【実施例】
【0046】
本明細書において特に断らないかぎり、下記実施例で使用した照射セルロースは、約20〜26.5kGyの範囲で照射したものである。
【0047】
本明細書において特に断らないかぎり、実施例で使用した天然セルロースは、照射及び/又は酸化が行われる前に酸化セルロース(照射及び非照射の両方のもの)と同様のセルロース含量(g/cm
2で測定される)を有していた。
【0048】
試料の酸化率(%)
存在するアルデヒド含量を測定することによりセルロース膜中の酸化セルロースの比率(%)を求めた。例えば、酸化した試料を、撹拌ビーカー中、70℃で15〜25分間、10mLの0.05M NaOHと反応させた。次いでこの懸濁液を室温にまで冷却し、10mLの0.05M HClを加えてNaOHを中和した。過剰な酸は、フェノールフタレインを指示薬として用いて0.01M NaOHで滴定した。以下の式を用いてセルロース試料の酸化率(%)を計算した。
酸化率(%)=[(M
NaOH滴定*V
NaOH滴定)
*(MW
酸化セルロース/M
酸化セルロース)
*100]/2
【0049】
【表1】
【0050】
図3は、本開示に基づく照射酸化セルロース及び非照射酸化セルロースの両方について上記に述べた方法にしたがって計算した酸化度を示したグラフである。過ヨウ素酸ナトリウムを0.3Mの一定濃度及び40℃の一定温度で酸化剤として使用した。各試料で酸化率(%)を0〜4時間の時間にわたって測定した。
【0051】
形状適合性試験
脱水したセルロース試料をSBF(pH=7.4)溶液中で再水和し、頭蓋拍動モデル(シンセス社(Synthes, Inc.))の解剖学的に正確な表面上の不規則形状に適合する能力を試験することにより形状適合性を試験した。0.3Mの過ヨウ素酸塩により40℃で3時間酸化した乾燥した酸化インプラント試料(照射及び非照射の両方のもの)を、頭蓋拍動モデルの湿った表面上に置き、SBFですすいだ。形状適合性を有する試料とは、1)例えば30秒以内、20秒以内、10秒以内、好ましくは5秒以内の速やかな再水和(第1の堅い状態から第2の水和した状態への移行)を示し、2)モデルの表面に対して完全に付着し、3)1分以内の模擬拍動において表面に接着するもの、として定義される。
【0052】
使用した頭蓋拍動モデルについては、WD Losquadro et al.,「Polylactide−co−glycolide Fiber−Reinforced Calcium Phosphate Bone Cement,」Arch Facial Plast Surg,11(2),Mar./April 2009,pp.105〜106に示され、述べられている。拍動モデルは、(シンセス社(Synthes, Inc.))により設計、製造されるものである。このモデルは、頭蓋欠損部を再現した異なる直径の開口部を有する6つの解剖学的に正確な成人頭蓋骨で構成される。頭蓋骨は中実発泡ポリウレタンから形成され、硬膜はシリコーンで形成されたものである。各頭蓋骨は、外部環境から水封された個別の水ポンプに取り付けられており、硬膜拍動を再現するためにポンプからの水を模擬硬膜材料の内側に圧送することが可能である。
【0053】
外科的創傷環境を再現するため、循環水ヒーターを用いて37℃及び相対湿度95%〜100%に一定に保たれた閉鎖型水浴内に頭蓋骨モデルを収容した。浴中の水はモデル頭蓋骨の頭蓋底に達したが欠損領域は浸さなかった。閉鎖型水ポンプは、約1.7mm〜2.0mmの硬膜拍動変位の術中所見を再現するようにプログラムした。
【0054】
破裂強度試験
異なるサイズの酸化セルロース試料を、シンテス社(Synthes、米国)により製造される、11.4kg(25ポンド)に校正した手動式破裂試験機を使用してボール破裂強度について試験した。破裂強度を測定するために用いた試験法は、ASTM D2207−00(2010年に再承認)「ボール法による皮革の破裂強度の標準的試験方法(Standard Test Method for Bursting Strength of Leather by the Ball Method)」に述べられる手順に基づいたものとした。乾燥試料をSBF中で5分間再水和した後、直径2.54cm(1インチ)の中央開口部を有するステンレス鋼ホルダーに挟んだ。この試験法は、球状の端部を有するプランジャーを酸化セルロース膜に貫通させるために必要とされる力を測定することによって破裂強度を測定するように設計されている。すなわち、プランジャーは、力をデジタル測定しながら破断するまで試料に貫通させるために用いられる。
【0055】
セルロース含量の測定
既知の表面積を有する試料を55℃のオーブン中で一晩、空気乾燥した。乾燥した試料の重量を試料の表面積で割ることによってセルロース含量を測定し、g/cm
2で表した。
【0056】
照射酸化セルロース試料及び非照射酸化セルロース試料のセルロース含量、表面積、破裂強度、及び形状適合性を含む上記の実験に関するデータを、
