(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
過去の携帯電話端末は、音声、メッセージの送受信などの無線通話機能そのものが主たる目的であったが、最近は、スマートフォン(smart phone)の発達とあいまって、無線通話機能は単なる機能の一部に過ぎず、インターネット、アプリケーション、テレビ(TV)、ナビゲーション、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS:Social Networking Service)などの多種多様な機能を行うことを主たる目的としている。
【0003】
この理由から、スマートフォンの多種多様な機能を便利に使用するためにスマートフォンのディスプレイ部が拡大され、大型化が進み、インターネット速度、音声、動作、瞳の認識などの高速で発展する技術力でユーザーがより便利にスマートフォン端末を使用できるようにし、市場では企業間の激しい競争をして多種多様な機能を追加したスマートフォン端末がいち早く上市されている。
【0004】
しかしながら、スマートフォンの多種多様な機能を実現するためにディスプレイ部が拡大され、これにより、スマートフォン端末の大型化が進むことに伴い、散歩、運動などをするために軽い装いに衣替えする場合に携帯し難く、盗難および紛失の問題が発生する。また、スマートフォン端末をカバンなどに入れて所持する場合には、受信や発信通話をしたりメッセージ機能を使用したりするためにスマートフォン端末を取り出して使用せねばならないという不便さがあり、カバンに入れて所持するスマートフォン端末の振動やベル音を聞き逃して電話およびメッセージを受信することができないという問題がある。
【0005】
このような問題を解決するために、身体に取り付け可能にする技術、すなわち、ウェアラブル(wearable)技術が開発されている。このような従来の技術の例としては、「帯型携帯端末」(例えば、下記の特許文献1参照)、「ブレスレットに変形可能な携帯端末」(例えば、下記の特許文献2参照)、「身体取り付け型補助モバイル機器アセンブリ」(例えば、下記の特許文献3参照)が提示されている。これらの従来の技術は、ウェアラブル機器、すなわち、補助モバイル機器を腕時計、ネックレスなどの形で携帯することになる。
【0006】
このような補助モバイル機器は、報知音または振動でメッセージの受信を知らせる。このためには、補助モバイル機器に報知音を発生するためのスピーカーと、振動を発生するためのアクチュエーターが取り付けられていなければならない。すなわち、補助モバイル機器にスピーカーおよびアクチュエーターが両方とも取り付けられていなければならない。ところが、スピーカーおよびアクチュエーターが両方とも取り付けられるため、これらが補助モバイル機器に占める面積が大きくなり、これにより、補助モバイル機器を小型化させるのに限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、圧電音響素子および圧電振動素子の少なくともいずれか一方として利用することのできる圧電素子を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、印加される信号に基づいて、圧電音響素子および圧電振動素子の少なくともいずれか一方として働くことから、電子機器に取り付けられて音響および振動を両方とも発生することのできる圧電素子を提供することである。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、圧電音響素子および圧電振動素子の少なくともいずれか一方として利用可能な圧電素子を取り付けて圧電素子が占める面積を狭めることのできる電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様による圧電素子は、少なくとも2つの接点を有する少なくとも2枚の圧電板
と、前記少なくとも2枚の圧電板の間に設けられた少なくとも1枚の中間板と、を備え、
前記少なくとも2枚の圧電板が所定の間隔を隔てており、前記少なくとも2枚の圧電板は、少なくとも2つの共振周波数を有し、
前記少なくとも1枚の第1の圧電板は、一方の面および他方の面を有し、これらの間に側面を有する板状に設けられ、前記少なくとも1枚の第2の圧電板は、前記中間板の形状を呈する支持板と、前記支持板の少なくとも一つの領域から前記支持板の内側領域に形成された少なくとも1枚の延長板と、を備え、前記少なくとも2枚の圧電板に印加される信号に基づいて、音響素子および圧電振動素子の少なくともいずれか一方として働く。
【0013】
また、好ましくは、前記少なくとも2枚の圧電板は、少なくとも2つの形状を呈する。
【0015】
さらに、好ましくは、少なくとも1枚の前記中間板は、内部が中空である枠状に設けられる。
【0017】
さらに、好ましくは、前記延長板は、一方の端部が前記支持板の一方の面と接触する。
【0018】
さらに、好ましくは、前記延長板は、所定の領域に突出部が形成され、前記突出部が前記支持板の少なくとも一方の面に連結される。
【0019】
さらに、好ましくは、前記圧電素子は、前記支持板の所定の領域に設けられるダミー板をさらに備え、前記延長板が前記ダミー板の上面または側面に連結される。
【0020】
さらに、好ましくは、前記圧電素子は、前記延長板の少なくとも一つの領域に設けられるロードをさらに備える。
【0021】
