【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題は、独立請求項1の特徴部分に記載された構成を有する光学式測定システム、および、独立請求項9記載の特徴部分に記載された構成によって解決される。さらなる有利な実施形態は、従属請求項から導出される。
【0012】
本発明は、光検出器の変調スパンに基づいた、測定システムにおける距離の適合化を用いて、光検出器の測定信号における干渉を適合させるために、波長変調吸収分光法(WMS)の特殊性を使用するという中心的な思想に基づいている。従って、干渉を低減させるために、光検出器の測定信号における干渉は復調信号(例えば2f信号)に変換されない。従って、基本的に、測定システムにおける距離の理性的な選択によって、復調された測定信号における全ての主要な干渉が抑制される、または、少なくとも低減される。
【0013】
本発明では、測定システムの少なくとも1つの光学部品および/または自動機械部品が別の光学部品および/または自動機械部品に対して相対的に配置され、複数の光学部品および/または光学機械部品の光学的に作用する複数の境界面相互の空間定位および/または距離Lによって、選択された測定信号の周期Λを有する自由スペクトル領域を生じさせる光路長が得られ、従って、波長λ
0を有する変調された主要光線の提供された変調スパンΔλを用いることによって、全ての相に対する変調信号の測定信号への干渉作用が削除される、または、少なくとも低減される。この周期Λは、干渉信号による主要信号の干渉によって生成される。これは、各距離と変調スパンΔλとが相互に適合されることを意味する。変調スパンΔλは、あらゆる形状の変調を有し得る変調信号のピークピーク振幅として規定される。これは、あらゆる光学部品および/または光学機械部品に影響を与える。これらの部品では、反射または散乱が散乱光線の形成中に生じ得る。これは、光源および/または光検出器の方向に伝播し、散乱光線は光検出器へ配向される。少なくとも1つの散乱光線は、非干渉主要光線の一部または干渉主要光線の一部として捉えられる。従って、主要光線も、発生している散乱光線も、光源のアパーチャにおいて始まる。なぜなら、散乱光線は、主要光線から、主要光線の部分反射/散乱へと分割されるからである。
【0014】
本発明は有利には、光学式測定システムに関する。この光学式測定システムは、測定システムの光学部品を形成する、光源であるレーザーダイオードと、光検出器であるフォトダイオードと、光源と光検出器との間に配置されている少なくとも1つのハウジングウィンドウと、光源をコントロールし、かつ、光検出器の測定信号の信号処理を行うデバイスと、を含んでいる。光源と、光検出器と、主要光線を通す少なくとも1つのハウジングウィンドウとは、測定システムの光学部品および/または光学機械部品を形成する。ここでは、光源と光検出器とは、ハウジングウィンドウを備えた共通のハウジング内に配置されているか、または、それぞれ透光性のハウジングウィンドウを含んでいる別個のハウジング内に配置されている。測定システムは、光源、光検出器および少なくとも1つのハウジングウィンドウに加えて、付加的な光学部品または光学部材、光学機械部品または光学機械部材、および/または、機械部品または機械部材を含むことがある。ここでこれらの部品は、光学式測定システムの少なくとも1つのハウジングの内側または外側に配置されている。これらの部品は、例えば、ビーム路を折り返すためのミラーまたはウィンドウが設けられた気体セルであり、この気体セル内には検査されるべき気体物質が誘導される。従って、光源は、変調スパンがΔλである、平均波長λ
0を有する変調された主要光線を放射する。一般に、光源は、周波数fを有する、規定された変調スパンΔλを有する、平均波長λ
0で波長変調されており、光検出器によって受信された信号の復調が行われる。変調を、あらゆる波形で行うことができ、例えば、三角波形または余弦波形で行うことができる。実際の使用では、光源は有利には、点対称波形で変調される。ここではこの変調形状は、奇数のフーリエ成分(1f、3f、5f等)を含む。一般的に、測定信号のフーリエ成分、すなわち、2、4、および/または、m重の変調周波数に対する測定信号のフーリエ成分が定められ、m=2、4、6、・・・・、であり、これは、測定信号における振幅変調の部分を抑制するようにされている。実際の使用では、一般的に、変調周波数の2倍のフーリエ成分、または、偶数の整数の場合には変調周波数の倍数mのフーリエ成分が測定される。周波数の2倍に対するフーリエ成分が測定される場合には、いわゆる2f信号が生じ、周波数の4倍の場合には4f信号が得られる、等である。
