特許第6195839号(P6195839)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6195839電子部品加工用粘着シートおよび半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6195839
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】電子部品加工用粘着シートおよび半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20170904BHJP
   C09J 7/02 20060101ALI20170904BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20170904BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
   H01L21/78 M
   C09J7/02 Z
   C09J201/00
   C09J5/00
【請求項の数】12
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-542190(P2014-542190)
(86)(22)【出願日】2013年10月18日
(86)【国際出願番号】JP2013078285
(87)【国際公開番号】WO2014061774
(87)【国際公開日】20140424
【審査請求日】2016年8月17日
(31)【優先権主張番号】特願2012-231657(P2012-231657)
(32)【優先日】2012年10月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】宮永 朋治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 陽輔
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 明徳
【審査官】 梶尾 誠哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−256595(JP,A)
【文献】 特開2010−27685(JP,A)
【文献】 特開2009−277860(JP,A)
【文献】 特開2003−147290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
C09J 5/00
C09J 7/02
C09J 201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムと、基材フィルムの一方の面に設けられた粘着剤層と、基材フィルムの他方の面に剥離可能に設けられた基材保護フィルムとからなり、
基材フィルムにおける剛軟度が105mm以上であり、
基材保護フィルムが、ポリエステル系フィルム又はポリオレフィンフィルムから選ばれる1種単独または2種以上の組み合わせであり、
電子部品加工用粘着シート上に半導体ウエハまたはチップを保持した状態で、該粘着シートとウエハまたはチップとの積層物を有機溶剤に接触させる工程に用いられ、
(i)SP値が9(cal/cm3)1/2以上であり、80℃の有機溶剤に1分間浸漬させた後における基材保護フィルムのヤング率の変化率が8%以下であるか、または(ii)SP値が9(cal/cm3)1/2未満であり、25℃の有機溶剤に24時間浸漬させた後における基材保護フィルムのヤング率の変化率が8%以下である、電子部品加工用粘着シート。
【請求項2】
ポリエステル系フィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、及びポリブチレンナフタレートフィルムからなる群から選ばれる請求項1に記載の電子部品加工用粘着シート。
【請求項3】
ポリオレフィンフィルムが、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスチレンフィルム、及びシクロオレフィンフィルムからなる群から選ばれる請求項1に記載の電子部品加工用粘着シート。
【請求項4】
基材保護フィルムの厚さが300μm未満である請求項1〜3の何れかに記載の電子部品加工用粘着シート。
【請求項5】
基材フィルムが、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルムまたはエチレン酢酸ビニル共重合体フィルムである請求項1〜4の何れかに記載の電子部品加工用粘着シート。
【請求項6】
半導体ウエハを回路毎に個片化し、半導体チップを作成する際に、半導体ウエハを固定するため、または、個片化された半導体チップが転写され、半導体チップをピックアップするために用いられる請求項1〜5の何れかに記載の電子部品加工用粘着シート。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載の電子部品加工用粘着シート上に半導体ウエハを保持した状態で、該粘着シートとウエハとの積層物を有機溶剤に接触させる工程を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項8】
有機溶剤のSP値が7〜12(cal/cm3)1/2であり、接触工程が接着剤、または接着剤および支持体の除去工程である請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
半導体ウエハが、突起状電極が設けられたウエハである請求項7または8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜6の何れかに記載の電子部品加工用粘着シート上に半導体チップを保持した状態で、該粘着シートとチップとの積層物を有機溶剤に接触させる工程を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項11】
有機溶剤のSP値が7〜12(cal/cm3)1/2であり、接触工程が接着剤、または接着剤および支持体の除去工程である請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
半導体チップが、突起状電極が設けられたチップである請求項10または11に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハを回路毎に個片化し、半導体チップを作成する際に、半導体ウエハを固定するために使用されるダイシングシート、あるいは個片化されたチップが転写され、その後にピックアップするためのピックアップシートとして好ましく用いられる電子部品加工用粘着シートに関し、特に有機溶剤への耐性に優れた電子部品加工用粘着シートに関する。また、本発明は該電子部品加工用粘着シートを使用した半導体装置の製造方法に関する。特に本発明の電子部品加工用粘着シートは、表面に突起状電極を有する半導体ウエハあるいはチップ、たとえばいわゆる貫通電極(TSV/Through Silicon Via)を有する半導体ウエハあるいはチップを固定し、有機溶剤に接触する工程を含む半導体装置の製造方法に好ましく用いられる。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハは表面に回路が形成された後、ウエハの裏面側に研削加工を施し、ウエハの厚さを調整する裏面研削工程およびウエハをダイシングシート上に固定し、所定のチップサイズに個片化するダイシング工程が行われる。チップサイズに個片化された半導体チップは、ダイシングシートからピックアップされ、次の工程に移送される。
【0003】
電子回路の大容量化、高機能化に対応して、複数の半導体チップを立体的に積層した積層回路の開発が進んでいる。このような積層回路においては、従来は半導体チップの導電接続をワイヤボンディングにより行うことが一般的であったが、近年の小型化・高機能化の必要性により、ワイヤボンディングをすることなく、半導体チップに回路形成面から裏面に貫通する電極(TSV)を設けて、直接上下のチップ間を導電接続する方法が効果的な手法として開発されている。貫通電極付チップの製造方法としては、例えば、半導体ウエハの所定の位置にプラズマ等により貫通孔を設け、この貫通孔に銅等の導電体を流し込んだ後、エッチング等を施して半導体ウエハの表面に回路と貫通電極とを設ける方法等が挙げられる。
【0004】
このような極薄ウエハやTSVウエハは極めて割れやすいため、裏面研削工程や、その後の加工工程や移送工程で破損することがある。このため、これらの工程中、ウエハはガラスなどの硬質支持体上に接着剤を介して保持される。この接着剤としては、アクリル系、エポキシ系、無機系などの汎用の接着剤が使用される場合があった。また、加工工程中にウエハが高温に曝される場合には、ウエハと硬質支持体とは、耐熱性の高い接着剤、たとえばポリイミド系の接着剤により接合されている。
【0005】
ウエハの裏面研削および加工の終了後、ウエハは硬質支持体から、ダイシングシートと呼ばれる粘着シート上に転着され、ダイシングシートの外周部をリングフレームにより固定した後、ウエハを回路毎に切断してチップ化し、その後ダイシングシートからチップがピックアップされる。ウエハをダイシングシートに転着する際には、ウエハが固定された硬質支持体のウエハ側の面をダイシングシート上に貼着し、硬質支持体をウエハから剥離して、ウエハをダイシングシートに転着する。硬質支持体を剥離する際には、加熱して接着剤を軟化させて硬質支持体をスライドさせる熱スライドや、レーザー光照射により接着剤を分解して硬質支持体の剥離を行う。しかし、硬質支持体を剥離した後のウエハ面には、接着剤やその分解物が残着することがあった。
【0006】
