特許第6195975号(P6195975)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6195975磁気共鳴流動学によって制御されるリアルタイムエネルギ蓄積治療システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6195975
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】磁気共鳴流動学によって制御されるリアルタイムエネルギ蓄積治療システム
(51)【国際特許分類】
   A61N 7/02 20060101AFI20170904BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
   A61N7/02
   A61B5/05 390
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-505772(P2016-505772)
(86)(22)【出願日】2014年3月28日
(65)【公表番号】特表2016-520346(P2016-520346A)
(43)【公表日】2016年7月14日
(86)【国際出願番号】EP2014056288
(87)【国際公開番号】WO2014161783
(87)【国際公開日】20141009
【審査請求日】2015年9月30日
【審判番号】不服2017-2418(P2017-2418/J1)
【審判請求日】2017年2月20日
(31)【優先権主張番号】13162495.9
(32)【優先日】2013年4月5日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】レウスラー クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ウィルツ ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ベルニケル ペーター
(72)【発明者】
【氏名】マズルケウィッツ ペーター
【合議体】
【審判長】 高木 彰
【審判官】 内藤 真徳
【審判官】 熊倉 強
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0026298(US,A1)
【文献】 特開平8−52152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 7/02
A61B 5/05 390
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療目的のために関心対象の治療ゾーンにエネルギを局所的に付与するためにもたらされるエネルギ付与ユニットであって、介入性デバイスを有するエネルギ付与ユニットと、
前記関心対象の少なくとも部分に機械的振動を加えるためにもたらされると共に前記関心対象に機械的に結合され得る少なくとも一つのメカニカルトランスデューサを有するトランスデューサユニットであって前記介入性デバイスのために少なくとも一つの開口アクセス部を有するトランスデューサユニットと、
前記関心対象の少なくとも前記部分から磁気共鳴イメージングデータを取得するためにもたらされる磁気共鳴イメージングシステムであって
磁気共鳴スキャナ、及び
前記関心対象の部分の前記取得された磁気共鳴イメージングデータを処理することによって前記関心対象の少なくとも前記部分において前記機械的振動をイメージングするように構成される画像処理ユニット
を有する磁気共鳴イメージングシステムと、
前記エネルギ付与ユニット、前記トランスデューサユニット、及び前記磁気共鳴スキャナに接続可能である制御ユニットと
を有するエネルギ付与治療システムにおいて、
前記制御ユニットは、前記関心対象の前記部分の前記処理された磁気共鳴イメージングデータに依存して前記エネルギの付与を制御するように構成され、前記トランスデューサユニットはハニカム構造を有し、前記少なくとも一つのメカニカルトランスデューサは前記ハニカム構造の第一のハニカム部内にあり、前記少なくとも一つの開口アクセス部は、前記第一のハニカム部に隣接して前記ハニカム構造の第二のハニカム部内に設けられ