図4及び5にそれぞれグラフで示す。試料を0.3Mの一定濃度のメタ過ヨウ素酸ナトリウムにより40℃で約0〜5時間の時間範囲にわたって酸化した。試験を行い、
図4に示した照射酸化試料は、形状適合性について上記に述べた基準にしたがって測定したすべての値で再水和した場合に形状適合性を示した。これに対して、試験を行い、
図5に示した非照射酸化試料は、破線の縦線の左側の値の範囲内、すなわち、2時間未満の酸化時間で再水和した場合にのみ形状適合性を示した。
【0057】
SEM観察
天然セルロース、非照射酸化セルロース、及び照射酸化セルロースを含むセルロース膜の試料を超臨界CO
2により乾燥した後、金でコーティングした。酸化は0.3Mの過ヨウ素酸塩により40℃で3時間行った。20kVで動作する日立製電界放射型走査電子顕微鏡を使用して試料を調べた。
図6A〜6Cは、それぞれ天然セルロース、非照射酸化セルロース、及び照射酸化セルロースの試料のSEM像である。これらのSEM像は、
図6Aに示される天然セルロースが、繊維状の、3次元に配向した秩序だったセルロース鎖の構造を有することを示している。
図6Bに示される非照射酸化セルロースは、天然セルロースと比較してよりコンパクトな構造であり、より大きな小線維の領域が互いに積層されている。
図6Cに示される照射酸化試料は、上記の各セルロース試料と比較して概して無秩序であり、他のセルロース試料と比較して概してより小さい小線維を含み、不均一領域が概して高頻度で存在する、より無秩序な構造を有している。
【0058】
X線回折(XRD)試験
天然試料、非照射酸化試料、及び照射酸化試料を含む乾燥セルロース膜試料をXRD試料カップホルダーに入れ、これをXRDマガジンに入れてから装置に入れて測定を行った。酸化は0.3Mの過ヨウ素酸塩により40℃で3時間行った。PANalytical XRDシステムにより発生させたNi濾過CuKα放射線を用いてX線回折スペクトルを記録した。走査は4〜90°の2θ範囲にわたって行ったが、分析は4〜40°の2θ範囲で行った。このデータをHighScore Plus XRDソフトウェアにより分析した。
図7A〜7Cは、それぞれ天然試料、非照射酸化試料、及び照射酸化試料のXRDスペクトルグラフである。XRD図に見られるように、天然試料(
図7A)は高度に秩序だった結晶構造を有しており、これに非照射セルロース(
図7B)が続き、照射試料(
図7C)が最も無秩序な結晶構造を示している。
【0059】
下記の式を用いて結晶化度(%)を計算した。
CrI=100×[(I
002−I
Amorph)/I
002]
式中、CrIは結晶化度であり、I
002は(002)格子回折(22°2θ)の最大強度であり、I
Amorphは18°2θにおける回折強度である。下記表2に、測定を行ったセルロース試料の測定された結晶化度指数を示す。
【0060】
【表2】
【0061】
再水和/保水力の測定
この実験では、セルロースの照射及び非照射本体を4cm×5cmの試料に切断した。これらの試料を40℃及び以下の条件で過ヨウ素酸塩溶液に曝露して酸化を行った。
【0062】
【表3】
【0063】
照射及び非照射セルロース試料の反応は、いずれも2重に行った。各反応が終了した後、本明細書で上記に開示した方法にしたがった洗浄及びCO
2乾燥により試料を試験用に準備処理した。
【0064】
次に、すべての試料の初期重量及び表面積寸法を測定し、非照射試料を対応する照射試料に対して測定した。20mLのSBFで調製したペトリ皿を使用し、セルロースの非照射試料を液中に30秒間置いた後、秤量した。次いで、この水和工程を照射試料で繰り返した。30秒間の水和の後、湿潤質量を秤量することを調製したすべての試料で繰り返した。各条件について保水力(WHC)を以下の式により計算した。
【数1】
【0065】
WHCの平均を取って、非照射セルロースと照射セルロースとの間の再水和能力の差を測定した。各試料についてWHCと表面積(SA)との間の関係も測定した。下記表3に、与えられた酸化パラメータにおける照射酸化セルロース及び非照射酸化セルロースのそれぞれの試料について個別の試料の結果を示す。表4は、与えられた酸化パラメータにおける照射及び非照射酸化試料のそれぞれについて平均WHC及びWHC/SA値をまとめたものを示す。
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
インビトロ分解プロファイル
本開示にしたがって調製した、異なる酸化度を有する照射及び非照射酸化セルロースの試料をSBF中でインキュベートすることによりインビトロで試験した。分解プロファイルは、各セルロース試料が、少なくとも2〜4週間の期間にわたって機械的に安定した状態に保たれたことを示している(膜/フィルムの形態で)。この初期期間の後、試料は不規則なセルロース塊に分解しはじめ、その後1〜3ヶ月にわたって分解し、初期乾燥質量の約0.1%〜5.0%が残った。
【0069】
