセットの形状が長方形である、ダイオードレーザの使用の結果である。
【0041】
一の実施の形態において、システムは、各スキャン毎に90画素を生成し、スキャンラインの間のギャップが殆ど無いスキャンラインを横切るように並ぶ。
図1に示す取付の配置によって、画素対ギャップの比は、18.8よりも大きい。次の画素との間のギャップは、この取付高さでは、およそ6.6mm(0.26インチ)である。故に、ギャップのサイズよりも大きな形状、例えば、5cm(2インチ)の牽引バーは、センサの少なくとも1画素によって検出され、故に、一の実施の形態において99%を超える車両検出精度を可能とする。連続するスキャンラインとして現れるこのタイプのレーザ到達範囲は、例えば、トレーラーや、牽引車両へのアタッチメントの検出を可能にする。高い画素対ギャップ比は、本システムのストライプ、連続スキャンラインデザインの使用によって達成されることに留意する。一の実施の形態において、レーザは、1度間隔でパルス化される。周知の間隔によって、レーザの幅が、角度分離と正確なレートでサイズが増加するように、特定のビームの発散を生成するように、適切なレーザの幅及び光学系が選択される。当業者は、従来のレーザスキャナは、本発明のストライプ状且つ連続スキャンラインとは異なる円形の到達範囲を有すること、本明細書に開示される実施例はオーバーラップを最小としながらも、従来のスキャナは、範囲が増加するに連れて相当量のオーバーラップを生じることを理解すると思われる。
【0042】
図5Aは、スキャン速度、範囲の精度、角度の解像度などの一の実施の形態による、本発明のセンサに対する複数の性能パラメータを示す表である。本発明の一の概念により、センサの最小範囲ゲートは、カスタマによって設定されたり、又はカスタマイズされる。これによって、カスタマは、所定範囲までのリターンを無視するために、また、この範囲を超えた距離のみを処理するために、センサをセットすることが可能になる。一の実施の形態において、最小範囲ゲートは、8分の1インチ刻みで0フィートから25フィートまで設定できる。これは、悪天候による、走査対象となる車両の結果としての3次元プロファイルを変形させるショートレンジ(間違い警報)の発生を禁止するために使用される。
【0043】
一の実施の形態において、カスタマは、各スキャン内で発生させるパルスの個数をカスタマイズできる。一の実施の形態において、カスタマは、スキャンの角度をカスタマイズできる。一の実施の形態において、スキャンの角度は、90度の最大値から20度の最小値まで調整できる。当業者は、他の複数個のパラメータが、ユーザの好みに応じてソフトウエアによって調整されることを理解すべきである。
【0044】
当業者は、本発明のセンサは、単一面内の範囲を測定するため、移動する車両の速度は、較正された3次元測定を可能とするために、他のセンサによってオプションによって捕捉されることを理解すべきである。しかしながら、非較正3Dプロファイルは、車両プロファイルについての価値ある情報を可能とし、コンピュータは、例えばトラックやバスとを容易に識別可能とする。当業者は、トラックやバス、ピックアップ、車、バン、セダン、コンバーチブル車、コンパクト車などの車両分類の様々なタイプが、ソフトウエアの複雑性によって制限され、故に、システムは、車両を適宜の個数のカテゴリへと分類するように較正されていることを理解すべきである。一の実施の形態において、システムは、最大12クラスまでの車両の分類が可能である。一の実施の形態において、本発明のセンサは、起動すると自動的に測距プロセスを開始し、そのセルフ較正プロセスは、起動時の適宜のフィールド調整用の必要性を排除する。
【0045】
他の概念により、本発明のシステムは、範囲データと共に反射物体の強度を報告する能力を有する。スキャンラインを横切る各画素毎の反射強度を捕捉する目的は、範囲の訂正を行い、車両のクラスを判別する分類アルゴリズムにさらなるデータを提供することである。さらに、強度データは、悪天候の間の車両の分類及び検出を改良するために使用される。地上の水たまり又は油から反射や、車両のフロントガラスからの反射の場合、センサによって報告される範囲は、反射面までの実際の範囲よりもかなり長くなる。故に、強度データの捕捉は、センサから報告されるデータが間違っているように思える理由のユーザによる理解を助ける。トラブルシューティングの他の例は、センサの光アライメントが、未知の理由により変更された場合である。この場合、スキャナに戻る反射の強度は、適切且つ安定した測距にはあまりにも低すぎる。従って、範囲及び強度データを解析することで、システムオペレータを、センサの性能を低下させた原因を特定することが可能である。
【0046】
上記の実施例は、本発明のシステムの多数の適用例の例示にすぎない。本発明の2、3の実施の形態を記載したが、本発明は、本発明の権利範囲から逸脱せずに様々な特別な形態で実施されることを理解すべきである。故に、本発明の実施例及び実施の形態は、例示であって限定するものではなく、本発明は、従属請求項の権利範囲内で変更可能である。
【符号の説明】
【0047】
105、205 距離センサ
120 車両
602 レーザ送信機
611 光検出機
601、691、692 4ファセットキューブ
610 スキャナ制御回路、処理システム