(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、ナノメートルサイズのシリカ粒子の製造図及び付着基によるナノメートルサイズのシリカ粒子の官能化を記載している。この図において、第一工程において、テトラアルキルシリケートを使用して、Stoeberプロセスに従ってナノメートルサイズのシリカ粒子を製造する。第二工程において、ナノメートルサイズのシリカ粒子を、3−FG−プロピル基を有するトリアルコキシシラン化合物を使用して官能化する。FGは、官能化学基を示す。シラン化合物のトリアルコキシシラン部分は、ナノメートルサイズの酸化物粒子から生じる酸素基に結合する結合基Bを含む。結合基Lは、例えばプロピル基であり、かつ官能化学基FGは、アミノ基であってよい。L−FGは、結合基Bとナノメートルサイズのシリカ粒子との反応によって導入される。
【
図2】
図2は、合成した及び官能化したナノサイズのシリカ粒子について動的光散乱(DLS)法によって測定された粒径分布を示す。
【
図3】
図3は、官能化されていないシリカナノ粒子(Siコロイド)及び3−アミノプロピルトリエトキシシランで官能化されたシリカ粒子(NH2改質Siコロイド)のFTIR−ATRスペクトルを示す。
【
図4】
図4は、官能化されていないシリカナノ粒子(4A:ブランクシリカナノ粒子)及び3−アミノプロピルトリエトキシシランで官能化されたシリカ粒子(4B:アミン官能化シリカナノ粒子)の1H−NMRスペクトルを示す。
【
図5】
図5は、本発明による、絶縁性基板表面の銅での金属化のための付着プロモーターとして、官能化したシリカナノ粒子を適用することによるプロセス配列を示す。
【
図6】
図6は、絶縁性基板の金属化のために官能化したシリカナノ粒子を適用する場合に、種々のパラメータの付着強度に対する影響を示す。
【
図7】
図7は、金属化する前に官能化したシリカナノ粒子の種々の濃度で処理した基板上で堆積した金属層の付着強度(剥離強度)を示す。該図は、さらに、基板(金属層を有さない)に適用された種々の濃度の官能化したシリカナノ粒子の層の構造を示す。該構造の図は、0.9μm×0.8μmの寸法での一部分の基板を示すFESEM画像である。
【0023】
発明の詳細な説明
ナノメートルサイズのシリカ粒子の製造は、当業者に公知の方法に従って実施されてよい。前記粒子は、Sigma−Aldrich社から市販されてもいる。少なくとも1つの付着基のナノメートルサイズのシリカ粒子への結合も、当業者に公知である。少なくとも1つの付着基のナノメートルサイズの粒子への結合は、粒子の官能化ともいう。
【0024】
ナノメートルサイズのシリカ粒子を官能化するために適した方法は、明細書の実施例の節で開示されている。かかる方法は、それらの外表面上で反応性酸素基を含むナノメートルサイズの粒子を官能化するためにも適している。かかる方法は、特に、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ及び酸化亜鉛のナノメートルサイズの酸化物粒子を官能化するために適している。
【0025】
ナノメートルサイズのシリカ粒子の製造は、例えばStoeber et al.(Stoeber et al., Journal of Colloid and Interface Science 26, p. 62−69, 1968)によって記載されているプロセスによって実施されてよい。純粋なアルコール又はアルコール混合物(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、フェノール)、飽和アルコールアンモニア溶液、水酸化アンモニウム、及び水を混合する。アンモニアを、球状粒子の形成を生じる触媒として使用し、さらに新生の粒子のサイズに影響を及ぼす。その後、テトラアルキルシリケート(アルキル=メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル)を添加し、その溶液を、振盪、超音波振動又は磁気撹拌によって撹拌し、懸濁液中の粒子を、それらが形成された後に維持する。その溶液を、15分から20時間まで室温で反応させる。得られたシリカ粒子を洗浄により精製する。
【0026】
その反応は、
図1において示されているように加水分解工程及び縮合工程からなると考えられる。加水分解工程中に、テトラアルキルシリケートのアルキル基を加水分解して、対応するシラノールを得る。縮合工程中に、種々のシラノール分子のヒドロキシル基を縮合して、そしてシリカ構造を形成する。
【0027】
本発明の好ましい一実施態様のアルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ及び酸化亜鉛のナノメートルサイズの酸化物粒子を、同様の手法によって製造してよい。例えばPark et al.は、Al(OC
3H
7)
3からのナノメートルサイズのアルミナ粒子の製造方法を示している(Park et al., Materials Research Bulletin 40, p. 1506−1512, 2005)。
【0028】
酸化亜鉛(II)を、酸素の存在で蒸発することによって金属亜鉛又は亜鉛鉱石から、又は焼成によって炭酸亜鉛又は水酸化亜鉛から製造してよい。ジルコニアを、焼成によってケイ酸ジルコニウムから製造してよい。
【0029】
さらに、Peng et al.は、Ti(SO
4)
2で出発するナノメートルサイズのチタニア粒子の形成(Peng et al., Journal of Physical Chemistry B 109, p. 4947−4952, 2005)を示し、かつTaib & Sorrelは、シュウ酸スズからの酸化スズ(IV)粒子の合成(Taib and Sorrel, J. Aust. Ceram. Soc. 43[1], p. 56−61, 2007)を示す。
【0030】
本発明の好ましい一実施態様のシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ及び酸化亜鉛のナノメートルサイズの酸化物粒子を、例えばAmerican Elementsから仕入れてもよい。
【0031】
ナノメートルサイズの粒子の特徴化を、動的光散乱(DLS)によって実施してよい。粒径分布の測定のためのこの方法は、当業者に公知である。本発明のシリカ粒子のサイズの測定は、実施例の節において記載されている。
【0032】
本発明のナノメートルサイズの粒子は、1種のみの材料を含んでよく、又は1種以上の材料を含んでよい。
【0033】
ナノメートルサイズの粒子を含む材料は、無機酸化物、無機ポリマー、及び金属から選択される。
【0034】
金属は、1つ以上のAg、Au及びCuから選択される。
【0035】
無機酸化物は、1つ以上のシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、酸化亜鉛、シリカゲル、二酸化ケイ素を被覆したTiO
2、Sb−SnO
2、Fe
2O
3、マグネタイト、インジウムスズオキシド(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化インジウム、酸化アンチモン、フッ素ドープ酸化スズ、リンドープ酸化スズ、アンチモン酸亜鉛及びインジウムドープ酸化亜鉛から選択される。
【0036】
有機ポリマーは、熱可塑性ポリマー、弾性ポリマー又は架橋ポリマーから選択される。熱可塑性ポリマー、弾性ポリマー又は架橋ポリマーの例は、モノオレフィン及びジオレフィンのポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン;ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ハロゲン含有ポリマー、例えばポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン;ポリピロール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリウレタン、ポリアミド、例えばポリアミド4、ポリアミド6;ポリイミド、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート;ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、エポキシ樹脂、天然ポリマー、例えばセルロース、セルロースアセテート、セルロースエーテル、ゼラチン、天然ゴム;並びにそれらの混合物、コポリマー、ブロックコポリマー及びグラフトポリマーである。
【0037】
好ましい一実施態様において、ナノメートルサイズの粒子は、1種のみの材料を含む。より好ましい一実施態様において、1つの材料は、前記無機酸化物である。従って、より好ましい一実施態様において、ナノメートルサイズの粒子は、ナノメートルサイズの酸化物粒子である。さらにより好ましい実施態様において、ナノメートルサイズの酸化物粒子は、1つ以上のシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ及び酸化亜鉛の粒子から選択される。最も好ましい実施態様において、ナノメートルサイズの酸化物粒子は、シリカ粒子である。
【0038】
さらに好ましい一実施態様において、ナノメートルサイズの粒子は、前記材料の混合物を含むナノメートルサイズの粒子を意味する1種以上の材料を含む。
【0039】
さらに好ましい一実施態様において、ナノメートルサイズの粒子は、1つの材料の内側のコアを含み、そのコアがもう1つの材料の外側のシェルによって覆われたナノメートルサイズの粒子を意味する1種以上の材料を含む。外側のシェルは、他の材料の1つ以上の層を含む。外側のシェルは、外表面とも言われる最も外側の層を有する。コアが含む1つの材料は、無機酸化物、無機ポリマー及び前記金属から選択される。シェルが含むもう1つの材料は、無機酸化物、無機ポリマー及び前記金属から選択される。この好ましい実施態様の範囲内で、コアが含む1つの材料及びシェルが含むもう1つの材料は、互いに異なる。内側のコア及び外側のシェルが含むより好ましいナノメートルサイズの粒子は、コア/シェル材料、について、ポリスチレン/ポリピロール;ポリスチレン/シリカ;ジルコニア/シリカ;金/ポリピロールを含む。
【0040】
さらにより好ましい一実施態様において、シェルの外表面が含むもう1つの材料は、無機酸化物である。最も好ましい実施態様において、シェルの外表面の無機酸化物は、1つ以上のシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ及び酸化亜鉛から選択される。さらに最も好ましい実施態様において、シェルの外表面の無機酸化物は、シリカである。
【0041】
さらにより好ましい一実施態様において、ナノメートルサイズの粒子は、無機酸化物を含む外表面を有する。これらのナノメートルサイズの粒子は、ナノメートルサイズの酸化物粒子と言われる。このより好ましい実施態様のナノメートルサイズの酸化物粒子は、無機酸化物から選択される1つのみの材料を含む。代わりに、このより好ましい実施態様のナノメートルサイズの酸化物粒子は、無機酸化物の混合物を含む。代わりに、ナノメートルサイズの酸化物粒子は、内側のコア及び外側のシェルを含む、その際外側のシェルの内側表面は、無機酸化物を含む。コアは、無機酸化物、無機ポリマー及び金属から選択される材料を含む。外表面の無機酸化物は前記で定義されている。最も好ましい実施態様において、外表面の無機酸化物は、1つ以上のシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ及び酸化亜鉛から選択される。さらに最も好ましい実施態様において、外表面の無機酸化物は、シリカである。
【0042】
他の好ましい一実施態様において、ナノメートルサイズの粒子は、それらの外表面上で反応性酸素基を含む。ナノメートルサイズの粒子の外表面が無機酸化物を含む場合に、反応性酸素基は、−OH、−OOH、−O
-、−OO
-であってよい。ナノメートルサイズの粒子の外表面が有機ポリマーを含む場合に、反応性酸素基は、−OH、−OOH、−O
-、−OO
-、−CHO、−CO−、−COOH、−COO
-、−COO−、−OCO−及び−CON−であってよい。
【0043】
コア−シェル−構造を有するナノ粒子は市販されており、例えばジルコニア及び酸化スズのコア及びシリカのシェルを有する粒子は、Nissan Chemical Industry, Ltd.(高屈折率ゾル)から入手できる。
【0044】
本発明のナノメートルサイズの粒子は、0.5nm〜500nm、有利には1nm〜200nm、より有利には10〜100nm及び最も有利には2nm〜50nmの範囲で平均直径を有する。“平均直径”の表現は、ここで、動的レーザー散乱測定によって得られた粒径分布のd
50値(粒径分布の数中央値)として定義される。粒径分布のd
50値は、粒子の50%が得られたd
50値未満の直径を有することを意味する。この方法は、本発明の全てのタイプのナノサイズの粒子について等しく適用できる。
【0045】
本発明の粒子は、基板を結合するために適した官能化学基を有する少なくとも1つの付着基を有する。
【0046】
少なくとも1つの付着基は、一般式(I)
【化2】
[式中、Bは結合基であり、Lは連結基であり、かつFGは、官能化学基である]を有する。
【0047】
前記結合基Bは、
1. −Si(R
1R
2)− [式中、R
1及びR
2は、互いに独立して、炭素原子1〜12個を有するアルコキシ基、炭素原子1〜12個を有するアルキル基、ハロゲン原子、及びナノメートルサイズの粒子から生じる酸素原子への結合及び/又は他の付着基を示す]
2. −CH
2R
3−、−CO−NH−、−CO−O−、非置換の又は置換されたアリール [式中、R
3は、−CHOH−CH
2−O−、−CHOH−CH
2−;直鎖の、非置換の又は置換された炭素原子1〜5個を有する炭化水素基を示す]
を示す。
【0048】
前記連結基Lは、直鎖の、非置換又は置換された、炭素原子1〜20個を有する炭化水素基;環状の、非置換又は置換された、炭素原子3〜8個を有する炭化水素基;1つ以上の酸素原子及び/又は窒素原子で中断された直鎖又は環状の炭化水素基;1つ以上の二重結合及び/又は三重結合を有する直鎖又は環状の炭化水素基;非置換又は置換されたアリール又はヘテロアリール、ホスホネート及びビピリジルを示す。
【0049】
官能化学基FGは、アミノ基、カルボニル基、カルボキシ基、エステル基、エポキシ基、メルカプト基、ヒドロキシル基、アクリル基、メタクリル基、無水物基、酸ハロゲン化物基、ハロゲン基、アリル基、ビニル基、スチレン基、アリール基、アセチレン基、アジド基、ウレイド基、窒素原子1〜3個を有する5〜6員環複素環式炭化水素基、イソニコチンアミジル、ビピリジル、ニトリル、イソニトリル及びチオシアネートである。