さらに、好ましくは、前記圧電素子は、前記支持板の少なくとも一つの領域に設けられるロードをさらに備える。
【0022】
さらに、好ましくは、前記圧電素子は、前記延長板の少なくとも一つの領域と支持板の少なくとも一つの領域との間に設けられる振動板をさらに備える。
【0024】
さらに、好ましくは、前記第2の圧電板の前記延長板に信号が印加されるか、あるいは、前記延長板および支持板に信号が印加される。
【0025】
さらに、好ましくは、前記中間板に信号が印加されて前記中間板が振動する。
【0026】
本発明の他の態様による電子機器は、少なくとも2つの接点を有する少なくとも2枚の圧電板を備え、前記少なくとも2枚の圧電板は、少なくとも2つの共振周波数を有する圧電素子を備え、
前記少なくとも2枚の圧電板の間に少なくとも1枚の中間板が設けられ、前記少なくとも2枚の圧電板に印加される信号に基づいて、圧電音響素子および圧電振動素子の少なくともいずれか一方として働
き、前記中間板に信号が印加されて前記中間板が振動する。
【0027】
好ましくは、前記電子機器は、移動端末本体から隔てられて移動端末の補助機能を行い、且つ、身体に取り付け可能である。
【0028】
また、好ましくは、前記少なくとも2枚の圧電板の間に少なくとも1枚の中間板が設けられて前記少なくとも2枚の圧電板が所定の間隔を隔てる。
【0029】
さらに、好ましくは、前記少なくとも2枚の圧電板は少なくとも2つの形状を呈する。
【0030】
さらに、好ましくは、少なくとも1枚の第1の圧電板は板状に設けられ、少なくとも1枚の前記中間板は内部が中空である枠状に設けられる。
【0031】
さらに、好ましくは、少なくとも1枚の第2の圧電板は、前記中間板の形状を呈する支持板と、前記支持板の少なくとも一つの領域から前記支持板の内側領域に形成された少なくとも1枚の延長板と、を備える。
【0032】
さらに、好ましくは、前記電子機器は、前記延長板の少なくとも一つの領域に設けられるロードをさらに備える。
【0033】
さらに、好ましくは、前記電子機器は、前記支持板の少なくとも一つの領域に設けられるロードをさらに備える。
【0034】
さらに、好ましくは、前記電子機器は、前記延長板の少なくとも一つの領域と支持板の少なくとも一つの領域との間に設けられる振動板をさらに備える。
【0035】
さらに、好ましくは、前記第2の圧電板の前記延長板および支持板の少なくともいずれか一方に信号が印加される。
【発明の効果】
【0037】
本発明の実施形態による圧電素子は、少なくとも2枚の圧電板と少なくとも2つの接点を備えて少なくとも2つの共振周波数を有する。このような本発明の実施形態による圧電素子は、補助モバイル機器などの電子機器内に設けられて電子機器から供給される信号に基づいて圧電音響素子および圧電振動素子の少なくともいずれか一方として働く。すなわち、圧電音響素子または圧電振動素子として働くか、あるいは、圧電音響素子および圧電振動素子として同時に働く。このため、本発明による圧電素子を補助モバイル機器などに適用することにより、音響素子および振動素子をそれぞれ別々に適用する従来品に比べて補助モバイル機器に占める面積を減らすことができ、これにより、補助モバイル機器の小型化および軽量化を図ることができる。なお、圧電音響素子として用いられる場合、低域帯から高域帯までの音圧特性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の一実施形態による圧電素子の分解斜視図である。
【
図2】本発明の他の実施形態による圧電素子の分解斜視図である。
【
図3】本発明の他の実施形態による圧電素子の分解斜視図である。
【
図4】本発明の他の実施形態による圧電素子の分解斜視図である。
【
図5】本発明の様々な変形例による圧電素子の平面図である。
【
図6】本発明の様々な変形例による圧電素子の平面図である。
【
図7】本発明の様々な変形例による圧電素子の平面図である。
【
図8】本発明の様々な変形例による圧電素子の平面図である。
【
図9】本発明の様々な変形例による圧電素子の平面図である。
【
図10】本発明による圧電素子の各部のインピーダンス特性および音圧特性を示すグラフである。
【
図11】本発明による圧電素子の各部のインピーダンス特性および音圧特性を示すグラフである。
【
図12】本発明による圧電素子の各部のインピーダンス特性および音圧特性を示すグラフである。
【
図13】本発明による圧電素子の信号の印加方式によるインピーダンス特性および音圧特性を示すグラフである。
【
図14】本発明による圧電素子の信号の印加方式によるインピーダンス特性および音圧特性を示すグラフである。
【
図15】本発明による圧電素子の信号の印加方式によるインピーダンス特性および音圧特性を示すグラフである。
【
図16】本発明による圧電素子の信号の印加方式による音圧特性を比較したグラフである。
【
図17】本発明による圧電素子の振動特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面に基づき、本発明の実施形態を詳述する。しかしながら、本発明は、後述する実施形態に何ら限定されるものではなく、互いに異なる種々の形態で実現される。単に、これらの実施形態は、本発明の開示を完全たるものにし、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。
【0040】
図1は、本発明の一実施形態による圧電素子の分解斜視図である。
