特許第6196006号(P6196006)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6196006
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】パチンコ遊技機の傾斜度調節システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20170904BHJP
【FI】
   A63F7/02 349A
   A63F7/02 330
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-30079(P2017-30079)
(22)【出願日】2017年2月21日
(65)【公開番号】特開2017-153951(P2017-153951A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2017年5月24日
(31)【優先権主張番号】特願2016-37561(P2016-37561)
(32)【優先日】2016年2月29日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509290865
【氏名又は名称】K・M・S株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】中谷 吉博
【審査官】 齋藤 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−192159(JP,A)
【文献】 特開平07−275483(JP,A)
【文献】 特開2006−006404(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3023320(JP,U)
【文献】 特開2010−200790(JP,A)
【文献】 特開2007−275252(JP,A)
【文献】 特開2008−284280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
島枠に設置されるユニット本体と、先端部が島枠内に収まったパチンコ台枠の上辺に固定され、その固定状態のまま進退して前記パチンコ台枠の上辺を前記島枠内において前後動させる作動部と、前記ユニット本体に配備されていて前記作動部を進退させる駆動部とから成る自動調節ユニットが、前記パチンコ台枠の上辺左右に一対配置され、前記各自動調節ユニットが遠隔操作されて前記パチンコ台枠の傾斜角度を予め設定した角度に調節可能であり、前記遠隔操作が、前記パチンコ遊技機ごとに設置される呼び出しランプ内に配備された制御基板を介し、リモコン操作により、あるいは、前記呼び出しランプを制御するホールコンピュータにおける操作により行われるパチンコ遊技機の傾斜度調節システムであって、
前記自動調節ユニットは、複数のギアで構成されるギア組が組み込まれていて、ギアボックス用ベースを介して前記島枠に設置されるギアボックスと、前記ギアボックスに付設されて前記ギア組を回転駆動するステッピングモータと、中間部にネジ部を有していて前記ギア組に噛合することにより軸方向に進退駆動されるネジ杆と、前記ギアボックスから突き出る前記ネジ杆の先端部に取り付けられていて、前記ギアボックス用ベースに設置されたスライドガイドに支持されてスライドするスライド板と、前記スライド板に取り付けられて、先端部が前記パチンコ台枠の上辺に固定される作用部とから成り、
前記作用部は、前記スライド板の底部に設置されるブラケットを介して取り付けられ、前記ブラケットの先端部に横向きに配設される係止ピンが摺動自在に係合する縦長孔を設けた係止板を有し、前記係止板から前方に伸びる固定板が前記パチンコ台枠の内天面に固定されることを特徴とするパチンコ遊技機の傾斜度調節システム。
【請求項2】
前記固定板は、裏面側からねじ込まれるネジの先端面が前記パチンコ台枠の内天面を強圧して負荷を与えることにより、前記パチンコ台枠の内天面に固定状態となる、請求項に記載のパチンコ遊技機の傾斜度調節システム。
【請求項3】
前記一対の自動調節ユニットを個別に動作可能にした、請求項1又は2に記載のパチンコ遊技機の傾斜度調節システム。
【請求項4】
前記ギアボックス内に、前記ネジ杆の回転角を検出するフォトインタラプタが組み込まれ、前記フォトインタラプタによって検出された前記ネジ杆の回転角データに基づいて前記パチンコ台枠の傾斜度調節が行われる、請求項1乃至3のいずれかに記載のパチンコ遊技機の傾斜度調節システム。