【0050】
基板への結合に適している官能化学基を有する付着基は、ナノメートルサイズの粒子の外表面に、又はナノメートルサイズの粒子の外表面及び内部構造に付着される。有利には、基材への結合に適している官能化学基を有する付着基は、ナノメートルサイズの粒子の外表面に付着される。
【0051】
基板表面に付着したナノメートルサイズの粒子は、該表面を、続いてメッキされた金属層に影響されやすくし、かつ金属と基板との間の付着を高め、それによって金属と基板表面との間の耐久性のある結合を提供する。
【0052】
基板への結合に適している官能化学基を有する付着基は、化学的又は物理的に基板表面に結合するために適した任意の化学物質であってよい。官能化学基を有する付着基は、有利には1つ以上の前記付着基である。重合可能な基を有する付着基は、金属と基板との間の付着における低い増加のみを示し、かつ従ってほとんど好ましくない。重合可能な基は、エポキシ、アクリル、メタクリレート、アリル、ビニル、スチレン及び二重結合である。
【0053】
開示の目的のために、次の定義を適用する。
【0054】
“アルコキシ”は、酸素原子に単結合したアルキル基(R
4)、例えばR
4−O−を意味する。好ましいアルコキシ基は、
から選択される。
【0055】
“アルキル”(R
4)は、一般化学式C
nH
2n+1 [式中、nは1〜12の整数、有利には1〜5の整数である]を有するあらゆる飽和した一価の基の炭化水素鎖、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル等、最も有利にはメチル、エチル又はn−プロピルを意味する。アルキル基は、非置換又は置換であってよく、かつ/又は分枝鎖又は非分枝鎖であってよい。“分枝鎖”は、少なくとも1つの水素原子がアルキル基によって置き換わっていることを意味する。
【0056】
“ハロゲン”は、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びフッ素原子を意味する。
【0057】
“炭化水素基”は、あらゆる飽和又は不飽和の二価の基の炭化水素鎖を意味する。二価の飽和炭化水素鎖は、置換されていない場合に、一般化学式C
nH
2n [式中、nは1〜20、有利には2〜15、及びより有利には2〜5の整数である]、例えばメチレン(−CH
2−)、エチレン(−CH
2−CH
2−)、n−プロピレン(−CH
2−CH
2−CH
2−)、n−ブチレン(−CH
2−CH
2−CH
2−CH
2−)、n−ペンチレン(−CH
2−CH
2−CH
2−CH
2−CH
2−)を有する。二価の不飽和炭化水素鎖は、二価の飽和炭化水素鎖の定義に対応し、その際、少なくとも2つの水素原子がさらにC−C結合によって置き換えられて少なくとも1つの二重結合を得るか、又は少なくとも4つの水素原子が2つのさらなるC−C結合によって置き換えられて少なくとも三重結合を得るか、又はその双方であり、例えば
である。炭化水素基は、非置換又は置換であってよく、かつ/又は分枝鎖又は非分枝鎖であってよい。
【0058】
“直鎖炭化水素基”は、分枝鎖又は非分枝鎖であってよいと前記で定義されている飽和又は不飽和の二価の基の炭化水素鎖を意味する。“分枝鎖”は、少なくとも1つの水素原子がアルキル基によって置き換わっていることを意味する。分枝鎖の直鎖炭化水素基は、例えば
である。直鎖炭化水素基は、非置換又は置換されてよい。
【0059】
“環状炭化水素基”は、末端が、互いに結合して環状構造を形成している飽和又は不飽和の二価の基の単環水素鎖を意味する。環状の二価の飽和炭化水素基は、非置換である場合に、一般化学式C
nH
2n-2 [式中、nは3〜8、有利には3〜6の整数である]を有し、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルである。環状の二価の不飽和炭化水素基は、環状の二価の飽和炭化水素基の定義に対応し、その際2つの水素原子は、さらにC−C結合によって置き換えられて少なくとも1つの二重結合をもたらし、例えばシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロブタジエニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、及びシクロヘキサジエニルである。環状炭化水素基は、非置換又は置換であってよく、かつ/又は分枝鎖又は非分枝鎖であってよい。
【0060】
“1つ以上の酸素原子及び/又は窒素原子により中断された直鎖炭化水素基”は、前記で定義した直鎖炭化水素基を意味し、その際隣接するメチレン基(−CH
2−)1〜10個が−O−によって置き換えられ、かつ/又はメチレン基1〜10個が−NR
5−によって置き換えられ、かつ/又は−CH=の1〜10個が−N=によって置き換えられ、ここでR
5は、水素及びアルキルを含む基から選択され、例えば、
である。1つ以上の酸素原子及び/又は窒素原子によって中断されている直鎖炭化水素基は、非置換又は置換であってよく、かつ/又は分枝鎖又は非分枝鎖であってよい。
【0061】
“1つ以上の酸素原子及び/又は窒素原子によって中断されている環状炭化水素基”は、前記で定義した環状炭化水素基を意味し、その際隣接していないメチレン基(−CH
2−)1〜4個が−O−によって置き換えられ、かつ/又はメチレン基1〜4個が−NR
5−によって置き換えられ、かつ/又は−CH=の1〜4個が−N=によって置き換えられ、ここでR
5は、水素及びアルキルを含む基から選択され、例えばオキシラン、アジリジン、アゼチジン、ジアゼチジン、オキサゼチジン、オキセタン、ジオキセタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、オキサゾリジン、ジオキサゾリジン、ピロリジン、イミダゾリジン、オキサジアゾリジン、ピペリジン、ヘキサヒドロピリミジン、トリアジナン、オキサジナン、ジオキサジナン、オキサジアジナン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、トリオキサン、オキシレン、アジリン、ジヒドロ−アゼート、ジヒドロ−ジアゼート、ジアゼート、オキサゼート、オキセート、ジヒドロ−フラン、ジオキソール、ジヒドロ−オキサゾール、ジオキサゾール、ジヒドロ−ピロール、ジヒドロ−イミダゾール、ジヒドロ−オキサジアゾール、オキサジアゾール、テトラヒドロ−ピリジン、ジヒドロ−ピリジン、テトラヒドロ−ピリミジン、ジヒドロ−ピリミジン、テトラヒドロ−トリアジン、ジヒドロ−トリアジン、ジヒドロ−オキサジン、オキサジン、ジオキサジン、ジヒドロ−オキサジアジン、オキサジアジン、ジヒドロ−ピラン、ピラン、ジオキシン、オキサゾール、ピロール及びフランである。1つ以上の酸素原子及び/又は窒素原子によって中断されている環状炭化水素基は、非置換又は置換であってよく、かつ/又は分枝鎖又は非分枝鎖であってよい。
【0062】
“アリール”は、置換又は非置換であってよく、かつ/又は分枝鎖又は非分枝鎖であってよく、かつ/又は一価又は二価であってよい、炭素原子5〜12個を有する芳香族炭化水素基を意味し、例えばフェニル、ナフチル、ジフェニル、ベンジルである。最も有利には、アリールはフェニル又はベンジルである。
【0063】
“ヘテロアリール”は、5〜6環員を有し、かつ環員として、炭素原子に加えて窒素原子1〜3個を有する芳香族部分を意味する。ヘテロアリール部分は、非置換又は置換であってよく、かつ/又は分枝鎖又は非分枝鎖であってよく、かつ/又は一価又は二価であってよい。最も有利には、ヘテロアリールは、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、ピロールイル、ピラゾイル、イミダゾイル、トリアゾイル等である。
【0064】
“ホスホネート”は、一般化学式 −R
6−PO(OR
7−)(OR
8)[式中、R
6〜R
7は、独立して、直鎖炭化水素基及びアリールを含む群から選択され、かつR
8は、水素、アルキル、アミノアルキル及びアリールを含む群から選択される]を有するリン酸の有機誘導体を意味し、例えば
である。
【0065】
“アミノ”は、部分−NR
9R
10 [式中、R
9及びR
10は、独立して、水素及びアルキルを含む群から選択される]を意味し、例えば
である。
【0066】
“アミノアルキル”は、前記で定義した1つ以上のアミノ基で置換した前記で定義したアルキルを意味する。好ましいアミノアルキル基は、
から選択される。
【0067】
“エステル”は、部分−CO−OR
11 [式中、R
11は、アルキルを含む群から選択される]を意味し、例えば
である。
【0068】
“エポキシ”は、一般化学式
【化3】
[式中、R
12〜R
14は、独立して、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル及びアリールを含む群から選択される]を有する部分を意味し、例えば
である。
【0069】
“ヒドロキシアルキル”は、1つ以上のヒドロキシ基で置換された、前記で定義したアルキル基を意味し、例えば
である。ヒドロキシアルキル基は、分枝鎖又は非分枝鎖であってよい。
【0070】
“メルカプト”は、部分−S−R
15 [式中、R
15は、水素及びアルキルを含む群から選択される]を意味し、例えば
である。
【0071】
“アセチレン”は、
を意味する。
【0072】
“アクリル”は、部分−CO−CR
16=CR
17R
18 [式中R
16〜R
18は、独立して、水素、アルキル及びアリールを含む群から選択される]を意味し、例えば
である。
【0073】
“メタクリル”は、部分−CO−CR
16=CR
17R
18 [式中、R
16は−CH
3であり、かつR
17〜R
18は前記で定義されたものである]を意味する。
【0074】
“無水物”は、部分−CO−O−CO−R
19 [式中、R
19は、水素及びアルキルを含む群から選択される]を意味し、例えば
である。
【0075】
“アリル”は、部分−CR
20R
21−CR
22=CR
23R
24 [式中、R
20〜R
24は、独立して、水素、アルキル及びアリールを含む群から選択される]を意味し、例えば
である。
【0076】
“ビニル”は、部分−CR
25=CR
26R
27 [式中、R
25〜R
27は、独立して、水素、アルキル及びアリールを含む群から選択される]を意味し、例えば
である。
【0077】
“スチレン”は、部分−CR
25=CR
26R
27 [式中R
26はフェニルであり、かつR
25及びR
27は前記で定義されたものである]を意味する。フェニル基は、非置換又は置換されていてよい。
【0078】
“カルボニル”は、−CO−R
25 [式中、R
25は、水素、アルキル及びアリールを含む群から選択される]を意味し、例えば−COH、−CO−CH
3、−CO−CH
2−CH
3、−CO−CH
2−CH
2−CH
3、及び−CO−C
6H
5である。“酸ハロゲン化物”は、部分−CO−R
25 [式中、R
25は、塩素及び臭素を含む群から選択される]を意味し、例えば−CO−Cl、及び−CO−Brである。
【0079】
“複素環式”は、5〜6環員を有し、かつ環員として、炭素原子に加えて窒素原子1〜3個を有する一価又は二価の環式を意味する。複素環式部分は、非置換又は置換されてよく、かつ/又は分枝鎖又は非分枝鎖であってよい。最も有利には、複素環式炭化水素基は、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、トリアゾリジニル、ピペリジニル、ヘキサヒドロピリダジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピペラジニル、トリアジナニル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、ピロールイル、ピラゾイル、イミダゾイル、トリアゾイル等である。
【0080】
“ウレイド”は、部分−NR
28−CO−NR
29R
30 [式中、R
28〜R
30は、独立して、水素、アルキル及びアリールを含む群から選択される]を意味し、例えば
である。
【0081】
“置換”は、有機部分における少なくとも1つの水素原子が、ヒドロキシル基、カルボニル基、エステル基、無水物基、酸ハロゲン化物基、エポキシ基、アミノ基、ニトリル基、イソニトリル基、チオシアネート基、ハロゲン基、メルカプト基、アクリル基、メタクリル基、アリル基、ビニル基、スチレン基、アリール基、アセチレン基、アジド基、ウレイド基、窒素原子1〜3個を含む5〜6員環複素環式炭化水素基、イソニコチンアミジル及びビピリジルから選択される置換基によって置換されることを意味する。前記置換基は、前記で定義されている。
【0082】
好ましい付着基は、
から選択される。R
1及びR
2は前記で定義されている。
【0083】
少なくとも1つの付着基に関して、種々の結合基L及び/又は種々の官能化学基FGを有する付着基は、同一のナノメートルサイズの粒子に結合されてよいことを意味する。例えば、第一の付着基の結合基Lは、アルキル基であってよく、かつ第二の付着基の結合基Lは、同一のナノメートルサイズの粒子に結合したアリール基であってよい。例えば、第一の付着基の官能化学基FGは、チオール基であってよく、かつ第二の付着基の官能化学基FGは、アミノ基であってよく、双方の付着基は同一のナノメートルサイズの粒子に結合している。基板への結合に適している官能化学基FGは、それぞれの基板への結合を形成する任意の官能性であってよい。有利には、官能化学基FGは前記で定義されている。
【0084】
一般に、基板への結合に適している官能化学基を有する付着基は、化学結合を形成することによって化学的に、又は付着力によって物理的に、ナノメートルサイズの粒子の表面に結合される。
【0085】
本発明の好ましい一実施態様に従って、少なくとも1つの付着基は、
図1において示したナノメートルサイズのシリカ粒子に結合される。これは、化学(共有)結合が、式(I)に従った付着基の結合基Bと、粒子のシリカ表面の反応中心との間に形成されることを意味する。一例として、(3−アミノプロピル)トリエトキシシランとシリカ粒子との反応を議論する。かかる反応は、通常、加水分解によって、それらの表面で曝されるSi−OH基を有するシリカ粒子の表面での縮合反応であると考えられる。この例の(3−アミノプロピル)トリエトキシシランにおける、シラン化合物と、シリカ粒子の表面のSi−OH基とのかかる縮合反応は、以下であってよい:
【化4】
他の反応工程を、以下のように、他の表面のSi−OH基で実施してよい:
【化5】
及び
【化6】
【0086】
他の表面のSi−OH基は、シリカ粒子からのステムであってよく、又はシリカの粒子表面上にはっきりと付着基の最も近くで反応される他の付着基からのステムであってよい。従って、シラン化合物のトリアルコキシケイ素成分は、シリカ粒子の表面上でシリカ構造の追加の層を形成してよく、一方で有機官能基は、シリカ粒子の外層を形成するシラン化合物の一部であってもよい。シラン化合物とシリカ粒子との反応によって生じるこの構造の単純モデルは、