また、硬質支持体上にウエハを保持し、これを個片化してチップとした後に、ピックアップシートと呼ばれる粘着シート上に転写し、チップのピックアップを行うことも提案されている。硬質支持体からチップを直接ピックアップすることは困難であるため、軟質なピックアップシート上にチップを転写することで、チップのピックアップが容易になる。しかし、ピックアップシート上に転写されたチップにも、上記と同様に接着剤やその分解物が残着することがあった。
【0007】
残着した接着剤残渣を洗浄除去するため、ダイシングシートやピックアップシート(以下、粘着シートと総称する)上に固定されたウエハやチップ(以下、被着体と総称する)は有機溶剤により洗浄されることがある。この洗浄は、たとえば粘着シートと被着体との積層物を有機溶剤に浸漬したり、あるいは被着体よりやや大きな枠を、被着体を囲繞するように粘着シート上に配置し、枠内に有機溶剤を投入して被着体を洗浄している。なお、被着体がチップである場合には、チップ群の外径寸法よりもやや大きな枠を使用する。
また、ウエハなどの被着体を硬質支持体から剥離する際には、上記の方法の他にも、有機溶剤に被着体と硬質支持体を浸漬することも行われている。
【0008】
有機溶剤に被着体と硬質支持体を浸漬するに際しては、被着体のみでなく、粘着シートにも有機溶剤が接触する。この際、有機溶剤により粘着シートの基材が膨潤または溶解し、基材に皺が発生することがあった。基材における皺の発生に伴い、粘着剤層も変形することがある。粘着剤層の変形に起因して被着体やリングフレームと粘着剤層との界面に空隙が発生し、該空隙に有機溶剤が浸み込み、被着体やリングフレームとの界面における粘着剤層が膨潤または溶解し、被着体やリングフレームに対する粘着力が失われ、その結果、被着体やリングフレームが粘着シートから脱落することがあった。また、基材に発生した皺により、その後の加工工程(ダイシングやピックアップ)が困難になることがあった。また、このような基材に耐溶剤性がないという問題が解消された場合であっても、基材の性質によってはチップのピックアップ適性に劣る場合があった。
【0009】
特許文献1(特開2007−73798号公報)には、粘着シートに有機溶剤が接触しないように、被着体と支持体とを剥離し、また接着剤残渣を洗浄除去する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−73798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1では、有機溶剤が粘着シートに接触しないようにするための設備が必要となるとともに、接着剤残渣を洗浄除去する工程が煩雑であった。
【0012】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものである。すなわち、本発明は、有機溶剤と接触しても、基材の低耐溶剤性に起因した粘着力の低下を防止でき、かつチップのピックアップ適性に優れる電子部品加工用粘着シートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような課題の解決を目的とした本発明の要旨は以下の通りである。
〔1〕基材フィルムと、基材フィルムの一方の面に設けられた粘着剤層と、基材フィルムの他方の面に剥離可能に設けられた基材保護フィルムとからなり、
基材フィルムにおける剛軟度が105mm以上であり、
基材保護フィルムが、ポリエステル系フィルム又はポリオレフィンフィルムから選ばれる1種単独または2種以上の組み合わせである、電子部品加工用粘着シート。
【0014】
〔2〕ポリエステル系フィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、及びポリブチレンナフタレートフィルムからなる群から選ばれる〔1〕に記載の電子部品加工用粘着シート。
【0015】
〔3〕ポリオレフィンフィルムが、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスチレンフィルム、及びシクロオレフィンフィルムからなる群から選ばれる〔1〕に記載の電子部品加工用粘着シート。
【0016】
〔4〕基材保護フィルムの厚さが300μm未満である〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の電子部品加工用粘着シート。
【0017】
〔5〕電子部品加工用粘着シート上に半導体ウエハまたはチップを保持した状態で、該粘着シートとウエハまたはチップとの積層物を有機溶剤に接触させる工程に用いられる〔1〕〜〔4〕の何れかに記載の電子部品加工用粘着シート。
【0018】
〔6〕(i)SP値が9(cal/cm3)1/2以上であり、80℃の有機溶剤に1分間浸漬させた後における基材保護フィルムのヤング率の変化率が8%以下であるか、または(ii)SP値が9(cal/cm3)1/2未満であり、25℃の有機溶剤に24時間浸漬させた後における基材保護フィルムのヤング率の変化率が8%以下である〔5〕に記載の電子部品加工用粘着シート。
【0019】
〔7〕上記〔1〕〜〔6〕の何れかに記載の電子部品加工用粘着シート上に半導体ウエハを保持した状態で、該粘着シートとウエハとの積層物を有機溶剤に接触させる工程を含む、半導体装置の製造方法。
【0020】
〔8〕有機溶剤のSP値が7〜12(cal/cm3)1/2であり、接触工程が接着剤、または接着剤および支持体の除去工程である〔7〕に記載の半導体装置の製造方法。
【0021】
〔9〕半導体ウエハが、突起状電極が設けられたウエハである〔7〕または〔8〕に記載の半導体装置の製造方法。
【0022】
〔10〕上記〔1〕〜〔6〕の何れかに記載の電子部品加工用粘着シート上に半導体チップを保持した状態で、該粘着シートとチップとの積層物を有機溶剤に接触させる工程を含む、半導体装置の製造方法。
【0023】
〔11〕有機溶剤のSP値が7〜12(cal/cm3)1/2であり、接触工程が接着剤、または接着剤および支持体の除去工程である〔10〕に記載の半導体装置の製造方法。
【0024】
〔12〕半導体チップが、突起状電極が設けられたチップである〔10〕または〔11〕に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る電子部品加工用粘着シートは、各種の有機溶剤に対し優れた耐性を示す。このため、硬質支持体から被着体(ウエハやチップ等)を剥離する際、あるいはその後の洗浄工程において電子部品加工用粘着シートが有機溶剤に接触しても、基材における皺の発生や粘着剤層の変形が抑制される。その結果、被着体やリングフレームを粘着剤層に良好に保持することができる。したがって、剥離工程や洗浄工程において電子部品加工用粘着シートから被着体やリングフレームの脱落を防止できる。そして、その後の工程においても、ダイシング工程やピックアップ工程を良好に行うことができ、半導体装置の生産効率の向上に寄与しうる。また、チップのピックアップ適性に優れ、チップのピックアップ工程におけるピックアップ不能やチップ破損の可能性を低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る電子部品加工用粘着シートについて、具体的に説明する。本発明に係る電子部品加工用粘着シート(以下単に「粘着シート」ともいう。)は、粘着剤層と基材フィルムと基材保護フィルムとからなり、この順に積層されている。
【0027】
(粘着剤層)
本発明における粘着剤層は、基材フィルムの一方の面に積層され、従来より公知の種々の粘着剤により形成され得る。このような粘着剤としては、何ら限定されるものではないが、たとえばゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル等の粘着剤が用いられる。また、エネルギー線硬化型や加熱発泡型、水膨潤型の粘着剤も用いることができる。エネルギー線硬化(紫外線硬化、電子線硬化)型粘着剤としては、特に紫外線硬化型粘着剤を用いることが好ましい。
【0028】
上記の粘着剤により形成される粘着剤層の中には、有機溶剤に接触することにより溶解、膨潤するものもある。しかし、本発明の電子部品加工用粘着シートにおいては、有機溶剤に対して耐性のある基材保護フィルムを基材フィルムに積層することで、有機溶剤による基材フィルムの膨潤や溶解を抑制し、基材フィルムに皺が発生することを防止できる。そのため、基材フィルムにおける皺の発生に起因した粘着剤層の変形が防止され、被着体と粘着剤層の界面に空隙が発生することはなく、有機溶剤が被着体と粘着剤層との界面にほとんど浸み込まない。その結果、被着体と粘着剤層との界面における粘着剤層の膨潤または溶解が抑制され、被着体に対して充分な粘着力を維持できるため、被着体が粘着シートから脱落することを防止できる。したがって、本発明における粘着剤層を形成する粘着剤は、従来より公知の種々の粘着剤を用いることができる。
【0029】
粘着剤層の厚さは、5〜100μmであることが好ましく、さらに8〜50μmであることが好ましく、特に10〜30μmであることが好ましい。粘着剤層の厚さが100μmを超えると、粘着剤層を形成するために非常に長い時間(具体的には、粘着剤を溶媒中で混合した粘着剤組成物を塗布乾燥させる時間)を要し、経済的にも無駄である。
【0030】
(基材フィルム)
基材フィルムは、剛軟度が105mm以上、好ましくは110mm以上である。基材フィルムにおける剛軟度が105mm未満であると、被着体(特にTSVウエハやTSVチップ)のピックアップ性が低下する。基材フィルムにおける剛軟度を上記範囲とすることで、被着体のピックアップ性に優れる。剛軟度の上限としては、好ましくは150mm、より好ましくは130mmである。なお、基材フィルムの剛軟度は、基材フィルムの長手方向(製膜時に製造された長尺のフィルムを送る方向)を試験片のたて方向に合わせて測定されたものである。
