特許第6195895号(P6195895)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6195895
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】水平型撹拌装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/00 20060101AFI20170904BHJP
   B01F 7/06 20060101ALI20170904BHJP
   B01F 3/08 20060101ALN20170904BHJP
   B01F 15/00 20060101ALN20170904BHJP
【FI】
   C02F1/00 J
   B01F7/06
   !B01F3/08 Z
   !B01F15/00 B
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-502218(P2015-502218)
(86)(22)【出願日】2013年3月20日
(65)【公表番号】特表2015-517899(P2015-517899A)
(43)【公表日】2015年6月25日
(86)【国際出願番号】EP2013055840
(87)【国際公開番号】WO2013143946
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2016年2月19日
(31)【優先権主張番号】102012205269.0
(32)【優先日】2012年3月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509233585
【氏名又は名称】インベント ウムウェルト− ウント フェルファーレンステヒニック アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144082
【弁理士】
【氏名又は名称】林田 久美子
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(72)【発明者】
【氏名】ヘフケン・マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ハグスピエル・トーマス
【審査官】 高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−519021(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0096343(US,A1)
【文献】 特表2008−538534(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3001064(JP,U)
【文献】 特開2010−240612(JP,A)
【文献】 特開2010−029828(JP,A)
【文献】 特開昭56−044034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00
B01F 7/00 − 7/32、
1/00 − 5/26、
15/00 − 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水処理槽において水平方向の流れを生成する水平型撹拌装置であって、
水中モータ(1)によって駆動される多角形状のシャフト(3)に装着されたプロペラ(4)を備え、
前記プロペラ(4)が、第1の繊維で強化されたポリマーによって形成される第1の材料から製作され、前記多角形状のシャフト(3)の外形と形状が合致するスリーブ(7)をハブとして有し、
前記スリーブ(7)が、前記第1の材料と異なる第2の材料から製作され、
前記第2の材料が、第2の繊維である、カーボン繊維またはアラミド繊維で強化されたポリマーによって形成される、水平型撹拌装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水平型撹拌装置において、前記第2の繊維が連続繊維である、水平型撹拌装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の水平型撹拌装置において、前記スリーブ(7)が、前記第1の材料に接着結合している、水平型撹拌装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれか一項に記載の水平型撹拌装置において、前記第1の繊維が、ガラス繊維である、水平型撹拌装置。
【請求項5】
請求項1からのいずれか一項に記載の水平型撹拌装置において、前記プロペラ(4)の表面の少なくとも一部が、第3の材料で形成された層によって被覆されている、水平型撹拌装置。
【請求項6】
請求項に記載の水平型撹拌装置において、前記第3の材料が、第2のカーボン繊維で強化されたポリマーによって形成される、水平型撹拌装置。
【請求項7】