図1において示されている。このモデルは、シラン化合物を使用することによる官能化工程の理解を容易にするために示される。シラン化合物とシリカ粒子との反応によって生じる実際の構造は、より多様であってよく、記載されうる単純なモデルよりも複雑である。シラン化合物においてアルコキシ基の代わりにハロゲン原子が同様の方法で反応する。シラン化合物からのシリカ構造の追加の層の形成は、それらの外表面上で反応性酸素基を含むナノメートルサイズの粒子の表面上でも可能である。シラン化合物からのシリカ構造の追加の層の形成は、特に、本発明の好ましい一実施態様のアルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ及び酸化亜鉛のナノメートルサイズの酸化物粒子の構造上で可能である。
【0087】
基板への結合に適している官能化学基を有する少なくとも1つの付着基を有するシリカ粒子は、Choi and Chen (Choi & Chen, Journal of Colloid and Interface Science 258, p. 435−437, 2003)によって記載された方法に従って、シリカ粒子と有機官能基を有するトリアルコキシシラン化合物とを反応することによって製造されうる。挙げられたシラン化合物は、溶媒、例えば水、エタノール、クロロホルム、ヘキサン、ジメチルホルムアミド又はアセチルアセテート中で分散されるシリカ粒子に添加される。得られた分散液を、少なくとも1時間室温で撹拌して、シリカ粒子とシラン化合物とを良好に混合させる。分散されたシリカ粒子を、シラン化合物を添加する前に、有機酸でpH3〜6に調整する。この工程は、シラン化合物の副反応、例えば加水分解及び縮合を妨げる。分散液を、少なくとも3時間高温で還流する。そして、反応させた分散液を、透析、遠心分離又は濾過によって3回洗浄して、未反応のシラン化合物を取り除く。
【0088】
代わりに、シリカ粒子及びシラン化合物を、非水溶媒、例えばアセトン又はクロロホルム中で混合し、そして反応混合物を短時間、例えば1時間反応させる。そして、反応混合物中で形成した沈殿物を分離させる。代わりに、シラン化合物を水性媒体中で酸と混合する。そして、シリカ粒子を、有利には反応混合物を撹拌しながら、その反応混合物中で分散する。1つ又は多数の種々のアミノシランをそれらの表面に結合することによって改質させたシリカ粒子を製造するより複雑な及び多様な実施態様及び実施例は、EP 1 894 888号A1において開示されており、その際、多様なシリカ源のタイプ、シリカ粒子とアミノシランとを反応するために使用される溶媒、反応混合物において及び反応工程中のpHにおいて使用される酸、アミノシラン化合物(R
aSiX
(4-a))のタイプ(ここで1つ又は多数のかかるアミノシランをシリカ粒子の表面に結合させるために使用する)、シリカとアミノシランの濃度及び濃度の割合、シリカ粒子とアミノシランとを混合するための操作(混合、撹拌)、反応混合物中で懸濁されたシリカ粒子の濃度等は、EP 1 894 888号A1から、本発明の適用の明細書中に組込まれたものとする。
【0089】
基板への結合に適した官能化学基を有する少なくとも1つの付着基を有する本発明の好ましい一実施態様のアルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ及び酸化亜鉛のナノメートルサイズの酸化物粒子を、前記のように、官能化したシリカ粒子に類似した方法で製造してよい。Lesniak et al.は、例えばオルガノシランでの酸化鉄粒子の類似官能化を示す(US 6,183,658号)。
【0090】
アルコキシ基のみの代わりにアルキル基及びハロゲン原子及び/又はアルコキシ基の組合せを有する有機官能基を有する他のシラン化合物は、シリカ粒子の官能化についてRadhakrishnan et al.(Radhakrishnan et al., Soft Matter, 2006, 2, p. 386〜396)によって報告されている。これらのシラン化合物を使用して、種々の有機官能基を、さらにポリマーを結合するために改質されてよい粒子の表面に導入した。
【0091】
Park et al.は、シリカの官能化のための種々のシラン試薬(Park et al., Chem. Commun., 2011, 47, 4860−4871)、例えばシラザン、アリルシラン、メタリルシラン、アリールシラン及びビニルシランを報告している。これらのシランとシリカ粒子のシラノール基との反応は、シラノール基から生じる酸素とシラン試薬のケイ素との間の共有結合をもたらす。これらのシラン試薬を使用して、種々の有機官能基を粒子の表面に導入した。有機官能基は、ポリマー又は生体分子を結合するためにさらに改質されてよい。
【0092】
シラン化合物に加えて、ケイ素成分を含まない試薬を、シリカ粒子の官能化のために開発した。有機官能基を有しイソシアネート基又はオキシラン基を含む有機化合物も、Liu et al.(Liu et al., Journal of Colloid and Interface Science 336, 2009, 189〜194、及びLiu et al., Nanotechnology 14, 2003, 813−819)に従って、シリカ粒子のシラノール基に対して反応性がある。これらの有機化合物とシリカ粒子との反応は、シラノール基から生じる酸素と、イソシアネート基又はオキシラン基から生じる炭素原子との間の共有結合をもたらす。種々の有機官能基を粒子の表面に導入した。有機官能基は、ポリマーを結合するために改質されてもよい。
【0093】
シリカ粒子を官能化するための多段階工程及び従ってより複雑な手順は、シラノール基を塩素原子で置き換えることで出発する(Locke et al., Analytical Chemistry, Vol. 44, No. 1, 1972, 90−92を参照)。活性化した粒子表面を、シリカ粒子のケイ素とアリール又はアルキル部分の炭素原子との間の共有結合を生じるグリニャール反応又はワルツ反応によってアリール又はアルキル部分で改質してよい。アリール又はアルキル部分を、有機官能基を得るために有機合成化学の分野において公知な反応によってさらに改質してよい。
【0094】
前記官能化の全ては、既に存在する粒子に関し、従って粒子の後改質の群に属する。いわゆるin situでの改質又は共縮合によって官能化された粒子を製造することもできる。これらの方法は、粒子を同時に生じ、かつそれを官能化する。官能化されたシリカ粒子は、例えば、有機官能基を有するトリアルコキシシランの存在でテトラエトキシシラン(TEOS)を反応することによって合成されてよい。従って、既にそれらの外表面に及びそれらの内部構造内に付着した有機官能基を有するシリカ粒子が製造される。有機官能基を有するトリアルコキシシランは、Rahman et al.及びNaka et al.(Rahman et al., Ceramics International 35, 2009, 1883〜1888、及びNaka et al., Colloids and Surfaces A: Physicochem. Eng. Aspects 361, 2010, 162〜168)に従って、(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン、(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、及び(3−シアノ−エチル)トリエトキシシランであってよい。対照的に、後改質によって官能化された粒子は、それらの外表面のみに付着した有機官能基を有する。
【0095】
in situでの改質又は後改質によって導入された最初に導入された粒子の全ての官能性は、所望の有機官能基を製造するために有機合成化学の分野において公知の反応によってさらに改質される。
【0096】
ナノメートルサイズの粒子の官能化の特徴付けは、フーリエ変換赤外−減衰全反射(FTIR−ATR)分光法及び核磁気共鳴(NMR)分光法によって実施してよい。ナノメートルサイズの粒子の表面官能性を特徴付けるためのこれらの方法は、当業者に公知である。本発明のシリカ粒子の表面官能性の特徴付けは、実施例の節において記載されている。これらの方法は、他のタイプのナノサイズの粒子、例えば、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ及び酸化亜鉛の粒子、本発明の好ましい一実施態様に等しく適用できる。
【0097】
基板への結合に適している官能化学基を有する付着基は、粒子と、金属化されるべき基板表面との間に結合を形成することを提供する。その結合は、化学結合及び物理結合の双方であってよい。化学結合は、一般に、基板材料と、付着基の基板への結合に適している少なくとも1つの官能化学基との間に形成された共有結合である。粒子と基板表面との間の結合は、さらにイオン結合であってもよい。物理結合は、一般に、基板材料と、基板への結合に適している官能化学基を有する付着基との間の付着力によって提供される。物理結合は、水素架橋の形成に、ファンデルワールス相互作用に、又は分散力に基づいてよい。
【0098】
種々の種類の基板は、本発明による方法で金属化されてよい。金属化されるべき基板は、電気非伝導性基板、電気伝導性基板、及び電気半導性基板から構成される群から選択されてよい。
【0099】
本発明による方法は、特に、電気非伝導性基板又は表面を金属化するために適している。
【0100】
金属化されるべき電気非伝導性基板は、ガラス、セラミック、及びプラスチックを含む群から選択されてよい。
【0101】
プラスチックは、アクリルニトリル−ブタジエン−スチロール−コポリマー(ABSコポリマー);ポリアミド;ABSコポリマーと、ABSコポリマーとは異なる少なくとも1つの他のポリマーとの混合物;ポリカーボネート(PC);ABS/PCブレンド;エポキシ樹脂;ビスマレイミド−トリアジン樹脂(BT);シアネートエステル樹脂;ポリイミド;ポリエチレンテレフタレート(PET);ポリブチレンテレフタレート(PBT);ポリ乳酸(PLA);ポリプロピレン(PP);及びポリエステルを含む群から選択されてよい。
【0102】
基板上に金属をメッキするための本発明の方法は、
i. 基板と、基板への結合に適した官能化学基を有する少なくとも1つの付着基を有するナノメートルサイズの粒子を含む溶液とを接触し、それによって、基板表面の少なくとも一部上で前記ナノメートルサイズの粒子の層を形成する工程、及びその後、
ii. 湿式化学メッキ法を適用して基板を金属メッキする工程
を含み、その際前記ナノメートルサイズの粒子の層は、基板表面とメッキした金属との間に残る。
【0103】
従って、ナノメートルサイズの粒子は、基板表面とメッキした金属との間に層を形成する。言い換えれば、ナノメートルサイズの粒子の層は、金属層を堆積した後でさえ、基板表面上に留まる。ナノメートルサイズの粒子の層は、金属層を堆積する前又は堆積した後であっても、基板表面から取り除かれない。
【0104】
有利には、本発明の方法において、メッキした金属は、前記ナノメートルサイズの粒子の層上に残る。従って、メッキした金属は、ナノメートルサイズの粒子の層を形成する。メッキした金属の層は、ナノメートルサイズの粒子上に、及び基板表面上に留まる。メッキした金属の層は、前記ナノメートルサイズの粒子及び基板表面から取り除かれない。
【0105】
本発明の方法工程は、与えられた順序に従って実施するが、逐次直接実施する必要は無い。追加の工程を、前記方法工程の間に実施してよい。
【0106】
工程ii.について、湿式化学メッキ法を適用することによる基板上へ金属をメッキするためのいくつかの方法は、当業者に公知である。本発明に従って、湿式化学メッキ法は、有利には、電気メッキ法、浸漬メッキ法、又は無電解メッキ法である。
【0107】
前記プロセスに従って金属を非導電性基板にメッキする場合に、活性化工程を、金属メッキ工程のために基板表面を十分に導電性にするために、工程i)又はii)の前に適用する必要がある。
【0108】
そして、非導電性基板、例えばプラスチック目的物を、無電解金属化法を使用することによって、又は代わりに直接メッキ法(電解メッキ法)を使用することによって活性化後に金属化してよい。目的物を、最初に洗浄し、そして双方の方法でエッチングし、続いて、例えば貴金属又は導電性ポリマーを適用し、そして最終的に金属化する。
【0109】
続く金属メッキのための導電性基材の典型的な活性化を以下のように実施する。
【0110】
エッチングは、通常、クロム酸/硫酸を使用して実施する。有機溶媒又はアルカリ性もしくは酸性過マンガン酸塩溶液に基づいて製造したエッチング溶液を、あるプラスチックについての代わりとして使用してよい。エッチングは、後の金属化のために目的物の表面をより適応させて、その結果目的物の表面を、続く処理工程におけるそれぞれの溶液で良好に湿り、堆積した金属を表面に適切にしっかりと結合させるために提供する。アクリルニトリル−ブタジエン−スチロール−コポリマー(ABSコポリマー)から製造した表面をエッチングするために、金属を堆積し、続いてその金属を表面にしっかりと接着する表面の微空洞(microcavern)を形成する方法で、クロム酸/硫酸を使用してエッチングする。
【0111】
エッチング工程に加えて、洗浄工程を実施してよい。洗浄のために、アルカリ性洗浄剤を使用してよい。適したアルカリ性洗浄剤は当業者に公知である。
【0112】
一度エッチング及び任意の洗浄を完了すれば、活性化工程を実施する。プラスチックを、無電解金属化のために、貴金属を含む活性剤を使用して活性化し、そして無電解で金属化する。そして厚い金属層を、その後電解的に適用してもよい。無電解金属化を使用しないで得る直接メッキ法の場合に、エッチングした表面を、通常、パラジウムコロイド溶液で処理し、そして錯化剤で錯体を形成する銅イオンを含むアルカリ溶液で処理する。その後、目的物を、電解的に直接金属化してよい(EP 1 054 081号B1)。
【0113】
US特許4,590,115号に従った直接メッキ法のための代わりの一実施態様において、貴金属ではない金属、例えば銅の小さい電気非伝導性酸化物粒子をポリマー中で含むプラスチックの目的物を製造する。目的物の表面上で曝された酸化物粒子を、還元剤、例えば水酸化ホウ素を使用して金属に還元する。そして目的物を、その後、又はさらにその後に直接金属で電解により被覆してよい。この文献は、超音波の作用によって洗浄されるべき水浴中に置かれた目的物を含む酸化銅(I)を示す。そして前記目的物中の酸化銅(I)を、続いて、水酸化ホウ素ナトリウムを使用して銅に還元し、電気銅を、後に目的物の表面上に堆積させてよい。