【0031】
基材フィルムは、上記物性を満たせば特に限定はされず、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム、高密度ポリエチレン(HDPE)フィルム等のポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリイミドフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、およびその水添加物または変性物等からなるフィルムが用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。上記の基材フィルムは1種単独でもよいし、さらにこれらを2種類以上組み合わせた積層フィルムであってもよい。
【0032】
これらの中でも、基材フィルムとしては、具体的には、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルムが好ましい。
【0033】
基材フィルムの厚みは、好ましくは20〜200μm、より好ましくは25〜150μm、特に好ましくは50〜130μmの範囲にある。基材フィルムの厚みが小さい場合には、材料によっては製膜が困難となる場合がある。
【0034】
また、基材フィルムの破断伸度は好ましくは300%以上、より好ましくは400〜500%である。基材フィルムの破断伸度を上記範囲にすることで、後述する半導体装置の製造工程において行われるエキスパンドの際に、基材フィルムが破断しにくく、被着体同士を離間しやすくなる。基材フィルムの破断伸度は、 万能引張試験機(オリエンテック社製テンシロンRTA−T−2M)を用いて、JIS K7161:1994に準拠して、23℃、相対湿度50%の環境下において引張速度200mm/分で測定できる。
【0035】
また、基材フィルムの上面、すなわち粘着剤層が設けられる側の基材フィルム表面には粘着剤層との密着性を向上させるために、コロナ処理を施したり、プライマー層を設けてもよい。また、その反対面(粘着剤層が設けられる側と反対の基材フィルム表面)に各種の塗膜を塗工してもよい。
【0036】
(基材保護フィルム)
基材保護フィルムは、粘着剤層が形成された基材フィルムの面(一方の面)とは反対の面(他の面)に剥離可能に積層される。なお、基材保護フィルムは、後述する接着剤層を介して基材フィルムと積層されてもよいし、加熱ラミネートなどにより接着剤層を介さずに積層されていてもよい。
【0037】
基材保護フィルムは、ポリエステル系フィルム又はポリオレフィンフィルムから選ばれる1種単独又は2種以上の組み合わせである。上記のような基材保護フィルムは、d−リモネン、1−ドデセンやメンタンなどの低極性溶剤およびN−メチルピロリドンなどの高極性溶剤の何れに対しても耐性を有し、低極性溶剤あるいは高極性溶剤に接触しても溶解、膨潤ないし変形しにくい。そのため、基材保護フィルムの変形に起因した基材フィルムや粘着剤層の変形を抑制し、ウエハやチップなどの被着体やリングフレームが脱落することを防止できる。
【0038】
ポリエステル系フィルムは、具体的には、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、及びポリブチレンナフタレートフィルムからなる群から選ばれることが好ましい。
また、ポリオレフィンフィルムは、具体的には、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスチレンフィルム、及びシクロオレフィンフィルムからなる群から選ばれることが好ましい。
【0039】
(i)SP値が9(cal/cm3)1/2以上であり、80℃の有機溶剤に1分間浸漬させた後における基材保護フィルムのヤング率の変化率が、8%以下であるか、または(ii)SP値が9(cal/cm3)1/2未満であり、25℃の有機溶剤に24時間浸漬させた後における基材保護フィルムのヤング率の変化率が、8%以下であることが好ましい。(i)、(ii)のいずれの特性においても、有機溶剤に浸漬後における基材保護フィルムのヤング率の変化率は、好ましくは8%以下、より好ましくは6%以下、さら好ましくは0.1〜3.5%である。有機溶剤に浸漬後における基材保護フィルムのヤング率の変化率は、有機溶剤に浸漬前の基材保護フィルムのヤング率Aと、有機溶剤に浸漬後の基材保護フィルムのヤング率Bとから、下記式により算出できる。なお、基材保護フィルムのヤング率は、万能引張試験機(オリエンテック社製テンシロンRTA−T−2M)を用いて、JIS K7161:1994に準拠して、23℃、相対湿度50%の環境下において引張速度200mm/分で測定できる。
ヤング率の変化率(%)=(A−B)/A×100
また、SP値が9(cal/cm3)1/2以上である有機溶剤およびSP値が9(cal/cm3)1/2未満である有機溶剤は、後述する半導体装置の製造方法において例示するものと同じである。
【0040】
SP値が9(cal/cm3)1/2以上であり、80℃の有機溶剤に1分間浸漬させた後における、基材保護フィルムのヤング率の変化率を上記範囲とすることで、高極性溶剤に対する耐性が向上する。また、SP値が9(cal/cm3)1/2未満であり、25℃の有機溶剤に24時間浸漬させた後における、基材保護フィルムのヤング率の変化率を上記範囲とすることで、低極性溶剤に対する耐性が向上する。基材保護フィルムの有機溶剤に対する耐性が向上することで、有機溶剤に接触しても溶解、膨潤ないし変形しにくいものとなる。その結果、基材保護フィルムの変形に起因した基材フィルムや粘着剤層の変形や、ウエハやチップなどの被着体やリングフレームと粘着剤層との界面における有機溶剤の侵入を抑制し、被着体やリングフレームが粘着シートから脱落することを防止できる。(i)、(ii)の特性については、基材保護フィルムがこれらのいずれか一方を備えるものであってもよいし、いずれも備えるものであってもよい。基材保護フィルムがこれらの特性のいずれも備える場合には、低極性溶剤および高極性溶剤の何れに対しても耐性が向上する。
【0041】
基材保護フィルムの厚さは、好ましくは300μm未満であり、基材保護フィルムがポリエステル系フィルムあるいは積層フィルムの場合、その厚みは、好ましくは20〜200μm、より好ましくは25〜110μm、特に好ましくは50〜90μmの範囲にある。また、基材保護フィルムがポリプロピレンの単層フィルムの場合には、好ましくは30〜200μm、さらに好ましくは50〜150μmの範囲にある。
【0042】
(接着剤層)
接着剤層は、基材フィルムと基材保護フィルムとを積層させるために用いることができ、有機溶剤への耐性を有することが好ましい。有機溶剤としては、d−リモネン、1−ドデセン、メンタン、イソドデカン、メシチレンなどの低極性溶剤や、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、N−メチルピロリドンなどの高極性溶剤が挙げられる。
【0043】
接着剤層は、従来より公知の種々の接着剤により形成され得る。このような接着剤としては、何ら限定されるものではないが、たとえばゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル等の接着剤が用いられる。また、接着剤としては、エネルギー線硬化性を有するエネルギー線硬化型接着剤を用いることが好ましい。
【0044】
低極性溶剤に対する耐性を有する接着剤層は、d−リモネンに対する接着剤層の膨潤度が好ましくは125%以下、より好ましくは110%以下、さらに好ましくは95〜105%である。接着剤層の膨潤度を上記範囲にすることで、低極性溶剤と接触しても、溶解、膨潤せずに、基材保護フィルムと基材フィルムの積層構造を維持できる。
【0045】
低極性溶剤に対する耐性を有し、エネルギー線硬化型接着剤から形成される接着剤層は、エネルギー線硬化性重合体(A)を含むことが好ましい。エネルギー線硬化性重合体(A)は、主鎖または側鎖に、エネルギー線重合性基が結合された重合体であり、それ自体が接着性およびエネルギー線照射(たとえば、紫外線照射、電子線照射)により硬化する性質を有する。エネルギー線硬化性重合体(A)は、高分子量体であるため、低極性溶剤と接着剤層が接触しても、低極性溶剤中に溶出し難い。そのため、配合することによる接着剤層の低極性溶剤に対する耐性の低下が起こりにくい。
エネルギー線硬化性重合体(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルから導かれる構造単位を、好ましくは50〜95質量%、さらに好ましくは60〜90質量%含有する。また、(メタ)アクリル酸アルキルエステル100質量部中、アルキル基の炭素数が1〜4の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが、通常80質量部以上、好ましくは90質量部以上、より好ましくは95〜100質量部を占める。また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおいて、その100質量部中、アルキル基の炭素数が1または2の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが10質量部以上を占めることが好ましく、15〜40質量部を占めることが好ましい。これにより、接着剤層の極性が高いものとなり、低極性溶剤への耐性が向上し、かつ接着剤層に十分な接着力が付与される。なお、本明細書において、(メタ)アクリルは、アクリルおよびメタアクリルの両者を包含した意味で用いる。