【0041】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による圧電素子は、所定の板状の第1の圧電板100と、第1の圧電板100の一方の面の周縁の上と接触して設けられる中間板200と、中間板200の上と接触して設けられ、第1の圧電板100とは共振周波数が互いに異なる第2の圧電板300と、を備える。すなわち、本発明の一実施形態による圧電素子は、共振周波数が互いに異なる第1および第2の圧電板100、300の周縁に中間板200が設けられて中間板200を間に挟んで第1および第2の圧電板100、300の中央部が所定の間隔を隔てている。なお、第1および第2の圧電板100、300はその形状が互いに異なる。
【0042】
第1の圧電板100は、例えば、所定の厚さを有する矩形板状に設けられる。すなわち、圧電素子100は、対向する一方の面および他方の面が設けられ、上面および下面の周縁に沿って4つの側面が設けられる。もちろん、第1の圧電板100は、矩形状に加えて、正方形、円形、長円形、多角形など様々な形状に設けられてもよい。このような第1の圧電板100は、基板と、基板が少なくとも一方の面に形成される圧電層と、を備える。例えば、第1の圧電板100は、基板の両面に圧電層が形成されたバイモルフタイプに形成されてもよく、基板の一方の面に圧電層が形成されたユニモルフタイプに形成されてもよい。圧電層は、少なくとも1層が積み重ねられて形成されるが、好ましくは、複数の圧電層が積み重ねられて形成される。また、圧電層の上部および下部にはそれぞれ電極が形成される。すなわち、複数の圧電層と複数の電極が交互に積み重ねられて第1の圧電板100が実現される。このような第1の圧電板100は、圧電層の上部に枠状に電極を形成し、このような形状に電極が形成された複数の圧電層を積み重ねた後、電極が形成されていない複数の圧電層の所定の領域を切り欠いて製作する。ここで、圧電層は、例えば、PZT(Pb、Zr、Ti)、NKN(Na、K、Nb)、BNT(Bi、Na、Ti)系の圧電物質を用いて形成する。また、圧電層は、互いに異なる方向または同じ方向に分極されて積み重ねられて形成される。すなわち、基板の一方の面の上に複数の圧電層が形成される場合、各圧電層は、互いに反対方向または同じ方向の分極が交互に形成される。一方、基板は、圧電層が積み重ねられた構造を維持しながら振動が発生可能な特性を有する物質を用いて製作するが、例えば、金属、プラスチックなどが使用可能である。ところが、第1の圧電板100は、圧電層とは異なる素材の基板を用いなくてもよい。すなわち、第1の圧電板100は、中心部に分極されていない圧電層が設けられ、その上部および下部に互いに異なる方向に分極された複数の圧電層が積み重ねられて形成される。一方、第1の圧電板100の一方の面、例えば、第2の圧電板300と向かい合う面の上部には、駆動信号が印加される電極パターン(図示せず)が形成される。電極パターンは互いに隔てられて少なくとも2つ形成され、連結端子(図示せず)と連結されてこれを介して電子機器、例えば、補助モバイル機器に連結される。このような第1の圧電板100は、電子機器を介して印加される信号、すなわち、交流電源に応じて圧電音響素子として駆動されるか、あるいは、圧電振動素子として駆動される。例えば、分極方向と同じ極性の電源が供給されて圧電振動素子として駆動されるか、あるいは、分極方向とは反対極性の電源が供給されて圧電音響素子として駆動される。
【0043】
中間板200は、第1の圧電板100の一方の面の周縁と接触して設けられる。すなわち、中間板200は、第1の圧電板100の周縁に対応するように所定の幅を有し、且つ、内部が中空である略矩形枠状に設けられる。もちろん、中間板200は、矩形枠状に加えて、正方形、円形、長円形、多角形など様々な形状に設けられてもよい。このとき、中間板200は、第1および第2の圧電板100の形状と同じ形状に設けられてもよく、第1および第2の圧電板100の形状とは異なる形状に設けられてもよい。例えば、第1および第2の圧電板100が矩形状に設けられ、中間板200は正方形に設けられてもよい。一方、中間板200は、第1の圧電板100よりも小さなサイズに設けられる。すなわち、中間板200は、第1の圧電板100の周縁からその内側と接触して設けられ、これにより、中間板200の外側に第1の圧電板100の周縁が露出される。また、中間板200は、第1の圧電板100と同じ厚さを有してもよく、第1の圧電板100とは異なる厚さを有してもよい。このような中間板200は、基板と、基板の少なくとも一方の面の上に形成される少なくとも一つの圧電層と、を備える。すなわち、中間板200は、第1の圧電板100と同じ積層構造に形成される。また、圧電層の上部および下部にはそれぞれ電極が形成される。すなわち、複数の圧電層と複数の電極が交互に積み重ねられて中間板200が実現される。ここで、圧電層は、互いに異なる方向または同じ方向に分極されて積み重ねられる。すなわち、基板の少なくとも一方の面の上に複数の圧電層が形成される場合、各圧電層は、互いに反対方向または同じ方向の分極が交互に形成される。このとき、中間板200の所定の領域には信号を印加するための所定の電極パターンが形成される。このため、中間板200は、所定の信号により振動を発生させ、これにより、圧電音響素子または圧電振動素子として働く。しかしながら、中間板200は、信号が印加されないため振動を発生させないこともあり、このため、圧電層の間には電極が形成されていなくてもよく、圧電層が分極されていなくてもよい。
【0044】