【0015】
本発明の中心的な思想は、不所望な反射または散乱が発生し得るビーム路における光学部品および/または光学機械部品の相対的なポジショニングまたは配向を最適化することである。ここでは、光学式測定システムにおける光源および光検出器の位置に関連してこの最適化が実行される。従って、発生した干渉が、測定信号に与える影響は極めて小さい。従って、特に、光源から、および有利には光検出器からのハウジングウィンドウの距離は、上述した作用が最小になるように選択される。付加的に、付加的な光学部品および/または光学機械部品の相互の距離、または、光源および/または光検出器からの距離も次のように選択される。すなわち、これらによって生じる干渉が、出力され、かつ光検出器によって復調される測定信号に与える影響が最小になるように選択される。
【0016】
基本的に、ビーム路における光学部材および/または光学機械部材の位置を最適化することによって、上記の干渉を低減する、相互に独立した2つの選択肢がある。一方では、光学式測定システムの光学部品および/または機械部品と光源のアパーチャとの間の、可能な限り長い距離を適切に選択することによって、散乱光線が伝播する光路長を増長させ、これによって、光源のアパーチャ内に戻って結合されるパワー(自己混合)を低減させる。これは特に、反射または散乱が、拡散特性を有する場合である。従って、特に、光路長の増大が、測定信号の干渉信号部分を低減させる。散乱光線の反射の理由が点状の散乱部材(塵、傷)である場合には、一般的に、散乱光の拡散特性が生成され、この場合には、出力は一般的に(1/l)
2に比例して低減する(l=距離)。従って、例えば、光源のアパーチャと、離れた光学部品または光学機械部品、例えばウィンドウ、レンズ、ミラー等との距離の増大は、測定信号における主要信号の部分に関して、干渉信号の大きさを低減させ得る。同様のことが、アパーチャ、内部ハウジング、主要光線が接触するまたは入射する部品等である機械部品および/または光学機械部品にも当てはまる。
【0017】
他方では拡散散乱の他に、非拡散特性の散乱も、適切に選択された、本発明に即した、光学式測定システムの光学部品および/または光学機械部品および/または機械部品の間の特別に規定された距離によって実現される。従って、自己混合またはエタロンによって干渉する、光検出器によって出力された測定信号への干渉信号の影響は、これが光検出器に入射する場合に、低減される。測定信号の干渉信号は一般的に、干渉信号成分の数を上昇させる。これらは、光学式測定システムの種々の光学部品および/または光学機械部品および/または機械部品での反射または散乱によって生じる。ここでは、各散乱光線が、散乱光線束を形成する。これは光源または光検出器の方向において延在する。各部品の距離を相互に調整することによって、散乱光線束の各干渉信号の考慮される各フーリエ成分を低減させることができる。これは、選択された変調スパンΔλに対する、選択された復調周波数のフーリエ成分が消滅する、または、少なくとも格段に低減されることを意味する。
【0018】
極めて多くの場合に、光源および/または光検出器が配置されている光学式測定システムの少なくとも1つのハウジングのハウジングウィンドウが、主要光線と干渉する主要光線の散乱光線に対する主な理由である。これは、干渉された主要光線を形成し、ひいては、干渉信号の部分と主要信号の部分とを含む測定信号を生じさせる。ここでは、干渉信号が、主要信号と結合されている。これは、光源から、および、別個のハウジングに配置されている、または、共通のハウジングのハウジング部分に配置されている光検出器から独立して使用される。これらは、光源に対して、および、光検出器に対しても相互にオフセットされている。結果的に、本発明では、光源、少なくとも1つのハウジングウィンドウおよび/または光検出器との間の距離、または、光検出器、少なくとも1つのハウジングウィンドウおよび光源との間の距離、従って、主要光線および/または少なくとも1つの散乱光線に対する光路長が選択され、これによって、測定信号におけるこれらの成分によって生じる干渉信号の周期Λが、上述した条件を満たす。
【0019】