前記処理された磁気共鳴イメージングデータ内において前記制御ユニットによって特定される前記エネルギ付与ユニットのターゲットゾーンが前記治療ゾーンと異なる場合、前記制御ユニットは、前記エネルギ付与ユニットによるエネルギ付与をディスエーブルするように構成される、
エネルギ付与治療システム。
【請求項2】
治療目的のために関心対象の治療ゾーンにエネルギを局所的に付与するためにもたらされるエネルギ付与ユニットであって、介入性デバイスを有するエネルギ付与ユニットと、
前記関心対象の少なくとも部分に機械的振動を加えるためにもたらされると共に前記関心対象に機械的に結合され得る少なくとも一つのメカニカルトランスデューサを有するトランスデューサユニットであって、前記介入性デバイスのために少なくとも一つの開口アクセス部を有するトランスデューサユニットと、
前記関心対象の少なくとも前記部分から磁気共鳴イメージングデータを取得するためにもたらされる磁気共鳴イメージングシステムであって、
磁気共鳴スキャナ、及び
前記関心対象の部分の前記取得された磁気共鳴イメージングデータを処理することによって前記関心対象の少なくとも前記部分において前記機械的振動をイメージングするように構成される画像処理ユニット
を有する磁気共鳴イメージングシステムと、
前記エネルギ付与ユニット、前記トランスデューサユニット、及び前記磁気共鳴スキャナに接続可能である制御ユニットと
を有するエネルギ付与治療システムにおいて、
前記制御ユニットは、前記関心対象の前記部分の前記処理された磁気共鳴イメージングデータに依存して前記エネルギの付与を制御するように構成され、前記トランスデューサユニットはハニカム構造を有し、前記少なくとも一つのメカニカルトランスデューサは前記ハニカム構造の第一のハニカム部内にあり、前記少なくとも一つの開口アクセス部は、前記第一のハニカム部に隣接して前記ハニカム構造の第二のハニカム部内に設けられ、
前記処理された磁気共鳴イメージングデータ内において前記制御ユニットによって特定される前記エネルギ付与ユニットのターゲットゾーンが前記治療ゾーンと少なくとも部分的にオーバラップする場合にのみ、前記制御ユニットは、前記エネルギ付与ユニットによるエネルギ付与をイネーブルするように構成される、エネルギ付与治療システム。
【請求項3】
前記エネルギ付与ユニットは、前記関心対象から組織を切除するように構成される切除ユニットを有する、請求項1乃至2の何れか一項に記載のエネルギ付与治療システム。
【請求項4】
前記エネルギ付与ユニットは、高密度焦点式超音波療法デバイス、マイクロ波切除ユニット、衝撃波生成デバイス、高熱デバイス、及び放射線療法デバイスのうちの少なくとも一つを有する、請求項1乃至3の何れか一項に記載のエネルギ付与治療システム。
療システム。
【請求項5】
前記トランスデューサユニットは、単一のハウジングにおいて前記エネルギ付与ユニットと一体化される少なくとも二つのメカニカルトランスデューサを有する、請求項1乃至4の何れか一項に記載のエネルギ付与治療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴イメージングシステムを有するエネルギ蓄積治療システム、及び磁気共鳴流動学(レオロジ)システムによってエネルギ蓄積治療システムを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージングの技術において、磁気共鳴流動学によってヒト又は動物の組織の機械的特性を特徴づけることが知られている(例えば、Muthipillai R.他による、「音響歪波の磁気共鳴イメージング」、Proc.Soc.Magn.Reson.Nice、1:189、1995年参照)。磁気共鳴流動学において、組織は磁気共鳴イメージングの間、機械的に振動するように駆動され、イメージングコントラストを引き起こす効果がもたらされる。低周波の機械波(メカニカルウェーブ)は、組織に結合(カップリング)され、機械的な励起に位相ロックされる磁気共鳴シーケンスを介して視覚化される。従来の触診は、診断値が定量化され得る客観的な絶対物理量の評価に変わった。この情報は、例えば悪性組織から健康状態を識別するために使用され得る。
【0003】