【0046】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、たとえば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、ノニルアクリレート、ノニルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ウンデシルアクリレート、ウンデシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレートなどが挙げられる。d−リモネンに対する接着剤層の膨潤度は、アルキル基の炭素数が1〜4の(メタ)アクリル酸アルキルエステルから導かれる構造単位またはアルキル基の炭素数が1または2の(メタ)アクリル酸アルキルエステルから導かれる構造単位を用い、その含有割合により調整することができる。
【0047】
また、エネルギー線硬化性重合体(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の重合性モノマー(他の重合性モノマー)から導かれる構造単位を、通常5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%含有する。
【0048】
このような他の重合性モノマーは、後述する重合体(官能基を含有する重合体)にエネルギー線重合性基を結合するために、重合体中に予め導入される官能基含有モノマーが挙げられる。官能基含有モノマーは、重合性の二重結合と、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基を分子内に有するモノマーであり、好ましくはヒドロキシル基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物が用いられる。
【0049】
このような官能基含有モノマーのさらに具体的な例としては、2−ヒドロキシメチルアクリレート、2−ヒドロキシメチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有化合物が挙げられる。上記の官能基含有モノマーは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0050】
官能基を含有する重合体には、上記官能基含有モノマーから導かれる構造単位(以下、単に「官能基含有モノマー単位」と記載することがある。)が、通常5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%の割合で含まれる。官能基を含有する重合体にエネルギー線重合性基を導入することで、エネルギー線硬化性重合体(A)が得られる。この際、官能基含有モノマー単位の官能基と、該官能基と反応する置換基を有する重合性基含有化合物が反応して、エネルギー線重合性基が導入される。この反応の際、官能基含有モノマー単位の官能基の一部が、重合性基含有化合物と反応し、置換される。得られるエネルギー線硬化性重合体(A)には、後述する架橋剤との反応点とするために、未反応の官能基含有モノマー単位を少量残留させることが好ましい。すなわち、エネルギー線硬化性重合体(A)の官能基含有モノマー単位は、上記官能基含有モノマーから導かれる構造単位100モルが通常50〜100モル、好ましくは60〜95モル、特に好ましくは70〜90モルの割合で置換される。上記のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートおよび/またはカルボキシル基含有化合物自体が重合性基含有化合物と反応した分子構造は、一般にエネルギー線硬化性重合体の極性を上げる傾向がある。したがって、官能基を含有する重合体中の官能基含有モノマーから導かれる構造単位の質量割合が上記の範囲にあることで、接着剤層の低極性溶剤への耐性を高める効果もある。
【0051】
エネルギー線硬化性重合体(A)は、これらモノマーの他にも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび官能基含有モノマー以外の(メタ)アクリル酸エステル、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、スチレン等を単量体として含んでいてもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび官能基含有モノマー以外の(メタ)アクリル酸エステルとしては、接着剤層の極性を高いものとする観点から、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、アクリル酸テトラヒドロフランフルフリル、ポリエーテルとアクリル酸とのエステルであるジアクリレート類等を用いてもよい。
【0052】
高極性溶剤に対する耐性を有し、エネルギー線硬化型接着剤から形成される接着剤層は、エネルギー線硬化性重合体(B)を含むことが好ましい。エネルギー線硬化性重合体(B)は、主鎖または側鎖に、エネルギー線重合性基が結合されてなり、それ自体が接着性およびエネルギー線照射により硬化する性質を有する。
エネルギー線硬化性重合体(B)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルから導かれる構造単位を、好ましくは50〜90質量%、より好ましくは65〜90質量%、さらに好ましくは75〜90質量%含有する。また、(メタ)アクリル酸アルキルエステル100質量部中、アルキル基の炭素数が8〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが、通常95質量部以上、好ましくは96質量部以上、より好ましくは97質量部以上を占める。
【0053】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、上記エネルギー線硬化性重合体(A)における(メタ)アクリル酸アルキルエステルで例示したものが挙げられる。アルキル基の炭素数が8〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルから導かれる構造単位の含有量が少なすぎると、接着剤層の高極性溶剤に対する耐性が低下することがあり、一方多すぎると、高極性有機溶剤に対する耐性は向上するが、十分な接着力が得られないことがある。(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおいて、その100質量部中、イソオクチル(メタ)アクリレートまたはラウリル(メタ)アクリレートが50質量部超を占めることが好ましい。イソオクチル(メタ)アクリレートを用いた場合、同じ炭素数の2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートに比べて、長い炭化水素鎖が高密度で接着剤層に存在することとなるため、高極性溶剤に対する耐性を向上させやすい。また、ラウリル(メタ)アクリレートは炭素数が適度な数となっているために、高極性溶剤に対する耐性を向上させることが容易である。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの100質量部中、イソオクチル(メタ)アクリレートまたはラウリル(メタ)アクリレートは65質量部以上であることが好ましく、80質量部以上であることが好ましい。
【0054】
また、上記以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレートなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量が多すぎると、接着力は増加するが、接着剤層の高極性溶剤に対する耐性が低下することがある。
【0055】
また、エネルギー線硬化性重合体(B)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の重合性モノマー(他の重合性モノマー)から導かれる構造単位を、通常15〜50質量%、好ましくは15〜35質量%、さらに好ましくは15〜25質量%含有する。
【0056】
このような他の重合性モノマーは、後述する重合体(官能基を含有する重合体)にエネルギー線重合性基を結合するために、重合体中に予め導入される官能基含有モノマーが挙げられる。官能基含有モノマーは、重合性の二重結合と、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基を分子内に有するモノマーであり、好ましくはヒドロキシル基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物が用いられる。
【0057】
このような官能基含有モノマーのさらに具体的な例としては、上記エネルギー線硬化性重合体(A)における官能基含有モノマーで例示したものが挙げられる。官能基含有モノマーは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0058】
官能基を含有する重合体には、上記官能基含有モノマーから導かれる構造単位が、通常15〜50質量%、好ましくは15〜35重量%、特に好ましくは15〜25重量%の割合で含まれる。官能基を含有する重合体にエネルギー線重合性基を導入することで、エネルギー線硬化性重合体(B)が得られる。この際、官能基含有モノマー単位の官能基と、該官能基と反応する置換基を有する重合性基含有化合物が反応して、エネルギー線重合性基が導入される。この反応の際、官能基含有モノマー単位の官能基の一部が、重合性基含有化合物と反応し、置換される。得られるエネルギー線硬化性重合体(B)には、後述する架橋剤との反応点とするために、未反応の官能基含有モノマー単位を少量残留させることが好ましい。すなわち、エネルギー線硬化性重合体(B)の官能基含有モノマー単位は、上記官能基含有モノマーから導かれる構造単位100モルが通常50〜100モル、好ましくは60〜95モル、特に好ましくは70〜90モルの割合で置換される。