第2の圧電板300は、中間板200と接触してその上部に設けられる。すなわち、第2の圧電板300の中央部は、中間板200を間に挟んで第1の圧電板100の中央部から所定の間隔を隔てている。このとき、第1および第2の圧電板100、300間の間隔は、中間板200の厚さに応じて調節される。このような第2の圧電板300は、第1の圧電板100とは異なる形状に形成され、共振周波数が互いに異なる。例えば、第2の圧電板300は、中間板200と同じ形状の支持板310と、支持板310の少なくとも一つの領域と接触して、支持板310内の領域に設けられる延長板320と、を備える。すなわち、第2の圧電板300は、支持板310が対向する両長辺および両短辺を有する略矩形枠状に設けられ、支持板310の少なくとも一つの領域と接触して支持板310の内側に延長板320が設けられる。ここで、延長板320の厚さは、支持板310の厚さに等しい。すなわち、略矩形板から延長板320と支持板310との間の領域が切り欠かれて第2の圧電板300が実現される。もちろん、延長板320の厚さは、支持板310の厚さよりも薄くてもよい。すなわち、略矩形板において中間板200と同じ形状に支持板310を形成した後、支持板310上の少なくとも一つの領域に延長板320を貼り付けて支持板310内に延長板320を設ける。ここで、支持板310と延長板320との間の空間の面積と延長板320の面積との割合は、5:1乃至1:5である。支持板310と延長板320との間の空間の面積と延長板320の面積との割合を調節することにより、第2の圧電板300の共振周波数が調節される。このような第2の圧電板300は、略矩形状に加えて、正方形、円形、長円形、多角形など様々な形状に設けられる。すなわち、第2の圧電板300は、第1の圧電板100および中間板200と同じ形状に設けられる。しかしながら、第2の圧電板300は、第1の圧電板100および中間板200とは異なる形状を有してもよい。また、第2の圧電板300は、第1の圧電板100および中間板200と同じ厚さに形成されてもよく、第1の圧電板100および中間板200とは異なる厚さに形成されてもよい。例えば、第1および第2の圧電板100、300は同じ厚さに形成され、中間板200は、これらとは異なる厚さに形成されてもよい。一方、第2の圧電板300は、基板と、基板の少なくとも一方の面に形成される圧電層と、を備える。すなわち、支持板310および延長板320は、基板と、基板の少なくとも一方の面に形成される圧電層と、を備える。例えば、第2の圧電板300は、基板の両面に圧電層が形成されたバイモルフタイプに形成されてもよく、基板の一方の面に圧電層が形成されたユニモルフタイプに形成されてもよい。圧電層は、少なくとも1層が積み重ねられて形成されるが、好ましくは、複数の圧電層が積み重ねられて形成される。また、圧電層の上部および下部にはそれぞれ電極が形成される。すなわち、複数の圧電層と複数の電極が積み重ねられて第2の圧電板300が実現される。このような第2の圧電板300は、圧電層の上部に支持板310および延長板320の形状に電極を形成し、このような形状に電極が形成された複数の圧電層を積み重ねた後、電極が形成されていない複数の圧電層の所定の領域を切り欠いて製作する。もちろん、第2の圧電板300は、電極がそれぞれ形成された複数の圧電層が積み重ねられた支持板310の所定の領域に電極がそれぞれ形成された複数の圧電層が積み重ねられた延長板320を貼り付けることにより製作される。さらに、圧電層は、互いに異なる方向または同じ方向に分極されて積み重ねられて形成される。すなわち、基板の一方の面の上に複数の圧電層が形成される場合、各圧電層は、互いに反対方向または同じ方向の分極が交互に形成される。一方、基板は、圧電層が積み重ねられた構造を維持しながら振動が発生可能な特性を有する物質を用いて製作するが、例えば、金属、プラスチックなどが使用可能である。ところが、第2の圧電板300は、圧電層とは異なる素材の基板を用いなくてもよい。すなわち、第2の圧電板300は、中心部に分極されていない圧電層が設けられ、その上部および下部に互いに異なる方向に分極された複数の圧電層が積み重ねられて形成される。一方、第2の圧電板300の所定の領域、例えば、延長板320の上部面には駆動信号が印加される電極パターン(図示せず)が形成される。電極パターンは、互いに隔てられて少なくとも2つ形成され、連結端子(図示せず)と連結されてこれを介して電子機器、例えば、補助モバイル機器に連結される。さらにまた、延長板320に加えて、支持板310の所定の領域にも電極パターン(図示せず)が形成され、連結端子(図示せず)と連結されてこれを介して電子機器、例えば、補助モバイル機器に連結される。このような第2の圧電板300は、電子機器を介して印加される信号、すなわち、交流電源に応じて圧電音響素子として駆動されるか、あるいは、圧電振動素子として駆動される。例えば、分極方向と同じ極性の電源が供給されて圧電振動素子として駆動されるか、あるいは、分極方向とは反対極性の電源が供給されて圧電音響素子として駆動される。
【0045】
