(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で使用する場合に、単数形「1つの(a, an)」は、文脈が他に明確に指示しない限り複数の参照を含む。本明細書で使用する場合に、2つ以上の部品又は構成要素が「結合」されるという記述は、部品が、リンクが生じる限り、直接的に又は間接的にのいずれかで、すなわち1つ以上の中間部品又は構成要素を介して互いに接合され又は一緒に動作されることを意味する。本明細書で使用する場合に、「直接的な結合」とは、2つの要素が互いに直接的に接触していることを意味する。本明細書で使用する場合に、「固く結合された」又は「固定された」とは、2つの構成要素が、互いに対して一定の向きを維持しながら一体物として移動するように結合されることを意味する。本明細書で使用する場合に、2つ以上の要素が「選択的に結合」されるという表現は、要素が、結合位置又は非結合位置のいずれかで容易に位置決めできるように結合されることを意味するものとする。
【0015】
本明細書で使用する場合に、単語「一体型」とは、構成要素が、単一の部品やユニットとして形成されることを意味する。つまり、個別に形成した後にユニットとして一緒に結合される部品を含む構成要素は、「一体型」の構成要素又は本体ではない。本明細書で使用される場合に、2つ以上の部品又は構成要素が、互いに「係合する」という記述は、部品が、直接的に、又は1つ以上の中間部品又は構成要素を介してのいずれかで、互いに対して力を付与することを意味するものとする。本明細書で使用される場合に、用語「数」は、1つ又は1以上の整数(即ち、複数)を意味する。
【0016】
本発明に従って設計されたマスクの実施形態は、誕生から18ヶ月までの幼児の特定の顔の形状/構造体のために特に設計されており、それ故に、表現「小児患者」は、生後18ヶ月以下の患者を意味するものとする。このような幼児は、典型的には、顔の幅に対する高さの比率が約0.83〜0.87の範囲を有する顔の形状/構造体を示す。このような顔の形状/構造体は、1.0の幅に対する高さの比率を有する典型的な子供/大人の顔の形状/構造体とは対照的である。従って、子供及び大人用に適当な従来のフルフェイスマスクは、本発明の実施形態が対象とする小児患者には役立たない。
【0017】
限定されるものではないが、本明細書で使用される方向を示す語句、例えば上部、下部、左、右、上方、下方、正面、背面及びこれらの派生語は、図面に示される要素の向きに関連しており、その中に明示的に記載されない限り、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【0018】
図1A、
図1B及び
図2〜9には、本発明の実施形態に係る治療用ガス送達に使用するためのマスクアセンブリ10及び関連する構成要素が示されている。
図1A、1B、
図2及び
図3を参照すると、マスクアセンブリ10は、一般に、呼吸ガスの供給を受け取るための開口部13を有するマスク本体12を含んでもよい。マスク本体12は、小児患者27の少なくとも鼻及び口(及び随意で眼)に関して取り囲むように小児患者27の顔と密封係合するためのシール構造体20(
図1A)を含んでいる。
図6示されるように、マスクアセンブリ10は、小児患者のこめかみと略一致する領域の外縁部において全深さD
Tと、恐らく
図9に最も良く示されるように、シール構造体20の略湾曲した形状によって全深さD
T未満となる中央深さD
Cとを有する。実施例では、マスクアセンブリ10は、約67mmの全深さD
Tと、約48mmの中央深さD
Cとを有する。
【0019】
マスクアセンブリ10は、一実施形態では、加圧された呼吸ガスの供給部にマスク本体12を接続するための呼吸回路インターフェース16も含む。以下でより詳細に開示するように、呼吸回路インターフェース16は、マスク本体12に回転自在に接続された第1の部分17と、呼吸ガスの供給を開口部13を介して小児患者27に送達するための導管18に接続するように構築且つ配置された第2の部分19とを有している。
【0020】