【0114】
前記目的物を、
A)最初に、エッチング溶液又は洗浄溶液でエッチング又は洗浄し、
B)そして、コロイドの溶液で、又は化合物、特に元素の周期表第VIIIB又はIB属の金属(貴金属)、特にパラジウム/スズコロイドの塩で処理し、そして
C)最終的に、金属化溶液を使用して電解的に金属化する
従来の方法と比較して、本発明の方法の範囲内で、プラスチック目的物又は基板は、さらに、有利には前記で定義した工程i.に対応する方法工程A)とB)との間で実施されるさらなる方法工程において処理される。代わりに、工程i.を、方法工程B)とC)との間で実施してよい。この処理は、基板と続いて適用される金属層との間の接着を大いに高める。本発明の利点は、方法工程i.を基板に適用することによって、しばしば工程A)における毒性のある溶液中での厳しいエッチング処理を避けることができ、かつさらに非常に良好な接着が得られることである。
【0115】
方法工程i.に従ったナノメールサイズの粒子は、1種のみの材料を含む、又は1種以上の材料を含むナノメートルサイズの粒子から選択される。好ましい実施態様において、方法工程i.に従ったナノメートルサイズの粒子は、1つ以上のシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ及び酸化亜鉛の粒子を含むナノメートルサイズの酸化物粒子の群から選択される。
【0116】
方法工程i.に従ったナノメートルサイズの粒子は、前記のように基板への結合に適した官能化学基を有する少なくとも1つの付着基を有することによって官能化される。従って、ナノメートルサイズの粒子の層は、基板表面上で形成される。基板表面上でのナノメートルサイズの粒子の層は、粒子の単層であってよい。単層は、粒子の、単一で、密接に充填した層である。単層は、二次元空間で充填した最も密な球形の配置で粒子として記載されてもよい。基板表面上でのナノメートルサイズの粒子の層は、不完全な単層であってよい。不完全な単層は、最も密な球形の充填よりも、個々の粒子間のより多い空間を残すあまり密でない配置で充填した粒子の単層である。基板表面上でのナノメートルサイズの粒子の層は、いくつかの層の粒子の堆積であってもよい。堆積は、少なくとも2層の粒子を含む。層の堆積は、三次元空間で充填した最も密な球体の構造を有してよく、又はあまり密でない充填の構造を有してよい。
【0117】
方法工程i.に従ったナノメートルサイズの粒子は、0.5g/l〜100.0g/lの濃度範囲で、好ましくは2.5g/l〜75.0g/lの範囲で、より好ましくは2.5g/l〜50.0g/lの範囲で、及び最も好ましくは2.5g/l〜20.0g/lの範囲である。ナノメートルサイズの粒子を、物理的に取扱いが容易である濃度で、又は基板の表面上で粒子の少なくとも粒子の単層を製造するために適した濃度で溶液中で懸濁する。
【0118】
図6Aは、絶縁性基板と銅層との間の付着強度に対する官能化されたシリカ粒子の濃度の影響を示す。シリカ粒子を、実施例6において記載されたように絶縁性基板に適用した。シリカ粒子を絶縁性基板に適用しない場合に、付着強度は、基板への銅層の低い接着のみである、約0.6N/cmである。絶縁性基板に適用される官能化シリカ粒子の濃度を増加すると、増加した付着を、基板と銅層との間で観察する。顕著な及び優れた付着強度である最大約9N/cmが得られる。
【0119】
方法工程i.に従ったナノメートルサイズの粒子を含む溶液は、さらに、アルコール、ケトン及び水から選択される溶媒を含む。溶媒の例は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール又はアセトンである。好ましい溶媒は、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、アセトン及び水から選択される。
【0120】
プラスチック目的物又は基板と、方法工程i.に従ったナノメートルサイズの粒子を含む溶液との接触を、プラスチック目的物又は基板を、前記溶液中に浸す又は浸漬することによって、又は溶液をプラスチック目的物又は基板に噴霧又はピペット操作することによって実施する。プラスチック目的物又は基板と、方法工程i.に従ったナノメートルサイズの粒子を含む溶液との接触を、少なくとも一度実施する。代わりに、前記接触を、数回、有利には1〜20回、より好ましくは1〜10回、さらにより好ましくは1〜5回、及び最も好ましくは1〜2回実施してよい。
【0121】
プラスチック目的物又は基板と、方法工程i.に従ったナノメートルサイズの粒子を含む溶液との接触を、1〜20分、好ましくは3〜10分、最も好ましくは5〜7分間の範囲の時間で実施する。
【0122】
プラスチック目的物又は基板と、方法工程i.に従ったナノメートルサイズの粒子を含む溶液との接触を、15〜80℃、好ましくは20〜40℃、最も好ましくは23〜30℃の範囲の温度で実施する。
【0123】
1つ以上のナノメートルサイズの粒子を含む溶液は、一般的にコロイドである。
【0124】
本発明の好ましい一実施態様において、他の方法工程を、方法工程i.の後に実施する:
ia. プラスチック目的物又は基板を高温に加熱する工程。
このさらなる方法工程を焼戻しともいう。方法工程ia.に従った高温は、基板材料に依存する。高温は、60〜400℃、好ましくは60〜200℃、より好ましくは100〜150℃、最も好ましくは120〜140℃の範囲である。ガラス又はセラミック基板、導電性基板又は電気半導性基板は400℃まで加熱してよいが、プラスチックからなる基板は、200℃まで加熱してよい。
【0125】
図6Bは、銅層の付着強度に対するシリカ粒子で処理した絶縁性基板の高温(すなわち
図6Bにおける硬化温度)の影響を示す。シリカ粒子を、実施例6において記載されたように絶縁性基板に適用した。銅層の絶縁性基板への付着強度は、硬化温度で増加する。約5.5N/cmの最大付着強度は、硬化温度130℃で達せられる。
【0126】
方法工程ia.に従ったプラスチック目的物又は基板の加熱は、1〜60分、好ましくは1〜30分、より好ましくは7〜20分、最も好ましくは5〜15分間の範囲の時間で実施する。
【0127】
方法工程ia.を、ナノメートルサイズの粒子の表面上で存在する官能化学基を、プラスチック目的物又は基板の表面に付着するために実施する。
【0128】
本発明の好ましい一実施態様において、他の方法工程を、方法工程i.の後に実施してよい:
ib. プラスチック目的物又は基板を洗浄する工程。
【0129】
方法工程ib.に従ったプラスチック目的物又は基板の洗浄を、プラスチック目的物又は基板の表面から未反応のナノメートルサイズの粒子を取り除くために実施してよい。
【0130】
プラスチック目的物又は基板の清浄を、方法工程i.と方法工程ia.との間で実施してよく、又は方法工程ia.後の後処理として実施してよい。
【0131】
方法工程ib.を、酸性溶液、アルカリ性溶液又は脱イオン水中で実施する。酸は、任意の無機酸又は有機酸であってよい。化学塩基は、任意の無機塩基又は有機塩基であってよい。それぞれ酸溶液又はアルカリ溶液中の酸又は化学塩基の濃度は、ナノメートルサイズの粒子を溶解しないが、しかし粒子の可溶媒分解安定性を維持し、かつナノメートルサイズの粒子の安定な懸濁又はコロイドを維持するように調整される。プラスチック目的物又は基板の洗浄を、25〜45℃の範囲の温度で1〜10分間実施してよい。
【0132】
通常、前記方法工程A)、B)及びC)は、すぐに次々と実施する必要はない。典型的に、さらなる方法工程、例えば洗浄工程及び場合によりさらなる処理工程を、これらの方法の間に実施する。プラスチック目的物又は基板を、方法工程B)とC)との間の少なくとも1つのさらなる方法工程で処理及び/又は洗浄する。しかしながら、方法工程A)、B)及びC)の示した順序は維持する。
【0133】
本発明の一実施態様において、金属化されるべきプラスチックは、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABSコポリマー)又はポリアミド又はABSコポリマーとABSコポリマーとは異なる少なくとも1つの他のポリマーとの混合物である。最も好ましくは、少なくとも1つの他のポリマーは、ポリカーボネート(PC)である。例えば、ABS/PCブレンドを金属化されるべきプラスチック材料として使用することが好ましい。
【0134】
本発明の一実施態様において、基板は、非導電性又は半導性基板であり、かつ
ii. 湿式化学メッキ法を適用して基板を金属メッキする工程
は、
iia. 基板と貴金属コロイド又は貴金属イオン含有溶液とを接触する工程
iib. 基板と無電解金属メッキ溶液とを接触する工程、及び
iic. 基板と電解金属メッキ溶液とを接触する工程
を含む。
【0135】
本発明の一実施態様において、少なくとも1つの次の追加の方法工程を、全プロセス工程ii.において実施する:
ii1. 目的物又は基板を前浸漬溶液中で浸漬する工程、
iia1. 目的物又は基板を洗浄溶液中で洗浄する工程、
iia2. 目的物又は基板を促進溶液中で又は還元剤溶液中で処理する工程、
iib1. 目的物又は基板を洗浄溶液中で洗浄する工程、
iic1. 目的物又は基板を洗浄溶液中で洗浄する工程。
【0136】
好ましい実施態様において、これらのさらなる方法工程を、目的物又は基板が、最初の金属層が、無電解法を使用して目的物又は基板上で適用されることを意味する無電解金属化法を使用して金属化される場合に、実施する。
【0137】
促進溶液は、有利には、方法工程iia.に従ったコロイド溶液、例えば保護コロイドの成分を取り除くために提供する。方法工程iia.に従ったコロイド溶液のコロイドがパラジウム/スズコロイドである場合に、酸の溶液、例えば硫酸、塩酸、クエン酸又はテトラフルオロホウ酸を、有利には促進溶液として使用して、保護コロイド(スズ化合物)を取り除く。
【0138】
還元剤溶液を、貴金属イオンの溶液、例えば塩化パラジウムの塩酸溶液又は銀塩の酸溶液を方法工程iia.において使用する場合に使用する。この場合における還元剤溶液は、塩酸溶液でもあり、例えば塩化スズ(II)を含み、又は他の還元剤、例えばNaH
2PO
2又はボラン又は水酸化ホウ素、例えばアルカリもしくはアルカリ土類ボラン又は、ジメチルアミノボランを含む。
【0139】
一方で、目的物又は基板を、無電解的に金属化せず、電解金属化溶液を使用して(無電解金属化せずに)直接金属化する方法を実施する。
【0140】
本発明のこの実施態様において、基板は、非導電性又は半導性基板であり、かつ
ii. 湿式化学メッキ法を適用して基板を金属メッキする工程
は、
iid. 基板と貴金属コロイドとを接触する工程
iie. 基板と、十分な電気伝導性層を直接電解金属化のための基板の表面上で形成する変換溶液とを接触する工程、及び
iif. 基板と電解金属メッキ溶液とを接触する工程
を含む。
【0141】
方法工程iid.、iie.及びiif.を、与えられた順序で実施するが、しかしすぐに次々実施する必要は無い。例えば、多数の洗浄工程を、前記方法工程後に実施してよい。この実施態様において、方法工程iid.及びiie.は、活性化工程として作用する。
【0142】
変換溶液は、有利には、目的物又は基板の表面上で十分に電気伝導性層を製造し、続いて前記無電解金属化なしに、直接電解金属化させるために供給する。方法工程iid.に従ってコロイド溶液のコロイドがパラジウム/スズコロイドである場合に、錯化剤で錯化した銅イオンを含むアルカリ溶液を、有利には変換溶液として使用する。例えば、変換溶液は、有機錯化剤、例えば酒石酸又はエチレンジアミン四酢酸及び/又はそれらの塩、例えば銅塩、例えば硫酸銅を含んでよい。
【0143】
変換溶液は、
(i)Cu(II)、Ag、AuもしくはNiの可溶性金属塩、又はそれらの混合物、
(ii)IA属の金属水酸化物の0.05〜5mol/l、及び
(iii)前記金属塩の金属のイオンのための錯化剤
を含んでよい。
【0144】
以下で記載する処理液は、有利には水性である。
【0145】
本発明の一実施態様において、エッチング溶液は、クロム酸/硫酸溶液、又は過マンガン酸塩溶液である。
【0146】
エッチング後に、有利には1回の洗浄工程後、有利には多数の洗浄工程後、例えば三回の洗浄工程後に、目的物又は基板の表面上に残っているクロム(VI)イオンをクロム(II)イオンに還元する間に、還元剤溶液中で還元処理を実施することが好ましい。このために硫酸ナトリウムの水溶液を、又はヒドロキシルアンモニウム塩、例えば塩化物又は硫化物を使用することも好ましい。この溶液を、室温より高い温度で、例えば30〜60℃で、特に好ましくは40〜50℃でも使用する。処理時間は、有利には0.5〜5分、特に好ましくは1〜3分、及び最も好ましくは1.5〜2.5分である。
【0147】
クロム酸/硫酸中でのエッチングの代わりは、過マンガン酸ナトリウム又は過マンガン酸カリウムの溶液中でのエッチングであってもよい。この溶液は酸性又はアルカリ性であってよい。酸性であるためには、特に、硫酸であってよく、アルカリ性であるためには、特に水酸化ナトリウムを含んでよい。過マンガン酸カリウムは約70g/lまでの濃度で、過マンガン酸ナトリウムは約250g/lまでの濃度で存在してよい。それぞれのこれらの塩の低い濃度の限界は、典型的に30g/lである。溶液がアルカリ性である場合に、例えば20〜80g/l、しかし有利には30〜60g/lのNaOHを含む。この場合に、目的物又は基板の表面の湿潤を改良するために、フッ素系界面活性剤を含んでもよい。さらに、クロム酸/硫酸の場合に、例えばPd
2+に基づいて、5〜100mg/l、特に好ましくは7〜50mg/l、及び最も好ましくは10〜30mg/lの濃度で、例えばパラジウム塩、特に塩化パラジウムの形でパラジウムイオンを含んでよい。過マンガン酸塩溶液を、有利には、室温より高い温度で、例えば60〜95℃、有利に好ましくは80〜90℃で使用する。処理時間は、有利には5〜30分、有利に好ましくは10〜20分である。
【0148】
過マンガン酸塩溶液での処理後に、目的物又は基板を、1回又は数回、有利には3回の洗浄工程で、過剰な過マンガン酸塩溶液を洗浄した後に、還元剤溶液中で還元処理し、目的物又は基板の表面上で付着した過マンガン酸塩をマンガン(II)イオンに還元する。有利には、この場合に、硫酸ヒドロキシルアンモニウム又は塩化ヒドロキシルアンモニウムの溶液を使用し、又は過酸化水素の酸性溶液を使用する。
【0149】
さらなるエッチング方法は、無機酸によるエッチング、又はアルカリ性溶液によるエッチングである。硫酸が、エッチングのための無機酸として適している。硫酸を、5〜18M、好ましくは7〜11Mの範囲の濃度で使用する。
【0150】
アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物が、アルカリ性溶液によるエッチングのための適したアルカリ性化合物である。アルカリ金属水酸化物の例は、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)又は水酸化リチウム(LiOH)である。アルカリ土類金属水酸化物の例は、水酸化カルシウム(Ca)OH)
2)又は水酸化バリウム(Ba(OH)
2)である。前記金属水酸化物を、200〜450g/l、好ましくは300〜400g/lの濃度で使用する。
【0151】
硫酸での、又は前記金属水酸化物でのエッチングを、30〜90℃、好ましくは60〜80℃の温度で実施する。硫酸での又は前記金属水酸化物でのエッチングの時間は、5〜60分、好ましくは10〜20分の範囲である。
【0152】
エッチングは、本発明のナノメートルサイズの粒子について、基板上で堆積された金属層に対する改良された付着強度を付与するためには要求されない。ナノメートルサイズの粒子の単独の適用(エッチング工程なし)は、付着強度の改良に対する主な部分の一因となる。それにもかかわらず、エッチングは、付着強度に対して重要でない増強の影響も有する。本発明の付着促進剤を適用する前に基板をエッチングする組合せは、基板表面への堆積した金属層の付着強度を著しく高める。これは、実施例17において証明されている。
【0153】
本発明の好ましい一実施態様において、活性化工程において使用される元素の周期表のVIIIB又はIB属の貴金属のコロイドの溶液は、パラジウム/スズコロイドを含む活性化溶液である。このコロイド溶液は、有利には、塩化パラジウム、塩化スズ(II)、及び塩酸又は硫酸を含む。塩化パラジウムの濃度は、Pd
2+に対して、有利には5〜100mg/l、特に好ましくは20〜50mg/l、及び最も好ましくは30〜45mg/lである。塩化スズ(II)の濃度は、Pd
2+に対して、有利には0.5〜10g/l、特に好ましくは1〜5g/l、及び最も好ましくは2〜4g/lである。塩酸の濃度は、有利には、約100〜300ml/l(37質量%のHCl)である。さらに、パラジウム/スズコロイドは、有利には、スズ(II)イオンの酸化によって生じるスズ(IV)イオンも含む。コロイド溶液の温度は、有利には20〜50℃、有利に好ましくは30〜40℃である。処理時間は、有利には0.5〜10分、特に好ましくは2〜5分、及び最も好ましくは3.5〜4.5分である。
【0154】
変法として、コロイド溶液は、元素の周期表のVIIIB又はIB属の他の金属、例えば白金、イリジウム、ロジウム、金もしくは銀、又はこれらの金属の混合物を含んでもよい。コロイドについて、基本的に、保護コロイドとしてスズイオンで安定化させずに、むしろ他の保護コロイド、例えば有機保護コロイド、例えばポリビニルアルコールを、代わりに使用することが可能である。
【0155】
貴金属イオンの溶液を活性工程においてコロイド溶液の代わりに使用する場合に、有利には、酸、特に塩酸、及び貴金属塩を含む溶液を使用する。貴金属塩は、例えば、パラジウム塩、有利には塩化パラジウム、硫化パラジウム又は酢酸パラジウムであり、又は銀塩は、例えば酢酸銀であってよい。変法として、金属錯体、例えばパラジウム錯体塩、例えばパラジウム−アミノピリジン錯体の塩を使用してもよい。貴金属化合物は、例えば、貴金属に対して、例えばPd
2+に対して、40mg/l〜80mg/lの濃度で存在する。貴金属化合物の溶液を、25℃で、又は25℃〜75℃の温度で使用してよい。
【0156】
目的物又は基板をコロイド溶液と接触させる前に、目的物又は基板を、有利には、最初に、コロイド溶液と同様の組成物を有するがコロイドの金属及びその保護コロイドを有さない前浸漬溶液と接触させ、ここでパラジウム/スズコロイド溶液の場合に、この溶液は、コロイド溶液が塩酸も含む場合に塩酸だけ含むことを意味する。目的物又は基板を、目的物又は基板の洗浄なしに、前浸漬溶液中で処理した後に、コロイド溶液と直接接触させる。
【0157】
目的物又は基板をコロイド溶液で処理した後に、典型的にそれらを洗浄し、そして促進溶液と接触させて、目的物又は基板の表面から保護コロイドを取り除く。
【0158】
目的物又は基板をコロイド溶液の代わりに貴金属イオンの溶液で処理する場合に、最初に洗浄した後に還元処理を受ける。これらの場合について使用される還元剤溶液は、貴金属化合物の溶液が塩化パラジウムの塩酸溶液である場合に塩酸及び塩化スズ(II)を含む。しかしながら、NaH
2PO
2の水溶液を使用することも有利である。
【0159】
基板表面に付着した官能化ナノメートルサイズの粒子は、さらに、基板表面への活性化剤の吸着を高める。これは、実施例16において示されている。基板表面への活性剤の高い吸着は、基板の金属化のための利点である。それは、無電解メッキ、及び特に直接金属化を容易にする。直接金属化は、一般的に、金属化されるべき表面に吸着された多量の活性剤を要求する。さらに、活性剤(金属コロイド又は金属塩)の濃度を減少できる。低濃度の活性剤にもかかわらず、基板表面へのその吸着は、無電解メッキによる、及び直接金属化による金属化を可能にするために十分に高い。
【0160】
無電解金属化について、目的物又は基板は、最初に、促進又は還元剤溶液での処理後に洗浄し、そして例えばニッケルで無電解メッキしてよい。例えば、硫酸ニッケルを含む多数の物質、還元剤として次亜リン酸塩、例えば次亜リン酸ナトリウム、及び有機錯化剤、及びpH調整剤(例えば緩衝液)を含む従来のニッケル浴をこのために提供する。
【0161】
変法として、典型的に、銅塩、例えば硫酸銅又は次亜リン酸銅、及び還元剤、例えばホルムアルデヒド又は次亜リン酸塩、例えばアルカリ塩又はアンモニウム塩、又は次亜リン酸、及び1つ以上の錯化剤、例えば酒石酸、並びにpH調整剤、例えば水酸化ナトリウムを含む無電解銅浴を使用してよい。
【0162】
あらゆる金属メッキ浴を、続く電解金属化のために、例えばニッケル、銅、銀、金、スズ、亜鉛、鉄、鉛又はそれらの合金をメッキするために使用してよい。このタイプのメッキ浴は,当業者によく知られている。ワッツ(Watts)ニッケル浴を、通常、硫酸ニッケル、塩化ニッケル及びホウ酸、並びに添加剤としてサッカリンを含む透明なニッケル浴として使用する。透明なニッケル浴として、例えば、硫酸銅、硫酸、塩化ナトリウム及び有機硫黄化合物を含む組成物を使用し、その際硫黄は、低い酸化の程度で、例えば添加剤として有機スルフィド又はジスルフィドとして存在する。
【0163】
直接電気メッキ法を使用する場合に、最初に金属層を無電解に堆積せず、目的物又は基板を変換溶液で処理した後に、及び任意の続く洗浄処理後に電解的に堆積し、そして電解金属化浴、例えば、有利にはワッツニッケル浴に基づいて構成されるニッケルストライク浴を使用する。これらのタイプの浴は、例えば、硫酸ニッケル、塩化ニッケル及びホウ酸、並びに添加剤としてサッカリンを含む。
【0164】
本発明に従った方法によって基板上で堆積させた金属層の厚さは、無電解メッキ法について100nm〜2μm及び好ましくは100nm〜1μmの範囲であり、かつ電解メッキ法については10μm〜50μm及び好ましくは20μm〜40μmの範囲である。0.1μm未満の厚さで、金属層は閉じておらず、金属層が孔及び/又は亀裂を有することを意味する。0.1μmの厚さ及び前記から、金属層は、完全に閉じ、密であり、金属層が孔も亀裂も有さないことを意味する。液体又は化学物質は、金属層を浸透することができず、かつ粒子の層に達しない。本発明の官能化したナノメートルサイズのナノ粒子がそれらの上で堆積された金属層の付着を改良する一方で、ナノ粒子及び下にある基板に付着した閉じた密な金属層は、ナノ粒子及び基板表面をカプセル化する。従って、少なくとも0.1μmの厚さの金属層を堆積した後に、官能化したナノメートルサイズのナノ粒子を、金属化表面と接触するあらゆる組成物、液体、化学物質から保護する。官能化したナノメートルサイズのナノ粒子は、金属化表面と接触するあらゆる組成物、液体、化学物質によって、損傷、例えば溶解されない。
【0165】
本発明による方法に従った目的物又は基板の処理を、有利には、目的物又は基板を、それぞれの処理を実施する容器中の溶液中で続いて浸漬する、従来の浸漬プロセスで実施する。この場合に、目的物又は基板を、ラックに固定し、又はドラム中に充填し、溶液中で浸漬する。ラックに固定することは、目的物又は基板への超音波エネルギーのより直接的な伝達を、ラックによって可能にするために好ましい。代わりに、目的物又は基板を、それらが、例えばラック上に横たわり、そして水平方向に、プラントを通して連続して輸送され、必要に応じて超音波で処理する、いわゆるコンベヤ加工プラントで処理できる。
【0166】
本発明の他の実施態様において、直接金属化は、例えばUS 2004/0112755号A1、US 5,447,824号及びWO 89/08375号Aにおいて記載されている、非導電性基材の表面に対して導電性ポリマーを使用することによって得られる。
【0167】
EP 0 457 180号A2は、非導電性基材を金属化するための方法を開示しており、この方法は、最初に、二酸化マンガン層を基板上で形成し、そしてピロール及びメタンスルホン酸を含む酸性溶液で表面を処理することを含む。ピロールの代わりに、溶液は、チオフェンを含んでもよい。この処理によって、導電性ポリマー層を形成する。この導電性層は、最終的に電解的に金属化されてよい。代わりに、ピロールの代わりにチオフェン及びアニリンを適用してよい。かかる方法は、活性化工程として、及び続いて本発明による非導電性基板を金属化するための使用に適している。有利には、本発明によるナノメートルサイズの粒子を、基板表面上で導電性ポリマー層を形成した後に表面に適用する。代わりに、しかしながら、本発明のナノメートルサイズの粒子を、導電性ポリマー層を形成する前に基板に適用できる。
【0168】
本発明のこの実施態様において、基板は、非導電性又は半導電性基板であり、かつ次のさらなる方法工程:
ic. 基板を水溶性ポリマーと接触させる工程;
id. 基板を過マンガン酸塩溶液で処理する工程;
ie. 基板を、少なくとも1つのチオフェン化合物、並びにメタンスルホン酸、エタンスルホン酸及びエタンジスルホン酸を含む群から選択される少なくとも1つのアルカンスルホン酸を含む水性ベースの酸性水溶液又は酸性マイクロエマルションで処理する工程;
を、工程i.の前に実施し、かつ工程
ii. 湿式化学メッキ法を適用して基板を金属メッキする工程
は、
iig. 基板を、電解金属メッキ溶液と接触させる工程
を含む。
【0169】
工程ic.において使用される水溶性ポリマーは、有利には、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルイミダゾール、アルキルアミンエチレンオキシドコポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとポリプロピレングリコールとのコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン及びそれらの混合物からなる群から選択される。水溶性ポリマーの濃度は、20mg/l〜10g/lの範囲である。
【0170】
水溶性ポリマーの溶液は、さらに、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ジオキシン、ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、エチレングリコールの半エーテル及び半エステルからなる群から選択される水溶性有機溶媒を含んでよい。水溶性有機溶媒を、純形で又は水で希釈して使用してよい。水溶性有機溶媒の濃度は、10ml/l〜200ml/lの範囲である。水溶性ポリマーの溶液を、25℃〜85℃の範囲の温度で維持し、そして絶縁性基板を、工程ic.中に15秒〜15分間この溶液中で浸漬する。
【0171】
次に、非導電性基板を、工程id.において過マンガン酸塩溶液で処理する。過マンガン酸塩イオンの源は、あらゆる水溶性過マンガン酸塩化合物であってよい。有利には、過マンガン酸塩イオンの源は、過マンガン酸ナトリウム及び過マンガン酸ナトリウムから選択される。過マンガン酸イオンの濃度は、0.1mol/l〜1.5mol/lの範囲である。過マンガン酸塩溶液は、酸性又はアルカリ性であってよい。有利には、過マンガン酸塩溶液は、2.5〜7の範囲でpH値を有する。工程id.によって、MnO
2の層を、ブラインドミクロビア(blind micro via)(BMV)の側壁上で形成する。
【0172】
そして、基板を、工程ie.において、有利にはチオフェン化合物及びアルカンスルホン酸を含む溶液と接触させる。
【0173】
チオフェン化合物は、有利には、3−ヘテロ置換チオフェン及び3,4−ヘテロ置換チオフェンから選択される。最も有利には、チオフェン化合物は、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−メチル−4−メトキシチオフェン及びそれらの誘導体からなる群から選択される。チオフェン化合物の濃度は、0.001mol/l〜1mol/l、より有利には0.005mol/l〜0.05mol/lの範囲である。
【0174】
アルカンスルホン酸は、メタンスルホン酸、エタンスルホ酸、メタンジスルホン酸、エタンジスルホン酸及びそれらの混合物からなる群から選択される。アルカンスルホン酸の濃度は、工程ie.において使用される溶液の所望のpHを調整することによって設定される。有利には、前記溶液のpH値は、0〜3の範囲、より有利には1.5〜2.1の範囲で設定される。
【0175】
本発明の他の実施態様において、基板は、非導電性又は半導電性基板であり、かつ次のさらなる方法工程を、工程i.の前に実施する:
if. 基板を、少なくとも1つのオルガノシラン化合物を含む溶液で処理する工程。
【0176】
少なくとも1つのオルガノシラン化合物を含む溶液での基板の追加の処理は、さらに、基板表面に対する堆積したメッキ層の付着強度を改良する。
【0177】
オルガノシラン化合物の適した種類の例は、ビニルシラン、アミノアルキルシラン、ウレイドアルキルシランエステル、エポキシアルキルシラン及びメタクリロアルキルシランエステルであり、反応性有機官能基は、それぞれビニル、アミノ、ウレイド、エポキシ及びメタクリロオキシである。ビニルシランの例は、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル−トリス−(ベータ(2)−メトキシエトキシ)シラン及びビニルトリアセトキシシランである。アミノアルキルシランの一例としては、ガンマ(3)−アミノプロピルトリエトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベータ−(アミノエチル)−ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN’−(ベータ−アミノエチル)−N−(ベータ−アミノエチル)−ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシランである。適したウレイドアルコキシシランエステルは、ガンマウレイドアルキル−トリエトキシシランであり、適したエポキシアルキルシランは、ベータ−(3,4−エポキシシクロ−ヘキシル)−エチルトリメトキシシラン及びガンマグリシドキシプロピルトリメトキシシランである。有用なメタクリロシランエステルは、ガンマ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン及びガンマ−メタクリロキシプロピル−トリス−(ベータ−メトキシエトキシ)シランである。