上述したように、本発明の一実施形態による圧電素子は、板状を呈する第1の圧電板100と、第1の圧電板100の一方の面の周縁に形成される略枠状の中間板200と、中間板200の上に設けられ、略枠状の支持板310および支持板310の一つの領域と接触して支持板310内に設けられる延長板320を有する第2の圧電板300と、を備える。すなわち、本発明の圧電素子は、少なくとも2つの接点を有する少なくとも2枚の圧電板100、300を備える。ここで、中間板200が第1および第2の圧電板100、300の周縁と接触して第1および第2の圧電板100、300の接点として働き、第2の圧電板300が支持板310および延長板320からなって支持板310の一部が延長板320の接点として働く。このため、本発明の圧電素子は、少なくとも2つの接点を有するため、少なくとも2枚の圧電板100、300が互いに異なる共振周波数を有する。また、本発明の圧電素子は、少なくとも2枚の圧電板100、300が互いに異なる形状を呈する。このような圧電素子は、電子機器、例えば、スマートフォンから隔てられてスマートフォンの補助機能を行う補助モバイル機器、すなわち、身体に取り付け可能なウェアラブル機器内に設けられて補助モバイル機器から供給される信号に基づいて圧電スピーカーおよび圧電アクチュエーターの少なくともいずれか一方として働く。すなわち、第1および第2の圧電板100、300が同時に圧電音響素子または圧電振動素子として選択的に働き、第1および第2の圧電板100、300のいずれか一方が圧電音響素子として働き、他方が圧電振動素子として働く。一般に、圧電アクチュエーターは、300Hzの周波数において発振して振動を発生させ、圧電スピーカーは、500Hz以上の周波数において発振して音を放出する。しかしながら、本発明の圧電素子は、300Hz〜1.2kHzの周波数において動作して振動または音を放出する。すなわち、本発明の圧電素子は、互いに異なる形状および共振周波数を有する第1および第2の圧電板100、300を備えて補助モバイル機器などの電子機器に適用されて音響および振動を発生させる複合素子である。このため、本発明の圧電素子は、圧電音響素子または圧電振動素子として働き、これを補助モバイル機器などの電子機器に適用する場合、音響素子および振動素子を両方とも適用しなければならない従来品に比べて補助モバイル機器に占める面積を減らすことができる。また、本発明の圧電素子は、圧電音響素子として用いられる場合、低域の周波数特性を改善することができ、しかも、中域および高域の周波数特性を改善することができる。すなわち、1kHz以下の周波数特性と1kHz以上の周波数特性を改善することができる。
【0046】
図2乃至
図4は、本発明の他の実施形態による圧電素子の分解斜視図である。
【0047】
図2を参照すると、本発明の他の実施形態による圧電素子は、略矩形板状を呈する第1の圧電板100と、第1の圧電板100の一方の面の周縁に形成され、略矩形枠状を呈する中間板200と、中間板200の上に設けられ、中間板200と同じ形状の支持板310および支持板310の2つの領域と接触して支持板310内に設けられる延長板320を有する第2の圧電板300と、を備える。すなわち、第2の圧電板300の延長板320は、支持板310間の空間に設けられ、延長板320の長辺の中央部から2つの領域の突出部322が形成されて支持板310の長辺と接触する。
図1の一実施形態においては、延長板320の一方の短辺が支持板310と接触するが、
図2の他の実施形態においては、延長板320の長辺の2つの領域が支持板310と接触する。
【0048】
図3を参照すると、本発明のさらに他の実施形態による圧電素子は、略矩形板状を呈する第1の圧電板100と、第1の圧電板100の一方の面の周縁に形成され、略矩形枠状を呈する中間板200と、中間板200の上に設けられ、中間板200と同じ形状の支持板310および支持板310の一つの領域と接触して支持板310内に設けられる第1および第2の延長板320a、320bを有する第2の圧電板300と、を備える。すなわち、第2の圧電板300の第1および第2の延長板320a、320bは、支持板310の長辺の中央部に互いに隔てられて設けられ、第1および第2の延長板320a、320bの所定の領域、例えば、支持板310の長辺の中央部に対応する領域から2つの領域の突出部322a、322bが形成されて支持板310と接触する。
図3のさらに他の実施形態は、
図2の他の実施形態と比較して、支持板310と接触する領域の中央部が切り欠かれて第1および第2の延長板320a、320bが形成される。
【0049】
図4を参照すると、本発明のさらに他の実施形態による圧電素子は、略円形板状を呈する第1の圧電板100と、第1の圧電板100の一方の面の周縁に形成され、略円形枠状を呈する中間板200と、中間板200の上に設けられ、中間板200と同じ形状の支持板310および支持板310の一つの領域と接触して支持板310内に設けられる延長板320を有する第2の圧電板300と、を備える。すなわち、本発明の圧電素子は、円形に設けられる。また、第2の圧電板300は、延長板320が円形に設けられ、延長板320の一つの領域が延びて支持板310の所定の領域と接触する。
【0050】
一方、本発明の圧電素子は、第2の圧電板300の形状を様々に変更することができ、これにより、様々な周波数特性が得られる。このような本発明の様々な変形例による第2の圧電板を
図5に示す。
【0051】
図5(a)に示すように、第2の圧電板300は、略矩形枠状を呈する支持板310と、支持板310の一方の短辺と接触して支持板310の長辺方向に支持板310内に設けられる延長板320と、を備える。また、延長板320の上面に少なくとも2つの電極パターン321、322が形成され、両電極パターン321、322に互いに異なる極性の交流電源が供給される。
【0052】