リアルタイム及び加速実験を行った。乾燥した照射酸化セルロースの試料(約1×1cm四方)を、20mLのSBF(pH=7.4)で満たした滅菌した50mL遠心用コニカルチューブに入れ、37℃又は55℃の定常条件下に1週間〜6ヶ月の期間にわたって維持した(リアルタイム)。リアルタイム実験では、各試料を遠心し、古いSBFを捨て、これを新しいものに置き換えることによって、各チューブ内のSBFを、最初の5日間は毎日、その後は毎週交換した。各試料を、1、2、3、4、14、28、90及び164日目に分析した。各時点でチューブを遠心して残渣ペレットを回収した。上清を捨て、脱イオン水を加えて残留SBFからペレットを洗った。チューブを短時間攪拌し、再び遠心してペレットを回収した。脱イオン水洗浄工程を2回繰り返した。この後、ペレットを60℃のオーブン内で一定重量となるまで乾燥した。分解率(%)を、乾燥ペレット重量と最初の試料重量との間の差として計算した。
【0070】
図8は、異なる過ヨウ素酸塩濃度で酸化した照射セルロースの分解プロファイル(SBF、pH=7.4、55℃、7日間)をグラフに示したものである。試験したすべての条件で、実験全体を通じて試料の乾燥質量の進行的損失が観察された。SBF中でインキュベートすると、試料は高い透光性を有する軟らかいゲル状の構造となる。使用する酸化条件に応じて、7日間のインキュベーション時間後に約10〜95%の範囲の分解率を得ることができる。これらの結果は、分解速度が、過ヨウ素酸塩濃度、反応温度、及び反応時間によって制御することが可能な酸化度に関連していることを示している。このような手法を用いることにより、所望の分解速度を有し、形状適合性を示す、機械的に安定した生体材料を調製することが可能である。
図9は、異なる時間(1〜4時間)で酸化した照射及び非照射セルロース試料についてインビトロ分解(乾燥質量損失)の結果をグラフに示したものである。これらの曲線は、3時間及び4時間酸化した両方のタイプの試料で重量の損失が認められたことを示している。約3時間未満で酸化した試料の質量損失の初期速度は、照射セルロースで非照射セルロースよりも高くなっている。
【0071】
インビトロ分解で使用したタイプのセルロースの試料を、ポリマー・ソルーションズ社(Polymer Solutions Incorporated:PSI)(バージニア州、ブラックスバーグ)に提出し、光散乱検出を用いたGPCによる分子量分布の分析を行った。以下の3つのタイプの試料を提出した。すなわち、1)「天然セルロース(湿潤)」として示される天然の微生物由来セルロースの試料、2)「酸化セルロース(湿潤)」として示される照射酸化微生物由来セルロースの試料、及び3)「インプラント残留含量」として示される、上記に述べた7日間のインビトロ分解プロセスに供した照射酸化微生物由来セルロースの残渣試料、である。
【0072】
この実験で使用するところの「湿潤」なる用語は、「天然セルロース」試料及び「酸化セルロース」試料が、上記に述べた超臨界CO
2による臨界点乾燥の工程を行っていないことを示すために用いられている。「酸化試料」及び「インプラント残留含量」試料はいずれも0.3Mの過ヨウ素酸塩により、40℃で3時間酸化を行った。
【0073】
各セルロース試料の分子量分布は、光散乱検出を用いたゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって分析した。天然セルロース(湿潤)の4×5cmの小片の約半分と、酸化セルロース(湿潤)の2.2×3.0cmの小片の全体を別々の40mLガラスシンチレーションバイアルに入れた。ワットマンNo.1濾紙1枚を小型のブレード式コーヒーミルで約5分間粉砕し、約20mgの得られた「綿毛状物」を40mLシンチレーションバイアル中に秤量した。ワットマン濾紙は、溶解プロセスにおけるコントロールとして、また、DMAc中のセルロースの比屈折率増分(dn/dc)の推定に使用する目的で含めた。10mLの純水及び使い捨てスターラーバーを各バイアルに加えた。各バイアルを約5時間、50℃で撹拌した。天然セルロース(湿潤)及び酸化セルロース(湿潤)試料は分解しなかった。そこで、湿潤セルロース小片を60〜70mLの純水とともに小型のフードプロセッサーに入れ、60〜90秒間処理することにより、極めて細かい繊維状粒子のスラリーを得た。次いでこのスラリーを、47mm、0.2μmのナイロン膜で余分な水が除去されるまで真空濾過した。
【0074】
次いで湿潤セルロースの試料を、10μmポリプロピレンメッシュフィルターが入ったワットマンVecta−Spin遠心フィルターに移した。遠心分離により水を除去し、HPLCグレードのメタノールに置き換え、一晩浸漬した。翌日、メタノールを遠心分離により除去し、新鮮なメタノールにより更に3時間浸漬を行った後、20分間遠心した。次いで、この溶媒交換プロセスを、乾燥したN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を使用し、75分間、一晩、及び30分間の浸漬時間で、各浸漬後に20分間の遠心を行う3回の交換において繰り返した。