上述したように、本発明に即した、気体検出用の光学式測定システムは、光源、光検出器および少なくとも1つのハウジングウィンドウを含んでいる。光学式測定システムの、これらの光学部品および/または光学機械部品のうちの2つの部品の間の最適な距離、有利には、光源と少なくとも1つのハウジングウィンドウおよび/または光検出器との間の距離は経験に基づいて定められる、または、主要光線を変調する、選択された各波形に対して計算される。
【0020】
有利な距離を経験に基づいて定める間に、光学式測定システムの2つの相対的な光学部品または光学機械部品の間の距離は、僅かに増大して変化し、光検出器によって出力される測定信号が復調される。ここでは例えば、変調周波数の2倍に対する測定信号のフーリエ成分が測定される。従って、選択された復調周波数のフーリエ成分が消滅するまたは少なくとも格段に低減される距離が決定される。このようなロケーションでは、主要信号への干渉信号の入射が格段に低減されるので、復調された測定信号は本質的に、主要信号を含んでいる。
【0021】
光学式測定システムの2つの各光学部品または光学機械部品、例えば光源とハウジングウィンドウまたは光検出器とハウジングウィンドウの間の有利な距離Lを計算する場合には、次のことが推定される。すなわち、これらの部品が一緒に、精巧ではない「ファブリ・ペローエタロン」を形成することが推定される。光路長の差ΔSを計算する場合には、現象、自己混合とエタロンとが区別されなければならない。これに続いて、計算S1では、光源から反射器までの光路長と、反射器から光検出器までの光路長とを示す。これは、対称的な配置に関し、ここでは、光源から光検出器までの光路長は、2×S1であり、本願はこれに基づいて説明される。異なる光路長が、非対称配置になることが明らかである。すなわち、反射器からの光源までの距離と反射器から光検出器までの距離とが異なる。以降では、本発明を説明するために、非干渉主要光線、干渉主要光線および散乱光線が使用される。ここでは構造に依存する主要光線は経路長S1を移動し、散乱光線は部分的な経路長S1‘、S1‘‘、S1‘‘‘等を移動する。
【0022】
後続の説明では、現象「自己混合」および「エタロン」は、分かり易くするために相互に別個に説明されるが、これらが同時に発生することもある。後続の式はそれぞれ、1つの現象または他の現象だけを説明している。
【0023】
エタロンの場合には、主要光線および散乱光線は、光源のアパーチャから始まる、種々の光路を移動する。これは、検出器で干渉し、干渉主要光線を形成する。従って少なくとも1つの干渉散乱光線に対して相対する主要光線の光路長差は、ΔS=|S
Scatter−S
Main|として計算される。主要光線の一部が光検出器のフォトダイオード表面で反射され、距離Lにある光検出器のハウジングウィンドウから再び検出器に達する場合には、光路長差ΔS=|S
Scatter−S
Main|は、フォトダイオードと光検出器のハウジングウィンドウとの間の距離の二倍に等しい。これによって、経路長差として、ΔS=|S
Scatter−S
Main|=|(2×S1+2×S1‘)−2×S1|=2×S1‘=2Lが得られる。ここでは、2×S1は、光源のアパーチャと検出器表面との間の距離を表し、S1‘は光検出器から光検出器のハウジングウィンドウの距離Lに一致する。
【0024】
自己混合の場合には、干渉は、光源のアパーチャに結合して戻される散乱光線と、光源、例えばレーザ内の非干渉主要光線との間に生じる。従って、各干渉主要光線は、光源のアパーチャから出射する。自己混合の場合には、非干渉主要光線は完全に、光源内に配置されているので、自己混合に対してS
Main=0が推定されなければならず、これによって、光路長差ΔS=|S
Scatter−S
Main|=|S
Scatter−0|=S
Scatterが得られる。これは単に、光源のアパーチャの外側の散乱光線の経路によって定められる。光が直接的に、光源のハウジングウィンドウによって散乱して戻される場合には、散乱光線の伝播した光路S
Scatter=2Lである。従って、光源のアパーチャと、ハウジングウィンドウでの主要光線の入射点との間の距離の二倍、従って、ΔS=S
Scatter=2Lである。例えば、ハウジングの壁を通って、間接的に光が光源のアパーチャに反射して戻される場合には、散乱光線の経路はこれに従って延在する。
【0025】