【0059】
エネルギー線硬化性重合体(B)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと官能基含有モノマーの他にも、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、スチレン、ビニルアセテート、ジアルキル(メタ)アクリルアミド等を構造単位として含有していてもよい。
【0060】
エネルギー線硬化性重合体(A)や(B)において、重合体の主鎖または側鎖に結合するエネルギー線重合性基は、たとえばエネルギー線重合性の炭素−炭素二重結合を含む基であり、具体的には(メタ)アクリロイル基等を例示することができる。エネルギー線重合性基は、アルキレン基、アルキレンオキシ基、ポリアルキレンオキシ基を介して重合体に結合していてもよい。
【0061】
エネルギー線硬化性重合体(A)や(B)の重量平均分子量は、好ましくは100,000以上であり、好ましくは100,000〜1,500,000であり、特に好ましくは150,000〜1,000,000である。またエネルギー線硬化性重合体(A)や(B)のガラス転移温度は、通常−70〜30℃程度である。
【0062】
このようなエネルギー線硬化性重合体(A)や(B)の具体例は、以下に説明するエネルギー線硬化性重合体の製法からさらに明らかになる。
【0063】
エネルギー線硬化性重合体は、官能基を含有する重合体(a1)と、該官能基と反応する置換基を有する重合性基含有化合物(a2)とを反応させて得られる。
【0064】
以下、エネルギー線硬化性重合体の製法について詳述するが、本発明において好ましく用いられるエネルギー線硬化性重合体は下記製法により得られるものに限定はされない。
【0065】
官能基を含有する重合体(a1)は、上記のような(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーと官能基含有モノマーと、必要に応じ共重合されるその他単量体を、共重合することにより得られる。この際、エネルギー線硬化性重合体(A)または(B)について必須の又は好ましい態様として前記した所定の組成を満足するように単量体の配合量を調整することが好ましい。
【0066】
重合体(a1)の製造方法については、特に限定されるものではなく、例えば溶剤、連鎖移動剤、重合開始剤等の存在下で溶液重合する方法や、乳化剤、連鎖移動剤、重合開始剤、分散剤等の存在下の水系でエマルション重合する方法にて製造される。
【0067】
上記官能基を含有する重合体(a1)を、該官能基に反応する置換基を有する重合性基含有化合物(a2)と反応させることにより、重合性基が結合されたエネルギー線硬化性重合体が得られる。
【0068】
重合性基含有化合物(a2)には、重合体(a1)中の官能基と反応しうる置換基が含まれている。この置換基は、前記官能基の種類により様々である。たとえば、官能基がヒドロキシル基またはカルボキシル基の場合、置換基としてはイソシアネート基、エポキシ基等が好ましく、官能基がカルボキシル基の場合、置換基としてはイソシアネート基、エポキシ基等が好ましく、官能基がアミノ基または置換アミノ基の場合、置換基としてはイソシアネート基等が好ましく、官能基がエポキシ基の場合、置換基としてはカルボキシル基が好ましい。このような置換基は、重合性基含有化合物(a2)1分子毎に一つずつ含まれている。
【0069】
また重合性基含有化合物(a2)には、エネルギー線重合性炭素−炭素二重結合が、1分子毎に1〜5個、好ましくは1〜2個含まれている。このような重合性基含有化合物(a2)の具体例としては、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート、グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸等が挙げられる。また、ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物などが挙げられる。
【0070】
また重合性基含有化合物(a2)としては、下記式(1)のような重合性基含有ポリアルキレンオキシ化合物も使用することができる。かかる重合性基含有ポリアルキレンオキシ化合物を用いた場合には、接着剤層の低極性溶剤に対する耐性は向上する一方で、接着剤層の高極性溶剤に対する耐性は劣ったものとなる。
【化1】
【0071】
式中、Rは水素またはメチル基、好ましくはメチル基であり、R〜Rはそれぞれ独立に水素または炭素数1〜4のアルキル基であり、好ましくは水素であり、またnは2以上の整数であり、好ましくは2〜4である。複数存在するR〜Rは互いに同一であっても異なっていてもよい。すなわち、nが2以上であるため、上記(1)式で表される重合性基含有ポリアルキレンオキシ基には、Rが2以上含まれる。この際、2以上存在するRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。R〜Rについても同様である。NCOはイソシアネート基を示す。
【0072】
重合性基含有化合物(a2)は、上記重合体(a1)の官能基含有モノマー100モル当たり、通常50〜100モル、好ましくは60〜95モル、特に好ましくは70〜90モルの割合で用いられる。重合体中の官能基の一部を未反応の状態で残すことで、接着力が発現することがあるため、重合性基含有化合物(a2)の導入量を調整することで、接着剤層の接着力を制御できる。
【0073】
重合体(a1)と重合性基含有化合物(a2)との反応は、通常は、室温程度の温度で、常圧にて、24時間程度行なわれる。この反応は、例えば酢酸エチル等の溶液中で、ジブチル錫ラウレート等の触媒を用いて行なうことが好ましい。
【0074】
この結果、重合体(a1)中の側鎖に存在する官能基と、重合性基含有化合物(a2)中の置換基とが反応し、重合性基が重合体(a1)中の側鎖に導入され、エネルギー線硬化性重合体が得られる。
【0075】
また、重合性基含有ポリアルキレンオキシ化合物を使用した場合には、重合性基がポリアルキレンオキシ基を介して結合したエネルギー線硬化性重合体が得られる。エネルギー線硬化性重合体中にポリアルキレンオキシ基を導入することにより、エネルギー線硬化性重合体のエネルギー線硬化後の破断伸度が向上する。
【0076】
接着剤層は、エネルギー線硬化性重合体が架橋された架橋構造を有していてもよい。エネルギー線硬化性重合体を架橋構造とすることで、高極性溶剤や低極性溶剤に対する耐性が向上する。また、基材保護フィルムと基材フィルムとの間の接着力を制御することが可能である。エネルギー線硬化性重合体(B)の場合においては、接着剤層が架橋構造を含有しない場合、接着剤層をエネルギー線照射により硬化させる前の電子部品加工用粘着シートの接着剤層における接着力が過度に高くなり、エネルギー線を照射させた後の電子部品加工用粘着シートの接着剤層における接着力を十分に低下させることができなくなる懸念がある。接着剤層が架橋構造を含有する場合には、エネルギー線硬化性重合体の架橋密度は、架橋剤の使用量を後述する範囲に調整することにより、適度な範囲に制御することで、電子部品加工用粘着シートの接着剤層における接着力が過度に低下せず、有機溶剤への接着剤層の耐性が維持される傾向がある。
【0077】
架橋剤としては、有機多価イソシアネート化合物、有機多価エポキシ化合物、有機多価イミン化合物等が挙げられ、有機多価イソシアネート化合物が好ましい。
【0078】
有機多価イソシアネート化合物としては、芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物、脂環族多価イソシアネート化合物およびこれらの有機多価イソシアネート化合物の三量体、ならびにこれら有機多価イソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー等を挙げることができる。
【0079】
有機多価イソシアネート化合物のさらに具体的な例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、トリメチロールプロパンアダクトトリレンジイソシアネートおよびリジンイソシアネートが挙げられる。
【0080】
有機多価エポキシ化合物の具体的な例としては、1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミンなどが挙げられる。
【0081】
有機多価イミン化合物の具体的な例としては、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネートおよびN,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等を挙げることができる。
【0082】
エネルギー線硬化性重合体(A)に対する架橋剤の使用量は、上述したアルキル基の炭素数が1〜4の(メタ)アクリル酸アルキルエステルや、アルキル基の炭素数が1または2の(メタ)アクリル酸アルキルエステルから導かれる構造単位の含有量に応じて適宜に設定されるが、一般的には、エネルギー線硬化性重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部、特に好ましくは0.5〜3質量部の比率で用いられる。架橋剤の使用量が過大であると、接着剤層が過度に硬化し、十分な接着力が得られないことがあり、また架橋が不十分であると、接着剤層の耐溶剤性が低下することがある。
【0083】