図5(b)に示すように、第2の圧電板300は、略矩形枠状を呈する支持板310と、支持板310の対向する両長辺の所定の領域の間に設けられるダミー板315と、ダミー板315の上と接触し、支持板310の長辺方向に設けられる延長板320と、を備える。ダミー板315は、例えば、対向する両長辺の中央部の間に所定の幅に形成される。ここで、ダミー板315は、支持板310の幅と同じ幅に形成されてもよく、これよりも広い幅または狭い幅に形成されてもよい。また、延長板320は、中央部がダミー板315の上と接触する。すなわち、延長部320は、中央部がダミー板315の上と接触して支持板310の長辺方向に支持板310間の領域に設けられる。ここで、延長板320の上面に少なくとも2つの電極パターン321、322が形成され、両電極パターン321、322に互いに異なる極性の交流電源が供給される。
【0053】
図5(c)に示すように、第2の圧電板300は、略矩形枠状を呈する支持板310と、支持板310の対向する両長辺の所定の領域、例えば、中央部の間に設けられるダミー板315と、ダミー板315から互いに反対方向に設けられる第1および第2の延長板320a、320bと、を備える。すなわち、第1および第2の延長板320a、320bは、ダミー板315の両側面または上面に隔てられて当接されて支持板310の長辺方向にそれぞれ形成される。なお、第1の延長板320aの上面には少なくとも2つの電極パターン321a、322aが形成され、第2の延長板320bの上面にも少なくとも2つの電極パターン321b、322bが形成される。それぞれの電極パターンには互いに異なる極性の交流電源がそれぞれ供給される。
【0054】
図5(d)に示すように、第2の圧電板300は、略矩形枠状を呈する支持板310と、支持板310の対向する両短辺から支持板310の長辺方向に沿って延設される第1および第2の延長板320a、320bと、を備える。すなわち、第1および第2の延長板320a、320bが支持板310の対向する両短辺の上面または側面から支持板310の長辺方向に形成され、支持板310内の中央領域から所定の間隔を隔てて設けられる。ここで、第1の延長板320aの上面には少なくとも2つの電極パターン321a、322aが形成され、第2の延長板320bの上面にも少なくとも2つの電極パターン321b、322bが形成される。それぞれの電極パターンには互いに異なる極性の交流電源がそれぞれ供給される。
【0055】
一方、本発明の圧電素子は、第2の圧電板300の延長板320だけではなく、支持板310にも交流電源が供給され、これにより、周波数特性が様々に変更される。このような本発明の様々な変形例による第2の圧電板300を
図6に示す。
【0056】
図6(a)に示すように、第2の圧電板300は、略矩形枠状を呈する支持板310と、支持板310の一方の短辺と接触して支持板310の長辺方向に支持板310内に設けられる延長板320と、を備える。また、支持板310の上面に少なくとも2つの電極パターン311、312が形成され、延長板320の上面に少なくとも2つの電極パターン321、322が形成される。支持板310の電極パターン311、312および延長板320の電極パターン321、322には互いに異なる極性の交流電源がそれぞれ供給される。
【0057】
図6(b)に示すように、第2の圧電板300は、略矩形枠状を呈する支持板310と、支持板310の対向する両長辺の中央部の間に設けられるダミー板315と、ダミー板315の上と接触し、支持板310の長辺方向に設けられる延長板320と、を備える。また、支持板310の上面に少なくとも2つの電極パターン311、312が形成され、延長板320の上面に少なくとも2つの電極パターン321、322が形成される。支持板310の電極パターン311、312および延長板320の電極パターン321、322には互いに異なる極性の交流電源がそれぞれ供給される。
【0058】
図6(c)に示すように、第2の圧電板300は、略矩形枠状を呈する支持板310と、支持板310の対向する両長辺の所定の領域、例えば、中央部の間に設けられるダミー板315と、ダミー板315から互いに反対方向に設けられる第1および第2の延長板320a、320bと、を備える。すなわち、第1および第2の延長板320a、320bは、ダミー板315の両側面または上面に隔てられて当接されて支持板310の長辺方向にそれぞれ形成される。また、第1の延長板320aの上面には少なくとも2つの電極パターン321a、322aが形成され、第2の延長板320bの上面にも少なくとも2つの電極パターン321b、322bが形成される。それぞれの電極パターンには互いに異なる極性の交流電源がそれぞれ供給される。さらに、支持板310の上面に少なくとも2つの電極パターン311、312が形成されて互いに異なる極性の交流電源がそれぞれ供給される。
【0059】
図6(d)に示すように、第2の圧電板300は、略矩形枠状を呈する支持板310と、支持板310の対向する両短辺から支持板310の長辺方向に沿って延設される第1および第2の延長板320a、320bと、を備える。すなわち、第1および第2の延長板320a、320bが支持板310の対向する両短辺の上面または側面から支持板310の長辺方向に形成され、支持板310内の中央領域から所定の間隔を隔てて設けられる。ここで、第1の延長板320aの上面には少なくとも2つの電極パターン321a、322aが形成され、第2の延長板320bの上面にも少なくとも2つの電極パターン321b、322bが形成される。それぞれの電極パターンには互いに異なる極性の交流電源がそれぞれ供給される。また、支持板310の上面に少なくとも2つの電極パターン311、312が形成されて互いに異なる極性の交流電源がそれぞれ供給される。