【0075】
次いで、各DMAc湿潤試料及びワットマン濾紙のコントロールを40mLシンチレーションバイアルに移した。20mgのインプラント残留含量試料を40mLシンチレーションバイアルに同様に秤量した。これらのそれぞれに、8%塩化リチウムのDMAc溶液2mL及びスターラーバーを加えた。各試料を室温で3日間攪拌した後、4℃の冷蔵庫内に更に3日間置いた。天然セルロース及びワットマン濾紙コントロールは完全に溶解した。酸化セルロース試料は、多数のゲル状粒子を含んだ濁った溶液を形成した。インプラント残留含量試料は大部分が溶解したが、最初の試料のごくわずかな比率は溶解しなかった。
【0076】
天然セルロース溶液及び酸化セルロース溶液を14mLのDMAcで希釈した。ワットマンセルロースコントロール及びインプラント残留含量試料は30mLのDMAcで希釈した。これらの希釈溶液を約4℃で更に1日保存した後、孔径0.45μmのPTFEシリンジフィルターに通してGPCオートサンプラーバイアル中に濾過した。濾過後、下記表5に示すパラメータで、各試料溶液のGPCへの注入を2重に行い、2角度光散乱を用いて分子量を計算した。
【0077】
【表6】
*−セルロースのdn/dcとは、コントロール値として用いられる綿セルロースの値を指す。
【0078】
表6に、分子量平均(Mn、Mw、Mz)及び多分散度(Mw/Mx)を各試料の2重の注入について示す。すべての試料の分子量分布のプロットを比較し、
図10のグラフに示す。光散乱分子量計算に用いたDMAc中のセルロースの比屈折率増分(dn/dc)の値は、ワットマン濾紙コントロールの2重の注入のRI検出器ピーク面積から推定した。細菌由来セルロース試料は、ワットマン濾紙(綿セルロース)と同じdn/dc値を有するものと仮定した。
【0079】
【表7】
【0080】
放射線量及びインビトロ分解
4つのセルロース本体を異なる放射線量に曝露してから、0.3M過ヨウ素酸塩により、40℃で3時間酸化した。酸化を行った後、各試料のインビトロ分解速度(7日間)を測定した。
【0081】
各セルロース本体をステリジェニックス社(Sterigenics)(ノースカロライナ州シャルロット)に送付して異なる線量の放射線の照射を行った。試料に、高精度の低容積照射装置であるExCell(登録商標)システムを用いてγ線を照射した。放射線の各照射は、試料を約20kGy〜約26.5kGyの範囲で照射することを意図した。各処理の実際の線量レベルを測定したところ、約23kGyであった。この後、試料を0.3Mの過ヨウ素酸塩により、40℃で3時間酸化した。
図11は、放射線曝露及びそれに続く酸化の後の4つの試料の平面図である。試料1(41)は照射を行わなかった。試料2(42)は、線量23kGyの1回の処理に曝露した。試料3(43)は、それぞれ線量23kGyの2回の別々の処理に曝露した。試料4(44)は、それぞれ線量23kGyの3回の別々の処理に曝露した。各試料を、55℃のSBF条件で1週間、上記に述べたようにインビトロ分解について測定した。表7は、SBF条件下で1週間後の各試料の測定された試料分解率(%)を、インビトロ分解試験の開始前の試料重量、表面積、及びセルロース含量とともに示したものである。
【0082】
【表8】
【0083】
高い放射線は、
図11に示されるように酸化後の試料の乾燥重量及びサイズに影響しうるが、表7に見られるように、対応する変化は全体の分解率には認められない。いずれの特定の理論にも束縛されずに言うならば、放射線は、試験試料に、(1)セルロースの平均分子量を低下させる、フリーラジカルの生成によって生じる鎖切断、及び(2)フリーラジカルにより促進されるセルロース構造内の架橋、の2つのことをおそらく引き起こしたものと考えられる。したがって、おそらくは鎖切断が主要な機序であるが、形状の異なる小さな架橋分子の形成もそうであると考えられ、これにより更なる分解が起きることが防がれる。
【0084】
再びいずれの特定の理論にも束縛されずに言うならば、放射線への曝露の増大によるセルロース試料の分子量の低下は、
図11に示されるような酸化セルロース試料のサイズの増大につながりうると考えられる。更に、放射線によって引き起こされるあらゆる鎖切断は、セルロース鎖の長さを低下させ、これにより酸化の際に試料が収縮することが防止される。より長い鎖長を有する非照射セルロース試料は、酸化処理の影響を受けやすい。
【0085】
インビボ試験
このインビボ試験では、それぞれが異なる酸化プロファイルを有する本開示に基づく4つの照射酸化セルロースインプラント(TD 1〜TD 4として示される)のインビボでの分解速度及び安全性/生体適合性を評価し、これらを、1)市販の架橋されたウシ腱コラーゲン(CD 1として示される)、及び2)天然の微生物由来セルロース(CD 2として示される)と比較した。本開示に基づくこれら4つのインプラントの酸化プロファイルは、以下の通りである。すなわち、TD 1は、0.4Mの過ヨウ素酸塩により、40℃で3時間酸化され、55%の酸化プロファイルを有し、TD 2は、0.4Mの過ヨウ素酸塩により、40℃で4時間酸化され、84%の酸化プロファイルを有し、TD 3は、0.3Mの過ヨウ素酸塩により、40℃で3時間酸化され、50%の酸化プロファイルを有し、TD 4は、0.3Mの過ヨウ素酸塩により、40℃で5時間酸化され、94%の酸化プロファイルを有する。インビボ試験で使用したすべてのTD試料に、本明細書に述べられるプロセスにしがって酸化の前に照射を行った。
