【課題を解決するための手段】
【0006】
本願において使用されるように、文言「治療ゾーン」は特に、(a)エネルギを蓄積する態様の治療を必要とするために特定されており、(b)過度のエネルギ蓄積から保護されていなければならないような関心対象の組織のゾーンとして理解されるであろう。通常、悪性組織は、治療を耐え抜く必要がある、健康的かつ機能的な組織によって囲まれる。
【0007】
それによって、例えばガン診断の場合、特異性の実質的なの増大及び健康な組織から悪性組織を識別するための改善された視覚化は、エネルギの蓄積に備えて達成され得る。この改善された識別は、関心対象の治療ゾーンへの正確かつ安全なエネルギ蓄積も支援する。
【0008】
関心対象の部分の取得されている磁気共鳴イメージングデータの処理は、位相-コントラストに基づく磁気共鳴イメージング技術を有していてもよい。当業者に知られているように、磁気共鳴イメージングデータの取得は信号対雑音比の改善及びノイズ低減のために、加えられる機械的振動で位相ロックされてもよい。
【0009】
制御ユニットは、ワイヤ(有線)接続によって、若しくはワイヤレス(無線)接続によって、又は両方の組合せによって、エネルギ蓄積ユニット、トランスデューサ(変換器)ユニット、及び磁気共鳴スキャナに接続可能であってもよい。
【0010】
MRスキャナ内に主磁場B
0を使用する、電磁気設計のような、機械的振動を組織に適用するためのいくつかの異なるメカニカルトランスデューサが提案されている。さらに、圧電駆動トランスデューサ又は空気圧駆動式の設計が、臨床適用のために提案されている。通常、当業者にとって適しているように見えるいかなるメカニカルトランスデューサが使用されてもよい。
【0011】
他の実施例において、ターゲットゾーンが治療ゾーンと異なっている場合、制御ユニットは、エネルギ蓄積ユニットによるエネルギ蓄積をディスエーブルするように構成される。文言「ターゲットゾーン」は、本願にて用いられているように、エネルギ蓄積ユニットがエネルギ蓄積ユニットの活性化の瞬間においてエネルギの95%を蓄積する関心対象内の組織ボリューム(体積)として特に理解される。それによって、関心対象の治療ゾーンと異なるターゲットゾーンへのエネルギ蓄積の潜在的に危険なイネーブルは防止され得る。
【0012】
さらに他の実施例において、ターゲットゾーンが治療ゾーンに少なくとも部分的にオーバラップする場合にのみ、制御ユニットはエネルギ蓄積ユニットによるエネルギ蓄積を可能にするように構成される。これによって、及び改善されている識別に基づいて、関心対象の治療ゾーンへの正確かつ安全なエネルギ蓄積が達成されることが可能である。
【0013】
好ましい実施例において、エネルギ蓄積治療システムは、関心対象から組織を切除するように構成される切除ユニットを有する。これによって、関心対象からの悪性組織の安全かつ正確な切除は、達成されることが可能である。切除ユニットは人間のユーザによって手動で制御されてもよく、又はロボットのような人間以外のユーザによって制御されてもよい。
【0014】
他の好ましい実施例において、エネルギ蓄積ユニットは、高密度焦点式超音波療法(HIFU)デバイス、マイクロ波切除ユニット、衝撃波生成デバイス、高熱デバイス、及び放射線治療デバイスからの少なくとも一つを有する。これは特に、二つ又はそれより多くの前述のデバイスの組合せも含む。それによって、本発明の利点は、広い範囲のアプリケーションにおいて使われることができる。
【0015】
いくつかの実施例において、トランスデューサユニットは介入性デバイスのための少なくとも一つの開口アクセス部を有する。それによって、介入性デバイスのためのアクセスの広いオプションは、メカニカルトランスデューサによる干渉をほとんどもたらし得ない。
【0016】
さらに他の実施例において、トランスデューサユニットはハニカム構造を有しており、この場合、少なくとも一つのメカニカルトランスデューサがハニカム構造の第一のハニカム部においてもたらされ、少なくとも一つの開口アクセス部が、第一のハニカム部に隣接するハニカム構造の第二のハニカム部においてもたらされる。これによって、介入性デバイスのためのアクセスのオプションは、メカニカルトランスデューサ及び介入性デバイスの、堅牢かつ明確な相対的構成と組み合わされてすでにもたらされ得る。
【0017】
ハニカム構造は好ましくは、ハニカム構造が構成されるのと同じ固体物質の1/7(±20%)について重量密度を有する。ハニカム構造は、動作中、トランスデューサユニットを安定的に支持し得るのに十分な機械的堅牢性をもたらす。このように、機械的なせん断波の安定かつ十分に、制御されている場が患者の組織において生成されることが可能である。開構造及びより低い重量密度のため、ハニカム構造は、エネルギ蓄積ユニットからの、エネルギ蓄積放射線に対する低い反射率を有する。特にエネルギ蓄積が高密度焦点式超音波によってなされるとき、HIFUデバイス及びトランスデューサユニットの相対的な方向は制限の影響を受けない。特に、HIFU放射線のハニカム構造による反射を避ける必要性はない。良好な結果は、21-192kgm