【請求項5】
前記自動調節ユニットは、前記パチンコ台枠の上辺を、予め数段階に設定された距離移動させるように制御される、請求項1乃至のいずれかに記載のパチンコ遊技機の傾斜度調節システム。
【請求項6】
島枠に設置されるユニット本体と、先端部が島枠内に収まったパチンコ台枠の上辺に固定され、その固定状態のまま進退して前記パチンコ台枠の上辺を前記島枠内において前後動させる作動部と、前記ユニット本体に配備されていて前記作動部を進退させる駆動部とから成る自動調節ユニットが、前記パチンコ台枠の上辺左右に一対配置され、前記各自動調節ユニットが遠隔操作されて前記パチンコ台枠の傾斜角度を予め設定した角度に調節可能であり、前記遠隔操作が、前記パチンコ遊技機ごとに設置される呼び出しランプ内に配備された制御基板を介し、リモコン操作により、あるいは、前記呼び出しランプを制御するホールコンピュータにおける操作により行われるパチンコ遊技機の傾斜度調節システムであって、
前記自動調節ユニットは、複数のギアで構成されるギア組が組み込まれていて、ギアボックス用ベースを介して前記島枠に設置されるギアボックスと、前記ギアボックスに付設されて前記ギア組を回転駆動するステッピングモータと、中間部にネジ部を有していて前記ギア組に噛合することにより軸方向に進退駆動されるネジ杆と、前記ギアボックスから突き出る前記ネジ杆の先端部に取り付けられていて、前記ギアボックス用ベースに設置されたスライドガイドに支持されてスライドするスライド板と、前記スライド板に取り付けられて、先端部が前記パチンコ台枠の上辺に固定される作用部とから成り、
前記作用部は、前記スライド板の底部に設置されるブラケットを介して取り付けられ、前記ブラケットの先端部に横向きに配設される係止ピンが摺動自在に係合する縦長孔を設けた係止板を有し、前記係止板から前方に伸びるクランプ部材が前記パチンコ台枠の端部を挟持することにより、前記パチンコ台枠に固定されることを特徴とするパチンコ遊技機の傾斜度調節システム。
【請求項7】
前記一対の自動調節ユニットを個別に動作可能にした、請求項6に記載のパチンコ遊技機の傾斜度調節システム。
【請求項8】
前記ギアボックス内に、前記ネジ杆の回転角を検出するフォトインタラプタが組み込まれ、前記フォトインタラプタによって検出された前記ネジ杆の回転角データに基づいて前記パチンコ台枠の傾斜度調節が行われる、請求項6又は7に記載のパチンコ遊技機の傾斜度調節システム。
【請求項9】
前記自動調節ユニットは、前記パチンコ台枠の上辺を、予め数段階に設定された距離移動させるように制御される、請求項6乃至8のいずれかに記載のパチンコ遊技機の傾斜度調節システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機の傾斜度調節システムに関するものであり、より詳細には、パチンコ遊技機を島枠に設置するに当たり、簡単な操作でその傾斜度を微調節し得ると共に、島枠に対してパチンコ遊技機を強固にロックしてその転倒を防止でき、設置にスペースを取らないパチンコ遊技機の傾斜度調節システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機は、島枠の内側に直接取り付けられるパチンコ台枠と、台枠内に設置されるパチンコ本体とで構成される。このパチンコ遊技機を島枠に設置するに当たっては、パチンコ本体と台枠とを切り離しておき、先に台枠を島枠内嵌め入れて固定し、その後、パチンコ本体を台枠にヒンジを用いて取り付ける。台枠の島枠への固定は、台枠を島枠内に概ね垂直となるように嵌め入れて、その上辺及び下辺を釘止め、ネジ止め等により島枠に固定することにより行われる。そして、パチンコ本体を台枠に設置した後、パチンコ本体の傾斜角度の調節が行われる。
【0003】
このパチンコ本体の傾斜角度の調節を自動的に行うための傾斜度調節システムが、種々提案されている。例えば、特開2006−192159号公報には、台枠の上辺又は下辺に噛み込んで、台枠の上辺又は下辺を水平方向に変位駆動するユニットが、島枠の上辺及び下辺のそれぞれに一対ずつ配置して成るパチンコ遊技機の取り付け装置が開示されている。
【0004】