米国特許出願第2011/0131278号において、高密度焦点式超音波療法(HIFU)を適用することによってもたらされる温度分布を得るために磁気共鳴エラストグラフィを使用することが記載される。それにおいて、プロトン共鳴周波数シフト測定のための代わりとしてHIFUアプリケーションの熱的効果を遡及的にモニターするために、磁気共鳴エラストグラフィデータを温度依存性のある粘度に関連付けることが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それ故に本発明の目的は、悪性組織に対して改善されている視覚性及び改善されている特定性を備えるエネルギ蓄積治療システムを提供することにある。
【0005】
本発明の一つの局面において、本発明の目的は、
-治療目的のために関心対象の治療ゾーンにエネルギを局所的に蓄積するためにもたらされるエネルギ蓄積ユニットと、
-前記関心対象の少なくとも部分に機械的振動を加えるためにもたらされると共に前記関心対象に機械的に結合され得る少なくとも一つのメカニカルトランスデューサを有するトランスデューサユニットと、
-前記関心対象の少なくとも前記部分から磁気共鳴イメージングデータを取得するためにもたらされ、
-磁気共鳴スキャナと、
-前記関心対象の部分の前記取得された磁気共鳴イメージングデータを処理することによって前記関心対象の少なくとも前記部分において前記機械的振動をイメージングする画像処理ユニットと、
-前記エネルギ蓄積ユニット、前記トランスデューサユニット、及び前記磁気共鳴スキャナに接続可能である制御ユニットと
を有する磁気共鳴イメージングシステムと
を有するエネルギ蓄積治療システムにおいて、
前記制御ユニットは、前記関心対象の前記部分の前記処理された磁気共鳴イメージングデータに依存して前記エネルギの蓄積を制御する、エネルギ蓄積治療システム
によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願において使用されるように、文言「治療ゾーン」は特に、(a)エネルギを蓄積する態様の治療を必要とするために特定されており、(b)過度のエネルギ蓄積から保護されていなければならないような関心対象の組織のゾーンとして理解されるであろう。通常、悪性組織は、治療を耐え抜く必要がある、健康的かつ機能的な組織によって囲まれる。
【0007】
それによって、例えばガン診断の場合、特異性の実質的なの増大及び健康な組織から悪性組織を識別するための改善された視覚化は、エネルギの蓄積に備えて達成され得る。この改善された識別は、関心対象の治療ゾーンへの正確かつ安全なエネルギ蓄積も支援する。
【0008】
関心対象の部分の取得されている磁気共鳴イメージングデータの処理は、位相-コントラストに基づく磁気共鳴イメージング技術を有していてもよい。当業者に知られているように、磁気共鳴イメージングデータの取得は信号対雑音比の改善及びノイズ低減のために、加えられる機械的振動で位相ロックされてもよい。
【0009】
制御ユニットは、ワイヤ(有線)接続によって、若しくはワイヤレス(無線)接続によって、又は両方の組合せによって、エネルギ蓄積ユニット、トランスデューサ(変換器)ユニット、及び磁気共鳴スキャナに接続可能であってもよい。
【0010】
MRスキャナ内に主磁場B0を使用する、電磁気設計のような、機械的振動を組織に適用するためのいくつかの異なるメカニカルトランスデューサが提案されている。さらに、圧電駆動トランスデューサ又は空気圧駆動式の設計が、臨床適用のために提案されている。通常、当業者にとって適しているように見えるいかなるメカニカルトランスデューサが使用されてもよい。
【0011】
他の実施例において、ターゲットゾーンが治療ゾーンと異なっている場合、制御ユニットは、エネルギ蓄積ユニットによるエネルギ蓄積をディスエーブルするように構成される。文言「ターゲットゾーン」は、本願にて用いられているように、エネルギ蓄積ユニットがエネルギ蓄積ユニットの活性化の瞬間においてエネルギの95%を蓄積する関心対象内の組織ボリューム(体積)として特に理解される。それによって、関心対象の治療ゾーンと異なるターゲットゾーンへのエネルギ蓄積の潜在的に危険なイネーブルは防止され得る。
【0012】
さらに他の実施例において、ターゲットゾーンが治療ゾーンに少なくとも部分的にオーバラップする場合にのみ、制御ユニットはエネルギ蓄積ユニットによるエネルギ蓄積を可能にするように構成される。これによって、及び改善されている識別に基づいて、関心対象の治療ゾーンへの正確かつ安全なエネルギ蓄積が達成されることが可能である。