請求項に記載の水平型撹拌装置において、前記第2のカーボン繊維が、織布、編物または短繊維の形態である、水平型撹拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水処理槽において略水平方向の流れを生成する水平型撹拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の水平型撹拌装置は、特許文献1から知られている。この既知の水平型撹拌装置は、排水処理槽に支持された支柱に取り付けられる。この水平型撹拌装置は、水中モータを備える。この水中モータによって駆動されるシャフトは、フェザーキー接続部を介してプロペラのハブに接続される。このフェザーキー接続部により、前記シャフトのトルクが、ほぼそのフェザーキーを通じて前記プロペラに伝達される。このとき、そのフェザーキーの領域に大きな力が働く(応力集中が起こる)ので、前記フェザーキー接続部が破損する可能性がある。さらに、フェザーキー接続部の場合には、プロペラの取外しが一般的に複雑で手間のかかる作業になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2008/101632号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来技術の短所を改善することである。具体的に述べると、本発明の目的は、排水処理槽において略水平方向の流れを生成する水平型撹拌装置であって、極めて長寿命であり、プロペラ交換時に必要な手間が少ない水平型撹拌装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的は、請求項1の構成によって達成される。本発明の好適な実施形態は、請求項2〜11の構成から明らかである。
【0006】
本発明では、排水処理槽において略水平方向の流れを生成する水平型撹拌装置であって、水中モータによって駆動される多角形状のシャフトに装着されたプロペラを備え、前記プロペラが、第1の繊維で強化されたポリマーによって形成される第1の材料から製作され、前記多角形状のシャフトの外形と形状が合致するスリーブをハブとして有し、さらに、前記スリーブが、前記第1の材料と異なる第2の材料から製作される水平型撹拌装置を提案する。
【0007】
従来技術とは対照的に、本発明では、プロペラに接続する水平型撹拌装置のシャフトを多角形状のシャフトとしている。多角形状のシャフトは多角形状のプロファイルを有し、例えば、力を伝える伝達面を3つ又は4つ有する。多角形状のシャフトでは、力の伝達が面接触で行われる。このとき接触面にかかる圧力は徐々に上昇し、最大値に達した後、揺らぐことなく安定的に低下する。また、伝達面間の力の移行がなだらかなので、切欠き効果(応力集中)を無視することができる。さらに、プロペラが、第1の繊維で強化されたポリマーから製作されている。このようなプロペラは、比較的軽量である。本発明の水平型撹拌装置によれば、プロペラを素早くかつ簡単に交換することができる。また、上記のように水中モータとプロペラとの接続部を多角形状のシャフトを用いた接続部とすることにより、当該接続部が極めて長寿命になる。
【0008】
本発明の有利な一実施形態において、前記第2の材料は、第2の繊維で強化されたポリマーによって形成される。好ましくは、前記第2の繊維は、カーボン繊維またはアラミド繊維である。特に、カーボン繊維で強化されたポリマーから製作されたスリーブは、多角形状のシャフトから伝達する力を受けるのに驚くほど十分な強度を有することを出願人は見出した。
【0009】
好ましくは、前記第2の繊維は連続繊維である。前記第2の材料が第2の繊維で強化されたポリマーによって形成される場合、好ましくは、前記スリーブは、前記多角形状のシャフトの形状と形状が合致する中空成形型に、前記第2の繊維を巻き付けて積層することで製作されたものである。このようなスリーブは、比較的少ない手間で製作することができる。
【0010】
好ましくは、前記スリーブは、前記第1の材料に接着結合している。上記のようにスリーブを第2の繊維で強化されたポリマーから製作されるものとした場合、従来の方法により、前記プロペラの製作に使用されるポリマーとの間で、一体的な接着接続部を形成することができる。このような一体的な接着接続部は、優れた強度特性を有する。
【0011】
本発明の好ましい他の実施形態において、前記第1の繊維は、ガラス繊維である。ガラス繊維は、比較的安価に入手できる。好ましくは、前記ガラス繊維は、織布または編物の形態で用意される。これにより、前記プロペラは、全体として比較的に安価に製作することができる。
【0012】
本発明の特に好ましい実施形態において、前記プロペラの表面の少なくとも一部は、第3の材料で形成された層によって被覆される。好ましくは、前記第3の材料は、第2のカーボン繊維で強化されたポリマーによって形成される。好ましくは、前記第3の材料は塗布される。特に好ましくは、前記第3の材料は、前記表面のうち、極めて大きい力(具体的には、摩擦力など)に曝される部位に塗布される。しかし、前記第3の材料で形成された層は、前記プロペラの外表面全体を覆うものであってもよい。
【0013】
好ましくは、前記第2のカーボン繊維は、織布、編物または短繊維の形態である。これにより、前記第3の材料で形成された比較的薄い層を、比較的簡単に製作することができる。
【0014】
他の実施形態において、前記第2の材料は、鋼で形成され、好ましくはステンレス鋼で形成される。
【0015】
