(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6195955
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】電気加熱装置
(51)【国際特許分類】
H05B 6/10 20060101AFI20170904BHJP
【FI】
H05B6/10 311
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-89820(P2016-89820)
(22)【出願日】2016年4月27日
(62)【分割の表示】特願2011-197057(P2011-197057)の分割
【原出願日】2011年9月9日
(65)【公開番号】特開2016-167460(P2016-167460A)
(43)【公開日】2016年9月15日
【審査請求日】2016年5月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】396014784
【氏名又は名称】井上 國光
(74)【代理人】
【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
(74)【復代理人】
【識別番号】100195040
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 淳史
(72)【発明者】
【氏名】井上 國光
【審査官】
宮崎 光治
(56)【参考文献】
【文献】
特表2006−511906(JP,A)
【文献】
特許第2539686(JP,B2)
【文献】
特開2008−204927(JP,A)
【文献】
特開平09−289076(JP,A)
【文献】
特開2009−041885(JP,A)
【文献】
特開2008−064367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B6/00−6/10
H05B6/14−6/44
H05B3/02−3/18
H05B3/40−3/82
H05B1/00−3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体通路を内部に形成する管の周りに、内筒及び外筒よりなる金属筒を設けるとともに該金属筒内に、発熱線を巻回した酸化マグネシア製ボビンを挿入するとともに、粉粒状酸化マグネシアを充填して強圧縮し、
前記発熱線、前記酸化マグネシア製ボビン、及び、充填強圧縮した前記酸化マグネシアにより、前記流体通路内の流体を電気抵抗加熱するものであり、
前記管内の流体通路内に耐熱性金属棒コアを設け、
前記発熱線を電磁コイルとして、前記コアが前記流体通路内の流体を電磁誘導加熱することを特徴とする流体の電気加熱装置。
【請求項2】
前記流体通路内にて、前記コアの外周面に螺旋状のフィンを設けたことを特徴とする請求項1に記載の流体の電気加熱装置。
【請求項3】
前記管の入口側端に、予熱管兼断熱管を接続し、
前記予熱管兼断熱管を、前記発熱線、前記酸化マグネシア製ボビン、及び、充填強圧縮した前記酸化マグネシアにて構成される電気抵抗加熱部の周りに巻回することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の流体の電気加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱管内を通過する水、空気等の加圧流体の電気加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の水、空気等の加圧流体の電気加熱装置には、本願出願人が発明した特許文献1の筒形電熱器があって、高圧蒸気洗浄機、金属、合成樹脂等のスポット加熱管の業界に貢献してきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2539686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加圧流体の電気加熱装置については、更に、短時間に熱効率よく高温加熱するものを期待する要望があり、上記発明者は、これに対応して上記筒形電熱器を改良することに成功した。本発明は、熱効率を向上させ短時間に高温加圧流体を得ることのできる電気加熱装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る流体の電気加熱装置は、流体通路を内部に形成する管の周りに、電気線を巻回し、前記管の周りに断熱材を設け、前記電気線と前記断熱材とにより、前記流体通路内の流体を電気抵抗加熱するものであり、前記管内の流体通路内にコアを設け、前記電気線を電磁コイルとして、前記コアが前記流体通路内の流体を電磁誘導加熱することを特徴とする。