【0013】
好ましい実施例において、エネルギ蓄積治療システムは、関心対象から組織を切除するように構成される切除ユニットを有する。これによって、関心対象からの悪性組織の安全かつ正確な切除は、達成されることが可能である。切除ユニットは人間のユーザによって手動で制御されてもよく、又はロボットのような人間以外のユーザによって制御されてもよい。
【0014】
他の好ましい実施例において、エネルギ蓄積ユニットは、高密度焦点式超音波療法(HIFU)デバイス、マイクロ波切除ユニット、衝撃波生成デバイス、高熱デバイス、及び放射線治療デバイスからの少なくとも一つを有する。これは特に、二つ又はそれより多くの前述のデバイスの組合せも含む。それによって、本発明の利点は、広い範囲のアプリケーションにおいて使われることができる。
【0015】
いくつかの実施例において、トランスデューサユニットは介入性デバイスのための少なくとも一つの開口アクセス部を有する。それによって、介入性デバイスのためのアクセスの広いオプションは、メカニカルトランスデューサによる干渉をほとんどもたらし得ない。
【0016】
さらに他の実施例において、トランスデューサユニットはハニカム構造を有しており、この場合、少なくとも一つのメカニカルトランスデューサがハニカム構造の第一のハニカム部においてもたらされ、少なくとも一つの開口アクセス部が、第一のハニカム部に隣接するハニカム構造の第二のハニカム部においてもたらされる。これによって、介入性デバイスのためのアクセスのオプションは、メカニカルトランスデューサ及び介入性デバイスの、堅牢かつ明確な相対的構成と組み合わされてすでにもたらされ得る。
【0017】
ハニカム構造は好ましくは、ハニカム構造が構成されるのと同じ固体物質の1/7(±20%)について重量密度を有する。ハニカム構造は、動作中、トランスデューサユニットを安定的に支持し得るのに十分な機械的堅牢性をもたらす。このように、機械的なせん断波の安定かつ十分に、制御されている場が患者の組織において生成されることが可能である。開構造及びより低い重量密度のため、ハニカム構造は、エネルギ蓄積ユニットからの、エネルギ蓄積放射線に対する低い反射率を有する。特にエネルギ蓄積が高密度焦点式超音波によってなされるとき、HIFUデバイス及びトランスデューサユニットの相対的な方向は制限の影響を受けない。特に、HIFU放射線のハニカム構造による反射を避ける必要性はない。良好な結果は、21-192kgm-3の重量密度をもつハニカム構造で達成される。トランスデューサユニットのハウジング及びピストンは、1200-1220kgm-3のレンジ(範囲)において重量密度を有するポリカーボネートから構成され得る。
【0018】
さらに他の実施例において、トランスデューサユニットは、単一のハウジングにおいてエネルギ蓄積ユニットと一体化される少なくとも二つのメカニカルトランスデューサを備えている。二つのメカニカルトランスデューサの適切な構成において、特に乳房の治療に有用なエネルギ蓄積治療システムがもたらされ得る。
【0019】
本発明の他の局面において、本発明の目的は磁気共鳴流動学システムによってエネルギ蓄積治療システムを制御する方法によって達成され、エネルギ蓄積治療システムは、
-治療目的のために関心対象の治療ゾーンにエネルギを局所的に蓄積するためにもたらされるエネルギ蓄積ユニットと、
-少なくとも一つのメカニカルトランスデューサを有するトランスデューサユニットと、
-磁気共鳴スキャナ及び画像処理ユニットを有する磁気共鳴イメージングシステムと
を有し、本方法は、
-メカニカルトランスデューサを関心対象に機械的に結合するステップと、
-関心対象の少なくとも部分に機械的振動を加えるためにメカニカルトランスデューサを活性化させるステップと、
-関心対象の部分から磁気共鳴イメージングデータを取得するステップと、
-取得された磁気共鳴イメージングデータを処理することによって関心対象の部分において機械的振動をイメージング(画像化)するステップと、
-処理された磁気共鳴イメージングデータ内においてエネルギ蓄積ユニットのターゲットゾーンを特定するステップと
-ターゲットゾーンが治療ゾーンと異なる場合、エネルギ蓄積ユニットによるエネルギ蓄積を省略するステップと
を有する。
【0020】