しかし、そこに開示されている装置の場合、各ユニットは、構成が複雑で組み立てに時間とコストがかかるだけでなく、パチンコ遊技機の傾斜度の微調節を簡単且つ迅速に行うという要請に応えることができないという問題がある。また、各ユニットを制御するためのコントロールボックスを、スペースに余裕がない島の上部の開閉自在な開口部位に配置しなければならない、という制約が伴うものであり、容易には設置し得ないという問題がある。
【0005】
また、特開2008−284280号公報には、島枠の下辺の中央部に駆動装置を配設し、パチンコ台枠に取り付けた角度検知装置からの検出角度信号に基づいて駆動装置が、パチンコ台枠の下辺を押し引き駆動してパチンコ台枠の傾斜を調節するパチンコ遊技機の設置角度自動調節装置が開示されている。しかし、この装置の場合は、パチンコ台枠の重量が集中する下辺部を押し引き駆動する構成であるために、大きな押し引き力が必要となるため、効率がよくないという問題がある。また、駆動装置とパチンコ台枠の下辺とが、単に駆動装置のネジ杆を介して連結されているだけであるので、パチンコ台枠の確固たる固定状態を確保することができないという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−192159号公報
【特許文献2】特開2008−284280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来提案されているパチンコ遊技機の傾斜角度の自動調節装置の場合は、機構が複雑であるとか、微妙な調節が難しいとか、パチンコ台枠の確固たる保持が難しいとか、設置にスペースが必要とかいった問題があった。そこで本発明は、これらの問題のない、即ち、シンプルな構成で設置にスペースを要せず、遠隔操作によってパチンコ台枠の傾斜角度の微調整が可能であり、また、パチンコ台枠を確固と保持し得るパチンコ遊技機の傾斜度調節システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1に係る発明は、島枠に設置されるユニット本体と、先端部が島枠内に収まったパチンコ台枠の上辺に固定され、その固定状態のまま進退して前記パチンコ台枠の上辺を前記島枠内において前後動させる作動部と、前記ユニット本体に配備されていて前記作動部を進退させる駆動部とから成る自動調節ユニットが、前記パチンコ台枠の上辺左右に一対配置され、前記各自動調節ユニットが遠隔操作されて前記パチンコ台枠の傾斜角度を予め設定した角度に調節可能であり、前記遠隔操作が、前記パチンコ遊技機ごとに設置される呼び出しランプ内に配備された制御基板を介し、リモコン操作により、あるいは、前記呼び出しランプを制御するホールコンピュータにおける操作により行われるパチンコ遊技機の傾斜度調節システムであって、
前記自動調節ユニットは、複数のギアで構成されるギア組が組み込まれていて、ギアボックス用ベースを介して前記島枠に設置されるギアボックスと、前記ギアボックスに付設されて前記ギア組を回転駆動するステッピングモータと、中間部にネジ部を有していて前記ギア組に噛合することにより軸方向に進退駆動されるネジ杆と、前記ギアボックスから突き出る前記ネジ杆の先端部に取り付けられていて、前記ギアボックス用ベースに設置されたスライドガイドに支持されてスライドするスライド板と、前記スライド板に取り付けられて、先端部が前記パチンコ台枠の上辺に固定される作用部とから成り、
前記作用部は、前記スライド板の底部に設置されるブラケットを介して取り付けられ、前記ブラケットの先端部に横向きに配設される係止ピンが摺動自在に係合する縦長孔を設けた係止板を有し、前記係止板から前方に伸びる固定板が前記パチンコ台枠の内天面に固定されることを特徴とするパチンコ遊技機の傾斜度調節システムである。
【0009】
一実施形態においては、前記固定板は、裏面側からねじ込まれるネジの先端面が前記パチンコ台枠の内天面を強圧して負荷を与えることにより、前記パチンコ台枠の内天面に固定状態となる。
【0010】
一実施形態においては、前記一対の自動調節ユニットは個別に動作可能にされる。
【0011】
一実施形態においては、前記ギアボックス内に、前記ネジ杆の回転角を検出するフォトインタラプタが組み込まれ、前記フォトインタラプタによって検出された前記ネジ杆の回転角データに基づいて前記パチンコ台枠の傾斜度調節が行われる。
【0012】
一実施形態においては、前記自動調節ユニットは、前記パチンコ台枠の上辺を、予め数段階に設定された距離移動させるように制御される。
【0013】