【0006】
また、前記電気加熱装置は、前記流体通路内にて、前記コアの外周面に螺旋状のフィンを設けている。
【0007】
また、前記電気加熱装置は、前記管の入口側端に、予熱管兼断熱管を接続し、前記予熱管兼断熱管を、前記電気線及び前記断熱材にて構成される電気抵抗加熱部の周りに巻回している。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る流体の電気加熱装置は、電気抵抗加熱と電磁誘導加熱とを併用することで、熱効率を向上させ短時間に高温加圧流体を得るものである。
【0009】
また、前記電気加熱装置は、被加熱物である水、空気等の加圧流体の管内の通過に螺旋流動運動を加えることで、熱効率を向上させ短時間に高温加圧流体を得るものである。
【0010】
また、前記電気加熱装置は、本格的な流体加熱を行う前に、加圧流体の予熱と装置外周の断熱を行うことで、熱効率を向上させ短時間に高温加圧流体を得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例を断面図的に示した原理説明図である。
【
図2】本発明の別の実施例を断面図的に示した原理説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好ましい形態が実施例1及び実施例2に記載される。
【実施例1】
【0013】
本発明の水、空気等の加圧流体の電気加熱装置の実施例1の原理説明図が
図1に示されている。
【0014】
本発明実施例1の水、空気等の加圧流体の電気加熱装置は、電気抵抗加熱部Aと電磁誘導加熱部Bと加圧流体の螺旋運動による加熱ができるフィン螺旋形成物50とから構成されている。
【0015】
電気抵抗加熱部Aは、金属筒10と、ボビン20と、電気発熱線21と、断熱耐火性で電気絶縁性の粉粒状酸化マグネシヤ22からなる。
【0016】
金属筒10は、ステンレス製で内筒11と外筒12とからなる。
【0017】
ボビン20は、断熱耐火性の酸化マグネシヤ製で、ニクロム線等の公知の電気発熱線21がコイル状に巻回されている。
【0018】
電気発熱線21を巻回したボビン20は、外筒12との間、内筒11との間に挿入されて、断熱耐火性及び電気絶縁性の粉粒状酸化マグネシヤが強圧縮されて充填されている。
【0019】
電磁誘導加熱部Bは、ステンレス製ノズル管30と耐熱性磁性金属製丸棒状コア40とフィン螺旋形成物50とを備えている。
【0020】
ノズル管30は、管後部の流体流入孔31から加圧流体を流入させてノズル32先端から流出できるように形成されている。
【0021】
コア40は、ボビン20にコイル状に巻回された電気発熱線21を電磁コイルとして利用して発熱するもので、ノズル管30にコア40に巻かれたフィン螺旋形成物50を介して固着される。
【0022】
フィン螺旋形成物50は、ニッケル又はアルミニウム等の耐熱金属製でコア40と同様に電磁誘導加熱により発熱する。
【0023】
また、フィン螺旋形成物50は、ノズル管30内のコアに固着されると共に、ノズル管30内に密着挿入されて、ノズル管30内を流体流入孔31からノズル32先端まで通過する加圧流体に螺旋流動運動をもたらして熱効率をさらに向上させて高温加熱するものである。
【0024】
従って、本発明実施例1の水、空気等の加圧流体の電気加熱装置は、加圧流体の熱効率を飛躍的に向上させてノズル32から短時間に高温噴出される。
【0025】