【0060】
また、本発明の圧電素子は、第2の圧電板300の少なくとも一つの領域にロード(load)を設けて振動力を増大させ、これにより、周波数特性が様々に変更される。ロードは、その重さおよび位置、形状が様々に変形可能であり、これにより、様々な振動力が得られる。このような本発明の様々な変形例による第2の圧電板300を
図7に示す。
【0061】
図7(a)に示すように、第2の圧電板300は、略矩形枠状を呈する支持板310と、支持板310の一方の短辺の所定の領域と接触して支持板310の長辺方向に設けられる延長板320と、を備え、延長板320の支持板310と接触していない一方の端部にロード350が設けられる。また、延長板320の上面に少なくとも2つの電極パターン321、322が形成されて互いに異なる極性の交流電源がそれぞれ供給される。
【0062】
図7(b)に示すように、第2の圧電板300は、略矩形枠状を呈し、対向する一方の長辺および他方の長辺の間にダミー板315が形成される支持板310と、ダミー板135の上と接触して支持板310の長辺方向に設けられる延長板320と、延長板320の対向する両端部にそれぞれ設けられるロード350a、350bと、を備える。すなわち、ロード350aは、延長板320の交流電源が供給される領域の上に設けられる。
【0063】
図7(c)に示すように、第2の圧電板300は、略矩形枠状を呈し、対向する一方の長辺および他方の長辺の間にダミー板315が形成される支持板310と、ダミー板315の両側面と接触して支持板310の長辺方向に設けられる第1および第2の延長板320a、320bと、第1および第2の延長板320a、320bのダミー板315と接触していない対向する両端部に形成されるロード350a、350bと、を備える。すなわち、ロード350a、350bは、第1および第2の延長板320a、320bの交流電源が供給される領域の上に設けられる。
【0064】
図7(d)に示すように、第2の圧電板300は、略矩形枠状を呈する支持板310と、支持板310の対向する両短辺から支持板310の長辺方向に形成され、支持板310内の中央領域から所定の間隔を隔てて隔設される第1および第2の延長板320a、320bと、第1および第2の延長板320a、320bの端部に形成されるロード350a、350bと、を備える。すなわち、ロード350a、350bは、第1および第2の延長板320a、320bの交流電源が供給される領域の上に設けられる。
【0065】
また、ロードは、延長板320に加えて、支持板310の所定の領域にも形成されるが、支持板310および延長板320にロードが形成された第2の圧電板300を
図8に示す。
【0066】
図8(a)に示すように、第2の圧電板300は、略矩形枠状を呈する支持板310と、支持板310の一方の短辺の所定の領域に設けられて支持板310内に支持板310の長辺方向に設けられる延長板320と、を備え、支持板310と接触していない延長板320の一方の端部にロード350が設けられる。また、支持板310の隅領域に複数のロード351、352、353、354が設けられる。
【0067】
図8(b)に示すように、第2の圧電板300は、略矩形枠状を呈し、対向する一方の長辺および他方の長辺の間にダミー板315が形成される支持板310と、ダミー板135の上と接触して支持板310の長辺方向に支持板310内の領域に形成される延長板320と、延長板320の両端部に設けられるロード350a、350bと、を備える。また、支持板310の隅領域に複数のロード351、352、353、354が設けられる。
【0068】
図8(c)に示すように、第2の圧電板300は、略矩形枠状を呈し、対向する一方の長辺および他方の長辺の間にダミー板315が形成される支持板310と、ダミー板315の両側面と接触して支持板310の長辺方向に支持板310内の領域に形成される第1および第2の延長板320a、320bと、第1および第2の延長板320a、320bの端部に設けられるロード350a、350bと、を備える。また、支持板310の隅領域に複数のロード351、352、353、354が設けられる。
【0069】
図8(d)に示すように、第2の圧電板300は、略矩形枠状を呈する支持板310と、支持板310の対向する両短辺から支持板310の長辺方向に形成され、支持板310内の中央領域から所定の間隔を隔てて隔設される第1および第2の延長板320a、320bと、第1および第2の延長板320a、320bの端部に設けられるロード350a、350bと、を備える。また、支持板310の隅領域に複数のロード351、352、353、354が設けられる。
【0070】
一方、本発明の圧電素子は、第2の圧電板300の少なくとも一つの領域に振動板を設けて振動力を増加させ、これにより、周波数特性が様々に変更される。振動板は、ポリマー、金属、シリコンなどの材質を用いて形成し、振動板のサイズを多様化させることができ、これにより、様々な振動力が得られる。このような本発明の様々な変形例による第2の圧電板を
図9に示す。
【0071】
図9(a)に示すように、第2の圧電板300は、略矩形枠状を呈する支持板310と、支持板310の一方の短辺の所定の領域に設けられて支持板310内に支持板310の長辺方向に設けられる延長板320と、を備え、支持板310と接触していない延長板320の一方の端部と支持板310の短辺との間に振動板360が設けられる。