実施例では、呼吸回路インターフェース16及び導管18によって、マスク本体12を、回路チューブ40を介して換気装置、CPAP装置、又は例えばペンシルバニア州のピッツバーグにあるPhilips Respironics, Inc.により製造販売されているBiPAP(登録商標)陽圧治療装置等の可変圧力装置、或いは自動滴定圧力支援装置等の(
図1A及び
図1Bに概略的に示される)圧力/流発生装置42に接続する。要素のこのような組み合わせは、典型的には、治療用ガスを患者に送達するための「システム」と呼ばれる。
【0021】
BiPAPデバイスは、より高い圧力が呼気中よりも吸気中に送達されるように、患者に提供される圧力が、患者の呼吸サイクルと共に変化するバイレベル装置である。自動滴定圧力支援装置は、患者がいびきをかいているか又は無呼吸又は呼吸低下を経験しているかどうか等によって、患者の状態と共に圧力を変化させるシステムである。本発明の目的のために、圧力勾配が発生するときにガス流がもたらされるため、圧力/流れ発生装置42は、ガス流れ発生装置とも呼ばれる。本発明は、圧力/流れ発生装置42が、上記の要約した圧力支援システム及び非侵襲換気システムを含むような、患者の気道にガスの流れを送達するための又は患者の気道においてガスの圧力を上昇させるための任意の従来のシステムを企図する。
【0022】
本明細書でさらに議論を進めることによって理解されるように、呼吸回路インターフェース16の第2の部分19は、導管18に取外し可能に接続されており、それによって、異なるタイプの導管18をマスク本体12に接続するのを可能にする。従って、本明細書で詳細に記載される導管以外の導管は、本発明の範囲から逸脱することなく、マスク本体12と共に使用できることを理解すべきである。加えて、第1の部分17における呼吸回路インターフェース16とそのマスク本体12との間の回転又は旋回接続部によって、エルボ形状導管18が接続した後に回転可能になり、360°の回転内で任意の方向に延びるような導管18が、チューブ40と接続することが可能になる。いくつかの目的のために、呼吸回路インターフェース16は、マスク本体12の一部であると考えてもよいことを理解すべきである。
【0023】
図3に示されるように、呼吸回路インターフェース16は、参照符号29で概して示される中央開口部の周りに配置された略円筒形状の内面23を含む、貫通している環状の構成を有する。後のより詳細な議論から理解されるように、呼吸回路インターフェース16の円筒形状内面23は、呼吸ガスを受け取るためのチューブ40と接続するような、適当な導管18の略円筒状の嵌合面25との取外し可能な摩擦嵌合を提供するように形成され且つ構成されている。
【0024】
実施例では、
図3に示されるように、呼吸回路インターフェース16は、その外面(符号無し)の周りに円周方向に一定の間隔で離間された半径方向外向きに延びる複数のリブ31を有する。リブ31のそれぞれは、それらリブが、呼吸回路インターフェース16の第2の部分19から第1の部分17に延びるにつれて、増大する厚さ又は半径方向寸法を有する。リブ31は、呼吸回路インターフェース16の外面の一部として一体的に形成されている。呼吸回路インターフェース16の第2の部分19の外面に位置する複数のリブ31は、呼吸回路インターフェース16に導管18を接続し又は取外すときに、呼吸回路インターフェース16を保持するための把持部を医療従事者に提供する。リブ31は、呼吸回路インターフェース16の手動回転も容易にする。本発明は、呼吸回路をマスク本体に結合するための任意の技術が、マスクアセンブリ10に使用されるような形態を企図する。
【0025】
一実施例では、マスク本体12は、透明なプラスチック材料から形成された硬質部分21と、上述した可撓性周縁シール構造体20とを有している。可撓性周縁シール構造体20は、マスク本体12の硬質部分21の周囲に取り付けられている。
【0026】
図1A及び
図1Bに示されるように、一実施例では、マスク本体12は、小児患者27の頭部にマスク本体12を取り付けるために使用されるようなヘッドギア・アセンブリ11に接続されるように適合される。実施例では、一対のヘッドギア取付クリップ14が、インタフェースに設けられており、そして、ヘッドギア・アセンブリ11のヘッドギア下部の取付ストラップ部分44に接続される。一対のヘッドギア取付部材22(