また、上記課題を解決するための請求項6に係る発明は、島枠に設置されるユニット本体と、先端部が島枠内に収まったパチンコ台枠の上辺に固定され、その固定状態のまま進退して前記パチンコ台枠の上辺を前記島枠内において前後動させる作動部と、前記ユニット本体に配備されていて前記作動部を進退させる駆動部とから成る自動調節ユニットが、前記パチンコ台枠の上辺左右に一対配置され、前記各自動調節ユニットが遠隔操作されて前記パチンコ台枠の傾斜角度を予め設定した角度に調節可能であり、前記遠隔操作が、前記パチンコ遊技機ごとに設置される呼び出しランプ内に配備された制御基板を介し、リモコン操作により、あるいは、前記呼び出しランプを制御するホールコンピュータにおける操作により行われるパチンコ遊技機の傾斜度調節システムであって、
前記自動調節ユニットは、複数のギアで構成されるギア組が組み込まれていて、ギアボックス用ベースを介して前記島枠に設置されるギアボックスと、前記ギアボックスに付設されて前記ギア組を回転駆動するステッピングモータと、中間部にネジ部を有していて前記ギア組に噛合することにより軸方向に進退駆動されるネジ杆と、前記ギアボックスから突き出る前記ネジ杆の先端部に取り付けられていて、前記ギアボックス用ベースに設置されたスライドガイドに支持されてスライドするスライド板と、前記スライド板に取り付けられて、先端部が前記パチンコ台枠の上辺に固定される作用部とから成り、
前記作用部は、前記スライド板の底部に設置されるブラケットを介して取り付けられ、前記ブラケットの先端部に横向きに配設される係止ピンが摺動自在に係合する縦長孔を設けた係止板を有し、前記係止板から前方に伸びるクランプ部材が前記パチンコ台枠の端部を挟持することにより、前記パチンコ台枠に固定されることを特徴とするパチンコ遊技機の傾斜度調節システムである。
【0014】
一実施形態においては、前記一対の自動調節ユニットは個別に動作可能にされる。前記ギアボックス内に、前記ネジ杆の回転角を検出するフォトインタラプタが組み込まれ、前記フォトインタラプタによって検出された前記ネジ杆の回転角データに基づいて前記パチンコ台枠の傾斜度調節が行われる。
【0015】
一実施形態においては、前記自動調節ユニットは、前記パチンコ台枠の上辺を、予め数段階に設定された距離移動させるように制御される。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上記のとおりであって、本発明によれば、自動調節ユニットの遠隔操作が、パチンコ遊技機ごとに設置される既存の呼び出しランプ内に配備された制御基板を介し、リモコン操作により、あるいは、呼び出しランプを制御するホールコンピュータにおいて行うことを可能にしたので、遠隔操作用制御基板を設置するためのスペースを別途設ける必要がなく、設置が容易で、リモコン操作でパチンコ遊技機ごとに個別管理できるだけでなく、ホールコンピュータにおいて一括傾斜管理及び傾斜調整を行うことが可能となる効果がある。
【0017】
また、自動調節ユニットの駆動にステッピングモータが用いられるために、パチンコ台枠の傾斜度の微調節を遠隔操作によって簡単に行うことが可能となり、殊に、パチンコ台枠の上辺を、予め数段階に設定された距離移動させるように制御することで、リモコン操作等により、微妙な傾斜度調節を効率よく画一的に行うことが可能となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係るパチンコ遊技機の傾斜度調節システムの第1の実施形態の構成を示す部分断面図である。
図2】本発明に係るパチンコ遊技機の傾斜度調節システムの第2の実施形態の構成を示す部分断面図である。
図3】本発明に係るパチンコ遊技機の傾斜度調節システムの第3の実施形態の構成を示す部分断面図である。
図4】本発明に係るパチンコ遊技機の傾斜度調節システムの第4の実施形態の構成を示す部分断面図である。
図5】本発明に係るパチンコ遊技機の傾斜度調節システムの制御系統の構成を示す概略構成図である。
図6】高さ810mmのパチンコ台枠における、1度の傾斜寸法値と○分○厘の比較表示を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態について、添付図面に依拠して説明する。本発明に係るパチンコ遊技機の傾斜度調節システムは、島枠51に設置されるユニット本体と、先端部が島枠51内に収まったパチンコ台枠41の上辺に固定され、その固定状態のまま進退してパチンコ台枠41の上辺を島枠51内において前後動させる作動部と、ユニット本体に配備されていて作動部を進退させる駆動部とから成る自動調節ユニットが、パチンコ台枠41の上辺左右に一対配置されて成る。