【0072】
図9(b)に示すように、第2の圧電板300は、略矩形枠状を呈し、対向する一方の長辺および他方の長辺の間にダミー板315が形成される支持板310と、ダミー板315の上と接触して支持板310の長辺方向に支持板310内の領域に形成される延長板320と、延長板320の両端部と支持板310との間に設けられる振動板360a、360bと、を備える。
【0073】
図9(c)に示すように、第2の圧電板300は、略矩形枠状を呈し、対向する一方の長辺および他方の長辺の間にダミー板315が形成される支持板310と、ダミー板315の両側面と接触して支持板310の長辺方向に支持板310内の領域に形成される第1および第2の延長板320a、320bと、第1および第2の延長板320a、320bの端部と支持板310との間に設けられる振動板360a、360bと、を備える。
【0074】
図9(d)に示すように、第2の圧電板300は、略矩形枠状を呈する支持板310と、支持板310の対向する両短辺から支持板310の長辺方向に形成され、支持板310内の中央領域から所定の間隔を隔てて隔設される第1および第2の延長板320a、320bと、第1および第2の延長板320a、320bの端部の間に設けられる振動板360と、を備える。
【0075】
このような本発明の圧電素子は、圧電音響素子として用いられる場合に低域の周波数特性だけではなく、中域および高域の周波数特性を改善することができる。
【0076】
図10乃至
図12は、本発明に用いられる各部のインピーダンス特性および音圧特性を示すグラフである。すなわち、
図10(a)および
図10(b)は、第2の圧電板の延長板のみを用いる場合のインピーダンス特性および音圧特性を示すグラフであり、
図11(a)および
図11(b)は、第2の圧電板のインピーダンス特性および音圧特性を示すグラフであり、
図12(a)および
図12(b)は、第1の圧電板のインピーダンス特性および音圧特性を示すグラフである。
【0077】
延長板は、
図10(a)に示すように、3.215kHzにおいてインピーダンス特性を示し、
図10(b)に示すように、共振周波数が0.4kHzであり、約75dBの音圧特性を示す。また、第2の圧電板は、
図11(a)に示すように、0.1889kHzにおいてインピーダンス特性を示し、
図11(b)に示すように、共振周波数が0.15kHzであり、約60dBの音圧特性を示す。さらに、第1の圧電板は、
図12(a)に示すように、1.3772kHzにおいてインピーダンス特性を示し、
図12(b)に示すように、共振周波数が1.12kHzであり、約82dBの音圧特性を示す。ところが、一般に、圧電音響素子として用いられる場合に第1の圧電板を用い、このときの共振周波数が1.12kHzであるため、1kHz以下の低域における音圧特性は低下する。
【0078】
また、
図13乃至
図15は、本発明の圧電素子の信号の印加方式によるインピーダンス特性および音圧特性を示すグラフである。すなわち、
図13(a)および
図13(b)は、第2の圧電板にのみ信号を印加する場合のインピーダンス特性および音圧特性を示すグラフであり、
図14(a)および
図14(b)は、第1の圧電板にのみ信号を印加する場合のインピーダンス特性および音圧特性を示すグラフであり、
図15(a)および
図15(b)は、第1および第2の圧電板に信号を印加する場合のインピーダンス特性および音圧特性を示すグラフである。
【0079】
第2の圧電板にのみ信号を印加する場合、
図13(a)に示すように、圧電素子は2.7425kHzにおいてインピーダンス特性を示し、
図13(b)に示すように、共振周波数が0.4kHzであり、約89dBの音圧特性を示す。また、第1の圧電板にのみ信号を印加する場合、
図14(a)に示すように、圧電素子は0.836kHzにおいてインピーダンス特性を示し、
図14(b)に示すように、共振周波数が0.9kHzであり、約104dBの音圧特性を示す。さらに、第1および第2の圧電板に同時に信号を印加する場合、
図15(a)に示すように、圧電素子は0.8326kHzにおいてインピーダンス特性を示し、
図15(b)に示すように、共振周波数が0.4kHzおよび0.9kHzであり、約88dBおよび100dBの音圧特性を示す。このため、本発明の圧電素子を圧電音響素子として用いる場合、第1および第2の圧電板に同時に信号を印加することにより共振周波数が0.4kHzおよび0.9kHzであり、これにより、低域帯から高域帯に至るまでの音圧特性を改善することができる。すなわち、
図16に示すように、第1および第2の圧電板に同時に信号を印加する場合(C)、第2の圧電板にのみ信号を印加する場合(A)および第1の圧電板にのみ信号を印加する場合(B)に比べて低域帯から高域帯に至るまでの音圧特性を改善することができる。加えて、
図17は、本発明の圧電素子の振動特性を示すグラフであり、228Hzの共振周波数において2.2Gの出力を示す。
【0080】
本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、互いに異なる種々の形態で実現可能である。すなわち、これらの実施形態は、本発明の開示を完全たるものにし、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明の範囲は、本願の特許請求の範囲により理解されるべきである。