また、エネルギー線硬化性重合体(B)に対する架橋剤の使用量は、上述したアルキル基の炭素数が8〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルから導かれる構造単位の含有量に応じて適宜に設定される。接着剤層においては、エネルギー線硬化性重合体(B)100質量部に対して、好ましくは架橋剤を含有しないか、またはエネルギー線硬化性重合体(B)100質量部に対して0.8質量部以下含有し、より好ましくは0.005〜0.3質量部含有し、特に好ましくは0.01〜0.3質量部含有する。架橋剤の使用量をこのような範囲内に調整することで、架橋密度を適度な範囲に制御することができるという効果が得られる。
【0084】
接着剤層は、エネルギー線硬化性重合体と必要に応じ光重合開始剤とを配合した接着剤組成物を用いて形成される。さらに、上記接着剤組成物には、各種物性を改良するため、必要に応じ、その他の成分(例えば上述した架橋剤)が含まれていてもよい。エネルギー線硬化性重合体は、光重合開始剤の存在下でエネルギー線照射を受けると、硬化し、接着力が低下する。エネルギー線としては、具体的には、紫外線、電子線等が用いられる。
【0085】
光重合開始剤としては、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィンオキサイド化合物、チタノセン化合物、チオキサントン化合物、パーオキサイド化合物等の光開始剤、アミンやキノン等の光増感剤などが挙げられ、具体的には、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどが例示できる。エネルギー線として紫外線を用いる場合に、光重合開始剤を配合することにより照射時間、照射量を少なくすることができる。
【0086】
光重合開始剤の含有量は、エネルギー線硬化性重合体100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは1〜5質量部である。光重合開始剤の含有量がこのような範囲内にあることで、エネルギー線硬化性重合体の硬化が効率的に進行するという効果を得つつ、エネルギー線硬化性重合体の硬化後に光重合開始剤が残存し、不具合の原因となることを避けることができる。
【0087】
また、光重合開始剤に代えて、エネルギー線硬化性重合体の主鎖または側鎖にラジカル発生基を導入してもよい。具体的には、重合性の二重結合と、エネルギー線による励起下で重合反応を開始させる遊離基(ラジカル)を発生する基(ラジカル発生基)を有するラジカル発生基含有モノマーを、前記のアクリル酸アルキルエステル等とともに共重合することで、エネルギー線硬化性重合体中にラジカル発生基を導入できる。このようなラジカル発生基含有モノマーの詳細は、たとえば特開2010−215769号公報に記載されている。
【0088】
さらに、接着剤層には、有機溶剤に対する耐性が過度に損なわれない範囲で、上記以外の重合体、エネルギー線重合性化合物、染料、顔料、劣化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、シリコーン化合物、連鎖移動剤等を添加してもよい。
【0089】
上記成分から構成される接着剤層の厚みは特に限定されず、好ましくは3〜50μm、より好ましくは5〜20μmである。接着剤層の厚みが上記範囲にあることで、基材フィルムと基材保護フィルムとの密着性が高くなり、基材フィルムと基材保護フィルムとの間が密封されるため、有機溶剤(低極性溶剤や高極性溶剤)で洗浄した場合であっても、有機溶剤が基材フィルムと基材保護フィルムとの間に侵入することもなくなり、有機溶剤による基材フィルムの膨潤や溶解を抑制し、基材フィルムに皺が発生することを防止できる。そのため、基材フィルムにおける皺の発生に起因した粘着剤層の変形が防止され、被着体やリングフレームと粘着剤層の界面に空隙が発生することはなく、有機溶剤が被着体やリングフレームと粘着剤層との界面にほとんど浸み込まない。その結果、被着体やリングフレームと粘着剤層との界面における粘着剤層の膨潤または溶解が抑制され、被着体やリングフレームに対して充分な粘着力を維持できるため、被着体やリングフレームが粘着シートから脱落することを防止できる。
【0090】
(電子部品加工用粘着シートの製造方法)
本発明の電子部品加工用粘着シートの製造方法は特に限定されない。
たとえば、基材フィルムと基材保護フィルムとを接着剤層を介して積層する方法としては、以下の方法が挙げられる。
第1の方法は、上記接着剤を、必要に応じ適当な溶剤で希釈して接着剤組成物とし、剥離シート上に所定の乾燥膜厚になるように塗布、乾燥して接着剤層を形成する。そして、基材フィルムあるいは基材保護フィルムの表面に接着剤層を転写する。その後、接着剤層の形成されていない基材保護フィルムあるいは基材フィルムを上記の接着剤層に積層する方法である。
第2の方法は、基材フィルムあるいは基材保護フィルムの表面に接着剤組成物を直接塗布、乾燥して接着剤層を形成する。その後、接着剤層の形成されていない基材保護フィルムあるいは基材フィルムを上記の接着剤層に積層する方法である。
【0091】
基材フィルムの表面に粘着剤層を設ける方法としては、以下の方法が挙げられる。
第1の方法は、上記粘着剤を、必要に応じ適当な溶剤で希釈して粘着剤組成物とし、剥離シート上に所定の乾燥膜厚になるように塗布、乾燥して粘着剤層を形成する。そして、基材フィルムの表面に粘着剤層を転写する方法である。
第2の方法は、基材フィルムの表面に粘着剤組成物を直接塗布、乾燥して粘着剤層を形成する方法である。
【0092】
接着剤層を基材フィルムの表面に直接設けたり、他のシートの表面に設けられた接着剤層に、基材フィルムを積層したりする場合、基材フィルムは粘着剤層が設けられた状態であっても、粘着剤層が設けられる前の状態であってもよい。
【0093】
また、粘着剤層には、その使用前に粘着剤層を保護するために剥離シートが積層されていてもよい。剥離シートは、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂からなるフィルムまたはそれらの発泡フィルムや、グラシン紙、コート紙、ラミネート紙等の紙に、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル基含有カルバメート等の剥離剤で剥離処理したものを使用することができる。
【0094】
粘着剤層へのエネルギー線照射前における、基材保護フィルムを除去した電子部品加工用粘着シートのシリコンミラーウエハを被着体とした粘着力は、好ましくは500mN/25mm以上であり、より好ましくは1000〜30000mN/25mmであり、特に好ましくは2000〜30000mN/25mmである。エネルギー線照射前における粘着力が、このような範囲にあることで、粘着剤層と被着体表面との界面の密着性が高いものとなり、電子部品加工用粘着シートの有機溶剤への耐性をより高めることが可能となる。エネルギー線照射前における粘着力は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの種類および配合比や、架橋剤の使用量により調整することができる。
【0095】
また、粘着剤層へのエネルギー線照射後における、基材保護フィルムを除去した電子部品加工用粘着シートの粘着力は、好ましくは10〜500mN/25mmであり、より好ましくは10〜300mN/25mmである。粘着剤層の粘着力を上記範囲とすることで、ダイシング性とピックアップ性に優れる。エネルギー線照射後における粘着力は、エネルギー線硬化型粘着剤のエネルギー線硬化性重合体に導入されるエネルギー線重合性基の量により制御できる。
【0096】
(半導体装置の製造方法)
本発明に係る電子部品加工用粘着シートは、ウエハを個片化する際にウエハおよび生成するチップを保持するために用いられるダイシングシート、あるいは個片化されたチップ群が転写され、その後にチップをピックアップするために用いられるピックアップシートとして好ましく用いられる。チップはダイシングシートやピックアップシートから剥離された後、常法にしたがって、回路基板等に組み込まれ、半導体装置が得られる。
【0097】
特に、本発明の粘着シートは、シート上に保持された被着体(ウエハ、チップ)が有機溶剤と接触する工程を含む半導体装置製造プロセスに好ましく適用される。この接触工程は、粘着シート上に被着体を保持した状態で、粘着シートと被着体との積層物を有機溶剤に接触させる工程であれば特に限定されず、例えば、被着体上に残着した接着剤の洗浄工程(接着剤の除去工程)や、接着剤により被着体が固定された支持体からの被着体の剥離(接着剤および支持体の除去工程)が挙げられる。
【0098】
極薄ウエハや、TSVウエハは、極めて割れやすいため、裏面研削工程や、その後の加工工程や移送工程で破損することがある。このため、これらの工程中、ウエハはガラスなどの硬質支持体上に接着剤(例えばアクリル系、ポリイミド系の接着剤により構成される接着剤)を介して保持される。
【0099】
所定の工程が終了したウエハを転着するためのダイシングシートとして本発明の粘着シートは使用することができる。ダイシングシートとして本発明の粘着シートを使用する場合には、たとえば、ダイシングシートの外周部をリングフレームにより固定した後、ウエハを回路毎に切断してチップ化し、その後ダイシングシートから基材保護フィルムが剥離除去され、残った基材フィルムと粘着剤層の積層体からチップがピックアップされる。ウエハを硬質支持体からダイシングシートに転着する際には、たとえばダイシングシート、被着体(ウエハ)、および硬質支持体の積層物を有機溶剤に浸漬したり、あるいは被着体よりやや大きな枠を、被着体を囲繞するように配置し、枠内に有機溶剤を投入したりすることにより接着剤に有機溶剤を接触させ、溶解または膨潤させて硬質支持体から剥離する。この際に、ダイシングシート(粘着シート)とウエハの積層物が有機溶剤と接触するため、本発明の粘着シートを好ましく使用できる。また、別の方法として、ウエハが固定された硬質支持体のウエハ側の面をダイシングシート上に貼着し、硬質支持体をウエハから剥離して、ウエハをダイシングシートに転着する。硬質支持体を剥離する際には、加熱して接着剤を軟化させて硬質支持体をスライドさせる熱スライドや、レーザー光照射により接着剤を分解して硬質支持体の剥離を行う場合もある。この場合は、被着体の支持体からの剥離に際しては粘着シートとウエハの積層物は有機溶剤と接触しない。しかし、硬質支持体を剥離した後のウエハ面には、接着剤やその分解物が残着することがある。