【0178】
基板を少なくとも1つのオルガノシラン化合物を含む溶液で処理することを、10秒〜10分の時間で、15〜50℃の温度で実施する。
【0179】
オルガノシラン化合物を、有機溶媒の溶液として適用する。適した有機溶媒は、アルコール、エーテル、アミン及びアセテートを含む。例は、エタノール、2−プロパノール、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ジオキシン、ブチロラクトン、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、エタノールアミン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PMA)、エチレングリコールの半エーテル及び半エステルである。
【0180】
オルガノシランの濃度は、適用及び特定のオルガノシラン化合物に依存して広い範囲にわたって変動しうる。適した濃度は、一般に、0.01質量%〜30質量%、有利には0.1質量%〜10質量%まで変動する。
【0181】
方法工程if.に従ってオルガノシランを含む溶液で基板を処理することを、基板を該溶液中に浸漬することによって、又は基板に該溶液を噴霧することによって実施する。方法工程if.に従ってオルガノシランを含む溶液で基板を処理することを、少なくとも1回実施する。代わりに、前記処理を、数回、有利には2〜10回実施してよく、最も好ましい処理は1〜2回である。
【0182】
方法工程if.に従ってオルガノシランを含む溶液で基板を処理することを、10秒〜20分の範囲の時間で実施する。
【0183】
方法工程if.に従ってオルガノシランを含む溶液で基板を処理することを、15〜50℃、好ましくは20〜35℃の範囲の温度で実施する。
【0184】
前記実施態様は、工程if.の前に実施される、1つ以上の既に記載した基板のエッチング及び/又は洗浄の前処理工程を含むさらなる方法工程を含んでよい。
【0185】
基板が、半導性基板である場合に、アルコール及び/又は無機酸での前処理が適している。適したアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール又はブタノールである。適した無機酸は硫酸である。
【0186】
本発明の官能化ナノ粒子を適用する前の基板表面のシランでの前処理は、さらに、続いて堆積した金属層の付着強度を著しく改良する。これは、実施例15において示されている。
【0187】
本発明の他の実施態様において、次のさらなる方法工程を、工程i.の後に、及び工程ii.の前に実施する:
ig. 基板表面上でナノメートルサイズの粒子中で、ナノメートルサイズの粒子をさらに化学的に改質する工程。
【0188】
既に基板表面に付着した粒子の官能性は、所望の有機官能基を製造するために有機合成化学の分野において公知の反応によってさらに改質される。1つ以上の改質剤との反応を、同時に又は続けて実施してよい。
【0189】
種々の改質剤を、既に基板に付着したナノメートルサイズの粒子表面に化学的に結合させてよい。可能な合成経路は、以下を含む。
【0190】
官能化学基、例えばSH、NH又はOHを有するナノメートルサイズの粒子は、容易に、例えば、エステル基、エポキシ基、カルボキシ基、カルボニル基、アクリル基、メタクリル基、アルキルハロゲン化物基、アルキル硫化物基、無水物基、末端二重結合基、ニトリル基、及び不飽和カルボニル基を有する改質剤で改質された表面であってよい。これらの改質剤の化学物質及び有機合成(例えば、求核置換、求核付加、ミカエリス付加、開環反応、ラジカル付加等)は、よく知られており、又は固体相有機化学に容易に適応できる。
【0191】
それらの表面上で官能化学基、例えばエステル基、エポキシ基、カルボキシ基、カルボニル基、アクリル基、メタクリル基、アルキルハロゲン化物基、酸ハロゲン化物基、無水物基、末端二重結合基、ニトリル基、アジド基及び例えばアルファ,ベータ−不飽和カルボニル基を有するナノメートルサイズの粒子は、容易に、例えば−SH基、−RNH基又は−NH
2基を有する改質剤で、前記化学反応でさらに反応してよい。
【0192】
好ましい改質剤は、グルタル酸無水物、マレイン酸無水物及びコハク酸無水物から選択される。
【0193】
反応を、溶媒を使用せずに、例えば溶媒として作用する液体である反応成分の1つで実施してよい。有機溶媒中で反応を実施することも可能である。適した溶媒の例は、脂肪族又は芳香族炭化水素、例えばアルカン及びアルカン混合物、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン又はキシレン、アルコール、例えばメタノール又はエタノール、エーテル、例えばジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)である。
【0194】
反応を、使用した出発材料及び溶媒に適した温度で適切に実施する。反応に対応するために要求される温度及び他の反応条件は、一般に公知であり、当業者によく知られている。反応生成物を分離して、基板表面に付着したさらに改質されたナノメートルサイズの粒子表面を、脱イオン水、水溶液又は有機溶媒で洗浄することによって洗浄してよい。
【0195】
前記プロセスに従って金属を基板にメッキする場合に、前処理工程を工程i.の前に実施してよい。本発明の前処理工程は、例えば基板の洗浄及び/又はエッチングを含む。本明細書において記載されている全ての前処理工程は、いわゆる湿式化学前処理工程である。湿式化学前処理工程は、基板を、化学化合物の水溶液で、又は有機溶媒中での化学化合物の溶液で処理する工程である。
【0196】
基板上に金属をメッキするための本発明の方法は、電気伝導性基板及び電気半導性基板にも適している。
【0197】
金属化されるべき電気伝導性基板は、金属基板、導電性金属酸化物及び導電性ポリマー基板から構成される群から選択されてよい。
【0198】
金属化されるべき金属基板は、銅、亜鉛、銀、金、白金、鉄、イリジウム、スズ、アルミニウム及びニッケルから構成される群から選択されてよい。
【0199】
金属化されるべき導電性ポリマー基板は、ポリアセチレン(PA)、ポリパラフェニレン(PPP)、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリチオフェン(PT)、ポリピロール(PPy)、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT);ポリ(2,5−ジアルコキシ)−パラフェニレンビニレン、例えばMEH−PPV;ポリ(3−アルキル)−チオフェン(P3AT)(ここでアルキルは、メチル又はブチルであってよい);ポリフルオレン(PFO)、ポリアニリン(PANI)、ポリ[2,6−(4,4−ビス−(2−エチルヘキシル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]−ジチオフェン)−alt−4,7−(2,1,3−ベンゾチアジアゾール)](PCPDTBT)、ポリ[(4,4’−ビス(2−エチルヘキシル)ジチエノ[3,2−b;2’,3’−d]シロール)−2,6−ジイル−alt−(2,1,3−ベンゾチアジアゾール)−4,7−ジイル](PSBTBT)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ビチオフェン)(F8T2)、ポリ(2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)チエノ[3,2−b]チオフェン)(PBTTT)、ポリ[N−9’−ヘプタデカニル−2,7−カルバゾール−alt−5,5−(4’,7’−ジ−2−チエニル−2’,1’,3’−ベンゾチアジアゾール)](PCDTBT)、及びポリ(5,7−ビス(4−デカニル−2−チエニル)−チエノ(3,4−b)ジアチアゾール−チオフェン−2,5)(PDDTT)から構成される群から選択されてよい。
【0200】
金属化されるべき導電性金属酸化物は、インジウムスズオキシド(ITO)及びアルミニウムドープ亜鉛酸化物(AZO)から選択されてよい。
【0201】
金属化されるべき電気半導性基板は、ケイ素、ゲルマニウム、ガリウム、ヒ化物及び炭化ケイ素から構成される群から選択されてよい。
【0202】
本発明は、前記のナノメートルサイズ粒子の層、及び基板表面上で金属層を有する基板にも関する。
【0203】
本発明は、さらに、以下の方法によって得られる基板に関する。
【0204】
実施例
本発明を、次の制限されない実施例によってさらに詳述する。
【0205】
実施例1
シリカナノ粒子コロイドを、Journal of Colloid and Interface Science 26, 62 〜 69(1968)において記載されたStoeberプロセスに従って、エタノール及び水混合物中で反応させた前駆体としてTEOS(テトラエチルオルトシリケート)を使用することによって、製造した。NH
4OH(25%)溶液を、加水分解及び縮合反応を促進するための触媒として使用した。44ml/lのTEOSを、2ml/lのH
2O、10ml/lのNH
4OH及び944ml/lのエタノールの溶液に添加した。その溶液を、15時間室温で撹拌して、高く分散したコロイド状シリカ粒子を得た。そのシリカ粒子をエタノールで洗浄した。その後、そのシリカ粒子を、エタノール中で又は乾燥条件で貯蔵し、又はそれらを官能化のためにすぐに使用した。比較的大きい容量の水酸化アンモニウム溶液を使用して、より大きい粒径を有するシリカコロイドを得た。
【0206】
実施例2
実施例1において製造したナノメートルサイズのシリカコロイドの表面を、次にアルキルアミノ基で官能化した。この官能化を実施するために、2mlの3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTS)を、50mlの製造したコロイド状シリカ溶液(50mlのエタノール中で2gのシリカ粒子)に添加した。アミノシランを添加する前に、57.2ml/lの酢酸を、コロイド状シリカ溶液中に添加して、3〜6の範囲のpHを維持した。シラノールに対応するAPTSの中間体加水分解生成物は、前記pH範囲で高い安定性を有する。この反応混合物を、2時間撹拌して、良好なシリカナノ粒子とAPTSとの混合物を得た。そして、その反応混合物を、3時間80℃で環流した。反応混合物の環流は、APTS加水分解生成物のシラノール基とシリカ粒子の表面ヒドロキシル基との縮合を開始するために必要である。その後、官能化したシリカ粒子を洗浄し、エタノール中で貯蔵した。
【0207】
実施例3
実施例2において合成した官能化シリカ粒子のサイズ分布をDLSによって測定した。
【0208】
シリカ粒子の試料を、約1質量%の官能化シリカナノ粒子を含有するエタノール溶液を無水エタノール(99体積%)でさらに希釈することによって製造し、良好なシグナル強度をもたらす濃度を得た。通常、最終濃度は、0.1mg/l〜1g/lのナノ粒子の範囲である。製造した試料を、ほこり及び/又は人工物を取り除くためにSartoriusセルロースエーテルフィルター(孔サイズ:5μm)を通して測定キュベット中に満たした。
【0209】
エタノールの次のデータを、官能化シリカ粒子のサイズ分布を計算するために使用した:
25℃でのエタノールの反射指数:1.36
25℃でのエタノールの粘度:1.1cP。
【0210】
測定条件を、以下の表2において挙げたように設定した:
【表1】
表1:DLS測定のための条件。
【0211】
DLS測定を、BeckmannCoulterからの機器DelsaNano Cで実施し、測定及び機器パラメータを以下に設定した:
光検出角度:165°
波長:658nm
セル中心:z=6.3mm;x=7.55mm。
【0212】
測定の再現性を、10ml/l及び20ml/lの水酸化アンモニウム溶液を使用して合成したシリカ粒子の試料について評価した。粒子から散乱されたレーザー光の強度における偏差を、強度分布に対応して自己相関させ、そして平均粒径及び多分散性指数をISO 22412:2008に従って算出した。結果を表2において示す。
【0213】
【表2】
表2:ISO 22412:2008に従って算出した合成及び官能化したシリカ粒子試料の平均直径及び多分散性指数。
【0214】
強度分布を、粒径分布に基づいた数に変換し、そして値d
10、d
50及びd
90を、分布に基づいた数を基礎として算出した。値d
50は前記で定義している。値d
10は、10%の粒子が直径d
10未満を有することを意味し、d
90は、90%の粒子が直径d
90未満を有することを意味する。種々の体積の水酸化アンモニウム溶液を使用して合成したシリカ粒子試料について得られたd値を、表3において要約する。
【0215】
DLSによって測定したシリカ粒子の合成(実施例1及び2に従って)中に使用した種々の体積の水酸化アンモニウム溶液について得られた粒子サイズ分布を、
図2において示す。
【0216】
【表3】
表3:合成及び官能化したシリカ粒子試料のサイズ分布。
【0217】
実施例4
FTIR−ATR分光法によるシリカ粒子の表面官能性の特徴化
実施例2において生じたシリカナノ粒子の表面官能性を、FTIR−ATR分光法による表面官能化の前後に分析した。
【0218】
PerkinElmer Spectrum
TM100 FTIR−ATR分光計を使用して、表面官能化シリカナノ粒子を分析した。40mg/mlのシリカ粒子(試料2)を含有する100μlの溶液を、ATR測定装置(ゲルマニウム結晶)上に直接適用した。
【0219】
シリカ粒子の試料を、4cm
-1の解像度で4000cm
-1〜500cm
-1の範囲の波長数の範囲内で16分間より確実な結果のために分析した。半量的分析を、この機器を使用することによって提供した。
【0220】
結果を
図3において示す。実施例1の官能化していないシリカ粒子(すなわち
図3におけるSiコロイド)は、N−H振動についての波長数範囲の特徴でシグナルを示さない一方で、実施例2のシリカ粒子(すなわち
図3におけるNH2改質したSiコロイド)は、明らかに、1560cm
-1の波長数でN−Hの変形振動を呈し、シリカナノ粒子の成功したアミン官能化を提供する。