【0086】
17匹の雄性ニュージーランドホワイト種ウサギ(試験プロトコル当たり16匹の試験動物と1匹の予備)を試験に使用した。16匹の試験動物を、各群4匹の4つの群の1つに割り振った。インプラントは、ウサギモデルにおける皮下移植によってすべて移植し、移植の2、4、12及び26週間後に評価を行った。各動物に6つの材料のそれぞれの1つを導入し、ウサギの背中の別々の皮下ポケット内に移植した(背側正中線の両側に3つずつ)。各ウサギのそれぞれの異なるインプラントの位置は、所定の移植マトリックスにしたがって無作為化した。浅在筋膜を下層組織から大まかに切離して、試験又はコントロール装置(天然の微生物由来セルロース及び吸収性コラーゲン)が入るだけの十分な深さの皮下ポケットを形成した。各試験装置又はコントロール装置を配置した後、小型の皮膚ステープル対を使用して装置の位置をマークし、切開部位に最も近い試験又はコントロール装置の2つの隅に、材料とは接触しないようにして置いた。2本の4−0プロレン縫合糸を用いてインプラントを下層の皮下組織に対して繋留することで移植後のインプラントの移動を防止した。
【0087】
4匹のウサギを安楽死させ、移植手術の2週間、4週間、12週間、又は26週間後の4つの異なる時点のそれぞれで限定的な解剖を行った。解剖は、移植部位及びインプラントの周囲組織の大まかな観察に限定し、限定的な組織採取を行った(インプラント周囲組織に囲まれたインプラントの手術部位からの採取物よりなる)。各測定期間(2週間、4週間、12週間、又は26週間)における各部位のインプラントの分解率を記録し、それぞれ下記表8〜12に示す。
【0088】
【表9】
【0089】
【表10】
【0090】
【表11】
【0091】
【表12】
a 平均のスコア
b スコア:0=認めず;1=軽度;2=中度;3=重度
c スコア:0=移植した状態の材料が存在;1=材料は存在するものの分解の兆候;2=材料が存在しない。
d スコア:0=移植時と同じ;1=わずかな断片化;2=中度の断片化;3=重度の断片化;4=スコア付け不能
e 平方mm(mm
2)で計算したインプラント測定値。
【0092】
コントロールインプラントは、目立った炎症は示さなかった。2週間後には、すべての試験材料インプラントの周囲に一定の全体的炎症が認められ、TD4の周囲では最小量であった。炎症は4週間後にはすべての試験材料部位においてわずかに増大し、最も顕著な炎症はTD4の周囲に認められた。12週目では、すべての部位の炎症は2週目に認められたものと同様であり、TD4の周囲では最小量が認められた。26週目では、いずれのインプラントの周囲にも炎症は認められなかった。いずれの時点においても感染はいっさい認められなかった。1匹の動物のTD2インプラント部位が潜在的な感染を有するように見えたが、顕微鏡で調べたところ、感染の証拠も細菌コロニーの証拠も認められなかった。おそらく12週間後の天然の微生物由来セルロースインプラントの周囲を例外として、いずれのインプラントの周囲にも全体的な線維症はほとんど、あるいはまったく認められなかった。26週目では、架橋したウシ腱コラーゲン部位を除いて、すべてのインプラントの周囲にわずかな線維症が認められた(ウシ腱コラーゲンは存在していなかったため)。2週目に1匹の動物でTD2インプラント部位の周囲に小さな漿液腫が認められた。他の部位ではいずれの時点でも漿液腫は見られなかった。
【0093】
いずれも2週間後に、1匹の動物でTD2インプラント部位の近くに潜在的な消失期の血腫の証拠を認め、2匹の動物でTD4インプラントにともなって潜在的な消失期の血腫の証拠を認めた。これらは外科手術そのものによって生じたものと考えられた。4週間後には、1匹のウサギでCD1インプラント部位に、別の動物でTD2部位に、1匹の動物でTD3部位に、更に別の動物でTD4部位に小さな血腫の存在が認められた。いずれの場合も、固定縫合糸の留置の結果によるものと考えられた。12週目又は26週目には血腫はいっさい認められなかった。
【0094】
全体的脈管化(慢性炎症の兆候の1つ)も、初期の時点ではほとんど認められなかったが、12週目及び26週目の時点では増大する傾向を示し、後者の時点で最も顕著であった。2週目では、全体的脈管化はTD1インプラントの周囲で最も顕著であり、TD3インプラントの周囲では最も目立たなかった。2及び4週目では、コントロールインプラントの周囲に全体的脈管化はいっさい認められなかったが、12週間後では特に天然の微生物由来セルロースインプラントの周囲に著明に認められた。12週間後では、架橋ウシ腱コラーゲン及びすべての試験材料インプラント部位も一定の全体的脈管化を示した。全体的脈管化は、26週目で全体的脈管化がまったく存在しなかった架橋ウシ腱コラーゲン部位を除いて、すべての部位で概ね同様に存在した。