図3)が、ヘッドギア取付クリップ14を接続可能に受け取るために設けられており、且つ一対の離間して配置されたヘッドギア上部のストラップ保持タブ24が、ヘッドギア・アセンブリ11のヘッドギア上部のストラップ部分46を受け取るために設けられており、それぞれのタブが、貫通する細長い開口部50を有する。一対のヘッドギア保持タブ24は、マスク本体12の硬質部分21の反対側の上側に配置されている。一対のヘッドギア取付け部材22が、マスク本体12の硬質部分21の反対側の下側に配置されている。各ヘッドギア保持タブ24は、硬質部分21と一体的に形成されており、恐らく
図2及び
図3に最も良く示されるように、可撓性周縁シール構造体20から外向きに延びる。
【0027】
実施例では、マスクアセンブリ10は、20.27グラム(g)の重量を有するマスク本体12と、33.72gの重量を有するシール構造体20と、98.24グラムの重量(ヘッドギア無し)を有する、呼吸回路インターフェース16及びエルボと一緒のマスクアセンブリ10と、124.10gの重量を有する、ヘッドギアを含むマスクアセンブリ10とによって特徴付けられる。
【0028】
図4には、一実施形態による、導管18が示されている。この実施形態では、導管18は、吸込み(entrainment)バルブアセンブリ200である。吸込みバルブアセンブリ200は、当業者によって理解されるようなポリカーボネート又は他のプラスチック材料等の硬質プラスチック材料で形成された略エルボ形状の管状部材201を含む。一実施例では、管状部材201は、透明な、無色の、プラスチック材料から形成される。別の実施例では、管状部材201は、橙色/琥珀色の材料から形成されるが、他の色及び/又は不透明な部材が、本発明の範囲から逸脱することなく、用いることができる。管状部材201は、第1流入口202と、第2の流入口204と、流出口206とを含む。
【0029】
管状部材201は、第1コネクタ部230と第2コネクタ部232とを含む。第1コネクタ部230及び第2コネクタ部232は、略円筒形状であり、且つ互いに略垂直に配置されている。第1コネクタ部230及び第2コネクタ部232は、屈曲管状領域233によって接合されている。第1コネクタ部230は、呼吸回路インターフェース16との接続のために、上述した略円筒形状の外面25を有する一方、第2コネクタ部232は、圧力/流れ発生装置42からの加圧ガスを受け取るために、チューブ40の内面と摩擦係合するような円筒形状の外面205も有する。
【0030】
吸込みバルブアセンブリ200の第2の流入口204は、屈曲管状領域233に向けて位置する開口部254を含む。この開口部254は、平面壁256によって2つの等しい、略半円筒形状のセグメントに分割される。吸込みバルブアセンブリ200の平面壁256は、円筒形状の開口部254を通って延びている。開口部254によって、小児患者27は、流入口202内に供給される加圧ガスの流れの不存在下で、大気に出入りする呼吸が可能になる。円筒面25において、吸込みバルブアセンブリ200は、複数の呼気溝258をさらに含む。この溝258は、吸込みバルブアセンブリ200が、呼吸回路インターフェース16に接続されるような界面に位置する。複数の呼気溝258が、面25上に円周方向に離間して配置されており、第1コネクタ部230の両側に対称的に配置されている。呼気溝258が、第1コネクタ部230の外面の任意の場所に位置するような他の実施例が企図されており、それは呼吸回路インターフェース16とインターフェースする。
【0031】
吸込みバルブアセンブリ200が、(
図1A、
図1B、及び