【0020】
各自動調節ユニットは遠隔操作され、パチンコ台枠41の傾斜角度を予め設定した角度に調節可能であり、前記遠隔操作が、パチンコ遊技機ごとに設置される呼び出しランプ内に配備された制御基板を介し、リモコン操作により、あるいは、呼び出しランプを制御するホールコンピュータにおける操作により行われる。
【0021】
先ず、本システムにおける自動調節ユニットの構成について説明する(図1図4参照)。第1の実施形態における自動調節ユニットは、複数のギアで構成されるギア組(図示省略)が組み込まれていて島枠51に設置されるギアボックス1と、ギアボックス1に付設されてギア組を回転駆動するステッピングモータ2と、中間部にネジ部を有していてギア組に噛合することにより軸方向に進退駆動されるネジ杆3を備え、ギアボックス1は、島枠51にギアボックス用ベース61を介して設置される。
【0022】
ギアボックス用ベース61はクランク形状で、その前半部が島枠51の内天面に取り付けられ、その後半部にギアボックス1から水平に伸びる連結板62が固定されることで、ギアボックス1が島枠51に固定状態となる。そして、連結板62の裏面にスライドガイド63が設置され、このスライドガイド63により、ネジ杆3の先端に取り付けられたスライド板64が摺動可能に支持される。例えば、スライドガイド63は水平方向に伸びる一対の溝を有するものとし、スライド板64の上辺にその溝に係合する翼部を設けることとする。
【0023】
スライド板64は、その底部に設置されるブラケット65を介して、先端部がパチンコ台枠41の内天面に固定される作用部に連結される。作用部は、ブラケット65に連結される係止板67と、係止板67から水平方向に伸びる固定板69とから成り、係止板67には縦長孔68が突設され、そこに、ブラケット65の先端部に横向きに配設された係止ピン66が摺動自在に係合する。作用部は、その固定板69がパチンコ台枠41の内天面の切除部42に留め付けられることで、パチンコ台枠41に固定状態となる。
【0024】
ギアボックス1内には、ネジ杆3の回転角、即ち、駆動ギア17に一体の軸筒に設けた連結フランジ70の回転角を検出するためのフォトインタラプタ31が配備される。フォトインタラプタ31は、駆動ギア17にその周縁に沿って形成される小穴17aの数を検出することによって、駆動ギア17の回転角を検出し、その回転角に基づいてネジ杆3の移動量が換算される。フォトインタラプタ31によって検出された駆動ギア17の回転角データに基づいてステッピングモータ2が制御されることで、パチンコ台枠41の傾斜度調節が行われる。
【0025】
この第1の実施形態の場合は、ステッピングモータ2が作動することでネジ杆3が進退動作し、それに伴いスライド板64並びにブラケット65がスライドガイド63に支持されて水平方向に進退動作する。このブラケット65の動きは、その先端部の係止ピン66を介して係止板67に伝達され、係止板67が水平方向に押し引きされるが、係止ピン66が縦長孔68に係合している関係で、パチンコ台枠41は、その底辺を軸に円弧状に押し引き可能となり、以て、その傾斜度の調節が可能となる。
【0026】
この第1の実施形態の場合は、作用部の固定板69をビス止め等によりパチンコ台枠41の内天面に留め付ける構成であるため、パチンコ台枠41に対する固定状態が強固となる。また、島枠51に対してスライドガイド63を、直接ではなく、ギアボックス用ベース61を介して設置することとしているので、パチンコ台枠41上部の厚みにばらつきがあっても(メーカーによって均一ではない)、問題なく対応可能となる。
【0027】
図2に示す第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例で、その場合の固定板69は、裏面側からねじ込まれる負荷ネジ71の先端面がパチンコ台枠41の内天面を強圧して負荷を与えることにより、パチンコ台枠41の内天面に固定状態となる。また、図3に示す第3の実施形態は、第2の実施形態の変形例で、パチンコ台枠41の内天面をより安定的に且つ確実に強圧できるように、係止板67の上面に補助板72を定着し、補助板72をパチンコ台枠41の天面に当接させて、パチンコ台枠41の端部を挟持する状態にしたものである。
【0028】