以下では、本発明の例示的な実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】水平型撹拌装置の斜視図である。
図2】多角形状のシャフトの斜視図とプロペラの破断図である。
図3】プロペラの一部を切り開いて示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示す水平型撹拌装置では、水中モータ1が伝動機構2に駆動可能に接続されている。伝動機構2には、多角形状のシャフト3(詳細に図示せず)が延設されている。多角形状のシャフト3には、2つのブレードBを備えたプロペラ4が装着されている。ブレードBは、リーディングエッジ(水流の流入側縁)5およびトレーリングエッジ(水流の流出側縁)6を有する。
【0018】
特に図2及び図3から分かるように、プロペラ4は、中空のボディで構成されている。この中空のボディは、例えば、ガラス繊維で強化されたポリマーから製作されたものである。プロペラ4のハブは、多角形状のシャフト3の外周形状と合致する内周形状を有するスリーブ7を含む。好ましくは、多角形状のシャフト3は、力を伝える伝達面を4つ有する。多角形状のシャフト3のプロファイル(外周形状)は、P4C多角形状プロファイルであってもよい。好ましくは、スリーブ7は、カーボン繊維で強化されたポリマーから製作されたものである。この場合、好ましくは、連続繊維の形態のカーボン繊維が使用される。スリーブ7は、フランジ状の2つのエンドピース8を介して前記プロペラ4の中空のボディの内表面に取り付けられている。好ましくは、エンドピース8は、ガラス繊維又はカーボン繊維で強化されたポリマーから製作されたものである。例えば、スリーブ7は、エンドピース8に接着結合で取り付けられる。
【0019】
好ましくは、プロペラ4を構成する前記中空のボディは、2つの半割シェルによって形成されている。図3に、その2つの半割シェル9のうちの一つを示す。これら2つの半割シェル9の接合線は、プロペラ4のリーディングエッジ5およびトレーリングエッジ6にほぼ沿って延びる。
【0020】
プロペラ4の製作の一例として、図3に示す第1の半割シェル9を製作した後、スリーブ7を挿入し、このスリーブ7を前記第1の半割シェル9に一体成形されたエンドピース8に接着結合する。次に、第2の半割シェル9(図3に示さず)を、前記第1の半割シェル9に対し、リーディングエッジ5およびトレーリングエッジ6にほぼ沿って接着結合することができる。このようにして得られた中空のボディに、高分子発泡体(例えば、ポリウレタン系発泡体など)を用いた発泡体を充填する。
【0021】
一実施形態では、プロペラ4の外側に、カーボン繊維で強化されたポリマー層が設けられる。このような外層(又は被覆層)により、プロペラ4の強度がさらに向上する。
なお、本発明は、実施の態様として以下の内容を含む。
[態様1]
排水処理槽において略水平方向の流れを生成する水平型撹拌装置であって、
水中モータ(1)によって駆動される多角形状のシャフト(3)に装着されたプロペラ(4)を備え、
前記プロペラ(4)が、第1の繊維で強化されたポリマーによって形成される第1の材料から製作され、前記多角形状のシャフト(3)の外形と形状が合致するスリーブ(7)をハブとして有し、
前記スリーブ(7)が、前記第1の材料と異なる第2の材料から製作される、水平型撹拌装置。
[態様2]
態様1に記載の水平型撹拌装置において、前記第2の材料が、第2の繊維で強化されたポリマーによって形成される、水平型撹拌装置。
[態様3]
態様2に記載の水平型撹拌装置において、前記第2の繊維が、カーボン繊維またはアラミド繊維である、水平型撹拌装置。
[態様4]
態様2または3に記載の水平型撹拌装置において、前記第2の繊維が連続繊維である、水平型撹拌装置。
[態様5]
態様2から4のいずれか一態様に記載の水平型撹拌装置において、前記スリーブ(7)が、前記多角形状のシャフト(3)の形状と形状が合致する中空成形型に、前記第2の繊維を巻き付けて積層することで製作されたものである、水平型撹拌装置。
[態様6]
態様1から5のいずれか一態様に記載の水平型撹拌装置において、前記スリーブ(7)が、前記第1の材料に接着結合している、水平型撹拌装置。
[態様7]
態様1から6のいずれか一態様に記載の水平型撹拌装置において、前記第1の繊維が、ガラス繊維である、水平型撹拌装置。
[態様8]
態様1から7のいずれか一態様に記載の水平型撹拌装置において、前記プロペラ(4)の表面の少なくとも一部が、第3の材料で形成された層によって被覆されている、水平型撹拌装置。
[態様9]
態様8に記載の水平型撹拌装置において、前記第3の材料が、第2のカーボン繊維で強化されたポリマーによって形成される、水平型撹拌装置。
[態様10]
態様9に記載の水平型撹拌装置において、前記第2のカーボン繊維が、織布、編物または短繊維の形態である、水平型撹拌装置。
[態様11]
態様1から10のいずれか一態様に記載の水平型撹拌装置において、前記第2の材料が、鋼であり、好ましくは、ステンレス鋼である、水平型撹拌装置。
【符号の説明】
【0022】
1 水中モータ
2 伝動機構
3 多角形状のシャフト
4 プロペラ
5 リーディングエッジ(水流の流入側縁)
6 トレーリングエッジ(水流の流出側縁)
7 スリーブ
8 エンドピース
9 半割シェル
B ブレード
図1
図2
図3