図2に示されるような)呼吸回路インターフェース16に入るまで押されるときに、溝258は、呼吸回路インターフェース16から依然として外方に延びており、小児患者から吐き出されたガスが溝258を通って抜け出るのを可能にするような通路が設けられているように、呼気溝258は、十分な長さにされる。加えて、表面23と25との間の摩擦フィット係合の程度について、溝258によって提供されるギャップ又は空間の断面積が一定であり、それによって、マスク本体12の外側に吐き出された呼気ガスの流路は、吸込みバルブアセンブリ200が、呼吸回路インターフェース16内に完全に挿入されるか、又は完全に挿入されるよりも幾分手前に挿入されたかどうかにかかわらず、一定の抵抗を提供する。
【0032】
図3及び
図5を参照すると、吸込みバルブアセンブリ200は、吸込みバルブアセンブリ200の屈曲管状領域233から延びるとともに、吸込みバルブアセンブリ200の第2コネクタ部232に略平行であるような圧力ポート260を含む。取外し可能なキャップ262を使用して、圧力ポート260を閉じる。キャップ262は、圧力ポート260からキャップ262の取外しを補助するための把持タブ264を含む。サンプリングチューブ(図示せず)が、圧力ポート260を介して管状本体201内のガスと流体連通するように配置することができる。変換器(図示せず)は、この変換器と通信するようなプロセッサと一緒にサンプリングチューブに固定することができる。プロセッサは、変換器からの信号を用いて、少なくとも1つの呼吸パラメータを算出する。このような構成は、人工呼吸器による圧力を測定して、人工呼吸器へのフィードバックを制御するように一般的に使用される。
【0033】
図6及び
図7に示されるように、呼吸回路インターフェース16は、上述した第1の部分17と第2の部分19とを含む。第1の部分17は、略円形の形状であり、且つ摺動可能な表面の関係で、半径方向内向きに延びるフランジ部分70に係合するような環状の平坦壁408を含む。フランジ部分70は、マスク本体12の硬質部分21の開口部13を取り囲む(
図3参照)。呼吸回路インターフェース16の第1の部分17は、環状面408の半径方向の最も内側の部分から外向きに延びるような略円筒形の突起部409をさらに含む。円筒形の突起部409は、マスク本体12の硬質部分21の開口部13内に延びる。円筒形の突起部409は、その外側円筒面に位置する溝410を含む(
図7参照)。溝410は、接続ワッシャ又は軸受412を収容する。一実施形態におけるワッシャ412は、フランジ70の内側面に当接するようなその外周を有する分割リングワッシャ構造体であり、その内周は、呼吸回路インターフェース16をマスク本体12に回転自在に接続するように、溝410内に受容される。こうして、呼吸回路インターフェース16は、マスク本体12の硬質部分21に回転自在に接続される。一実施形態では、回転自在なインターフェースにおけるわずかな摩擦によって、回転に対して少ない抵抗を与えることができ、それによって、呼吸回路インターフェース16の回転位置は、所望されるように手動で設定することができ、その回転位置は、チューブ40と接続するような導管18の第2コネクタ部232又は脚部が、意図的に変更されない限り略保持されるような所望の方向に位置決めすることができる。別の実施形態では、回転ポイントにおける摩擦は、呼吸回路インターフェース16の自由回転を可能にするために、最小限にすることができる。
【0034】
別の実施形態では、呼吸回路インターフェース16とマスク本体12の硬質部分21との間の接続は、ボールベアリング構成、又はマスク本体12に対して呼吸回路インターフェース16の回転運動を可能にするような他のタイプのベアリング構成を使用することによって達成することができる。
【0035】
上述したように、呼吸回路インターフェース16の内面23は、摩擦嵌合によって吸込みバルブアセンブリ200の外面25と着脱自在に係合するように形成され且つ構成される。吸込みバルブアセンブリ200との摩擦嵌合を可能にすることに加えて、後でより詳細に説明するように、呼吸回路インターフェース16の内面23によって、吸込みバルブアセンブリ200が取り外され、同様の摩擦嵌合を介して異なる、他のタイプの導管18と交換可能に摩擦嵌合するのを可能にする。実施例では、第1コネクタ部230の直径は、バルブアセンブリ200の間違った端部がインターフェース16に接続されるのを防止するために、吸込みバルブアセンブリ200の第2コネクタ部232の直径よりも大きくされている。