この方法を適用することによって、例えばガン診断の場合、特異性の実質的な増大及び健康な組織から悪性組織を識別するための改善された視覚化は、エネルギの蓄積に備えて達成され得る。更に本方法は、関心対象の治療ゾーンと異なるターゲットゾーンへのエネルギ蓄積の潜在的に危険なイネーブルを防止する。
【0021】
本発明のさらに他の局面において、本発明の目的は、磁気共鳴流動学システムによってエネルギ蓄積治療システムを制御する方法によって達成され、エネルギ蓄積治療システムは、
-治療目的のために関心対象の治療ゾーンにエネルギを局所的に蓄積するためにもたらされるエネルギ蓄積ユニットと、
-少なくとも一つのメカニカルトランスデューサを有するトランスデューサユニットと、
-磁気共鳴スキャナ及び画像処理ユニットを有する磁気共鳴イメージングシステムと
を有し、本方法は、
-メカニカルトランスデューサを関心対象に機械的に結合するステップと、
-関心対象の少なくとも部分に機械的振動を生成するためにメカニカルトランスデューサを活性化させるステップと、
-関心対象の部分から磁気共鳴イメージングデータを取得するステップと、
-取得された磁気共鳴イメージングデータを処理することによって関心対象の部分において機械的振動をイメージングするステップと、
-処理された磁気共鳴イメージングデータにおいてエネルギ蓄積ユニットのターゲットゾーンを特定するステップと
-ターゲットゾーンが治療ゾーンに少なくとも部分的にオーバラップする場合にのみ、エネルギ蓄積ユニットによってエネルギを蓄積するステップと
を有する。
【0022】
この方法を適用することによって、例えばガン診断の場合、特異性の実質的な増大及び健康な組織から悪性組織を識別するための改善された視覚化は、エネルギの蓄積に備えて達成され得る。改善された識別は、関心対象の治療ゾーンへの正確かつ安全なエネルギ蓄積も支援する。
【0023】
本方法の他の好ましい実施例において、メカニカルトランスデューサは、エネルギ蓄積ユニットによるエネルギの蓄積の間、不活性化される。それによって、トランスデューサユニットとエネルギ蓄積ユニットとの間のいかなる干渉も防止され得る一方、本方法の利点が依然保持される。
【0024】
本発明の他の局面において、本発明の目的は、開示の方法又はその組合せの一つを実行するためにもたらされるアプリケーションソフトウエアモジュールによって達成され、本方法を実行することによってエネルギ蓄積治療システムを制御するためにもたらされ、磁気共鳴イメージングシステム、トランスデューサユニット、及びエネルギ蓄積ユニットに接続可能な制御ユニットにおいて実現可能であると共に当該制御ユニットによって実行可能であるプログラムコードに本方法は変換される。
【0025】
本発明のこれらの及び他の態様は以下に記載の実施形態の参照から明らかとなり、解明される。実施例は本発明の全範囲を必ずしも表すわけではないが、本発明の範囲を解釈するために、クレームに対する参照はなされる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明によるエネルギ蓄積治療システムの部分的な概略図を示す。
図2図1によるエネルギ蓄積治療システムの構成要素の相互接続の概略図を示す。
図3】平面A-A?からみた図1によるエネルギ蓄積ユニットの部分的な断面図である。
図4図3と同じ表示における、本発明によるエネルギ蓄積ユニットの代わりの実施例を図示する。
図5図3と同じ表示における、本発明によるエネルギ蓄積ユニットの他の代わりの実施例の概略図である。
図6図3と同じ表示における、本発明によるエネルギ蓄積ユニットのさらに他の代わりの実施例の概略図である。
図7図3と同じ表示における、本発明によるエネルギ蓄積ユニットの他の代わりの実施例を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明によるエネルギ蓄積治療システム10の部分的な概略図を表す。
【0028】