-3の重量密度をもつハニカム構造で達成される。トランスデューサユニットのハウジング及びピストンは、1200-1220kgm
-3のレンジ(範囲)において重量密度を有するポリカーボネートから構成され得る。
【0018】
さらに他の実施例において、トランスデューサユニットは、単一のハウジングにおいてエネルギ蓄積ユニットと一体化される少なくとも二つのメカニカルトランスデューサを備えている。二つのメカニカルトランスデューサの適切な構成において、特に乳房の治療に有用なエネルギ蓄積治療システムがもたらされ得る。
【0019】
本発明の他の局面において、本発明の目的は磁気共鳴流動学システムによってエネルギ蓄積治療システムを制御する方法によって達成され、エネルギ蓄積治療システムは、
-治療目的のために関心対象の治療ゾーンにエネルギを局所的に蓄積するためにもたらされるエネルギ蓄積ユニットと、
-少なくとも一つのメカニカルトランスデューサを有するトランスデューサユニットと、
-磁気共鳴スキャナ及び画像処理ユニットを有する磁気共鳴イメージングシステムと
を有し、本方法は、
-メカニカルトランスデューサを関心対象に機械的に結合するステップと、
-関心対象の少なくとも部分に機械的振動を加えるためにメカニカルトランスデューサを活性化させるステップと、
-関心対象の部分から磁気共鳴イメージングデータを取得するステップと、
-取得された磁気共鳴イメージングデータを処理することによって関心対象の部分において機械的振動をイメージング(画像化)するステップと、
-処理された磁気共鳴イメージングデータ内においてエネルギ蓄積ユニットのターゲットゾーンを特定するステップと
-ターゲットゾーンが治療ゾーンと異なる場合、エネルギ蓄積ユニットによるエネルギ蓄積を省略するステップと
を有する。
【0020】
この方法を適用することによって、例えばガン診断の場合、特異性の実質的な増大及び健康な組織から悪性組織を識別するための改善された視覚化は、エネルギの蓄積に備えて達成され得る。更に本方法は、関心対象の治療ゾーンと異なるターゲットゾーンへのエネルギ蓄積の潜在的に危険なイネーブルを防止する。
【0021】
本発明のさらに他の局面において、本発明の目的は、磁気共鳴流動学システムによってエネルギ蓄積治療システムを制御する方法によって達成され、エネルギ蓄積治療システムは、
-治療目的のために関心対象の治療ゾーンにエネルギを局所的に蓄積するためにもたらされるエネルギ蓄積ユニットと、
-少なくとも一つのメカニカルトランスデューサを有するトランスデューサユニットと、
-磁気共鳴スキャナ及び画像処理ユニットを有する磁気共鳴イメージングシステムと
を有し、本方法は、
-メカニカルトランスデューサを関心対象に機械的に結合するステップと、
-関心対象の少なくとも部分に機械的振動を生成するためにメカニカルトランスデューサを活性化させるステップと、
-関心対象の部分から磁気共鳴イメージングデータを取得するステップと、
-取得された磁気共鳴イメージングデータを処理することによって関心対象の部分において機械的振動をイメージングするステップと、
-処理された磁気共鳴イメージングデータにおいてエネルギ蓄積ユニットのターゲットゾーンを特定するステップと
-ターゲットゾーンが治療ゾーンに少なくとも部分的にオーバラップする場合にのみ、エネルギ蓄積ユニットによってエネルギを蓄積するステップと
を有する。
【0022】
この方法を適用することによって、例えばガン診断の場合、特異性の実質的な増大及び健康な組織から悪性組織を識別するための改善された視覚化は、エネルギの蓄積に備えて達成され得る。改善された識別は、関心対象の治療ゾーンへの正確かつ安全なエネルギ蓄積も支援する。
【0023】
本方法の他の好ましい実施例において、メカニカルトランスデューサは、エネルギ蓄積ユニットによるエネルギの蓄積の間、不活性化される。それによって、トランスデューサユニットとエネルギ蓄積ユニットとの間のいかなる干渉も防止され得る一方、本方法の利点が依然保持される。
【0024】
本発明の他の局面において、本発明の目的は、開示の方法又はその組合せの一つを実行するためにもたらされるアプリケーションソフトウエアモジュールによって達成され、本方法を実行することによってエネルギ蓄積治療システムを制御するためにもたらされ、磁気共鳴イメージングシステム、トランスデューサユニット、及びエネルギ蓄積ユニットに接続可能な制御ユニットにおいて実現可能であると共に当該制御ユニットによって実行可能であるプログラムコードに本方法は変換される。
【0025】
本発明のこれらの及び他の態様は以下に記載の実施形態の参照から明らかとなり、解明される。実施例は本発明の全範囲を必ずしも表すわけではないが、本発明の範囲を解釈するために、クレームに対する参照はなされる。