【0036】
図6及び
図7の断面図の参照を継続して、吸込みバルブアセンブリ200は、バルブ部材208を含む。バルブ部材208は、このバルブ部材208に設けられた凹部250、バーブ526、及びストッパ部材528によって、その接続領域248において管状部材201に接続される。吸込みバルブアセンブリ200の屈曲管状領域233の下部に位置するリブ252(
図7)が、環状領域253に対して接続領域248をクランプするように、凹部250内に収容されるようなその外面を有する。
【0037】
バルブ部材208は、比較的薄く、平坦な、楕円形の形状を有するシール部分520を含む。シール部分520は、可撓性材料で作製されており、従って、第1流入口202に押し込まれる加圧ガスに応答して、(
図7の破線で示されるように)上向きに屈曲可能となる。上向きへの屈曲は、シール部分520の上面522が、管状本体201内に突起するとともに第2の流入口204を規定するような円筒状壁254の端部において環状リップ235と係合するまで継続する。その静止位置から上部屈曲部へのシール部分520の移動方向が、
図7に矢印Aで示されている。この上部屈曲部分において、バルブ部材208の上面522を環状リップ235と密封係合することによって、第1の流入口202に供給される加圧ガスが、第2の流入口204を通って漏出しないように、第2の流入口204がシールされる。
【0038】
ガスが、第1の流入口202を介して小児患者に供給されない(例えば、第1の流入口202に接続された圧力/流れ発生装置42が作動しない)場合に、第2の流入口204は、吸気中に小児患者に提供された大気の流入路と呼気のための流出路との両方として機能することができることを留意すべきである。この例では、シール部分520は、その休止位置に留まることができ、
図7に示されるように、そのシール部分は、環状フランジ253の上面259とのシールを形成する。
【0039】
バルブ部材208は、当業者によって理解されるようなゴム、ラテックス、シリコーン、又は任意の他のエラストマー材料から作製することができる。
【0040】
図2及び
図4から最も容易に理解できるように、呼気溝258は、管状部分201の外面25と、呼吸回路インターフェース16の円筒形状内面23との間に通路を形成する。一実施形態では、呼気溝258は、管状部分201の外面25の反対側の側面に設けられる。別の実施形態では、呼気溝は、本体201というよりもむしろ呼吸回路インターフェース16の内面23に設けてもよい。さらに、
図7の破線で示されるように、別の実施形態では、それら呼気溝は、本体201の外面25の頂部に代替的に又はさらに配置してもよい。小児患者が吸気するときに、ガスのごく一部が、大気から呼気溝を介して引き込むことができる。しかしながら、全般的に、第1の流入口202に押し込まれた加圧ガスは、大気圧よりも本体201内の圧力をより高く形成し、それによって、空気は、吸気中であっても、呼気通路258を介して(内向きというよりもむしろ)外向きに殆ど押し込まれる。さらに、小児患者が息を吐く際に、呼気ガスが、本体201を通って中央に流入する空流に衝突し、こうして、呼気ガスを効果的にフラッシュする(勢いよく流す)ように、円形の流れパターンをもたらすような半径方向外向きにキノコ状に拡がらせ、こうして周辺呼気溝258に向けて及びこの溝を介して大気中に導かれる。
【0041】
取外し可能且つ交換可能な導管18によって、単に導管18の選択を行うことで、マスクアセンブリ10が異なる用途でも機能するようになる。吸込みバルブアセンブリ200を収容するように適合された導管18と一緒に示されているが、本発明は、他の導管18が、本発明の範囲から逸脱することなく、マスクアセンブリ10と一緒に使用されることを企図することを理解されたい。上述したマスクアセンブリ10と交換可能に使用できるような他のタイプの導管18は、非限定的な例として、介護者がマスクを付けた状態で気管支鏡手術を行うのを可能にするような気管支鏡ポートを含む導管と;NIV中に医薬を送達するためのエアロゾル発生器付きアダプタを含む導管と;「定量吸入器」を使用して医薬を送達するためのMDIポートを含む導管と;CPAPリリーフバルブを収容するためのポートを含む導管と;小児患者を監視するためにCO