エネルギ蓄積治療システム10は、関心対象28、通常患者の少なくとも部分から磁気共鳴イメージングデータを得るためにもたらされる磁気共鳴イメージングシステム14を有する。磁気共鳴イメージングシステム14は、位置されるべき関心対象28のための検査空間26を規定するセンタボアを備える主磁石18を有する磁気共鳴スキャナ16を含む。患者テーブルは、明確化のため図1において省略されている。主磁石18は、検査空間26で実質的な静磁場を生成するために備えられ、実質的な静磁場は検査空間26の中心軸と実質的に平行に方向付けられる。さらに、磁気共鳴イメージングシステム14は、静磁場に重畳される勾配磁場を生成するための磁気勾配コイルシステム20を有する。当業者に知られているように、磁気勾配コイルシステム20は主磁石18のボア内に集中的に配置される。
【0029】
通常当業者に知られているように、磁気共鳴イメージングシステム14は磁気共鳴スキャナ16の機能を制御するためのモニタリングユニットを備える磁気共鳴イメージングシステム制御ユニット22、及び関心対象28から得られる磁気共鳴信号を処理するために備えられる画像処理ユニット24を更に含む。
【0030】
エネルギ蓄積治療システム10は、治療目的のために関心対象28の治療ゾーン56にエネルギを局所的に蓄積するためにもたらされるエネルギ蓄積ユニット12を更に有する(図3)。図1の実施例において、エネルギ蓄積ユニット12は、高密度焦点式超音波療法(HIFU)アレイ52として設計され、関心対象28から組織38を切除するように構成される切除ユニットを有する(図3)。当業者は、このようなHIFUユニットが、例えば化学療法に対する改善された反応のために組織を活性化させるためターゲットゾーンにおいてエネルギを蓄積する高熱デバイスとして利用されてもよいことに注意し得る。エネルギ蓄積ユニットターゲットゾーン54は人間のユーザによって、又はロボットのような人間以外のユーザによって制御される。ターゲットゾーン54は、エネルギ蓄積ユニット12が活性化された場合、エネルギの95%が蓄積されている関心対象28内の組織ボリュームとして規定される。
【0031】
更に、エネルギ蓄積治療システム10は、駆動アンプ(図示略)によって同時に動作させられることが可能であり、アレイ(図3)を形成するように構成される、電気機械式の複数のメカニカルトランスデューサ34を有するトランスデューサユニット32(図2)を有する。エネルギ蓄積治療システム10の動作状態において、メカニカルトランスデューサ34は、関心対象28に機械的に結合され、関心対象28の少なくとも部分に200Hzの周波数で機械的振動を加えるためにもたらされる。機械的振動を関心対象28の部分に加えることによって、メカニカルトランスデューサ34は、関心対象28の組織38内において伝播するせん断波36を生成する。磁気共鳴流動学の当業者に知られているように、加えられる機械的振動の周波数は200Hzと異なっていてもよく、10Hzと1100Hzとの間の範囲から選ばれてもよい。
【0032】
タイミングに関して、磁気共鳴イメージングデータの取得は、信号対雑音比の改善及びノイズ低減のために、加えられた機械的振動で位相ロックされる。画像処理ユニット24(図1)は、とりわけ、位相-コントラストに基づく磁気共鳴イメージング技術を適用することによって関心対象28の部分の取得された磁気共鳴イメージングデータを処理することによって関心対象28の部分において機械的振動をイメージングするように構成される。それによって、磁気共鳴イメージングは伝播しているせん断波36を示し、異なる種類の組織38は、せん断波36が組織38内において伝播する異なる方法によって明らかに識別され得る。
【0033】
概略的に図1及び2に図示されているように、エネルギ蓄積ユニット12、トランスデューサユニット32、及び磁気共鳴スキャナ16は、エネルギ蓄積治療システム10の制御ユニット40を介してワイヤ接続によって相互接続される。
【0034】
エネルギ蓄積治療システム10の動作のために、トランスデューサユニット32は、磁気共鳴スキャナ16の近くに位置される、制御ユニット40の第一のハードウェアインタフェイス部46によって制御されることが可能であり、エネルギ蓄積ユニット12は制御ユニット40の第二のハードウェアインタフェイス部48によってトリガされることが可能である。さらに下で詳述されるように、関心対象28の処理された磁気共鳴イメージングデータに依存して、制御ユニット40は、エネルギ蓄積ユニット12によるエネルギの蓄積を制御するように構成される。
【0035】