【0095】
試験材料TD1の代表的な解剖画像を
図12A〜Fに示す。
図12Aは、皮下ポケット内の定位置に留置された直後の第1の堅い状態にあるインプラントの一実施形態を示している。留置後、インプラントは、周囲組織から水分を吸収することによって第2の水和した状態へと速やかに移行した後、
図12Bに示されるように組織表面に適合し、接着する。注意すべき点として、水和後、インプラントは透光性を示し、下層組織とほとんど区別がつかなくなる。
図12Cは、インプラントが測定可能な程度に薄くなっている移植2週間後のインプラントを示している。
図12Dは、1個の比較的大きな破片を残してインプラントがある程度分解している移植4週間後のインプラントを示している。
図12Eは、インプラントが著しく分解しており、組織の変色が認められ、分解したインプラントの残留部分が大きく広がって薄くなっている移植12週間後のインプラントを示している。
図12Fは、インプラントが著しく分解しており、インプラントの残留部分が大きく広がって薄くなっている移植26週間後のインプラントを示している。固定縫合糸が見えており、矢印が、残留したTD1インプラント材料の断片を示しうる、広がった小さな変色領域を示している。
【0096】
天然の微生物由来セルロースインプラントは、試験期間の全体にわたって分解の兆候をいっさい示さなかった。これに対して、架橋ウシ腱コラーゲンは、2週目に一定の分解を示し、4週目に顕著に分解し、12及び26週目には実質的に存在していなかった。ここで示した試験装置はいずれも、すべての時点で顕著な分解を示したが、興味深いことにこれらの試験装置は、初期には速やかに分解するように見えたものの、同様に速やかに分解し続けることはなかった。このインビボ試験は、2週目ではTD1及びTD3が最も速やかな分解を示すように見えることを示した。4週間後では、TD1、TD2及びTD3の分解が同程度であったのに対してTD4はそれよりも低い分解を示した。12週目では、TD2、TD3及びTD4の分解は同程度であったものの、TD1は、他の試験装置のどれよりも大幅に分解されているようであった。26週目では、架橋ウシ腱コラーゲンはまったく存在しておらず、いずれの試験装置もある程度の残留物が依然存在しており(組織変色の形態で)、天然の微生物由来セルロースは移植された状態のままで依然存在していた。
【0097】
加速インビトロ分解試験において、同様の挙動が上記のインビボ試験で先に試験した各試料(TD1〜TD4)で認められた。ジョンソン・アンド・ジョンソン社(Johnson & Johnson)のSurgicel(登録商標)のコントロール試料に対するTD1〜TD4のこのインビトロ試験によって、55℃のSBF(pH=7.4)中での最初の48時間のインキュベーションにおける照射酸化セルロース試料の極めて速やかな初期の分解が示された。
図13は、このインビトロ試験の分解の結果をグラフに示したものである。この試験は、TD1〜TD4では、この速やかな分解は72〜96時間で横ばい状態となり、プラトーに達することを示した。
【0098】
インビボのインプラント部位から採取した組織試料を10%中性緩衝ホルマリン(NBF)中で固定し、インプラント部位のほぼ中心を通る切片を取って、パラフィンに包埋した。ヘマトキシリン及びエオジン(H & E)染色、及びシッフ染色(PAS)を行った。PAS染色を用いてアルデヒド(酸化セルロース)の存在について評価した。2名の有資格の獣医病理学者により、すべてのスライドを調べて検討した。試験及びコントロール装置の脈管形成、線維症、及び免疫反応の程度のスコア評価、並びにインプラント部位の組織の刺激の程度のスコア評価を含む、試験及びコントロール装置に対する組織応答の評価を、移植後の局所的生物学的作用の評価についてのISO 10993(2007)、第6部、付録Eのガイドラインにしたがって行った。
【0099】
顕微鏡による評価により、TD1及びTD4は、12週目までに明瞭となる材料の顕著な損失を示し、これは架橋ウシ腱コラーゲンの分解と同等であることが判明した。TD2及びTD3ではインプラントの損失は遅く、顕著な損失は26週目の時点まで生じなかった。天然の微生物由来セルロースインプラントは、試験期間の全体にわたって分解の兆候をほとんど、あるいはいっさい示さなかった。
【0100】
インプラント材料に対する炎症反応は、可変数のマクロファージ、異物巨細胞、及び少ない数〜中程度の数(スコア1〜2)の好中球によって特徴付けられる異物反応と一致していた。好酸球は少なくはなく、血漿細胞はほとんど見られなかった。線維症は、12週目にインプラントの周囲に線維質のカプセル形成の増大が認められた天然の微生物由来セルロースを例外として、狭いものからある程度太いバンドで一般的に構成されていた。全体の炎症反応(の2倍)、血管分布状態、及び線維症の病理学的スコアの合計から全刺激性スコアを計算した。この全刺激性スコアを用いて刺激性状態についての以下の重度グレードを決定した。すなわち、