2センサ機能を備えた導管と;小児患者の体積CO
2を監視するためのVCO
2センサ機能を備えた導管と;ヘリオックス(heliox)又はその他の特殊ガスを同伴する導管と;吸気ガスに水分を追加する導管と;HME(熱湿度交換器)を含む導管と;様々な臨床監視機能のための「ナノ」センサを組み込んだ導管と;SARS等のパンデミック状況において有用である呼気フィルタ機能付き導管と;「マスクをしながら話す」ような患者の能力を向上させる導管と;NG供給管を収容する導管と;CO
2の再呼吸を減少/制御する導管と;分泌クリアランスを補助する導管と;標準的なエルボを含む導管と;完全な(鼻/口)、鼻のみ、カニューレ、枕、又は全面又はヘルメット型のマスクタイプ等の広範なマスクタイプで使用することができる導管と;を含む。
【0042】
上記したように列挙した導管の構成は、提供することができる導管の異なるタイプ、構成、及び/又は構造体の非限定的な例を提供するものであることを理解すべきである。これらの導管の全てには、エルボ形状の管状本体を設けてもよいが、(例えば、直線的な管形状等の)他の管状形状を代わりに設けてもよいことを理解されたい。
【0043】
本発明による他の実施形態は、導管18と呼吸回路インターフェース16との間の接続が、摩擦嵌合でないような接続を企図するが、このような接続は、限定するものではないが、例えば、1/4回転式接続、スナップ式嵌合、又は導管18と呼吸回路インターフェース16との間の着脱自在な接続を提供するような他のロック機構等の他のタイプの接続によって達成することができる。
【0044】
さらに別の実施形態では、導管18の第1コネクタ部230には、それ自体は、このような構造体がマスクの一部として提供されるというよりもむしろ、呼吸回路インターフェース16と同様に、スイベル継手を設けてもよい。このような場合には、エルボのスイベル継手は、マスク本体12の硬質部分21の開口部13を取り囲むような非旋回部分(例えば、外向きに突起する円筒形状)に直接的に接続することができる。
【0045】
さらに別の実施形態では、スイベル継手は全く設けられていない。むしろ、管状本体(例えば、201)との間の直接的な接続が、マスクの硬質部分21の対応する形状部分に設けられる。この実施形態では、導管18の一部の回転は、それにもかかわらず、硬質部分21と管状本体との間の摩擦嵌合接続部で直接的な摺動摩擦を介して適応することができる。しかしながら、他の非回転接続部を設けてもよいし、依然として本明細書で企図する設計のモジュール性を可能にすることがさらに企図される。
【0046】
本発明の一態様では、マスクアセンブリのキットが提供される。キットアセンブリは、回転自在なインターフェース16を含む又は含まないマスク本体12と、単に導管の種類を変更することによってマスク本体12が別の機能を提供できるようにするための異なる種類の少なくとも2つの導管18とを有する。例えば、標準的な(バルブレス)エルボは、1つの導管として提供することができ、吸込みバルブアセンブリ200は、別の導管として提供することができる。2つ以上の導管を設けてもよく、複数のマスクを提供してもよい。マスクのそれぞれは共通の構成を有するが、導管は、マスク本体に適合(嵌合)するような少なくとも2つの異なる構成を有する。
さらに、キットの実施形態は、複数のヘッドギア・アセンブリ11を含んでおり、以下でより詳細に議論するように、少なくとも一方のヘッドギア・アセンブリは、男性小児患者を示す色を含み、且つ他方のヘッドギア・アセンブリは、女性小児患者を示す色を含む。
【0047】
図6、
図8及び
図9を参照して、可撓性周縁シール構造体20の詳細について説明する。