【0100】
本発明の粘着シートは、上記のような接着剤が残着したウエハを有機溶剤で洗浄する工程を含む半導体装置の製造プロセスにおいても好ましく使用できる。ウエハは、本発明の粘着シート上に保持された状態で、有機溶剤により洗浄される。この洗浄においても、上述した硬質支持体の剥離と同様の方法などにより有機溶剤を粘着シートとウエハの積層物に接触させて洗浄を行う。なお、この際、粘着シートの外周部にはリングフレームが貼着されていることもある。
【0101】
また、本発明の粘着シートは、硬質支持体上にウエハを保持し、裏面研削や加工工程後に、ウエハを個片化してチップとした後に、これを転写してピックアップを行うためのピックアップシートとしても、用いることができる。硬質支持体からチップを直接ピックアップすることは困難であるため、軟質なピックアップシート上にチップを転写することで、チップのピックアップが容易になる。このプロセスにおいても、上述したダイシングシートを用いるプロセスと同様に、硬質支持体を剥離する際にピックアップシート(粘着シート)と被着体(チップ)が有機溶剤と接触する工程を含むことがある。また、ピックアップシート上に転写されたチップにも、上記と同様に接着剤やその分解物が残着することがあり、洗浄工程を行うことがある。これらの工程を含む製造方法におけるピックアップシートとして、本発明の粘着シートは好ましく用いられる。
【0102】
洗浄に用いる有機溶剤は、ウエハを硬質支持体上に固定するために用いられた接着剤の組成等により様々であり、低極性有機溶剤としてはSP値が9(cal/cm3)1/2未満、6(cal/cm3)1/2以上9(cal/cm3)1/2未満、さらには7(cal/cm3)1/2以上9(cal/cm3)1/2未満の有機溶剤を使用することが好ましく、特にd−リモネン(SP値:8.2(cal/cm3)1/2)や1−ドデセン(SP値:7.9(cal/cm3)1/2)を使用することが好ましい。また、高極性有機溶剤としてはSP値が9(cal/cm3)1/2以上、9〜12 (cal/cm3)1/2、さらには10〜12(cal/cm3)1/2の有機溶剤を使用することが好ましく、特にN−メチルピロリドン(NMP)(SP値:11(cal/cm3)1/2)を使用することが好ましい。
【0103】
なお、本明細書におけるSP値(溶解度パラメータ値)は、有機物質の相溶性についての特性値であり、その詳細についてはたとえば、溶剤ハンドブック(松田種光 1962 産業図書株式会社)に記載されている。
【0104】
このような本発明の粘着シートおよび方法は、特に接着剤が残着しやすい突起状電極が設けられたウエハあるいはチップに好ましく適用できる。突起状電極としては、円柱型電極、球状電極等が挙げられる。また、特に近年使用の増えている貫通電極を有するウエハチップに好適に用いることができる。
【0105】
粘着シートに貼付されたウエハをダイシングする際や、粘着シートからチップをピックアップする際には、必要に応じて本発明に係る粘着シートの基材保護フィルムを剥離することが好ましい。基材保護フィルムを剥離することで、剛軟度が高く柔軟性の高い基材フィルムの特質に起因して、チップのピックアップを容易に行うことができるようになる。その後、粘着シートをエキスパンドして各半導体チップの間隔を離間させた後、吸引コレット等の汎用手段により各半導体チップのピックアップを行う。また、粘着剤層にエネルギー線を照射し、粘着力を低下させた後、エキスパンド、ピックアップを行ってもよい。
【実施例】
【0106】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の実施例および比較例における「基材フィルムの剛軟度」、「基材保護フィルムのヤング率の変化率」、及び「RF脱落、ウエハ脱落、しわ、浸み込み量、ピックアップ適正」は下記のように評価した。
【0107】
<基材フィルムの剛軟度>
JIS L1086;2007に記載の45°カンチレバー法に準拠して、基材フィルムの長手方向を試験片のたて方向に合わせて測定した。
【0108】
<基材保護フィルムのヤング率の変化率>
有機溶剤に浸漬後における基材保護フィルムのヤング率の変化率は、有機溶剤に浸漬前の基材保護フィルムのヤング率Aと、有機溶剤に浸漬後の基材保護フィルムのヤング率Bとから、下記式により算出した。
基材保護フィルムのヤング率は、万能引張試験機(オリエンテック社製テンシロンRTA−T−2M)を用いて、JIS K7161:1994に準拠して、23℃、湿度50%の環境下において引張速度200mm/分で測定した。なお、基材保護フィルムを有しない比較例1〜6については、基材フィルムのヤング率を測定し、その変化率を算出した。また、有機溶剤の種類及び浸漬条件は、表1に記載の通りである。
ヤング率の変化率(%)=(A−B)/A×100
【0109】
<RF脱落、ウエハ脱落、しわ、浸み込み量、ピックアップ適性>
実施例および比較例で作成した粘着シートの粘着剤層上に片面がミラー研磨(♯2000)されたシリコンウエハ(直径8インチ、厚み50μm)のミラー面を貼付(23℃、貼付圧0.3MPa、貼付速度5mm/秒)した。粘着シートの外周部にリングフレーム(RF)を同条件で貼付した。RF、シリコンウエハおよび粘着シートの積層体を、表1に記載の有機溶剤に、表1に記載の浸漬条件で浸漬した。なお、N−メチルピロリドンのSP値は、11.2(cal/cm3)1/2、d−リモネンのSP値は8.2(cal/cm3)1/2および1−ドデセンのSP値は7.9(cal/cm3)1/2である。
【0110】
浸漬終了後、RFおよびウエハの脱落の有無を確認した。RFの脱落については、表中、「○」は、脱落が無いことを示し、「×」は脱落したことを示す。ウエハの脱落については、表中、「○」は、全く剥がれが生じなかったことを示し、「△」は、粘着シートのウエハに貼付された領域の50%未満の面積において剥がれが生じたことを示し、「×」は、粘着シートのウエハに貼付された領域の50%以上の面積において剥がれが生じたことを示す。
【0111】
また、粘着シートの基材フィルムに発生した「しわ」の有無を目視にて確認した。
【0112】
また、ウエハと粘着剤層との界面における有機溶剤の浸入を目視にて観察し、ウエハと粘着剤層との間に浸みこんだ有機溶剤の浸入距離を測定した。ウエハからの粘着シートの剥がれが生じた場合、すなわちウエハの脱落の評価において「△」または「×」であった場合は、測定不能とした。
【0113】
その後、ウエハからの粘着シートの剥がれが生じた粘着シート、すなわちウエハの脱落の評価において「△」または「×」であった粘着シートを除く粘着シートについては、ダイシング装置としてディスコ株式会社製 DFD651を用い、ブレード送り速度50mm/秒、ブレード回転数30000rpm、基材フィルムに対して切込み深さ20μmの条件でダイシングを行い、10mm×10mmのチップ群を得た。次いで、粘着シートに紫外線照射装置(リンテック社製 RAD−2000m/12)を用い、窒素雰囲気下にて紫外線を照射し(照度230mW/cm、光量190mJ/cm)、粘着シートの粘着剤層および接着剤層のいずれについても粘着性を低下させた後、粘着シートが基材保護フィルムを有する場合には基材保護フィルムを除去した。これらのチップにつき、ピックアップ装置に付属した4ピンによる突き上げを突き上げ量1000μm、突き上げ速度1mm/秒の条件により行い、コレットによりピックアップを行った。ピックアップ可能であった場合を「A」、チップ割れを生じた場合を「B」とした。なお、ウエハの脱落の評価において「△」または「×」であった場合は、ダイシングを行うことができないために、本評価を行っておらず、表1中、「測定不能」と記載した。
【0114】
(実施例1)
〔粘着剤組成物(1)の作製〕
2−エチルヘキシルアクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレート=80/20(質量比)を反応して得られたアクリル重合体と、該アクリル重合体100g当たり21.4g(アクリル重合体の2−ヒドロキシエチルアクリレート単位100モル当たり80モル)のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて得られたエネルギー線硬化性重合体(重量平均分子量:60万)100質量部、光重合開始剤(α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184))3質量部、及び、架橋剤(TDI−TMP トルエンジイソシアネートとトリメチロールプロパントリアクリレートとの付加物)1質量部を溶媒中で混合し、粘着剤組成物(1)を得た。なお、重量平均分子量は、市販の分子量測定機(本体製品名「HLC−8220GPC」、東ソー(株)製;カラム製品名「TSKGel SuperHZM-M」、東ソー(株)製;展開溶媒 テトラヒドロフラン)を用いて得た値である(以下、同様。)。また、質量部数は溶媒希釈された荷姿のものであっても、すべて固形分換算の値である(以下、同様。)。
【0115】
〔接着剤組成物(1)の作製〕
ラウリルアクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレート=80/20(質量比)を反応して得られたアクリル重合体と、該アクリル重合体100g当たり21.4g(アクリル重合体の2−ヒドロキシエチルアクリレート単位100モル当たり80モル)のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて得られたエネルギー線硬化性重合体(重量平均分子量:60万)100質量部、光重合開始剤(α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184))3質量部、及び、架橋剤(TDI−TMP トルエンジイソシアネートとトリメチロールプロパントリアクリレートとの付加物)0.1質量部を溶媒中で混合し、接着剤組成物(1)を得た。
【0116】
〔粘着シートの作製〕
剥離フィルム(リンテック社製 SP−PET3811)に、上記粘着剤組成物(1)を、乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布・乾燥(乾燥条件:100℃、1分間)して、剥離フィルム上に形成された粘着剤層を得た。次いで、粘着剤層と基材フィルム(エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、120μm厚、剛軟度:125mm)とを貼り合わせて、粘着剤層と基材フィルムとの積層体Aを得た。
また、剥離フィルム(リンテック社製 SP−PET3811)に、上記接着剤組成物(1)を、乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布・乾燥(乾燥条件:100℃、1分間)して、剥離フィルム上に形成された接着剤層を得た。次いで、接着剤層と基材保護フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、50μm厚、剛軟度:101mm)とを貼り合わせて、接着剤層と基材保護フィルムとの積層体Bを得た。
積層体Bの接着剤層上の剥離フィルムを除去し、上記積層体Aの基材フィルム側に、積層体Bの接着剤層を貼り合わせて、粘着シートを得た。その後、粘着剤層上の剥離フィルムを除去して各評価を行った。結果を表1に示す。
【0117】
(実施例2)
基材フィルムをエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム(80μm厚、剛軟度:110mm)に代えた以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。結果を表1に示す。
【0118】
(実施例3)
粘着剤組成物として、下記の粘着剤組成物(2)を用いた。また、基材フィルムをエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム(80μm厚、剛軟度:110mm)に、基材保護フィルムをポリプロピレンフィルム(140μm)に代えた。上記以外は実施例1と同様にして粘着シートを得た。結果を表1に示す。
【0119】
〔粘着剤組成物(2)の作製〕
2−エチルヘキシルアクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレート=80/20(質量比)を反応して得られたアクリル重合体と、該アクリル重合体100g当たり21.4g(アクリル重合体の2−ヒドロキシエチルアクリレート単位100モル当たり80モル)のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて得られたエネルギー線硬化性重合体(重量平均分子量:60万)100質量部、光重合開始剤(α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184))3質量部、及び、架橋剤(TDI−TMP トルエンジイソシアネートとトリメチロールプロパントリアクリレートとの付加物)0.3質量部を溶媒中で混合し、粘着剤組成物(2)を得た。
【0120】
(実施例4)
〔粘着剤組成物(3)の作製〕
2−エチルヘキシルアクリレート/酢酸ビニル/2−ヒドロキシエチルアクリレート=40/40/20(質量比)を反応して得られたアクリル重合体と、該アクリル重合体100g当たり21.4g(アクリル重合体の2−ヒドロキシエチルアクリレート単位100モル当たり80モル)のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて得られたエネルギー線硬化性重合体(重量平均分子量:60万)100質量部、光重合開始剤(α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184))3質量部、及び、架橋剤(TDI−TMP トルエンジイソシアネートとトリメチロールプロパントリアクリレートとの付加物)1質量部を溶媒中で混合し、粘着剤組成物(3)を得た。
【0121】
〔接着剤組成物(2)の作製〕
ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレート=65/15/20(質量比)を反応して得られたアクリル重合体と、該アクリル重合体100g当たり21.4g(アクリル重合体の2−ヒドロキシエチルアクリレート単位100モル当たり80モル)のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて得られたエネルギー線硬化性重合体(重量平均分子量:60万)100質量部、光重合開始剤(α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184))3質量部、及び、架橋剤(TDI−TMP トルエンジイソシアネートとトリメチロールプロパントリアクリレートとの付加物)2質量部を溶媒中で混合し、接着剤組成物(2)を得た。
【0122】
〔粘着シートの作製〕
剥離フィルム(リンテック社製 SP−PET3811)に、上記粘着剤組成物(3)を、乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布・乾燥(乾燥条件:100℃、1分間)して、剥離フィルム上に形成された粘着剤層を得た。次いで、粘着剤層と基材フィルム(エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、80μm厚、剛軟度:110mm)とを貼り合わせて、粘着剤層と基材フィルムとの積層体Aを得た。
また、剥離フィルム(リンテック社製 SP−PET3811)に、上記接着剤組成物(2)を、乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布・乾燥(乾燥条件:100℃、1分間)して、剥離フィルム上に形成された接着剤層を得た。次いで、接着剤層と基材保護フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、50μm厚)とを貼り合わせて、接着剤層と基材保護フィルムとの積層体Bを得た。
積層体Bの接着剤層上の剥離フィルムを除去し、上記積層体Aの基材フィルム側に、積層体Bの接着剤層を貼り合わせて、粘着シートを得た。その後、粘着剤層上の剥離フィルムを除去して各評価を行った。結果を表1に示す。
【0123】
(実施例5)
粘着剤組成物として、下記の粘着剤組成物(4)を用いた以外は、実施例4と同様にして粘着シートを得た。結果を表1に示す。
【0124】
〔粘着剤組成物(4)の作製〕
ブチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレート=80/20(質量比)を反応して得られたアクリル重合体と、該アクリル重合体100g当たり21.4g(アクリル重合体の2−ヒドロキシエチルアクリレート単位100モル当たり80モル)のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて得られたエネルギー線硬化性重合体(重量平均分子量:60万)100質量部、光重合開始剤(α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184))3質量部、及び、架橋剤(TDI−TMP トルエンジイソシアネートとトリメチロールプロパントリアクリレートとの付加物)0.4質量部を溶媒中で混合し、粘着剤組成物(4)を得た。
【0125】
(実施例6)
基材保護フィルムをポリプロピレンフィルム(140μm厚)に代えた以外は実施例5と同様にして粘着シートを得た。結果を表1に示す。
【0126】
(比較例1)
電子部品加工用粘着シートに代えて、実施例1における、粘着剤層と基材フィルムとの積層体Aのみからなるシートを各評価に用いた。結果を表1に示す。
【0127】
(比較例2)
基材フィルムをエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム(120μm厚)に代えた以外は、比較例1と同様にして粘着シートを得た。結果を表1に示す。
【0128】
(比較例3)
電子部品加工用粘着シートに代えて、実施例4における、粘着剤層と基材フィルムとの積層体Aのみからなるシートを各評価に用いた。結果を表1に示す。
【0129】
(比較例4)
電子部品加工用粘着シートに代えて、実施例5における、粘着剤層と基材フィルムとの積層体Aのみからなるシートを各評価に用いた。結果を表1に示す。
【0130】
(比較例5)
電子部品加工用粘着シートに代えて、実施例1における、接着剤層と基材保護フィルムの積層体Bのみからなるシートを各評価に用いた。結果を表1に示す。
【0131】
(比較例6)
電子部品加工用粘着シートに代えて、実施例4における、接着剤層と基材保護フィルムの積層体Bのみからなるシートを各評価に用いた。結果を表1に示す。
【0132】
【表1】