このタイプの配置の透過スペクトルは、共振基準を満たす波長に対する「縞」で、狭い透過極大値を有している。これに対して、透過の間に、他のスペクトル範囲は完全に削除される。これは、共振器または検出器内で走行する光線の強め合う干渉または弱め合う干渉によって行われる。このコンテキストでは、実際の「ファブリ・ペローエタロン」が、本発明に即した光学式測定システム内に存在していないことが明らかである。なぜなら、この構造は平行な表面が存在していないことを提示しているからである。しかし、縞が、散乱光線によって生じることもある。平行な共振表面に対して用いられ、ファブリ・ペローエタロンから知られている法則は、傾斜した共振器表面にも転用されるので、本発明の光学式測定システムに対しても使用可能である。
【0026】
透過極大値相互間の距離は、(FSR)の自由スペクトル領域とされ、Λとされる。この自由スペクトル領域Λは、光検出器における、主要光線と少なくとも1つの散乱光線との間の光路長差ΔSの関数である。自由スペクトル領域Λが、
【数1】
として計算されることが知られている。
【0027】
ここでλ
0は、変調された主要光線の平均波長である。
【0028】
以下の一般的な関係は、本発明の光学式測定システムの光検出器の干渉信号の振幅Aに対して適用される。これは、光路長差の関数である。
【数2】
【0029】
これは、最大振幅A
fringeと位相Ψ
fringeとに基づいている。
【0030】
光源の変調を次の式によって表すことができる。
【0031】
【数3】
【0032】
ここでは波形は変調の形であり、fは主要光線に対する変調周波数である。従って、光検出器のその時点の復調された測定信号のAC部分の振幅Aは、次の式によって規定される。
【数4】
【0033】
ここで以下の式が位相に対して当てはまる。
【数5】
【0034】
その時点の2f信号の例示的なロックイン基準信号の振幅Aは、次の式に従って計算される。
【数6】
【0035】
一般的に、すなわち全てのmf信号に対して、すなわち2f、4f、6f信号等に対して、式は以下のようになる。
【数7】
【0036】
使用されているロックイン増幅器は、光検出器信号A
detector(t、λ
0、Δλ)を、基準信号A
lockin、2m(t)と乗算し、次にN個の周期の数を積分する。ここでは1周期あたりの測定時間は、変調周波数fに対して反比例する。これによって、振幅Aの場合に、mf信号に対して以下の関係が成り立つ。
【数8】
【0037】
光路長差ΔSは、ここでは次のように選択されている。すなわち、所与の波形および変調スパンΔλを有する変調信号に対して、上述した式が、全ての、考えられる位相Ψ′
fringeA
mfに対して最小化される、または、A
mf=0になるように選択されている。
【0038】
解析的にはこの計算は非常に複雑に波形に依存しているが、数値的にはこの計算は極めて容易に実行される。上述の式は、全ての位相に当てはまるので、位相の設定、すなわち、主要光線と少なくとも1つの散乱光線との間の位相関係には無関係である。
【0039】
この結果、2f、4f、6f等の次数の復調された測定信号のフーリエ成分は、各光学部品または光学機械部品の距離Lの関数である曲線を有する。ここでは、主要光線と少なくとも1つの散乱光線の、正確に規定された光路長差ΔSによって生じる、特定の距離での、復調された測定信号における干渉信号の振幅は0になる。主要光線および少なくとも1つの散乱光線の光路長差ΔSが最適でない場合には、これは、位相の関数である、復調された測定信号を生じさせる。
【0040】
距離Lが最適化されている場合には、光検出器の復調された測定信号は、位相の関数ではない。従って、例えば、温度によって誘発された位相の変化は、復調された測定信号に影響しない、または、極めて僅かにしか影響しない。
【0041】
距離の関数である強度曲線は、隣接したコブ状の強度部分を有している。これらの部分は、極めて高い振幅ピークを備えた主要極大値と、低減された振幅ピークをそれぞれ有する、複数の中間極大値とを含んでいる。中間極大値に対して相対的な主要極大値の位置は、使用されている復調されたmf測定信号の次数の関数である。2f信号の場合には、主要極大値は、第1の部分として、座標系の零点で始まる。ここで、中間極大値は、この主要極大値の右側に隣接する。4f信号の場合には、付加的な中間極大値が、零点と主要極大値との間に位置し、6f信号の場合には、2つの中間極大値が主要極大値の左側に位置している、等である。主要極大値の位置は、使用されている復調された測定信号の次数m/2に従って決められる。2f信号の場合には、主要極大値は、強度曲線の第1のコブを形成し、4f信号の場合には、これは強度曲線の第2のコブを形成し、6f信号の場合には、これは強度曲線の第3のコブを形成する、等である。中間極大値の幅ΔXは、平均波長λ