図6に最もよく示されるように、可撓性周縁シール構造体20は、三つの側面504、506及び508を有する略矩形チャネル形状の断面構成を有することができる。可撓性周縁シール構造体20は、側面504においてマスク本体12に取り付けられてもよい。マスク本体12の硬質部分21の端部500が、可撓性周縁シール構造体20の側面504に位置する開口部502と係合し、それによって、層状の接続が形成される。当業者によって理解されるように、部品は、その後、接着剤接続、超音波溶接接続、リベット、ピン接続、又は他のタイプの適切な接続を介して所定の位置に接着される。(例えば、接着剤接続によって)硬質部分21及び可撓周縁シール構造体20を、それらの端部に端から端まで取り付けることによって、重複(オーバーラップ)が存在しないような他の実施形態が企図される。側面506は、側面504と側面508との間に位置しており、側面504と側面508との間にギャップを提供する。このギャップによって、可撓性周縁シール構造体20に柔軟性を提供することができ、その柔軟性は、小児患者27の顔に順応する。可撓性周縁シール構造体20の四隅は、略丸みを帯びていてもよい。側面508及び506の長さは、小児患者27の顔とマスク本体12とが適合するような密封係合を提供するように、シール構造体20の周囲に沿って変化してもよい。
【0048】
より具体的には、
図8の正面図に示されるように、周縁シール構造体20の側面508は、一般的な全高さH
Oと全幅W
Oとを有しており、その中に小児患者の顔を受容するように特に適合された、概して510で示される開口部を含み、こうして、側面508が、小児患者の顔の縁辺で小児患者27の顔に密封係合される。そのようなフィット感を実現するために、開口部510は、小児患者の顔に特に比例するような高さH
Iと幅W
Iとを有するように寸法決めされる。側面508は、シールが、開口部510と側面508の外縁との間の中点において又はこの中点の周りに小児患者の顔の周りに最小に形成されるように概して設計される。このような最小シール領域の一般的な高さ及び幅は、それぞれ寸法H
MとW
Mとによって
図8に示される。
【0049】
実施例では、幅W
Iに対する高さH
Iの比は、成人患者の顔を収容するために必要である約1.0の典型的な比率とは対照的に、約0.83である。他の実施形態では、幅W
Iに対する高さH
Iの比は、約0.83〜0.87の範囲である。実施例では、開口部510は、約60.5mmの高さと約73.0mmの幅W
Iとを有しており、こうして、約0.83の幅に対する高さの比を有している。同じ実施例では、側面508は、約87.9mmの全高さH
Oと、約100.5mmの全幅と、74.8mmと86.9mmとの中間寸法H
M,W
Mをそれぞれ有する。
【0050】
実施例では、
図9に参照符号600で示されるように、フェイスマスクのサイズは、可撓性周縁シール構造体20の下端部にエンボス加工される。
【0051】
可撓性周縁シール構造体20は、その小児患者の顔に対して保持されるときに、可撓性周縁シール構造体20が小児患者の顔の形状に適応するように、比較的柔らかい及び/又は可撓性を有する材料で作製することができる。実施例では、(成人の用途に一般的に用いられる40デュロメータの材料と比較して)20デュロメータを有する材料を使用した。可撓性周縁シール構造体20は、当業者によって理解されるように、例えばシリコーン、エラストマー材料又は他の適切な形状適応性材料で作製することができる。マスク本体12の周縁に対する可撓性周縁シール構造体20の異なる領域は、異なる断面形状を有してもよい。様々な他の可撓性周縁シール構造体20の形状は、当業者に明らかであろう。マスク本体12の硬質部分21は、一実施形態では、可撓性周縁シール構造体20よりも比較的硬質の材料で作製される。例えば、マスク本体12は、ポリカーボネート、又は他の適切な材料から作製してもよい。
【0052】
マスク本体12は、二段階インサート成形プロセスによって形成することができる。例えば、硬質部分21は、最初に成形され、周縁に可撓性を有する可撓性周縁シール構造体20を成形するために次の金型内に挿入され、可撓性周縁シール構造体20は、硬質部分21の周り及び/又は内に成形されるように射出成形される。
【0053】
実施例では、マスクアセンブリ10は、17.02立方センチメートル(cm
3)の部分容積を有するマスク本体12と、34.11cm
3の部分容積を有するシール構造体20とを含む。