【0221】
実施例5
1H−NMR分光法によるシリカ粒子の表面官能性の特徴化
さらに、実施例2において生じたシリカナノ粒子の表面官能性を、
1H−NMR分光法による表面官能化の前後に分析した。
【0222】
実施例1の官能化していないシリカ粒子の試料(試料2)及び実施例2のAPTSで官能化したシリカ粒子の試料(試料2)を製造した。
【0223】
試料を製造するために、最初に水をシリカ粒子に添加した。その後、水中でのシリカ粒子懸濁液を、凍結乾燥し、そしてCD
3OD又はCD
3OD/D
2O混合物で再懸濁した。官能化してないシリカナノ粒子は完全に再懸濁できなかった。従って、粒子の不溶性アグリゲートを取り除くために濾過が必要であった。官能化していないシリカ粒子及び官能化シリカ粒子を、CD
3OD又はCD
3OD/D
2O混合物中で再懸濁して、それぞれ1mlの40mg/mlシリカ粒子を含有する懸濁液を得た。これらの試料を、室温でNMR測定カラムに直接導入した。
1H−NMRスペクトルを、Bruker NMR分光計で、250MHzで、室温(23℃)で測定した。
【0224】
NMR分光法の結果を
図4において示す。
図4Aは、官能化していないシリカ粒子の
1H−NMRスペクトルを示す。プロピレン基(−CH
2−CH
2−CH
2−)に属するプロトンについてのシグナルはない。A(3.64ppmで四分子)及びB(1.19で三分子)で印をつけたシグナルは、TEOSから生じるエチル基によって生じる。
図4Bは、APTS(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)で官能化したシリカ粒子のスペクトルを示す。0.78ppm;1.80ppm及び2.95ppmのケミカルシフトを有する追加のシグナルは、プロピレン基から生じる。従って、3−アミノプロピル基は、粒子とAPTSとの反応によってシリカ粒子の表面に結合された。
【0225】
実施例6
絶縁性基板上に適用した官能化シリカナノ粒子
厚さ0.6mmを有する絶縁性基板(ABF−GX92、ビスフェノールAエピクロロヒドリンを基礎とするエポキシ樹脂)を、4.7cm×7.7cmの寸法を有するクーポンの形で切断した。
【0226】
付着促進剤の系列Iを、種々の体積の試料2(実施例2)のアミン官能化シリカ粒子溶液をエタノール溶液に添加することによって製造した。付着促進剤溶液の系列Iは、0.5g/l〜10.0g/lのシリカ粒子に対応する試料2のシリカ粒子溶液の1%〜20%の濃度に変動する(
図6A及び表4を参照)。
【0227】
付着促進剤溶液を適用する前に、絶縁性基板クーポンの表面を、最初に、水溶性のアルカリ性過マンガン酸塩溶液によって30秒間洗浄し、そしてアルカリ性洗浄剤(水中で6M KOH)によって5分間洗浄した。
【0228】
洗浄した絶縁性基板クーポンの群Iを、付着促進剤溶液の系列I中に5分間50℃で浸漬し、その後炉中で10分間130℃で硬化して、絶縁性基板表面に官能化シリカ粒子の表面上のアミノ基を付着した。
【0229】
洗浄した絶縁性基板クーポンの群IIを、試料2のシリカ粒子溶液の5%(2.5g/lのシリカ粒子)を含有する付着促進剤溶液中に5分間50℃で浸漬して、その後炉中で10分間80〜160℃まで変動する温度で硬化した(
図6B及び表5を参照)。
【0230】
その後、アルカリ性又は酸性溶液を使用した後処理を適用して、未反応の付着促進剤を基板から取り除いた。
【0231】
そして、種々の濃度及び硬化温度で官能化シリカ粒子で処理した絶縁性基板の群Iのクーポン及び群IIのクーポンを、最初に希釈硫酸中で浸漬し、イオン性パラジウムで活性化し、そして堆積したパラジウムイオンと水素化ホウ素とを反応することによって活性化した。続いて、最初の銅層を、無電解自己触媒法によって堆積し、そして高温でのアニーリング工程を行った。最終的にクーポンを、30〜40μmの厚さで銅で電解メッキし、続いてさらに高温でアニーリング工程を行った。
【0232】
本発明による付着促進剤を適用することを含む絶縁性基板表面を銅で金属化する完全なプロセス手順を
図5において示す。
【0233】
実施例7
官能化シリカ粒子の付着性能の分析
実施例6に従って既に銅でメッキした絶縁性基板クーポンを、幅1cm及び長さ7cmのストライプに切断した。通常、1つの試料クーポンは、その前と後ろで4つの測定のストライプを提供する。少量の銅層を、手によって基板から剥離し、そして剥離機械の移動クラム(moving clam)中に固定した。移動クラムは、20秒間で50mm/分の一定の剥離速度で測定ストライプを上へ向かってゆっくりと動く。剥離機械は、絶縁性基板表面から銅層を剥離するために必要とされる力を同時に測定した。
【0234】
図6は、銅層と絶縁性基板との間の付着促進剤としての官能化シリカナノ粒子の付着性能を示す。
図6Aにおいて、銅層と絶縁性基板との間の付着強度に対する官能化シリカ粒子の濃度の影響が存在する(群Iのクーポン)。さらに、表4は、適用した官能化シリカ粒子の種々の濃度について得られた付着強度(剥離強度)を示す。官能化していないシリカ粒子(濃度0%)を絶縁性基板に適用した場合に、0.6N/cmの力が銅層を剥離するために必要である。従って、基板への銅層の低い付着が、付着促進剤なしで達せられた。銅層を堆積する前に絶縁性基板に適用された官能化シリカ粒子の濃度を増加すると、増加した付着が、基板と銅層との間で観察される。
【0235】
【表4】
表4:適用した官能化シリカ粒子の種々の濃度についての付着強度(剥離強度)。
【0236】
図6Bは、銅層を堆積する前に絶縁性基板(群IIのクーポン)に官能化したシリカ粒子を適用した後の硬化のために使用した温度の影響を示す。銅層の絶縁性基板への最良の付着を、130℃以上の温度で得た。さらに、表5は、種々の硬化温度について得られた付着強度(剥離強度)を示す。
【0237】
【表5】
表5:種々の硬化温度についての付着強度(剥離強度)。
【0238】
実施例8
基板としてシリコンウェハ上で適用したアミン官能化シリカナノ粒子
実施例2の官能化シリカ粒子(試料2)を、コバルト−タングステン−亜リン酸(CoWP)合金層をシリコンウェハの表面に付着するための付着促進剤として使用した。厚さ0.6mmを有するシリコンウェハ試料を3cm×2cmのサイズで製造した。これらのシリコンウェハの第一の群を、付着促進剤の層で被覆し、その後、CoWP合金層を、表6において示したプロセス手順に従って堆積した。シリコンウェハ試料の第二の群を、CoWP合金層のみで被覆した。付着促進剤を、シリコンウェハ試料の第二の群に適用しなかった。
【0239】
付着促進剤を適用する前に、群1のシリコンウェハ試料を最初に6M KOHで60℃で10分間処理した。その後10%H
2SO
4を、室温で1分間使用して、KOHの過剰量を表面から取り除いた。ウェハ試料を、5分間付着促進剤溶液(50g/lのシリカ粒子)中に浸漬し、そして3mm/秒の速度でゆっくりと取り出し、そして脱イオン水で洗浄して、残りの付着促進剤を取り除いた。その後、硬化工程を、炉中で10分間130℃で実施して、シリコンウェハと付着促進剤との間の結合を開始した。続くプロセス工程において、ウェハ表面を、PdSO
4で活性化し、50%次亜リン酸塩で還元し、そしてCoWP合金層を、コバルト塩、タングステン塩、リン源、還元剤、錯化剤及び安定剤を含有する浴から堆積した。追加の洗浄工程及びさらなる条件を、表6におけるプロセス手順で挙げる。
【0240】
シリコンウェハ試料の第二の群を、プロセス手順の工程5〜7を省略することを除いて同様の方法で処理した。
【0241】
【表6】
表6:シリコンウェハを本発明の付着促進剤の層で被覆するためのプロセス手順及びCoWP合金層の堆積。
【0242】
実施例9
官能化シリカ粒子の付着性能の分析
CoWP合金層と実施例8のシリコンウェハとの間の付着促進剤としてのアミン官能化シリカナノ粒子の付着性能を、次の付着試験によって試験した。
【0243】
付着試験を、剥離強度量1.1N/cm及び剥離強度量4.5N/cmを有するTesa Tapesを使用して実施した。テープストライプを、付着促進剤を有する(群1)及び付着促進剤を有さない(群2)CoWP合金でメッキしたシリコンウェハの試料上で積層した。その後、テープストライプをそれらの固有の剥離強度で剥離した。付着試験の結果を表7において示した。
【0244】
【表7】
表7:CoWP合金層を堆積する前に付着促進剤で処理した及び処理していないシリコンウェハ基板についての付着試験の結果。
【0245】
“テープ試験通過”は、メッキしたシリコンウェハの表面からテープを剥離することによって、CoWP合金層の一部がシリコンウェハから取り除かれなかったことを意味する。
【0246】
“テープ試験失敗”は、メッキしたシリコンウェハの表面からテープを剥離することによって、CoWP合金層がシリコンウェハから完全に取り除かれたことを意味する。
【0247】
付着促進剤で処理したシリコンウェハについて、さらに、4.5N/cmの剥離強度でのテープの剥離は、シリコンウェハからCoWP層を取り除かなかった。従って、CoWP層のシリコンウェハへの付着強度は、4.5N/cmより高かった。付着促進剤で処理せずに金属化したシリコンウェハについて、既に、1.1N/cmの剥離強度でのテープの剥離は、シリコンウェハからCoWP層を完全に取り除いた。従って、付着促進剤を適用せずに、CoWP層のシリコンウェハへの付着強度は、さらに1.1N/cm未満であった。
【0248】
付着促進剤で処理したシリコンウェハが、CoWP合金層への良好な付着を呈する一方で、付着促進剤での処理を欠いたシリコンウェハ基板は、CoWP層への乏しい付着を示した。実施例9は、シリカ粒子のシリコンウェハへの適用が、シリコン表面への合金層の付着強度を著しく改良したことを証明する。
【0249】
実施例10:本発明による
種々の絶縁性基板上で適用したアミン官能化シリカナノ粒子
種々の基板材料(表8を参照)上での金属層へのアミン官能化シリカ粒子(試料2、実施例2)によって付与された付着強度を試験した。基板を概要として以下で試験した。
【0250】
実験手順:
− 1. KMnO
4前処理:60g/l;80℃;1分
− 2. 還元溶液(Atotech Securiganth P 500 Reduction Solution):50℃;1分
− 3. アルカリ性洗浄剤(Atotech Securiganth 902 Cleaner):60℃;5分
− 4. 付着促進剤(4g/lのアミノプロピルで改質したシリカナノ粒子):60℃;5分
− 5. アニーリング:130℃;10分
− 6. Pd活性剤前浸漬(Atotech Neoganth Pre Dip B):25℃;1分
− 7. Pd活性剤(Atotech Neoganth Activator 834):40℃;4分
− 8. Pd還元溶液(Atotech Neoganth WA Reducer):30℃;3分
− 9. E−less銅浴(eless Cu、Atotech Printoganth MV Plus):35℃;5分;約300nm
− 10. アニーリング:150℃;30分
− 11. 電解銅(Atotech Cupracid TLC):25℃;2A/dm
2;90分;約40μm
− 12. アニーリング:180℃;60分
− 13. 実施例7において記載した剥離機械による90°付着。基板を4.4×7.7cmの寸法で切断した。
剥離速度45mm/分。
【0251】
試料11、12、15及び16について、基板処理の工程10を以下に変更した:
− 10. アニーリング180℃;60分。
【0252】
試料13、14、17及び18について、基板処理の工程6〜10を変更して、銅の無電解メッキの代わりにニッケルを電解的に堆積した:
− Pd活性剤(Atotech Cerabond M activator):35℃;2分
− Pd還元溶液(Atotech Cerabond M Ni Reducer):70℃;1分
− E−lessニッケル浴(Atotech Aurotech CNN Mod):86℃;1分;約150nm
− アニーリング:180℃;60分。
【0253】
結果:
【表8】
表8:種々の非導電性基板材料についての付着強度(剥離強度)。ABF−GX92及びT31は、ビスフェノールAエピクロロヒドリンを基礎とするエポキシ樹脂である。ABF−GZ45は、エポキシ樹脂及びシアネートエステルである。ABF−GY12は、フェノール性エステル硬化剤を有するエポキシ樹脂及びフェノールエステル硬化剤である。PEEKは、ポリエーテルエーテルケトンである。
【0254】
付着促進剤で処理したポリマー基板が、銅層又はニッケル/銅層への優れた付着を呈する一方で、付着促進剤での処理を欠いたポリマー基板は、金属層への乏しい付着を示した。実施例10は、本発明のシリカ粒子のポリマー基板への適用が、ポリマー表面への金属層の付着強度を著しく改良したことを証明する。
【0255】
実施例11:本発明による
ウレイド基を有するナノメートルサイズのシリカ粒子の官能化
実施例1において製造したナノメートルサイズのシリカコロイドの表面をウレイドプロピル基で官能化した。実施例1からのコロイド状シリカ懸濁液100mをガラス反応器中に移した。シリカ懸濁液のpHを、1M酢酸を添加することによってpH4〜5に低下させた。3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン(メタノール中で50%)を、濃度が反応混合物中でシランの0.34Mであるまで、3ml/分の一定の流速でゆっくりと添加した。その反応混合物を、400rpmで撹拌し、そして20℃(室温)で維持した。1時間後に、その温度を、ΔT=5K/分の速度で20℃〜75℃までゆっくりと上昇させ、3時間環流した。ウレイドプロピルで官能化したシリカナノ粒子(ウレイドシリカナノ粒子とも言う)の懸濁溶液を、室温まで冷却後に採取した。
【0256】
元素分析によるウレイドシリカナノ粒子の特徴:
元素分析は、当業者によく知られている有機又は無機化合物中で含まれる元素を測定するための方法である。ウレイドシリカナノ粒子について、次の元素の組成:
炭素:22.9質量% 水素:5.34質量% 窒素:11.11質量%
を得て、残りの60.65質量%はケイ素及び酸素である。
【0257】
従って、有機成分は、ウレイドプロピル基におおよそ対応する組成を有するシリカナノ粒子に付着される。
【0258】
動的光散乱によるウレイドシリカナノ粒子の特徴:
ウレイドシリカ粒子のサイズの測定を、実施例3において記載したようにDLSによって測定した。結果を表9において示す。ウレイドシリカナノ粒子は、平均直径34.2nm±0.1nmを有する。
【0259】
【表9】
表9:合成したウレイドシリカナノ粒子の平均直径及び多分散性指数。
【0260】
実施例12:本発明による