以上のように、本発明実施例1の加圧流体の電気加熱装置は、図示するように、内筒11と外筒12とからなる金属筒10の前記内筒11と、前記外筒12との間に、電気発熱線21を巻回した耐火断熱性電気絶縁性ボビン20を挿入すると共に、前記外筒12と前記ボビン20との間、及び前記内筒11と前記ボビン20との間に、粉粒状耐火断熱材22を強圧縮充填した電気抵抗加熱部Aと、前記金属筒10の内筒11の内周面に密着するように嵌入した、耐火金属製であって、管内に水、空気等の加圧流体を、流体流入孔31から流入してノズル32先端から流出できるようにしたノズル管30と、前記ノズル管30の管内に、耐熱金属棒コア40を設け、前記耐熱金属棒コア40の外周面に、前記加圧流体を、前記流体流入孔31から前記ノズル32先端方向に向って螺旋状に流動させて噴出できるようにしたフィン形成物50を固着したものを密着挿入したものとからなる電磁誘導加熱部Bとを備え、前記ノズル32先端から前記加圧流体を熱効率よく短時間で高温加圧流体として噴出できるようにしたものである。
【実施例2】
【0026】
本発明の水、空気等の加圧流体の電気加熱装置の実施例2の原理説明図が
図2に示されている。
【0027】
本発明実施例2の水、空気等の加圧流体の電気加熱装置は、電気抵抗加熱部Aと、電磁誘導加熱部Bと、加圧流体の螺旋流動運動による加熱ができるフィン螺旋形成物50と、加圧流体の予熱管兼断熱管60とから構成されている。
【0028】
電気抵抗加熱部Aと電磁誘導加熱部Bとフィン螺旋形成物50とは、実施例1と同じであるので詳細説明は省略する。
【0029】
加圧流体の予熱管兼断熱管60は、管60の流体供給孔61から加圧流体を流入させてノズル管30の流体流入孔31に予熱された加圧流体を流入させるもので、電気加熱部Aの外周の断熱管も兼ねている。
【0030】
従って、本実施例の水、空気等の加圧流体の電気加熱装置は、流体の予熱ができるので、実施例1の電気加熱装置より更に熱効率を向上させて短時間に高温加圧流体をノズル32先端から噴出させることができる。
【0031】
以上のように、本発明実施例2の水、空気等の加圧流体の電気加熱装置は、
図2にて図示するように、内筒11と外筒12とからなる金属筒10の前記内筒11と前記外筒12との間に、電気発熱線21を巻回した耐火断熱性ボビン20を挿入すると共に、前記外筒12と前記ボビン20との間、及び前記内筒11と前記ボビン20との間に、粉粒状耐火断熱材22を強圧縮充填した電気抵抗加熱部Aと、前記金属筒10の内筒11の内周面に密着するように嵌入した、耐火金属製であって、管内に水、空気等の加圧流体を流体流入孔31から流入してノズル32先端から流出できるようにしたノズル管30と、前記ノズル管30の管内に、耐熱金属棒コア40を設け、前記耐熱金属棒コア40の外周面に、前記加圧流体を、前記流体流入孔31から前記ノズル32先端方向に向って螺旋状に流動させて噴出できるようにしたフィン形成物50を固着したものを密着挿入したものとからなる電磁誘導加熱部Bと、前記金属筒10の外筒12の外周面に密接に巻回した前記加圧流体の流通管であって、前記加圧流体の流体供給孔61から流入させて前記ノズル管30の流体流入孔31に流入できるようにした予熱管兼断熱管60とを備え、前記ノズル32先端から前記加圧流体を熱効率よく短時間で高温加圧流体として噴出できるようにしたものである。
【0032】
本発明実施例1、2に係る電気加熱装置においては、特許第2539686号の筒形電熱器と同様に電気絶縁度及び耐電圧に優れ、熱伝導度がよい電気抵抗加熱部Aと、電気抵抗加熱部Aで使用した電気発熱線21のコイル巻きを利用すると共に、金属製ノズル管30及び耐熱金属棒コア40、(フィン形成物50が金属の場合は電磁誘導加熱される)による電磁誘導加熱部Bとにより加圧流体は電気加熱される。
【0033】
本発明は、電気抵抗加熱部Aと電磁誘導加熱部Bによる電気加熱と、ノズル管30内をノズル32先端に向って通過加熱される水、空気等の加圧流体の螺旋流動により、被加熱物の流体は、短時間に熱効率よく高温加熱されてノズル先端から噴出されることになる。また、これらに加えて加圧流体の予熱管60を併用すれば加圧流体はさらに熱効率よく高温加熱されることになる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の水、空気等の加圧流体の電気加熱装置は、製作容易で量産できる。
【符号の説明】
【0035】
10 金属筒
11 内筒
12 外筒
20 ボビン
21 電気発熱線
22 粉粒状断熱耐火材
A 電気抵抗加熱部
30 ノズル管
31 流体流入孔
32 ノズル
40 金属製丸棒状コア
50 フィン螺旋形成物
B 電磁誘導加熱部
60 流体予熱管兼断熱管
61 流体供給孔