0と変調スパンΔλとによって規定される。これによって、2×ΔXでの主要極大値の幅が得られる。ここで、距離Lは、少なくとも1つの散乱光線に対する主要光線の光路長差ΔSが、幅ΔXに比例するように選択されている。つまり、これは幅の倍数である。このタイプの強度曲線の複数の極小値、すなわち零点(主要極大値を規定する2つの零点では考慮にいれていない)は、相互に距離ΔXを有している。
【0042】
有利には、光路長差ΔSが、光学部品および/または光学機械部品間の距離Lの適切な選択によって、0.5×ΔX×(m+1)を上回る場合には、既に、測定信号における主要信号への干渉信号の影響が格段に低減される。ここで、使用されている測定信号の次数2f、4f、6f、・・・に従って、m=2、4、6、・・・、である。
【0043】
一般的に、後続の説明は、光学部品および/または光学機械部品相互の最適な光学距離Lに対して当てはまる。この距離では、光路長差ΔSに対して、使用されている復調測定信号の次数mでの干渉信号が削除される。関係ΔS=n×ΔXは維持される。ここではn=1、2、3・・・であり、かつn≠m/2である。ここでは、nは0よりも大きい正の整数であり、ここでは、使用されている測定信号の次数2f、4f、6f、・・・に従って、m=2、4、6、・・・、である。n≠m/2への制限は、2f信号に関してはnが1であり得ないこと、4f信号に関してはnが2であり得ないこと、6f信号に関してはnが3であり得ないこと等を排除している。従って、最も高い振幅ピークを有する強度部分が排除される。つまり、隣接する中間極大値に対して2倍の幅を有する主要極大値が除外される。従って、ΔXは、強度曲線の複数の極小値の最短距離として規定される。n=m/2が許される場合には最悪のケースが生じる、ということが理由である。つまり、このケースでは、干渉信号が最大である。2f信号を処理する場合には、このケースはn=1(m=2)、従ってΔS=ΔXの場合に生じる。このために、ΔS>ΔXが選択されるべきである。なぜなら、干渉信号は、ΔS=ΔXとΔS=2×ΔXとの間で格段に低減するからである。
【0044】
上述の記載は、干渉信号を消すための、距離Lの最適な調整に関している。実際の使用では、これは、零点付近での帯域を許可することによって干渉信号を低減させるのに十分であり得る。つまり、ΔS=n×ΔXの場合に、nは整数ではない。条件n=1、2、3は、干渉信号が最低である、または、零である場所を見つけるためだけに使用される。
【0045】
主要光線のあらゆる変調形態を有する本発明の有利な実施形態では、複数の光学部品および/または光学機械部品は相互に相対的に、および/または、光源に対して相対的に、ΔSがn×ΔXの0.8倍を上回る、または、1.2倍を下回るように配置される。ここでは、n≠m/2であり、かつ、使用されている測定信号の次数2f、4f、6f、・・・に従って、m=2、4、6、・・・、である。光学部品および/または光学機械部品の距離が、ΔSがn×ΔXの0.7倍を上回る、または、1.3倍を下回るように選択されている場合には、既に、自己混合の十分な低減およびエタロンの十分な低減を使用することができる。ここでは、n≠m/2であり、かつ、使用されている測定信号の次数2f、4f、6f、・・・に従って、m=2、4、6、・・・、である。
【0046】
本発明の1つの実施形態では、主要光線は三角波形で変調される。従って、測定信号における主要信号への干渉信号の作用の低減または消去に対して、光学部品および/または光学機械部品相互の適切な距離Lは、ΔS=n×ΔXの場合に得られる。ここではΔX=λ
02/Δλであり、ここで使用される制限はn≠m/2である。
【0047】
検討された各フーリエ成分は、例えば三角変調の場合には、常に、光路長差ΔS=n×ΔX=n×λ
02/Δλの場合に低減する。ここでn=1、2、3、は0よりも大きい正の整数である。従って、さらに、n≠m/2が選択され、使用されている測定信号の次数2f、4f、6f・・・に従って、m=2、4、6、・・・、であることが認められる。
【0048】
三角変調形状および2fによる復調の場合には、距離Lは有利には、復調測定信号の周期Λが、主要光線の変調スパンΔλの半分に一致するように選択される。従って、式ΔS=n×λ
2/ΔΛにおいて、n=2が選択される。光学部品または光学機械部品がさらに離れている場合には、周期Λは、周期Λの倍数nΛが変調スパンΔλに一致するように選択される。
【0049】