−非刺激性(0.0〜2.9)
−わずかな刺激性(3.0〜8.9)
−中度の刺激性(9.0〜15.0)
−重度の刺激性(>15.0)。
【0101】
CD1又はCD2について平均の刺激性スコアをそれぞれの試験装置から引き、組織学のスコア評価のためのISO 10993、第6部、付録E(説明的)「移植後の局所的生物学的作用の評価の例(Examples of evaluation of local biological effects after implantation」に述べられるガイドラインに基づいて各時点における各試験装置の平均のランクの刺激性スコアを計算した。下記表12及び13に、コントロールCD1及びCD2のそれぞれに対する試料の平均の刺激性スコアをそれぞれ示す。
【0102】
TD4に対する炎症反応(マクロファージ及び巨細胞の数を含む)は、すべての試験材料の初期の時点において最も顕著であった。これらの所見は、極めて速やかに吸収された材料と一致している。12及び26週目では、マクロファージ及び巨細胞がすべての試験材料で再び優勢となったが、最も高いスコアは、TD2、また、よりそれよりも低いスコアがTD3の近くにおいて見られた。この所見は、これらの材料がTD4材料よりもゆっくりと吸収されたことを示すものと考えられる。
【0103】
4つの試験材料をコントロールインプラント(天然の微生物由来セルロース及び架橋ウシ腱コラーゲン)と比較したところ、2、12又は26週目で非刺激性又はわずかに刺激性であると考えられた。天然の微生物由来セルロースと比較した場合、4週目の時点においてのみ、TD1及びTD4は中度の刺激物であると考えられた。
【0104】
【表13】
【0105】
【表14】
【0106】
以上、本開示を複数の実施形態に基づいて説明したが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、例えば添付の特許請求の範囲に示されるような様々な変更、置換及び改変を本明細書において行いうる点は理解されるはずである。したがって、本開示の範囲は本明細書に述べられるプロセス、製造、物質の組成、方法及び工程の特定の実施形態に限定されるものではないことを認識するべきである。例えば、一実施形態による上記に述べたような様々な特徴は、特に断らないかぎりは他の実施形態に取り入れることができる。更に、当業者であれば本開示から直ちに認識されるように、本明細書に記載される対応する実施形態と実質的に同じ機能を行うか又は実質的に同じ結果を実現する既存の、又は将来的に開発されるプロセス、製造、物質の組成、方法、又は工程を本開示に基づいて利用することが可能である。
【0107】
添付の特許請求の範囲の広義の範囲を逸脱することなく、本発明の様々な改変及び変更をなしうる点は当業者によれば認識されるであろう。これらの幾つかのものは上記に述べたものであり、他のものは当業者には明らかであろう。
【0108】
〔実施の態様〕
(1) (a)照射セルロースと、
(b)酸化剤と、
の反応性混合物を含む、生体材料前駆反応性混合物であって、その反応生成物が非発熱性の吸収性生体材料である、反応性混合物。
(2) 前記照射セルロースが微生物由来セルロースである、実施態様1に記載の反応性混合物。
(3) 前記微生物由来セルロースが、グルコンアセトバクター・キシリナスに由来するものである、実施態様2に記載の反応性混合物。
(4) 前記反応生成物が、約20%〜約70%の範囲の酸化度を有する、実施態様1〜3のいずれかに記載の反応性混合物。
(5) 照射セルロースを酸化剤と反応させることによって形成される照射酸化セルロースの多孔質本体を含む、組織の置換又は強化用のインプラントであって、前記本体が不均一な3次元繊維状網目構造を形成する、インプラント。
【0109】
(6) 前記インプラントが第1の堅い状態を有する、実施態様5に記載のインプラント。
(7) 前記インプラントが第2の水和した状態を有し、前記インプラントが、生体適合性の液体により水和される際に前記第1の堅い状態から前記第2の水和した状態へと移行する、実施態様6に記載のインプラント。
(8) 前記水和した状態の前記インプラントの表面が、解剖学的表面に適合する、実施態様7に記載のインプラント。
(9) 前記解剖学的表面が軟組織の表面である、実施態様8に記載のインプラント。
(10) 前記軟組織が硬膜組織である、実施態様9に記載のインプラント。
【0110】
(11) 前記水和した状態の前記インプラントの表面が、二次的医療装置の表面に適合する、実施態様7に記載のインプラント。
(12) 前記多孔質本体が、約0%〜90%の範囲の、SBF条件下での1週間後のインビトロ分解プロファイルを有する、実施態様5〜11のいずれかに記載のインプラント。