エネルギ蓄積治療システム10の動作に備えて、関心対象28、例えば患者が磁気共鳴スキャナ16の検査空間26内に位置され、トランスデューサユニット32は、メカニカルトランスデューサ34が関心対象28に結合されている動作可能状態にあることは理解されるであろう。通常、水性ジェル70が、何れの加えられた機械的振動でも効率的に伝達するために、メカニカルトランスデューサ34と関心対象28の表面との間においてもたらされる。エネルギ蓄積ユニット12が動作可能な状態にあると理解され、磁気共鳴イメージングシステム14は動作可能であると共に関心対象28から磁気共鳴信号を取得するための準備ができている。また、関心対象28内の治療ゾーン56は、治療の前に治療目的のために特定されている。図3において、治療ゾーン56は、関心対象28の器官30(肝臓)内において、破線によって示される。
【0036】
次のステップにおいて、制御ユニット40は、機械的振動を関心対象28の部分に加えるためにトランスデューサユニット32を介してメカニカルトランスデューサ34を活性化させ、関心対象28の組織38内において伝播するせん断波36が生成される。機械的振動が加えられている間、制御ユニット40は、関心対象28の部分から磁気共鳴イメージングデータを得るために磁気共鳴システム制御ユニット22を介して磁気共鳴イメージングシステム14を活性化させる。それから、画像処理ユニット24は、関心対象28の部分において機械的振動をイメージングするために位相-コントラストに基づく磁気共鳴イメージング技術を適用することによって、取得された磁気共鳴イメージングデータを処理する。
【0037】
第二のハードウェアインタフェイス部48を介してエネルギ蓄積ユニット12からデータを要求することによって、制御ユニット40は処理された磁気共鳴イメージングデータ内においてエネルギ蓄積ユニット12のターゲットゾーン54を特定する。
【0038】
ターゲットゾーン54が治療ゾーン56と異なる場合、エネルギの蓄積が省略されるように、制御ユニット40は、エネルギ蓄積ユニット12のエネルギ蓄積機能をディスエーブルする。それによって、エネルギ蓄積ユニットターゲットゾーン54の位置が人間のユーザによって、又はロボットのような人間以外のユーザによって制御されるかどうかにかかわりなく、ターゲットゾーン54へのエネルギ蓄積の、潜在的に危険なイネーブルは防止される。
【0039】
ターゲットゾーン54が治療ゾーン56と少なくとも部分的にオーバラップする(図3の実施例において、ターゲットゾーン54は完全に治療ゾーン56内にある)場合、人間のユーザ又はロボットのような人間以外のユーザがエネルギ蓄積ユニット12のエネルギ蓄積機能を解除する場合、エネルギが蓄積されるように、制御ユニット40は、エネルギ蓄積ユニット12のエネルギ蓄積機能をイネーブルする。
【0040】
メカニカルトランスデューサ34とエネルギ蓄積ユニット12との間のいかなる干渉も防止するために、制御ユニット40は、エネルギ蓄積ユニット12によるエネルギの蓄積の間、第一のハードウェアインタフェイス部46を介して、メカニカルトランスデューサ34を不活性化する。
【0041】
上記の方法ステップを実行するため、制御ユニット40は、制御ユニットメモリ44において実現され、制御ユニットプロセッサ42によって実行可能であるプログラムコードに変換される方法ステップを有するアプリケーションソフトウェアモジュール50を備える(図1)。
【0042】
以下の説明は、本発明のいくつかの代わりの実施例を含む。個々の代わりの実施例は特定の図又は図のグループを参照して記載され、特定の実施例の識別番号によって特定される。全ての実施例において機能が同じ、又は基本的に同じになる特徴は、特徴の番号に後続して、それが関連する実施例の付記番号から構成される参照番号によって特定される。実施例の特徴が、対応する図において記載されていない場合、又は図において言及されている参照番号が図自体において示されていない場合、参照は、この場合、先行する実施例の記載に対してなされる。
【0043】
図4は、図3と同じ表示において、本発明によるエネルギ蓄積治療システム210の代わりの実施例を図式的かつ部分的に図示する。図1及び3による実施例と対照的に、エネルギ蓄積治療システム210は、マイクロ波生成デバイス(図示略)を含むマイクロ波切除ユニット258を有するエネルギ蓄積ユニット212を含む。マイクロ波切除ユニット258は、治療ゾーン256に対する同じアクセス266を使用して、関心対象228の組織238をサンプリングするための生検デバイス260に組み合わされる。