主要光線の三角形状変調を伴う本発明の実施形態では、光学部品および/または光学機械部品同士が相互に、および/または、光源に対して相対的に、次のように配置され得る。すなわち、選択された距離によって、周期Λが主要光線の変調スパンΔλの0.8倍を下回るか、または、周期Λの倍数nΛが主要光線の変調スパンΔλの0.8倍を上回るか、または、主要光線の変調スパンΔλの1.2倍を下回るように配置され得る。ここではn≠m/2であり、m=2、4、6等である。光学部品および/または光学機械部品の距離Lが、周期Λの倍数nΛが変調スパンΔλの0.7倍を上回る、または、1.3倍を下回るように選択される場合に、既に自己混合およびエタロンの十分な低減が得られる。ここでもn≠m/2であり、m=2、4、6・・・等である。
【0050】
本発明の1つの実施形態では、ΔSは、光源とハウジングウィンドウとの間の距離の2倍に相当する(ΔS=2L)。なぜなら、主要な散乱放射が散乱して直接的に、光源への経路に戻され、ハウジング壁部を介した散乱を無視することができるからである(ハウジングの黒い内壁)。
【0051】
本発明の最も有利な実施形態では、ハウジングウィンドウの内側から光源までの距離、および/または、光検出器のハウジングウィンドウの内側から光検出器までの距離は典型的に8mm、有利には10mmであり、さらに有利には少なくとも15mmである。この最小距離によって、測定信号内の主要信号への干渉信号の作用が著しく低減される。なぜなら、0.5×ΔX×(m+1)を著しく超える光路長差ΔSが得られるからである。得られた距離は、ハウジングウィンドウから光源(レーザダイオード)のアパーチャまで、または、光検出器(フォトダイオード)のチップ表面までの距離に関する。
【0052】
光源での主要光線の散乱は、ハウジングウィンドウの厚さとは無関係に、常に、光源のハウジングウィンドウの2つの境界表面、従って内側面および外側面で生じる。ここでは2つの干渉信号が生成され、これらは、光源(レーザ空洞)において、主要信号と干渉する。これによって、放射出力の変調が生じる。同様のことが、検出器のハウジングウィンドウでの散乱光線に当てはまる。ここでは、散乱光線は、検出器表面に入射する主要光線と干渉する。従って、光源、光検出器およびハウジングウィンドウの内側面を相互に、この内側面によって生成された干渉信号のフーリエ成分が消滅するように位置付けるのは有用である。従って、ハウジングウィンドウの外側面によって生成された干渉信号のみが、依然として、主要信号と干渉し得る。ハウジングウィンドウの外側面によって生成された、その時点でのフーリエ成分も干渉信号を失うようにするためには、ハウジングウィンドウの外側面から光源/光検出器までの距離も、測定信号の干渉信号の周期Λに関する上述した条件を満たすこと必要である。これは、ハウジングウィンドウの厚さを適切に選択することによって実現される。従って、厚さによって決まる、ハウジングウィンドウの内側面から外側面までのこの距離も、測定信号の干渉信号の周期Λに関する要求に従う。ハウジングウィンドウの内側面の汚染を排除することが可能である場合には、択一的に、この設計は、ハウジングウィンドウの外側面に対してのみ適用可能である。
【0053】
上述した全ての測定は、主要光線をどんな波形で変調したときにも効果を有する。三角波形での主要光線の変調の他に、余弦形状波形での主要光線の変調も、証明された利点を有する。遠くにある光学部品または光学機械部品の散乱光が抑制されるべき場合には、三角波形での変調がより効果的であり、従って余弦形状波形での変調よりも有利である。
【0054】
当該分野において既知である措置も、スペクトルを測定するために、本発明の光学式測定システムにおける散乱光線を回避するために、または、散乱光線の強度を低減するために用いることができることが明らかである。これは、例えば、ビーム路に対して傾斜した角度で配置されているハウジングウィンドウ、ハウジングウィンドウ上の反射防止コーティング、くさび形のウィンドウ、ハウジング内側面を黒くすること、ビーム路内の光学絶縁体および光源用の能動的なヒートシンク、および、任意選択的に、ハウジング用の受動的なヒートシンクである。これによって、主要光線、および任意選択的に、発生している散乱光線に対して、光路長はできるだけ温度に依存しなくなる。
【0055】
次に本発明を、図面に示された実施形態に基づいてより詳細に説明する。本発明の付加的な特徴を、添付の図面と組み合わせて、本発明の実施形態の後続の説明から導出することができる。