図4に示す第4の実施形態は、係止板67から前方に伸びるクランプ部材73,74がパチンコ台枠41の端部を挟持することにより、パチンコ台枠に固定されるようにしたものである。クランプ部材73,74は、両者間に跨る締付ネジ75を締め上げていくことにより、パチンコ台枠41の天面に当接するクランプ部材73がパチンコ台枠41の内天面に当接するクランプ部材74に引き寄せられることで、パチンコ台枠41の端部がクンプ部材73,74により強く挟持される。
【0029】
この場合、必要に応じ、締付ネジ75の他に、パチンコ台枠41の端部を貫いて、クランプ部材73,74を連結する咥え込みピン76を配することとする。
【0030】
なお、ステッピングモータ2の回転数とパチンコ台枠41の傾斜度との関係を予めデータ化して保存しておき、そのデータに基づいてステッピングモータ2の回転を制御することにより、パチンコ台枠41の傾斜度を調節する。このデータは、後述する段階制御において利用される。
【0031】
図5は、本発明に係る傾斜度調節システムの全体構成を示す概略図である。この構成においては、各パチンコ遊技機の自動調節ユニットが具備するフォトインタラプタ31からの信号を基に、各ステッピングモータ2の動作を制御するためのCPU33を備えた制御基板32が呼出しランプ34内に配備されている。そして、各ステッピングモータ2が所定量回転し、ネジ杆3を進退駆動してパチンコ台枠41を前後動させることで、その傾斜度の自動調節が可能となる。
【0032】
本傾斜度調節システムは、基本的にはパチンコ遊技機ごとに管理可能に構成され、管理者の所持するリモコン35の操作により動作するが、遊技施設全体を管理するホールコンピュータ36において集中管理可能に構成することもできる。その場合は管理室内においてホールコンピュータ36を操作することで、各パチンコ遊技機の呼び出しランプ34内に装備されている制御基板32を介し、本傾斜度調節システムを動作させることができ、各パチンコ遊技機の一括傾斜管理及び傾斜調整を行うことが可能となる。
【0033】
なお、各パチンコ遊技機の一対の自動調節ユニットは、同期させて同一の調節動作を行うように構成することもできるが、個別に調節動作可能に構成することが好ましい。そのようにした場合は、各自動調節ユニットにおけるネジ杆3の進退量を変えることで、パチンコ台枠41のねじれを調整することが可能となる。
【0034】
図6は、高さ810mmのパチンコ台枠41における、1度の傾斜寸法値と○分○厘の比較表示を示すものであり、そこに示されているように、1度傾斜させた場合の寸法(上端の移動量)は4分7厘(14.1mm)となる。かかるデータに基づき、一実施形態においては、3分、3分5厘、4分、4分5厘、4分7厘の5段階制御とされる。
【0035】
このような5段階制御を可能にするためには、パチンコ台枠41の上端部がこのような5段階の距離移動するように制御する必要があるが、その制御のために、パチンコ台枠41の上端部と一体に移動するネジ杆3の移動量を決定するステッピングモータ2の回転量を、予め5段階に設定し、リモコン操作等により選択可能にする。このようにすることにより、効率よく画一的に傾斜度調節を行うことが可能となる。そして、更に微調整する場合は、この5段階のいずれかの傾斜からの微量移動により行うことができる。
【0036】
本発明に係る傾斜度調節システムは、上記いずれの実施形態においてもシンプルな構成で、既存の呼び出しランプを利用することで、場所を取らずに簡単に設置でき、リモコン操作等により、微妙な傾斜度調節を効率よく画一的に行うことが可能となる。また、リモコン操作でパチンコ遊技機ごとに個別管理できるだけでなく、ホールコンピュータ36において一括傾斜管理及び傾斜調整を行うことが可能となるもので、産業上の利用性は大である。
【符号の説明】
【0037】
1 ギアボックス
2 ステッピングモータ
3 ネジ杆
31 フォトインタラプタ
32 制御基板
33 CPU
34 呼出しランプ
35 リモコン
41 パチンコ台枠
51 島枠
61 ギアボックス用ベース
62 連結板
63 スライドガイド
64 スライド板
65 ブラケット
66 係止ピン
67 係止板
68 縦長孔
69 固定板
70 連結フランジ
71 負荷ネジ
72 補助板
73 クランプ部材
74 クランプ部材
75 締付ネジ
76 咥え込みピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6