アリルエーテル基及びカルボン酸ナトリウム基を有するナノメートルサイズのシリカ粒子の官能化
実施例2において製造したアミノ官能化したナノメートルサイズのシリカコロイドの表面を、さらにアリルエーテル基及びカルボン酸ナトリウム基で官能化した。官能化後に、ナノメートルサイズのシリカ粒子は、双方の化学官能基を同時に有する。
【0261】
アミノ官能化シリカナノ粒子(実施例2の試料2)分散液の50g(EtOH中で25質量%)を、2.45g(21.52mmol)のアリル−グリシジルエーテルと混合し、そして50℃で18時間撹拌した。アセトン100ml中での4.30g(43.06mmol)の無水コハク酸の溶液を、別々に製造し、そして一定に混合しながら、前記エタノール性分散液に素早く添加した。粘着性の白い生成物の形成を観察した。溶媒(EtOH/アセトン)をデカンテーションし、そして残りを真空で乾燥した。100mlのH
2O/イソプロパノール(80/20)中で3.61g(43.06mmol)の溶液を添加し、そして混合物を均質化した。固体含有率18%を有する115gの均質な分散液を得た。
【0262】
1H−NMR分析を実施例5において記載したように実施した。官能化を確認し、そして65/35のスクシネート/アリルエーテルの割合を示した。動的光散乱(DLS)を実施例3において記載したように実施した。アリルエーテル及びカルボキシレート基で官能化した得られたシリカナノ粒子は、平均直径41.5nm±0.2nmを有した。
【0263】
実施例13:本発明による
絶縁性基板上で適用した種々の官能性を有するシリカナノ粒子
絶縁性基板上での種々の官能性(表10を参照)を有するシリカナノ粒子によって付与された付着強度を試験した。絶縁性基板を、Ajinomoto社製のABF−GX 92から製造した。基板を概要として以下で試験した。
【0264】
実験手順:
− 1. KMnO
4前処理:60g/l;80℃;1分
− 2. 還元溶液(Atotech Securiganth P 500 Reduction Solution):50℃;1分
− 3. アルカリ性洗浄剤(Atotech Securiganth 902 Cleaner):60℃;5分
− 4. 付着促進剤(4g/lの改質したシリカナノ粒子):60℃;5分
− 5. アニーリング:130℃;10分
− 6. Pd活性剤前浸漬(Atotech Neoganth Pre Dip B):25℃;1分
− 7. Pd活性剤(Atotech Neoganth Activator 834):40℃;4分
− 8. Pd還元溶液(Atotech Neoganth WA Reducer):30℃;3分
− 9. E−less銅浴(eless Cu、Atotech Printoganth MV Plus):35℃;15分;約1μm
− 10. アニーリング:150℃;30分
− 11. 電解銅(Atotech Cupracid TLC):25℃;2A/dm
2;90分;約40μm
− 12. アニーリング:180℃;60分
− 13. 90°剥離:実施例7において記載した剥離機械による。剥離速度45mm/分。
【0265】
実施例13は、種々の官能性を有するシリカ粒子の絶縁性基板への適用が、絶縁性基板への金属層の付着強度を著しく改良したことを証明する。実施例13は、さらに、アミノ基又はウレイド基で官能化したシリカ粒子が、追加のアリルエーテル基で官能化したシリカ粒子よりも、金属層と絶縁性基板との間で良好な付着強度を付与することを示す。
【0266】
結果:
【表10】
表10:絶縁性基板上での種々の官能性を有するシリカナノ粒子についての付着強度(剥離強度)。
【0267】
実施例14:本発明による
基板としてシリコンウェハ上で適用した種々の官能性を有するシリカナノ粒子
シリコンウェハ上でのニッケル層に種々の官能性(表11を参照)を有するシリカナノ粒子によって付与された付着強度を試験した。シリコンウェハを概要として以下で試験した。
【0268】
実験手順:
− 1. イソプロパノール:25℃;30秒
− 2. 硫酸(5%):25℃;1分
− 3. 付着促進剤(4g/lの改質したシリカナノ粒子):60℃;5分
− 4. アニーリング:130℃;10分
− 5. Pd活性剤(Atotech Cerabond M activator):35℃;3分
− 6. Pd還元溶液(Atotech Cerabond M Ni Reducer):70℃;2分
− 7. E−lessニッケル浴(Atotech Aurotech HP):75℃;2分;約100nm
− 8. アニーリング:130℃;10分
− 9. テープ試験:実施例9に従ってTesa Tapesを使用する付着試験。テープは4.5N/cmの剥離強度量を有した。
【0269】
結果:
【表11】
表11:シリコンウェハ基板上での種々の官能性を有するシリカナノ粒子についての付着強度(剥離強度)。
【0270】
種々の官能性を有する付着促進剤で処理したシリコンウェハについて、4.5N/cmの剥離強度でのテープの剥離は、シリコンウェハからニッケル層を取り除かなかった。従って、ニッケル層のシリコンウェハへの付着強度は、4.5N/cmより高かった。付着促進剤で処理せずに金属化したシリコンウェハについて、テープの剥離は、シリコンウェハからニッケル層を完全に取り除いた。従って、付着促進剤を適用せずに、ニッケル層のシリコンウェハへの付着強度は、4.5N/cm未満であった。実施例14は、種々の官能性を有するシリカ粒子のシリコンウェハへの適用が、シリコンウェハへの金属層の付着強度を著しく改良したことを証明する。
【0271】
実施例15:本発明による
シランでの基板の追加の前処理
官能化シリカナノ粒子を基板に適用する前に、基板表面をさらにシランで処理した。シランは、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシ−シランであった。基板はシリコンウェハであった。実施例11のウレイドシリカナノ粒子を付着促進剤として使用した。無電解で堆積したニッケル層は150nmの厚さを有した。シリコンウェハ基板を、実施例14において概要を述べたように処理し、試験手順は工程2及び3の間に以下の追加の工程を含んだ:
− シリコン基板のシラン化0.1%の(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン;25℃;3分。
【0272】
実施例14において記載したテープ試験(工程9)によって付着強度を測定する代わりに、堆積したニッケル層の付着強度を、遠心性付着試験によって測定した。遠心性付着試験を、LUM GmbH、Germanyの製品であるAdhesion Analyser LUMIFrac(登録商標)で実施した。Adhesion Analyser LUMIFracは、主に特殊な回転体を有する遠心分離機である。本発明に従って金属化した基板の試料を、回転体に取り付け、そして検査スタンプ(金属スタンプ)を金属表面に固定する。遠心分離機を、増加速度で回転体を回転するためにプログラム化する。これは、金属スタンプが試料から放出され、それによって金属層が基板表面から引っ張られる(破壊点)まで、試料及び金属スタンプに適用される遠心力を増加する。回転中に、電子装置の測定は、破壊点での時間及び回転速度を検出することができる。これらのデータをLUMIFrac(登録商標)分析器に属するSEPView(登録商標)ソフトウェアに送る。ソフトウェアは、自動的に、対応する破壊力及び従ってN/mm
2での接着強度を算出する。
【0273】
回転体を、5N/秒の力の割合を増加することに対応する速度を得るために設定した。金属層の剥離した範囲は38.5mm
2であり、金属スタンプの質量は19.18gであった。金属化した基板試料についての得られた付着強度(剥離強度)を表12において要約する。
【0274】
実施例15は、本発明の官能化ナノ粒子を適用する前に、シランで基板表面を前処理することが、続いて堆積した金属層の付着強度をさらに著しく改良することを示す。
【0275】
結果:
【表12】
表12:さらにシランで前処理した基板についての付着強度(剥離強度)。
【0276】
実施例16:本発明による
基板上への活性剤の吸着に対する種々の官能性を有するシリカナノ粒子の影響
絶縁性基板を、パラジウムでの活性化が完了する(工程1〜8)まで実施例13において記載したように処理した。その後、パラジウムを、王水(王水:脱イオン水=1:1)中で5分間25℃で溶解した。パラジウムの濃度を、Inductively Coupled Plasma Optical Emission Spectrometry(ICP−OES)によって得られた溶液で測定した。種々の官能性を有するシリカナノ粒子(表13を参照)を、付着促進剤として使用した。基板は、Ajinomoto社製のABF−GX 92から製造した絶縁性基板であり、かつ10×10cmの寸法で切断した。
【0277】
ICP−OESは当業者に公知である。ICP−OESは、特定の波長で誘導結合プラズマから発せられた光の強度を使用して、試料中の元素の質量を測定する化学分析法である。原子スペクトルラインの波長は、元素の同一性を提供し、一方で発光の強度は、元素の原子数に比例する。ICP−OES測定を、原子放出分光計Varian Vista MPXで実施した。最初に、分光計は、HNO
3中でパラジウムを0.10mg/l;0.25mg/l;0.50mg/l;2.0mg/l及び5.0mg/l含む標準溶液で検量した。試料を、1% HNO
3に添加し、そして直接分析した。
【0278】
分光計を、次のパラメータに設定した:
パラジウムについての波長:340nm、458nm及び360nm、955nm
測定の繰り返し:3
ネブライザーガス圧:200kPa
補助ガス流速:1.5 l/分
プラズマガス流速:16.5 l/分
RF−出力:1250ワット。
【0279】
測定した値を、分光計に付属するICP Expertソフトウェアによって解析し、mg/lでの濃度値として直接示した。得られたパラジウム濃度を使用して、それぞれの試料について単位面積あたりのパラジウム量を算出した。データを、表12において要約する。
【0280】
結果
【表13】
表13:活性化前に官能化酸化物ナノ粒子で処理した基板表面に吸着したパラジウムの量。
【0281】
実施例16は、種々の官能性を有するシリカ粒子の非導電性基板への適用が、基板の表面への活性剤、例えばパラジウムの吸着を著しく改良することを証明する。実施例16は、さらに、アミノ基又はウレイド基で官能化したシリカ粒子が、追加のアリルエーテル基で官能化したシリカ粒子よりも、活性剤の良好な吸着を付与することを示す。
【0282】
実施例17:本発明による
付着強度に対する種々のエッチング方法又は洗浄方法の影響
実施例17A
最初の実験において、絶縁性基板を、エッチングし、付着促進剤(実施例2の試料2のアミノ官能化シリカナノ粒子)で処理し、そして実施例13において記載したように金属化した。第二の実験において、エッチング工程:KMnO
4前処理及び還元溶液(工程1及び2)を省略した。双方の試料基板上で堆積した銅層の付着強度を、実施例13において記載したように測定した。絶縁性基板を、Ajinomoto社製のABF−GX 92から製造した。
【0283】
結果:
【表14】
表14:付着強度に対するエッチング工程の影響。
【0284】
本発明の付着促進剤を適用する前に基板をエッチングする組合せは、基板表面への堆積した金属層の付着強度を著しく高める。それにもかかわらず、実施例17Aは、明らかに、付着促進剤の適用のみ(エッチング工程なし)が、基板表面に対する堆積した金属層の付着強度を改良する主な原因となることを示す。
【0285】
実施例17B
絶縁性基板の試料を、種々のエッチング法(以下を参照)でエッチングし、付着促進剤(実施例2の試料2のアミノ官能化シリカナノ粒子)で処理し、金属化し、そして堆積した銅層の付着強度を、実施例13において記載したように測定した。絶縁性基板を、Ajinomoto社製のABF−GX 92から製造した。次のエッチング方法を使用した:
過マンガン酸塩エッチング:
1. KMnO
4:60g/l;1分
2. 還元溶液(Atotech Securiganth P 500 Reduction Solution):50℃;1分
NaOHエッチング:
400g/lのNaOH、80℃;15分
ピラニア洗浄:
98% H
2SO
4:32% H
2O
2=5/5;25℃;5分
実施例13とは対照的に、実験手順の工程4、9及び10を変更した:
− 4. 付着促進剤:0.8g/lのアミノプロピルで改質したシリカナノ粒子、60℃;5分
− 9. E−less銅浴(Atotech Printoganth MV Plus):35℃;5分
− 10. アニーリング:180℃;60分。
【0286】
結果:
【表15】
表15:付着強度に対するエッチング工程の影響
【0287】
実施例17Bは、種々のエッチングが、本発明の付着促進剤の適用と組み合わせて、基板表面への堆積した金属層の付着強度の改良を達成できることを示す。
【0288】
実施例18:本発明による
付着促進剤の種々の濃度についての金属化した表面の表面構造
実施例6及び7と同様に、種々の濃度(表16を参照)で絶縁性基板をアミノ官能化シリカナノ粒子(実施例2の試料2)で処理した。絶縁性基板を、Ajinomoto社製のABF−GX 92から製造した。基板を試料4について実施例10において概要したように処理した。
【0289】
基板の1つの群を、官能化シリカナノ粒子のみで処理した(実施例10の工程1〜5);金属化は実施しなかった。この群の試料をFESEM分析した。
【0290】
基板の他の群を、試料4について実施例10で概要したようにさらに金属化させた。実験手順の工程9を変更した:
− 9. E−less銅浴(Atotech Printoganth MV Plus):35℃;5分アニーリング:35℃;15分;約1μm。
【0291】
この群の試料を、剥離機械によって付着強度を測定した。
【0292】
FESEM分析:基板上でのアミノ官能化シリカナノ粒子の得られた層の構造を、電界放出走査型電子顕微鏡(Field Emission Scanning Electron Microscopy)(FESEM)によって分析した。FESEMは、当業者によく知られている方法である電子の集束ビームで走査することによって試料の画像を生じる電子顕微鏡のタイプである。使用した電界放出走査型電子顕微鏡は、Carl Zeiss社製のZeiss Supraであった。種々の濃度で基板に適用したアミノ官能化シリカナノ粒子の層の表面構造を、
図7において示す。
【0293】
付着強度:堆積した銅層の付着強度を、実施例13において記載したように測定し、結果を表16において要約する。
【0294】
結果:
【表16】
表16:適用したアミノ官能化シリカ粒子の種々の濃度についての付着強度(剥離強度)。