【0054】
一実施形態では、小児患者27の頭部にマスク本体12を取り付けるために使用されるヘッドギア・アセンブリ11は、ストラップを含むボンネット(bonnet)の形態をとる。しかしながら、小児患者の頭部にマスク本体12を固定するような任意の構造体を使用することができる。一実施形態では、ヘッドギア・アセンブリ11には3つの異なる色が提供されており、女の子のためのピンクの色合い、男の子のための青い色合い、そして性別的に区別のない中間色(例えば、黄色)が含まれる。
図1A及び
図1Bに示される実施形態では、(
図1Bにのみ示される)2つのヘッドギアストラップ46のそれぞれの端部(符号無し)が、ヘッドギア保持タブ24の細長い開口部50に通され、及び下側ヘッドギアストラップ40の端部(符号無し)が、ヘッドギア取付クリップ14の細長い開口部130に通される。一実施形態では、これら端部がフック材料を含み、フック及びループ接続(又は、VELCRO(登録商標))を形成するように、ストラップ上にループ材料で形成された隣接表面と係合するように折り返される。しかしながら、ヘッドギアストラップの端部を、非限定的な例として、スナップ接続、バックル、係止クランプ等で、そのストラップ自体に、又はヘッドギア取付クリップ14に、及び/又はヘッドギア取付タブ24に固定するための多数の他の方法があることを理解すべきである。ヘッドギア11は、ストラップ44,46で調節可能であり、ヘッドギア保持タブ24の開口部50又はヘッドギア取付クリップ14の細長い開口部を通してさらに引っ張ることができ、それによって、より小さい直径の頭部サイズに対応させることができる。
【0055】
また、別の実施形態では、ヘッドギアストラップ44,46の端部を、ヘッドギアストラップ保持タブ24又はヘッドギア取付クリップ14により恒久的に取り付けるアタッチメントが設けられてもよい。例えば、一旦ヘッドギア・アセンブリ11を、ストラップ44,46を所望の長さに調整することによって、小児患者27にフィットさせると、ストラップ44,46の自由端は、接着、縫製、又はストラップを一緒に重ねたリベット留め等によって、ストラップ44,46上に恒久的に再び固定することができる。ヘッドギア・アセンブリ11のストラップ44,46は、弾性又は非弾性材料であってもよく、可撓性周縁シール構造体20を小児患者の顔とシール係合させた状態で、マスク本体12を小児患者27に固定するために小児患者27の後頭部の周りに延ばすことができる。
【0056】
請求項において、括弧内の任意の参照符号は、請求項を限定するものとして解釈すべきではない。「備える、有する、含む(comprising, including)」という用語は、請求項に記載された以外の要素又はステップの存在を除外するものではない。いくつかの手段を列挙する装置クレームにおいて、これらの手段のいくつかは、同一のハードウェアアイテムによって具体化することができる。ある要素に先行する「1つの(a, an)」という用語は、このような複数の要素の存在を排除するものではない。いくつかの手段を列挙する任意の装置クレームにおいて、これらの手段のいくつかは、同一のハードウェアアイテムによって具体化することができる。特定の要素が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの要素を組み合わせて使用することができないことを示すものではない。
【0057】
本発明は、現在最も実用的且つ好ましい実施形態と考えられるものに基づいて例示の目的で詳細に説明してきたが、そのような詳細は例示の目的のためだけであり、本発明は開示した実施形態に限定されるものではなく、逆に、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内にある変更及び均等な構成を網羅することが意図されることを理解すべきである。例えば、本発明は、可能な限り、任意の実施形態の1つ以上の特徴が、他の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせることができることを企図することを理解すべきである。