【0044】
図5は、図3と同じ表示において、本発明によるエネルギ蓄積治療システム310の更なる代わりの実施例を図式的かつ部分的に図示する。図4に記載の実施例と対照的に、エネルギ蓄積治療システム310のトランスデューサユニット332は、介入性デバイスのためのいくつかの開口アクセス部366を有する。このために、トランスデューサユニット332は、メカニカルトランスデューサ334がハニカム部毎に構成されるいくつかのハニカム部を備えるハニカム構造368を有する。メカニカルトランスデューサを備えるハニカム部に隣接して、メカニカルトランスデューサ334の間のハニカム部はそれぞれ、マイクロ波切除ユニット358及び生検デバイス360の組合せとして設計される介入性デバイスのための開口アクセス部366をもたらす。
【0045】
図6は、図3に示される実施例と類似しているエネルギ蓄積治療システム410の更なる他の代わりの実施例を図示する。図3に示される実施例と対照的に、エネルギ蓄積治療システム410は、高密度焦点式超音波療法デバイス452の他に、生検デバイス460及びマイクロ波生成デバイス(図示略)を有するマイクロ波切除ユニット458の組合せを更に有するエネルギ蓄積ユニット412を有する。
【0046】
図7は、生検デバイス560及びマイクロ波生成デバイス(図示略)を有するマイクロ波切除ユニット558の組合せを有するエネルギ蓄積ユニット512並びに二つのメカニカルトランスデューサ534及び534´を有するトランスデューサユニット532を有するエネルギ蓄積治療システム510の他の代わりの実施例を図示する。エネルギ蓄積治療システム510は、関心対象528の乳房から磁気共鳴信号の受信及び励起のためにもたらされる無線周波数アンテナ62を有する磁気共鳴イメージングシステム514を有する。この種類の無線周波数アンテナ62は当業者に周知であり、それ故に更にここに記述されない。無線周波数アンテナ62、二つのメカニカルトランスデューサ534及び534´、並びにエネルギ蓄積ユニット512は単一のハウジング64に一体化され、特に乳房のエネルギ蓄積治療法のための解決策が提供される。
【0047】
本発明は、図面及び上述の記載において詳細に図示されると共に記載されているが、このような図面及び記載は例示的であり、限定的なものでないことは考慮されるべきであり、本発明は開示の実施例に限定されるものではない。開示の実施例に対する他のバリエーションは、図面、開示、及び従属請求項の検討から特許請求の範囲に記載の発明を実施する当業者によって理解され得ると共にもたらされ得る。
【0048】
クレームにおいて、"有する"という語は他の要素若しくはステップを除外せず、不定冠詞"a"若しくは"an"は複数を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属クレームに列挙されているという単なる事実はこれら手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。クレームにおけるいかなる参照符号も、発明の保護範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0049】
参照符号リスト
10 エネルギ蓄積治療システム
12 エネルギ蓄積ユニット
14 磁気共鳴イメージングシステム
16 磁気共鳴スキャナ
18 主磁石
20 磁気勾配コイルシステム
22 磁気共鳴イメージングシステム制御ユニット
24 画像処理ユニット
26 検査空間
28 関心対象
30 器官
32 トランスデューサユニット
34 メカニカルトランスデューサ
36 せん断波
38 組織
40 制御ユニット
42 制御ユニットプロセッサ
44 制御ユニットメモリ
46 第一のハードウェアインタフェイス部
48 第二のハードウェアインタフェイス部
50 アプリケーションソフトウェアモジュール
52 高密度焦点式超音波療法アレイ
54 ターゲットゾーン
56 治療ゾーン
58 マイクロ波切除ユニット
60 生検デバイス
62 無線周波数アンテナ
64 ハウジング
66 開口アクセス部
68 ハニカム構造
70 水性ジェル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7