(13) 前記多孔質本体が、約20%〜80%の範囲の、SBF条件下での4週間後のインビトロ分解プロファイルを有する、実施態様5〜11のいずれかに記載のインプラント。
(14) 前記インプラントが少なくとも7.0の保水力(WHC)を有し、前記酸化剤が少なくとも約0.3Mの濃度を有する、実施態様5〜13のいずれかに記載のインプラント。
(15) 前記インプラントが表面積及び保水力(WHC)を有し、前記WHCと表面積との比が少なくとも2.7:1である、実施態様5〜13のいずれかに記載のインプラント。
【0111】
(16) 前記インプラントが、活性薬剤の足場又は担体である、実施態様5〜15のいずれかに記載のインプラント。
(17) 前記活性薬剤が前記多孔質本体内に含浸される、実施態様16に記載のインプラント。
(18) 前記活性薬剤が前記インプラントの表面上にコーティングされる、実施態様16に記載のインプラント。
(19) 前記活性薬剤が、骨髄、自家移植片、骨誘導性小分子、骨形成物質、幹細胞、骨形成タンパク質、抗細菌剤、リン酸カルシウムセラミック、並びにこれらの混合物及びブレンドからなる群から選択される、実施態様16に記載のインプラント。
(20) 前記インプラントが、前記水和した状態において実質的に透光性である、実施態様7〜11のいずれかに記載のインプラント。
【0112】
(21) 酸化セルロースの本体を製造する方法であって、
(a)セルロースの本体を照射してセルロースの照射本体を形成する工程と、
(b)前記セルロースの照射本体を酸化剤と反応させて酸化セルロースの本体を形成する工程と、を含み、
前記酸化セルロースの本体が、非発熱性、多孔質、かつ吸収性である、方法。
(22) 前記照射セルロースの本体を少なくとも部分的に脱水する工程を更に含む、実施態様21に記載の方法。
(23) 前記酸化セルロースの本体を少なくとも部分的に脱水する工程を更に含む、実施態様21又は22に記載の方法。
(24) 前記照射セルロースの本体を脱水する工程が、前記セルロース本体を機械的にプレスすることによって行われる、実施態様22に記載の方法。
(25) 前記酸化セルロースの本体を脱水する工程が、超臨界二酸化炭素を用いた臨界点乾燥によって行われる、実施態様23に記載の方法。
【0113】
(26) 前記酸化剤が、メタ過ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、二クロム酸塩、過酸化物、過マンガン酸塩、又は二酸化窒素からなる群から選択される、実施態様21〜25のいずれかに記載の方法。
(27) 前記酸化剤がメタ過ヨウ素酸ナトリウムである、実施態様21〜26のいずれかに記載の方法。
(28) 前記セルロースとメタ過ヨウ素酸塩とが、1:1〜約1:160の、セルロースとメタ過ヨウ素酸塩とのモル比の範囲において反応する、実施態様27に記載の方法。
(29) 前記セルロースとメタ過ヨウ素酸塩とが、1:1〜約1:120の、セルロースとメタ過ヨウ素酸塩とのモル比の範囲において反応する、実施態様28に記載の方法。
(30) 前記酸化剤が、前記反応中で約0.05M〜約0.5Mの濃度範囲を有する、実施態様21〜29のいずれかに記載の方法。
【0114】
(31) 前記酸化剤が、前記反応中で約0.2M〜0.4Mの濃度範囲を有する、実施態様21〜30のいずれかに記載の方法。
(32) 前記酸化剤と前記セルロースとが約0.1時間〜約24時間反応する、実施態様21〜31のいずれかに記載の方法。
(33) 前記酸化剤と前記セルロースとが約0.1時間〜約6時間反応する、実施態様21〜32のいずれかに記載の方法。
(34) 前記酸化セルロースの本体が、前記酸化剤と前記照射セルロースとの1時間の反応後に少なくとも約25%の酸化度を有する、実施態様21〜33のいずれかに記載の方法。
(35) 前記酸化セルロースの本体が、前記酸化剤と前記照射セルロースとの2時間の反応後に少なくとも約40%の酸化度を有する、実施態様21〜34のいずれかに記載の方法。
【0115】
(36) 前記酸化セルロースの本体が、前記酸化剤と前記照射セルロースとの反応後に約20%〜約70%の酸化度を有する、実施態様21〜33のいずれかに記載の方法。
(37) 前記照射する工程が、約10kGy〜約100kGyの範囲で照射することを含む、実施態様21〜36のいずれかに記載の方法。
(38) 前記照射する工程が、約20kGy〜約40kGyの範囲で照射することを含む、実施態様21〜37のいずれかに記載の方法。
(39) 前記照射する工程が、γ線を透過させることを含む、実施態様21〜38のいずれかに記載の方法。
(40) 前記セルロースの本体、前記セルロースの照射本体、又は前記酸化セルロースの本体のいずれか1つを1又は2以上の活性薬剤と接触させる工程を更に含む、実施態様21〜39のいずれかに記載の方法。
【0116】
(41) 前記照射する工程が、1回のみの放射線の投与を含む、実施態様21〜40のいずれかに記載の方法。
(42) 前記照射する工程が、最大で5回の放射線の投与を含む、実施態様21〜40のいずれかに記載の方法。